JP2005113026A - 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物及び熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルム - Google Patents

熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物及び熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルム Download PDF

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JP2005113026A JP2003349839A JP2003349839A JP2005113026A JP 2005113026 A JP2005113026 A JP 2005113026A JP 2003349839 A JP2003349839 A JP 2003349839A JP 2003349839 A JP2003349839 A JP 2003349839A JP 2005113026 A JP2005113026 A JP 2005113026A
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Katsunori Toyoshima
克典 豊嶋
Takeharu Morita
健晴 森田
Tetsuya Kusano
哲也 草野
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 耐溶剤性、耐薬品性に優れ、高い物理特性と光学特性とを両立した樹脂フィル
ムが得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂
フィルム、光学フィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び位相差補償フィルムを提供す
る。
【解決手段】 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂100重量部と撥油性樹脂0.001〜
10重量部とを含有することを特徴とする熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、高い物理特性と光学特性とを両立した樹脂フィル
ムが得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂
フィルム、光学フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板及び位相差板に関する。
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、耐熱性、光学特性、透明性、電気特性等において優
れた性能を有し、自動車部品、電気・電子部品、光学部品及び建材等に用いるフィルムと
しての応用が検討されている。とりわけ、卓上電子計算機、電子時計、ワープロ、自動車
、機械類の計器類等の液晶表示装置の偏光板に用いる偏光子保護フィルムや位相差板とし
ての応用が期待されている。
しかし、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなる樹脂フィルムは非常に脆く耐衝撃性等
の機械的強度に劣り、例えば、熱サイクル試験等を行った場合に割れや破れが生じやすい
という問題があった。また、耐溶剤性や耐薬品性にも劣っており、例えば、応力をかけた
状態で溶剤等を滴下した場合には滴下部分から容易に割れや破れが発生してしまい、いわ
ゆる耐ソルベントクラック性に劣っていた。
これに対して、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂に対してゴム質重合体を配合した樹脂組
成物を用いてフィルムを作製することが試みられており、例えば、特許文献1には、エス
テル基を有する熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂にスチレン−ブタジエン共重合体等のス
チレン系ゴムを混練した樹脂組成物が開示されている。このような熱可塑性飽和ノルボル
ネン系樹脂に対してゴム質重合体を配合した樹脂組成物を用いれば、耐衝撃等の機械的強
度が向上し、熱サイクル試験等を行っても割れや破れが発生しにくい樹脂フィルムが得ら
れる。しかしながら、特許文献1に開示されたフィルムは、確かに機械的強度の向上は認
められるものの、平行光線透過率等の光学特性が著しく低下しており、光学フィルムとし
ては用いることができないものであった。また、耐ソルベントクラック性に関しては依然
として改善されていなかった。
また、特許文献2には、エポキシ基を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用い、これを
架橋することにより耐溶剤性、耐薬品性を向上させることができる樹脂組成物が開示され
ている。しかしながら、この方法では耐ソルベントクラック性を向上させることはできる
ものの、架橋の制御が困難で副生成物が生成したり重合開始剤が残留したりすることある
という問題点に加え、架橋により得られる樹脂フィルムが脆くなり、かえって耐衝撃性等
の機械的強度が低下してしまうことがあるという問題があった。
特開平3−72558号公報 特開平8−259784号公報
本発明は、上記現状に鑑み、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、高い物理特性と光学特性とを両
立した樹脂フィルムが得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物、熱可塑性飽和ノ
ルボルネン系樹脂フィルム、光学フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板及び位相差板を
提供することを目的とする。
本発明は、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂100重量部と撥油性樹脂0.001〜10
重量部とを含有する熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物は、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂と
撥油性樹脂とを含有する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂に少量の撥油性樹脂を
配合することにより、得られる樹脂フィルムの耐溶剤性及び耐薬品性を飛躍的に向上でき
ることを見出し、本発明を完成するに至った。また、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は
極めて撥水性にも優れることから、得られる樹脂フィルムは撥油性かつ撥水性を示す。
本発明者らは、また、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂と撥油性樹脂とに更にゴム質重合
体を配合した熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物を用い、一定の条件下で製膜すれば
、優れた耐溶剤性、耐薬品性を有し、かつ、高い物理特性と光学特性とを両立した樹脂フ
ィルムが得られることを見出した。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂とは、ノルボルネン系重合体の水素添加物又はノル
ボルネン系共重合体の水素添加物であって、水素添加率が50%以上であるものを意味す
る。
上記ノルボルネン系重合体としては特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で表
される少なくとも1種のノルボルネン系単量体を重合してなるものが好適に用いられる。
上記ノルボルネン系共重合体としては特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で
表される少なくとも1種のノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な共重合性単量体と
を共重合してなるものが好適に用いられる。
Figure 2005113026
式中、A、Bは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X、Yは水素原子、ハ
ロゲン原子又は有機基を表し、mは0又は1を表す。
上記一般式(1)で表されるノルボルネン系単量体としては特に限定されないが、例えば
、ビシクロ〔2.2.1〕−2−ヘプテン、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕−8−
デセン、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕−3−デセン、トリシクロ〔6.2.1.
