JP4444191B2 - 高周波磁性材料、高周波磁性デバイス、及び高周波磁性材料の製造方法 - Google Patents

高周波磁性材料、高周波磁性デバイス、及び高周波磁性材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、10MHz以上で、特に100MHz以上でGHzの範囲までの高周波域で用いる磁性部品などに有効な高周波磁性材料及びその製造方法に関する。
近年、磁性材料部品の用途は拡大しており、重要さは年々増している。用途の一例を挙げれば、インダクタンス素子、電磁波吸収体、磁性インクなどがある。例えば、1MHz以上の高周波域で使用するインダクタンス素子用磁性材料としては、主にフェライトやアモルファス合金が挙げられる。これら磁性材料は1MHz〜10MHz域においては損失がなく(透磁率虚部(μ’’)が小さく)、高い透磁率実部(μ’)を有し良好な磁気特性を示す。しかし、このような磁性材料は、10MHz以上のさらなる高周波域では透磁率実部μ’が低下し必ずしも満足行く特性が得られていなかった。
このような不具合を改善するために、スパッタ法、めっき法などの薄膜技術によるインダクタンス素子の開発も盛んに行われている。このようなインダクタンス素子は高周波域においても優れた特性を示すことが確認されている。しかし、スパッタ法などの薄膜技術には大型の設備が必要であり、また、膜厚等を精密に制御しなくてはならないことからコストや歩留りの点では必ずしも十分であるとは言えなかった。また、薄膜技術によるインダクタンス素子は、高温、高湿度における磁気特性の長時間熱的安定性に欠けるという問題があった。
高周波磁性材料の他の用途としては電磁波吸収体が挙げられる。電磁波吸収体は、高い透磁率虚部(μ’’)を利用して、電子機器の高周波化に伴い発生したノイズを吸収し、電子機器の誤動作等の不具合を低減させるものである。電子機器としては、ICチップ等半導体素子や各種通信機器などが挙げられる。このような電子機器は1MHzから数GHz、さらには数10GHz以上の高周波域で使用されるものなど様々である。特に、近年は1GHz以上の高周波域で使用される電子機器が増加する傾向にある。このような高周波域で使用される電子機器の電磁波吸収体として、従来はフェライト粒子、カルボニル鉄粒子、FeAlSiフレーク、FeCrAlフレークなどを樹脂と混合したものが用いられていた。しかし、これらの材料は1GHz以上の高周波域においてμ’、μ’’ともに極端に低下し、必ずしも満足行く特性は得られていなかった。
近年、1GHz以上の高周波域の電磁波吸収体として、磁性金属粒子とセラミックスを一体にした複合磁性材料が提案されている(特許文献1参照)。この材料は、高温、高湿度における磁気特性の長時間熱的安定性に欠けるという問題があった。また、この材料はメカニカルアロイング法により製造しなければならず、磁性金属粒子とセラミックス粒子を均一に反応させるためには長時間混合しなければならなかった。特に、一度に大量(例えば10kg以上)の材料をメカニカルアロイング法で作製しようとすると、長時間の混合が必要であり歩留りもよいとは言えなかった。
特開2001−358493公報
従来の高周波磁性材料は、高温、高湿度における磁気特性の長時間熱的安定性に欠けるという問題があった。また、メカニカルアロイング法による製造方法は、長時間の混合工程を必要とするので、製造歩留まりが悪かった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、高周波域において十分な特性が得られ磁気特性の長時間熱的安定性が高い高周波磁性材料と、製造歩留まり向上が可能な高周波磁性材料の製造方法を提供することを課題する。
上記課題を解決するために、請求項1の高周波磁性材料は、Fe及びCoのうちの一つからなる金属粒子、あるいは、Fe及びCoの少なくとも一つを基とする合金粒子と、酸化物相とから構成される高周波磁性材料において、
前記酸化物相が、難還元性金属酸化物からなる主相と、前記難還元性金属酸化物よりも価数の大きな金属酸化物を前記難還元性金属酸化物に対してモル%で0.001%以上0.1%以下含み、
前記価数の大きな金属酸化物が前記主相に固溶していることを特徴とする。
請求項2の高周波磁性材料は、主相が複数の酸化物粒子から構成され、この酸化物粒子の粒界に価数の大きな金属酸化物と同種の金属酸化物が存在することを特徴とする。
請求項3の高周波磁性材料は、の大きな金属酸化物が、前記難還元性金属酸化物に対してモル%で0.001%以上0.01%以下含まれていることを特徴とする請求項1に記載の高周波磁性材料。
請求項4の高周波磁性材料は、酸化物相は平均粒径が10nm以上1μm以下の複数の粒子であることを特徴とする。
