JP4730061B2 - 低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム - Google Patents

低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム Download PDF

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Description

本発明は、低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムに関する。より詳しくは、ヒートシール性、耐ブロッキング性、柔軟性および耐ピンホール性に優れ、かつフィシュアイや厚み斑が少なく、該フィルムをロール状に巻く際の巻き特性に優れており、巻き皺の発生が抑制された低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムに関するものである。
また、さらに優れた滑り性を付与した低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムに関するものである。
ポリエチレン系樹脂フィルムは、ヒートシール性、耐衝撃性に優れており、食品や日用雑貨などの包装や容器に幅広く使用されている。
近年、利便性、省資源、環境に対する負荷低減などによりフィルムを用いた包装または容器が広い分野で使用されてきている。軽量、廃棄処理が容易、流通コストが安価であることが利点である。
低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂フィルムにおいて、ヒートシール性、耐ブロッキング性のバランスが取れたポリエチレン系フィルムが開示されている。(例えば、特許文献1、2等参照)。
特許3291969公報 特開2004−35730公報
更に、消費者の安全指向の強まりと共に該ヒートシール性ポリエチレン系樹脂フィルムにおいてもフィルム中に含まれる異物に対する市場要求が厳しくなってきている。例えば、透明包装袋の内層として使用した場合、内容物の色や形態によりフィルムの製品中に生じる小さな球状形状等の塊であるフィッシュアイが異物として目立つことがある。特に、該フィッシュアイは、主としてポリマーの不溶物やゲル状物等よりなるので、異物含有量の低減方策として有効である製膜工程でフィルターを用いた濾過による方法では、該フィシュアイを形成する成分が濾過時に変形をしてフィルターを通過する場合があり、有効な手段に成りえない場合がある。
また、近年、ヒートシール性ポリエチレン系樹脂フィルムについても、そのフィルムの厚み斑に関する市場要求の厳しさが増してきている。フィルムの厚み斑が大きくなると、フィルムをロール状にして保存した場合に起こる巻き締まり現象により、フィルムの厚み斑がフィルムのたるみ等の問題を引き起こす。そのため、厚み斑の大きなフィルムの場合は、例えば、ラミネート素材として使用した場合、ラミネート加工時にたるみ等の変形により皺の発生や空気の巻き込みのため加工操業性が低下し、かつ得られる製品の皺、透明斑等の外観不良やラミネート強度変動等に繋がる可能性がある。
前記の特許文献において開示されている積層ポリエチレン系無延伸フィルムは、ヒートシール性と耐ブロッキング性のバランスにおいて、高度な市場要求に答えられるが、上記のフィシュアイや厚み斑に関して、近年の高度な市場要求に対し、十分に満たせない場合があり、その改善が強く嘱望されている。
低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂フィルムの用途の一つに、低温重量物の包装袋用シール材料としての展開がある。該低温流通される重量物包装用素材としても上記の市場要求が強くなってきている。特に、近年は、食品分野や飲料への展開が増大してきており、該品質に関して、より高度な要求が強くなってきている。
上記の市場要求を満たすには、フィルムの柔軟性を増す必要があるが、柔軟性を増すことによりフィルムをロール状に巻き取る工程で皺が入りやすい。例えば、ラミネート加工を行った場合、フィルムの皺が、そのままラミネート製品の皺に繋がる。その部分は見栄えが悪く、商品価値が無いため、皺部分は廃棄処分にせざるを得ない。近年、コスト削減の強まりとともに、加工ロスに対する市場要求が厳しくなってきており、これらの改善が強く嘱望されている。
本発明は従来技術の課題を背景としてなされたものであり、ヒートシール性、耐ブロッキング性、柔軟性および耐ピンホール性が優れている上に、フィシュアイや厚み斑が少なく、しかもロールへ巻き取る際の巻き皺が少ない低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、少なくてもラミネート層(A)およびシール層(B)よりなるポリエチレン系樹脂積層フィルムにおいて、ラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が910〜930kg/m3、シール層(B)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が900〜920kg/m3であり、かつラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度がシール層(B)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度よりも大きく、さらにフィルム全層を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が905〜925kg/m3であり、少なくともラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂組成物が、密度900〜970kg/m3で、かつ分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.5である密度の異なるポリエチレン樹脂を2種以上配合してなることを同時に満たすことを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムである。
この場合において、シール層(B)に平均粒径5〜13μmの球状無機粒子を0.5〜1.5質量%および平均粒径1〜6μmの非球状無機粒子を0.1〜1.0質量%配合してなることが好ましい。
