JP2005100904A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機電界発光素子における発光領域内の各位置に流れる電流の大きさの差を小さくする。
【解決手段】有機EL素子1は基板2上に、陽極10、有機層20、陰極30の順に形成され、陽極10は陰極30よりも体積抵抗率が高い物質で形成され、陽極10と陰極30との間に有機層20が存在する。陽極10は、有機層20と接する略矩形の電極領域13と、電極領域13の外周に沿った位置に配置されて外部駆動回路が接続される端子部11と、導通部12とを有する。導通部12は、端子部11と接続する接続部12bと、電極領域13と接続する接続部12aとを備え、両接続部12a,12b間を電気的に接続し、かつ、電極領域13及び端子部11とは直接電気的に接続しない導通部本体12cとからなる。接続部12aは、電極領域13の外周における端子部11と対向する部分以外の部分において電極領域13と接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光領域の形状が略矩形の有機電界発光素子に関する。
有機電界発光素子の電極には、少なくとも一つの電極が光透過性を有していなければならないという制約や、有機層を変質等させない材料や製法によって構成しなければならないという制約など、種々の制約がある。そのため、有機電界発光素子の電極として採用できる材料は極めて限定されている。
また、有機電界発光素子が装備される装置(例えば携帯端末等)は、その大きさに制限があるため、当該素子の大きさにも制約があり、その結果、電極の端子部の大きさや配置位置も限定されている。
その結果、有機電界発光素子における電流の流れる、無数に存在する各電流経路において、その抵抗値が大きく異なってしまうことがある。このために、例えば、以下のような問題が生じている。
・輝度むらの発生。
電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所とが存在するために、素子全体として輝度むらが生じる。有機電界発光素子の輝度は、流れる電流が大きくなるほど高くなるため、電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所が存在すると両者の間で輝度の差が生じ、輝度むらとなるためである。
・素子内における寿命差の発生。
電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所とで、素子の寿命が変わってしまう。一般に、流れる電流の多い部分は寿命が短くなる。このため、電流が均一に流れる素子と比べると、寿命の短い箇所が存在してしまい、有機電界発光素子としての寿命が短くなってしまう。また、長期間使用していると、光らない箇所ができてしまったり、他の箇所に比べて輝度が低い箇所ができてしまったりする。
・変質等の問題。
電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所とが存在するため、場所によって変質してしまう場合がある。
・色度むらの発生。
電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所とがあるため、素子内において、蛍光材料を用いた有機電界発光素子ではS−Sアニヒレーション現象が発生したり、燐光材料を用いた有機電界発光素子ではT−Tアニヒレーション現象が発生したりする。したがって、発光層に複数の発光材料を含有させて、各発光材料が少なくとも他の一つの発光材料とは異なる波長の色を発する有機電界発光素子では、電流が流れやすい箇所と流れにくい箇所とで、各層の輝度が異なってしまう場合があり、結果として色度のむらが発生してしまう場合がある。
これらの問題は、例えば、体積抵抗値の小さな物質のみによって有機電界発光素子を作製できたり、素子の全周に渡る端子部を設けることができたりすれば、その影響を小さくすることができるが、前記したとおり種々の制約があるために実際に生じてしまっている。
以下、有機電界発光素子における電流の流れる各経路の抵抗差について、図26を用いて詳細に説明する。
ここでの説明に用いる有機電界発光素子は、有機層よりも光取出側に設けられた電極がITOにより形成された陽極であり、陽極に対向する陰極がアルミニウムによって形成されている。この構成においては、アルミニウムはITOに比べて体積抵抗率が極めて小さく、その体積抵抗率は実質的に無視することができるため、図26には、各経路の抵抗差を考える際に問題となる(体積抵抗率の高い電極である)陽極のみを示している。
図26に示すように、陽極100は、外部駆動回路が接続される端子部110と、有機層と接する領域(電極領域)130とで構成されている。有機層における電極領域130と接する領域は、電流が流されて発光する領域(発光領域)となる。
この構成の有機電界発光素子の発光領域における輝度むら等の問題をなくすには、電極領域130上の、端子部110と電極領域130との接点P0から、電極領域130上の各点、例えばP1〜P6への抵抗が等しくなければならない。
しかし、ITOの体積抵抗率は、有機電界発光素子における各電流経路の抵抗値を考える際に無視できるほど小さな値ではないため、P0とP1やP2、P3との間の電流経路のようにITOを通る距離が短い経路では抵抗が小さく、P0とP4やP5、P6との間の電流経路のようにITOを通る距離が長い経路では抵抗が大きくなる。したがって、有機層を流れる電流の大きさが経路、すなわち発光領域における位置によって異なってしまい、結果として、輝度むら等が発生してしまう。
