JP2005107773A - 不良影響度評価方法および設計支援システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】部品故障率をデータベースに格納しておき、製品の設計段階で、製品を構成する各部品の組立工程について組立不良率を算出し、製品の設計情報から部品配置関係を抽出し、組立不良率と部品故障率に基づいて部品不良率を算出し、部品配置関係と部品不良率に基づき各組立工程で係わりのある部品に対し部品不良率を係数を掛け合わせて工程の影響度を示す数値を算出することにより、各部品および各工程の影響度を評価する。
【選択図】 図1
Description
不良の中には発生の頻度は比較的低くても、それが発生した場合の影響が大きいものもある。そこで不良の発生頻度だけでなく、その不良が他の部品に与える影響や重要度等も考慮してその不良の影響度が評価できるような方法やシステムが望まれていた。
なお、本明細書では、単品部品と部組品を総称して「部品」と記述する。従って、部品組付作業とは、部品の組付作業と部組品の組付作業の両方を含む。また、組み付けられる部品または部組品は総称して「被組付部品」と記述する。
(1)設計支援システムの構成
図1は、本発明の一実施形態における設計支援システムの構成を説明する図である。
評価用データベース41には、組立時間評価用のデータベース、組立不良評価用データベース、分解修理時間評価用データベース、コスト評価用データベース、基本機能データベースが含まれている。
また、組立時間評価用のデータベースには、標準動作別の“組立時間係数”、組付部品性質別の第一の組立時間補正係数、被組付部品性質別の第二の組立時間補正係数などが格納されている。
分解修理時間評価用データベースには、分解不可動作テーブル、標準動作別の“分解時間係数”、分解部品性質別の第一の分解時間補正係数などが格納されている。
コスト評価用データベースには、組立時間コスト係数、分解時間コスト係数、購入品コストデータなどが格納されている。基本機能データベースには、設定可能な基本機能リスト、基本機能特有の組付け動作、分解動作係数、部品名と関連付けした基本機能リストが格納されている。
また、過去の事例参照用データベース43は、例えば3Dの設計情報データベースと不良事例データベースから構成される。これらのデータベースは単独でも機能するが、部品に設定した基本機能や部品属性(部品名、部品番号、材質、など)、また組立動作などのデータをもとに他のデータベースとも関連づけられており、任意に参照することができる。
(2)設計支援システムの処理の概要
(2.1)設計支援システムの全体の処理の流れ
図2は、本実施形態の設計支援システムにおける処理の概要を各処理の対象である情報の変化で説明する図である。
図2に示すように、まず3次元CADなどの設計システム20から出力される製品の設計情報111が計算手段3に入力される。計算手段3においては、この入力された設計情報111から部品属性情報と階層関係201および部品配置情報202を抽出する。そして、抽出した部品属性情報と階層関係201と、設計システム20から入力された設計情報を基に設計者によって設定された組付順序および組付動作121と、評価用データベース41の組立不良評価用データベースに格納されたデータに基づいて組付け部品の不良率の評価50を算出する。また、計算手段3は、設計情報111から抽出した部品配置情報202から不良影響度伝播経路211を算出する。この不良影響度伝播経路211の算出処理は、本発明の特徴的な処理の一つである。さらに算出した組付け部品の不良率50と不良影響伝播経路211に、工程設計情報122の設定を加えることで、部品の不良を発見した際に行う対策の難易度を評価、不良影響度評価250の結果を算出することが、本発明の特徴的な処理である。この不良影響度評価250の結果としては、部品の重要度、工程の重要度251を出力する。本実施の形態においては、この評価結果と予め設定した目標値とを比較することにより問題点を把握し、製品設計の改善や工程設計の改善を支援する。
このように、設計段階において、組付け部品の不良率だけではなく、設計情報から求めた不良影響伝播経路を活用することにより、不良が起きた際の影響を定量的に評価するものである。また、製品設計の評価と同時に工程設計の評価も同期して行うものである。
