JP2005120323A - 導電性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

導電性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
導電性に優れ、かつ、耐衝撃性や寸法安定性、耐熱性、流動性、外観にも優れている導電性熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)51〜90重量部及び
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B成分)10〜49重量部
の合計100重量部からなる組成物に対し、
(C)比表面積(BET式窒素吸着法)が150〜1000m2/gの導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリル(C成分)0.1〜5重量部を配合してなることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、導電性熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、導電性に優れ、かつ、耐衝撃性や寸法安定性、耐熱性、流動性、外観にも優れ、自動車用外装部品のみならず、電気・電子・OA機器部品、機械部品等にも適した導電性熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
電気・電子・OA機器部品、機械部品、自動車用外装部品等は、金属材料に代って多くの樹脂材料が使用されてきており、近年、自動車の外装部品においてプラスチック化の動きが活発化している。外装部品の中でも、フェンダー、ドアパネル、リアパネル等の垂直外板において従来の金属材料からプラスチック化への検討が活発に行われており、プラスチック化の利点として軽量化やデザインの自由度、モジュールアッセンブリー化が可能な点、歩行者保護等が挙げられ、従来のプラスチック部品と比較して耐衝撃性、寸法安定性、流動性、外観等の高いレベルの材料が要求されるようになってきた。これら自動車外装部品を中心に、鋼板等の金属材料と共に使用される部品においては、着色のために塗装が行われており、塗料の付着効率を向上させるために静電塗装が一般に行われている。静電塗装とは、アースした塗装物を陽極、塗装霧化装置を陰極とし、これに負の高電圧を与えて、両極間に静電界を作り、霧化した塗装粒子を負に帯電させて、反対極である被塗物に効率よく塗料を吸着させる塗装方法である。熱可塑性樹脂は電気絶縁性であるため、静電塗装を行うには導電性の付与が必要であり、少量の導電性物質の配合で高い導電性を得るために導電性カーボンブラックを配合することが多く行われている。
他方、例えば、OA機器や電子機器では小型軽量化や、高集積化、高精度化が進み、これに伴い、電気電子部品への塵やほこりの付着を極力低減させることや、静電気障害による誤作動を防止するという、導電性樹脂に対する市場からの要求は年々多くかつ厳しくなってきている。例えば、半導体に使われるICチップ、ICトレーや、ウエハー、コンピュータに使われるハードディスクの内部部品等は、その要求が一層厳しく、帯電防止性を付与し、塵やほこりの付着を完全に防止することが必要である。また、電磁波シールド性の付与が必要な部品にも導電性が要求され、例えば、ノートパソコンのハウジング、PDAのハウジング、パチンコ部品の基板、カメラシャッター、携帯電話のハウジング等がある。
このような用途には、ポリアミド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂との樹脂組成物(ポリマーアロイ)に導電性カーボンブラックを配合した樹脂組成物が多く提案されており、自動車外装部品用材料として広く知られている。しかしながら、ポリアミド樹脂を主成分とするため、吸水により寸法が変化するという問題があった。更に、線膨張係数が大きいため、高温使用環境下での熱膨張を見越した部品設計をすると部品の間の隙間が大きくなることや、結晶性樹脂のポリアミド樹脂を主成分とするため、塗装時の加熱における寸法変化(加熱収縮率)が大きくなることで、見栄えを損ねる等の問題もあった。
そこで、吸水による寸法の経時変化のない導電性樹脂組成物として、芳香族ポリエステル樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂とのポリマーアロイに導電性カーボンブラックを配合した樹脂組成物が提案されている。特許文献1、2では、芳香族ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ゴム状樹脂、カーボンブラックからなる樹脂組成物が提案されている。しかしながら、特許文献1の組成物は、多量のカーボンブラックを配合するため流動性や外観に劣るものであり、特許文献2では流動性、導電性、寸法安定性及び外観に関する具体的記載もなく、開示されている組成物については芳香族ポリエステル樹脂を主成分とするポリマーアロイやポリブチレンテレフタレート樹脂とのポリマーアロイであり、導電性や寸法安定性等のバランスにおいて十分に満足できるものではなかった。さらに、特許文献3では、芳香族ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ブタジエンゴム状弾性共重合体、カーボンブラック及び無機フィラーからなる樹脂組成物が提案されているが、導電性に関する具体的記載もなく、開示されている組成物については導電性、耐衝撃性、寸法安定性等のバランスにおいて十分とは言えず、導電性、耐衝撃性、寸法安定性、流動性、外観等において高いレベルの材料が求められていた。
また、ポリカーボネート、芳香族ポリエステル及びカーボンブラックからなる導電性シート(特許文献4)やポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、カーボンブラックからなる漆黒性に優れた樹脂組成物(特許文献5)が提案されている。しかしながら、特許文献3では耐衝撃性、寸法安定性、外観に関する具体的記載や言及もなく、さらに特許文献4では漆黒性以外については何ら言及されておらず、いずれも開示されている組成物については比表面積の大きなカーボンブラックを配合しているため、流動性や外観の点で満足できるものではなかった。
特開昭58−136652号公報 特開昭62−185743号公報 特開昭63−132961号公報 特開平7−330925号公報 特開平4−342759号公報
本発明は、上記の従来の諸欠点を解消した、導電性熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的として鋭意検討した結果、本発明の特定組成物に到達したものである。すなわち、本発明の目的は、導電性に優れ、かつ、耐衝撃性や寸法安定性、耐熱性、流動性、外観にも優れている導電性熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
