JP2023165322A - 高周波磁性材料、これを用いた樹脂複合磁性体及び電磁波吸収フィルム - Google Patents

高周波磁性材料、これを用いた樹脂複合磁性体及び電磁波吸収フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 電磁波吸収性が高い高周波磁性材料、樹脂複合磁性体及び電磁波吸収フィルムを提供する。【解決手段】 平均粒径が40nm~150nm、変動係数が0.25以下であるニッケルナノ粒子からなることを特徴とする高周波磁性材料、これを含むポリイミド樹脂複合磁性体及び電磁波吸収フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、高周波磁性材料に関し、特に、ニッケルナノ粒子を用いた樹脂複合磁性体及び電磁波吸収フィルムに関する。
近年、パーソナルコンピューター(PC)、携帯電話器、携帯情報端末(PDA)、情報家電、高速道路情報システム等の電子機器において、1GHz以上の高周波数帯域の電磁波が利用される傾向にある。例えば日本では、第5世代移動通信システム(以下、単に「5G」ともいう。)向けに、「Sub6帯」と呼ばれる3.7GHz帯及び4.5GHz帯、「ミリ波」と呼ばれる28GHz帯という3つの周波数帯が割り当てられている。波長が短くなることにより大ボリュームのデータ送信が可能となる反面、電磁波ノイズの影響が大きく、正確なデータが受信できないために通信速度が低下するという問題がある。
そのため、前記ノイズの原因である高周波数帯域の電磁波を減衰させる機能を有する「電磁波シールド」が要求されている。
また、周波数帯域により個別の用途が存在し、それぞれに適した材料が開発されている。例えば、モバイル通信機器等において、1GHz~10GHzの電磁波に対する電磁波バリアー材料又は電磁波吸収材料に対する需要がある。
このような周波数帯域の電磁波ノイズに対して、発泡材料にナノ粒子化したカーボンブラックを混合した電磁波シールド材が提案されている(特許文献1)。しかしながら、このような材料の場合、容量が嵩むため、例えば、携帯電話の筐体などの狭い空間への用途には適さない。
このように、各種の材料が電磁波シールド材用途に開発されているが、性能面でさらなる改良が求められている。
特許文献2には、互いにその一部が結合している複数の平均粒径10nm以上50nm以下の磁性金属粒子を備える、平均粒径が15nm以上200nm以下の磁性金属粒子集合体を備えることを特徴とする電波吸収体が開示されている。しかしながら、磁性金属粒子集合体の粒径に関しては、平均粒径が記載されているのみであって、粒度分布の詳細には着目されていない。
特許文献3には、多孔質材料の微細孔中にナノサイズの粒子が内在していることを特徴とするナノ粒子分散材料、シート、積層体が開示され、発光材料の用途が記載されている。
特許文献4には、特定構造の繰り返し単位を有するポリイミド、導電性粒子、溶媒からなるポリイミド樹脂組成物が開示され、高耐熱性接合材料の用途が記載されている。
特許文献5には、分散性に優れ、凝集や沈降が生じにくい金属粒子及びその製造方法が開示され、接合材の用途が記載されている。
特開2017-135248号公報 特開2015-84409号公報 特開2005-139376号公報 特開2008-239959号公報 特開2018-109210号公報
本発明は、電磁波吸収性が高い高周波磁性材料を提供することを課題とする。特に、高周波電磁波に対し、効果的に吸収する電磁波吸収体、電磁波吸収フィルムを提供することを課題とする。
本発明者は、高周波磁性材料において、特定の平均粒径であり、かつ、粒度分布が小さいニッケルナノ粒子がきわめて効果的な特性を有し、利用可能であることを見出した。
本発明は、平均粒径が40nm~150nm、変動係数が0.25以下である粒径分布を有するニッケル粒子(以下、単に「ニッケルナノ粒子」ともいう)からなる高周波磁性材料に関する。
また、本発明は、前記ニッケルナノ粒子からなる高周波磁性材料、並びに、これを含む電磁波吸収体及び電磁波吸収フィルムに関する。
本発明において、平均粒径とは、走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したニッケルナノ粒子の画像について、面積を求め、これを真球に換算したときの粒子径(以下、単に「粒子径」という)を個数基準として算出される平均値を言う。SEMは、加速電圧15kV時の二次電子分解能が1.0nm以下である性能を有するものを使用する。
さらに、前記ニッケルナノ粒子のSEM画像における粒度分布の標準偏差を求め、得られた標準偏差を前記平均粒径で割った値を変動係数(CV)という。変動係数の数値が小さいほど粒度分布の分散が小さいことを表す。
本発明によれば、高周波電磁波吸収性が高い磁性材料が提供される。また、高周波電磁波吸収性能に優れた樹脂複合磁性体、電磁波吸収体及び電磁波吸収フィルムが提供される。
本発明の樹脂複合磁性体、電磁波吸収体及び電磁波吸収フィルムは、高周波電磁波吸収性に優れる。そのため、電磁波の散乱によるノイズの発生が抑制される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のニッケルナノ粒子は、微細なニッケル粒子からなり、平均粒径が40nm~150nmのナノ粒子である。好ましくは、ニッケルナノ粒子の含有量が比較的少ない状態でも、特に2.0~3.0GHzの領域で電磁波吸収性に優れるという観点から、平均粒径の好ましい下限は80nmである。また、平均粒径の好ましい上限は130nmである。
かつ、本発明のニッケルナノ粒子は、粒度分布の分散が小さいことを特徴とし、変動係数(CV)が0.25以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下であるナノ粒子である。
本発明のニッケルナノ粒子は、高周波電磁波を良好に吸収するので、高周波磁性材料として有用に利用される。
高周波磁性材料としてのニッケルナノ粒子において、粒度分布の分散が小さいことがきわめて重要である。通常のニッケルナノ粒子は、粒径分布に幅があり、平均粒径と比較して大粒径の粒子と小粒径の粒子を相当な存在割合で含有するものである。これに対し、本発明のニッケルナノ粒子は、平均粒径から離れた粒径の粒子の存在割合が少ないため、高周波電磁波に対する高い吸収性を発揮する。
本発明の特定された粒径を有するニッケルナノ粒子は、例えば、後述する方法により製造することができる。
本発明のニッケルナノ粒子は、例えば、下記の工程A及び工程Bからなる一連の工程により製造することができる。
工程A) ニッケル塩及びアミン化合物を混合してニッケル錯化反応液を得る工程
工程B) 得られたニッケル錯化反応液に有機金属化合物を加え、加熱する工程
[工程A]
工程Aは、ニッケル塩及びアミン化合物を混合して反応させ、ニッケル錯化反応液を得る工程である。
ニッケル塩としては、市販のニッケル塩を使用することができる。例えば、酢酸ニッケルなどの有機酸ニッケル塩や、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケルなどの無機酸ニッケル塩を挙げることができる。これらの中でも、炭素数が2~13のカルボン酸ニッケル塩を使用すると、ニッケルナノ粒子の粒子径や粒子径分布を制御しやすいので、好ましい。特に、酢酸ニッケルが好ましい。
アミン化合物としては、一級アミン又は二級アミンが用いられ、好ましくは一級アミンが用いられる。一級アミンは、ニッケルイオンと錯体を容易に形成することができ、ニッケルイオンの還元反応を効果的に行うことができるため、好ましい。
アミン化合物は、芳香族アミンであってもよいが、反応液におけるニッケル錯体形成の容易性の観点から、脂肪族アミンが好適である。脂肪族アミンは、その炭素鎖の長さを調整することによって生成するニッケルナノ粒子の分散性を制御することができ、分散性が要求される用途において有利である。炭素数が6~20の脂肪族アミンが、取り扱いの容易性及びニッケルナノ粒子の凝集の制御に優れるため、特に好適である。
好適なアミン化合物として、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミンを挙げることができる。オレイルアミン及びドデシルアミンは、金属粒子生成過程に於ける温度条件下において液体状態として存在するため均一溶液で反応を効率的に進行できるので特に好ましい。最も好ましくは、オレイルアミンである。
アミン化合物の使用量は、使用するニッケル塩のニッケルイオン等量以上が好ましく、ニッケルイオン等量の1.1倍以上が好ましく、ニッケルイオン等量の2倍以上がさらに好ましい。1級アミンの量が、ニッケル塩のニッケルイオン等量未満では、得られる金属粒子の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。アミン化合物の使用量の上限は臨界的ではないが、生産性の観点から、ニッケル塩のニッケルイオン等量の10倍以下とすることが好ましい。
工程Aにおいては、ニッケル塩とアミン化合物によって錯形成反応が起こり、ニッケル錯化物の溶液が形成される。
工程Aにおけるニッケル錯化反応液の形成条件、すなわち、ニッケル塩とアミン化合物の混合条件は、使用する原料に応じて適切な条件を選択すればよい。ここでは、カルボン酸ニッケルと一級アミンを用いる場合を例に挙げて説明する。
この場合、ニッケル錯化反応は、室温に於いても進行することができるが、十分且つ、より効率の良い錯形成反応を行うために、例えば100℃~165℃、好ましくは105℃~150℃の範囲内の温度に加熱して反応を行うことが好ましい。加熱温度は、好ましくは100℃を超える温度とし、より好ましくは105℃以上の温度とすることで、カルボン酸ニッケルに配位した水分子と一級アミンとの配位子置換反応が効率よく行われ、錯体配位子としての水分子を解離させることができ、さらにその水分子を蒸発させることができるので、効率よくアミンとの錯体を形成させることができる。