(2.2)組付け部品の不良率計算方法の一例
ここで説明する方法は、組付作業を標準組付動作で表現することで組付け不良率を推定する方法である。
予め部品組付作業の動作内容を表現するために必要な動作種類(標準組付動作)を定めておく。この標準組付動作毎に、予め定めた「ある作業者条件、ある部品条件、ある作業職場条件」の下でこの標準組付動作を行う場合に、標準組付動作を確実に行うことの出来ない確率の大小を示す数値を設定した標準組付動作別の“組立不良係数”を定める。次に、組付動作を行う「組付部品の性質」によって標準組付動作別の“組立不良係数”を補正する第一の“組立不良補正係数”で標準組付動作別の“組立不良係数”を補正する。また、組付動作を行う「被組付部品の性質」によって標準組付動作別の“組立不良係数”を補正する第二の組立不良補正係数で標準組付動作別の“組立不良係数”を補正する。そして、製品または部品を組み立てる職場の標準動作作業不良の発生頻度と、補正された標準組付動作別の“組立不良係数”を複合することにより、製品または部品の組立作業不良の発生頻度(組付け不良率)を推定する。このような組付作業を標準組付動作で表現することで、組立作業不良の発生頻度を推定する方法として背景技術で挙げた特許文献に記載の方法を用いても良い。
(3)設計支援システムの詳細な処理内容
図3は、本発明の一実施形態の設計支援システムの処理内容を説明する図である。
まず、顧客が要求する仕様である要求機能90を実現するために設計仕様の検討をする。そして、その設計仕様をもとに、例えば、機械設計部門では3次元CAD21の設計システムを用いて機械設計情報の入力(構造のモデリング)112を行う。また、電気設計部門では2次元CAD22あるいは3次元CADの設計システムを用いて電気設計情報の入力(回路図などの設計)113を行う。ここで、CADに入力した情報の中から各部品の属性情報やモデリングしたアセンブリにおける部品の配置情報から部品相互の関係を取得し不良影響度の評価に用いる。CADから情報を取得する方法としては、3次元CADのカスタマイズツールを用いる方法があり、情報取得用のプログラムを作成することでモデリング情報から計算した結果やテキスト入力した情報などを取得することが可能である。さらに3次元CADのもつ機能である干渉チェックの計算を自動実行しその結果を出力するプログラムも作成することもできる。そこで、この3次元CAD情報の自動取得プログラムを作成し、大きく2つの情報を取得する処理を行なう。一つは、部品属性情報と階層関係の取得201であり、もう一つは部品の配置情報の取得202である。
一方、部品配置情報の取得202処理の後は、3次元CAD21から製品構造における部品配置情報202を取得し、また2次元CAD22や電気回路図における信号伝達経路203を取得することで、部品相互に関連する経路204を算出する。この部品が相互に関連する経路を、部品の不良が発生した際の不良影響を伝播する経路として評価に用いることができる。
さらに、各部品に対し基本機能を定義し、算出した不良影響伝播経路を基本機能で図に表現する。不良とは機能を失うことであり、この図は、機能関連図ともなる。この機能関連図は、要求機能を満足するか、また設計の問題点を整理した表現となり設計改善の指標として役立てることができる。
不良や故障モードの解析において、一般に(例えばFMEAの解析において)は、次のように解析を行う。まず、部品やその機能そして故障モードを列挙する。そして各故障モードの発生頻度と故障モードの影響度、故障の検出度を1〜10あるいは1〜5の評価尺度で評価者の経験に基づき設定する。そして、故障モードの致命度の評価として(故障モードの発生確率)×(故障モードの影響度)×(故障の検出度)を評価する。このように、評価者の尺度による致命度が決定される。
(4)部品属性情報の取得処理と部品配置情報の取得処理の具体例
3次元CADからの部品属性情報を取得する具体例と、部品配置情報を取得する具体例を図4ないし図8を用いて説明する。
図4は、例として用いる製品の斜視図である。
図5は、図4の具体例において3次元CADから取得した部品構成を示す部品階層図である。