すなわち、本発明の要旨は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、A成分と略記することがある)51〜90重量部及び(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、B成分と略記することがある)10〜49重量部の合計100重量部からなる組成物に対し、(C)比表面積(BET式窒素吸着法)が150〜1000m2/gの導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリル(以下、C成分と略記することがある)0.1〜5重量部を配合してなることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物にある。
本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、導電性に優れ、かつ、耐衝撃性や寸法安定性、耐熱性、流動性、外観にも優れている。従って、このような特長を有する導電性熱可塑性樹脂組成物の大きな用途として、バンパー、フェンダー、ドアパネル、トランクリッド、フロントパネル、リアパネル、ルーフパネル、ボンネット、ピラー、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールキャップ、ドアハンドル、フードバルジ、フューエルリッド、各種スポイラー等の自動車用外装部品を挙げることができる。
また、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、自動車用外装部品のほか、例えば、電気・電子・OA機器をはじめとした導電性の必要な用途にも好適に使用できる。例えば、半導体に使われるICチップ、ICトレーや、ウエハー、コンピュータに使われるハードディスクの内部部品等は、帯電防止性を付与し、塵やほこりの付着を完全に防止するために最適導電性が必要であり、高すぎても低すぎても満足しない。このような用途には、2×102〜1×108Ωcmの範囲の体積抵抗率が選ばれる。一方、電磁波シールド性の付与に導電性が要求される用途、例えば、ノートバソコンのハウジング、PDAのハウジング、パチンコ部品の基板、カメラシャッター、携帯電話のハウジング等では、体積抵抗率が低くても問題はない。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)
本発明のA成分である芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物と、カーボネート前駆体とを反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性の芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、従来から知られているホスゲン法(界面重合法)又は溶融法(エステル交換法)等によって製造することができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン,2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン,1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン,2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン,2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン,2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示される、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等で例示されるジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で又は二種以上併用してもよい。これらの中で、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)が耐衝撃性の点から好適に用いられている。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル又はハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂は、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよい。分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等で示されるポリヒドロキシ化合物類、又は、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等で前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用すればよく、その使用量は0.01〜10モル%の範囲が好ましく、特に好ましいのは0.1〜2モル%である。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法又は溶融エステル交換法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて末端停止剤を使用してもよく、界面重合法芳香族ポリカーボネート樹脂の場合、末端停止剤又は分子量調節剤が使用される。末端停止剤又は分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基若しくは一価のカルボン酸誘導体構造を有する化合物が挙げられる。一価のフェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール、ハロゲン化フェノール、アルコキシフェノール、アルコキシカルボニルフェノール等の置換フェノール類が挙げられ、具体的には、フェノール、メチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、アリルフェノール、クミルフェノール、ナフチルフェノール、ナフトール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、トリフルオロフェノール、メトキシフェノール、ブトキシフェノール、メトキシカルボニルフェノール、ブトキシカルボニルフェノール、ドデシロキシカルボニルフェノール、オクタデシロキシカルボニルフェノール等が挙げられる。一価のカルボン酸誘導体構造を有する化合物としては、例えば、カルボン酸、カルボン酸クロライド等が挙げられ、具体的には、酢酸、アクリル酸、ギ酸、プロピオン酸、プロピオル酸、酪酸、イソ酪酸、メタクリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピルビン酸、アセト酢酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヘキサフルオロ酢酸、安息香酸、ナフトエ酸、メチル安息香酸、ブチル安息香酸、ビニル安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、ペンタブロモ安息香酸、メチルナフトエ酸、エチルナフトエ酸等のカルボン酸、及び、これらカルボン酸から誘導されるカルボン酸クロライド等が挙げられる。
