JP2005281783A - ノイズ抑制用軟磁性粉末、その製造方法及びそれを用いたノイズ抑制シート - Google Patents

ノイズ抑制用軟磁性粉末、その製造方法及びそれを用いたノイズ抑制シート Download PDF

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【課題】 従来より薄いシートで効果的なノイズ対策が出来る、虚部透磁率μ”の大きなノイズ抑制用軟磁性粉末、その製造方法及びそれを用いたノイズ抑制シートを提供すること。
【解決手段】 Fe−Si−Alを含む軟磁性合金粉末をアスペクト比が5〜100となるように扁平状に加工した扁平状軟磁性粉末からなり、その扁平状軟磁性粉末は粉末表面に酸化層が形成されており、内部にはDO構造が形成されて、X線回折における格子反射(002)の回折線と格子反射(111)の回折線が共に存在するノイズ抑制用軟磁性粉末を用いる。 その製造方法においては熱処理の保持温度を500〜900℃とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子機器において発生する不要電磁波の外部への漏洩や内部回路間での干渉、また外部電磁波による誤動作等の影響を防止するために装着するシート状ノイズ抑制部品若しくは電磁干渉抑制体に用いられるノイズ抑制用軟磁性粉末、その製造方法及びそれを用いたノイズ抑制シートに関する。
通信機器や各種電子機器から意図せずに電磁波が外部に放射、伝送されたり、外部及び内部干渉による機器自身の誤動作などを起こしたりする、EMIやイミュニティに関する問題は、最近の最新技術、ディジタル技術の進化に伴い、ますます高周波帯域へ移行している。
また、電子機器、電子装置の軽量化、薄型化及び小型化も急速に進み、回路への電子部品の実装密度も飛躍的に高くなってきており、部品間や回路基板間の電磁干渉に起因する電磁障害が発生する可能性が極めて高くなっている。
前記のような不要電磁波の発生や漏洩、相互干渉による誤動作の対策として、磁石等の磁場発生源が他の電気回路等に影響を与えないようにするための実部透磁率μ’の高い磁性材料を用いた磁気シールド材や、ノイズ伝送線路にチョークコイルやフィルタを挿入したりする方法がなされている。
このような対策の一つとして、結合材中に軟磁性粉末を配向分散させたシート状ノイズ抑制部品(電磁干渉抑制体)を、電子部品や回路の近傍に配置する方法が提案され、実用化されている。このノイズ抑制部品は透磁率の損失項である磁気共鳴に起因する項、すなわち虚部透磁率μ”を利用しており、特許文献1や特許文献2等で開示している。このシート状ノイズ抑制部品は、前記のような構成であるため、加工性や実装性に優れ、広汎な用途に適合し、極めて実用性が高いものとなっている。
前記ノイズ抑制部品には主に扁平状金属粉末が使用されているが、その理由は粉末厚みを薄くすることによって渦電流を抑制することができ、金属粉末自体の高い磁化成分によって高い透磁率を高周波帯域でも実現できるからである。また、扁平形状に由来する形状異方性によって新しい磁気共鳴が発現し、広帯域に大きな虚部透磁率が存在するため、広い周波数帯域でノイズ抑制効果が得られるからである。
しかしながら、近年の装置の小型化、軽量化及び多機能化への要求は、より高まりつつあり、ノイズ対策のための部品実装がますます困難になってきている。これに対し、前記のシート状ノイズ抑制部品は、厚さが0.3〜1.0mmのものが主流であり、前記の要求に必ずしも十分に対応できなくなってきている。これは、一般的なシート状ノイズ抑制部品の性能がその虚数部比透磁率の大きさとシート厚さの積で決まるため、それよりも薄くすると効果が十分期待できなくなるためである。
特許3401650号公報 特許3404618号公報
この状況にあって、本発明は小型化、軽量化及び多機能化がなされ、高速動作する通信機器や電子機器などの電子回路からのノイズ対策に有効な磁性体を提供することを目的とするものである。より詳しくは、本発明は従来よりも薄い厚みでも効果的なノイズ対策が出来る、虚部透磁率μ”の大きなノイズ抑制用軟磁性粉末、その製造方法及びそれを用いたノイズ抑制シートの提供を目的とする。
本発明によれば、アスペクト比が5〜100の扁平状でありFe−Si−Alを含む軟磁性合金粉末の表面に酸化層を具備し、かつX線回折における格子反射(002)の回折線と格子反射(111)の回折線が共に存在することを特徴とするノイズ抑制用軟磁性粉末が得られる。