図27には、陽極も陰極もITOで形成された有機電界発光素子を示す。この図において陽極は実線で示し、陰極は破線で示す。陰極300は、外部駆動回路が接続される端子部310と、有機層と接する領域(電極領域)330とで構成されている。
この有機電界発光素子では、両電極ともにITOで形成されているために、陽極の抵抗率も陰極の抵抗率も、上記各経路の抵抗差を考える際に無視することはできない。この構成では、端子部110、310間を直線で結ぶ(最短距離の)経路L1を通る経路の抵抗が最も小さくなる。したがって、経路L1上の有機層に流れる電流が最も大きくなり、経路L1から離れる程有機層に流れる電流が小さくなるため、結果として、輝度むら等が発生してしまう。
輝度むらを解消する従来技術としては種々の従来技術が提案されている。例えば、第1、第2の電極間に設けられ、前記第1、第2の電極間の電圧とその厚さとに応じた輝度で光を発する発光領域を有する発光層を備え、前記発光層は、発光領域の輝度が均一になるように層厚方向の厚さが異なっている電界発光素子も提案されている(例えば特許文献1を参照。)。前記第1の電極は、電圧を印加するための第1の端子が設けられ、第2の電極は、第1の電極に対向して設けられ、電圧を印加するための第2の端子が設けられるとともに、前記第1の電極より低いシート抵抗値を示す。
特開平11−40362号公報
解決しようとする課題は、有機電界発光素子における発光領域内の各位置に流れる電流の大きさの差を小さくすることである。すなわち、有機電界発光素子に無数に存在する各電流経路の抵抗値の差を小さくすることである。
上記課題を解決するために、本発明に係る第一の有機電界発光素子は下記条件を備えている。
・一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成されている。
・一方の電極は、少なくとも、有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有する。
・端子部は、電極領域の外周に沿った位置に配置され、導通部を介して電極領域と電気的に接続されている。
・電極領域は略矩形である。
・導通部は、端子部と接続する接続部と、電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなる。
・電極領域と接続する接続部は、電極領域の外周における端子部と対向する部分以外の部分において電極領域と接続されている。
本発明に係る第二の有機電界発光素子は、下記条件を備えている。
・一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成されている。
・一方の電極は、少なくとも、有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有している。
・電極領域は略矩形である。
・端子部は、電極領域の外周に沿った位置に配置され、導通部を介して電極領域と電気的に接続されている。
・導通部は、端子部と接続する接続部と、電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなる。
・電極領域と接続する接続部は、電極領域の外周における端子部と対向する部分の一部で電極領域と接続されている。
本発明に係る第三の有機電界発光素子は、下記条件を備えている。
・一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成されている。
・一方の電極は、少なくとも、有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有している。
・端子部は、電極領域の外周に沿った位置に配置され、導通部を介して電極領域と電気的に接続されている。
・電極領域は略矩形とされている。
・導通部は、複数設けられ、それぞれ、端子部と接続する接続部と、電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなる。
・電極領域と接続する接続部のうちの少なくとも一つは、電極領域の外周における端子部と対向する部分以外の部分において電極領域と接続され、他の一つは、電極領域の外周における端子部と対向する部分の一部で電極領域と接続されている。
本発明に係る第四の有機電界発光素子は、一対の電極に有機層が挟まれ、いずれの電極も略同一の体積抵抗率の物質で形成された有機電界発光素子であって、少なくとも一方の電極が下記条件を備えている。
・有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有する。
・電極領域が略矩形である。
・端子部は、電極領域の外周に沿った位置に配置され、導通部を介して電極領域と電気的に接続されている。
・導通部は、端子部と接続する接続部と、電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなる。
・電極領域と接続する接続部は、電極領域の外周における端子部と対向する部分以外の部分において電極領域と接続されている。
本発明に係る第五の有機電界発光素子は、一対の電極に有機層が挟まれ、いずれの電極も略同一の体積抵抗率の物質で形成された有機電界発光素子であって、少なくとも一方の電極は下記条件を備えている。
