JP7202333B2 - 圧粉磁心及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、FeSiAl合金粉末を備えた圧粉磁心及びその製造方法に関する。
リアクトルは、ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池車の駆動システム等をはじめ、種々の用途で使用されている。このリアクトルのコアとして、例えば、圧粉磁心が使用される。圧粉磁心は、軟磁性粉末を加圧成形して成形体を作製し、この成形体を熱処理することで形成される。軟磁性粉末としては、例えば、FeSiAl合金粉末が用いられ、FeSiAl合金粉末の周囲は絶縁層で被覆されて用いられることがある。
圧粉磁心は、エネルギー交換効率の向上や低発熱などの要求から、エネルギー損失が小さいという磁気特性が求められる。エネルギー損失に関する磁気特性とは、具体的には鉄損(Pcv)である。鉄損(Pcv)は、ヒステリシス損失(Ph)と、渦電流損失(Pe)の和で表される。
特開2007-013072号公報
従来から軟磁性粉末の粒子内に歪が発生すると、軟磁性粉末の保磁力が高まり、ヒステリシス損失が増加するといわれている。そこで、軟磁性粉末を例えば、900℃といった高温で熱処理を行って、軟磁性粉末の粒子内の歪を除去し、ヒステリシス損失の低減を図っていた。しかし、近年では、リアクトルの用途の多様化に伴って、圧粉磁心についても更なるヒステリシス損失、ひいては鉄損の低減が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ヒステリシス損失、ひいては鉄損の低減を図ることができる圧粉磁心及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、FeSiAl合金粉末を加圧形成して成形体を作製し、この成形体を熱処理した後の格子定数が、ヒステリシス損失に影響を及ぼしていることを見出した。具体的には、格子定数が大きくすると、ヒステリシス損失が低減するという知見を得た。
また、本発明の圧粉磁心の製造方法は、FeSiAl合金粉末を熱処理する粉末熱処理工程と、前記粉末熱処理工程を経た前記FeSiAl合金粉末を所定の形状の成形体に成形する加圧成形工程と、前記加圧成形工程を経た成形体を熱処理する成形体熱処理工程と、を含み、前記成形体熱処理工程では、酸素濃度が0.1%以上21%以下の酸化雰囲気下で熱処理を行い、前記成形体熱処理工程後におけるDO3構造の格子定数が、5.7015Å以上であること、を特徴とする。
本発明によれば、ヒステリシス損失、ひいては鉄損の低減を図ることができる圧粉磁心及びその製造方法を提供することにある。
格子定数とヒステリシス損失の関係を示すグラフである。
以下、本実施形態に係る圧粉磁心の構成及び製造方法について説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
(構成)
圧粉磁心は、例えば、リアクトルが備えるコアとして用いられる磁性体である。圧粉磁心は、絶縁層によって周囲を被覆された軟磁性粉末を加圧成形して成形体を形成し、この成形体を焼鈍することで形成される。
圧粉磁心は、焼鈍後(後述する成形体熱処理工程後)に測定される格子定数が5.7015Å以上である。ここでいう格子定数とは、焼鈍された圧粉磁心が有するDO3構造の格子定数を指す。格子定数は、リーベルト解析法によるX線回折によって算出される。格子定数を5.7015Å以上にすることで、ヒステリシス損失を低減することができ、その結果、鉄損の低減を図ることができる。なお、格子定数は、5.7016Å以上5.7034Å以下であることがより好ましい。
軟磁性粉末としては、FeSiAl合金粉末を用いる。FeSiAl合金粉末は、ガスアトマイズ法又は水ガスアトマイズ法により作製されるガスアトマイズ粉又は水ガスアトマイズ粉である。
軟磁性粉末であるFeSiAl合金粉末の周囲には、絶縁層が形成されている。絶縁層は、絶縁材料から成り、この絶縁材料がFeSiAl合金粉末の周囲に付着している。絶縁層がFeSiAl合金粉末の周囲に介在されていれば、絶縁材料の付着の態様については問わない。即ち、絶縁材料は、FeSiAl合金粉末の周囲を全て覆うように付着していてよいし、一部を覆うように付着し、FeSiAl合金粉末の表面の一部が露出していてもよい。また、絶縁材料は、FeSiAl合金粉末の各粒子の表面に付着していてもよいし、FeSiAl合金粉末の凝集体の表面に付着していてもよいし、これらの付着の態様が混在するように付着していてもよい。なお、絶縁層で被覆されていなくてもよい。