図6は、図4の具体例において3次元CADから取得した部品属性を示す部品属性表の例である。
図7は、図4の具体例において3次元CADから取得した部品相互の拘束情報を示す部品拘束情報表の例である。
図8は、図4の具体例において3次元CADから取得した部品相互の接触情報を示す部品接触情報表の例である。
3次元CADで機械設計情報を入力112し、モデリングを行なうとき、部品、サブアセンブリ、アセンブリごとにモデリングファイル名を付ける。このモデリングファイル名のほかに部品名を定義することもある。本実施形態の説明においては、モデリングファイル名または定義した部品名を製品の部品名称として定義する。また、一つのアセンブリモデルを作成する際、部品と部品との間に配置関係を拘束条件として定義する。ここで拘束条件とは、例えば、A部品のある面に対しB部品のある面が整列している、または、50mm離れた位置で面と面が平行状態である、または円筒の中心軸と長穴の中心軸が同心状態である、などといった部品を配置する際の定義情報を指すものである。3次元CADのアセンブリモデルを作成する際には、この拘束条件を定義することで、部品を所定の位置に配置することができる。ここでは、部品に対する拘束条件の定義を説明したが、作成したアセンブリを一つのサブアセンブリ部品として、さらに上位のアセンブリモデルに拘束条件を用いて定義し配置することもできる。
干渉チェック機能は、例えば次の2種類の機能がある。一つは、設定した部品範囲の中で干渉した部品の組み合わせリストの表示とともに干渉した部分の体積を表示する機能である。もう一つの機能としては、所定のクリアランス値を設定し部品間の隙間がクリアランス値以下となる部品の組み合わせリストを表示するものである。
分解状態の設定機能は、組立方法や分解方法を検討するための機能であり、部品を任意の方向に分解した画面を用いて組立指示書を作成することもできる。この分解状態の設定機能は、アセンブリの状態から部品を任意の方向に動かして、分解した状態としてモデルデータに記録することができる。この分解状態は複数の種類を設定することができ、例えば分解の動作ステップごとに複数の分解状態を記録することもできる。
これら3次元CADのモデルに定義した情報や3次元CADのもつ機能を用いて計算できる情報は、3次元CADのカスタマイズツールを用いて自動計算し、データとして取得することができる。
この製品のモデル名は、MG_Assyとしている。この斜視図において、PK、Screw_Sなどを部分的に分解した状態となっているが、組立後の状態はPKがPoleと接触しScrew_SによりPoleとの間でねじ締結した構成である。この図4を一つの3次元CADモデルとして具体例を説明する。
一般に3次元CADのモデル階層図は、このように最上位の製品名501MG_Assyの下に部品またはサブアセンブリ511、512などが階層をもって表示され、各部品にはその階層番号が記憶されている。例えば、図5に示したようにMG_Assyの下にサブアセンブリMotor_Assy、その下にMotor_Aといった構成となる。ただし、3次元CADにおける階層は、モデリング時の単位であり、特に組立作業を意識した構成にはなっていないことが多い。その理由は、アセンブリモデルに配置する拘束条件やサブアセンブリを作成する際の単位で階層が作成されるためである。
ここで部品の最大寸法は、3次元CADの機能を用いてバウンディングボックス(モデルの境界となる直方体)を計算することで、その直方体の最大寸法を部品の最大寸法として取得している。また、前述したように3次元CADの機能を用いて一つ以上の分解状態を設定することで、分解後と分解前のモデルの座標の差分から各部品の組付け方向を取得することができる。図6に示した組付け方向の数値は(X,Y,Z)のベクトルを示した例である。このように少なくとも一つ以上の分解状態を定義しておくことで、組立方向の一方向も自動取得することができる。
この3次元CADからの部品属性情報の取得結果は、図3に示した組立時間の推定51および組立不良の推定52を評価する際に必要な部品属性情報201として活用することができる。
(5)部品関連経路の算出
図9に、図7の部品拘束情報と図8の部品接触情報を関連図で示した部品配置情報図を示す。
