JP4687206B2 - ヒートシール性ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記の方法はインフレーション法や押出しラミ法で製膜されておりフィルムの厚み斑が大きく、フィルムをロール状にして保存した場合に起こる巻き締まり現象により発生する張力が厚み斑によりフィルムの幅方向で変動しフィルムの部分たるみ等の変形が発生する。そのため、厚み斑の大きなフィルムの場合は、例えば、ラミネート素材として使用した場合はラミネート加工時にたるみ等の変形により皺の発生や空気の巻き込みが起こり加工操業性が低下し、かつ得られる製品の皺、透明斑等の外観不良やラミネート強度変動等に繋がるという課題を有している。また、フィッシュアイが多く、これらの点でも市場の要求を満たしていない。例えば、ポリマー編集委員会著、ポリマー辞典、大成社、平成12年、増刷6版、P337等に、フィッシュアイについての定義が書かれている。フィッシュアイとは、フィルムまたはシート状の製品中に生じる小さな球状の塊をいう。魚の眼のような透明性をもつものが多いことからこのような名前が付けられた。成形材料の混練不足から来る未溶融の塊り、原料の一部がゲル化したための塊り、成形中の材料の部分的劣化による塊り、異物を核としたものなどいろいろなものがある。ここでいうフィッシュアイとは、異物を核にしたものは除外する。異物とは、例えは、セルロース、塵、金属片、樹脂の炭化物、種類の異なるプラスチック、糸屑、紙切れ等がある。
インフレーション法ではバルーン形成の安定化のために高い押出し粘度が必要であり一般に低温で押出し成型がなされるので低臭気の成型体を得る点では有利であるがフィルムの厚み斑が大きくなるという課題を有している。一方、Tダイ法では低温での高溶融粘度押出しをすると流動斑が出やすくなり厚み斑が大きくなることに繋がるので上記のインフレーション法での製膜温度である150〜220℃に対して210〜260℃で押出す必要がある。高温押出し成型をすると原料樹脂の劣化が増大し臭気が悪化したりフィッシュアイが増大するといわれている。そのために、酸化防止剤の添加がTダイ法では必須とされてきた。
すなわち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂を構成成分とするヒートシール性フィルムであり、フィルムの幅方向の厚み斑が10%以内であり、明細書中に記載したガスクロマトグラフィー質量分析法で定量されるフィルム中の揮発性の炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量がフィルム質量に対してn−テトラデカン量換算値で2000ppm以下であり、かつフィルム中の最大直径が0.1mm以上のフィッシュアイが10個/0.1m 2 以下であることを特徴とするヒートシール性ポリプロピレン系フィルムである。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン構造を主構成成分としたものであれば限定はなく、ホモポリマー、共重合ポリマーおよびそれらの混合物のいずれであっても構わない。また、共重合ポリマーは、ランダム、ブロックおよびグラフトのいずれでも構わない。共重合ポリマーの場合の共重合成分も限定はなくエチレン、ブテン、ヘプテン、ヘキセン、オクテンおよびメチルペンテン等の低級α―オレフィン、ブタジエン、イソプレン等のジエン類等が挙げられる。共重合ポリマーの場合は該成分との二元系であっても、三元系以上の多元系であっても構わない。また、立体規則性に関しても限定はなくアイソタクチック、シンジオタクチック、アタクッチクのいずれでも構わない。市場の要求特性に合わせて適宜選択すれば良い。密度は870〜912kg/m3が好ましい。さらには、密度は、880〜905kg/m3が好ましい。密度が870kg/m3未満では剛性、耐熱性および耐ブロッキング性が低下するので好ましくない。逆に、密度が912kg/m3超えた場合は低温ヒートシール性が悪化するので好ましくない。また、メルトマスフローレート(以下、MFRと記す)は、1〜100g/10分(230℃)の範囲内のものを用いるのが好ましい。2〜80g/10分(230℃)の範囲のものがより好ましく、さらに好ましくは、2〜50g/10分(230℃)の範囲内である。MFRが1g/10分(230℃)未満では、フィルム成型において、溶融粘度が高くなり、押出し機のモーターにかかる負荷が大きくなると共に、フィルムの厚み精度が低下するので好ましくない。逆に、100g/10分(230℃)を超えと溶融粘度が低くなり過ぎ製膜が困難になる上、得られたフィルムの力学特性が悪化するので好ましくない。