また、カルボン酸ニッケルとしてギ酸ニッケル二水和物を用いる場合は、室温ではニッケルイオン1個に対し2個の水と2個のギ酸基が配位した構造をとっているため、この2つの配位水と一級アミンとの配位子置換による錯形成を効率よく行うには、100℃を超える温度で加熱し、錯体配位子としての水分子を解離し、蒸発させることが好ましい。
加熱時間は、加熱温度や、各原料の含有量に応じて適宜決定することができる。加熱時間の上限は特にないが、不必要に長時間熱処理することは、本発明の効果を発現する高周波磁性材料を得ることはできるが、エネルギー消費及び工程時間を節約する観点では無駄である。
工程Aにおける加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射や超音波照射による加熱であってもよい。
工程Aにおいては、均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、アミン化合物とは別に有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒を用いる場合、ニッケル塩とアミン化合物の混合と同時に投入してもよいが、ニッケル塩及びアミン化合物を先に混合してニッケル錯化物を形成した後に有機溶媒を加えることが、より好ましい。
使用できる有機溶媒としては、金属塩と還元剤との錯形成を阻害しないものであれば良く、例えば炭素数4~30のエーテル系有機溶媒、炭素数7~30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒等を使用することができる。また、ニッケル錯化物形成反応を加熱条件下で行う場合、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましい。このような有機溶媒の具体例としては、テトラエチレングリコール、n-オクチルエーテル、ラウリルアルコールが挙げられる。
[工程B]
工程Bは、ニッケル錯化反応液に有機金属化合物を加え、加熱して、スラリー状のニッケルナノ粒子を得る工程である。工程Bにより、ニッケルイオンが還元され、粒子径の顕著に小さく揃ったニッケルナノ粒子を得ることができる。
工程Bにおいて使用される有機金属化合物は、求核試薬と同様の性質(求核性)を有し、ニッケル錯化物に作用するものが使用される。好ましい有機金属化合物として、ニッケルナノ粒子の粒子径や粒子径分布の制御しやすさ、安全性、簡便さ、生産性の観点から、アルカリ金属に、アルキル基、アルコキシ基等の有機基が結合したアルカリ金属系有機金属化合物、及び、アルカリ土類金属に、前記有機基が結合したアルカリ土類金属系有機金属化合物を挙げることができる。
有機金属化合物は、塩素、臭素、沃素等のハロゲン化物を含有するアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の有機金属ハロゲン化物であってもよい。以下、それぞれ、アルカリ金属系有機金属ハロゲン化物及びアルカリ土類金属系有機金属ハロゲン化物ともいう。アルカリ金属系有機金属ハロゲン化物はアルカリ金属系有機金属化合物の一形態であり、アルカリ土類金属系有機金属ハロゲン化物はアルカリ土類金属系有機金属化合物の一形態である。以下、アルカリ土類金属系有機化合物及びアルカリ土類金属系有機金属ハロゲン化物を総称して、単に「有機金属化合物」ともいう。
アルカリ金属系有機金属化合物を構成するアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムを挙げることができ、反応性が高いリチウムを含有する有機リチウムが好適に用いられる。
また、アルカリ土類金属系有機金属化合物を構成するアルカリ土類金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムを挙げることができ、反応性が良いマグネシウムを含有する有機マグネシウムハロゲン化物が好適に用いられる。
有機金属化合物は、有機溶媒によって希釈した希釈溶液として用いることが好ましい。有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ヘキサン、トルエン、シクロヘキサン、ジブチルエーテル等の非プロトン性有機溶媒が好ましい。希釈溶液の濃度に制限はないが、微量で粒子径に影響する場合は低濃度の方が制御し易いので好ましい。
これらのうち、安価で汎用的なn-ブチルリチウム及びフェニルリチウムに例示されるアルカリ金属系の有機金属化合物が好適に用いられる。特に、これらのトルエン溶液やn-ヘキサン溶液が、安全性及び簡便さの観点から特に好適である。
また、アルカリ土類金属系有機金属化合物として、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、2-ブチルマグネシウムクロリド-塩化リチウム錯体、ブチルマグネシウムブロミドが好適に用いられ、これらのテトラヒドロフラン溶液が特に好適に用いられる。
有機金属化合物の添加量は、目的とする粒子径に応じて選定される。具体的には、本有機金属化合物の添加量は、以下に例示するとおりである。
例えば、酢酸ニッケルとオレイルアミンを混合して得られたニッケル錯体(ニッケル錯化反応液)と、2N-エチレンマグネシウムクロリドテトラヒドロフラン(エチレンマグネシウムクロリド18重量%含有)溶液を用いて、ニッケルナノ粒子を形成する場合、ニッケル100重量部に対してエチレンマグネシウムクロリドとして0.01重量部から5重量部の範囲内を添加することが好ましい。この場合、添加量が0.01重量部未満であると、ニッケル粒子が微粒子化する効果が小さく、ニッケル粒子の粒子径分布が大きくなる傾向にある。また、添加量が5重量部を超えると、ニッケル粒子の微粒子化に寄与せず不純物となるエチレンマグネシウムクロリドが、増える傾向にある。
また、例えば、酢酸ニッケルとオレイルアミンを反応させたニッケル錯体に、本有機金属化合物として2.0mol/Lフェニルリチウムのブチルエーテル溶液(フェニルリチウム20重量%含有)を用いてニッケルナノ粒子を形成する場合、ニッケル100重量部に対してフェニルリチウムとして0.02重量部から5重量部の範囲内を添加することが好ましい。この場合、添加量が0.02重量部未満であるとニッケル粒子が微粒子化する効果が小さく、ニッケル粒子の粒子径分布が大きくなる傾向にある。また、添加量が5重量部を超えるとニッケル粒子の微粒子化に寄与せず不純物となるフェニルリチウムが、増える傾向にある。
工程Bでは、有機金属化合物は、ニッケル錯化反応液を加熱する前に添加される。すなわち、有機金属化合物は、工程Aで金属塩及び還元剤を混合した直後に添加してもよいし、金属塩及び還元剤を混合し、水分を除去した後に添加してもよい。有機金属化合物は、水分によって失活し効果を失い易いことから、工程Aで金属塩及びアミン化合物を混合し、好ましくは水分を除去した後、ニッケル錯化反応液を加熱する直前に添加することが好ましい。
有機金属化合物を添加することによって、金属粒子の粒子径を顕著に小さくすることができる。その作用機構は未だ明らかではないが、おそらく、求核性を有する有機金属化合物が、ニッケル錯体に作用し、金属核の生成を促すものと推測される。吸湿の影響により効果が失活すると、粒度分布の制御が困難になるため、工程Bで、ニッケル錯化反応液を加熱する直前に有機金属化合物を添加することが好ましい。
有機金属化合物が添加されたニッケル錯化反応液は、高温に加熱される。高温加熱の温度は、所望のニッケルナノ粒子の粒子径、粒子径分布等によって異なるが、通常は170℃~250℃、好ましくは180℃~240℃、より好ましくは190℃~230℃である。高温加熱によって、ニッケル錯化物が転化されてニッケルナノ粒子を生成する反応が促進される。
加熱時間は、加熱温度や、各原料の含有量に応じて適宜決定することができる。加熱時間の上限は特にないが、不必要に長時間熱処理することは、本発明の効果を発現する高周波磁性材料を得ることはできるが、エネルギー消費及び工程時間を節約する観点では無駄である。
工程Bにおける加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射や超音波照射による加熱であってもよい。
工程Bにおいて、ニッケルナノ錯化反応液に、微小な種粒子を添加することが好ましい。これにより、種粒子の表面にさらにニッケルナノ層を形成し、種粒子よりも粒子径の大きいニッケルナノ粒子を得ることができる。種粒子を構成する金属種は、ニッケルであっても、ニッケルとは異なる金属であっても良い。種粒子の製造方法は限定しないが、ニッケルナノ粒子の粒子径及び粒子径分布の制御しやすさの観点から、本発明のニッケルナノ粒子の製造方法によって得られたニッケルナノ粒子を使用することが好ましい。
また、ニッケルナノ粒子の分散性、耐熱性、触媒作用、電気伝導性などの機能が要求される場合に、得られたニッケルナノ粒子に対し、その使用目的に応じて、分散剤や異種金属、導電性を有する無機・有機物質などの添加剤をニッケルナノ粒子の生成を阻害しない範囲内で添加することができる。
なお、工程Bにおいて、ニッケル錯化反応液に有機金属化合物を加え、加熱する代わりに、マイクロ波照射や超音波照射による加熱によりニッケルイオンを還元し、ニッケルナノ粒子を得ることもできる。より好ましくは上記のとおり、ニッケル錯化反応液に有機金属化合物を加え、加熱する方法である。
以上のようにして、ニッケルナノ粒子を含有するスラリーを得ることが出来る。なお、得られたニッケルナノ粒子のスラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、乾燥状態のニッケルナノ粒子を取得することができる。製造されたニッケルナノ粒子は、ニッケル原子を90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは97重量%以上含有する。また、製造されたニッケルナノ粒子は、ニッケル原子を好ましくは99.9重量%以下、より好ましくは99.8重量%以下含有する。
本発明のニッケルナノ粒子には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が微量含まれることが好ましい。ニッケルナノ粒子に含まれるアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属は、添加する有機金属化合物の量によって異なるが、高周波誘導結合プラズマ質量分析(ICP質量分析)法による測定値が、0.1mg/kg以上、2,000mg/kg以下の範囲で含まれることが好ましい。より好ましい下限は、0.3mg/kgであり、さらに好ましくは0.5mg/kgである。また、より好ましい上限は1,800mg/kgであり、さらに好ましくは1,000mg/kgであり、特に好ましくは100mg/kgであり、最も好ましくは10mg/kgである。
前記したニッケルナノ粒子の製造方法によって、平均粒子径が40nm~150nm、好ましくは80nm~130nmのニッケルナノ粒子を、粒子径分布の指標である変動係数が0.25以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15以下の偏差で取得することができる。
本発明のニッケルナノ粒子の平均粒子径及び変動係数は、ニッケル塩からニッケルナノ粒子を製造する際、前記の工程A及び/又は工程Bの操作条件を調整することにより、制御することができる。
本発明のニッケルナノ粒子は、高周波電磁波の吸収性に優れた高周波磁性材料である。本発明のニッケルナノ粒子は、1GHz~10GHzの、特に1GHz~3GHzの高周波電磁波に対する吸収性が高いので、電磁波吸収材料の用途に好適に適用できる。
本発明のニッケルナノ粒子は、樹脂や無機材料などのバインダーと混合・成形され、電波吸収体として用いられる。特に、樹脂と複合化した樹脂組成物とすることにより、樹脂複合磁性体とすることができる。
すなわち、本発明の一つは、本発明のニッケルナノ粒子と樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂複合磁性体である。
本発明の樹脂複合磁性体は、ニッケルナノ粒子の集合体よりも磁性損失が高く、高周波電磁波ノイズを吸収し、電子機器の誤動作等の不具合の発生を低減させる電磁波吸収材料である。
本発明の樹脂複合磁性体は、1GHz~10GHzの、特に1GHz~3GHzの高周波電磁波に対する吸収性が高いので、電磁波吸収材料の用途に好適に適用できる。
樹脂複合磁性体としての樹脂組成物を構成する樹脂には、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル-ブタジエン系ゴム、スチレン-ブタジエン系ゴム、ポリアミド樹脂、ポリイミド系樹脂、及びそれらの共重合体に例示される熱可塑性樹脂、並びに、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂に例示される熱硬化性樹脂が使用される。これらの樹脂は、1種で用いることも、2種以上混合して使用することもできる。さらに架橋剤を加えることもできる。
以上の中でも、ポリアミド樹脂及びポリイミド系樹脂が、樹脂複合磁性体を金属基板と積層して電磁波吸収体とする際、良好な密着性が得られるので、好ましい。
ここで、本発明に使用されるポリアミド系樹脂としては、公知のものを挙げることができる。例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ-ω-アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ-ω-アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーが挙げられる。また、共重合ポリアミド系樹脂としては、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω-アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ-P-フェニレンテレフタルアミドや、ポリ-P-フェニレン・3-4’ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド、非晶性ポリアミド、これらのポリアミド系樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウムアジペートが含まれる。これらの末端変性ポリアミド系樹脂も使用できる。
また、本発明に使用されるポリイミド系樹脂とは、樹脂を構成する主鎖の繰り返し単位にイミド結合を有する樹脂、又はその前駆体(「ポリアミド酸」、「ポリアミック酸」ともいう。)である。前記繰り返し単位がイミド結合とアミド結合の組み合わせであってもよい。より好ましくは、電磁波吸収フィルムとしての機械的物性に優れるという観点から、樹脂を構成する主鎖の繰り返し単位中にイミド結合を80%以上有する樹脂であることが好ましい。
樹脂複合磁性体を構成する樹脂組成物には、さらに架橋剤、シランカップリング剤、難燃剤などを適量加えることが好ましい。
樹脂複合磁性体を形成する樹脂組成物に配合されるニッケルナノ粒子は、樹脂組成物全体に対し、好ましくは70~93質量%である。より好ましい下限値は80質量%である。また、より好ましい上限値は90質量%である。
樹脂複合磁性体の厚みは、2~10μmが好ましく、4~8μmがより好ましい。前記厚みを採用することにより、電磁波吸収性と機械的物性を両立させることができる。
樹脂複合磁性体の作製方法は、特に限定されないが、例えばニッケルナノ粒子と、樹脂と溶媒とを混合してスラリーとし、塗布後、乾燥することで作製することができる。また、ニッケルナノ粒子と樹脂との混合物をプレスして、シート状あるいはペレット状の他、任意の形状に成型してもよい。
本発明の樹脂複合磁性体は、各種の機能性シートと積層することにより、さらに電磁波吸収性に優れた電磁波吸収体とすることができる。積層構造にすることによって容易に厚膜化することが可能になるのみならず、高周波磁気特性を向上させることが可能となる。
特に、本発明の樹脂複合磁性体上に金属基板を積層することができる。金属基板の好適な例として、アルミニウム、銅、銀、金、ステンレス鋼等の箔が挙げられる。電磁波吸収体としての電磁波遮蔽性およびコストの面から、ステンレス鋼からなる金属基板すなわちステンレス基板が特に好ましい。更に、フェライト基板やパーマロイ基板などの磁性を有するステンレス基板が好ましい。
すなわち、本発明の一つは、樹脂複合磁性体からなる層がステンレス基板上に積層されてなる電磁波吸収体である。
本発明の電磁波吸収体において、樹脂複合磁性体は、吸収層を構成する。吸収層は、電磁波吸収性、特に高周波に対する電磁波吸収性を有する層である。
具体的には、樹脂複合磁性体を厚さ100μm以下のシート状に形成し、このシート状樹脂複合磁性体を厚さ100μm以下のステンレス基板に積層する。シート状樹脂複合磁性体とステンレス基板を互いに複数枚積層することもできる。このような積層構造によって、高周波磁気特性が向上する。
シート状樹脂複合磁性体の厚さを100μm以下にすることによって、面内方向に高周波磁場を印加した時に、反磁界の影響を小さくすることができ、透磁率を増大させることが可能になるのみならず、透磁率の高周波特性が向上する。積層方法は特に限定されないが、シート状樹脂複合磁性体とステンレス基板を重ねてプレスなどの方法で圧着したり、加熱、焼結させたりすることによって積層することができる。
さらに、本発明の電磁波吸収体においては、樹脂複合磁性体の金属基板とは反対側に絶縁層を設けることが好ましい。
すなわち、本発明の一つは、電磁波吸収体の樹脂複合磁性体上に絶縁層が積層されてなる電磁波吸収フィルムであり、前記樹脂複合磁性体が本発明のニッケルナノ粒子を含む樹脂組成物からなる。
絶縁層により波吸収体を保護し、電磁波吸収フィルムとしての安全性、実用性を高めることができる。
電磁波吸収積層シートを構成する絶縁層は、絶縁性樹脂組成物からなり、表層の絶縁性を確保する層である。絶縁層を構成する樹脂には、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル-ブタジエン系ゴム、スチレン-ブタジエン系ゴム、ポリアミド樹脂、ポリイミド系樹脂、及びそれらの共重合体に例示される熱可塑性樹脂、並びに、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂に例示される熱硬化性樹脂が使用される。これらの樹脂は、1種で用いることも、2種以上混合して使用することもできる。さらに架橋剤を加えることもできる。
絶縁層の厚みは、1~100μmが好ましく、2~50μmがより好ましい。前記厚みを採用することにより、表層の絶縁性と機械的物性を両立させることができる。
本発明の電磁波吸収体の金属基板上には、所望により保護層を設けることができる。保護層により、金属基板層の保護および電磁波吸収体の絶縁性を確立することができる。保護層を構成する樹脂には、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル-ブタジエン系ゴム、スチレン-ブタジエン系ゴム、ポリアミド樹脂、ポリイミド系樹脂、及びそれらの共重合体に例示される熱可塑性樹脂、並びに、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂に例示される熱硬化性樹脂が使用される。これらの樹脂は、1種で用いることも、2種以上混合して使用することもできる。さらに架橋剤を加えることもできる。
保護層を形成する樹脂には、チタン白などの着色剤やシランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤などを配合することが好ましい。
保護層の厚みは、20~200μmが好ましく、50~100μmがより好ましい。前記厚みを採用することにより、衝撃保護性と機械的物性を両立させ、実用性を高めることができる。
本発明の電磁波吸収フィルムは、1GHz~10GHzの、特に1GHz~3GHzの高周波域において優れた電磁波吸収特性を示すものである。そのため、該高周波磁性材料を用いた高周波磁性部品において、優れた高周波特性を示す。本発明の電磁波吸収フィルムは、例えば、電子機器や部品の筐体、CMOSセンサ、レーダー、インダクタ、チョークコイル、フィルター、トランスや電磁波吸収体などの高周波域で使用される高周波磁性部品に好適である。
(実施例1)
6000gのオレイルアミンに2466gの酢酸ニッケル四水和物を加え、窒素フロー下で140℃、4時間加熱することで錯化反応液1(ニッケルイオン濃度;7.5重量%)を得た。
600gの錯化反応液1に0.119gのフェニルリチウムの約20%ブチルエーテル溶液(約2.0mol/L、富士フィルム和光純薬株式会社製)を添加し、窒素フロー下でマントルヒーターを用いて220℃まで加熱し、20分間保持し、生成する混合物を遠心分離し、キシレンで洗浄することによって、平均粒子径43.2nmのニッケルナノ粒子スラリー液を得た。得られたニッケルナノ粒子の平均粒子径及びそのCV値を表1に示す。
得られた固形分濃度約20wt%ニッケルナノ粒子キシレンスラリー液25gに、分散剤Lubrizol社製SOLSPERESE13240を0.5g加えてニッケルナノ粒子に分散性を付与した後、N,N-ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)にて溶媒置換を3回行うことによって過剰な分散剤を除去した、固形分濃度80%のニッケルナノ粒子DMAcスラリー液を得た。このスラリー溶液に固形分濃度12wt%ポリアミド酸樹脂(m-トリジン/1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン/無水ピロメリット酸/3,3‘,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物=90/10/90/10)を3.46g添加して、ミキサー(株式会社シンキー製、商品名ARE-250T)を用いて混錬し、ペースト化した。
得られたペーストを平滑なステンレス基板に塗布し、電気オーブンにて150℃~360℃まで段階的に加熱硬化させて、厚さ0.070mmの薄膜状のポリイミド樹脂組成物を得た。得られたポリイミド樹脂組成物において、ニッケルナノ粒子の含有量は、67容量%であり、ニッケルナノ粒子とポリイミド樹脂の配合比率は、質量比で89.2/10.8であった。
得られたポリイミド樹脂組成物から試験片を切り出し、周波数を変化させて複素透磁率を測定した。複素透磁率の最大値及びその際の周波数、並びに、周波数1.0GHz及び2.0GHzにおける複素透磁率を表1に示す。得られたポリイミド樹脂組成物は、高周波電磁波の吸収性に優れた樹脂複合磁性体であった。
なお、ニッケルナノ粒子の平均粒子径の測定方法、樹脂組成物の複素透磁率の測定方法は、後述する方法によった。
(実施例2)
実施例1と同様の平均粒子径43.2nmのニッケルナノ粒子スラリー液を用いて、ニッケルナノ粒子とポリイミド樹脂の配合比率を89.2/10.8質量比に変えた他は、実施例1と同様に操作して、厚さ0.050mmの薄膜状のポリイミド樹脂組成物を得、複素透磁率を測定した。複素透磁率の最大値及びその際の周波数、並びに、周波数1.0GHz及び2.0GHzにおける複素透磁率を表1に示す。得られたポリイミド樹脂組成物は、高周波電磁波の吸収性に優れた樹脂複合磁性体であった。
(実施例3)
フェニルリチウムの約20%ブチルエーテル溶液の添加量を0.098gとした他は、実施例1と同様に操作して、平均粒子径52.8nmのニッケルナノ粒子スラリー液を得た。得られたニッケルナノ粒子の平均粒子径及びそのCV値を表1に示す。
得られたニッケルナノ粒子とポリイミド樹脂の配合比率を84.7/15.3質量比とした他は、実施例1と同様に操作して、厚さ0.060mmのポリイミド樹脂組成物を得、複素透磁率を測定した。複素透磁率の最大値及びその際の周波数、並びに、周波数1.0GHz及び2.0GHzにおける複素透磁率を表1に示す。得られたポリイミド樹脂組成物は、高周波電磁波の吸収性に優れた樹脂複合磁性体であった。
(実施例4)
フェニルリチウムの約20%ブチルエーテル溶液を無添加とした他は、実施例1と同様に操作して、平均粒子径107.3nmのニッケルナノ粒子スラリー液を得た。得られたニッケルナノ粒子の平均粒子径及びそのCV値を表1に示す。
