JP4752219B2 - 低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法並びに低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムよりなる容器 - Google Patents
低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法並びに低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムよりなる容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4752219B2 JP4752219B2 JP2004256845A JP2004256845A JP4752219B2 JP 4752219 B2 JP4752219 B2 JP 4752219B2 JP 2004256845 A JP2004256845 A JP 2004256845A JP 2004256845 A JP2004256845 A JP 2004256845A JP 4752219 B2 JP4752219 B2 JP 4752219B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- film
- polyethylene
- odor
- low
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Wrappers (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
近年、液体の包装体として、利便性、省資源、衛生性、環境に対する負荷低減等よりバッグインボックスやスタンディングパウチ等の包装形態が広い分野で使用されてきている。
例えば、液体包装容器の一つであるバッグインボックスは、注出口を有した薄肉成形容器やフィルム袋の内装と、段ボール箱等の外装とから構成される複合形態の液体容器であり、軽量、強くて丈夫、持ち運びに便利、廃棄処理が容易、流通コストが安価、化学的に安定、無菌包装などの優れた衛生性、容器回収が不要、商品性があるなど、多くの特長から広く利用されている。
フィルムに該フィッシュアイが混入するとフィッシュアイが肉眼で見えるので包装体の商品イメージを低下させるので好ましくない。内容物の色や形態によりフィッシュアイが異物として目立つことがある。バッグインボックス用内装袋用フィルム等の容器用のフィルムに関しても、これらの市場要求により厳しい管理が必要となってきており市場要求が満たせなくなってきている。
例えば、特許文献13において、ポリエチレン樹脂の密度、メルトフローレートおよび示差走査型熱量計により測定される最大吸熱ヒ゜ークの温度を特定化することにより、ピンホールの発生および折り曲げによる破断を抑えると共に、融着部に剥離が生じないバッグインボックス用ポリエチレン樹脂内装容器が、特許文献14において、特定の密度、メルトフローおよび融解挙動を有するポリエチレン樹脂2種類を特定割合で配合することにより低温ヒートシール性を有し、フィルムの腰の強さと衝撃強度とのバランスが取れたバッグインボックス用等に好適に用いられるシーラントフィルムが、特許文献15において、少なくとも3層以上の樹脂層からなる積層体において、その中の隣接する3層は面材層、中間層、面材層のサンドイッチ構造を有し、中間層を挟む面材層に使用される樹脂の弾性率を中間層に使用されている樹脂の弾性率より大きくすることにより、腰強度と耐衝撃性に優れたバッグインボックス用内装袋用フィルムが、特許文献16において、少なくとも1層の中間層の両面に形成された2層の外層を有する3層以上の積層体からなるフィルムで、それぞれの層の樹脂の組成、密度、メルトフロー、分子量分布および組成分布パラメーター等を特定化することにより、耐熱性、耐熱ブロッキング性、耐ピンホール性および機械的強度のバランスを確保したバッグインボックス用内袋が、特許文献17において、少なくとも3層よりなる積層体で接液層および中間層の密度と厚み構成を特定化することにより蒸気滅菌時の耐熱ブロッキング性と耐ピンホール性を両立させたバッグインボックス用内袋が、特許文献18において、共重合ポリエチレン樹脂の組成、密度、分子量分布、組成分布係数およびフィルムの45°グロスを特定化することにより、耐衝撃性、耐ピンホール性、耐屈曲性、低温ヒートシール性、低臭気性、耐熱性を維持しつつ、滑り性および抗ブロッキング性に優れたバッグインボックス用内装袋等に適したフィルムが開示されている。しかしながら、これらの特許文献においては臭気の低減方法に関しては何ら言及されていない。例えば、特許文献18においては、低臭気が強調されているにもかかわらず具体的方策や得られたフィルムの臭気特性が記載されていない。
この場合において、耐ピンホール性が8個以下、静摩擦係数が0.4以下、耐ブロッキング性が300mN以下であることが、好適である。
さらに、この場合において、フィルム中の最大直径が0.1mm以上のフィッシュアイが10個/0.1m2以下であることが好適である。
さらに、この場合において、中間層とその両面に面材層が積層されてなる積層体で、中間層を構成するポリエチレン系樹脂の密度(A)が880〜930kg/m3で、面材層を構成するポリエチレン系樹脂の密度(B)が900〜960kg/m3であり、かつ(B)>(A)であることが好適である。
さらに、この場合において、中間層の厚みが積層体の総厚みに対して40〜90%であることが好適である。
さらに、この場合において、面材層を構成するポリエチレン系樹脂が有機滑剤100〜1000ppmおよび平均粒子径5〜20μmの球状粒子4000〜15000ppmが含んでなることが好適である。
さらに、この場合において、上記構成の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造工程で発生する回収樹脂を中間層に配合してなることが好適である。
また、明細書中に記載したガスクロマトグラフィー質量分析法で定量される揮発性の炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量が樹脂質量に対してn−テトラデカン量換算値で3000ppm以下であるポリエチレン系樹脂を主成分とする組成物を少なくとも3層よりなるTスロット型多層押出しダイを用いてダイス出口の樹脂温度が150〜200℃で製膜することを特徴とする低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造方法である。
この場合において、ダイスより押し出されたフィルムを冷却ロールに密着させるに際して、エアーノズル法、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法および真空チャンバー法を同時に作用してなることが好適である。
さらに、この場合において、溶融押し出し工程で溶融された樹脂組成物を濾過精度が100μm以下であるフィルターで濾過することが好適である。
さらに、この場合において、濾過を2段で行うことが好適である。