1,9〕−9−ウンデセン、トリシクロ〔6.2.1.01,9〕−4−ウンデセン、
テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセン等の官能基を有しな
いもの;8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−
3−ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,
.17,10〕−3−ドデセン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−
2−ヘプテン等の官能基を有するものが好適である。なかでも、上記一般式(1)におい
てmが1であるテトラシクロドデセン誘導体が、ガラス転移温度の高い重合体が得られる
点で好適である。これらのノルボルネン系単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を併
用してもよい。
上記一般式(1)で表されるノルボルネン系単量体と共重合可能な共重合性単量体として
は特に限定されず、例えば、上記一般式(1)に含まれないノルボルネン系単量体やノル
ボルネン骨格を有しない環状オレフィン系単量体が挙げられる。
上記上記一般式(1)に含まれないノルボルネン系単量体としては、例えば、ペンタシク
ロ〔6.5.1.13,6.02,7・09,13〕−4−ペンタデセン、ペンタシクロ
〔6.6.1.13,6.02,7.09,14〕−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ〔
6.5.1.13,6.02,7.09,13〕−11−ペンタデセン、ジシクロペンタ
ジエン、ペンタシクロ〔6.5.1.13,6.02,7.09,13〕−ペンタデカ−
4,11−ジエン等のポリシクロアルケン等が挙げられる。
上記ノルボルネン骨格を有しない環状オレフィン系単量体としては特に限定されず、例え
ば、シクロペンテン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シク
ロドデカトリエン等のシクロオレフィン類等が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるノルボルネン系単量体を重合する方法、又は、上記一般式(
1)で表されるノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な共重合性単量体とを共重合す
る方法としては特に限定されず、例えば、開環メタセシス重合、付加重合等の従来公知の
方法を用いることができる。
上記ノルボルネン系重合体又はノルボルネン系共重合体に水素添加する方法としては特に
限定されず、例えば、ウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニ
ッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、パラジウム−カーボン、ル
テニウム錯体、ルテニウム−カーボン、ニッケル−珪藻土等の従来公知の触媒を用いる方
法等が挙げられる。また、重合の際にルテニウムアルキリデン錯体、ルテニウムビニリデ
ン錯体、ルテニウムフィッシャーカルベン錯体等のメタセシス重合性を示す錯体を用いる
場合には、水素添加触媒を加えることなく水素加圧によって水素化が行え、重合と水素化
のステップを連続で行うことができる。
上記水素添加は、触媒の種類により均一系または不均一系で、通常1〜200気圧の水素
圧下、0〜250℃の条件で行われる。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂とは、上記ノルボルネン系重合体又は上記ノルボル
ネン系共重合体を水素添加率が50%以上となるように水素添加したものであるが、水素
添加率の好ましい下限は70%、より好ましい下限は80%である。水素添加率が50%
未満であると、得られる樹脂フィルムの耐光性、耐熱劣化性が劣る。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のポリスチレン換算による数平均分子量の好ましい
下限は1万、好ましい上限は100万である。1万未満であると、得られる樹脂フィルム
の機械的強度が不足することがあり、100万を超えると、溶融成形性が著しく低下する
ことがある。より好ましい下限は1万5000、より好ましい上限は70万である。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度の好ましい下限は70℃、好まし
い上限は180℃である。70℃未満であると、得られる樹脂フィルムの耐熱性が劣るこ
とがあり、180℃を超えると成形が困難になることがある。
本明細書において撥油性樹脂とは、JIS B 0601に規定される方法により算出し
た表面荒れRzが0.25以下の板状、シート状又はフィルム状に加工したときに、表面
での植物油の接触角が40°以上となるようなものを意味する。また、本明細書において
接触角とは、約25℃の室温下において測定した値を意味する。
上記撥油性樹脂としては非結晶性樹脂であっても結晶性樹脂であってもよく、例えば、非
結晶性樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、また、結晶性樹脂とし
ては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド等が挙げら
れる。
上記フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、パーフル
オロアルコキシ樹脂(PFA)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)等の4フッ化
エチレン系樹脂重合体やフッ素系ゴム等が挙げられる。
上記シリコーン樹脂としては、例えば、ポリジメチルシロキサン等のメチルシリコーンゴ
ム等が挙げられる。
上記撥油性樹脂は、上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂中に溶融して混練してもよいが
、粒子状のものを熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂中に分散させてもよい。
この場合の上記撥油性樹脂粒子の形状としては特に限定されず、例えば、球状、繊維状等
が挙げられる。また、上記撥油性樹脂粒子の粒径としては特に限定されないが、球状の場
合は、直径5μm以下が好ましく、繊維状の場合は、繊維の太さが500nm以下である
ことが好ましい。これを超えると、得られる樹脂フィルムの可視光線透過率等の光学性能
が低下することがある。
上記撥油性樹脂は、アクリル樹脂等によりカプセル化されたものであってもよい。上記撥
油性樹脂を熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂中に混合して分散させる際には、撥油性樹脂
が凝集してしまい均一に分散できないことがある。アクリル樹脂等によりカプセル化した
撥油性樹脂を用いれば、凝集することなく均一に熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂中に分
散させることができる。
上記撥油性樹脂をアクリル樹脂等によりカプセル化する方法としては特に限定されず、例
えば、ディップ法等の従来公知の方法を用いることができる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物における上記撥油性樹脂の配合量の下限
は、上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂100重量部に対して0.001重量部、上限
は10重量部である。0.001重量部未満であると、得られる樹脂フィルムの耐溶剤性
、耐薬品性を充分に向上させることができず、10重量部を超えると、得られる樹脂フィ
ルムの光学特性が劣り光学フィルムとして用いることができない。好ましい下限は0.0
1重量部、好ましい上限は5重量部である。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物は、更に、ゴム質重合体を含有すること
が好ましい。ゴム質重合体を配合することにより、得られる樹脂フィルムの耐衝撃性等の
機械的強度を著しく向上させることができる。
なお、本明細書においてゴム質重合体とは、ハードセグメントとソフトセグメントとから
なる重合体であって、ソフトセグメントのガラス転移温度が25℃以下であるものを意味
する。
上記ゴム質重合体としては特に限定されず、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重
合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共
重合体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエン系
ブロック共重合体や、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−プロピレンエラストマー
、スチレングラフトエチレン−プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラスト
マー、エチレン系アイオノマー樹脂等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの
ゴム質重合体は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、酸無水物基
、オキサゾリン基等の特定の官能基によって変性されたものであってもよい。なかでも、
スチレン−共役ジエン系エラストマーが好適である。
上記スチレン系エラストマーとしては、得られる樹脂フィルムの光学特性を損なうことな
く引張弾性率、引張破壊伸び等の物理特性を改善できるものであれば特に限定されず、例
えば、スチレンセグメントとガラス転移温度が25℃以下のセグメントとからなる共重合
体が挙げられる。例えば、スチレンと、ブチレン、イソブチレン、プロピレン、イソプロ
ピレン、エチレン等の炭化水素との共重合体等が挙げられる。なかでも、スチレン−エチ
レン−ブチレン共重合体(SEBS)やスチレン−エチレン−プロピレン共重合体等が好
ましい。特に、スチレン成分25〜50重量%、ブチレン成分25〜50重量%であるス
チレン−エチレン−ブチレン共重合体は、極めて高い光学特性と物理特性とを両立した光
学フィルムが得られることから好適である。これは、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂と
の屈折率が極めて近く、ゴム的な性質を効率よく付与できかつ弾性率の低下も小さいため
、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の特性を損なわないためと考えられる。
上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂とゴム質重合体とは、屈折率の差が0.2以下であ
ることが好ましい。0.2を超えると、得られる樹脂フィルムの透明性、残留位相差等が
悪化したり、光学的な歪み等を生じやすくなったりすることがある。より好ましくは0.
1以下、更に好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.03以下である。
また、本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物を溶融混合により調製する場合に
は、成形温度における上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の粘度(ηノルボルネン)と
ゴム質重合体の粘度(ηゴム)との比(ηゴム/ηノルボルネン)が1に近いことが好ま
しい。粘度比が1に近いと、上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂中に上記ゴム質重合体
を微分散させることができる。好ましくは0.2〜3.0であり、より好ましくは0.4
〜2.0である。得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムのヘイズ値を0.5
%以下とする場合には、特にηゴム/ηノルボルネンが0.5〜1.8であることが好ま
しい。なお、ここでいう粘度とは、実際の成形温度においてせん断速度を24.3で測定
したときの粘度を意味する。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物における上記ゴム質重合体の含有量の好
ましい下限は上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物100重量部に対して5重量部
、好ましい上限は40重量部である。5重量部未満であると、得られる樹脂フィルムに充
分な機械的強度の改善効果が認められないことがあり、40重量部を超えると、得られる
樹脂フィルムの光学特性が劣ることがある。より好ましい下限は10重量部、より好まし
い上限は30重量部である。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂組成物は、更に、熱可塑性樹脂を含有することが
好ましい。上記熱可塑性樹脂を含有することにより、上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹
脂とゴム質重合体との相溶性が向上し、得られる樹脂フィルムの光学特性が向上すること
がある。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂との相
溶性に優れることからオレフィン系樹脂が好適である。
上記熱可塑性樹脂の数平均分子量の好ましい下限は300、好ましい上限は1万である。
300未満であると、ブリードアウト等の問題が生ずることがあり、1万を超えると、相
溶性向上効果が得られないことがある。より好ましい下限は500、より好ましい上限は
5000であり、更に好ましい下限は600、更に好ましい上限は2000である。
上記熱可塑性樹脂は、上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂との屈折率差が0.2以下で
あることが好ましい。0.2を超えると、得られる樹脂フィルムの透明性が劣ることがあ
る。より好ましくは0.1以下である。
また、上記熱可塑性樹脂を溶融混練法にて配合する場合には、上記熱可塑性樹脂としては
、熱重量分析において空気雰囲気下での2重量%分解温度が230℃以上であることが好
ましい。より好ましくは250℃以上、更に好ましくは270℃以上である。
このような性質を有する熱可塑性樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、トー
ネックス社製「エスコレッツ」、ヤスハラケミカル社製「クリアロン」、荒川化学社製「
アルコン」等が挙げられる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で必要
に応じて、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘ
キシル)−4,6,ジメチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−
t−ブチルフェノール)、トリス(ジ−ノニルフェニルホスファイト)等の酸化防止剤;
p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾ
フェノン、2−(2’−ジヒドロキシ−4’−m−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール等の紫外線吸収剤;パラフィンフェノス、硬化油等の滑剤;ステアロアジトプロピル
ジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウムトレート等の帯電防止剤等を含有してもよ
い。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物を調製する方法としては特に限定されず
、例えば、一軸混練機、ミキサー、二軸混練機等を用いて上記熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂のガラス転移温度よりも50〜150℃高い温度で溶融混練する方法;超臨界条件
下で混練する方法;適当な溶剤に溶解した後、凝固法、キャスト法又は直接乾燥法により
溶剤を除去する方法等が挙げられる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂組成物を用いれば、耐溶剤性、耐薬品性に優れた
樹脂フィルムを製造することができる。更に、ゴム質重合体を配合することにより、高い
物理特性と光学特性とを両立した樹脂フィルムを製造することができる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物からなる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹
脂フィルムもまた、本発明の1つである。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、植物油の接触角が15°以上であ
る。このような性質を有する熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、撥油性樹脂を
含有する本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物を用いることによりはじめて得
られるものであり、極めて高い耐溶剤性、耐薬品性を示す。15°未満であると、耐溶剤
性、耐薬品性が不充分で、耐ソルベントクラック性に劣る。
なお、本明細書において植物油とは、一般的な植物由来の油を意味し、例えば、サフラワ
ー油、ぶどう油、大豆油、ひまわり油、小麦はい芽油、ニガー油、とうもろこし油、綿実
油、ゴマ油、なたね油、こめ油、カポック油、落花生油、オリーブ油、パーム油、やし油
、あまに油等が挙げられる。
また、接触角は、例えば、JIS B 0601に規定される方法により算出した表面荒
れRzが0.25以下の板状、シート状又はフィルム状に加工した測定試料を用い、市販
の接触角測定装置を用いて、植物油の液滴直径が約1.5mmになるように植物油を測定
試料上に落とし、モニター等で確認しながら接触角を測定することにより測定することが
できる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、平行光線透過率が87%以上であ
ることが好ましい。87%未満であると、偏光子保護フィルム等の用途には用いることが
困難となる。好ましくは89%以上である。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、残留位相差が15nm以下である
ことが好ましい。15nmを超えると、偏光子保護フィルムとして用いた場合に光洩れ等
の原因となることがある。より好ましくは10nm以下である。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、JIS K 7113に準じて測
定した引張弾性率が900MPa以上であることが好ましい。900MPa未満であると
、本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた
場合に、偏光子の収縮を抑えることができないことがある。より好ましくは1000MP
a以上である。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、JIS K 7113に準じて測
定した引張破壊伸びの好ましい下限が4%、好ましい上限が40%である。4%未満であ
ると、破断しやすくなることから本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを偏
光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光板のリワーク性、即ち、サンプリング工程に
おいて液晶セルから偏光板を剥離して貼り直しする作業性が劣ることがあり、40%を超
えると、耐久試験、特に耐熱劣化試験を行うと偏光板の寸法変化が大きくなり、光学特性
の変化や液晶セルからの剥離が発生しやすくなることがある。より好ましい下限は6%、
より好ましい上限は35%であり、更に好ましい下限は8%である。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、室温において張力500N/25
mmで破断することなく巻き取り可能であることが好ましい。これにより大量生産が可能
になり、コストを大幅に削減することができる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、平均膜
厚が100μm以下であるときに、上述の光学特性及び物理特性を満たすものであること
が好ましい。従来の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなる光学フィルムでは、平均膜
厚を100μm以下にすると非常に脆くなり、製造が困難なことに加え、これを偏光子保
護フィルムとして用いると偏光板はリワーク性に劣るものとなった。より好ましくは平均
膜厚が70μm以下、更に好ましくは平均膜厚が50μm以下であるときに、上述の光学
特性及び物理特性を満たすものであることである。平均膜厚50μm以下で上述の光学特
性及び物理特性を満たすものであると、コストも大幅に削減することができ、極めて価値
が高い。平均膜厚の下限についても特に限定されないが、光学フィルムや偏光子保護フィ
ルム等として用いることを考えれば、好ましくは平均膜厚が25μm以上、より好ましく
は平均膜厚が20μm以上であるときに、上述の光学特性及び物理特性を満たすものであ
ることが好ましい。
従来は、このような耐溶剤性、耐薬品性に優れ、かつ、光学特性と物理特性とを両立した
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムはなかったが、本発明者らは、鋭意検討の結果
、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルム中における上記熱可塑性飽和ノルボルネン系
樹脂とゴム質重合体との状態を制御することにより、光学特性及び物理特性を両立できる
ことを見出した。
即ち、本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを四酸化ルテニウム等により染
色した後、約0.05μmの厚さにスライスし、その断面を透過型電子顕微鏡を用いて観
察したときに、上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のマトリックス中に、上記ゴム質重
合体が糸状又は帯状に一定方向に配向して配列しているような状態になったときに、熱可
塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは上述の光学特性と物理特性とを両立することがで
きる。このような状態にある本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの透過型
電子顕微鏡像の1例を示す模式図を図1に示した。
図1においては、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂1からなるマトリックス中に、ゴム質
重合体2が糸状又は帯状に一定方向に配向して配列している。糸状又は帯状のゴム質重合
体の大きさは特に限定されないが、幅10nm、厚さ数百nm、長さ1〜5μm程度であ
ることが好ましい。
なお、図1中の矢印は、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの厚さ方向を示すもの
であり、この方向での平行光線透過率等の光学特性が問題となる。
このような特定の構造をとるときには、本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィル
ムは高い光学特性及び物理特性を両立できる。これは、本発明の熱可塑性飽和ノルボルネ
ン系樹脂フィルムを厚さ方向から見たとき、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂中に、ゴム
質重合体が、厚さが数百nm程度、即ち可視光の波長以下の棒状又は帯状で分散している
ことから、充分に物理特性を向上させる程の大量のゴム質重合体を配合した場合でも、透
明なフィルムが得られるためと考えられる。
更に、本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムにおいては、熱可塑性飽和ノル
ボルネン系樹脂からなるマトリックス中に、糸状又は帯状に一定方向に配向して配列して
いるゴム質重合体を詳細に観察したときに、少なくとも一部の糸状又は帯状のゴム質重合
体の内側に熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の層が取り込まれているような構造をとるこ
とがより好ましい。このような構造の1例を図1bに示した。
図1bにおいては、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂1からなるマトリックス中の、糸状
又は帯状のゴム質重合体2の更に内側に熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂1が認められる
。このような構造は一般にサラミ構造と呼ばれる。本発明1の熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂フィルムがサラミ構造を有する場合には、更に、物理性能が向上する。
これは、本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを引っ張る等して力をかけた
場合に、まず、このサラミ構造をとる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂とゴム質重合体と
の界面に応力が集中し、フィルムを破断等するための力が緩和されるためではないかと考
えられる。
一方、例えば、特許文献1等の従来のゴム質重合体を配合した熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂フィルムを透過型電子顕微鏡を用いて観察すると、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹
脂からなるマトリックス中に、不規則に凝集したゴム質重合体が浮かんだ構造が観察され
る。このような状態の1例を示す模式図を図2に示した。
図2においては、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂1からなるマトリックス中に、種々の
大きさのゴム質重合体2の凝集塊が不規則に配置されている。
このような状態にある熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムでは、フィルム内部で光
が散乱してしまうことから、大量のゴム質重合体を配合した場合には充分な光学特性が得
られなくなると考えられる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを製造する方法としては特に限定され
ないが、例えば、上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物を調製した後、溶融押出す
る方法等が好適である。
溶融押出することにより、上述の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂からなるマトリックス
中に、ゴム質重合体が糸状又は帯状に一定方向に配向して配列している構造を得ることが
でき、光学特性と物理特性とを両立した本発明1の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィ
ルムを得ることができる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、かつ
、高い物理特性と光学特性とを両立したものであることから、光学フィルムとして好適に
用いることができる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムからなる光学フィルムもまた、本発明
の1つである。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは、また、偏光子保護フィルムとして
好適に用いることができる。
また、このような偏光子保護フィルムと偏光子とを従来公知の(粘)接着剤を用いて接着
して得られる偏光板は、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、かつ、高い物理特性と光学特性とを
両立したものである。更に、液晶セルに偏光板を貼り合わせる工程後に欠陥が見つかった
場合には、容易に偏光板を剥がして高価な液晶セルを再利用できることから、リワーク性
にも極めて優れる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムからなる偏光子保護フィルムもまた、
本発明の1つである。
本発明の偏光子保護フィルムと偏光子とからなる偏光板もまた、本発明の1つである。
本発明の偏光子保護フィルムは、光学特性を損なわない範囲で、偏光子との貼り合わせ性
を向上させる目的で、表面の水による接触角が40°〜50°程度になるようにコロナ放
電処理等を施してもよい。
上記偏光子としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、延伸