・有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有する。
・電極領域が略矩形である。
・端子部は、電極領域の外周に沿った位置に配置され、導通部を介して電極領域と電気的に接続されている。
・導通部は、端子部と接続する接続部と、電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなる。
・電極領域と接続する接続部は、電極領域の外周における端子部と対向する部分の一部で電極領域と接続されている。
本発明に係る第六の有機電界発光素子は、一対の電極に有機層が挟まれ、いずれの電極も略同一の体積抵抗率の物質で形成されている素子で、少なくとも一方の電極は、下記要件を備えている。
・有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有している。
・端子部は、電極領域の外周に沿った位置に配置され、導通部を介して電極領域と電気的に接続されている。
・電極領域が略矩形とされている。
・導通部は、複数設けられ、それぞれ、端子部と接続する接続部と、電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなる。
・電極領域と接続する接続部のうちの少なくとも一つは、電極領域の外周における端子部と対向する部分以外の部分において電極領域と接続され、他の一つは、電極領域の外周における端子部と対向する部分の一部で電極領域と接続されている。
本発明に係る第六の有機電界発光素子は下記条件を備えている。
・一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成されている。
・一方の電極は、少なくとも、有機層と接する一つの電極領域と、外部駆動回路が接続される二つの端子部と、それぞれ互いに異なる端子部に接続された二つの導通部とを有している。
・各端子部は、導通部を介して電極領域に電気的に接続されている。
・電極領域は略矩形である。
・各端子部は、電極領域の外周の一方の短辺の両側に配置されている。
・各導通部は、それぞれ、電極領域の外周における異なる長辺において電極領域と接続されている。
本発明に係る第七の有機電界発光素子は、一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成された素子であって、前記一方の電極は、少なくとも下記要件を備えている。
・有機層と接する一つの電極領域と、外部駆動回路が接続される二つの端子部と、それぞれ互いに異なる端子部に接続された二つの第一の導通部と、それぞれ互いに異なる端子部に接続された二つの第二の導通部とを有している。
・各端子部は、導通部及び第二の導通部を介して電極領域に電気的に接続されている。
・電極領域は略矩形とされている。
・各端子部は、電極領域の外周における一方の短辺の両側に配置されている。
・各第一の導通部は、それぞれ、電極領域の外周における異なる長辺において電極領域と接続されている。
・各第二の導通部は、それぞれ、電極領域の外周における端子部と対向する部分の一部で電極領域と接続されている。
上記第六〜第七の有機電界発光素子における他方の電極を以下のように構成してもよい。
・第二の端子部と第二の電極領域とを有している。
・第二の端子部は、上記一方の電極における二つの端子部の間に設けられている。
上記第一〜第七の有機電界発光素子は、導通部が、電極領域と複数の箇所で電気的に接続していてもよい。
なお、本明細書において単に導通部と表記する場合には、第七の素子における第一の導通部及び第二の導通部を含む。また、第七の素子においては、一の導通部のみが本条件を備えていてもよく、複数(すべてを含む)の導通部が本条件を備えていてもよい。
第一〜第七の有機電界発光素子における、導通部が電極領域と接続される位置は以下の位置にすることが好ましい。
・電極領域の外周のいずれかの位置であって、かつ、当該位置と電極領域の外周上の各点との間の抵抗値の最大値と最小値との差が、電極領域と端子部とを最短距離で直接電気的に接続した場合における、当該接続される部分の各点と電極領域の外周上の各点との間の抵抗値の最大値と最小値との差よりも小さい位置、若しくは当該位置の近傍。
本発明の有機電界発光素子は、当該素子における各仮想電流経路の抵抗の差を小さくすることができる。つまり、当該素子における各位置に流れる電流の大きさの差を小さくすることができる。
以下、本実施の形態に係る有機電界発光素子(以下有機EL素子と表記する)について詳細に説明する。まず、第一の実施の形態に係る有機EL素子(以下第一の有機EL素子と表記する)について説明する。
《第一の有機EL素子》
本実施の形態に係る第一の有機EL素子は、以下の特徴を有する。
・一方の電極(本例では陽極)が他方の電極(本例では陰極)よりも体積抵抗率が高い物質で形成されている。
・陽極と陰極との間に有機層が存在する。
・陽極は、少なくとも、有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有する。
・陽極の電極領域は略矩形である。
・端子部は、陽極の電極領域の外周に沿った位置に配置され、陽極の導通部を介して陽極の電極領域と電気的に接続されている。
・陽極の導通部は、陽極の端子部と接続する接続部と、陽極の電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、陽極の電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなる。
・陽極の電極領域と接続する接続部は、陽極の電極領域の外周における端子部と対向する部分以外の部分において陽極の電極領域と接続されている。
以下、第一の有機EL素子の構成、製造例、作用及び効果について、図を参照しながら詳細に説明する。
〈構成〉
図1に、第一の有機EL素子1の平面図を示す。図2に、図1におけるA−A’線断面図を示す。図3に図1におけるB−B’線断面図を示す。
図1〜図3に示すように、第一の有機EL素子1は基板2上に形成されている。図2に示すように、第一の有機EL素子1は、一方の電極としての陽極10、有機層20及び他方の電極としての陰極30を有する。以下、第一の有機EL素子1を構成する各構成要素について説明する。
(陽極10)
陽極10は、陽極の端子部(端子部)11、陽極の導通部(導通部)12及び陽極の電極領域(電極領域)13とを有し、それぞれが基板2上に形成されている。陽極の端子部11、陽極の導通部12及び陽極の電極領域13は、陰極30(少なくとも陰極の電極領域33)よりも体積抵抗率が高い物質により一体構成されている。
陽極の端子部11は、図1に示すように陽極の電極領域13の外周に沿った位置に設けられ、図示しない外部駆動回路が接続される。なお、陽極の端子部11全域に渡って外部駆動回路と接続する必要はなく、一部のみが外部駆動回路と接続するようにしてもよい。陽極の端子部11は、陽極の電極領域13とは直接接続していない。つまり、陽極の端子部11から陽極の電極領域13へ直接電気が流れないように、陽極の電極領域13と陽極の端子部11とは基板2上で離れて配置されている。
陽極の導通部12は、陽極の端子部11と陽極の電極領域13とを電気的に接続する。より具体的には図1に示すように、一方の接続部12aが陽極の電極領域13と接続し、他方の接続部12bが陽極の端子部11と接続する。接続部12a,12b以外では、陽極の端子部11及び陽極の電極領域13とは接続していない。陽極の両接続部12a,12bの間が導通部本体12cとなっている。即ち、導通部本体12cは、陽極の電極領域13及び端子部11とは電気的に接続しない。
陽極の導通部12と陽極の電極領域13と接続する位置、すなわち接続部12aの位置は、陽極の電極領域13の外周に沿った位置13aで、陽極の電極領域13が陽極の端子部11と対向する部分13x以外の位置である。
陽極の電極領域13は、図2に示すように有機層20と接する領域であり、素子を発光させる際には、陽極の導通部12を介して陽極の端子部11に接続された外部駆動回路から正孔(ホール)が輸送され、この正孔を有機層20に注入する。
陽極10形成用の材料は、上記した性質を陽極10に付与する材料であればよく、一般には金属、合金、電気伝導性の化合物及びこれらの混合物等、公知の材料が選択され、陽極の電極領域13の有機層20と接する面(表面)の仕事関数が4eV以上になるように製造される。
陽極10形成用の材料としては、例えば以下のものを挙げることができる。
ITO(インジウム−スズ−オキサイド)、IZO(インジウム−亜鉛−オキサイド)、酸化スズ,酸化亜鉛、亜鉛アルミニウム酸化物、窒化チタン等の金属酸化物や金属窒化物;金、白金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉛、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ等の金属;これらの金属の合金やヨウ化銅の合金等、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリフェニレンスルフィド等の導電性高分子など。
陽極10は、有機層20よりも光取り出し側に設けられる場合には、一般に、取り出す光に対する透過率が10%よりも大きくなるように設定される。可視光領域の光を取り出す場合には、可視光領域で透過率の高いITOが好適に用いられる。
反射性電極として用いられる場合には、以上のような材料の内、外部へ取り出す光を反射する性能を備えた材料が適宜選択され、一般には金属や合金、金属化合物が選択される。
陽極10は、上記したような材料一種のみで形成してもよく、複数を混合して形成してもよい。また、同一組成又は異種組成の複数層からなる複層構造であってもよい。
陽極10の抵抗が高い場合には、補助電極を設けて抵抗を下げるとよい。補助電極は、銅、クロム、アルミニウム、チタン、アルミニウム合金等の金属もしくはこれらの積層物が陽極10に部分的に併設された電極である。
陽極10の膜厚は、使用する材料にもよるが、一般に5nm〜1μm程度、好ましくは10nm〜1μm程度、さらに好ましくは10nm〜500nm程度、特に好ましくは10nm〜300nm程度、望ましくは10nm〜200nmの範囲で選択される。
陽極10は、上記したような材料を用いて、スパッタリング法やイオンプレーティング法、真空蒸着法、スピンコート法、電子ビーム蒸着法などの公知の薄膜形成法によって形成される。
また、表面を、UVオゾン洗浄やプラズマ洗浄してもよい。有機EL素子の短絡や欠陥の発生を抑制するためには、粒径を微小化する方法や成膜後に研磨する方法により、表面の粗さを二乗平均値として20nm以下に制御するとよい。
(有機層20)
有機層20は、公知の有機エレクトロルミネッセンス素子における公知の層構成及び公知の材料の層にすればよく、公知の製造方法によって製造できる。すなわち、有機層20は、少なくとも以下の機能を実現できればよく、積層構造とし、各層にそれぞれいずれかの機能を担わせてもよく、単層により下記機能を実現してもよい。