また本発明によれば、前記扁平状軟磁性粉末は、Siを8〜11wt%、Alを4〜7wt%含有するFe合金からなることを特徴とするノイズ抑制用軟磁性粉末が得られる。
また本発明によれば、前記扁平状軟磁性粉末を構成するDO相の平均格子定数は0.565〜0.570nmであることを特徴とするノイズ抑制用軟磁性粉末が得られる。
また本発明によれば、前記扁平状軟磁性粉末の酸素含有量は0.2〜0.5wt%であることを特徴とするノイズ抑制用軟磁性粉末が得られる。
また本発明によれば、前記ノイズ抑制用軟磁性粉末を結合材中に分散させてなることを特徴とするノイズ抑制シートが得られる。
また本発明によれば、前記結合材中に分散された状態での前記扁平状軟磁性粉末のX線回折強度が、格子反射(004)の回折線の高さをA、格子反射(220)の回折線の高さをBとするとき、A>Bの関係にあることを特徴とするノイズ抑制シートが得られる。
また本発明によれば、Fe−Si−Alを含む軟磁性合金粉末をアスペクト比が5〜100となるように扁平化処理を施し不活性ガス雰囲気中で熱処理を施すことを特徴とするノイズ抑制用軟磁性粉末の製造方法が得られる。
また本発明によれば、前記熱処理の保持温度が500〜900℃であることを特徴とするノイズ抑制用軟磁性粉末の製造方法が得られる。
上記解決手段の詳細について作用を含めて説明する。高周波での磁気損失の大きな磁気損失体を不要輻射源の近傍に配置することで、半導体素子や電子回路などから発生する不要輻射を効果的に抑制することが可能である。このような磁気損失を利用した不要輻射減衰の作用機構については、最近の研究から不要輻射源となっている電子回路に対して等価的な抵抗成分が付与されることによることがわかっている。ここで、等価的な抵抗成分の大きさは、虚部透磁率μ”の大きさに依存する。したがって、より大きな不要輻射の減衰を実現するためには、大きなμ”をもつ材料が必要となる。
(DO構造)Fe−Si、Fe−Al、Fe−Si−AlのようなFe−Si−Alを含む合金はDO構造という規則格子を生成することができ、この結晶構造によって透磁率特性を向上させられることが知られている。図2にDO規則格子を示す。4つの体心立方格子からなり、白い球で表された11はFe原子、灰色の球で表された12は体心位置にあるFe原子、黒い球で表された13はSi又はAl原子である。このDO構造は熱処理によって生成することができ、熱処理温度200℃でDO構造の生成が認められている。さらに熱処理温度を上げることによってその生成度合いは増加し、熱処理温度500℃付近で規則格子が整えられ始める。このことはX線回折(XRD)によって確認することができ、その様子を図3に示す。同図において、21は熱処理なし、22は300℃熱処理、23は400℃熱処理、24は500℃熱処理、25は700℃熱処理、26は900℃熱処理の場合を示す。このように300℃〜400℃でDO構造の生成を示す格子反射(002)の回折線がCuターゲットの場合、2θ=31°の近傍に現われ、熱処理温度500℃で規則格子が整えられていることを示す格子反射(111)の回折線が、2θ=27°の近傍に現われている。さらに熱処理温度700℃では格子反射(111)の回折線が大きくなっており、その他の回折線も半値幅が小さくなって急峻なピークとなっており、粉末内の結晶構造が非常によく整っていることを示している。このことに対応し、図1に示す透磁率特性では、熱処理温度が上がるにつれて虚部透磁率が大きくなる。図1において、31は熱処理なしの試料、32は200℃熱処理試料、33は300℃熱処理試料、34は400℃熱処理試料、35は500℃熱処理試料、36は600℃熱処理試料、37は700℃熱処理試料、38は800℃熱処理試料における、それぞれの透磁率特性を示した。
DO構造に関して、シールド用Fe−Si−Cr軟磁性粉末については特開平09−027694号公報に開示されており、ここでは600℃までの熱処理温度で十分であるとしているが、本発明者は熱処理時の昇温条件を不活性ガス雰囲気中で2時間以上と、長い時間をかけることで発火しない条件を見出した。また、Al量を制御することによって焼結する問題を解決したことにより、高い温度での熱処理を可能とし、本発明ではこれまでよりもさらに高い透磁率特性を実現している。熱処理温度600℃以上では透磁率特性は緩やかに上昇しているが、900℃を超えると一部焼結が始まってしまい好ましくない。従って、熱処理の保持温度としては500〜900℃が好ましい。