さらに、この場合において、上記回収樹脂中の明細書中に記載したガスクロマトグラフィー質量分析法で定量される揮発性の炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量が樹脂質量に対してn−テトラデカン量換算値で3000ppm以下であること
が好適である。
さらに、この場合において、ポリエチレン系樹脂組成物および回収樹脂が減圧下、50℃以上で、軟化点未満の温度で加熱処理したものであることが好適である。
さらに、上記の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムを内層フィルムとした容器である。
本発明の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは少なくとも3層よりなるポリエチレン系樹脂積層フィルムにおいて、フィルムの幅方向の厚み斑が10%未満で、かつ明細書中で記載した方法により定量される揮発性の炭素数12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量としてフィルム質量に対してn−テトラデカン換算量で2000ppm以下であることが必要である。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂は、線状低密度ポリエチレン系樹脂が好ましく、エチレンと炭素数が3〜12のα―オレフィンの共重合体から成っており、炭素数は、好ましくは4〜8の範囲で選択されることが望ましい。これらの共重合成分の具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1等が挙げられるが、本発明は上記化合物に限定されるものではない。これらの中でもブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1が好ましい。
本発明の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは中間層の両面に面材層を有した少なくとも3層よりなる構成が好ましい。そして、この中間層と面材層とはそれぞれを構成するポリエチレン系樹脂の密度を替えることが好ましい。中間層を構成するポリエチレン系樹脂の密度(A)は880〜930kg/m3が好ましい。885〜925kg/m3がより好ましく、890〜920kg/m3がさらに好ましい。一方、面材層を構成するポリエチレン系樹脂の密度は、900〜950kg/m3の密度のポリエチレン系樹脂が好ましい。910〜940kg/m3がより好ましく、920〜930kg/m3がさらに好ましい。さらに、(B)>(A)を満足する必要がある。このことにより、前述したバッグインボックス用内装袋用フィルム等の容器の内層フィルムが具備すべき力学特性や耐ブロッキング特性等のバランスを取ることができる。例えば、耐ピンホール性や耐衝撃性等の力学特性をよくするには、ポリエチレン系樹脂の密度は低い方がよい。しかしながら、ポリエチレン系樹脂の密度が低くなると、耐ブロッキング性や滑り性が悪化するので好ましくない。この二律背反事象を解決するために耐ブロッキング性や滑り性に対する影響の小さい中間層の密度を低くして耐ピンホール性や耐衝撃性等の力学特性を確保し、逆に、耐ブロッキング性や滑り性に対する影響の大きい外層のポリエチレン系樹脂の密度を高くしこれらの特性を確保し、全体としての特性のバランスを取るというコンセプトに基づいて開発したものである。
中間層を構成するポリエチレン系樹脂の密度が930kg/m3を超えた場合は耐ピンホール性や耐衝撃性が低下するので好ましくない。逆に、880kg/m3未満ではフィルムの腰が弱くなるので好ましくない。
一方、外層の場合は、950kg/m3を超えると低温ヒートシール性が悪化するので好ましくない。逆に、910kg/m3未満では腰の強さ、耐熱性、耐ブロッキング性および滑り性等が悪化するので好ましくない。
[フィルム中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法]
(1)試料のセット
フィルム試料2〜3mgを精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブ(Chrompack社製、内径3mm)に入れ、TCT(GLサイエンス社製:CP−4020)のディソープションオーブンにセットする。
(2)試料の加熱と揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入
上記方法でサンプルチューブがセットされたディソープションオーブンを80℃で10分加熱しフィルム中の揮発成分を揮発させる。発生した揮発性成分をキャリアーガス(He:流量14cc/分)によりー100℃に冷却されたコールドトラップに導入する。10分後にコールドトラップを一気に250℃に加熱し凝縮された揮発性成分をガスクロマトグラフィー質量分析計へ導入する。
(3)ガスクロマトグラフィー質量分析
[1]ガスクロ装置:HP−6890(Agilent社製)
[2]質量分析装置:HP−5973(Agilent社製)
[3]ガスクロカラム:キャヒ゜ラリーカラムHP−1MS(直径0.25mm、長さ
30m、ヂメチルポリシロキサン膜厚1.0μm)
[4]導入口温度:120℃
[5]ガスクロ条件:キャリアーガス流量0.5cc/分、カラム温度 は50℃で2
分間保持し、250℃まで15℃/分で昇温、280℃で10分間保持
[6]ガスクロヒ゜ークの同定:質量分析により行う
(4)揮発性成分の定量
下記方法でn−テトラデカンの検量線を作成し、n−テトラカン換算量で表示する。該定量は全イオン検出モードで行う。
n−テトラデカン38.6mgをn−へキサン1000ccに溶解した溶液を標準溶液とする。該標準溶液10マイクロリッターをTenax吸着管[上記サンプルチューブにTenaxTA(20/35メッシュ:GLサイエンス社製)を0.1g充填したもの、充填の折にはTenaxTAの上下にガラスウールを充填した]にマイクロシリンジを用いて注入しTenaxに吸着させる。該Tenax吸着管を上記のディソープションオーブンにセットし、上記と同じ方法でガスクロマトグラフィー質量分析を行い検量線を作成する。
なお、臭気との関連性が見出された揮発性成分である炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンはフィルムの主構成物質であるポリエチレン系樹脂の劣化により生じたものと推察される。
耐ピンホール性は6以下がより好ましく、4個以下がさらに好ましい。耐ピンホール性が8個を超えた場合は、フィルムが極度に折り曲げられた時とか、容器に内容物を充填して輸送をする場合等の、繰り返し疲労等により内層袋にピンホールや亀裂等の破壊が発生し内容物の漏れ発生や空気の内容物への移行が増大し内容物の変質や腐敗が促進されるので好ましくない。