[フィルム中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法]
(1)試料のセット
フィルム試料2〜3mgを精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブ(Chrompack社製、内径3mm)に入れ、TCT(GLサイエンス社製:CP−4020)のディソープションオーブンにセットする。
(2)試料の加熱と揮発成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入
上記方法でサンプルチューブがセットされたディソープションオーブンを80℃で10分加熱しフィルム中の揮発成分を揮発させる。発生した揮発成分をキャリアーガス(He:流量14cc/分)によりー100℃に冷却されたコールドトラップに導入する。10分後にコールドトラップを一気に250℃に加熱し凝縮された揮発成分をガスクロマトグラフィー質量分析計へ導入する。
(3)ガスクロマトグラフィー質量分析
1)ガスクロ装置:HP−6890(Agilent社製)
2)質量分析装置:HP−5973(Agilent社製)
3)ガスクロカラム:キャピラリーカラムHP−1MS(直径0.25mm、長さ3
0m、ヂメチルポリシロキサン膜厚1.0μm)
4)導入口温度:120℃
5)ガスクロ条件:キャリアーガス流量0.5cc/分、カラム温度は50℃で2分
間保持し、250℃まで15℃/分で昇温、280℃で10分間保持
6)ガスクロピークの同定:質量分析により行う
(4)揮発性成分の定量
下記方法でn−テトラデカンの検量線を作成し、n−テトラカン換算量で表示する。該定量は全イオン検出モードで行う。
n−テトラデカン38.6mgをn−へキサン1000ccに溶解した溶液を標準溶液とする。該標準溶液10マイクロリッターをTenax吸着管[上記サンプルチューブにTenaxTA(20/35メッシュ:GLサイエンス社製)を0.1g充填したもの、充填の折にはTenaxTAの上下にガラスウールを充填した]にマイクロシリンジを用いて注入しTenaxに吸着させる。該Tenax吸着管を上記のディソープションオーブンにセットし、上記と同じ方法でガスクロマトグラフィー質量分析を行い検量線を作成する。
[樹脂中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法]
(1)サンプル樹脂の粉砕
樹脂1gを冷凍粉砕機(SPEC 6700 Freezer/Mill)を用いて
液体窒素で冷却し冷凍粉砕を行う。粉砕は強度MAXで10分間行う。
(2)試料のセット
上記粉砕試料約10mgを精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブ(Chrompack社製、内径3mm)に入れ、TCT(GLサイエンス社製:CP−4020)のディソープションオーブンにセットする。サンプルチューブへの試料の充填の折には試料の上下にガラスウールを充填した。
(3)試料の加熱と揮発成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入、ガスクロマトグラフィー質量分析および揮発成分の定量
フィルム中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法と同様の方法で行う。
なお、該樹脂中揮発成分量の限界値の方が、フィルム中の揮発成分量の限界値より大きくなっているが、測定に供するサンプルの形状が異なり、その表面積に大きな差があるために揮発性成分の揮発量に差が生じたために引き起こされた現象であると推察している。すなわち、両測定値が等価ではないことに起因していると推察している。
このフィルムの臭気特性と原料樹脂の品質との関係は、従来公知の官能評価に替わる精度の高い上記の定量方法を確立することにより初めて成し得たことである。
さらに上記樹脂の溶融押し出しにおけるダイス出口の樹脂温度が150〜200℃で製膜するのが好ましい。