また、この場合において、ラミネート層(A)に平均粒径5〜13μmの球状無機粒子を0.1〜0.8質量%配合することが好ましい。
また、この場合において、ラミネート層(A)およびシール層(B)の間に平均密度が900〜920kg/m3のポリエチレン樹脂よりなる中間層(C)を設けることが好ましい。
さらにまた、この場合において、各層のポリエチレン系樹脂の平均密度がラミネート層(A)>中間層(C)≧シール層(B)であり、かつフィルム全層の平均密度が905〜925kg/m3であることが好ましい。
さらにまた、この場合において、中間層(C)に回収樹脂を10〜30質量%配合してなることが好ましい。
さらにまた、この場合において、少なくともシール層(B)に、115℃未満の融点を持つ有機滑剤を100〜500ppmと115℃以上の融点を持つ有機滑剤を500〜1500ppm配合することが好ましい。
さらにまた、この場合において、明細書中に記載した方法で測定される耐ピンホール性評価におけるピンホール数が5個以下であることが好ましい。
さらにまた、この場合において、明細書中に記載した方法で測定されるフィシュアイが5個/1000cm2以下であることが好ましい。
さらにまた、この場合において、フィルムの幅方向の厚み斑が7%以内であることが好 ましい。
さらにまた、この場合において、低温重量物の包装袋用シール材料として用いることが 好ましい。
本発明の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは、ヒートシール性、耐ブロッキング性、柔軟性および耐ピンホール性が優れている上に、フィシュアイや厚み斑が少なく、しかもロールへ巻き取る際の巻き皺が少ないので、食品や日用雑貨等の低温重量物の包装袋用シール材料として好適に使用することができる。特にロックアイス等の低温重量物の包装袋用シール材料として好適に用いることができる。
また、さらに優れた滑り性を有するため、ロックアイス等の低温重量物の包装袋用シール材料としてさらに好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、前記の特許文献1等において開示されているポリエチレン系フィルムにおいて、該方法の有するヒートシール性、耐ブロッキング性を維持した上で、前記の課題を解決する方法について鋭意検討し本発明を完成した。例えば、低温重量物の包装袋用シール材料として用いる場合に必要な特性である柔軟性を付与した場合に引き起こされるフィルムをロールへ巻き取る際の巻き皺の発生を抑制し、柔軟性とフィルムの巻き取り性とのバランスを取るには、フィルム全層の平均密度を最適化することが重要である。また、フィシュアイの生成に対し原料であるポリエチレン樹脂中の高分子量体が大きく寄与しており、分子量分布の狭いポリエチレン樹脂を使用することにより、効果的にフィシュアイの生成を抑制することが可能であることを見出したことと、該分子量分布の狭いポリエチレン樹脂を使用することにより引き起こされる課題である該樹脂の溶融流動性の低下によるフィルムの厚み斑等の悪化を密度の異なる2種類以上のポリエチレン樹脂を配合することにより改善できることを見出した。これらの知見に基づき、従来公知の特徴を維持した上で、フィシュアイや厚み斑が少なく、しかもロールへ巻き取る際の巻き皺が少ない低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムが得られる本発明方法を完成した。
すなわち、本発明の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは、少なくともラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が910〜930kg/m3、シール層(B)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が900〜920kg/m3であり、かつラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度がシール層(B)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度も大きく、さらにフィルム全層を構成するポリエチレンの平均密度が905〜925kg/m3であり、少なくともラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂組成物が、密度900〜970kg/m3で、分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.5である密度の異なるポリエチレン樹脂を2種以上配合してなることを同時に満たすことが重要である。
本発明においては、上記ラミネート層(A)とシール層(B)の間に平均密度900〜920kg/m3のポリエチレン樹脂よりなる中間層(C)を設けることが好ましい。該対応により、積層フィルムの各種特性のバランスがより取りやすくなるので好ましい。また、この場合において、各層のポリエチレン系樹脂の平均密度がラミネート層(A)>中間層(C)≧シール層(B)であり、かつフィルム全層の平均密度が905〜925kg/m3であることが好ましい。
本発明においては、上記層構成を満たすことにより、例えば、低温重量物の包装袋用シール材料として重要な特性であるフィルムの柔軟性、低温ヒートシール性、耐ブロッキング性、耐破袋性およびフィルムの取り扱い性等に影響する各種特性のバランスを取ることができ、かつフィシュアイの生成抑制および厚み斑低減が可能となる。
本発明においては、少なくともラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂組成物が、密度900〜970kg/m3で、かつ分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.5である密度の異なるポリエチレン樹脂を2種以上配合してなることが重要である。
密度が900kg/m3より小さいポリエチレン樹脂は、それ自身が軟らかく耐ブロッキング性が不足するため不都合である。また、密度が970kg/m3より大きいポリエチレン樹脂は、重合が困難であるため入手が困難であり、不都合である。