配向したポリビニルアルコール樹脂にヨウ素又は二色性染料を吸着させたもの等を用いる
ことができる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムは一軸又は二軸延伸して配向性を付与
することにより、液晶物質を通過する際の光の歪みを補償する位相差板としても好適に用
いることができる。
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムからなる位相差板もまた、本発明の1
つである。
上記延伸を行う場合の温度としては特に限定されないが、好ましい下限は上記熱可塑性飽
和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度であり、好ましい上限は上記熱可塑性飽和ノルボ
ルネン系樹脂のガラス転移温度+20℃である。この範囲外であると、低温側ではフィル
ムが破断してしまうことがあり、高温側では所望のレタデーションを得にくい場合がある
。より好ましい下限は上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度+1℃であ
り、より好ましい上限は上記熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度+10℃
である。
上記延伸を行う場合の延伸倍率としては特に限定されないが、フィルムの溶融押出の方向
に延伸する場合には、好ましい下限は1.05倍、好ましい上限は5.0倍である。1.
05倍未満であると、変形量が少なすぎて充分なレタデーションが得られないことがあり
、5.0倍を超えると、フィルムが破断してしまうことがある。より好ましい下限は1.
1倍、より好ましい上限は2.5倍である。また、フィルムの溶融押出の方向とは垂直の
方向に延伸する場合には、好ましい下限は1.2倍、好ましい上限は3.0倍であり、よ
り好ましい下限は1.5倍、より好ましい上限は2.5倍である。
本発明によれば、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、高い物理特性と光学特性とを両立した樹脂
フィルムが得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物、熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂フィルム、光学フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板及び位相差板を提供できる
(実施例1)
(1)熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂の調製
窒素ガスで置換した反応容器内に、下記式(2)で表されるノルボルネン系単量体8−メ
チル−8−メトキシカマポニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3
−ドデセン500g、1,2−ジクロロエタン200mL、分子量調節剤として1−へキ
セン3.1g、触媒として濃度0.07Mの6塩化タングステン/クロロベンゼン溶液9
0mL、濃度0.15Mのパラアルデヒド/1,2−ジクロロエタン溶液70mL、及び
、濃度0.7Mのトリイソブチルアルミニウム/トルエン溶液37mLを加え、60℃で
8時間反応させた後、ノルボルネン系単量体の開環重合体440gを単離した。
得られた開環重合体を9000mLのテトラヒドロフランに溶解し、パラジウム含量が5
重量%のパラジウム−アルミナ触媒45gを加え、水素ガスを圧力が9.8MPaとなる
よう仕込んで、140℃で5時間水素添加反応させた。水素添加反応後、触媒を濾別し、
濾液を塩酸酸性の大過剰量のメタノール中に注いで、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を
得た。得られた熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂は、水素添加率が実質上100%、数平
均分子量(Mn)が28000、ガラス転移温度が171℃、屈折率が1.51であった
Figure 2005113026
(2)熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの作製
得られた熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂とスチレン系エラストマー(旭化成社製、タフ
テック1041:屈折率1.51)、テトラフルオロエチレン樹脂(三菱レイヨン社製、
メタブレンA3000)とを87:15:2の重量比でラボプラストミル(東洋精機社製
)にて270℃で溶融混合し、Tダイスにより厚さ40μmの熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂フィルムを押出成形した。
(比較例1)
実施例1で調製した熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を用い、スチレン系エラストマー及
びテトラフルオロエチレン樹脂を配合しなかった以外は実施例1と同様にして厚さ40μ
mの熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1で調製した熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を用い、テトラフルオロエチレン樹
脂を配合しなかった以外は実施例1と同様にして厚さ40μmの熱可塑性飽和ノルボルネ
ン系樹脂フィルムを得た。
(熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの評価)
実施例1及び比較例1、2で作製した熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムについて
、以下の方法により評価した。
結果を表1に示した。
(1)植物油の接触角の測定
接触角計(KRUSS社製、CONTACT ANGLE MEASUREING SY
STEM G2)を用い、植物油(ニッコー製油社製、ニッコーサラダ油)の液滴が1.