また、エステル交換法芳香族ポリカーボネート樹脂の場合、通常、原料のジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのモル比を調節したり、減圧度を調節したりすることによって、その末端のヒドロキシ末端構造の量比が調整できる。また、より積極的な方法として、反応時に別途、末端停止剤を添加する調整方法も周知である。この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられ、例えば、炭素数が9以上の一価フェノールや一価カルボン酸が好適に使用され、具体的には、p−プロピルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、クミルフェノール、tert−オクチルフェノール、フェニルフェノール、ナフチルフェノール、4−ヒドロキシ−p−クオーターフェニル、ブチル安息香酸、オクチル安息香酸、フェニル安息香酸、ナフタレンカルボン酸等が挙げられ、炭酸ジエステル類としては、例えば、上記炭素数9以上の一価フェノールから誘導される炭酸ジエステル類が好適に使用され、具体的には、フェニルブチルフェニルカーボネート、ジ(ブチルフェニル)カーボネート、フェニルクミルフェニルカーボネート、ジ(ノニルフェニル)カーボネート、メチルフェニルナフチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
さらに、芳香族又は脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。脂肪族の二官能性カルボン酸としては、例えば炭素数8〜20、好ましくは10〜12の脂肪族の二官能性カルボン酸が挙げられる。かかる脂肪族の二官能性のカルボン酸は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。
さらに、ポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、上述した各種二価フェノールの異なるポリカーボネート樹脂、分岐成分を含有する分岐ポリカーボネート樹脂、製造法の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂、末端停止剤の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂、各種のポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体等各種の芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合したものであってもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度20℃で測定された溶液粘度から換算した粘度平均分子量で、10,000〜30,000の範囲のものが好ましい。粘度平均分子量が10,000未満であると、本発明に係る導電性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性が不足し、30,000を超えると該樹脂組成物自体の成形性が悪く、いずれも好ましくない。粘度平均分子量のより好ましい範囲は13,000〜28,000であり、中でも好ましいのは15,000〜25,000である。
また、本発明のA成分である芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量は、好ましくは1,500〜9,500であり、より好ましくは2,000〜9,000である。ポリカーボネートオリゴマーの含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂中の30重量%以下の範囲で使用するのが好ましい。
さらに、本発明のA成分である芳香族ポリカーボネート樹脂としては、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂の使用も可能である。使用済みの製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラスや自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁やガラス窓、波板等の建築部材等が好ましく挙げられる。また、再生芳香族ポリカーボネート樹脂としては、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B成分)
本発明のB成分であるポリエチレンテレフタレート樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、かつ、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とし、これらの縮合反応によって得られる飽和ポリエステル重合体又は共重合体であり、繰り返し単位としてエチレンテレフタレート単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上含む熱可塑性ポリエステル樹脂である。ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造は、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながら前記のジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させ、副生する水又は低級アルコールを系外に排出することにより行われ、バッチ式、連続式のいずれの重合方法をとることも可能であり、固相重合により重合度を上げることも可能である。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸を共重合成分として含むものでもよい。かかる芳香族ジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は1種に限らず2種以上使用することもできる。テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸の量は、ジカルボン酸成分の全量を100モル%としたとき、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましい。さらに、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、ジカルボン酸成分の全量に対して、30モル%未満であれば脂肪族ジカルボン酸を共重合成分として含むこともできる。かかる脂肪族ジカルボン酸としては、例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
また、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、エチレングリコール以外のジオールを共重合成分として含むものでもよい。かかるジオールとしては、例えばジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−又は−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)等が挙げられる。これらのジオールは1種に限らず2種以上使用することもできる。