該配合に用いるポリエチレン樹脂は分子量分布(Mw/Mn)2.0〜3.5が好ましい。2.2〜3.3がより好ましく、2.4〜3.1がさらに好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が2.0より小さいポリエチレン系樹脂を用いると、溶融した時の樹脂の流動特性によるネックイン等の発生により、フィルム製造における安定生産が難しくなり、フィルムの厚み斑等の低下に繋がる。また分子量分布が3.5より大きいポリエチレン樹脂を用いると、高分子量体が原因のフィシュアイの生成が増えるため、不都合である。
本発明においては、上記密度範囲で密度が異なるポリエチレン樹脂を2種以上配合することにより、上記の分子量分布の狭いポリエチレン樹脂を使用することにより引き起こされる課題である該樹脂の溶融流動性の低下によるフィルムの厚み斑等の悪化を抑制することができる。理由は不明であるが、樹脂の密度差により溶融体の動的粘度等の溶融流動特性が改善されることの効果によるものと推察される。該配合は2種類で十分な効果が発現されるが、必要に応じて3種類以上を配合してもよい。該配合における樹脂の密度差は限定されないが、0.015以上の差をつけるのが好ましい。0.020以上の差をつけるのがより好ましい。該対応により配合された混合樹脂のフィシュアイが少なくなるため、本発明の効果が発現される。
フィシュアイは面積1000cm2のフィルムにおいて、0.2mmφ以上のゲル状物を意味する。また、ポリエチレンのゲル状物の判断は、顕微鏡の拡大観察において、明らかに異物(センイ状,炭化物)と判断できるもの以外をゲル状物と判断した。
本発明においては、フィッシュアイの個数は4個以下が好ましく、さらには3個以下、特に2個以下が好ましい。
上記配合におけるポリエチレン樹脂の配合比は限定されないが、密度が高いポリエチレン樹脂は、密度が低いポリエチレン樹脂に比べてフィシュアイの生成に関して悪化傾向が見られるので、密度が高いポリエチレン樹脂の配合量は少なくするのが好ましい。密度の高いポリエチレン樹脂の配合量をできるだけ少なくするためには、なるべく密度の高い樹脂を用いるのが好ましい。例えば、密度が955〜970kg/m3と高いポリエチレン樹脂と密度が900〜935kg/m3と低いポリエチレン樹脂をそれぞれ1〜10:99〜90の割合(質量比)で配合し、平均密度を905〜925kg/m3にするのが最も好ましい実施態様である。該配合により本発明の効果を効果的に発現することができる。
本発明においてはフィルム全層の平均密度を900〜930kg/m3になるように上記配合とするのが好ましい。フィルム全層の平均密度を900kg/m3未満では、フィルムが軟らかくなり、耐ピンホール性は向上するがフィルムの皺や耐ブロッキング性が悪くなるので好ましくない。逆にフィルム全層の平均密度が930kg/m3を超えた場合は、フィルムの皺は良くなるが耐ピンホール性や耐破袋性が悪くなるため好ましくない。
耐ピンホール性はフィルムを縦300mm×横200mmに裁断し、ゲルボフレックス測定器(テスター産業社製 形式:恒温槽付きゲルボフレックステスター)を用いてASTM F329に準拠して、5℃にて3000回のひねり(捩じり速度:40rpm、捩じり角400°)を与えた時に発生したピンホール数を、同一サンプルにつき3回の測定をして平均値で評価される。
本発明においては、ピンホール数の個数は5個以下が好ましく、さらには4個以下、特に3個以下が好ましい。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂は、線状低密度ポリエチレンが好ましい。
線状低密度ポリエチレンは、エチレンと炭素数3〜12のαオレフィンの共重合体から成っており、炭素数は4〜8の範囲で選択されることが好ましい。これらの共重合成分の具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン―1、ヘキセン―1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1などが挙げられる。
上記の線状低密度ポリエチレンの製造方法は特に制限されるものではなく、チーグラー・ナッタ系触媒やシクロペンタジエニル金属化合物などのいわゆるメタロセン系触媒や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いた、溶液重合法、スラリー重合法、塊状重合法、溶液重合法などの方法で製造されたものが使用できる。ラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂の分子量分布の制御方法は限定されない。例えば、メタロセン系触媒や非メタロセン系錯体などの錯体系触媒を用いて製造された分子量分布が制御されたポリエチレン樹脂を用いてもよいし、汎用のポリエチレン樹脂を溶出分別しても構わない。
また、ポリエチレン系樹脂には酸化防止剤を配合することが好ましく、フェノール系やホスファイト系の併用、もしくは一分子中にフェノール系とホスファイト系の骨格を有したものを単独使用しても構わない。
本発明においては、少なくともシール層(B)に、平均粒径の異なる2種以上の粒子を配合してなることが好ましい。少なくともその1種は平均粒径5〜13μmの球状無機粒子0.5〜1.5質量%を配合することが好ましく、もう1種は、平均粒径1〜6μmの非球状無機粒子を0.1〜1.0質量%配合してなることが好ましい。該対応により、低温ヒートシール性を維持し、耐ブロッキング性をさらに向上することができる。
平均粒径5〜10μmの球状無機粒子を配合することで、フィルム表面に高い突起が形成され、平均粒径1〜6μmの非球状無機粒子を配合することでフィルム表面に低い突起が形成できる。該フィルム表面に高さの異なった突起を形成することにより、均一な突起を持ったフィルムよりも、フィルムに荷重が掛かったときの接触面積が少なくなるので、耐ブロッキング性が向上する。
平均粒径5〜10μmの球状無機粒子の配合量は0.5〜1.5質量%が好ましく、0.7〜1.3質量%がより好ましい。また平均粒径は6〜9μmがより好ましい。平均粒径1〜6μmの非球状無機粒子の配合量は0.3〜0.8質量%がより好ましい。また平均粒径は2〜5μmがより好ましい。上記範囲を満たすことにより、フィルムの透明性と耐ブロッキング性の両立が可能となる。例えば、平均粒径や配合量が上記上限を超えた場合はフィルムの透明性が低化するので好ましくない。逆に、下限未満の場合は、フィルムの耐ブロッキング性が低化するので好ましくない。