静摩擦係数は0.3以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい。静摩擦係数が0.4を超えた場合は、低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムを製造する工程やバッグインボックス用内装袋等の容器やその構成材料の製造工程でのラミネート加工や製袋加工時のフィルムの滑り性が悪化しフィルムの取り扱い性が低下するので好ましくない。
耐ブロッキング性は200mN以下がより好ましく、100mN以下がさらに好ましい。耐ブロッキング性が300mNを超えた場合は、袋の開閉性が悪化したり内容物を加温充填した場合に、袋が熱融着することがある等の好ましくない現象の発生に繋がる。
従来、低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの滑り性を付与する方法としては、包装される内容物の臭気や味覚の悪化を抑制するために、滑剤やアンチブロッキング剤を添加せず、製膜工程でエンボスロールによりエンボス加工をしてフィルム表面に凹凸を形成する方法や2種の樹脂を配合して製膜時の冷却条件の最適化でフィルム表面に凹凸を形成する方法が推奨されてきた。例えば、前者は特許文献2および3において、後者は特許文献18においてその方法が開示されている。しかしながら、前者の方法は、例えばエンボスロールの経時による汚染等によりフィルムの表面凹凸が変化し、滑り性等の特性が安定しないという課題が残されている。一方、後者の場合は製膜条件、特に樹脂の品質、配合割合冷却条件等を厳密に制御しないと滑り性等の特性が安定しないという課題が残されている。本発明者等は、これらの課題解決法について検討を進め、従来より汎用的に実施されている滑剤とアンチブロッキング剤を併用する方法でも、これらの種類や配合量を特定化することにより、臭気を悪化させることなく上記特性を付与することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明における低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは、下記条件でγ線照射した時の黄色度変化である△YI値が10以下であることが好ましい。5.0以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましい。
△YI値はフィルムのγ線照射前後における色変化を色差計で評価するものである。γ線はコバルト60を線源とし、フィルムへ25キログレイ(KGr)を照射した。YI値(黄色度)は、(日本電色工業(株)社製のZ−300A)を用いて測定し、下記式で求めた△YI値で表示した。
△YI値=YI(γ線照射あり)−YI(γ線照射なし)
本特性を付与する方法は限定されないが、酸化防止剤として一分子中にフェノール骨格とホスファイト骨格の両方を有したものを用いるのが好ましい。例えば、住友化学工業社製のスミライザーGPが挙げられる。
本発明においては、上記構成の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造工程で発生する回収樹脂を中間層に配合し自己循環して再利用することが好ましい。回収樹脂を面材層に戻して使用すると、前記した滑剤やアンチブロッキング剤の配合量の変動に繋がり、フィルムの滑り性や耐ブロッキング性等の特性変動が発生する。勿論、回収樹脂の使用量に合わせて滑剤やアンチブロッキング剤の配合量を調整すればこの課題は改善されるが、工程管理が複雑になる上に、滑剤に関しては製膜時の飛散損失があり特定範囲に制御しきれない場合も生ずる。これに対して、中間層に配合して使用すれば上記課題の発生が阻止できる。ただし、中間層に配合する方法においても配合量が変動すると、フィルムの透明性が変動する。従って、配合量は特定範囲で制御するのが好ましい。この制御範囲は、回収樹脂の発生割合や製品の品質規格等で適宜設定すればよい。一般には40質量%以下の配合が好ましい。本方法により、フィルムの品質変動を抑制するのに複雑な工程管理の必要がなくなるので、品質の安定化や経済性に対する効果が大きい。
[樹脂組成物中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法]
(1)サンプル樹脂の粉砕
樹脂組成物1gを冷凍粉砕機(SPEC 6700 Freezer/Mill)を用いて液体窒素で冷却し冷凍粉砕を行う。粉砕は強度MAXで10分間行う。
(2)試料のセット
上記粉砕試料約10mgを精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブ(Chrompack社製、内径3mm)に入れ、TCT(GLサイエンス社製:CP−4020)のディソープションオーブンにセットする。サンプルチューブへの試料の充填の折には試料の上下にガラスウールを充填した。
(3)試料の加熱と揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入、ガスクロマトグラフィー質量分析および揮発性成分の定量
フィルム中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法と同様の方法で行う。
このフィルムの臭気特性と原料樹脂組成物の品質との関係は、従来公知の官能評価に替わる精度の高い上記の定量方法を確立することにより初めて成し得たことである。
一方、近年、上記のコートハンガーダイの課題を克服するための方策としてTスロット型ダイが注目されている。該Tスロット型ダイは、例えば、Gary D.Oliver、「最新の共押出技術と市場同行」、コンバーテック、1996年12月、第24巻、第12号、P14〜19や小山、「機能性多層フィルムの押出技術」、プラスチックエージ、2003年、6月、第49巻、第595号、P93〜97等にその構造が記載されている。
本発明において、以下の特徴を有している。特徴1として、Tスリット型ダイのアスペクト比を大きくした直線状のマニホールドになっており、それにより、厚みの均一性を向上させることが出来きる。さらに樹脂が流れる面に力が均一にかかるのでクラムシェルが発生しない。特徴2として、プレランドを2段階にしてその段差部分の形状を曲線状に作ることにより、ダイス全体でバランスの取れた均一の流れになるような設計がなされており、溶融樹脂の各種粘度に対応できるように改良されている。すなわち、図1に例示するごとく、Tスロットダイでは幅方向に直線状のマニホールド、2段の傾斜ランドとリップよりなる3段のスリット流路を有する構造となっている。コートハンガーダイとは異なりプレランドが傾斜タイプの2段方式になっており、かつ樹脂流が供給される中央部の第一段目のプレランド部はコートハンガーダイとは逆に、中央部の方がランド長が短くなっており上記課題が改善されている。さらに、スリット流路幅が3段分割されており整流効果も向上しており、Tダイ全体の圧力斑や歪が低減できるように改善されており、厚み斑の低減に繋がる。