さらに、本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂中には、重合時の副反応生成物であるジエチレングリコールが共重合成分として含まれる。かかるジエチレングリコールの量は、ジオール成分の全量100モル%中、通常、約0.5モル%以上であり、6モル%以下が好ましく、5モル%以下がさらに好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、好ましくは0.4〜1.5dl/gであり、より好ましくは0.5〜1.2dl/gである。ここで固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の溶媒中30℃で測定する。固有粘度が0.4未満であると耐衝撃性が低下しやすく、1.5を超えると流動性が低下しやすい。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、好ましくは5〜50eq/tであり、より好ましくは10〜30eq/tである。末端カルボキシル基量が5eq/t未満の場合は耐熱性、耐衝撃性が低下しやすく、50eq/tを超える場合には耐湿熱性、熱安定性が不十分となりやすい。
さらに、本発明のB成分であるポリエチレンテレフタレート樹脂としては、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリエチレンテレフタレート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされたポリエチレンテレフタレート樹脂の使用も可能である。使用済みの製品としては、容器、フィルム、シート、繊維等が主として挙げられるが、より好適なものはPETボトル等の容器である。また再生ポリエチレンテレフタレート樹脂としては、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
(C)導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリル(C成分)
本発明のC成分である導電性カーボンブラックは、比表面積(BET式窒素吸着法)が150〜1000m2/gの導電性カーボンブラックであり、ペイント等に着色目的で加える顔料用カーボンブラックとは違って、微細な粒子が連なった形態のものである。比表面積は、BET式窒素吸着法によるものであり、より好ましい導電性カーボンブラックは、200〜900m2/gの範囲のものである。比表面積が1000m2/gを超えると得られる樹脂組成物の流動性と外観の点で劣り、150m2/g未満では導電性の点で劣る。
また、ASTM D2414に準拠して測定されるジブチルフタレート(DBP)吸油量が、100〜450ml/100gの導電性カーボンブラックが好ましく、150〜400ml/100gのものが、導電性と耐衝撃性のバランスの点でより好ましい。
このような好ましい導電性カーボンブラックとしては、原油やガスの燃焼熱によって原料炭化水素を熱分解させカーボンブラックを生成させるファーネス法導電性カーボンブラック、重質油のガス化プロセスによって得られるケッチェンブラック、アセチレンガスを熱分解して得られるアセチレンブラック等を挙げることができ、例えば、ライオン社製ケッチェンブラックEC(比表面積800m/g、吸油量360ml/100g)、キャボット社製バルカンXC−72(比表面積250m/g、吸油量178ml/100g)、デグサ社製Printex L6(比表面積250m/g、吸油量123ml/100g)等が市販されている。
また、本発明のC成分である中空炭素フィブリルは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが実質的に同心的に配置されている、本質的に円柱状のフィブリルである。さらに、上記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、上記中空領域の直径が2〜20nmの範囲のものが好ましい。
このようなC成分は、特表昭62−500943号公報や、米国特許第4,663,230号明細書等に詳細に記載されている。中空炭素フィブリルの製法は、後者の米国特許明細書に詳細に記載されているように、例えば、アルミナを支持体とする鉄、コバルト、ニッケル含有粒子等の遷移金属含有粒子を、一酸化炭素、炭化水素等の炭素含有ガスと、850〜1200℃の高温で接触させ、熱分解によって生じた炭素を、遷移金属を起点として、繊維状に成長させる方法が挙げられる。C成分の中空炭素フィブリルは、ハイペリオン・カタルシス社が、グラファイト・フィブリルという商品名で販売しており、容易に入手することができる。
(D)ゴム性重合体(D成分)
本発明に係る導電性熱可塑性樹脂組成物は、前記A成分、B成分及びC成分を含有することが必須であるが、該樹脂組成物の耐衝撃性を改良する目的で、さらにD成分としてゴム性重合体(以下、D成分と略記することがある)を含有することが好ましい。ここでゴム性重合体とは、ガラス転移温度が0℃以下、好ましくは−20℃以下であるゴム状重合体、又は、必要に応じ該ゴム状重合体にこれと共重合可能な単量体成分とを共重合した重合体をいう。本発明に使用されるD成分のゴム性重合体は、一般にポリカーボネート樹脂組成物に配合されて、その機械的特性を改良し得るものであれば特に限定されるものではない。
ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム等)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等)、エチレンと脂肪族ビニル化合物との共重合体、エチレンとプロピレンと非共役ジエンとのターポリマー、アクリルゴム(ポリブチルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体等)、シリコーン系ゴム(ポリオルガノシロキサンゴム;ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム等)等が挙げられる。
かかるゴム状重合体に必要に応じ共重合される単量体成分としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が好適に挙げられる。その他の単量体成分としては、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸及びそれらの無水物等のα,β−不飽和カルボン酸化合物等を挙げることができる。
ゴム性重合体の好適な具体例としては、コア/シェル型グラフト共重合体があり、なかでも、ブタジエン含有ゴム、ブチルアクリレート含有ゴム、シリコーン系ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム状重合体のコア層の周囲に、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体を重合して形成されたシェル層からなるコア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。より具体的には、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)重合体等を挙げることができる。