絶縁材料としては、シランカップリング剤、シリコーンオリゴマー、シリコーンレジン、又はこれらの混合物を用いることができる。即ち、シランカップリング剤、シリコーンオリゴマー、シリコーンレジンをそれぞれ単体で用いてもよいし、例えば、シランカップリング剤とシリコーンオリゴマー、又は、シランカップリング剤とシリコーンレジン等混合させて用いてもよい。
また、絶縁層は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。例えば、絶縁層は、各種類ごとに各層に分けた複数層で構成してもよいし、1種類又は2種類以上を混合した絶縁材料の単層で構成してもよい。本実施形態の絶縁層は、FeSiAl合金粉末の表面をシランカップリング剤とシリコーンオリゴマーの混合物によって被覆し、この混合物の表面をシリコーンレジンによって被覆された2層構造となっている。
シランカップリング剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系、イソシアヌレート系のシランカップリング剤を使用することができ、特に、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが好ましい。
シリコーンオリゴマーとしては、アルコキシシリル基を有し、反応性官能基を有さないメチル系、メチルフェニル系のものや、アルコキシシリル基及び反応性官能基を有するエポキシ系、エポキシメチル系、メルカプト系、メルカプトメチル系、アクリルメチル系、メタクリルメチル系、ビニルフェニル系のもの、又はアルコキシシリル基ではなく、反応性官能基を有する脂環式エポキシ系のもの等を用いることができる。特に、メチル系またはメチルフェニル系のシリコーンオリゴマーを用いることで厚く硬い絶縁層を形成することができる。また、絶縁層の形成のしやすさを考慮して、粘度の比較的低いメチル系、メチルフェニル系を用いてもよい。
シリコーンレジンは、シロキサン結合(Si-O―Si)を主骨格に持つ樹脂である。シリコーンレジンを用いることで可撓性に優れた被膜を形成することができる。シリコーンレジンは、メチル系、メチルフェニル系、プロピルフェニル系、エポキシ樹脂変性系、アルキッド樹脂変性系、ポリエステル樹脂変性系、ゴム系等を用いることができる。この中でも特に、メチルフェニル系のシリコーンレジンを用いた場合、加熱減量が少なく、耐熱性に優れた絶縁層を形成することができる。
(製造方法)
次に、圧粉磁心の製造方法について説明する。本実施形態の圧粉磁心の製造方法は、(1)粉末熱処理工程、(2)絶縁処理工程、(3)潤滑剤混合工程、(4)加圧成形工程、(5)成形体熱処理工程を有する。なお、FeSiAl合金粉末は、ガスアトマイズ法又は水ガスアトマイズ法によって、(1)粉末熱処理工程の前に作製されている。
(1)粉末熱処理工程
粉末熱処理工程は、非酸化雰囲気下又は大気雰囲気下において、FeSiAl合金粉末を加熱する工程である。非酸化雰囲気は、真空雰囲気や不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガスとしては、不活性ガスとしては、HやNが挙げられる。加熱時間は、例えば、1~6時間程度である。加熱温度としては、500℃以上680℃以下が好ましい。この温度範囲でFeSiAl合金粉末を加熱することで、格子定数を増加させることができ、ヒステリシス損失を低減させることができる。
ここで、従来からFeSiAl合金粉末の粒子内に歪が存在すると、ヒステリシス損失が増加してしまうといわれている。そのため、例えば、粉砕法によって作製されたFeSiAl合金粉末の粒子内には、多くの歪が存在しているため、粉末熱処理工程によって歪の除去を行っていた。一方、本実施形態のように、ガスアトマイズ法又は水ガスアトマイズ法によって作製されたFeSiAl合金粉末は、粒子内に歪がほとんど存在していない。そのため、粉末熱処理を行う必要はないと考えられていた。
しかし、本発明者らは、鋭意研究の結果、ガスアトマイズ法又は水ガスアトマイズ法によって作製されたFeSiAl合金粉末を熱処理することで、後述する成形体熱処理工程後における格子定数が上がり、その結果、ヒステリシス損失が低減するという従来とは異なる知見を得た。そして、本発明者らは更に鋭意研究を進め、上記の温度範囲でFeSiAl合金粉末を行うと、成形体熱処理工程後における圧粉磁心の格子定数が上昇し、ヒステリシス損失を低減できるという知見を得た。
(2)絶縁処理工程