一方、コートハンガーダイは、図2に例示するごとく、Tダイの幅方向にハンガー状に傾斜するマニホールドと引き続く2段のスリット流路(プレランドとリップ)とよりなる。従って、マニホールドに溶融樹脂が流入すると、プレランド部に樹脂流が衝突し圧力が調整されるが、樹脂流が供給される最も圧力が高くなる中央部のプレランド長が分流により樹脂流が供給される端部のプレランド長より長くなっているため、このプレランド長さによる圧力上昇が加味されることにより、中央部と端部の圧力差がより増長され、Tダイ全体の圧力斑や歪の増大が起こり、このことが吐出時の厚み斑の増大に繋がる。さらに、スリット流路幅の分割が2段であるため、整流効果が充分でない。その結果、一般にWパターンと呼ばれダイ出口で早く流れる部分と遅くなる部分が発生し、均一な流れにならない問題に繋がる。それが厚み斑や熱履歴の違いによるフィッシュアイの原因になっていたこと考えられる。
(1)試料のセット
フィルム試料2〜3mgを精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブ(Chrompack社製、内径3mm)に入れ、TCT(GLサイエンス社製:CP−4020)のディソープションオーブンにセットした。
(2)試料の加熱と揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入
上記方法でサンプルチューブがセットされたディソープションオーブンを80℃で10分加熱しフィルム中の揮発性成分を揮発させる。発生した揮発性成分をキャリアーガス(He:流量14cc/分)により−100℃に冷却されたコールドトラップに導入した。10分後にコールドトラップを一気に250℃に加熱し凝縮された揮発性成分をガスクロマトグラフィー質量分析計へ導入した。
(3)ガスクロマトグラフィー質量分析
[1]ガスクロ装置:HP−6890(Agilent社製)
[2]質量分析装置:HP−5973(Agilent社製)
[3]ガスクロカラム:キャヒ゜ラリーカラムHP−1MS(直径0.25mm、
長さ30m、ヂメチルポリシロキサン膜厚1.0μm)
[4]導入口温度:120℃
[5]ガスクロ条件:キャリアーガス流量0.5cc/分、カラム温度は50℃で2分
間保持し、250℃まで15℃/分で昇温、280℃で10分間保持
[6]ガスクロヒ゜ークの同定:質量分析により行った
(4)揮発性成分の定量
下記方法でn−テトラデカンの検量線を作成し、n−テトラデカン換算量で表示した。該定量は全イオン検出モードで行った。
n−テトラデカン38.6mgをn−へキサン1000ccに溶解した溶液を標準溶液とした。該標準溶液10マイクロリッターをTenax吸着管[上記サンプルチューブにTenaxTA(20/35メッシュ:GLサイエンス社製)を0.1g充填したもの、充填の折にはTenaxTAの上下にガラスウールを充填した]にマイクロシリンジを用いて注入しTenaxに吸着させた。該Tenax吸着管を上記のディソープションオーブンにセットし、上記と同じ方法でガスクロマトグラフィー質量分析を行い検量線を作成した。
フィルムを10cm4方の正方形に切り取り、これを100枚重ね、これを内容量1リットルの蓋つきガラス瓶に入れた。このガラス瓶を70℃に保った加熱オーブン中に2時間(放置し、これを取り出し直ちにパネラーにより官能評価を行った。
判定は以下の基準で行った。
良いもの:◎
やや良いもの:〇
やや悪いもの:△
悪いもの:×
成型されたフィルムを流れ方向(以下、MD方向と記する)に33.3cm×流れ方向に対して横方向(以下、TD方向と記する)30cm、両端20cm外して、4ヶ所サンプルとして切り取る。フィルムの下から蛍光灯を照射した板の上に置き、透過光で目視により観察し、0.1mm以上のフィッシュアイを計測する。計測は切り取ったサンプル3枚の平均値でフィッシュアイ個数を求め、0.1m2当たりの個数に換算する。該サンプルが1枚でも0.1mm以上のフィッシュアイ個数が8個以上であれば、予備の1枚も計測し、フィルムサンプル4枚の平均値を求め、0.1m2当たりの個数に換算する。次に、カウントしたフィッシュアイを液体窒素中に浸して、硬くした状態で、剃刀で半分に切り、そのフィッシュアイの断面を光学顕微鏡で、50〜300倍の倍率で観察することにより、核となる物質が無ければ、例えば、セルロースなどを代表とする異物が無ければ、それは未溶融の塊り、原料の一部がゲル化したための塊り、成形中の材料の部分的劣化による塊り等のゲル起因のフィッシュアイと判定する。核がある場合は、異物起因のフィッシュアイと判定しカウントから除外する。
JIS K7130:1999年に準じて評価する。一部方法が異なる部分は以下に詳細を説明する。測定する環境は、23℃×50%RH室内で行う。測定は、フィルムの両端5cmづつをカットし、該両端がカットされたサンプルを幅方向に40等分し測定位置
に印を付ける。該印の位置で印の部分を外した場所についてダイヤルゲージにて行う。計測はフィルムロールMD方向に15cm、TD方向に全巾、表層部からしわのない部分から2巻き剥いだ部分と巻き芯部からしわの無い部分から2巻きほど剥いだ部分の2ヶ所で、それぞれ3サンプルを取り、その6サンプルの平均値を求める。使用する計測器は、最小読み取り値が0.001mmとする。精度は、JIS B7503:1997年に規定してあるダイヤルゲージと同等以上のものとする。
厚み斑は下式で求める。
厚み斑(%)=(最大厚みー最小厚み)÷6サンプルの平均値×100
(1)サンプル樹脂の粉砕
樹脂1gを冷凍粉砕機(SPEC 6700 Freezer/Mill)を用いて
液体窒素で冷却し冷凍粉砕を行う。粉砕は強度MAXで10分間行う。
(2)試料のセット
上記粉砕試料約10mgを精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブ(Chrompack社製、内径3mm)に入れ、TCT(GLサイエンス社製:CP−4020)のディソープションオーブンにセットする。サンプルチューブへの試料の充填の折には試料の上下にガラスウールを充填した。
(3)試料の加熱と揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入、ガスクロマトグラフィー質量分析および揮発性成分の定量
フィルム中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法と同様の方法で行った。
JIS B8356:1976年に準じて計測する。フィルターメディアを透過した最大グラスビーズ粒径を濾過精度(μm)とする。
本発明におけるダイス出口の樹脂温度は精度が±5℃以内の赤外線式温度計を用いて測定した。Tダイの幅方向等分した5箇所をn=3で計測し、その平均値を求める。チノー社製ポリエチレンフィルム用IR−CAM型を使用し、溶融樹脂から10〜15cmの位置で計測した。
JIS K 7210:1999年に準じて、評価条件は、2.16kg、190℃で原料樹脂の粘度を評価した。
JIS K 7112:1999年に準じて、密度を評価した。
フィルムを縦300mm×横200mmに裁断し、ゲルボフレックス測定器(テスター産業社製 形式:恒温槽付きゲルボフレックステスター)を用いてASTM F329に準拠して、5℃にて3000回のひねり(捩じり速度:40rpm、捩じり角400°)を与えた時に発生したピンホール値(ゲルボフレックス値)を測定した。同一サンプルにつき3回の測定をして平均値で表示した。