得られたニッケルナノ粒子とポリイミド樹脂の配合比率を84.7/15.3質量比とした他は、実施例1と同様に操作して、厚さ0.044mmのポリイミド樹脂組成物を得、複素透磁率を測定した。複素透磁率の最大値及びその際の周波数、並びに、周波数1.0GHz及び2.0GHzにおける複素透磁率を表1に示す。得られたポリイミド樹脂組成物は、高周波電磁波の吸収性に優れた樹脂複合磁性体であった。
(比較例1)
フェニルリチウムの約20%ブチルエーテル溶液の添加量を6gとした他は、実施例1と同様に操作して、平均粒子径15.4nmのニッケルナノ粒子スラリー液を得た。得られたニッケルナノ粒子の平均粒子径及びそのCV値を表1に示す。
得られたニッケルナノ粒子とポリイミド樹脂の配合比率を89.2/10.8質量比とした他は、実施例1と同様に操作して、厚さ0.100mmのポリイミド樹脂組成物を得、複素透磁率を測定した。複素透磁率の最大値及びその際の周波数、並びに、周波数1.0GHz及び2.0GHzにおける複素透磁率を表1に示す。
(比較例2)
比較例1と同様の平均粒子径15.4nmのニッケルナノ粒子スラリー液を用いて、ニッケルナノ粒子とポリイミド樹脂の比率を91.7/8.3質量比に変えた他は、実施例1と同様に操作して、厚さ0.120mmのポリイミド樹脂組成物を得、複素透磁率を測定した。複素透磁率の最大値及びその際の周波数、並びに、周波数1.0GHz及び2.0GHzにおける複素透磁率を表1に示す。
(比較例3)
600gの錯化反応液1に実施例4で得られたニッケルナノ粒子キシレンスラリー液を10g加えた他は、実施例1と同様に操作して、平均粒子径158.2nmのニッケルナノ粒子スラリー液を得た。得られたニッケルナノ粒子の平均粒子径及びそのCV値を表1に示す。
得られたニッケルナノ粒子とポリイミド樹脂の配合比率を84.7/15.3質量比とした他は、実施例1と同様に操作して、厚さ0.110mmのポリイミド樹脂組成物を得、複素透磁率を測定した。複素透磁率の最大値及びその際の周波数、並びに、周波数1.0GHz及び2.0GHzにおける複素透磁率を表1に示す。
(比較例4)
実施例1で得たニッケルナノ粒子を使用し、ポリアミド酸樹脂の配合量を減じて94.3/5.7質量比とした他は、実施例1と同様に操作した。しかし、加熱硬化時にステンレス基板から剥離が生じ薄膜状のポリイミド樹脂組成物を形成することができず、実用的な樹脂複合磁性体としては不適であった。
(比較例5)
ニッケルナノ粒子を配合しなかった他は、実施例1と同様に操作して、ポリイミド樹脂の試験片を得、複素透磁率を測定した。複素透磁率の最大値及びその際の周波数、並びに、周波数1.0GHz及び2.0GHzにおける複素透磁率を表1に示す。
[平均粒子径の測定方法]
SEM(走査電子顕微鏡:日立ハイテク(株)製、商品名 Regulus8100)を使用して、試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個の画像を抽出してそれぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として一次粒子の平均粒子径を算出した。また、変動係数(CV値)は、(標準偏差)÷(平均粒子径)によって算出した。CV値が小さいほど、粒子径が揃っていて粒子径分布幅が狭いことを示す。
[複素透磁率の測定方法]
複素比透磁率測定装置(キーコム(株)製、商品名ベクトルネットワークアナライザー Keysight ENA E5071C)を使用して、樹脂組成物の試験片に高周波電磁波を周波数0.1GHz~8.5GHzの間で変動させつつ照射して複素透磁率を測定し、複素透磁率の最大値及びその際の周波数を求めた。同時に、周波数を1.0GHz又は2.0GHzに固定して高周波電磁波を照射した際の複素透磁率を求めた。なお、複素透磁率の値が大きいほど、樹脂組成物の電磁波吸収性が高いことを示す。
Figure 2023165322000001
本発明のニッケルナノ粒子は、高周波磁性材料、樹脂複合磁性体、電磁波吸収体、電磁波吸収フィルム等の使用形態として、電磁波吸収材用途に利用できる。

Claims (4)

  1. 平均粒径が40nm~150nm、変動係数が0.25以下であるニッケル粒子からなることを特徴とする、高周波磁性材料。
  2. 請求項1に記載の高周波磁性材料、及び、ポリアミド樹脂又はポリイミド系樹脂を含み、前記高周波磁性材料の樹脂組成物全体に対する含有量が70~93質量%である樹脂組成物からなる樹脂複合磁性体。
  3. 請求項2に記載の樹脂複合磁性体からなる層がステンレス基板上に積層されてなる電磁波吸収体。
  4. 請求項3に記載の電磁波吸収体の樹脂複合磁性体上に絶縁層が積層されてなる電磁波吸収フィルム。
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