5〜13μmの球状無機粒子の組成は限定されないが、シリカやゼオライト等が好ましい。さらに表面が無孔状で粒度分布の狭いものが好ましい。その理由は、表面が多孔状の場合、無機粒子に吸着した水分の影響で、フィルムが発泡し外観が低下することがある。また、粒度分布が広いと、フィルムの製造において、無機粒子がTダイのリップ部に堆積し、生産性を阻害することがある。該非球状無機粒子の組成も限定されないが、珪藻土やタルク等が好ましい。それらは、球状無機粒子に比べ平均粒径が小さく、配合量も少なくてよいため、多孔状で粒度分布が広くても構わない。
無機粒子の平均粒径はJIS K 1150に記載のレーザー回折式粒度分布測定法に準拠し測定した。Leeds&Northrup社製 形式:Microtrac HRA model 9320−X100を用いて測定した。
なお、上記の無機粒子は必要に応じて、中間層(C)に配合しても構わない。
本発明においては、ラミネート層(A)に平均粒径5〜13μmの球状無機粒子を0.1〜0.8質量%配合してなることが好ましい。平均粒径は7〜11μmがより好ましい。また、配合量は0.2〜0.7質量%が好ましい。本発明の低温シール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは軟らかく、フィルムをロール状に巻き取る工程で巻き皺が入りやすい。すなわち、フィルムの巻き取り性が低下するという課題を有しており前記した層構成を満たすことが重要であるが、上記対応によりフィルムの巻き取り性をさらに向上させることができる。上記範囲を満たすことにより、フィルムの透明性とフィルムの巻き取り性の両立が可能となる。例えば、平均粒径や配合量が上限を超えた場合はフィルムの透明性が悪化するので好ましくない。逆に、下限未満の場合は、フィルムの巻き取り性の改善効果が不足するので好ましくない。
本発明において、本発明のポリエチレン系積層フィルムの製造工程で発生する回収樹脂を上記中間層(C)に10〜30%配合して使用することが好ましい。該対応により、積層フィルムの製造コストの低減ができる。また、該回収樹脂の使用割合の変動による積層フィルムの品質変動を抑制することができる。該方法で実施する場合は、回収樹脂の管理もフィッシュアイ抑制の重要な要素である。多くの場合、製品、切開屑等を再利用して原料に混ぜて使用している。それらを製品、切開屑などを溶融して樹脂ペレットにする方法。圧力により、それら製品、切開屑などを圧力により、ペレット状、板状にする方法。半溶融状態でペレット状にする方法が知られている。溶融し、ペレットにする方法は、熱により溶融しペレットにするので、樹脂内部で架橋反応が起こり、結果としてフィッシュアイが発生し易くなる。圧力によりペレットにする方法は、柔らかいフィルムには不向きで、ペレットにしても元のフィルムの形に戻ろうとする力が強く、時間の経過と共に形が変化していく場合があり、管理が難しい。半溶融状態でペレットにする方法は、そのような時間の経過と共に変化することなく均一であり、フィッシュアイが発生しにくいので好ましい。
回収する製品、切開屑についてくる塵、異物、細かなゴミなどの管理も重要である。これらに塵、異物、細かなゴミなどが付着したまま回収原料にするとそれらが核となり、フィッシュアイが発生する。回収室内の空調管理が重要であるのはもちろんのこと、塵、異物、細かなゴミが付着したものを回収のラインに入れないように工夫する事が重要である。その方法としては、クリーンルーム内での回収作業が好ましい。また、フィルムに付いた塵、異物、細かなゴミを除去するために回収装置入口に静電気除去装置の取り付けを行うことが好ましい。
本発明においては、少なくともヒートシール層(B)に、融点の異なる2種以上の有機滑剤を配合してなることが好ましい。少なくとも1種は115℃未満の融点を持つ有機滑剤を100〜500ppm配合し、もう1種は115℃以上の融点を持つ有機滑剤を500〜1500ppm配合することで、滑性と耐ブロッキング性を付与することができる。
115℃未満の融点を持つ有機滑剤はフィルムの滑性に有効であり、115℃以上の融点を持つ有機滑剤はフィルムの耐ブロッキング性に有効である。そのため、どちらか1種類の有機滑剤を配合したフィルムよりも、2種類以上の有機滑剤を配合したものが滑性を優れたものにでき、さらに耐ブロッキング性を向上させることができる。
115℃未満の融点を持つ有機滑剤としてオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられる。これらはフィルム表面へ比較的早く移行し、少量で滑性に寄与するため、配合量は100〜500ppmで良い。100ppmより少ない場合は滑性が不足し、500ppmより多い場合はフィルム表面に析出し、白化が問題となる場合がある。
115℃以上の融点を持つ有機滑剤としてエチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。これらはフィルム表面に移行するのが比較的遅く、配合量を多くしないと耐ブロッキング性に寄与しない。配合量は500〜1500ppmで良い。500ppmより少ない場合は耐ブロッキング性が不足し、1500ppmより多い場合はフィルム表面に析出し、白化が問題となる場合がある。
耐ブロッキング性は下記のようにして評価できる。
測定面同士を重ね合わせたサンプルを、ヒートプレス(テスター産業社製 形式:SA−303)において、大きさ7cm×7cm、温度50℃、圧力1400Pa、時間15分の加圧処理を行う。この加圧処理でブロッキングしたサンプルとバー(径6mm 材質:アルミ)をオートグラフ(島津製作所製 形式:UA−3122)へ装着し、バーが速度(200m/分)でブロッキング部を剥離する時の力を測定した。この場合、バーと剥離面は水平であることが前提である。同一サンプルにつき4回の測定をして平均値で表示した。
本発明においては、耐ブロッキング性は150mN/mm以下が好ましく、さらには120mN/mmが好ましい。
本発明の低温ヒートシール性ポリエチレン系積層フィルムは、最大直径が0.2mm以上のフィシュアイが5個/1000cm2以下であることが好ましい。4個/1000cm2以下であることがより好ましく、3個/1000cm2以下であることがさらに好ましい。該フィッシュアイが5個/1000cm2を超えた場合は、例えば、該フィルムを使用した低温重量物の包装袋において、黒色系のフィシュアイは肉眼で確認でき不快感を与える。また、透明系の目立ちにくいフィシュアイも、それ自身に厚みがあると凸部になり、包装袋の内容物イメージを低下させるので好ましくない。