測定面同士を重ね合わせたサンプルを、ヒートプレス(テスター産業社製 形式:SA−303)において、大きさ7cm×7cm、温度50℃、圧力1400Pa、時間15分の加圧処理を行う。この加圧処理でブロッキングしたサンプルとバー(径6mm 材質:アルミ)をオートグラフ(島津製作所社製 形式:UA−3122)へ装着し、バーが速度(200mm/分)でブロッキング部を剥離する時の力を測定した。この場合、バーと剥離面は水平であることが前提である。
同一サンプルにつき4回の測定をして平均値で表示した。
傾斜面と錘からなるフリクションアングルテスター(東洋精機社製 形番:A−211402803)において測定するフィルム面が接触する様に、錘(重さ1kg)と傾斜面へセットする。
傾斜面の角度を除々上げていき(速度2.7°/秒)、錘が傾斜面を滑り始める角度を測定する。その角度θのtanθを静摩擦係数とした。同一サンプルにつき3回の測定をして平均値で表示した。
JIS K 1150に記載のレーザー回折式粒度分布測定法に準拠し測定した。
Leeds&Northrup社製 形式:Microtrac HRA model 9320−X100を用いて測定した。
A層およびC層用のポリエチレン系樹脂組成物
樹脂密度925kg/m3およびMFR6g/10minの市販の線状低密度ポリエチレン樹脂にエルカ酸アミド800ppm、平均粒径10μmの燃焼法で製造された見掛け比重が1.15g/cm3の球状シリカ10000ppmおよび分子中にフェノール骨格とホスファイト骨格を有した酸化防止剤700ppmを配合した揮発性成分量が5500ppmである樹脂組成物を減圧装置の付いた回転式の乾燥機に仕込み、13hPaの減圧下、105℃で48時間加熱処理して得た揮発性成分量が250ppmに低減された線状低密度ポリエチレン樹脂組成物
B層用のポリエチレン系樹脂組成物混合物
樹脂密度900kg/m3およびMFR6g/10minの市販の線状低密度ポリエチレン樹脂に分子中にフェノール骨格とリン骨格を有した酸化防止剤700ppmが配合された、揮発性成分量が5200ppmの樹脂組成物を減圧装置の付いた回転式の乾燥機に仕込み、13hPaの減圧下、105℃で48時間加熱処理して得た揮発性成分量が240ppmに低減された線状低密度ポリエチレン樹脂組成物および本実施例と同じ方法で製造された低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムを溶融法で回収し、上記線状低密度ポリエチレン樹脂と同様の条件で減圧下、加熱処理された揮発性成分量が200ppmである回収樹脂をそれぞれ75:25(質量比)を混合した混合物
B層用ポリエチレン系樹脂組成物混合物をスクリュー直径250mmの3ステージ型単軸押出し機で、A層用およびC層用のポリエチレン系樹脂組成物をそれぞれ2台のスクリュー直径150mmの3ステージ型単軸押出し機を使用し、幅3000mmで、プレランドを2段階にし、かつ溶融樹脂の流れが均一になるように段差部分の形状を曲線状としてダイス内の流れが均一になるように設計した3層タイプのTスロット型ダイにA層/B層/C層の層構成になるように導入し、ダイス出口の樹脂温度180℃で押出した。リップギャップは1.6mmとした。フィルターは、濾過精度100μmおよび50μmのフィルターを直列に連結した2段濾過法で濾過しダイスに供給した。該フィルターはA〜C層の全てのラインに設置した。ダイスからでてきた溶融樹脂シートを30℃の冷却ロールで冷却し、A層/B層/C層の構成で層厚みが12/36/12(μm)[総厚みに対する中間層厚みの割合:60%]よりなる線状低密度ポリエチレン系積層フィルムを得た。原料樹脂組成物の乾燥は窒素ガス置換して行った。また、上記押出し機への供給用サイロやホッパーも窒素ガス置換をした。冷却ロールでの冷却に際しては、エアーノズルで冷却ロール上のフィルムの両端を固定し、エアーナイフで溶融樹脂シートの全幅の冷却ロールへの押さえつけを行い、同時に真空チャンバーを作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止した。エアーノズルは、両端ともに2基ずつをフィルム進行方向に直列に設置した。また、エアーナイフの風向きは押出されたシートの進行方向に対して45度とした。また、真空チャンバーの吸引口の方向を押出されたシートの進行方向に合わせた。さらに、ダイス周りはシートで囲い、溶融樹脂シートに風が当たらないようした。製膜は100m/分の速度で実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例1の方法において、それぞれ原料樹脂組成物の減圧下での加熱時間を24、12および6時間に短縮して得た揮発成分量が表1に示した量である樹脂組成物を原料とするように変更する以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4の積層フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
実施例1〜3の方法において、ダイス出口の樹脂温度を180℃に変更する以外は、実施例1〜3と同様にしてそれぞれ実施例5〜7のフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
実施例1の方法において、得られる積層フィルムの層構成がA層/B層/C層=16/48/16(μm)になるように変更する以外は、実施例1と同様にして実施例8のフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
実施例1の方法において、原料樹脂組成物の減圧下での加熱をすることなく、樹脂組成物中の揮発成分量が表2に示した値である市販樹脂組成物および回収樹脂を原料として用いるように変更する以外は、実施例1と同様にして比較例1のフィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
実施例1の方法において、原料樹脂組成物の減圧下での加熱処理を常圧下で行うように変更した。樹脂組成物中の揮発性成分量を表2に示す。該樹脂組成物を原料として用いるように変更する以外は、実施例1と同様にして比較例2のフィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
実施例1で用いた減圧下での加熱処理をする前の市販の線状低密度ポリエチレン樹脂組成物および回収樹脂を、ギア−ポンプ式2軸押出機を用い以下の条件で溶融押出した。スクリュー径69mm、スクリュー全長L/D=14、ベント位置はホッパー側からL/D=11、スクリュー回転数400rpm、ギアーポンプ部樹脂温度235℃、押出し量340kg/hr、ベントの吸引圧120hPaで運転し、溶融物は水中カット法によりペレットとした。得られた樹脂中の揮発性成分量を表2に示す。該樹脂組成物を原料として用いるように変更する以外は、実施例6と同様にして比較例3のフィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
比較例1の方法において、ダイス出口の樹脂温度を180℃に変更する以外は、比較例1と同様の方法で比較例4のフィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