一方、近年、上記のコートハンガーダイの課題を克服するための方策としてTスロット型ダイが注目されている。該Tスロット型ダイは、例えば、Gary D.Oliver、「最新の共押出技術と市場同行」、コンバーテック、1996年12月、第24巻、第12号、P14〜19や小山、「機能性多層フィルムの押出技術」、プラスチックエージ、2003年、6月、第49巻、第595号、P93〜97等に記載されているように、以下の特徴を有している。特徴1として、Tスリット型ダイのアスペクト比を大きくした直線状のマニホールドになっており、それにより、厚みの均一性を向上させることができる。さらに樹脂が流れる面に力が均一にかかるのでクラムシェルが発生しない。特徴2として、プレランドを2段階にしてその段差部分の形状を曲線状に作ることにより、ダイス全体でバランスの取れた均一の流れになるような設計がなされており、溶融樹脂の各種粘度に対応できるように改良されている。すなわち、図1に例示するごとく、Tスロットダイでは幅方向に直線状のマニホールド、2段の傾斜ランドとリップよりなる3段のスリット流路有する構造となっている。コートハンガーダイとは異なりプレランドが傾斜タイプの2段方式になっており、かつ樹脂流が供給される中央部の第一段目のプレランド部はコートハンガーダイとは逆に、中央部の方がランド長が短くなっており上記課題が改善されている。さらに、スリット流路幅が3段分割されており整流効果も向上しており、Tダイ全体の圧力斑や歪が低減できるように改善されており、厚み斑の低減に繋がる。
すなわち、コートハンガーダイは、図2に例示するごとく、Tダイの幅方向にハンガー状に傾斜するマニホールドと引き続く2段のスリット流路(プレランドとリップ)とよりなる。従って、マニホールドに溶融樹脂が流入すると、プレランド部に樹脂流が衝突し圧力が調整されるが、樹脂流が供給される最も圧力が高くなる中央部のプレランド長が分流により樹脂流が供給される端部のプレランド長より長くなっているため、このプレランド長さによる圧力上昇が加味されることにより、中央部と端部の圧力差がより増長され、Tダイ全体の圧力斑や歪の増大が起こり、このことが吐出時の厚み斑の増大に繋がる。さらに、スリット流路幅の分割が2段であるため、整流効果が充分でない。その結果、一般にWパターンと呼ばれダイ出口で早く流れる部分と遅くなる部分が発生し、均一な流れにならない問題に繋がる。それが厚み斑や熱履歴の違いによるフィッシュアイの原因になっていたこと考えられる。
(1)試料のセット
フィルム試料2〜3mgを精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブ(Chrompack社製、内径3mm)に入れ、TCT(GLサイエンス社製:CP−4020)のディソープションオーブンにセットした。
(2)試料の加熱と揮発成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入
上記方法でサンプルチューブがセットされたディソープションオーブンを80℃で10分加熱しフィルム中の揮発成分を揮発させる。発生した揮発成分をキャリアーガス(He:流量14cc/分)によりー100℃に冷却されたコールドトラップに導入した。10分後にコールドトラップを一気に250℃に加熱し凝縮された揮発成分をガスクロマトグラフィー質量分析計へ導入した。
(3)ガスクロマトグラフィー質量分析
1)ガスクロ装置:HP−6890(Agilent社製)
2)質量分析装置:HP−5973(Agilent社製)
3)ガスクロカラム:キャピラリーカラムHP−1MS(直径0.25mm、
長さ30m、ヂメチルポリシロキサン膜厚1.0μm)
4)導入口温度:120℃
5)ガスクロ条件:キャリアーガス流量0.5cc/分、カラム温度は50℃で2分
間保持し、250℃まで15℃/分で昇温、280℃で10分間保持
6)ガスクロピークの同定:質量分析により行った
(4)揮発性成分の定量
下記方法でn−テトラデカンの検量線を作成し、n−テトラデカン換算量で表示した。該定量は全イオン検出モードで行った。
n−テトラデカン38.6mgをn−へキサン1000ccに溶解した溶液を標準溶液とした。該標準溶液10マイクロリッターをTenax吸着管[上記サンプルチューブにTenaxTA(20/35メッシュ:GLサイエンス社製)を0.1g充填したもの、充填の折にはTenaxTAの上下にガラスウールを充填した]にマイクロシリンジを用いて注入しTenaxに吸着させた。該Tenax吸着管を上記のディソープションオーブンにセットし、上記と同じ方法でガスクロマトグラフィー質量分析を行い検量線を作成した。
フィルムを10cm4方の正方形に切り取り、これを100枚重ね、これを内容量1リットルの蓋つきガラス瓶に入れた。このガラス瓶を70℃に保った加熱オーブン中に2時間(放置し、これを取り出し直ちにパネラーにより官能評価を行った。