その他のゴム性重合体の好適な具体例としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロツク共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム重合体(ASA)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン重合体(AES)等を挙げることができる。
このようなゴム性重合体は、単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用され得る。
導電性熱可塑性樹脂組成物
前記構成成分(A〜C成分)からなる本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、ミクロ形態が海−島構造を呈する。具体的には、A成分が連続相(海相)を構成し、B成分が連続相中に分散した不連続相(島相)を構成する、いわゆる海−島構造のミクロ形態を有する。また、C成分は主に島相を構成するB成分中に存在する。このようなミクロ形態は、電子顕微鏡で容易に確認することができる。すなわち、該樹脂組成物自体のペレット又は成形品から、クライオ装置(REICHERT−NSSEIPCS)を装着した超ミクロトーム(ライカ社製ULTRACUT CUT)で、ダイヤモンドナイフを用いて−100℃で厚さ100nmの超薄切片を切り出し、切り出した切片を4酸化ルテニウム(RuO)で染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、型式:JEM1200EXII型)で観察することにより、各成分の分散している形態を観察することができる。樹脂成分のうち、A成分がB成分よりも濃色に観察され、C成分は無染色でやや暗色に観察される。
本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂からなるA成分が海相になっているので、衝撃強度や寸法安定性に優れている。また、導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリルのC成分は、主に島相を構成するB成分中に存在するので、C成分を配合しても該樹脂組成物の流動性や衝撃強度の低下は小さい。さらに、導電性を発現するC成分は、主に島相を構成するB成分中に存在するにも拘わらず、該樹脂組成物自体又は成形品の導電性は非常に優れているという特異現象を発現することが、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物の大きな特徴である。
ここで、「主に」とは、C成分の半量以上が、好ましくは65%以上が、最も好ましくは85%以上が、B成分中に存在していることを意味する。C成分の半量以上をB成分中に分散させることによって、機械的強度、特に自動車の外板に必要な面衝撃強度や塗装性の優れた導電性熱可塑性樹脂組成物が得られる。
本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物においては、これを構成するA成分〜C成分、及び任意成分であるD成分の配合比率は、
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)51〜90重量部と
(B)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B成分)10〜49重量部
の合計100重量部からなる組成物に対し、
(C)比表面積(BET式窒素吸着法)が150〜1000m2/gの導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリル(C成分)0.1〜5重量部であることを必要とし、
必要に応じ(D)ゴム性重合体(D成分)0.5〜30重量部であることが好ましい。
A成分とB成分の配合比率は、A成分及びB成分の合計量100重量部中、A成分51〜90重量部、好ましくは55〜80重量部、B成分10〜49重量部、好ましくは20〜45重量部である。A成分が51重量部未満ではA成分が連続相にならないことがあり、その結果として樹脂組成物の導電性、寸法安定性や耐衝撃性が不足することがある。逆にB成分が10重量部未満になると、導電性を発現するC成分が主に存在するB成分の比率が少なくなるので、樹脂組成物の導電性が低下する。
C成分の配合比率は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜4.5重量部、より好ましくは1〜4重量部である。C成分が0.1重量部未満では樹脂組成物の導電性が不足し、C成分が5重量部を超えると樹脂組成物の流動性や耐衝撃性、外観が悪化する。また、D成分の配合比率は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。D成分が0.5重量部未満では樹脂組成物の耐衝撃性改良効果が小さく、30重量部を超えると樹脂組成物の耐熱性(荷重撓み温度)や剛性、寸法特性の低下が大きくなる。
本発明に係る導電性熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリへキシレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)樹脂、液晶ポリエステル等)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
本発明に係る導電性熱可塑性樹脂組成物は、前記A成分、B成分及びC成分を含有することが必須であるが、該樹脂組成物の寸法安定性、耐熱性を改良する目的で、さらにC成分以外の無機フィラーを含有することができる。本発明で使用される無機フィラーは、C成分以外の無機化合物の粉末である。粉末の形態は、球状、板状、針状、繊維状等いずれであってもよいが、最終的に得られる樹脂組成物の寸法安定性、耐熱性を向上させるためには、板状、針状、繊維状のものが好ましい。しかして、本発明において、無機フィラーの形状は、以下のように球状、板状、針状、繊維状とに明確に区別される。球状の場合は、真球状だけでなくある程度断面楕円状のものも含み、アスペクト比が1に近いものをさす。板状の場合は、板状の形状を呈してアスペクト比(板状粉の板状面における最長の長さ/板状粉の厚み)が2〜100の範囲のものをさす。針状の場合は、長さが100μm以下でアスペクト比(粒子長さ/粒子径)が2〜20の範囲のものをさし、繊維状の場合は、長さが100μmを超えるものをさす。これらは、電子顕微鏡写真により容易に区別することができる。
このような板状、針状、繊維状の無機フィラーの具体例を挙げれば、板状フィラーとしては、タルク等の珪酸マグネシウム、クレー、マイカ、黒鉛、セリサイト、モンモリロナイト、板状炭酸カルシウム、板状アルミナ、ガラスフレーク等があり、針状フィラーとしては、ウォラストナイト等の珪酸カルシウム、モスハイジ、ゾノトライト、チタン酸カルシウム、硼酸アルミニウム、針状炭酸カルシウム、針状酸化チタン、テトラポット型酸化亜鉛等があり、繊維状フィラーとしては、ガラス繊維、炭素繊維等がある。これら無機フィラーの中で、耐衝撃性、寸法安定性、流動性、製品外観のバランスの点で好ましいのは、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ウォラストナイト、ガラス繊維、炭素繊維であり、特に製品外観の点からはタルク、ウォラストナイトが好ましい。なお、本発明での無機フィラーに成分等の詳細については、例えば「フィラー活用事典」(フィラー研究会編、大成社、1994)等に記載されている。