図9においては、左側の枠は部品名称901を示しており、その右側の線は他の部品との関係を示している。この図において、太い実線912は干渉部分がある関係、細い実線913は接触している関係、1点鎖線911は拘束条件が設定されている関係として表現している。さらに詳しく表示するためには拘束条件や干渉体積ごとに線種や線の太さを変えて表示してもよい。
ここまでの説明においては、製品設計情報は3次元CADの出力情報を活用するものとして説明したが、その他の方法として、3次元CADのモデルデータをビューワのモデル情報として軽量化したデータから部品属性情報や部品配置情報を取得してもよい。また、3次元CADで作成した製品構造について公差を解析する公差解析プログラムがあり、解析の際に組付け順序を設定する。組付け順序の設定の際に、別の解析プログラムで設定した組付け順序を自動取得する方法を用いてもよい。
(6)部品の基本機能の定義と活用
図10に本発明の一実施形態における部品への基本機能の設定例を表す基本機能設定表を示す。
この例は、表の各部品に対し基本機能1と基本機能2を設定したものである。基本機能として、保持、締結、伝動、信号伝達、モータ、センサなどの大分類の基本機能1のリストを定義し、さらに必要に応じてその大分類に対する詳しい分類の基本機能2のリストを定義する。例えば、締結については、ネジ締結、トメワ締結、圧入など、を基本機能2のリストに予め設定しおく。これら予め設定された基本機能1のリストや基本機能2のリストから選択することで各部品に基本機能を定義する。ただし、入力情報が多くなると設計者の負担にもなり、また分類が細かくなると情報が整理できず活用することが難しくなるため、分類項目を増やす必要はなく、基本機能1のみの定義でもよい。また、図10をみても明らかなように、部品名称と基本機能には関連があることが多い。その理由は、設計者が名づける部品名には基本機能の概念が含まれているためである。そこで、例えば、部品名称から基本機能を自動取得するための参照テーブルを作成しておき、その基本機能名テ−ブルを参照することで、部品属性情報を取得した際に基本機能を定義してもよい。例えば、部品名の中に“Screw“がある部品の基本機能1は締結、基本機能2はねじ締結、また、部品名の中に”Gear”がある部品の基本機能1は伝動、基本機能2は回転伝動とする、といった基本機能名テーブルを設定しておき参照するとよい。このように、図3において基本機能入力115を基本機能名テーブルを参照することで、部品属性情報の取得201の時点で自動取得することもできる。
(7)システムが提供する設計支援
基本機能(図10)と(図6〜9)部品属性情報および部品相互の関連経路を活用して行なう設計支援について次に説明する。
まず、図11に示したように、基本機能“締結”という属性を親部品とし、階層表示を行う。これにより“締結“で組み付けられた各部品について部品間の関連経路を表示することができる。ここでは、図9の関連図に対し、関係情報を示す線が交差しないように部品の順番を並び替えて表示している。これにより基本機能“締結”という関係で繋がった部品の関係を一目で把握することができる。また、組立作業において、並列作業を容易にするためにもサブアセンブリ化は重要であるが、この検討の支援にも役立つ。例えば、図11のScrew_Mの締結関係を外すことで、一つのサブアセンブリMotor_Assyを定義することができる。
この計算結果により、図12のように組立が容易な階層に編集しなおすことができる。前述した図5の階層図(3次元CADから自動取得したままの階層)がモデリング時の階層になっているのに対し、図12の階層図(基本機能の定義と部品相互の関連図をもとに編集した階層)は組立時の階層となっていることがわかる。この図11の表示方法は、締結という属性を親部品名称と置き換えて計算したものであり、容易に表示することができる。このように、組付け単位の変更(階層図の変更)を行なう際の設計支援や同じ基本機能で整理した際の部品相互の関係の把握を行なうことができる。
(8)評価結果の出力例
図16に、本発明の一実施形態における評価結果の出力例を示す。