上記フィシュアイの低減は、前述した本発明の構成を満たすことにより達成できるが、さらに以下のような対応をするのがより好ましい。例えば、溶融樹脂の濾過に用いられるフィルターが重要である。溶融押出し工程で溶融された樹脂を濾過精度が100μm以下であるフィルターで濾過することが好ましい実施態様である。ここで、濾過精度とは、JIS B8356:1976年で定義された方法に準じて評価された性能である。濾過精度は80μmがより好ましく、60μmがさらに好ましい。濾過精度が100μmを超えた場合はフィッシュアイを形成するゲル状異物の除去及び微小化が悪化するので好ましくない。濾過精度の下限はゲル状異物の除去及び微小化の点より小さければ小さい程好ましいが、小さくなるに比例して濾過圧力損失が大きくなるので濾過面積を大きくする必要が生ずる。従って、下限は30μmが好ましい。フィルターは金網フィルターが一般的に多く用いられており、平織り、綾織、平畳織、綾畳織など織りかたの形状の変化、それに使用する線の太さと積層構成により濾過能力や微小化効率が変ってくる。それらの金網フィルターと別に金属焼結フィルターというタイプがあり、粉末焼結したもの、不織布のように金属を織ることなく固めたものの大きく2種類がある。特に不織布のように金属を織ることなく固めたものは、ミクロンオーダーのステンレス鋼繊維を均一に積層焼結したもので、繊維相互の無数の接点が金属同士接合一体化しており、目開き抜け落ちが少なく高い濾過精度を有する上、他の金属濾過材より空隙率が大きい影響で、圧力損失が小さく、金網、金属粉末焼結フィルターに比べて、異物保持能力が高いので最近特に多く使われ始めている。金網フィルターでも織り方、積層法を改良するとそれに同等以上の性能が出るものも有り、排除はしない。選定時ポイントは、特にオレフィンは溶融粘度が高いので圧力損失が低く、濾過能力の高いものを選ぶことが好ましい。該方策の採用はフィッシュアイ低減だけでなく後述の厚み斑低減の抑制効果も併せて発現できる。厚み斑は、圧力損失が大きい場合に発生し易い。それはフィルターが押し出した溶融樹脂の圧力をカットするため、Tダイ内の圧力が不足し、Tダイ内の溶融樹脂の流れが不安定となり、結果として厚み斑になることがある。先に述べたように圧力損失が低いフィルターを用いる事によりそれを抑制することが可能となる。
上記の濾過は、フィルターを2個以上設けた多段濾過法で行うのがより好ましい実施態様である。該多段濾過法により、濾過や微小化効率が向上し、かつ前記の圧力損失の課題も改善される。該多段濾過法の場合は、同じ濾過精度のフィルターを用いても良いが、溶融樹脂の流れ方向に従って濾過精度の値を低くしていくのがさらに好ましい実施態様である。
また、使用するポリエチレン樹脂は、乾燥するときに不活性ガス置換をして、乾燥したものを使用するのが好ましい。不活性ガス置換により脱酸素され押出し機に入り溶融する時の酸化分解が押さえられ、フィッシュアイ低減に繋がる。また、製膜の為の押出し機のホッパーや原料を入れるサイロにも酸素が入らないように不活性ガスで置換し、原料が酸化しない状態にしておくのも好ましい実施態様である。該方法は原料樹脂と共に押出し機への酸素の混入が抑えられる効果もあり、ゲル生成の抑制に繋がる。該方策の採用はゲル生成抑制だけでなく臭気や味覚に影響する分解物の生成を抑制効果をも併せて発現できる。使用する不活性ガスとして希ガス類元素があり、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンの6元素が挙げられるが、高価であるので実際的ではない。安価で入手が容易な窒素ガスが好ましい。
本発明の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは、フィルム幅方向の厚み斑が、幅1000mmにおいて7%以内にすることが好ましい。6%以内がより好ましく、5%以内がさらに好ましい。尚、本発明における上記厚み斑は、フィルム幅400mm以上でフィルム長1000m以上のロールにおいて満たされるのが好ましい。該対応により、フィルムをロール状にして保存した場合に起こる巻き締まり現象により、フィルムの厚み斑がフィルムのたるみ等の問題を引き起こす。そのため、厚み斑の大きなフィルムの場合、例えばラミネート素材として使用した場合、ラミネート加工時にたるみ等の変形により、皺の発生や空気の巻き込みのため加工操業性が低下し、かつ得られる製品の皺、透明斑等の外観不良やラミネート強度変動等の発生を抑制することができる。
上記厚み斑の抑制は前述した本発明の構成を満たすことにより達成できるが、さらに以下のような対応をするのが好ましい。
例えば、ダイ周りの空気の流れ方向がフィルムの厚み斑に影響を与えるので最適化することが好ましい実施態様である。ダイから出てくる溶融樹脂シートに対して垂直な空気の流れである風を無くすことが重要である。これは溶融状態で垂直な風を受けると、溶融樹脂シートが振れて、その振れた部分の厚み変化や部分的な冷却斑が発生し厚み斑に繋がる。該対策の一つとしてダイス回りをシート、板、などで囲いを作り、囲いで囲みダイス出口に上記の好ましくない風が当たらないようすることが挙げられる。さらに、積極的にダイス出口の溶融樹脂シートの流れが乱れないような風の流れを作ることも好ましい実施態様である。
また、ダイ周りの温度斑も厚み斑に影響を及ぼすので、できるだけ温度斑を小さくすることも重要である。例えば、前記のダイス周りに囲いをすることは、当該現象の改善にも繋がるので、好ましい実施態様として推奨される。また、湿度を高めた状態でしかも加温した状態にすることは、温度斑が小さくなるので好ましい実施態様である。
また、ダイより押し出された溶融樹脂シートの冷却ロールへの密着方法の改善もフィルム厚み精度向上の重要な要因である。例えば、エアーで冷却ロールに密着させる方法として、エアーノズル法、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法および真空チャンバー法が広く普及しているが、上記3方法を同時に作用させることが好ましい実施態様である。すなわち、溶融樹脂シートの冷却ロールへの密着に際して、エアーノズル法で両端を固定し、エアーチャンバー法あるいはエアーナイフ法により溶融樹脂シートの全幅の冷却ロールへの押さえつけを行い、同時に真空チャンバー法を作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止することにより厚み斑が低減される。該方法においてもエアーナイフやエアーチャンバーの風を溶融樹脂シートに対して均一に、かつ流れの乱れが発生しないように当てる事および真空チャンバーの吸引力が幅および流れ方向において均一になるように装置構造、取り付け位置、エアーナイフやエアーチャンバーの空気の風量や方向、真空チャンバーの吸引度や吸引方向等を最適化することも大切である。このことにより、溶融樹脂シートの振れを小さくする事ができ、厚み精度向上に繋げられるので有効な手段の一として推奨される。