実施例1〜3および比較例2の方法において、ダイス出口の樹脂温度を230℃に変更する以外は、実施例1〜3および比較例2と同様の方法で比較例5〜8のフィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
実施例1、3および比較例2の方法において、ダイス出口の樹脂温度を250℃に変更する以外は、実施例1、3および比較例2と同様の方法で比較例9〜11のフィルムを得た。得られた結果を表3に示す。
実施例3の方法において、ダイス出口の樹脂温度を140℃に変更する以外は、実施例3と同様の方法で比較例12のフィルムを得た。得られた結果を表3に示す。
実施例7、比較例7および10の方法において、押出し機をシングルステージ型に、フィルター濾過精度を200μm1段濾過に、ダイスをコートハンガー型に、冷却ロールとの密着をエアーナイフのみに、ダイス周りの囲いを無くすように変更する以外は、実施例7および比較例7および10と同様にして比較例13〜15のフィルムを得た。得られた結果を表3に示す。
空冷インフレーション方式、プラコー製押出し機(スクリュー直径55mm)、ダイス出口の樹脂温度160℃、フィルム幅300mm、ブロー比2.7で単層押出しし、フィルム成型した。使用樹脂は、MFRを2g/10minに変更する以外は、実施例2と同じ組成および特性ものを用いた。得られた結果を表3に示す。
比較例1の方法において、A層およびC層用樹脂組成物のエルカ酸アミドおよび球状シリカの配合量をそれぞれ50および3000ppmに変更する以外は、比較例1と同様にして比較例17のフィルムを得た。得られた結果を表4に示す。
比較例1の方法において、A層およびC層用樹脂組成物のエルカ酸アミドの配合量を50ppmに、球状シリカの平均粒径を3μmに変更する以外は、比較例1と同様にして比較例18のフィルムを得た。得られた結果を表4に示す。
比較例1の方法において、B層用のポリエチレン系樹脂組成物の線状低密度ポリエチレン樹脂密度を930kg/m3に変更する以外は、比較例1と同様にして比較例19のフィルムを得た。得られた結果を表4に示す。
比較例1の方法において、A層およびC層用のポリエチレン系樹脂組成物の線状低密度ポリエチレン樹脂密度を880kg/m3に変更する以外は、比較例1と同様にして比較例20のフィルムを得た。得られた結果を表4に示す。
実施例1〜8において得られた積層ポリエチレン系フィルムと厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルムとをポリウレタン樹脂を接着剤として押出しラミネートした。得られたラミネート体を積層ポリエチレン系フィルムが内側になるような構成で製袋してバッグインボックス用内層袋を作製した。飲料水を充填し臭気の移行および輸送テストを実施した。いずれの実施例で得られた積層ポリエチレン系フィルムを用いた場合も、臭気の移行は少なく、輸送時の液漏れはなかった。また、積層ポリエチレン系フィルムの厚み斑が小さいのでラミネート工程や製袋工程の操業性に優れていた。
比較例1〜20において得られた積層ポリエチレン系フィルムを用いて、実施例9と同様の評価を行った。比較例1〜11および14〜20で得られた積層ポリエチレン系フィルムを用いたものは、臭気の移行が多かった。また、比較例6〜11、14および15で得られた積層ポリエチレン系フィルムを用いたものは、臭気の移行が多いうえにフィッシュアイが多いので外観が劣っていた。比較例12、13および16で得られた積層ポリエチレン系フィルムを用いたものは、厚み斑が大きいためにラミネート工程や製袋工程の操業性がよくなかった。また、比較例17,18および20で得られた積層ポリエチレン系フィルムを用いたものは、臭気の移行が多いうえに、耐ブロッキング性や滑り性が劣るために、ラミネート工程や製袋工程の操業性がよくなかった。また、比較例19で得られた積層ポリエチレン系フィルムを用いたものは、耐ピンホール性が劣るので輸送テストにおいて液漏れが発生した。
Claims (14)
- 中間層とその両面に面材層が積層されてなる少なくとも3層よりなるポリエチレン系樹脂積層フィルムにおいて、
中間層を構成するポリエチレン系樹脂の密度(A)が880〜930kg/m 3 で、面材層を構成するポリエチレン系樹脂の密度(B)が900〜960kg/m 3 であり、かつ(B)>(A)であり、
フィルムの幅方向の厚み斑が10%未満であり、
フィルム中の最大直径が0.1mm以上のフィッシュアイが10個/0.1m 2 以下であり、
ガスクロマトグラフィー質量分析法により定量される揮発性の炭素数12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量としてフィルム質量に対してn−テトラデカン換算量で2000ppm以下であることを特徴とする低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。 - 耐ピンホール性が8個以下、静摩擦係数が0.4以下、耐ブロッキング性が300mN以下であることを特徴とする請求項1に記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
- 中間層および面材層を構成するポリエチレン系樹脂が、エチレンと炭素数が3〜12のα−オレフィンの共重合体よりなる線状低密度ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
- 中間層の厚みが積層体の総厚みに対して40〜90%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
- 面材層を構成するポリエチレン系樹脂が有機滑剤100〜1000ppmおよび平均粒子径5〜20μmの球状粒子4000〜15000ppmが含んでなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
- 上記構成の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造工程で発生する回収樹脂を中間層に配合してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
- ガスクロマトグラフィー質量分析法で定量される揮発性の炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量が樹脂質量に対してn−テトラデカン量換算値で3000ppm以下であるポリエチレン系樹脂を主成分とする組成物を溶融し、中間層用とその両面の面材層用の少なくとも3層よりなるTスロット型多層押出しダイを用いてダイス出口の樹脂温度が150〜200℃で製膜するポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造方法であって、
上記中間層用のポリエチレン系樹脂の密度(A)が880〜930kg/m 3 であり、上記面材層用のポリエチレン系樹脂の密度(B)が900〜960kg/m 3 であり、かつ(B)>(A)であり、