請求項5の高周波磁性材料は、酸化物相が、Fe及びCoのうち少なくとも一つを含有する酸化物と、難還元性金属酸化物と、価数の大きな金属酸化物の複合酸化物を具備することを特徴とする。
請求項6の高周波磁性材料は、難還元性金属酸化物は、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、希土類元素、Ba及びSrから選ばれる元素の酸化物であり、価数の大きな金属酸化物は、Al23、Sc23、Cr23及びV23から選ばれることを特徴とする。
請求項の高周波磁性材料の製造方法は、難還元性金属酸化物と、前記難還元性金属酸化物に対してモル%で0.001%以上0.1%以下のAl23、Sc23、Cr23、V23から選ばれる金属酸化物と、Fe及びCoの少なくとも1種を含む金属酸化物を、混合、粉砕、焼結させて、平均粒径10nm以上1μm以下の複合酸化物を得る工程と、前記複合酸化物を還元処理して、Fe及びCoの少なくとも一つを含む金属あるいは合金を析出させる還元処理工程と、を備えることを特徴とする
高周波域において十分な特性が得られ、また長時間熱的安定性に適した新型の高周波磁性材料及び製造歩留まり向上に適した製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態による高周波磁性材料について説明する。
本実施の形態の高周波磁性材料は、Fe,Coまたはそれらを基とする合金の少なくとも1種類以上からなる金属粒子と、酸化物相とを含有する。酸化物相は、難還元性金属酸化物からなる主相中に、主相の金属酸化物よりも価数の大きな金属酸化物が固溶した固溶体である。
図1は、高周波磁性材料3の厚さ方向の断面を模式的に示す図である。高周波磁性材料3は、金属粒子1とこの金属粒子を内部に取り込んだ酸化物主相2を有する。この酸化物主相2は難還元性の金属酸化物を含む。高周波磁性材料3は難還元性金属酸化物に固溶したこれよりも価数の大きな金属酸化物を含む。
Fe、Coを基とする合金(Fe基合金、Co基合金)の例として、Fe及びCoの少なくとも一つを含有し、その一部が他の金属で置換された合金があげられる。また、このような合金は、Fe及びCoの総量が合金全体の50atomic%以上であることが好ましい。
ここで、難還元性金属酸化物とは、室温から1500℃の水素雰囲気下で、金属へ還元され難い金属酸化物を示す。このような金属酸化物としては、例えば、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、希土類元素、Ba、Srなどの酸化物が挙げられる。本実施形態では、難還元性金属酸化物としては、上記酸化物1種のみであってもよいし、これらの複数種を使用してもよいものとする。
また、難還元性金属酸化物よりも価数の大きな酸化物は、例えば、難還元性金属酸化物が2価の酸化マグネシウム(MgO)の場合、3価以上の価数を有する金属酸化物が考えられる。中でも3価のものが有効で、具体的には、Al23、Sc23、Cr23、V23等が挙げられる。
本実施の形態の高周波磁性材料は、強磁性共鳴損失以外の損失がほとんどなく高周波でも高い透磁率を有し、且つ強磁性共鳴周波数も数GHzに及ぶ。そのため強磁性共鳴周波数より低い周波数帯域では高いμ’、低いμ’’を有するため、インダクタンス素子等の高透磁率部品として利用できる。他方で、強磁性共鳴周波数付近では低いμ’、高いμ’’を有しており電磁波吸収体として利用することができる。すなわち、1つの材料でも、周波数帯域を選ぶことによって、高透磁率部品としても電磁波吸収体としても使用することができる極めて汎用性の高い材料と言うことができる。
本実施形態の価数の大きな酸化物は、難還元性金属酸化物に全て固溶していても良いが、難還元性金属酸化物の粒界または表面に存在しても良い。このような高周波磁性材料の断面を拡大した模式図を図2に示す。この高周波磁性材料3は、難還元性酸化物と価数の大きな酸化物からなる酸化物粒子4と、酸化物粒子4の粒界5や内部に存在する金属粒子1と、粒界5に存在する価数の大きい酸化物とを含む。価数の大きい金属酸化物が、難還元性金属酸化物に固溶すると、酸化物内の金属イオンの拡散速度が大きくなり、還元時に金属の析出速度を増加させることが可能となる。特に、MgOに対する添加物の中でSc23は特に好ましい。何故ならMgOに対する固溶量が大きく、金属イオンの拡散速度の増加がより顕著になるからである。
また、主相より価数が大きく主相に固溶している酸化物の組成は、モル%で0.001%以上0.1%以下、その中でも特に0.001%以上0.01%以下であることが好ましい。固溶させる量は多ければ多い方が、拡散速度の面で有利になり、小さいエネルギーで十分な量の金属粒子を析出させる事が可能となる。これにより、低コストプロセスを実現できるだけでなく、金属粒子が酸化物粒子表面及び内部に析出する際に余分な熱応力が掛からない為、金属粒子が酸化物粒子表面及び内部に、熱的に安定な密着した状態で析出させる事ができる。しかしながら一方で、固溶酸化物が多いと、複合酸化物焼結体を合成する際に緻密化阻害の原因となり好ましくはない。緻密化阻害に影響をほとんど与えず、金属イオンの拡散速度を効果的に大きくすることができる最適な固溶酸化物の組成がモル%で0.001%以上0.01%以下である。
本実施形態の高周波磁性材料において、酸化物相の平均粒径が10nm以上1μm以下、その中でも特に100nm以上500nm以下であることが好ましい。酸化物層の平均粒径がこの範囲にあることで、熱サイクルに極めて強く、長時間にわたる熱的磁気特性に優れる。
また、酸化物相が、Fe、及びCoのうち少なくとも一つを含有する酸化物と、難還元性金属酸化物と、価数の大きい酸化物との複合酸化物を具備することが好ましい。この複合酸化物は組成の自由度から考慮すると固溶体が好ましく、特に全率固溶体が好ましい。また、難還元性金属酸化物を2種以上用いた場合、複合酸化物も2種以上形成されていてもよい。
以上のような高周波磁性材料は、例えば、難還元性金属酸化物と、Fe、Coまたはそれらを基とする合金の少なくともその一種類以上からなる金属酸化物と、難還元性金属酸化物より価数の大きい金属酸化物の複合酸化物とからなる前駆体を製造し、この前駆体を還元雰囲気下で熱処理することにより製造できる。このような製造方法によれば、磁気特性と熱的安定性の優れた高周波磁性材料を歩留りよく製造することが可能となる。歩留りが向上することから、製造コストの低減に効果的である。
本実施の形態の高周波磁性材料は、難還元性金属酸化物と、金属酸化物と、Fe、Coを少なくとも1種以上含む金属酸化物を、混合、粉砕、焼結させて、平均粒径10nm以上1μm以下、その中でも100nm以上500nm以下の複合酸化物を得た後、複合酸化物を還元処理して、金属・合金粒子を酸化物相粒界・粒内に析出させる還元処理を行うことで製造することができる。このようにすれば、還元処理工程時に析出金属粒子と酸化物相との密着性が極めて高くなり且つ緻密質な高周波磁性材料を期待できる。析出金属粒子と酸化物相との密着性が高いと、長時間の熱的磁気特性が優れており、また、緻密質にすることができるため無駄な体積を減らすことができ、部材の小型化が期待できる。
酸化物相の平均粒径の効果と、極微量金属酸化物の固溶効果は、それぞれ単独でも効果的であるが、好ましくは両方満たすことによってより大きな効果を発揮する。すなわち、酸化物相の平均粒径を10nm以上1μm以下、その中でも特に100nm以上500nm以下にして、且つ、難還元性金属酸化物に固溶している金属酸化物の組成を、モル%で0.001%以上0.1%以下、その中でも特に、モル%で0.001%以上0.01%以下にする。これにより、より優れた高周波磁気特性を有する磁性材料を実現することができる。
本実施の形態において、金属粒子はFe粒子、Co粒子、FeCo合金粒子、FeCoNi合金粒子、Fe基合金粒子、Co基合金粒子の少なくとも一種以上であることが好ましい。Fe基合金またはCo基合金としては、第2成分としてNi、Mn、Cuなどを含有したFeNi合金、FeMn合金、FeCu合金、CoNi合金、CoMn合金、CoCu合金、FeCo合金にNi,Mn,Cuを含有させた合金などが挙げられる。これら金属粒子は高周波特性を向上させることができる。また、FeやCoの酸化物は難還元性金属酸化物と固溶体を形成し易いので好ましい。さらに、耐酸化性の観点から、Fe基合金粒子は一部他の元素で置換された系が好ましく、具体的にはFeCo、FeCoNi、FeNiが好ましく、さらにこれらの一部が第3元素(他の成分)に置換されていてもよい。
なお、本実施の形態においては、金属粒子としてFe粒子、Co粒子、FeCo合金粒子、FeCoNi合金粒子、Fe基合金粒子、Co基合金粒子の少なくとも一種が存在していればよい。これに他の非磁性金属元素が合金化していてもよいが、多すぎると飽和磁化が下がりすぎるため、高周波特性を考慮すると他の非磁性金属元素(Fe、Co以外の還元性金属)による合金化は10at%以下であることが好ましい。また、非磁性金属が組織中に単独で分散していてもいいが、その量は磁性金属粒子に対して体積比で20%以下が好ましい。析出した微細結晶の耐酸化性の観点から、Fe基合金粒子はCoあるいはNiが一部含まれている方が好ましく、特に飽和磁化の観点からFeCo基合金粒子が好ましい。
また、高周波磁性材料は多結晶体であると共に、金属粒子が結晶の粒界または粒内の少なくとも一方に存在していることが好ましい。
また、酸化物相は、マグネシウム酸化物、アルミニウム酸化物、カルシウム酸化物、ケイ素酸化物、希土類金属酸化物、チタニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物、亜鉛酸化物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
さらにまた、酸化物相は、FeMgO系、FeCoMgO系、FeCoNiMgO系、CoMgO系、FeAlO系、CoAlO系、FeCoAlO系、FeCoNiAlO系の少なくとも一種であることが好ましい。
本実施の形態の高周波磁性材料は、難還元性金属酸化物粉末(A)とFeあるいはCoの少なくとも1種を含む金属酸化物粉末(B)と価数の大きな酸化物粉末(C)からなり、難還元性金属酸化物とFeあるいはCoの少なくとも1種を含む金属酸化物の比がモル比でA:B=1:9から9:1の範囲からなる複合酸化物を作製し、該複合酸化物を還元して複合酸化物の粒内あるいは粒界にFe、Coまたはそれらを基とする合金の少なくとも1種からなる金属粒子を析出させることで製造することができる。このような製造方法によれば、磁気特性の優れた高周波磁性材料を歩留りよく製造することが可能となり、製造コストの低減に効果的である。
金属粒子は、平均粒径10nm以上2000nm以下が好ましい。平均粒径が10nm未満では、超常磁性が生じたりして磁束量が足りなくなってしまう。一方、2000nmを超えると高周波領域で渦電流損が大きくなり、狙いとする高周波領域での磁気特性が低下してしまう。さらに、好ましくは10nm以上50nm以下である。粒径が大きくなると渦電流損が発生するだけでなく、単磁区構造よりも多磁区構造をとった方がエネルギー的に安定となる。しかしながら、多磁区構造の透磁率の高周波特性は、単磁区構造の透磁率の高周波特性よりも悪くなってしまう。よって、高周波用磁性部材として使用する場合は、磁性金属粒子を単磁区粒子として存在させる。単磁区構造を保つ限界粒径は、50nm程度以下であるため、粒径は50nm以下にする方がより望ましい。以上を総合すると、金属粒子の平均粒径は10〜2000nm、その中でも特に10nm以上50nm以下の範囲におさめることが好ましい。
また、本実施の形態の高周波磁性材料は多結晶体であることが好ましい。多結晶体であるということは、粉末冶金法(焼結法)により作製可能なことを意味するものでありコストの低減を可能とする。なお、析出した金属粒子は単結晶であってもよい。析出した金属粒子を単結晶とすることによって、磁化容易軸を揃えることができるために、結晶磁気異方性を制御することができ、高周波特性は多結晶の場合よりも良くなる。
また、上記金属粒子は高周波磁性材料を構成する結晶粒子の結晶粒子内または結晶粒界の少なくとも一方に存在していることが好ましい。高周波磁気特性を向上させるためには、結晶粒子内および結晶粒界の両方に金属粒子を存在させることが好ましい。
本実施の形態の高周波磁性材料は、強磁性共鳴損失以外の損失がほとんどなく高周波でも高い透磁率を有し、且つ強磁性共鳴周波数も数GHzに及び、高透磁率部品としても電磁波吸収体としても使用することができる汎用性の高い材料である。
(第2の実施の形態)
高周波磁性材料を構成する結晶としては、難還元性金属酸化物結晶と価数の大きな酸化物と金属粒子以外に、難還元性金属とFeまたはCoの酸化物からなる複合酸化物(固溶体)の結晶が含まれていても良い。このような複合酸化物が残存している高周波磁性材料が本発明の第2の実施の形態となる。該複合酸化物は、単に複数種の酸化物を混合して樹脂で固めたものではなく、2種以上の金属を構成元素として含む酸化物を示すものである。「複合酸化物」と「単に2種混合して固めたもの」はX線回折、EPMA(Electron Probe Micro-Analysis)、EDX(Energy Dispersive X-ray Fluorescence Spectrometer)等により判別(分析)可能である。
また、難還元性金属と価数の大きな酸化物とFeまたはCoの酸化物からなる複合酸化物は、後述する還元工程の際に、結晶粒子内に金属粒子を析出させ易いため磁気特性の制御に有効である。特に、金属粒子を析出させ易い複合酸化物の一例としては全率固溶体が挙げられ、具体的にはFeMgO系、FeCoMgO系、FeCoNiMgO系、CoMgO系があり、またそれ以外にも、FeAlO系、CoAlO系、FeCoAlO系、FeCoNiAlOの少なくとも一種が挙げられる。これら化合物は、難還元性金属酸化物としてMgOまたはおよびAl23(または、MgかAlを構成元素として含む複合金属酸化物)を用いた場合に形成される。
第1及び第2の実施形態に係る高周波磁性材料は、難還元性金属酸化物と、前記金属酸化物と、Fe、Coを少なくとも1種以上含む金属酸化物を、混合、粉砕、焼結させて得られる、平均粒径10nm以上1μm以下、その中でも100nm以上500nm以下の複合酸化物を、粉末状で還元処理したものである。この還元処理の後に、圧粉化してもよい。また、粉末状で還元処理した後樹脂等で固めてもよい。さらに、バルク状の複合酸化物を還元処理してもよい。
第1及び第2の実施形態に係る高周波磁性材料は、100MHzから数GHz、さらには10GHz以上の高周波域においても優れた特性を示すものである。そのため、該高周波磁性材料を用いた高周波磁性部品は優れた高周波特性を示し、例えばインダクタ、チョークコイル、フィルター、トランス、更には携帯電話や無線LAN等用のアンテナ基板(以上は高い透磁率実部μ’を利用)や、電磁波吸収体など(高い透磁率虚部μ’’を利用)の100MHz、さらには1GHz以上の高周波域で使用される高周波磁性部品に好適である。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る高周波磁性材料の製造方法について説明する。
工程1:難還元性金属酸化物粉末(A)とFeあるいはCoの少なくとも1種を含む金属酸化物粉末(B)と価数の大きな酸化物(C)からなり、難還元性金属酸化物とFeあるいはCoの少なくとも1種を含む金属酸化物の比がモル比でA:B=1:9から9:1の範囲からなる複合酸化物、例えば固溶体を作製する工程、
工程2:該複合酸化物を還元して複合酸化物の粒内あるいは粒界にFe、Coまたはそれらを基とする合金の少なくとも1種からなる金属粒子を析出させる工程、の2つの工程を具備する製造方法が好ましい。
この製造方法は、工程1で複合酸化物を作製し、工程2で還元することにより所定の金属粒子を析出させる方法である。
まず、工程1について説明する。工程1では、難還元性金属酸化物粉末(A)とFe、Coの少なくとも1種を含む金属酸化物粉末(B)と、さらに難還元性金属酸化物(A)より価数の大きな酸化物(C)を準備し、(A)と(B)をモル比でA:B=1:9から9:1の範囲、さらに(A)と(C)をモル比でA:C=1:0.001から1:0.1の範囲からなる複合酸化物、たとえば固溶体を作製する。
Fe、Coの少なくとも1種を含む金属酸化物粉末(B)としては、一酸化鉄(FeO)、酸化コバルト(CoO)が好ましい。酸化鉄としては、例えば、FeO、Fe、Feなど様々な形態(化学量論)がある。一酸化鉄(FeO)は、難還元性金属酸化物と広い組成範囲で複合酸化物を形成し易い。例えば、難還元性金属酸化物としてMgOを用いた場合、FeO、CoOは全率固溶体となるので特に好ましい。全率固溶体の場合は、還元工程(工程2)において結晶粒内に微細な金属粒を任意の割合で析出させやすい。なお、一部に他の価数の酸化鉄が含まれていても良く、またFeAlO系化合物の固溶体を形成する場合はFeを用いることが好ましい。
また、FeまたはCoを含む金属酸化物としては、Ni、Cu、Mnが加わった複合金属酸化物でもよく、その量はNiの場合CoあるいはFeに対して50モル%未満、CuまたはMnの場合は10モル%以下まで含有しても良い。複合金属酸化物としては、CoFe、NiFeのような複合金属酸化物でもよいし、酸化ニッケル、酸化銅、酸化マンガンを別途添加したものでもよいし、不純物として含まれるものを利用しても良い。
金属酸化物(B)は、200℃以上1500℃以下の水素雰囲気下で、金属へ還元されうるFeまたはCoを含む金属酸化物であるため、後述の析出工程において金属粒子を析出させることができる。このため、Fe、Coの少なくとも1種を含む金属酸化物(B)は還元性金属酸化物(B)と呼ぶこともできる。
A:Bはモル比で1:9〜9:1が好ましい。該モル比において、A:B=9:1よりAが多いと、金属酸化物(B)の割合が少なく、また粒子間の磁気的相互作用が小さくなり、場合によっては超常磁性が発生してしまい、特性が劣化してしまう。一方、A:B=1:9よりBが多いと還元工程により析出した金属粒子の結晶粒が大きくなり、高周波での特性が低下してしまい、高周波用磁心、電磁波吸収体などに必要な磁気特性が低下してしまう。このため、還元による磁性粒子の金属量を適量に抑えることができ、磁性粒子同士の合体や粒成長を抑制することができ、且つ十分な金属量を析出させることのできるA:B=2:1〜1:2の比でAとBを混合するのが好ましい。
難還元性金属酸化物(A)、還元性金属酸化物(B)、難還元性金属酸化物(A)より価数の大きな酸化物(C)はいずれも平均粒径がサブミクロン、その中でも特に、10nm以上100nm以下である原料粉末を用いる方が、その後の工程で、平均粒径10nm以上1μm以下の複合酸化物を作製するのに都合が良い。
工程1としては、まず、所定のモル比になるように難還元性金属酸化物(A)と還元性金属酸化物(B)と、難還元性金属酸化物(A)より価数の大きな酸化物(C)とを計りとり、ボールミルなどで混合して原料粉末を調整する原料粉末調整工程を行う。価数の大きな酸化物(C)は事前に難還元性金属酸化物(A)に、添加または固溶させた粉末を用いることもできる。
次に、原料粉末を所定温度に加熱して原料同士を反応させる。反応の加熱温度など諸条件は原料粉末や目的とする性質に応じて適宜決定すればよい。例えば、原料粉末をプレス成形した後、酸化性雰囲気中、真空中、あるいはArなど不活性雰囲気中で600℃以上1500℃以下の温度で加熱して、焼結させる方法がある。酸化性雰囲気とは、大気、酸素を含有する不活性ガス雰囲気などが挙げられるが、酸素量を変動させないためには不活性雰囲気あるいは真空中で焼結することが好ましい。なお、原料粉末は化学反応による沈殿物を用いると、より細かな原料粉が得られ、種々のプロセスを経たあとの結晶粒の微細化にも反映するため好ましい。
工程1によって得られる複合酸化物は、粉末、バルクなど形状は特に限定されない。また、粉末やバルクのいずれの形態であったとしても焼結法(粉末冶金法)により作製されたものは多結晶体となる。
ここで、得られた複合酸化物焼結体の平均粒径が大きい場合、1μm以上ある場合は、焼結後に粉砕して平均粒径10nm以上1μm以下にしても良いが、好ましくは、焼結体の状態で既に平均粒径が10nm以上1μm以下であることが良い。
次に、得られた複合酸化物を還元してFe、Coまたはそれらを基とする合金の少なくとも1種からなる金属粒子を析出させる工程2を行う。得られた複合酸化物に水素還元を行うことにより、金属粒子を結晶粒内または粒界の少なくとも一方に析出させることができる。本実施形態における水素還元は、上記粉末、バルク(たとえばペレット状、リング状、矩形)、さらにはバルク状試料を粉砕した粉砕粉の状態で水素還元してもよい。特に粉末(粉砕粉含む)の場合、反応時間が短くて済むため、微細な金属粒子を均一に分散させやすい。また、所定の磁性部品の形状にして還元するとその後の部品化までの処理が簡単になる。
水素還元の温度と時間は、水素により少なくとも酸化物の一部が還元される温度であれば良く、特に限定されるものではない。ただし、200℃以下では還元反応の進みが遅すぎ、また1500℃を超えると析出した金属微粒子の成長が短時間で進むため、200℃以上1500℃以下の範囲が好ましい。また、時間は還元温度との兼ね合いで決まるが、10分以上100時間以下の範囲とすることができる。また、水素雰囲気は、気流が好ましく、その値は10cc/min.以上であればよい。水素気流中(水素フロー中)で還元を行えば複合酸化物の全面に均一に金属粒子を析出させ易い。
また、複合酸化物中のFeまたはCoを全量析出するように還元すれば第1の実施の形態、一部複合酸化物が残るように還元すれば第2の実施の形態になる。
以上のように本実施の形態の製造方法では、一旦、複合酸化物を作製した後、還元処理により金属粒子を析出する工程を具備するものである。複合酸化物を還元する方法を採用していることから、還元で均一分散した析出金属粒子を得やすい。
また、高周波磁性材料を高周波磁性部品に加工する場合は、焼結体の場合は研磨や切削等の機械加工、粉末の場合は樹脂とのコンパウンド化を、さらには表面処理などを必要に応じ行うものとする。また、インダクタ、チョークコイル、フィルター、トランスとして用いる場合は巻線処理を行う。
以上のように、第1乃至第3の実施の形態による高周波磁性材料はインダクタ、フィルター、トランス、チョークコイル、携帯電話や無線LAN等用のアンテナ基板(以上は高い透磁率実部μ’を利用)や電磁波吸収体など(高い透磁率虚部μ’’を利用)様々な高周波磁性デバイスに適用可能である。また、これらは同一材料で様々な分野に適用できるので材料としての汎用性が高く、製造性を向上させる要因にもなる。
以下に、本発明の具体例である実施例を比較例と対比しながらより詳細に説明する。
(実施例1〜実施例678)
表1に示した組成になるように、MgO、Al23などの難還元性金属酸化物粉末(A)とFeO、CoOなどの還元性金属酸化物粉末(B)と酸化Al、酸化Sc、酸化Cr、酸化Vなどの難還元性金属酸化物粉末(A)より価数の大きい酸化物(C)をそれぞれ秤量した後、ボールミルで混合(1時間、回転数300rpm)し、(A)、(B)、(C)からなる混合粉末を作成した。得られた混合粉を1t/cm(98MPa)の圧力でプレス成形し、ペレット状試料を作製した。
次いで、得られた試料を大気炉内に導入して、500℃で1時間脱脂し、さらに連続して600℃〜1500℃で6時間焼結することにより酸化物固溶体(ペレット状試料)を作製した。
焼結したペレット状試料を粉砕した後、水素炉内に入れ、純度99.9%の水素ガスを毎分200cc流しながら、毎分10℃の速度で所定の各温度まで昇温し、700℃以上1000℃以下の各温度で20分間以上60分間以下の還元を行った後、炉冷して、本実施例の高周波磁性材料を得た。この実施例での以上の各製造工程に要した時間は、乾式混合:1時間、焼結熱処理:10(昇温・・・3時間、保持・・・3時間、降温・・・4時間)、還元処理:6時間(昇温・・・2時間、保持・・・1時間、降温・・・3時間)、で合計17時間、混合・脱脂工程などを含めた全工程の所要時間はいずれの実施例においても25時間であった。
これをエポキシ樹脂(2wt%)と混合し、幅4.4mm、長さ5mm、厚さ1mmの直方体に成形し、150℃でキュアして、評価用試料に供した。
(比較例1〜3)
比較例として、FeAlSi粒子をエポキシ樹脂で固めたものを比較例1、カルボニル鉄粒子をエポキシ樹脂で固めたものを比較例2、またNiZnフェライト焼結体を比較例3とした。
(比較例4)
この比較例は、特許文献1と同様のメカニカルアロイング法を経て製造したものである。粒径1μmのFe粉末と、粒径1μmのMgO粉末を、モル%で6:4になるように1時間かけて混合して、混合粉末を作成し、ステンレス製のボールと一緒にステンレス製の容器に入れ、アルゴンガスで置換・封入後、300rpmで100時間混合して、メカニカルアロイ処理を行った。処理後は、この混合粉末を真空炉中に導入して、500℃まで1時間かけて昇温して、1時間還元処理を行った。以上の全製造工程に要するプロセス時間は103時間であった。
このように原料となる高周波磁性材料の粉末を作成した。その後の工程は、実施例1〜実施例8と同様である。
(比較例5)
表1に示した組成になるように、難還元性金属酸化物粉末(A)と還元性金属酸化物粉末(B)をそれぞれ秤量した。その後の工程は実施例1〜実施例8と同様である。
高周波の磁気特性としてはまず、透磁率の測定を行った。透磁率の測定は1GHzで透磁率実部μ’の測定を行った。さらに、長時間の熱的磁気特性を評価するために、温度60℃、湿度90%の高温恒湿槽内に1000H(時間)放置した後、再度透磁率実部μ’を測定し、初期値との比較をした。経時変化は(1000H放置後の透磁率実部μ’/放置前の透磁率実部μ’)で示した。
次に、電磁波吸収特性として、2GHzでの電磁波を用いた時の電磁波の吸収量は反射減衰量で定義し、比較例1の吸収量を1として、相対値で示した。測定は、試料電磁波照射面とその反対の面に厚さ1mmで同面積の金属薄板を接着し、ネットワークアナライザーのS11モードを用いて、自由空間において反射電力法で測定した。反射電力法は、試料を接着していない金属薄板(完全反射体)の反射レベルと比較して試料からの反射レベルが何dB減少したかを測定する方法である。
一般に、強磁性共鳴損失以外の損失がほとんどなく高周波でも高い透磁率を有している高周波磁性材料は、強磁性共鳴周波数より低い周波数帯域では高いμ’、低いμ’’を有しており、インダクタンス素子等の高透磁率部品として利用できる。また、強磁性共鳴周波数付近では低いμ’、高いμ’’を有しており電磁波吸収体として利用することができる。すなわち、1つの材料でも、周波数帯域を選ぶことによって、高透磁率部品としても電磁波吸収体としても使用することができる。本磁気特性評価は、1GHzでμ’の評価を行い高透磁率部品としての可能性を探り、2GHzで電磁波の吸収量を測定し電磁波吸収体としての可能性を探った。
析出金属粒子の平均結晶粒径の測定方法は、TEM(Transmission Electron Microscopy)観察をもとに行った。具体的にはTEM観察(写真)で示された個々の金属粒子の最も長い対角線をその粒子径とし、その平均から求めた。なお、TEM写真は単位面積10μm×10μmを3ヶ所以上とり平均値を求めた。
複合酸化物の還元前の平均粒径はSEM(Scanning Electron Microscope)観察をもとに、粒子の最も長い対角線と最も短い対角線を平均したものを、少なくとも100個以上の粒子に関して平均化した値を求めた。
表1に、以上の各実施例及び比較例に関する透磁率、1000H後の透磁率実部の経時変化、電磁波吸収特性、製造所要時間、などの評価結果を示す。表1から分かる通り、本実施例にかかる高周波磁性材料は、優れた磁気特性が得られることが分かった。なお、透磁率実部μ’は1GHzのみであるが、平坦な周波数特性を示しており、100MHzでもほぼ同じ値となっている。また、実施例にかかる高周波磁性材料において析出金属粒子のいずれもFe粒子、Co粒子、Fe基合金粒子、Co基合金粒子の少なくとも1種であった。また、析出金属粒子の最大径はいずれも2000nm以下であった。また、いずれも結晶粒内および粒界に析出金属粒子が確認された。
また、焼結によって生成された複合酸化物の還元後の残存相をEPMAで確認したところ、実施例1、2、3、5は固溶体以外の酸化物相は検出されなかった。一方、実施例6、7、8の材料では、固溶体の表面または粒界の一部から粉末(C)の偏析が検出された。
さらに実施例7については、一部の酸化物粒子から鉄が検出された。
Figure 0004444191
表1の結果をまとめると、還元前の複合酸化物粒子の粒径が10nm以上1μm以下の時、その中でも特に100nm以上500nm以下の時、また、金属酸化物(C)の組成が、難還元性金属酸化物(A)に対してモル%で0.001%以上0.1%以下の時、その中でも特に0.001%以上0.01%以下の時に、磁気特性が優れており、還元前の複合酸化物粒子の粒径が100nm以上500nm以下の時で、且つ、金属酸化物(C)の組成が、難還元性金属酸化物(A)に対してモル%で0.001%以上0.01%以下の時に更に優れた磁気特性を示すことが分かった。上記実施例では、1GHzでのμ’が高く熱的安定性にも優れており、1GHz帯域で高透磁率部品として利用できる可能性を有しており、また、2GHzでの電磁波吸収特性も優れているため、2GHz帯域で電磁波吸収体としても利用できる可能性を有している。すなわち、1つの材料でも使用周波数帯域を変えることによって、高透磁率部品としても、電磁波吸収体としても使用することができ、幅広い汎用性を示すことが分かった。また、本実施例で製造工程に要する所要時間はメカニカロアロイング法と比較しても短く、製造の歩留まりの向上を図ることができる。
図3A、本発明の高周波磁性デバイスの一例であるインダクタを示す平面模式図である。図3Bは、図3AのIIIB−IIIB断面を示す模式図である。高周波磁性材料6は磁性層9の表面に形成されており両者で磁性基板が構成される。配線7は高周波磁性材料6上に所定のパターンで形成されている。高周波磁性材料6には樹脂を添加することで基板をフレキシブル基板とすることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る高周波磁性部材の厚さ方向の断面模式図。 本発明の第1の実施の形態に係る高周波磁性部材の拡大した断面模式図。 本発明の高周波磁性デバイスに係るインダクタの平面及び断面の模式図。
符号の説明
1・・・磁性金属粒子
2・・・酸化物相
3・・・高周波磁性部材
4・・・酸化物相の結晶粒
5・・・粒界
6・・・高周波磁性層
7・・・配線
9・・・磁性層

Claims (8)

  1. Fe及びCoのうちの一つからなる金属粒子、あるいは、Fe及びCoの少なくとも一つを基とする合金粒子と、酸化物相とから構成される高周波磁性材料において、
    前記酸化物相が、難還元性金属酸化物からなる主相と、前記難還元性金属酸化物よりも価数の大きな金属酸化物を前記難還元性金属酸化物に対してモル%で0.001%以上0.1%以下含み、
    前記価数の大きな金属酸化物が前記主相に固溶していることを特徴とする高周波磁性材料。
  2. 前記主相が複数の酸化物粒子から構成され、この酸化物粒子の粒界に前記価数の大きな金属酸化物と同種の金属酸化物が存在することを特徴とする請求項1記載の高周波磁性材料。
  3. 前記価数の大きな金属酸化物が、前記難還元性金属酸化物に対してモル%で0.001%以上0.01%以下含まれていることを特徴とする請求項1に記載の高周波磁性材料。
  4. 前記酸化物相は平均粒径が10nm以上1μm以下の複数の粒子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の高周波磁性材料。
  5. 前記酸化物相が、Fe及びCoのうち少なくとも一つを含有する酸化物と、前記難還元性金属酸化物と、前記価数の大きな金属酸化物の複合酸化物を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の高周波磁性材料。
  6. 前記難還元性金属酸化物は、Mg、Al、Si、Ca、Zr、Ti、Hf、希土類元素、Ba及びSrから選ばれる元素の酸化物であり、前記価数の大きな金属酸化物は、Al23、Sc23、Cr23及びV23から選ばれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の高周波磁性材料。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の高周波磁性材料層を具備する高周波磁性デバイス。
  8. 難還元性金属酸化物と、前記難還元性金属酸化物に対してモル%で0.001%以上0.1%以下のAl23、Sc23、Cr23、V23から選ばれる金属酸化物と、Fe及びCoの少なくとも1種を含む金属酸化物を、混合、粉砕、焼結させて、平均粒径10nm以上1μm以下の複合酸化物を得る工程と、
    前記複合酸化物を還元処理して、Fe及びCoの少なくとも一つを含む金属あるいは合金を析出させる還元処理工程と、を備えることを特徴とする高周波磁性材料の製造方法。
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