5mm程度になるようにフィルム上に落とし、モニターで確認しながら接触角を測定した
。なお、接触角の測定は約25℃の室温中で行なった。
(2)ソルベントクラック性の評価
綿に植物油(ニッコー製油社製、ニッコーサラダ油)をしみ込ませて、フィルム上に薄く
塗布した。塗布3時間後に植物油をふき取り、フィルムのクラックの有無を確認した。
(3)平行光線透過率の測定
JIS K 7150に準じて測定を行った。
(4)引張弾性率、引張破壊伸びの測定
JIS K 7113に準じて、TENSILON(ORIENTEC社製)を用いて、
下記の条件にて測定を行った。
チャック間距離 150mm
フィルム幅 20mm
引張速度 20mm/分
Figure 2005113026
(実施例2)
実施例1で作製した熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムを偏光子保護フィルムとし
て用い、偏光板を作製した。
即ち、まず、ポリビニルアルコール(重合度3800、鹸化度:99.5モル%)の未延
伸フィルム(厚さ:75μm)を室温の水で洗浄した後、縦一軸方向に6倍延伸を行い、
この延伸状態を保持したままでヨウ素0.5重量%及びヨウ化カリウム5重量%を含有す
る水溶液中に浸漬した後、更にホウ酸10重量%及びヨウ化カリウム10重量%を含有す
る50℃の水溶液中で5分間架橋処理を行うことにより、偏光子を作製した。
偏光子保護フィルム表面の偏光子と積層する側の面にコロナ放電処理を施した。コロナ放
電処理後の偏光子保護フィルム表面の水の接触角は42〜44°であった。
次いで、2液混合型水性ウレタン系接着剤(東洋モートン社製、EL−436A/B)の
A剤/B剤=10/3(重量比)の混合物を固形分が10重量%となるように水で希釈し
て接着剤溶液を調製し、メイヤーバー#8を用いて偏光子保護フィルムのコロナ放電処理
面に塗工し、これを偏光子の両面に貼り付けて積層体を得た。
得られた積層体を45℃の恒温槽中で72時間保持し、乾燥、養生を行って、偏光板を作
製した。
得られた偏光板は、透明性、偏光度とも問題ないものであった。
本発明によれば、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、高い物理特性と光学特性とを両立した樹脂
フィルムが得られる熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物、熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂フィルム、光学フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板及び位相差板を提供できる
本発明の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの断面の透過型電子顕微鏡写真像の1例を示す模式図である。 従来の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムの断面の透過型電子顕微鏡写真像の1例を示す模式図である。
符号の説明
1 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂
2 ゴム質重合体

Claims (8)

  1. 熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂100重量部と撥油性樹脂0.001〜10重量部とを
    含有することを特徴とする熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物。
  2. ゴム質重合体5〜40重量部を含有することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性飽和ノ
    ルボルネン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂組成物からなり、植物油の接触角
    が15°以上であることを特徴とする熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルム。
  4. 平行光線透過率が87%以上、引張弾性率が900MPa以上、かつ、引張破壊伸びが4
    〜40%であることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィル
    ム。
  5. 請求項3又は4記載の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムからなることを特徴とす
    る光学フィルム。
  6. 請求項3又は4記載の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムからなることを特徴とす
    る偏光子保護フィルム。
  7. 請求項6記載の偏光子保護フィルムと偏光子とからなることを特徴とする偏光板。
  8. 請求項3又は4記載の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂フィルムからなることを特徴とす
    る位相差板。
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