判定は以下の基準で行った。
良いもの:◎
やや良いもの:〇
やや悪いもの:△
悪いもの:×
成型されたフィルムを流れ方向(以下、MD方向と記する)に33.3cm×流れ方向に対して横方向(以下、TD方向と記する)30cm、両端20cm外して、4ヶ所サンプルとして切り取る。フィルムの下から蛍光灯を照射した板の上に置き、透過光で目視により観察し、0.1mm以上のフィッシュアイを計測する。計測は切り取ったサンプル3枚の平均値でフィッシュアイ個数を求め、0.1m2当たりの個数に換算する。該サンプルが1枚でも0.1mm以上のフィッシュアイ個数が8個以上であれば、予備の1枚も計測し、フィルムサンプル4枚の平均値を求め、0.1m2当たりの個数に換算する。次に、カウントしたフィッシュアイを液体窒素中に浸して、硬くした状態で、剃刀で半分に切り、そのフィッシュアイの断面を光学顕微鏡で、50〜300倍の倍率で観察することにより、核となる物質が無ければ、例えば、セルロースなどを代表とする異物が無ければ、それは未溶融の塊り、原料の一部がゲル化したための塊り、成形中の材料の部分的劣化による塊り等のゲル起因のフィッシュアイと判定する。核がある場合は、異物起因のフィッシュアイと判定しカウントから除外する。
JIS K7130:1999年に準じて評価する。一部方法が異なる部分は以下に詳細を説明する。測定する環境は、23℃×50%RH室内で行う。測定は、フィルムの両端5cmづつをカットし、該両端がカットされたサンプルを幅方向に40等分し測定位置
に印を付ける。該印の位置で印の部分を外した場所についてダイヤルゲージにて行う。計測はフィルムロールMD方向に15cm、TD方向に全巾、表層部からしわのない部分から2巻き剥いだ部分と巻き芯部からしわの無い部分から2巻きほど剥いだ部分の2ヶ所で、それぞれ3サンプルを取り、その6サンプルの平均値を求める。使用する計測器は、最小読み取り値が0.001mmとする。精度は、JIS B7503:1997年に規定してあるダイヤルゲージと同等以上のものとする。
厚み斑は下式で求める。
厚み斑(%)=(最大厚みー最小厚み)÷6サンプルの平均値×100
(1)サンプル樹脂の粉砕
樹脂1gを冷凍粉砕機(SPEC 6700 Freezer/Mill)を用いて
液体窒素で冷却し冷凍粉砕を行う。粉砕は強度MAXで10分間行う。
(2)試料のセット
上記粉砕試料約10mgを精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブ(Chrompack社製、内径3mm)に入れ、TCT(GLサイエンス社製:CP−4020)のディソープションオーブンにセットする。サンプルチューブへの試料の充填の折には試料の上下にガラスウールを充填した。
(3)試料の加熱と揮発成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入、ガスクロマトグラフィー質量分析および揮発成分の定量
フィルム中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法と同様の方法で行った。
JIS B8356:1976年に準じて計測する。フィルターメディアを透過した最大グラスビーズ粒径を濾過精度(μm)とする。
本発明におけるダイス出口の樹脂温度は精度が±5℃以内の赤外線式温度計を用いて測定した。Tダイの幅方向等分した5箇所をn=3で計測し、その平均値を求める。チノー社製ポリエチレンフィルム用IR−CAM型を使用し、溶融樹脂から10〜15cmの位置で計測した。
JIS K 7210:1999年に準じて、評価条件は、2.16kg、190℃で原料樹脂の粘度を評価した。
JIS K 7112:1999年に準じて、密度を評価した。
分子中にフェノール骨格とホスファイト骨格を有した酸化防止剤700ppmが添加され、揮発成分量が5500ppmで、樹脂密度899kg/m3およびMFR3g/10minのプロピレンーエチレンブロック共重合体樹脂(EPR:13%)を減圧装置の付いた回転式の乾燥機に仕込み、13hPaの減圧下、105℃で48時間加熱処理して得た揮発成分量が240ppmに低減されたポリプロピレン系樹脂をスクリュー直径250mmの3ステージ型単軸押出し機を使用し、幅3000mmで、プレランドを2段階にし、かつ用溶融樹脂の流れが均一になるように段差部分の形状を曲線状としてダイス内の流れが均一になるように設計したTスロット型ダイを用いて、ダイス出口の樹脂温度160℃で押出した。リップギャップは0.8mmとした。