これら無機フィラーの平均粒子径としては、板状、針状フィラーの場合は、好ましくは0.1〜25μmであり、より好ましくは0.5〜15μである。平均粒子径が0.1μm未満では補強効果が不充分となり易く、25μmを超えると製品外観に悪影響を与えやすいのでいずれも好ましくない。ここで平均粒子径とは、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instruments社製、モデル5100)を挙げることができる。また、繊維状フィラーの繊維径としては、好ましくは1〜15μmであり、繊維径が1μm未満では補強効果が不充分となり易く、15μmを超えると製品外観に悪影響を与えやすいのでいずれも好ましくない。なお、繊維状フィラーの繊維径は、電子顕微鏡写真により容易に測定することができる。
上記無機フィラーは、無処理のままであってもよいが、樹脂成分との親和性又は界面結合力を高める目的で、無機表面処理剤、高級脂肪酸又はそのエステル塩等の誘導体、アミノシラン、エポキシシラン等のカップリング剤等による表面処理、あるいは取扱い性を向上させる目的で、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等による集束処理を施して使用してもよい。表面処理する際には、非イオン・陽イオン・陰イオン型等の各種の界面活性剤や、各種の樹脂等の分散剤による処理を併せて行うと、機械的強度及び混練性の向上の観点から好ましい。また、タルク等の無機フィラーを原石から粉砕する際の製法は特に制限はないが、無機フィラーの取扱い性の点からは嵩密度を上げた凝集状態であるものが好ましく、脱気圧縮したものやバインダーを用いて顆粒化したものが好ましいものとして挙げられる。上記無機フィラーの配合比率は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、1〜60重量部、好ましくは5〜50重量部である。無機フィラーが1重量部未満では樹脂組成物の寸法安定性、耐熱性の改良効果が小さく、60重量部を超えると樹脂組成物の流動性、耐衝撃性、外観が悪化する。
さらに、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記成分以外に他の各種樹脂添加剤を含有するものであってもよい。各種樹脂添加剤としては、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、滑剤、相溶化剤、発泡剤、染顔料等を、一種又は二種以上添加含有させてもよい。
これら添加剤の中で、芳香族ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とのエステル交換反応を抑制するため、導電性熱可塑性樹脂組成物には、リン化合物からなる熱安定剤を含有させた方が好ましい場合もある。かかるリン化合物からなる熱安定剤としては、各種ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、及び下記式(1)で表される有機リン酸エステルを好ましく挙げることができる。
O=P(OR)n(OH)3−n (1)
(式中、Rは炭素数10〜30のアルキル基であり、nは1又は2である。)
ホスファイト化合物としては、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物が好ましく、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましいものとして挙げられる。ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイトが好ましいものとして挙げられる。
上記リン化合物からなる熱安定剤の配合量は、A成分とB成分の合計量100重量部に対し、0.5重量部以下、好ましくは0.3重量部以下、より好ましくは0.1重量部以下である。
本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物では、上記のような配合成分として適切なものを、適切な量配合することにより、後記の試験方法で、少なくとも次のスペックのいくつかを満たす樹脂組成物が、静電塗装自動車外装部品として最適である。
1)流動性が、Q値で10×10-2cc/s以上、好ましくは13×10-2cc/s以上
2)面衝撃強度が18J以上、好ましくは20J以上
3)耐熱性が、荷重撓み温度で125℃以上、好ましくは130℃以上
4)線膨張係数が8.0×10-5-1以下、好ましくは7.7×10-5-1以下
5)加熱収縮率が0.40%以下、好ましくは0.30%以下
6)導電性が、体積抵抗率で1×108Ωcm以下
なかでも、次のスペックを満たす樹脂組成物が、静電塗装の点で好適である。
1)荷重撓み温度が125℃以上(但し、測定法はASTM D648による)
2)加熱収縮率が0.40%以下(但し、測定法は100mmφ円盤状成形品(厚さ3mm)について、120℃の熱風オーブン内にて40分間エージングして評価した)
3)体積抵抗率が1×108Ωcm以下{但し、試験法は、ASTM2号ダンベル試験片(厚さ3.2mm)の平行部分を長さ50mmとなるように両端を切断し、切断により生じた両端面に銀ペーストを全面塗布し、室温で乾燥した後に、テスターで該両端面間の抵抗値(RL:単位Ω)を測定し、体積抵抗率R(単位:Ωcm)を、次式より算出した。
R=RL×AL/L
(式中、ALは、試験片の断面積(単位:cm)を、Lは、試験片の長さ(単位:cm)を意味する。)}
次に、A成分が連続相(海相)を構成し、C成分が主に不連続相(島相)を構成するB成分中に存在する本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物の調製方法は特に制限はないが、工業的観点からは、溶融・混練法が好ましい。
溶融混練の代表的な方法として、熱可塑性樹脂について一般に実用されている溶融混練機の使用が挙げられる。例えば、一軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等が挙げられ、溶融混練機で溶融混練した後、粒状化する。
具体的な方法としては、A成分、B成分及びC成分を、必要に応じてD成分とともに、予め混合して、溶融混練機に一括投入し、溶融混練して樹脂組成物を得る方法がある。しかし、A成分及びB成分を、必要に応じてD成分とともに、予め混合して、溶融混練機の上流部分に一括投入し、溶融混練し、続けて溶融混練機の中流以降の部分でC成分を投入して溶融混練させて、樹脂組成物を得る方法が導電性の点からより好ましい。また、C成分を予めA成分の少なくとも一部と溶融混練した中間組成物に、A成分の残部及びB成分を、必要に応じてD成分とともに、配合し、溶融混練して樹脂組成物を得るのも、導電性の点で好ましい方法である。