上記密着方法におけるエアーチャンバー法とエアーナイフ法の選択は該装置を設置する場所の空間容積や真空チャンバーの性能との関係で適宜選択すれば良い。
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。なお、物性は下記のようにして測定した。
(1)樹脂密度:JIS K 7112:1999年に準じて密度を評価した。
(2)分子量分布:ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用い、下記の測定方法で分子量分布(Mw/Mn)を測定した。測定方法は下記の通りである。
測定装置:Waters 150CV
カラム:AT−806MS 2本
サンプルの調整:145℃で溶媒(o−ジクロロベンゼン BHT0.3%入り)へ試料を溶解させ濃度1mg/mlを準備した。
測定条件:溶液0.4mlを溶媒(o−ジクロロベンゼン)、温度145℃、1.0ml/分の流速でカラムに導入し、カラムで分離された溶液中の試料濃度を示差屈折計で測定した。分子量はポリスチレン標準試料にてユニバーサル検量線を作成し、K=0.7、α=4.2E−4の値を用い、ポリスチレン換算の分子量分布(Mw/Mn)を得た。
(3)無機粒子の平均粒径:JIS K 1150に記載のレーザー回折式粒度分布測定法に準拠し測定した。Leeds&Northrup社製 形式:Microtrac HRA model 9320−X100を用いて測定した。
(4)フィシュアイ:面積1000cm2のフィルムにおいて、0.2mmφ以上のゲル状物を目視で計数した。また、ポリエチレンのゲル状物の判断は、顕微鏡の拡大観察において、明らかに異物(センイ状,炭化物)と判断できるもの以外をゲル状物と判断した。
(5)フィルムの厚み斑:JIS K7130に準じて評価する。一部方法が異なる部分は以下に詳細を説明する。測定する環境は、23℃×50%RH室内で行う。測定は、フィルムの両端を5cmづつカットし、該両端がカットされたサンプルを巾方向に40等分し測定位置に印を付ける。該印の位置で印の部分を外した場所についてダイヤルゲージで行う。計測はフィルムロールMD方向に15cm、TD方向に全巾、表層部から皺の無い部分から2巻き剥いだ部分と巻き芯部から皺の無い部分を2巻き剥いだ部分の2ヶ所で、それぞれ3サンプルを取り、その6サンプルの平均値を求める。使用する計測器は、最小読み取り値が0.001mmとする。精度は、JIS B7503:1997年に規定してあるダイヤルゲージと同等以上のものとする。厚み斑は下式で求める。
厚み斑(%)=(最大厚み−最小厚み)÷6サンプルの平均値×100
(5)巻き皺:厚さ40μmを1000mm巾で2000m巻き取ったフィルムロールを40℃・1週間放置した後のロール表層に皺が目視で確認できる、できないを判断する。
(6)耐ブロッキング性:測定面同士を重ね合わせたサンプルを、ヒートプレス(テスター産業社製 形式:SA−303)において、大きさ7cm×7cm、温度50℃、圧力1400Pa、時間15分の加圧処理を行う。この加圧処理でブロッキングしたサンプルとバー(径6mm 材質:アルミ)をオートグラフ(島津製作所製 形式:UA−3122)へ装着し、バーが速度(200m/分)でブロッキング部を剥離する時の力を測定した。この場合、バーと剥離面は水平であることが前提である。同一サンプルにつき4回の測定をして平均値で表示した。
(7)滑り性:傾斜面と錘からなるフリクションアングルテスター(東洋精機社製 型番:A―211402803)において測定するフィルム面が接触する様に、錘(重さ1kg)と傾斜面へセットする。傾斜面の角度を除々に上げていき(速度2.7°/秒)、錘が傾斜面を滑り始める角度を測定する。その角度θのtanθを滑り性とした。同一サンプルにつき3回の測定をして平均値で表示した。
(8)耐ピンホール性:フィルムを縦300mm×横200mmに裁断し、ゲルボフレックス測定器(テスター産業社製 形式:恒温槽付きゲルボフレックステスター)を用いてASTM F329に準拠して、5℃にて3000回のひねり(捩じり速度:40rpm、捩じり角400°)を与えた時に発生したピンホール数を、同一サンプルにつき3回の測定をして平均値で表示した。
(実施例1)
以下の組成のポリエチレン樹脂を用いた。
(1)ラミネート層(A)のポリエチレン系組成物
樹脂密度923kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂(住友化学(株)、FV405)97%と樹脂密度960kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂(プライムポリマー(株)、0408G)3%を混合した組成物(平均密度924kg/m3)に対し、平均粒径が5μmの球状ゼオライト(水澤化学(株)、JC50)を4000ppm配合した組成物。
(2)中間層(C)のポリエチレン系組成物
樹脂密度913kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂(住友化学(株)、FV402)97%と樹脂密度960kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂(プライムポリマー(株)、0408G)3%を配合した組成物75%に、回収樹脂25%を混合した組成物(平均密度914kg/m3)。
ヒートシール層(B)のポリエチレン系組成物
樹脂密度913kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂(住友化学(株)、FV402)97%と樹脂密度960kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂(プライムポリマー(株)、0408G)3%を配合した組成物(平均密度914kg/m3)に対し、平均粒径が10μmの球状シリカ(信越化学(株)、KMP120−10)10000ppmと平均粒径が5μmの珪藻土(三井金属鉱業(株)、White Filler)5000ppmと融点115℃未満の有機滑剤(エルカ酸アミド、日本化成(株)、ダイヤミッドL−200)400ppmと融点115℃以上の有機滑剤(エチレンビスオレイン酸アミド、日本化成(株)、スリパックスO)800ppmを混合した組成物。