溶融樹脂はステンレス鋼繊維を均一に積層焼結した形式の濾過精度100μmおよび50μmのフィルターを直列に連結した2段濾過法で濾過しダイスに供給した。ダイスからでてきた溶融樹脂シートを30℃の冷却ロールで冷却し、厚み30μmのポリプロピレン系フィルムを得た。原料のポリプロピレン系樹脂の乾燥は窒素ガス置換して行った。また、上記押出し機への供給用サイロやホッパーも窒素ガス置換をした。冷却ロールでの冷却に際しては、エアーノズルで冷却ロール上のフィルムの両端を固定し、エアーナイフで溶融樹脂シートの全幅の冷却ロールへの押さえつけを行い、同時に真空チャンバーを作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止した。エアーノズルは、両端ともに2基ずつをフィルム進行方向に直列に設置した。また、エアーナイフの風向きは押出されたシートの進行方向に対して45度とした。また、真空チャンバーの吸引口の方向を押出されたシートの進行方向に合わせた。さらに、ダイス周りはシートで囲い、溶融樹脂シートに風が当たらないようした。製膜は100m/分の速度で実施した。得られた結果を表1に示す。
実施例1の方法において、それぞれポリプロピレン系樹脂の減圧下での加熱時間を24、12および6時間に短縮して得た揮発成分量が1000、2100および2900ppmである樹脂を原料とするように変更する以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4のフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
実施例1〜3の方法において、ダイス出口の樹脂温度を180℃に変更する以外は、実施例1〜3と同様にしてそれぞれ実施例5〜7のフィルムを得た。得られた結果を表1に示す。
実施例1の方法において、ダイス出口の樹脂温度を160℃、フィルム厚みを50μmに変更する以外は、実施例1と同様にして実施例8のポリプロピレン系フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本実施例で用いた減圧加熱処理後の原料樹脂中の揮発成分量は220ppmであった。
通常のポリプロピレン系樹脂に添加されている酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤等の安定剤や滑り性向上等の機能性付与のための添加剤は全く添加されていない樹脂密度899kg/m3およびMFR3g/10minのポリプロピレン系樹脂を実施例1と同様に減圧下で加熱処理したプロピレンーエチレンブロック共重合体ポリプロピレン樹脂をスクリュー直径250mmの3ステージ型単軸押出し機を使用し、幅3000mmのTスロット型ダイを用いて、ダイス出口の樹脂温度180℃で押出した。溶融樹脂はステンレス鋼繊維を均一に積層焼結した形式の濾過精度100μmおよび50μmのフィルターを直列に連結した2段濾過法で濾過しダイスに供給した。ダイスからでてきた溶融樹脂シートを30℃の冷却ロールで冷却し、厚み30μmのポリプロピレン系フィルムを得た。原料のポリプロピレン系樹脂の乾燥は窒素ガス置換して行った。また、上記押出し機への供給用サイロやホッパーも窒素ガス置換をした。冷却ロールでの冷却に際しては、エアーノズルで冷却ロール上のフィルムの両端を固定し、エアーナイフで溶融樹脂シートの全幅の冷却ロールへの押さえつけを行い、同時に真空チャンバーを作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止した。また、ダイス周りはシートで囲い、溶融樹脂シートに風が当たらないようした。製膜は100m/分の速度で実施した。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
(実施例10)
実施例9の方法において、樹脂密度を899kg/m3、押出し温度を170℃、フィルム厚みを50μmに変更する以外は、実施例1と同様にして実施例10のポリプロピレン系フィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1の方法において、ポリプロピレン系樹脂の減圧下での加熱をすることなく、樹脂中の揮発成分量が5000ppmである市販の樹脂をそのまま原料として用いるように変更する以外は、実施例1と同様にして比較例1のフィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