上記ポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)が、1〜100g/10minの範囲にあり、
上記樹脂組成物が、減圧下、50℃以上で、軟化点未満の温度で加熱処理したものであることを特徴とする低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造方法。 - ダイスより押し出されたフィルムを冷却ロールに密着させるに際して、エアーノズル法、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法および真空チャンバー法を同時に作用してなることを特徴とする請求項7に記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造方法。
- 溶融された樹脂組成物を濾過精度が100μm以下であるフィルターで濾過し、ダイスより押し出すことを特徴とする請求項7または8に記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造方法。
- 濾過を2段で行うことを特徴とする請求項9に記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造方法。
- 上記構成の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造工程で発生する回収樹脂を中間層用のポリエチレン系樹脂に配合することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造方法。
- 上記回収樹脂中のガスクロマトグラフィー質量分析法で定量される揮発性の炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量が樹脂質量に対してn−テトラデカン量換算値で3000ppm以下であることを特徴とする請求項11に記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの製造方法。
- 請求項7〜12のいずれかに記載の製造方法により得られる低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
- 請求項1〜6,13のいずれかに記載の低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムを内層フィルムとした容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004256845A JP4752219B2 (ja) | 2004-09-03 | 2004-09-03 | 低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法並びに低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムよりなる容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004256845A JP4752219B2 (ja) | 2004-09-03 | 2004-09-03 | 低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法並びに低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムよりなる容器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006069096A JP2006069096A (ja) | 2006-03-16 |
JP4752219B2 true JP4752219B2 (ja) | 2011-08-17 |
Family
ID=36150205
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004256845A Expired - Fee Related JP4752219B2 (ja) | 2004-09-03 | 2004-09-03 | 低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法並びに低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムよりなる容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4752219B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4687206B2 (ja) * | 2005-04-07 | 2011-05-25 | 東洋紡績株式会社 | ヒートシール性ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 |
JP2011093543A (ja) * | 2009-10-28 | 2011-05-12 | Panasonic Corp | 梱包材料 |
JP6566287B2 (ja) * | 2013-04-23 | 2019-08-28 | 大日本印刷株式会社 | 薬液収納容器および薬液収納装置 |
JP6808957B2 (ja) * | 2016-03-30 | 2021-01-06 | 凸版印刷株式会社 | 包装材用フィルム、これを用いた包装材及び包装体 |
CN109130418A (zh) * | 2018-08-06 | 2019-01-04 | 厦门金德威包装有限公司 | 一种低气味pe膜配方及其制备方法 |
TWI840544B (zh) * | 2019-04-26 | 2024-05-01 | 日商東洋紡股份有限公司 | 聚乙烯系樹脂膜、及使用該聚乙烯系樹脂膜之積層體、包裝袋 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05194648A (ja) * | 1992-01-22 | 1993-08-03 | Mitsubishi Kasei Corp | 臭気の改良されたポリプロピレン樹脂 |
JP3832026B2 (ja) * | 1997-06-03 | 2006-10-11 | 住友化学株式会社 | Tダイキャストフィルムの製造法 |
JP2001342306A (ja) * | 2000-03-27 | 2001-12-14 | Japan Polyolefins Co Ltd | クリーン成形体およびその製造方法 |
JP2002114821A (ja) * | 2000-07-25 | 2002-04-16 | Sumitomo Chem Co Ltd | ポリエチレン系フィルムおよびポリエチレン系樹脂組成物 |
JP4722264B2 (ja) * | 2000-08-07 | 2011-07-13 | 日本ポリオレフィン株式会社 | パウチ |
JP2003064191A (ja) * | 2001-08-24 | 2003-03-05 | Japan Polyolefins Co Ltd | 手切れ性シーラントフィルム |