(格子定数)DO構造の格子定数は、扁平化の進行により粉末内部の組成ずれが生じるために変化する。図4にその一例を示す。この粉末の扁平化処理前の組成はSi:9.6wt%−Al:5.9wt%−Fe:bal.(残部)である。扁平化を進めると格子定数は一度減少し、その後増加していく傾向である。
格子定数が減少していく時間帯では、初期粉末と扁平粉が混在している状態であり、平均アスペクト比は5未満の小さい値をとる。ここで、アスペクト比とは粉末粒径をR、粉末厚みをtと仮定した場合、R/tで表わした値である。アスペクト比が5未満の小さい値のとき、虚部透磁率μ”は渦電流損失により周波数に対して緩やかに立ち上がる分散形となり、ノイズ抑制部品(電磁干渉抑制体)としての性能が好ましくない。
その後、単調増加し始めると、粉末群のほとんどが扁平粉となる。熱処理を施してDO構造を生成した時の格子定数が0.565nm以上になると、安定して高い透磁率特性が得られる。しかし、格子定数が0.570nmを超えると、粉末表面積が増加することに起因して表面酸化層にSi、Alの酸化物が形成され、粉末母組成のSi、Alが不足することによりDO構造が生成できなくなる。このために熱処理による高い透磁率特性が得られにくくなる。アスペクト比から見ると、100を超えるとき、このような状況となる。
(表面酸化層)本発明のようなノイズ抑制部品(電磁干渉抑制体)では主に金属磁性粉末が使用されているが、金属磁性粉末は一般的にその抵抗率が小さい。金属磁性粉末を結合材中に分散した時に、粉末を高充填させると粉末同士が接触することがあり、この場合、接触箇所の厚みが見かけ上表皮深さよりも厚くなり、渦電流損失が発生するためにノイズ抑制性能が悪化してしまうことがある。また、このようなノイズ抑制部品を電子回路上などに配置するとその部分が短絡してしまう恐れがある。本発明ではこれらのことを改善するために、粉末表面を積極的に酸化させ、表面抵抗を上げた。また、熱を加えながら酸化させるとAl、Siが優先的に酸化し、抵抗値をさらに上げることができる。酸化方法は特に制限しないが、本発明では大気中50℃で20分間放置した。これによりシート状ノイズ抑制部品の表面抵抗値は酸化層を施していないものと比べて2〜4桁大きくなった。酸素含有量は0.2wt%以上で十分効果が得られる。これ以下の場合、扁平粉末は表面積が大きいので通常でも0.1wt%程度の酸素を含有しているため、大きな効果を得られない。しかし過剰な酸化処理を行うと、抵抗値はさらに増加するが、Al、Siの多くが酸化物となってしまいDO構造を生成しにくくなることと、粉末内部の磁性相まで酸化されてしまうことがあるために、酸化層は、酸素の含有量で表したとき、0.5wt%以下、好ましくは0.4wt%以下であることが望ましい。
(組成)粉末組成は上述したように、扁平粉の表面積の違いにより磁性相に存在するSi、Alの量が変動するため、組成ずれを生じることにより扁平粉の磁性相は出発原料組成よりもFeが過剰になる。DO構造生成のためには、Fe、Si、Alのバランスが重要であるため、出発原料組成の制御をする必要がある。Siを8〜11wt%、Alを4〜7wt%含み、残部がFe及び不可避不純物の範囲にあるとき、より好ましくはSiを9.0〜10.5wt%、Alを4.5〜6.5wt%含み、残部がFe及び不可避不純物の範囲にあるとき、熱処理を施してDO構造を多く生成した状態で特に虚部透磁率μ”が高い。この範囲をはずれると、磁気特性は従来にあるようなμ”あるいは従来よりも低い値となる。特にAl量が少なすぎると熱処理時に粉末の焼結が起こりうる。
粉末を構成するFe、Si、Alに加えて、さらに添加原子が加えられてもよい。添加する材料には特に制限がなく、必要に応じて何種類でも添加してもよい。
以上説明したように、本発明のノイズ抑制用磁性粉末を用いたノイズ抑制シートは、従来よりもさらに高い虚部透磁率を有しているために、これまでよりも高いノイズ抑制効果を得られており、本発明の磁性粉末によれば、ノイズ成分をさらに効果的に減衰できるノイズ抑制シートが得られる。
本発明に使用できる磁性体は鉄アルミ珪素合金である。これを粉砕、延伸〜引裂加工あるいはアトマイズ造粒等により粉末化したものをボールミル等のメディア撹拌型粉砕機により扁平状に加工した粉末を用いる。また、この粉末を焼鈍処理したものを用いる。