図16は、図4の具体例において製品設計情報、工程設計情報、部品配置情報を表形式にまとめ、さらに部品の重要度、工程の重要度を算出した結果を出力した例である。ここでは、QFD(品質機能展開)の2元表形式をベースとしている。図16において特徴的な点のひとつは、製品設計情報111の部品情報1601〜1604と工程設計情報122の作業情報1622とが交差した表の領域202に、部品の関連関係を示している点である。この部品の関連関係の算出については、(4)において図7および図8を用いて説明した通りである。また、検査工程の有無を考慮し、検査による確認の有り無しが反映された不良発見時の分解修理コスト255を計算し、表示する点も特徴である。また、各種算出した数値に基づき、部品の重要度253と工程の重要度252を計算し、定量的に表して表示する点が、もっとも特徴的である。以下、図16の各項目を説明する。
(8.1)製品の設計情報111
この表において、左側の縦軸には製品設計部門が扱う製品の設計情報111とともに製品を構成する各部品に関する情報を部品構成順(部品の組立単位に編集した階層図順)に表示している。設計情報111としては、製品構成1601毎に部品点数1602を表示する。部品故障率1603は、組付け作業の不良以外に部品自体の加工不良、故障、など、組付け後に判明する故障の発生頻度を考慮する場合に設定するものである。。この部品故障率1603としては、過去の部品不良例を機能分類などで整理して不良事例データベースに格納しておき、参照する方法を用いるとよい。また、注意すべき部品についてのみ部品故障率を設定する方法としてもよい。部品コスト1604は、部品の加工費または購入価格などのコストをデータベースから読み出して表示する。この情報は、設計者が部品の加工費と組立費のバランスを把握する際に活用できる。また組付け不良が起きた際に部品交換をする場合のコスト換算するときの値として使用する。この部品コスト1604は、予め部品コストの参照テーブルを準備しておき、部品名称や部品番号から参照してデータを取得する方法を用いるとよい。部品コスト1604の右の列に示した組付け時間、組立不良率の値は、図2で説明した組付け部品ごとの組立時間の推定51と組付け部品ごとの不良率の推定52から算出した推定結果である。これらは、組付順序、組付動作の設計情報の入力121を行なったあと計算プログラムを実行させて出力した結果である。ただし、この製品設計情報と同様に縦軸に示した組立時間と組立不良率の推定結果については、職場条件の係数(職場の違いによる組立速度の係数や組立不良率の係数)は標準の値を用いており、あくまでも製品設計に影響する因子で計算した結果を表示している。これにより、製品設計者はこの情報に着目して製品設計の改善を行なうことができる。ここで、組付け時間を表示したが、同時にこの時間に標準賃率を掛けた組付けコストを表示してもよい。
(8.2)工程設計情報112
(8.2.1)工程設計情報112の表示項目
ここで、工程1621は、組立単位ごとの区分を示しており、この例では、Motor_Assy(サブアセンブリ)とMG_Assy(総組立)に区別している。その下の行の作業1622は、工程フロー、作業順序を示しており、一つの工程区分において左端から順に作業を行なう設定としている。これら工程と作業の表示は、製品設計情報から組立単位を抽出し、下位の階層から左に配置し、順に上位の階層を区分するように、自動変換して並び替えを行なったものである。ここで、工程の区分ごとに組立職場の設定を行う。例えば、職場条件の係数(職場の違いによる組立速度の係数や組立不良率の係数)を、設定職場係数1624の例のように設定する。ここでは、A:(1.0、1.0、1.0)を標準の職場としており、C:(0.8、1.5、0.7)の場合は、組立速度係数が標準の0.8倍、組立不良係数が標準の1.5倍であることを設定している。また、賃率が標準の0.7倍であることを設定している。したがって、標準よりも早いが不良が多く出やすい職場であり、組立作業費は標準よりも安い職場を設定している。この職場係数については、予め組立職場を調査し、職場名と職場係数の組み合わせを設定しておいたデータベースを作成しておき、職場名を選択することで、その職場係数を読み込む方法を用いるとよい。したがって、この職場の設定により、組付け時間およびコスト、組立不良率の推定結果が変化することとなる。組付け時間と組立不良率は作業1622の行の下に表示しており、設定した職場係数1624を用いて計算した結果である。この値は、製品設計情報の縦軸での評価結果を職場係数で補正計算した値である。