絶縁処理工程は、FeSiAl合金粉末の外側に絶縁材料による絶縁層を形成する工程である。単層の絶縁層をFeSiAl合金粉末の外側に形成される場合には、絶縁層に含める全ての種類の絶縁材料をFeSiAl合金粉末と混合し、加熱乾燥させる。
本実施形態のように、絶縁層が複数層によって形成される場合には、まず、FeSiAl合金粉末の表面(下層)に付着させる絶縁材料とFeSiAl合金粉末との混合及び加熱乾燥を行い、これを下層から最外表層へ順次繰り返す。即ち、本実施形態では、まず、シランカップリング剤及びシリコーンオリゴマーとFeSiAl合金粉末とを混合して、加熱乾燥させ、シランカップリング剤及びシリコーンオリゴマーの混合層をFeSiAl合金粉末の表面に形成させる。その後、表面に混合層が形成されたFeSiAl合金粉末とシリコーンレジンを混合して、加熱乾燥させて当該混合層の表面にシリコーンレジン層を形成させる。なお、FeSiAl合金粉末と絶縁材料の混合する際は、混合機(W型、V型)、ポットミル等使用して行う。
シランカップリング剤の添加量は、軟磁性粉末に対して、0.05wt%~1.0wt%が好ましい。シランカップリング剤の添加量をこの範囲にすることで、成形された圧粉磁心の密度の標準偏差、磁気特性、強度特性を向上させることができる。
シランカップリング剤の乾燥温度は、25℃以上200℃以下である。乾燥温度が25℃より低いと溶剤が残留し絶縁層が不完全となる場合があるためである。一方、乾燥温度が200℃より高いと分解が進み絶縁層として形成されなくなる場合があるためである。乾燥時間は、2時間程度である。
シリコーンオリゴマーの添加量は、軟磁性粉末に対して、0.25wt%~2.0wt%が好ましい。添加量が0.25wt%より少ないと絶縁層として機能せず、渦電流損失が増加することにより損失が増加する場合があるためである。添加量が2.0wt%より多いと、圧粉磁心の密度が低下することで強度低下を招く虞があるためである。
シリコーンオリゴマー層の乾燥温度は、25℃~350℃以下である。乾燥温度が25℃より低いと絶縁層の形成が不完全となり、渦電流損失が高くなる場合があるためである。一方、乾燥温度が350℃より高いと粉末が酸化することによりヒステリシス損失が高くなり、成形体の密度及び透磁率が低下する場合があるためである。乾燥時間は、2時間程度である。
シリコーンレジンの添加量は、軟磁性粉末に対して、1.0wt%~3.0wt%であることが好ましい。添加量が1.0wt%より少ないと絶縁層として機能せず、渦電流損失が増加することにより損失が増加する場合があり、又、保形性も悪化するためである。添加量が3.0wt%より多いと成形体の密度が低下し、透磁率が低下する場合があるためである。
シリコーンレジンの乾燥温度は、100℃~350℃が以下である。乾燥温度が100℃より小さいと膜の形成が不完全となり、渦電流損失が高くなる場合があるためである。一方、乾燥温度350℃より大きいと粉末が酸化することによりヒステリシス損失が高くなり、成形体の密度及び透磁率が低下する場合があるためである。乾燥時間は、2時間程度である。
(3)潤滑剤混合工程
潤滑剤混合工程は、絶縁処理工程を経たFeSiAl合金粉末に対して、潤滑剤を添加し、混合する工程である。本工程を経ることで、絶縁層の表面に潤滑剤が被覆される。潤滑剤としては、ステアリン酸及びその金属塩並びにエチレンビスステアルアミド、エチレンビスステアラマイド、エチレンビスステアレートアミドなどのワックスが使用できる。潤滑剤を混合することにより、粉末同士の滑りをよくすることができるので、成形密度を高くすることができる。また、成形時の上パンチの抜き圧低減、金型と粉末の接触によるコア壁面の縦筋の発生を防止することが可能である。潤滑剤の添加量は、軟磁性粉末に対して、0.1wt%~0.6wt%程度であることが好ましい。なお、潤滑剤は、後述する成形体熱処理工程を経ることで揮発される。
(4)加圧成形工程
成形工程では、潤滑剤混合工程を経たFeSiAl合金粉末を加圧成形することにより、成形体を形成する工程である。潤滑剤混合工程を経たFeSiAl合金粉末を金型に充填し、加圧成形する。成形時の圧力は10~20ton/cmであり、平均で12~15ton/cm程度が好ましい。
(5)成形体熱処理工程
成形体熱処理工程は、加圧成形工程を経て成形された成形体を加熱する、所謂、焼鈍を行う工程である。加熱温度は、650℃以上850℃以下が好ましい。650℃より低いと、歪除去の効果が限定的となる。一方、850℃を超えると、絶縁材料により成る絶縁層が破壊され、絶縁層に起因する渦電流損失の低減効果が減殺される。