また、上記溶融・混練法によらずとも、適当な溶媒、例えば、ヘキサン、へプタン、べンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素、及びこれらの誘導体に、上記成分A〜成分Dを添加し、溶解する成分同士又は溶解する成分と不溶解成分を懸濁状態で混合する溶液混合法により、本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物を調製することも可能である。
本発明の導電性熱可塑性樹脂組成物から自動車外装部品等を製造する際には、従来から知られている熱可塑性樹脂の成形法によることができる。成形法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、中空成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法等が挙げられる。
以下に本発明を実施例によって、詳しく説明するが、本発明はこれらの範囲内に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において配合量は重量部を意味する。
実施例及び比較例の各樹脂組成物を得るに当たり、次に示す原料を準備した。
A成分
PC−1:ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ユーピロンS−3000FN、粘度平均分子量22,500(以下、PC−1と略す)。
PC−2:ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ユーピロンH−4000FN、粘度平均分子量15,500(以下、PC−2と略す)。
B成分
PET−1:ポリエチレンテレフタレート樹脂、三菱化学(株)製、ノバペップスGG500、温度30℃のフェノールとテトラクロロエタンとの1対1(重量比)混合液に1重量%の濃度に溶解して測定した固有粘度が0.76dl/g、末端カルボキシル基量15eq/t(以下、PET−1と略す)。
PET−2:ポリエチレンテレフタレート樹脂、三菱レイヨン(株)製、ダイヤナイトPA−200D、温度30℃のフェノールとテトラクロロエタンとの1対1(重量比)混合液に1重量%の濃度に溶解して測定した固有粘度が1.09dl/g、末端カルボキシル基量14eq/t(以下、PET−2と略す)。
B成分以外(比較例)
PBT−1:ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバデュラン5020−C、温度30℃のフェノールとテトラクロロエタンとの1対1(重量比)混合液に1重量%の濃度に溶解して測定した固有粘度が1.20dl/g(以下、PBT−1と略す)。
PBT−2:ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバデュラン5008−C、温度30℃のフェノールとテトラクロロエタンとの1対1(重量比)混合液に1重量%の濃度に溶解して測定した固有粘度が0.85dl/g(以下、PBT−2と略す)。
C成分
CB1:導電性カーボンブラック、ライオン(株)製、ケッチェンブラックEC、BET式窒素吸着法比表面積800m/g、ジブチルフタレート吸油量360ml/100g(以下、CB1と略す)。
PC/15BN:中空炭素フィブリル、ハイペリオン・カタリシス社製、PC/15BN、ポリカーボネート85%と外径15nm、内径5nm、長さ100〜10,000nmの中空炭素フィブリル(グラファイト・フィブリルBN)15%とを有するマスターバッチ(以下、PC/15BNと略す)。
PC/CB1:二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44、L/D=42)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数300rpmの条件にて、バレル1より上記PC−1/90重量部を押出機にフィードし溶融混練させ、さらにバレル7より上記CB/10重量部を押出機にフィードして溶融混練させてマスターバッチを作成した(以下、PC/CB1と略す)。
C成分以外(比較例)
CB2:導電性カーボンブラック、ライオン(株)製、ケッチェンブラックEC600JD、BET式窒素吸着法比表面積1270m/g、ジブチルフタレート吸油量495ml/100g(以下、CB2と略す)。
CB3:導電性カーボンブラック、三菱化学(株)製、三菱カーボンブラックMA100、BET式窒素吸着法比表面積110m/g、ジブチルフタレート吸油量100ml/100g(以下、CB3と略す)。
D成分
ゴム性重合体:ブタジエン(コア)/アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体、呉羽化学工業(株)製、パラロイドEXL2603(以下、ゴム重合体と略す)
その他成分
タルク:圧縮タルク、林化成(株)製、UPN HST0.5、一次(圧縮前)平均粒子径2.7μm(以下、タルクと略す)
リン化合物熱安定剤:有機リン酸エステル/式[O=P(OC1837(OH)3−n]、(n=1及び2の混合物)で表される化合物、旭電化工業(株)製、アデカスタブAX−71(以下、熱安定剤と略す)
[試験片の作製]
樹脂組成物を、射出成形機(東芝IS150)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃の条件で射出成形して、ASTM試験片及び100mmφ円盤状成形品(厚さ3mm)を作成した。
[評価方法]
(1)流動性(Q値)
高荷式フローテスターを用いて、280℃、荷重160kgf/cmの条件下で組成物の単位時間あたりの流出量Q値(単位:cc/s)を測定し、流動性を評価した。なお、オリフィスは直径1mm×長さ10mmのものを使用した。
(2)耐衝撃性
a.面衝撃強度
100mmφ円盤状成形品(厚さ3mm)について、次のようにして塗装を行った。
Vトップ(大日本塗料(株)製)80重量部にVトップ用硬化剤20重量部を加え、Vトップ用シンナー40重量部を加え希釈したものを、スプレーガン(アネスト岩田製W77)にて上記円盤状成形品表面に塗布した後、10分間室温で乾燥した後に熱風オーブンにて120℃40分間の焼き付けを行った。なお、塗膜の厚さは、約30μmとした。
この塗装した円盤状成形品について、ハイレート衝撃試験機(島津製作所製)を用いて、ポンチ径1/2インチ、サポート径3インチ、打ち抜き速度5m/sにて打ち抜き衝撃試験を行った。面衝撃強度(破壊エネルギー、単位:J)が大きい程、耐衝撃性に優れている。
さらに、打ち抜き衝撃試験における破壊様相について、破片の飛散がなく延性的な破壊のものを◎、破片の飛散がごくわずかであるものを○、破片の飛散があるものを△、破片が著しく飛散し脆性的な破壊のものを×として評価した。
b.Izod衝撃強度
ASTM D256に準拠して、厚み3.2mmのノッチ付き試験片を用いて、23℃において測定した。
(3)耐熱性(荷重撓み温度:DTUL)
ASTM D648に準拠して、0.45MPaにて熱変形温度(単位:℃)を測定した。
(4)寸法安定性(線膨張係数及び加熱収縮率)
a.線膨張係数
ASTM D696に準拠して線膨張係数(単位:K−1)を測定した。ただし、測定温度範囲は23〜80℃とした。
b.加熱収縮率