実施例1の方法において、ポリプロピレン系樹脂の減圧下での加熱処理を常圧下で行うように変更した。樹脂中の揮発成分量は3500ppmであった。該樹脂を原料を用いるように変更する以外は、実施例1と同様にして比較例2のフィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
実施例1で用いた揮発成分量が5500ppmであるポリプロピレン系樹脂を、ギアーポンプ式2軸押出機を用い以下の条件で溶融押出した。スクリュー径69mm、スクリュー全長L/D=14、ベント位置はホッパー側からL/D=11、スクリュー回転数400rpm、ギアーポンプ部樹脂温度180℃、押出し量340kg/hr、ベントの吸引圧120hPaで運転し、溶融物は水中カット法によりペレットとした。得られた樹脂中の揮発成分量は3000ppmであった。該樹脂を原料として用いるように変更する以外は、実施例6と同様にして比較例3のポリプロピレン系フィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
比較例1の方法において、ダイス出口の樹脂温度を180℃に変更する以外は、比較例1と同様の方法で比較例4のポリプロピレン系フィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
実施例1〜3および比較例2の方法において、ダイス出口の樹脂温度を230℃に変更する以外は、実施例1〜3および比較例2と同様の方法で比較例5〜8のポリプロピレン系フィルムを得た。得られた結果を表2に示す。
実施例1、3および比較例2の方法において、ダイス出口の樹脂温度を250℃に変更する以外は、実施例1、3および比較例2と同様の方法で比較例9〜11のポリプロピレン系フィルムを得た。得られた結果を表3に示す。
実施例3の方法において、ダイス出口の樹脂温度を140℃に変更する以外は、実施例3と同様の方法で比較例12のポリプロピレン系フィルムを得た。得られた結果を表3に示す。
実施例7、比較例7および10の方法において、押出し機をシングルステージ型に、フィルター濾過精度を200μm1段濾過に、ダイスをコートハンガー型に、冷却ロールとの密着をエアーナイフのみに、ダイス周りの囲いを無くすように変更する以外は、実施例7、比較例7および10と同様にして比較例13〜15のポリプロピレン系フィルムを得た。得られた結果を表3に示す。
空冷インフレーション方式、プラコー製押出し機(スクリュー直径55mm)、ダイス出口の樹脂温度160℃、フィルム幅300mm、ブロー比2.7で単層押出しし、フィルム成型した。使用樹脂は、MFRを2g/10minに変更する以外は実施例2と同じものを用いた。得られた結果を表3に示す。
Claims (8)
- ポリプロピレン系樹脂を構成成分とするヒートシール性フィルムであり、フィルムの幅方向の厚み斑が10%以内であり、以下に記載したガスクロマトグラフィー質量分析法で定量されるフィルム中の揮発性の炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量がフィルム質量に対してn−テトラデカン量換算値で2000ppm以下であり、かつフィルム中の最大直径が0.1mm以上のフィッシュアイが10個/0.1m 2 以下であることを特徴とするヒートシール性ポリプロピレン系フィルム。
[フィルム中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法]
(1)試料のセット
フィルム試料を精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブに入れ、TCTのディソープションオーブンにセットする。
(2)試料の加熱と揮発成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入
上記方法でサンプルチューブがセットされたディソープションオーブンを80℃で10分加熱しフィルム中の揮発成分を揮発させる。発生した揮発成分をキャリアーガスにより−100℃に冷却されたコールドトラップに導入する。10分後にコールドトラップを一気に250℃に加熱し凝縮された揮発成分をガスクロマトグラフィー質量分析計へ導入する。
(3)ガスクロマトグラフィー質量分析
1)ガスクロカラム:キャピラリーカラム(直径0.25mm、
長さ30m、ジメチルポリシロキサン膜厚1.0μm)
2)導入口温度:120℃
3)ガスクロ条件:キャリアーガス流量0.5cc/分、カラム温度は50℃で2分