成形体熱処理工程における加熱雰囲気は、Nガス中又はN+Hガス非酸化性雰囲気中、酸化雰囲気中で行う。その中でも、酸化雰囲気下で行うことがこの好ましい。酸化雰囲気とは、加熱雰囲気中に酸素が含有されている状態を指す。そして、酸化雰囲気における酸素濃度は、体積濃度で0.1%以上21%以下にすることが好ましい。この範囲にすることで、格子定数を大きくすることができ、ヒステリシス損失の低減効果をより得ることができる。また、酸素濃度が21%を超える場合、成形体を熱処理する炉の中に酸素を供給する必要があり、生産性の悪化や生産コストの増加を招く虞があり、この観点からも21%以下にすることが好ましい。
(実施例)
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
下記表1に示す2種類のFeSiAl合金粉末を用いた。FeSiAl合金粉末はガスアトマイズ法によって作製された。表1に示す粉末AのFeSiAl合金粉末について、粉末熱処理を行った。粉末熱処理は、窒素雰囲気中において、500℃、600℃、680℃の加熱温度で2時間加熱した。なお、粉末Aの一部及び粉末Bは、粉末熱処理を行わなかった。
Figure 0007202333000001
粉末熱処理を経たFeSiAl合金粉末に絶縁処理を行った。絶縁処理は2種類行った。下記表2に示す(1)~(3)は、まず、FeSiAl合金粉末にシランカップリング剤及びシリコーンオリゴマーを混合させた。シランカップリング剤はFeSiAl合金粉末に対して、1.0wt%の割合で添加し、シリコーンオリゴマーはFeSiAl合金粉末に対して、0.3wt%の割合で添加して混合させた。混合後、200℃の加熱温度で2時間乾燥させた。乾燥後、目開き500μmの篩に通した。その後、シランカップリング剤及びシリコーンオリゴマーの混合層によって表面を被覆されたFeSiAl合金粉末にシリコーンレジンを混合した。シリコーンレジンは、FeSiAl合金粉末に対して、1.6wt%の割合で添加し、混合した。混合後、150℃の加熱温度で2時間乾燥させ、混合層の表面にシリコーンレジン層を形成させた。乾燥後、目開き500μmの篩に通した。
一方、下記表2に示す(4)は、FeSiAl合金粉末にシランカップリング剤及びシリコーンレジンを混合させた。シランカップリング剤は、FeSiAl合金粉末に対して、0.5wt%の割合で添加し、シリコーンレジンは、FeSiAl合金粉末に対して、1.6wt%の割合で添加し、混合した。混合後、150℃の加熱温度で2時間乾燥させた。乾燥後、目開き500μmの篩に通した。
以上のとおり、それぞれ絶縁処理を行ったFeSiAl合金粉末に潤滑剤を混合させた。潤滑剤としては、エチレンビスステアルアミド(Acrawax(登録商標))を用いた。エチレンビスステアルアミドは、FeSiAl合金粉末に対して0.5wt%の割合で混合させた。
潤滑剤を混合させた後、FeSiAl合金粉末を加圧成形した。加圧成形工程では、金型を用いて、15ton/cmで加圧し、外径16.5mm、内径11.0mm、高さ5.0mmの成形体を作製した。
加圧成形を経て作製された成形体は、酸素濃度を異ならせて成形体熱処理を行った。成形体熱処理は、酸素濃度が体積濃度で0.001%、0.1%、21%の酸化雰囲気下で行った。成形体を当該酸化雰囲気下で700℃の加熱温度で2時間加熱して、圧粉磁心を作製した。
以上のように作製した圧粉磁心について、格子定数及び鉄損Pcv(ヒステリシス損失Ph及び渦電流損失Pe)を測定した。格子定数は、成形体熱処理を行った後に測定した規則的な構造であるDO3構造の格子定数の数値である。DO3構造の格子定数は、X線回析によって、圧粉磁心の結晶構造の評価を行って算出した。X線回析装置は、ブルカー社製の装置(BRUKER D2 PHASER 2nd Gen、X線:Cu-Kα線)を使用した。
一方、鉄損Pcvは、成形体熱処理工程を経て作製した圧粉磁心にφ0.5mmの銅線で1次巻線20ターン、2次巻線20ターンの巻線を巻回し、磁気計測機器であるBHアナライザ(岩通計測株式会社:SY-8219)を用いて測定した。測定条件は、周波数100kHz、最大磁束密度Bm=100mTの条件下で行い、ヒステリシス損失(Ph)と渦電流損失(Pe)を算出した。この算出は、損失の周波数曲線を次の(1)~(3)式で最小2乗法により、ヒステリシス損係数(Kh)、渦電流損係数(Ke)を算出することで行った。
Pcv =Kh×f+Ke×f・・(1)
Ph =Kh×f・・(2)
Pe =Ke×f・・(3)
Pcv:鉄損
Kh :ヒステリシス損失係数
Ke :渦電流損失係数
f :周波数
Ph :ヒステリシス損失
Pe :渦電流損失
以上の測定結果を図1及び表2に示す。図1は、格子定数とヒステリシス損失Phとの関係を示す図である。表2に示す鉄損Pcv(ヒステリシス損失Ph及び渦電流損失Pe)は、鉄損が最小になった時の数値である。また、表2に示す損失が最小になる温度は、損失が最小になったときの雰囲気温度である。表2に示す変化率とは、粉末Aの粉末熱処理を行っていない格子定数を基準にした格子定数の変化率である。
Figure 0007202333000002
表2に示すように、格子定数の数値が大きくなっても、渦電流損失Peの数値は大きく変化しておらず、良好な数値を維持している。一方、ヒステリシス損失Phは、図1及び表2に示すように、格子定数を大きくするとヒステリシス損失Phが低下する。その結果、鉄損Pcvが低減することが確認された。
また、500℃以上の加熱温度で粉末熱処理を行ったものの格子定数は、粉末熱処理を行っていないものと比べて((1)及び(3)参照)、大幅に増加している。そのため、粉末熱処理を行うことで格子定数を増加させることができ、ヒステリシス損失Phを低減できることが確認された。
さらに、粉末熱処理を680℃で行った表2の(1)~(3)を見ると、酸素濃度0.001%の(1)のヒステリシス損失Phは、122(kw/m)であるのに対し、酸素濃度0.1%の(2)のヒステリシス損失Phは、113(kw/m)、酸素濃度21%の(3)のヒステリシス損失Phは、63(kw/m)であり、成形体熱処理工程における酸素濃度は、0.1%以上である方が、よりヒステリシス損失Phが低減することが確認された。
一般的に、ヒステリシス損失Phが100(kw/m)以下であると、極めて低損失な圧粉磁心といわれている。表2の(3)及び(4)を見ると、粉末熱処理を行ったうえで、酸素濃度21%で行うと、ヒステリシス損失Phが100(kw/m)以下となるものが多数を占めていることが確認された。
また、表2の(3)と(4)を見ても、絶縁層の構成が異なっても、格子定数の数値が増加するヒステリシス損失Phが低減するという関係に変わりはないことが確認された。これにより、絶縁層は、単層であっても、複数層であっても格子定数の数値を大きくすることで、ヒステリシス損失Phを低減できることが確認された。また、シリコーンオリゴマーを添加した(3)の方が、(4)に比べると、格子定数がより大きく増加し、ヒステリシス損失Phが100以下と極めて良好な数値となっている。これは推測であり、この推測に限定されるものではないが、絶縁層には、シリコーンオリゴマーを含めて構成する方が、格子定数を増加でき、ヒステリシス損失Phをより低減させることができるものと思われる。
もっとも、酸素濃度21%で成形体の熱処理を行った(3)を見ると、粉末熱処理を600℃で行ったものの格子定数と、680℃で行ったものの格子定数は同一であった。このことから、格子定数は、5.7034Åより大きくなることはないと推察する。
また、格子定数が5.7016Å以上の圧粉磁心は、損失が最小となる温度が50℃又は75℃であることが確認された。一般的に、圧粉磁心を備えるリアクトルやトランスの動作温度は50℃~75℃となることが多い。そのため、製品として使用したときに、損失を最小にすることができる。
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (4)

  1. FeSiAl合金粉末を熱処理する粉末熱処理工程と、
    前記粉末熱処理工程を経た前記FeSiAl合金粉末を所定の形状の成形体に成形する加圧成形工程と、
    前記加圧成形工程を経た成形体を熱処理する成形体熱処理工程と、
    を含み、
    前記成形体熱処理工程では、酸素濃度が0.1%以上21%以下の酸化雰囲気下で熱処理を行い、
    前記成形体熱処理工程後におけるDO3構造の格子定数が、5.7015Å以上であること、
    を特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  2. 前記粉末熱処理工程では、500℃以上680℃以下で熱処理すること、
    を特徴とする請求項に記載の圧粉磁心の製造方法。
  3. 前記格子定数は、5.7016Å以上5.7034Å以下であること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の圧粉磁心の製造方法。
  4. 前記FeSiAl合金粉末は、ガスアトマイズ粉末又はガス水アトマイズ粉末であること、
    を特徴とする請求項乃至の何れかに記載の圧粉磁心の製造方法。
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