(8.2.2)検査工程の割付
また、工程設計を行う際、組付けの確認作業の有無、検査工程、機能試験を行うフローでの位置などを設定する。この工程設計情報は、ここで新たに設定する情報であり、この出力結果を参考に追加、変更することで工程の設計を行う。また、別途定義した工程設計情報を読み込む形式としてもよい。
(8.3)製品設計情報の部品情報と工程設計情報の作業情報とが交差した表の領域
製品設計情報の部品情報と工程設計情報の作業情報とが交差した表の領域202は、部品の関連図を示しており、組付け順序に応じた部品相互の関連図すなわち不良影響伝播経路を表示している。この図において示した例は、2重丸()を組み付ける部品および作業とし、そのときに関連する上位の部品(組付け済みの部品)について部品の配置情報を記号で表示している。そのほか、白丸(〇)を接触している部品、黒の菱形(◆)を締結部品の干渉部品(雌ねじ、溝などをもつ部品)を表示している。
(8.4)不良発見時の分解修理コスト255
工程設計情報として設定した作業順序の中には、確認作業、機能試験、出荷前検査といった組付け動作以外の検査がある。本発明の実施形態においては、この検査作業時に不良を発見し、不良部品を取り除く分解作業を行い、新たに組立作業を行なうまでの時間およびその対策にかかるコストを算出することを特徴とする。また、その結果を不良発見時の分解修理コスト255の欄に表示する。
この例をB_Plateを取り上げて説明する。例えば、工程名「MG_Assy」の作業名「確認作業」の時点でB_Plateの不良を発見した場合に、B_Plateを不良対策を行なうためにB_Plateに組み付けた部品を一旦すべて分解し、B_Plateを新規部品と取り替え、再度「確認作業」の時点までのすべての部品を組み立てる作業の時間およびコストを算出する。まず、部品の関連図からB_Plateに関係のある部品を抽出し、各部品の組付け動作を分解修理データベースの分解不可動作テーブルでチェックし分解可能である動作と部品を抽出する。この結果をもとに組付け動作から逆算した分解動作を生成し、分解時間を算出する。この分解時間と組付け時間に賃率を掛け、不良部品を新規手配した際のコストを加えた結果を不良発見時の分解修理コストとして「B_Plate」行の「確認作業」列に示している。以下同様に、製品構成すべての部品について算出した結果を示している。このように設定した作業時点で不良を発見した場合の対策の難易度を定量的に評価することができる。
(8.5)部品の不良率1632と部品の重要度253
部品の重要度253(致命度)は、本実施の形態においては、“組立不良率および部品故障率”と“設定した検査時点における不良発見時の分解修理コスト”を掛算し、これに係数を掛けて算出する。具体的に、本実施の形態においては、出荷前検査の不良発見時の分解修理コスト255に組立および部品故障率を掛け係数として1/1000を掛け、より不良の発生頻度と不良の影響度と不良の検出度を総合的に評価した値として算出している。
部品の不良率1632は、組立不良率と部品故障率のどちらか一方でも不良が生じた場合の不良率を算出した結果を表示している。すなわち組立不良率と部品故障率の並列モデル計算を行なった結果である。また、不良発見時の分解修理コスト255は、前述したように「確認作業」時点での計算結果であり、「機能試験」、「出荷前検査」の欄も同様にその作業時点での計算結果を示している。したがって、不良が発生し、その不良検出を行い、その時点で他の部品との影響を考慮して対策を行なうためのコストは、部品の重要度として定量評価することができる。
(8.6)工程の重要度252
工程についてもその重要度252を計算し、表の下の行に表示する。工程の重要度252の計算は、組立不良率と部品故障率の並列モデル計算を行った部品の不良率を用いて、作業時点で係わりのある部品に対し、部品の不良率を係数を掛けて掛け合わせた値である。この例では、組付部品の係数を1とし、その他の部品については係数を0.5とし、作業に関連するすべての部品の不良率を並列モデル計算した結果を示した。これにより、部品の組付け作業で他の部品との関連性を考慮した評価を行なうことができる。
Claims (5)
- 複数の部品から構成される製品について、該製品の設計段階で、前記製品を構成する各部品の組立工程について不良となる割合である組立不良率を算出し、該不良率と前記製品の設計情報に基づいて各部品および各工程の影響度を評価する方法であって、
予め前記各部品について該部品の故障率をデータベースに格納しておき、
前記製品の設計情報から、前記製品を構成する部品間の部品配置関係を抽出し、
前記組立不良率と部品故障率に基づいて部品の不良率を算出し、
各組立工程について、前記部品配置関係と部品の不良率に基づき、各組立工程を行なう時点で係わりのある部品に対し、部品の不良率を係数を掛け合わせて工程の影響度を示す数値を算出することにより、各部品および各工程の影響度を評価することを特徴とする不良影響度評価方法。 - 複数の部品から構成される製品について、該製品の設計段階で、前記製品を構成する各部品の組立工程について不良となる割合である組立不良率を算出し、該組立不良率と前記製品の設計情報に基づいて各部品の影響度を評価する方法であって、
前記製品の設計情報から、前記製品を構成する部品間の部品配置関係を抽出し、該部品配置関係に基づき、前記各部品の組立工程の不良について該不良発見時に不良対策に要するコストを算出し、該不良対策に要するコストと前記組立工程の組立不良率に基づいて各部品の影響度を評価することを特徴とする不良影響度評価方法。 - 複数の部品から構成される製品について、該製品の設計段階で各部品および該部品の組立工程の影響度を評価することにより設計を支援する設計支援システムであって、
入力手段と出力手段と計算手段と記憶手段と前記製品を設計する設計システムとのインターフェース手段を備え、
前記記憶手段には、各部品の故障率を格納した不良事例データベースと、組立不良評価用データベースを有し、
前記計算手段は、前記製品の設計情報から前記製品を構成する部品間の部品配置関係を抽出し、前記組立不良評価用データベースを参照して前記製品を構成する各部品の組立工程について不良となる割合である組立不良率を算出し、前記組立不良率と部品故障率に基づいて部品の不良率を算出し、前記出力手段に出力処理を行なうことを特徴とする設計支援システム。 - 複数の部品から構成される製品について、該製品の設計段階で各部品および該部品の組立工程の影響度を評価することにより設計を支援する設計支援システムであって、
入力手段と出力手段と計算手段と記憶手段と前記製品を設計する設計システムとのインターフェース手段を備え、
前記記憶手段には、各部品のコストに関するデータを格納したコスト評価データベースと、組立不良評価用データベースを有し、
前記計算手段は、前記製品の設計情報から前記製品を構成する部品間の部品配置関係を抽出し、前記組立不良評価用データベースを参照して前記製品を構成する各部品の組立工程について不良となる割合である組立不良率を算出し、該部品配置関係に基づき、前記各部品の組立工程の不良について該不良発見時に不良対策に要するコストを前記コスト評価データベースに格納されたデータに基づいて算出し、該不良対策に要するコストと前記組立工程の組立不良率に基づいて各部品の影響度を評価することにより設計を支援することを特徴とする設計支援システム。 - 複数の部品から構成される製品について、該製品の設計段階で各部品および該部品の組立工程の重要度を評価することにより設計を支援する設計支援システムであって、
入力手段と出力手段と計算手段と記憶手段と前記製品を設計する設計システムとのインターフェース手段を備え、
前記記憶手段には、各部品のコストに関するデータを格納したコスト評価データベースを有し、
前記設計システムから設計情報が入力されると、該入力された設計情報を前記記憶手段に格納されたデータとに基づき前記各部品の重要度と前記各部品の組立工程の重要度とを算出して前記出力手段に出力処理することを特徴とする設計支援システム。
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