上記中間層(C)用ポリエチレン系樹脂組成物をスクリュー直径200mmの3ステージ型単軸押出し機で、ラミネート層(A)用およびヒートシール層(B)用のポリエチレン系樹脂組成物をそれぞれ2台のスクリュー直径100mmの3ステージ型単軸押出し機を使用し、巾3000mmでプレランドを2段階にし、かつ溶融樹脂の流れが均一になるように段差部分の形状を曲線状としてダイス内の流れが均一になるように設計した3層タイプのダイにA層/C層/B層の順になるよう導入し、ダイスの出口温度を240℃で押出した。リップギャップは1.6mmとした。フィルターは、濾過精度85μmおよび60μmのフィルターを直列に連結した2段濾過法でダイスに供給した。該フィルターはA〜C層の全てのラインに設置した。ダイスから出てきた溶融樹脂シートを30℃の冷却ロールで冷却し、A層/C層/B層の構成で層厚みが10/30/10(μm)よりなるポリエチレン系積層フィルムを得た。また上記押出し機への供給用サイロやホッパーも窒素ガス置換をした。冷却ロールでの冷却に際しては、エアーノズルで冷却ロール上のフィルムの両端を固定し、エアーナイフで溶融樹脂シートの全幅を冷却ロールへ押さえつけ、同時に真空チャンバーを作用させ溶融樹脂シートと冷却ロールの間への空気の巻き込みを防止した。エアーノズルは、両端ともフィルム進行方向に直列に設置した。またエアーナイフの風向きは押出されたシートの進行方向に対して45度とした。また、真空チャンバーの吸引口の方向を押出されたシートの進行方向に合わせた。更に、ダイス周りはシートで囲い、溶融樹脂シートに風が当たらないようした。製膜速度は100m/分で実施した。得られた結果を表1に示す。本実施例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムはいずれの特性も良好であり高品質であった。
(実施例2)
実施例1において、C層を省きB層の層比を80%とした以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本実施例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムはいずれの特性も良好であり高品質であった。
(比較例1)
実施例1において、A層/C層/B層の形成に用いるポリエチレン樹脂の分子量分布を2.8として、それぞれ密度を924kg/m3/914kg/m3/914kg/m3層の樹脂を単独使用とした以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本比較例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは厚み斑が劣っており低品質であった。
(比較例2)
実施例1において、A層/C層/B層の形成に用いるポリエチレン樹脂の分子量分布を3.8として、それぞれ密度を924kg/m3/914kg/m3/914kg/m3層の樹脂を単独使用とした以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本比較例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムはフィシュアイが多く低品質であった。
(比較例3)
実施例1において、A層を形成する樹脂組成物を樹脂密度930kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂90質量%と樹脂密度960kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂10質量%を混合した組成物(平均密度933kg/m3)に、B層およびC層を形成する樹脂組成物を樹脂密度923kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂97質量%と樹脂密度960kg/m3かつ分子量分布2.8のポリエチレン樹脂3質量%を混合した組成物(平均密度924kg/m3)に変更する以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本比較例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは耐ピンホール性が劣り低品質であった。なお、本比較例におけるフィルム全層の平均密度は926kg/m3であった。
(比較例4)
実施例1において、A層/C層/B層の形成に用いるポリエチレン樹脂の分子量分布を2.8として、それぞれ密度910kg/m3/900kg/m3/900kg/m3の樹脂を単独使用とした以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本比較例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは巻き皺が劣り低品質であった。なお、本比較例におけるフィルム全層の平均密度は902kg/m3であった。
(比較例5)
比較例2において、B層の形成に用いる無機粒子として、平均粒径10μm球状シリカの添加を取り止め、平均粒径5μm珪藻土のみ15000ppm添加するように変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本比較例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは比較例2で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムより耐ブロッキング性が劣っていた。
(比較例6)
比較例2において、B層の形成に用いる有機滑剤として、115℃未満の融点を持つ有機滑剤の添加を取り止め、115℃以上の融点を持つ有機滑剤のみを1200ppm添加するように変更する以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本比較例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは比較例2で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムより滑り性が劣っていた。