JP4255298B2 (ja) * | 2002-03-20 | 2009-04-15 | 株式会社ユポ・コーポレーション | 熱転写フィルム |
JP4366641B2 (ja) * | 2003-10-03 | 2009-11-18 | 東洋紡績株式会社 | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 |
JP2005126680A (ja) * | 2003-10-03 | 2005-05-19 | Toyobo Co Ltd | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 |
JP4337035B2 (ja) * | 2003-10-03 | 2009-09-30 | 東洋紡績株式会社 | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 |
JP2005126682A (ja) * | 2003-10-03 | 2005-05-19 | Toyobo Co Ltd | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 |
-
2004
- 2004-09-03 JP JP2004256845A patent/JP4752219B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006069096A (ja) | 2006-03-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2016006694A1 (ja) | エチレン-ビニルアルコール共重合体、樹脂組成物、及びこれらを用いた成形体 | |
EP2939948B1 (en) | Wrap film | |
DE112018006041T5 (de) | Harzzusammensetzung, Herstellungsverfahren dafür, Formkörper, Mehrschichtstruktur, Film, Herstellungsverfahren dafür, Aufdampffilm, Verpackungsmaterial, Vakuumverpackungsbeutel, Vakuumwärmeisolator, Thermoform-Behälter, blasgeformter Behälter, Brennstoffbehälter und flaschenförmiger Behälter | |
JP4609464B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂積層フィルム、およびその製造方法 | |
JP7306539B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂多層フィルム | |
JP4779822B2 (ja) | ポリエチレン系樹脂積層フィルム | |
JP4687206B2 (ja) | ヒートシール性ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 | |
JP4752219B2 (ja) | 低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法並びに低臭気性ポリエチレン系樹脂積層フィルムよりなる容器 | |
TWI436889B (zh) | 聚丙烯系樹脂積層薄膜及其製法 | |
JP4730061B2 (ja) | 低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム | |
JP7053157B2 (ja) | シール用溶融押出成形フィルムの製造方法 | |
JP2005126680A (ja) | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 | |
JP4687207B2 (ja) | ヒートシール性ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 | |
JP4337035B2 (ja) | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 | |
WO2020175608A1 (ja) | 包装用フィルム、フィルムバッグ、及びそれの製造方法 | |
JP2008114606A (ja) | ポリプロピレン系積層フィルム及びそれを用いた包装体 | |
JP4240076B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂積層フィルム、およびその製造方法 | |
JP2005126682A (ja) | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 | |
EP4431277A1 (en) | Laminated sealant film | |
JP2008162160A (ja) | ポリエチレン系樹脂積層フィルム | |
JP2005179452A (ja) | ヒートシール性線状低密度ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 | |
JP4366641B2 (ja) | ヒートシール性線状低密度ポリエチレン系フィルムおよびその製造方法 | |
KR101172563B1 (ko) | 폴리에틸렌계 수지 적층 필름 | |
CN100406502C (zh) | 改进薄膜产品粘着性能的方法 | |
JP2005178250A (ja) | ヒートシール性ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070808 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100219 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100304 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100409 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20100409 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110426 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110509 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140603 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140603 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |