JP2005116819A - 難燃性複合磁性シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来に増して高透磁率であり、また有害物質である難燃助剤を含有していない難燃性複合磁性シートの提供を目的とする。
【解決手段】 扁平な軟磁性粉末とその軟磁性粉末を結着する結合材とから成るシートであって、軟磁性粉末はシートの両内方向に配向し、かつ、10MHz以下の周波数域で測定したときの比透磁率が100以上である難燃性複合磁性シート。
【選択図】 なし
【解決手段】 扁平な軟磁性粉末とその軟磁性粉末を結着する結合材とから成るシートであって、軟磁性粉末はシートの両内方向に配向し、かつ、10MHz以下の周波数域で測定したときの比透磁率が100以上である難燃性複合磁性シート。
【選択図】 なし
Description
本発明は難燃性複合磁性シートに関し、更に詳しくは、高透磁率であり、また難燃助剤を用いることなくUL94規格のV−1以上の難燃性を備えている難燃性複合磁性シートに関する。
近年の通信機器や電子機器では、デジタル電子機器に代表されるようにクロック周波数の高周波数化が進んでいるが、そのことに伴ってノイズ電磁波の放射頻度が高まり、外部または内部干渉による機器それ自体の誤動作や周辺機器への悪影響などが発生している。
このような電磁波障害の発生を防止するために、適量の軟磁性粉末をゴムやプラスチックスのような結合材に分散・混合して成る各種の複合磁性シートが提案されている。
このような電磁波障害の発生を防止するために、適量の軟磁性粉末をゴムやプラスチックスのような結合材に分散・混合して成る各種の複合磁性シートが提案されている。
このような複合磁性シートは、準マイクロ波帯の電磁波に対して高い透磁率を示し、当該ノイズ電磁波を吸収してそのエネルギーを熱に変換し、電磁波ノイズの放射を抑制する。
その場合、複合磁性シートの透磁率と厚みの積が大きければ大きいほど、そのシートは、電磁波ノイズに対する抑制効果も大きくなるので、厚みが同一であるとすれば、磁性シートの透磁率が高ければ高いほど電磁波ノイズに対する抑制効果は大きくなる。
その場合、複合磁性シートの透磁率と厚みの積が大きければ大きいほど、そのシートは、電磁波ノイズに対する抑制効果も大きくなるので、厚みが同一であるとすれば、磁性シートの透磁率が高ければ高いほど電磁波ノイズに対する抑制効果は大きくなる。
このようなことから、複合磁性シートに関しては、その高透磁率化の検討が行われている。例えば、軟磁性粉末として扁平形状のものを用い、その扁平面をシートの面内方向に配向させることにより、透磁率を高めた複合磁性シートが提案されている(特許文献1を参照)。
ところで、上記したような複合磁性シートの製造に関しては、大別して、カレンダーロール圧延法と塗工法がある。
ところで、上記したような複合磁性シートの製造に関しては、大別して、カレンダーロール圧延法と塗工法がある。
カレンダーロール圧延法は、軟磁性粉末とゴムやプラスチックスのような結合材を所定の割合でニーダ混練し、得られた混練物を例えばカレンダーロールで所定厚みに圧延してシート化する方法である。
また塗工法は、ゴムやプラスチックスのような結合材を所定の溶剤に溶解し、得られた溶液に所定量の軟磁性粉末を混合して流動性に富むスラリーを調製し、このスラリーを例えばドクターブレードで所定厚みに塗工、乾燥してシート化する方法である。
また塗工法は、ゴムやプラスチックスのような結合材を所定の溶剤に溶解し、得られた溶液に所定量の軟磁性粉末を混合して流動性に富むスラリーを調製し、このスラリーを例えばドクターブレードで所定厚みに塗工、乾燥してシート化する方法である。
前者の方法の場合、軟磁性粉末を結合材で機械的に結着しているので、得られたシートの実測密度は高くなり、また軟磁性粉末として扁平な粉末を用いた場合には、当該粉末がシートの面内方向に配向する。
しかしながら、ニーダ混練時や混練物の圧延時に、軟磁性粉末に歪みが加わるため、得られたシートの透磁率は高くならないという問題がある。
しかしながら、ニーダ混練時や混練物の圧延時に、軟磁性粉末に歪みが加わるため、得られたシートの透磁率は高くならないという問題がある。
一方、後者の方法の場合、軟磁性粉末に歪みが加わらないので粉末それ自体の磁気特性は維持される。しかしながら、スラリー調製に際して溶剤が使用されているので、シート内には、その乾燥時にこの溶剤が揮散した根跡が空孔として残存しているので、シートの実測密度は低くなり、軟磁性粉末の実効的な充填割合は低下する。その結果、やはり得られたシートの透磁率は高くならないという問題がある。
なお、乾燥後のシートに熱プレスを行って残存気孔を押しつぶし、シートの実測密度を高めることも行われるが、熱プレスの条件によっては、軟磁性粉末に歪みが加わって透磁率の低下を招くこともある。
両者の方法を対比した場合、用いる軟磁性粉末の磁気特性を劣化させないという点では、後者の塗工法の方が好適であるといえる。しかし、塗工法では、製造された複合磁性シートに前記した残存気孔が発生して、その密度が低下し、軟磁性粉末の充填割合が低下し、その結果として透磁率の低下が引き起こされるので、塗工法を採用する場合には、この問題を解決することが必要になってくる。
両者の方法を対比した場合、用いる軟磁性粉末の磁気特性を劣化させないという点では、後者の塗工法の方が好適であるといえる。しかし、塗工法では、製造された複合磁性シートに前記した残存気孔が発生して、その密度が低下し、軟磁性粉末の充填割合が低下し、その結果として透磁率の低下が引き起こされるので、塗工法を採用する場合には、この問題を解決することが必要になってくる。
一方、複合磁性シートに対しては、高透磁率であることの外に、更には、耐熱性に優れ、実用上、難燃性を備えていることが要求される。
これは、最近の電子機器の実装回路は高密度化していて、その発熱量は増大し、機器温度の上昇傾向が進んでいるからである。また、何らかの原因で回路ががショートして発火する場合も起こり得るが、そのような場合であっても、磁性シートは発火しないことが必要とされるからである。
これは、最近の電子機器の実装回路は高密度化していて、その発熱量は増大し、機器温度の上昇傾向が進んでいるからである。また、何らかの原因で回路ががショートして発火する場合も起こり得るが、そのような場合であっても、磁性シートは発火しないことが必要とされるからである。
このようなことから、複合磁性シートには、通常、ハロゲン系やリン系の難燃剤を添加して難燃性を付与する対策が講じられている。
しかしながら、軟磁性粉末として例えばFe−Si−Al系粉末やFe−Ni系粉末のようなFe基合金粉末を用いた場合には、難燃剤の添加だけでは充分な難燃性を確保できないという問題がある。
しかしながら、軟磁性粉末として例えばFe−Si−Al系粉末やFe−Ni系粉末のようなFe基合金粉末を用いた場合には、難燃剤の添加だけでは充分な難燃性を確保できないという問題がある。
これは、Fe−Si−Al系粉末のようなFe基合金粉末は、通常、ガスアトマイズ法で製造されているが、表面酸化を抑制して粉末の透磁率を高めるために使用ガスの酸素濃度を低くすることが必要になり、そのため、得られた粉末の表面活性が大きくなっているからである。
このような問題に対しては、難燃剤に加えて更に、三酸化アンチモンや二酸化すずのような難燃助剤を添加することが行われている(特許文献1を参照)。
このような問題に対しては、難燃剤に加えて更に、三酸化アンチモンや二酸化すずのような難燃助剤を添加することが行われている(特許文献1を参照)。
しかしながら、これら難燃助剤は、発ガン性などが危惧されている物質でもあり、磁性シートの製造時や廃却時の取り扱いのことを考えれば使用することは好ましくない。
特開2002−158488号公報
本発明は、前記した塗工法で製造することを前提にした複合磁性シートであって、従来の複合磁性シートに比べて20%以上高い透磁率を有し、しかも難燃助剤を含有しないにもかかわらず、UL94規格でV−1以上の難燃性を備えている複合磁性シートの提供を目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明においては、扁平な軟磁性粉末と前記軟磁性粉末を結着する結合材とから成るシートであって、前記軟磁性粉末はシートの面内方向に配向し、かつ、10MHz以下の周波数域で測定したときの比透磁率が100以上であることを特徴とする難燃性複合磁性シートが提供される。
そして、この複合磁性シートの製造に際しては、前記結合材として、温度100℃におけるムーニー粘度が65以下である結合材が使用され、また軟磁性粉末としては、平均粒径が45μm以上であり、かつ、厚みが2μm以下である扁平な軟磁性粉末が使用されることが好ましい。
そして、この複合磁性シートの製造に際しては、前記結合材として、温度100℃におけるムーニー粘度が65以下である結合材が使用され、また軟磁性粉末としては、平均粒径が45μm以上であり、かつ、厚みが2μm以下である扁平な軟磁性粉末が使用されることが好ましい。
また、製造された複合磁性シートは、その実測密度が計算密度の65%以上であることを好適とする。
この複合磁性シートは、従来のシートの比べると大幅に透磁率が高くなっているので、従来シートより厚みを薄くしても電磁波障害に対して同等の抑制効果を発揮する。したがって、小型化が進む電子機器におけるノイズ対策部品として有用である。
また、有害物質である難燃助剤を用いることなくUL94のV−1以上の難燃性を備えているので、製造時や廃却時における作業負担が軽減する。
また、有害物質である難燃助剤を用いることなくUL94のV−1以上の難燃性を備えているので、製造時や廃却時における作業負担が軽減する。
本発明の複合磁性シートは、塗工法で製造されることを前提としており、スラリーの塗工−乾燥が終了した時点で、得られるシートを高密度化するという設計思想に基礎づけられて開発された複合磁性シートである。
シートの高密度化ということは、当該シートにおける残存気孔が少ないことを意味する。したがって、結合材の量が一定であるとすれば、軟磁性粉末の充填割合が大きく、その影響が有効に発現してシートの透磁率が高いということを意味する。
シートの高密度化ということは、当該シートにおける残存気孔が少ないことを意味する。したがって、結合材の量が一定であるとすれば、軟磁性粉末の充填割合が大きく、その影響が有効に発現してシートの透磁率が高いということを意味する。
また、残存気孔が少ないということは、当該気孔内に存在する空気量が少ないということであり、そのことは、空気酸化の発生確率が小さくなっていて、難燃性が向上しているということを意味する。
シートの高密度化は、上記したように、シートの高透磁率化と難燃化に寄与する。
本発明者らの研究によれば、実測密度が計算密度の65%以上であるシートは、軟磁性粉末が高充填されていて、シート内の残存気孔も少なく、また残留している溶剤の量も少なくなっているので、高透磁率であり、同時に難燃性も向上していることが判明した。
シートの高密度化は、上記したように、シートの高透磁率化と難燃化に寄与する。
本発明者らの研究によれば、実測密度が計算密度の65%以上であるシートは、軟磁性粉末が高充填されていて、シート内の残存気孔も少なく、また残留している溶剤の量も少なくなっているので、高透磁率であり、同時に難燃性も向上していることが判明した。
なお、ここでいう実測密度とは、シートの測定重量をシートの測定体積で除算した値のことである。また、ここでいう計算密度とは、シートを構成する物質の真比重とその物質を配合する割合から求める密度で、構成する物質以外のもの(空気など)を一切含まないものとした真の密度(理論上の密度)のことである。
本発明の複合磁性シートは、扁平な軟磁性粉末を結合材で結着して成る複合体シートである。したがって、充填されている軟磁性粉末はシートの面内方向に配向していて、全体としては層状にマトリックスである結合材の中に存在している。
本発明の複合磁性シートは、扁平な軟磁性粉末を結合材で結着して成る複合体シートである。したがって、充填されている軟磁性粉末はシートの面内方向に配向していて、全体としては層状にマトリックスである結合材の中に存在している。
そして、後述する形状特性の軟磁性粉末を用い、また後述する粘度の結合材を使用し、また、実測密度を上記した値にすることにより、この複合磁性シートは、10MHz以下の周波数域で測定したときの比透磁率が100以上と非常に高い値を示す。
軟磁性粉末としては、従来から用いられているものであれば何であってもよいが、高透磁率を実現させるという点で、Fe−Si−Al系粉末、Fe−Ni系粉末、またはそれらの混合粉末であることが好ましい。
軟磁性粉末としては、従来から用いられているものであれば何であってもよいが、高透磁率を実現させるという点で、Fe−Si−Al系粉末、Fe−Ni系粉末、またはそれらの混合粉末であることが好ましい。
また、例えばUL94のV−1以上という充分な難燃性を確保するためには、更に難燃剤が添加されていることを好適とする。ただし、環境問題との関係で難燃助剤を含有させることはない。
本発明で用いる軟磁性粉末は扁平形状をしている。具体的には、平均粒径が45μm以上、好ましくは55μm以上で、かつ厚みは2μm以下の箔片形状をしていることが好ましい。
本発明で用いる軟磁性粉末は扁平形状をしている。具体的には、平均粒径が45μm以上、好ましくは55μm以上で、かつ厚みは2μm以下の箔片形状をしていることが好ましい。
この条件を満たさず、平均粒径が小さすぎたり、また厚みが厚い粉末は、全体的な形状が球形に近づき、そのため反磁界の影響が出始めて製造したシートの透磁率が低くなる。
なお、ここでいう平均粒径とは、粉末を顕微鏡で観察し、粉末における最大径と最小径の算術和の平均値のことであり、また厚みとは、同じく粉末の最大厚みと最小厚みの算術和の平均値のことである。
なお、ここでいう平均粒径とは、粉末を顕微鏡で観察し、粉末における最大径と最小径の算術和の平均値のことであり、また厚みとは、同じく粉末の最大厚みと最小厚みの算術和の平均値のことである。
更に、この粉末は、1000回のタッピングを行ったときのタップ密度を、当該粉末の真密度(比重)で除算した値が0.09〜0.17となるような粉末であることが好ましい。
この値が0.09より小さい場合の粉末は、充填性に劣る粉末であって、後述するスラリーの塗工時に、得られたシートにおける充填割合が少なくなり、したがってシートの高密度化は実現されず、その透磁率が低下する。
この値が0.09より小さい場合の粉末は、充填性に劣る粉末であって、後述するスラリーの塗工時に、得られたシートにおける充填割合が少なくなり、したがってシートの高密度化は実現されず、その透磁率が低下する。
また、この値が0.17より大きい粉末の場合は、充填性が良好な粉末、具体的には球形に近い粉末になっていて、前記した平均粒径と厚みに関する値を満たしていない粉末である。そのため、得られたシートの透磁率も高い値にならない。
本発明で用いる粉末は、まず、所定組成の合金溶湯をガスアトマイズ法で粉末にし、ついでアトライタを用いて扁平形状にして製造することができる。このとき、アトライタの運転条件を適宜に選定することにより、上記した形状ファクタの扁平な粉末にすることができる。
本発明で用いる粉末は、まず、所定組成の合金溶湯をガスアトマイズ法で粉末にし、ついでアトライタを用いて扁平形状にして製造することができる。このとき、アトライタの運転条件を適宜に選定することにより、上記した形状ファクタの扁平な粉末にすることができる。
本発明で用いる結合材は、後述するスラリーの調製時点で、その粘度が100℃におけるムーニー粘度で65以下のものである。
この粘度が65より大きい結合材を用いると、得られるシートの実測密度は計算密度の65%より小さい値、すなわち低密度になってしまい、透磁率は低下する。
結合材としては、その粘度が上記値を満たすものであれば何を用いてもよいが、例えば塩素化ポリエチレン、クロロスルホル化ポリエチレン、SBR(スチレンブタジエンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、ウレタンゴム、アクリルゴムなどをあげることができる。これらのうち、塩素化ポリエチレンは、塩素を有していて自己消炎作用を備えているので、シートの難燃性を向上させるという点で好適である。
この粘度が65より大きい結合材を用いると、得られるシートの実測密度は計算密度の65%より小さい値、すなわち低密度になってしまい、透磁率は低下する。
結合材としては、その粘度が上記値を満たすものであれば何を用いてもよいが、例えば塩素化ポリエチレン、クロロスルホル化ポリエチレン、SBR(スチレンブタジエンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、ウレタンゴム、アクリルゴムなどをあげることができる。これらのうち、塩素化ポリエチレンは、塩素を有していて自己消炎作用を備えているので、シートの難燃性を向上させるという点で好適である。
本発明の複合磁性シートの製造に際しては、まず、結合材を溶剤に溶解して溶液を調製する。結合材として塩素化ポリエチレンを用いる場合、溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)などを用いることができる。
ついで、この溶液に軟磁性粉末の所定量を投入・撹拌して、粘稠なスラリーを調製する。このとき、粉末の投入量が多すぎると、スラリー粘度が高くなりすぎて塗工作業ができなくなり、また投入量が少なすぎると、粉末の充填割合が少なくなり、低透磁率のシートしか製造できない。このようなことから、粉末の投入量は、結合材100重量部に対して500〜800重量部とし、スラリー粘度を調製するために結合材と軟磁性粉末の合計重量に対し1.5〜4倍の溶剤を加えることが好ましい。
ついで、この溶液に軟磁性粉末の所定量を投入・撹拌して、粘稠なスラリーを調製する。このとき、粉末の投入量が多すぎると、スラリー粘度が高くなりすぎて塗工作業ができなくなり、また投入量が少なすぎると、粉末の充填割合が少なくなり、低透磁率のシートしか製造できない。このようなことから、粉末の投入量は、結合材100重量部に対して500〜800重量部とし、スラリー粘度を調製するために結合材と軟磁性粉末の合計重量に対し1.5〜4倍の溶剤を加えることが好ましい。
なお、充分な難燃性を発揮させるために、難燃剤を使用する場合には、この時点で溶液に難燃剤を添加すればよい。
添加量としては、シートに含まれる結合材を100重量部としたときに、10重量部以上となる量にすることが好ましい。10重量部より少ない量となるような添加量であると、UL94規格のV−1以上という難燃性を確実に実現できるか否かという点で不安が残るからである。
添加量としては、シートに含まれる結合材を100重量部としたときに、10重量部以上となる量にすることが好ましい。10重量部より少ない量となるような添加量であると、UL94規格のV−1以上という難燃性を確実に実現できるか否かという点で不安が残るからである。
また、結合材が例えば塩素化ポリエチレンである場合には、この時点で更に、硫黄を添加してもよい。塗工後のシートに加熱処理を施すことにより、硫黄の作用で、塩素化ポリエチレンの架橋反応が進み、得られたシートの強度が向上するからである。その場合の硫黄の添加量は、用いた結合材100重量部に対し1〜2重量部程度であればよい。
このようにして調製されたスラリーを、例えばドクターブレード法で所定の厚みに塗工したのち、乾燥して本発明の複合磁性シートが得られる。
このようにして調製されたスラリーを、例えばドクターブレード法で所定の厚みに塗工したのち、乾燥して本発明の複合磁性シートが得られる。
なお、塗工後、シートに熱圧プレスを施すことが好ましい。シートの高密度化が実現するとともに、結合材の架橋反応が進んでシートの高強度化も実現されるからである。
実施例1〜6,比較例1〜3
(1)軟磁性粉末の用意
表1で示した組成の合金溶湯をガスアトマイズ法で粉末にしたのち、それをアトライタで扁平化した。
各粉末につき、レーザー回折式粒度分布計(日機装(株)製のマイクロトラック9320HRA)を用いて平均粒径と厚みを測定した。
(1)軟磁性粉末の用意
表1で示した組成の合金溶湯をガスアトマイズ法で粉末にしたのち、それをアトライタで扁平化した。
各粉末につき、レーザー回折式粒度分布計(日機装(株)製のマイクロトラック9320HRA)を用いて平均粒径と厚みを測定した。
また、セイシン企業製のタップデンサーKYT−4000を用い、1000回タッピング後のタップ密度を測定した。そして、その値を、各粉末の真密度で除算した。
(2)シートの製造
塩素化ポリエチレン(塩素化率30%以上)を8倍の重量のトルエンで溶解してゴム液を調製した。用いた塩素化ポリエチレンのムーニー粘度は表1で示したとおりである。
(2)シートの製造
塩素化ポリエチレン(塩素化率30%以上)を8倍の重量のトルエンで溶解してゴム液を調製した。用いた塩素化ポリエチレンのムーニー粘度は表1で示したとおりである。
この結合材100重量部に対し、各軟磁性粉末を600〜800重量部(体積%で50%)となるように添加し、またヘキサブロモベンゼン(難燃剤)を表示の量添加して、最終的に、トルエンが結合材と軟磁性粉末の合計重量に対して3倍の重量となるように粘度調整して各種のスラリーを調製した。
各スラリーをドクターブレードを用いて乾燥後の厚み190μmに塗工し、ついで、温度160℃で20分間の熱圧プレスを行って、厚み100μmのシートを製造した。
各スラリーをドクターブレードを用いて乾燥後の厚み190μmに塗工し、ついで、温度160℃で20分間の熱圧プレスを行って、厚み100μmのシートを製造した。
(3)シートの特性評価
透磁率:各シートを外径7mm,内径3mmの円環に打ち抜き、得られた試験片に12ターンの巻線を施し、その試験片の周波数1MHzにおけるインダクタンスを測定し、その値から試験片の比透磁率を算出した。
なお、インダクタンスの測定には、アジレントテクノロジー社製のプレシジョンインピーダンスアナライザーHP4294Aを用いた。
透磁率:各シートを外径7mm,内径3mmの円環に打ち抜き、得られた試験片に12ターンの巻線を施し、その試験片の周波数1MHzにおけるインダクタンスを測定し、その値から試験片の比透磁率を算出した。
なお、インダクタンスの測定には、アジレントテクノロジー社製のプレシジョンインピーダンスアナライザーHP4294Aを用いた。
難燃性:UL94が定める垂直式試験法に準じて評価。
実測密度/計算密度:各試験片の重量を実測し、また寸法から体積を計算し、これらの値から実測密度を計算した。
一方、計算密度は、シートを構成する物質の真比重とその配合割合から求め、それは構成する物質以外のもの(空気など)を一切含まないものとした真の密度として求めた。
実測密度/計算密度:各試験片の重量を実測し、また寸法から体積を計算し、これらの値から実測密度を計算した。
一方、計算密度は、シートを構成する物質の真比重とその配合割合から求め、それは構成する物質以外のもの(空気など)を一切含まないものとした真の密度として求めた。
以上の結果を一括して表1に示した。
表1から以下のことが明らかである。
(1)実施例1〜4と比較例1〜3を対比して明らかなように、同じ組成の軟磁性粉末を用いても、実施例の磁性シートは、いずれも、実測密度/計算密度が70%以上と高密度化しており、比透磁率も100以上であるが、比較例の比透磁率は100より低い。
実施例は、比較例に比べて、比透磁率が20%以上高い値になっている。
(1)実施例1〜4と比較例1〜3を対比して明らかなように、同じ組成の軟磁性粉末を用いても、実施例の磁性シートは、いずれも、実測密度/計算密度が70%以上と高密度化しており、比透磁率も100以上であるが、比較例の比透磁率は100より低い。
実施例は、比較例に比べて、比透磁率が20%以上高い値になっている。
このようなことから、高透磁率の磁性シートを製造するためには、平均粒径が45μm以上で、かつ厚みが2.0μm以下の軟磁性粉末を用い、また結合材のムーニー粘度を低くすることの有用性が明らかである。
なお、比較例3は、ムーニー粘度の低い塩素化ポリエチレンを用いているので実測密度/計算密度が70%と高密度化しているが、軟磁性粉末は実施例の粉末のような形状特性ではなく、全体として扁平度の小さい粉末になっているので、比透磁率が低くなっている。
なお、比較例3は、ムーニー粘度の低い塩素化ポリエチレンを用いているので実測密度/計算密度が70%と高密度化しているが、軟磁性粉末は実施例の粉末のような形状特性ではなく、全体として扁平度の小さい粉末になっているので、比透磁率が低くなっている。
(2)また、比較例1と比較例2を対比すると、両者はいずれも実測密度/計算密度が小さいが、比較例1は三酸化アンチモン(難燃助剤)が添加されているので、その難燃性はUL94のV−0を満たしている。しかし、比較例2の場合は、難燃剤の添加量を増量したにもかかわらず、難燃助剤が添加されていないので、難燃性はNGである。
一方、実施例の磁性シートは、いずれも、難燃助剤を添加せず、また難燃剤の添加量が比較例2と同量であるにもかかわらず、難燃性はV−0を満たしている。
一方、実施例の磁性シートは、いずれも、難燃助剤を添加せず、また難燃剤の添加量が比較例2と同量であるにもかかわらず、難燃性はV−0を満たしている。
これは、磁性シートの実測密度/計算密度が70%以上であり、比較例1,2に比べて非常に高密度化しているからである。
本発明の複合磁性シートは、高透磁率であり、また難燃助剤を含有しないにもかかわらず難燃性に優れている。
したがって、この複合磁性シートは、携帯電話、デジタルカメラ、CD−RWなどの電子機器の電磁波ノイズを低減させる部材として利用することができる。
したがって、この複合磁性シートは、携帯電話、デジタルカメラ、CD−RWなどの電子機器の電磁波ノイズを低減させる部材として利用することができる。
Claims (8)
- 扁平な軟磁性粉末と前記軟磁性粉末を決着する結合材とから成るシートであって、前記軟磁性粉末はシートの面内方向に配向し、かつ、10MHz以下の周波数域で測定したときの比透磁率が100以上であることを特徴とする難燃性複合磁性シート。
- 前記シートは、前記軟磁性粉末と前記結合材の外に、難燃剤のみが、結合材100重量部に対し10重量部以上含有されている請求項1の難燃性複合磁性シート。
- 前記結合材として、温度100℃におけるムーニー粘度が65以下である結合材が使用される請求項1または2の難燃性複合磁性シート。
- 前記結合材には、架橋処理が施されている請求項1または2の難燃性複合磁性シート。
- 実測密度が、計算密度の65%以上の値になっている請求項1〜4のいずれかの難燃性複合磁性シート。
- 前記軟磁性粉末の平均粒径が45μm以上であり、かつ、厚みが2μm以下である請求項1〜5のいずれかの難燃性複合磁性シート。
- 前記軟磁性粉末は、そのタップ密度を真密度で除算した値が0.09〜0.17である請求項6の難燃性複合磁性シート。
- 前記軟磁性粉末が、Fe−Si−Al系粉末、Fe−Ni系粉末、またはそれらの混合粉末である請求項1〜7のいずれかの難燃性複合磁性シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003349759A JP2005116819A (ja) | 2003-10-08 | 2003-10-08 | 難燃性複合磁性シート |
Applications Claiming Priority (1)
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