100mmφ円盤状成形品(厚さ3mm)について、120℃の熱風オーブン内にて40分間エージングして加熱収縮率(単位:%)を評価した。測定は、23℃にて行い、樹脂の流動方向、直角方向の寸法平均値について、エージング前後の寸法変化として求めた。この数値が小さいほど塗装時の加熱における寸法変化が小さいことを意味し、寸法安定性に優れる。
(5)導電性(体積抵抗率)
ASTM2号ダンベル試験片(厚さ3.2mm)の平行部分を長さ50mmとなるように両端を切断し、切断により生じた両端面に銀ペーストを全面塗布し、室温で乾燥した後に、テスターで該両端面間の抵抗値(RL:単位Ω)を測定し、体積抵抗率R(単位:Ωcm)を、次式より算出した。
R=RL×AL/L
(式中、ALは、試験片の断面積(単位:cm)を、Lは、試験片の長さ(単位:cm)を意味する。)
(6)外観
円盤状成形品の表面外観を目視にて観察し、凝集物のないものを○、凝集物が少しあるものを△、凝集物が多くあるものを×として評価した。
[ミクロ形態観察]
組成物のペレットから、クライオ装置(REICHERT−NSSEI FCS)を装着した超ミクロトーム(ライカ社製ULTRACUT CUT)で、ダイヤモンドナイフを用いて−100℃で厚さ100nmの超薄切片を作成し、表面を4酸化ルテニウム(RuO4)で染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、型式:JEM1200EXII型)によってミクロ形態を観察した。
[実施例1〜9及び比較例1〜8]
A成分、B成分、B成分以外及びD成分、その他成分を表1及び表2に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpmにてバレル1より押出機にフィードし溶融混練させ、さらにバレル7よりC成分、C成分以外を表1及び表2に示す割合にて押出機に途中フィードして溶融混練させて組成物を作製した。得られた物性を表1及び表2に示す。
[実施例10、11]
A成分、B成分、C成分(マスターバッチ)及びD成分を表1に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpmにてバレル1より押出機にフィードし溶融混練させて組成物を作製した。得られた物性を表1に示す。
[実施例12]
A成分、B成分、C成分及びD成分を表1に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数200rpmにてバレル1より押出機一括フィードし溶融混練させて組成物を作製した。得られた物性を表1に示す。
Figure 2005120323
Figure 2005120323
[実施例、比較例の説明]
(1) 実施例1〜12の組成物は、導電性に優れ、流動性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性及び外観のバランスに優れており、自動車外装部品等製造用の導電性熱可塑性樹脂組成物として好適である。
(2) B成分のポリエチレンテレフタレートをポリブチレンテレフタレートに代えた比較例1〜3の組成物は、実施例の組成物と比較して、導電性に劣り、耐熱性、寸法安定性にも劣ることがわかる。
(3) C成分のCB1を比表面積が本特許の範囲を超えるCB2に代えた比較例4の組成物は、流動性や外観に劣ることがわかる。
(4) C成分のCB1を比表面積が本特許の範囲未満のCB3に代えた比較例5の組成物は、導電性に劣ることがわかる。
(5) C成分の添加量が本特許の範囲から外れる比較例6の組成物は、実施例の組成物と比較して、流動性、耐衝撃性、外観に劣ることがわかる。
(6) A成分とB成分の配合比が本特許の範囲から外れる比較例7、8の組成物は、実施例の組成物と比較して導電性に劣り、比較例8の組成物は、耐衝撃性、寸法安定性、外観にも劣ることがわかる。
(7) ミクロ形態において、A成分が海相、B成分が島相を形成し、C成分が島相を形成するB成分中に主に存在する組成物は、導電性に優れ、耐衝撃性、寸法安定性、外観のバランスに優れることがわかる。

Claims (8)

  1. (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)51〜90重量部及び
    (B)ポリエチレンテレフタレート樹脂(B成分)10〜49重量部
    の合計100重量部からなる組成物に対し、
    (C)比表面積(BET式窒素吸着法)が150〜1000m2/gの導電性カーボンブラック及び/又は中空炭素フィブリル(C成分)0.1〜5重量部を配合してなることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物。
  2. A成分が連続相(以下、「海相」という)を構成し、B成分が不連続相(以下、「島相」という)を構成する、海−島構造のミクロ形態を有することを特徴とする請求項1記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  3. C成分が主に島相を構成するB成分中に存在することを特徴とする請求項2記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  4. C成分の導電性カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量が100〜450ml/100gの範囲のものであることを特徴する請求項1記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  5. (D)ゴム性重合体(D成分)を、A成分及びB成分の合計100重量部からなる組成物に対し、0.5〜30重量部の割合で配合してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 以下のスペックを満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
    1)荷重撓み温度が125℃以上(但し、試験法は、ASTM D648による)
    2)加熱収縮率が0.40%以下(但し、試験法は、100mmφ円盤状成形品(厚さ3mm)について、120℃の熱風オーブン内にて40分間エージングして評価した)
    3)体積抵抗率が1×10Ωcm以下{但し、試験法は、ASTM2号ダンベル試験片(厚さ3.2mm)の平行部分を長さ50mmとなるように両端を切断し、切断により生じた両端面に銀ペーストを全面塗布し、室温で乾燥した後に、テスターで該両端面間の抵抗値(RL:単位Ω)を測定し、体積抵抗率R(単位:Ωcm)を、次式より算出した。
    R=RL×AL/L
    (式中、ALは、試験片の断面積(単位:cm)を、Lは、試験片の長さ(単位:cm)を意味する。)}
  7. 予めA成分及びB成分を、必要に応じD成分とともに、溶融混練させ、その溶融混練物にC成分を配合し溶融混練させて得られたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
  8. C成分を予めA成分の少なくとも一部と溶融混練した中間組成物に、A成分の残部及びB成分を、必要に応じD成分とともに、溶融混練させて得られたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物。
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