間保持し、250℃まで15℃/分で昇温、280℃で10分間保持
4)ガスクロピークの同定:質量分析による
(4)揮発性成分の定量
下記方法でn−テトラデカンの検量線を作成し、n−テトラデカン換算量で表示する。該定量は全イオン検出モードで行う。
n−テトラデカンをn−へキサンに溶解した溶液を標準溶液とする。該標準溶液をTenax吸着管にマイクロシリンジを用いて注入しTenaxに吸着させる。該Tenax吸着管を上記のディソープションオーブンにセットし、上記と同じ方法でガスクロマトグラフィー質量分析を行い検量線を作成する。 - 以下に記載した樹脂中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法で定量される揮発性の炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量が樹脂重量に対してn−テトラデカン量換算値で3000ppm以下であるポリプロピレン系樹脂をTスロット型ダイを用い、ダイス出口の樹脂温度が150〜200℃で製膜することを特徴とするヒートシール性ポリプロピレン系フィルムの製造方法。
[樹脂中の揮発性成分のガスクロマトグラフィー質量分析法]
(1)サンプル樹脂の粉砕
樹脂を冷凍粉砕機を用いて液体窒素で冷却し冷凍粉砕を行う。
(2)試料のセット
上記粉砕試料を精秤し、サーマル ディソープション コールドトラップ インジェクター(TCT)用サンプルチューブに入れ、TCTのディソープションオーブンにセットする。サンプルチューブへの試料の充填の折には試料の上下にガラスウールを充填する。
(3)試料の加熱と揮発成分のガスクロマトグラフィー質量分析計への導入
上記方法でサンプルチューブがセットされたディソープションオーブンを80℃で10分加熱しフィルム中の揮発成分を揮発させる。発生した揮発成分をキャリアーガスにより−100℃に冷却されたコールドトラップに導入する。10分後にコールドトラップを一気に250℃に加熱し凝縮された揮発成分をガスクロマトグラフィー質量分析計へ導入する。
(4)ガスクロマトグラフィー質量分析
1)ガスクロカラム:キャピラリーカラム(直径0.25mm、
長さ30m、ジメチルポリシロキサン膜厚1.0μm)
2)導入口温度:120℃
3)ガスクロ条件:キャリアーガス流量0.5cc/分、カラム温度は50℃で2分
間保持し、250℃まで15℃/分で昇温、280℃で10分間保持
4)ガスクロピークの同定:質量分析による
(5)揮発性成分の定量
下記方法でn−テトラデカンの検量線を作成し、n−テトラデカン換算量で表示する。該定量は全イオン検出モードで行う。
n−テトラデカンをn−へキサンに溶解した溶液を標準溶液とする。該標準溶液をTenax吸着管にマイクロシリンジを用いて注入しTenaxに吸着させる。該Tenax吸着管を上記のディソープションオーブンにセットし、上記と同じ方法でガスクロマトグラフィー質量分析を行い検量線を作成する。 - Tスロット型ダイより押し出されたフィルムを冷却ロールに密着させるに際して、エアーノズル法、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法および真空チャンバー法を同時に作用してなることを特徴とする請求項2に記載のヒートシール性ポリプロピレン系フィルムの製造方法。
- 溶融押し出し工程で溶融された樹脂を濾過精度が100μm以下であるフィルターで濾過することを特徴とする請求項2または3に記載のヒートシール性ポリプロピレン系フィルムの製造方法。
- 濾過を2段で行うことを特徴とする請求項4に記載のヒートシール性ポリプロピレン系フィルムの製造方法。
- ポリプロピレン系樹脂を減圧下、50℃以上で、軟化点未満の温度で加熱処理してなることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のヒートシール性ポリプロピレン系フィルムの製造方法。
- 減圧度が13hPa以下であることを特徴とする請求項6に記載のヒートシール性ポリプロピレン系フィルムの製造方法。
- 加熱処理前のポリプロピレン系樹脂が上記ガスクロマトグラフィー質量分析法で定量される樹脂中の揮発性の炭素数が12から16のパラフィンおよびオレフィンの総量が樹脂質量に対してn−テトラデカン量換算値で3000ppmを超えるものであることを特徴とする請求項6または7に記載のヒートシール性ポリプロピレン系フィルムの製造方法。
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