本発明のノイズ抑制シートを得るための副材料として用いる結合材には、電子回路近傍での利用を考慮し、優れた可撓性及び難燃性を得ることができる塩素化ポリエチレンが好適であるが、それ以外に用いることのできる有機結合材としては、樹脂、エラストマー、ゴムがあり、より具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、シリコーンゴム等の熱可塑性樹脂あるいはそれらの共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミド系樹脂及びイミド系樹脂等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。
この結合材中に前記軟磁性粉末を配向分散させて、その複合磁性体からなる本発明のノイズ抑制シートを得る。
以上述べた本発明に必須の構成要素である磁性粉末と結合材を混練、分散しノイズ抑制部品を得る手段には特に制限がなく、用いる結合材の性質や工程の容易さを基準に好ましい方法を選択すればよい。
以下、本発明について、いくつかの実施例に基づき具体的に説明する。
まず、水アトマイズ法により作製した原料磁性体を用いた実施例を示す。水アトマイズ法により作製した平均粒径45μmの鉄アルミニウム珪素(10wt%Si−5.5wt%Al−残部Fe及び不可避不純物)合金粉末を用意し、この粉末をn−ヘキサンと共にサンドグラインドミルに投入して12時間摩砕した後、酸化処理を施し、Arガス雰囲気下にて850℃で3時間焼鈍処理し、扁平状粉末を得た。この扁平状粉末の平均アスペクト比は25であり、X線回折より格子反射(111)、(002)が共に観察され、この時の格子定数は0.5673nmであった。この扁平粉末を表1の配合比にて軟磁性体ペーストに配合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱処理を施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い、本発明の実施例1の試料を得た。
Figure 2005281783
同様に材料組成の異なる粉末を作製し、実施例1と同様な方法で実施例2〜4を得た。
次に出発原料として9.5wt%Si−6.0wt%Al−残部Fe及び不可避不純物からなる鉄アルミニウム珪素合金インゴットを用意し、これをスタンプ粉砕して平均粒径が40μmの不定形状をもつ粗粉末を得た。得られた不定形状を有する鉄アルミニウム珪素合金粗粉末をn−ヘキサンと共にサンドグラインドミルに投入して25時間摩砕した後、酸化処理を施し、Arガス雰囲気下にて750℃で2時間焼鈍処理し、扁平状粉末を得た。この扁平状粉末の平均アスペクト比は18であり、X線回折より格子反射(111)、(002)が共に観察され、この時の格子定数は0.5691nmであった。この扁平粉末を表2の配合比にて軟磁性体ペーストに配合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱処理を施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い、本発明の実施例5の試料を得た。
Figure 2005281783
同様に材料組成の異なる粉末を作製し、実施例5と同様な方法で実施例6〜9を得た。
次に本発明の効果を従来技術と比較検証するための比較例を示す。
出発原料として7.5wt%Si−9.0wt%Al−残部Fe及び不可避不純物からなる鉄アルミニウム珪素合金インゴットを用意し、これをスタンプ粉砕して平均粒径が40μmの不定形状をもつ粗粉末を得た。得られた不定形状を有する鉄アルミニウム珪素合金粗粉末をn−ヘキサンと共にサンドグラインドミルに投入して16時間摩砕した後、酸化処理を施し、Arガス雰囲気下にて650℃で1時間焼鈍処理し、扁平状粉末を得た。この扁平状粉末の平均アスペクト比は26であり、X線回折より格子反射(111)、(002)が共に観察され、この時の格子定数は0.5658nmであった。この扁平粉末を表2の配合にて軟磁性体ペーストを作製し、これをドクターブレード法により製膜し、熱処理を施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い、本発明の比較例1の試料を得た。