(比較例7)
比較例2において、A層の形成に用いる無機粒子として、平均粒径が5μm球状シリカの添加を取り止めた以外は、実施例1と同様にして、フィルムを得た。得られた結果を表1に示す。本比較例で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは比較例2で得られた低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムの課題に加えて巻き皺が劣っていた。
Figure 0004730061
本発明の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムは、ヒートシール性、耐ブロッキング性、柔軟性および耐ピンホール性のバランスが取れている上に、フィシュアイや厚み斑が少なく、しかもロールに巻き取る際の巻き皺が少ないので、食品や日用雑貨等の低温重量物の包装袋用シール材として好適に使用することができる。従って、産業界に寄与する事が大である。

Claims (11)

  1. 少なくともラミネート層(A)およびシール層(B)よりなるポリエチレン系樹脂積層フィルムにおいて、ラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が910〜930kg/m3、シール層(B)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が900〜920kg/m3であり、かつラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が、シール層(B)を構成するポリエチレン樹脂の平均密度よりも大きく、さらにフィルム全層を構成するポリエチレン樹脂の平均密度が905〜925kg/m3であり、少なくともラミネート層(A)を構成するポリエチレン樹脂組成物が、密度900〜970kg/m3で、分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜3.5である密度の異なるポリエチレン樹脂を2種以上配合してなることを同時に満たすことを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  2. 請求項1に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、前記シール層(B)に平均粒径5〜13μmの球状無機粒子を0.5〜1.5質量%および平均粒径1〜6μmの非球状無機粒子を0.1〜1.0質量%配合してなることを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  3. 請求項1に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、前記ラミネート層(A)に平均粒径5〜13μmの球状無機粒子を0.1〜0.8質量%配合してなることを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  4. 請求項1に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、前記ラミネート層(A)およびシール層(B)の間に平均密度が900〜920kg/m3のポリエチレン樹脂よりなる中間層(C)を設けてなることを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  5. 請求項4に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、前記各層のポリエチレン系樹脂の平均密度がラミネート層(A)>中間層(C)≧シール層(B)であり、かつフィルム全層の平均密度が905〜925kg/m3であることを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  6. 請求項4に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、前記中間層(C)に回収樹脂を10〜30質量%配合してなることを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂フィルム。
  7. 請求項1に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、少なくとも前記シール層(B)に、115℃未満の融点を持つ有機滑剤を100〜500ppmと115℃以上の融点を持つ有機滑剤を500〜1500ppm配合してなることを特徴とした低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  8. 請求項1に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、明細書中に記載した方法で測定される耐ピンホール性評価におけるピンホール数が5個以下であることを特徴とした低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  9. 請求項1に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、明細書中に記載した方法で測定されるフィシュアイが5個/1000cm2以下であることを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  10. 請求項1に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、フィルムの幅方向の厚み斑が7%以内であることを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルム。
  11. 請求項1に記載の低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂積層フィルムであって、低温重量物の包装袋用シール材料として用いることを特徴とする低温ヒートシール性ポリエチレン系樹脂フィルム。
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