また、出発原料として9.8wt%Si−6.1wt%Al−残部Fe及び不可避不純物からなる鉄アルミニウム珪素合金インゴットを用意し、これをスタンプ粉砕して平均粒径が20μmの不定形状をもつ粗粉末を得た。得られた不定形状を有する鉄アルミニウム珪素合金粗粉末をn−ヘキサンと共にサンドグラインドミルに投入して20時間摩砕した後、酸化処理を施し、窒素ガス雰囲気下にて450℃で2時間焼鈍処理した。この扁平状粉末の平均アスペクト比は37であり、X線回折により格子反射(002)は観察されたが、格子反射(111)は観察されなかった。この時の格子定数は0.5724nmであった。この扁平粉末を表2の配合にて磁性体ペーストを配合し、これをドクターブレード法により製膜し、熱処理を施した後に85℃にて24時間キュアリングを行い、本発明の比較例2の試料を得た。
同様に比較例3の試料も表3のとおりに作製した。
以上の実施例と比較例の、製法、組成、アスペクト比、熱処理条件、格子反射(111)と(002)、格子定数、酸素含有量、及び虚部透磁率を表3にまとめて示す。
Figure 2005281783
表3から分かるように、実施例1〜9の試料については、格子反射(110)及び(002)がいずれも観察され、虚部透磁率は24〜37の大きな値が得られた。それに対して、比較例1〜3では、虚部透磁率は14〜19となった。特に比較例2では格子反射(111)を観察することができず、比較例3では格子反射(111)のX線回折強度が微弱であり、ノイズとの区別が困難であった。
ここまで、X線回折強度については、扁平状軟磁性粉末からの格子反射(002)及び(111)について説明したが、結合材中に分散された状態での前記扁平状軟磁性粉末のX線回折強度について、すなわちノイズ抑制シートからのX線回折強度について新たに説明する。軟磁性粉末の扁平処理時には(100)面が出るように扁平粉が生成しており、シート成形時にはこの扁平粉末を配向させるが、bcc構造(体心立方構造)は元来(110)方向に優先配向するのであるが、配向性が良いと(100)配向が強くなり、格子反射(004)の回折線の高さをA、格子反射(220)の回折線の高さをBとすると、A>Bとなる。この状態の方が異方性エネルギーは安定となるため透磁率特性が高く、優れたノイズ抑制シートとなる。
虚部透磁率の熱処理温度依存性を示す図。 Fe−Si−Al合金の規則格子であるDO構造を示す図。 X線回折強度と熱処理温度の関係を示す図。 DO構造の格子定数と扁平化時間との関係を示す図。
符号の説明
11 Fe原子
12 体心位置にあるFe原子
13 Si又はAl原子
21 熱処理なし
22 300℃熱処理
23 400℃熱処理
24 500℃熱処理
25 700℃熱処理
26 900℃熱処理
31 熱処理なしの試料
32 200℃熱処理試料
33 300℃熱処理試料
34 400℃熱処理試料
35 500℃熱処理試料
36 600℃熱処理試料
37 700℃熱処理試料
38 800℃熱処理試料

Claims (8)

  1. アスペクト比が5〜100の扁平状でありFe−Si−Alを含む軟磁性合金粉末の表面に酸化層を具備し、かつX線回折における格子反射(002)の回折線と格子反射(111)の回折線が共に存在することを特徴とするノイズ抑制用軟磁性粉末。
  2. 前記扁平状軟磁性粉末は、Siを8〜11wt%、Alを4〜7wt%含有するFe合金からなることを特徴とする請求項1に記載のノイズ抑制用軟磁性粉末。
  3. 前記扁平状軟磁性粉末を構成するDO相の平均格子定数は0.565〜0.570nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のノイズ抑制用軟磁性粉末。
  4. 前記扁平状軟磁性粉末の酸素含有量は0.2〜0.5wt%であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のノイズ抑制用軟磁性粉末。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のノイズ抑制用軟磁性粉末を結合材中に分散させてなることを特徴とするノイズ抑制シート。
  6. 前記結合材中に分散された状態での前記扁平状軟磁性粉末のX線回折強度が、格子反射(004)の回折線の高さをA、格子反射(220)の回折線の高さをBとするとき、A>Bの関係にあることを特徴とする請求項5に記載のノイズ抑制シート。
  7. Fe−Si−Alを含む軟磁性合金粉末をアスペクト比が5〜100となるように扁平化処理を施し不活性ガス雰囲気中で熱処理を施すことを特徴とするノイズ抑制用軟磁性粉末の製造方法。
  8. 前記熱処理の保持温度が500〜900℃であることを特徴とする請求項7に記載のノイズ抑制用軟磁性粉末の製造方法。
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