・電子注入機能
電極(陰極)から電子を注入される機能。電子注入性。
・正孔注入機能
電極(陽極)から正孔(正孔)を注入される機能。正孔注入性。
・キャリア輸送機能
電子及び正孔の少なくとも一方を輸送する機能。キャリア輸送性。
電子を輸送する機能は電子輸送機能(電子輸送性)と言い、正孔を輸送する機能は正孔輸送機能(正孔輸送性)と言う。
・発光機能
注入・輸送された電子及びキャリアを再結合させて励起子を発生させ(励起状態となり)、基底状態に戻る際に光を発する機能。
したがって、有機層20は、陽極の電極領域13と接する面及び陰極の電極領域33と接する面とに挟まれた領域(発光領域)が上記機能によって発光する。
有機層20は、例えば、陽極側から正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に層を設けて有機層20を構成してもよい。
正孔輸送層は、陽極から発光層へ正孔を輸送する層である。正孔輸送層形成用の材料としては、例えば、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミンなどの低分子材料や、ポリチオフェン、ポリアニリン等の高分子材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
発光層は、陽極側から輸送された正孔と陰極側から輸送された電子とを再結合させて励起状態となり、励起状態から基底状態へ戻る際に光を発する層である。発光層の材料としては、蛍光材料や燐光材料を採用することができる。また、ホスト材中にドーパント(蛍光材料や燐光材料)を含有させてもよい。
発光層形成用の材料としては、例えば、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン誘導体、コロネン誘導体、ペリレン誘導体、ルブレン誘導体、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8−(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等の低分子材料や、ポリフルオレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン等の高分子材料、その他既存の発光材料を用いることができる。ホスト/ゲスト型の構成を採用する場合には、これらの材料の中から適宜ホスト及びゲスト(ドーパント)を選択すればよい。
電子輸送層は、陰極から発光層へ電子を輸送する層である。電子輸送層形成用の材料としては、例えば、2−(4−ビフィニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール及びオキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等が挙げられる。
なお、有機層20には、バッファ層や正孔ブロック層、電子注入層、正孔注入層等の公知の有機エレクトロルミネッセンス層に採用されうる層を設けることも当然に可能である。これらの層も、公知の材料を用いて公知の製法によって設けることができる。
(陰極30)
図1〜図3に示すように、陰極30は、陰極の端子部31、陰極の導通部32及び陰極の電極領域33とを有し、これらの構成要素は一体構成されている。
陰極の端子部31は、陰極の電極領域33の外周に沿った位置に設けられ、図示しない外部駆動回路が接続される。なお、陰極の端子部31全域に渡って外部駆動回路と接続する必要はなく、一部のみが外部駆動回路と接続するようにしてもよい。陰極の端子部31は、図3に示すように基板2上に設けてもよい。
陰極の導通部32は、陰極の端子部31と陰極の電極領域33とを電気的に接続する導通路である。
陰極の電極領域33は、有機層20の陽極の電極領域13と接する面とは反対側の面に積層され、素子を発光させる際には、陰極の導通部32を介して陰極の端子部31に接続された外部駆動回路から電子が輸送され、この電子を有機層20に注入する。
なお、陰極30は、陽極10よりも体積抵抗率が小さいため、導通部32と陰極の電極領域33との接続位置について特に限定されない。また、陰極の導通部32を設けず、陰極の端子部31と陰極の電極領域33とを直接接続してもよい。
陰極30は、有機層20(上記層構成では電子輸送層)に電子を注入する電極であり、電子注入効率を高くするために仕事関数が例えば4.5eV未満、一般には4.0eV以下、典型的には3.7eV以下の金属や合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が電極物質として採用される。
以上のような電極物質としては、例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、カルシウム、スズ、ルテニウム、チタニウム、マンガン、クロム、イットリウム、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、リチウム−インジウム合金、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物などが挙げられる。また、陽極に用いられる材料として採用できる材料も使用できる。
陰極30は、発光層よりも光取り出し側に設けられる場合には、一般に、取り出す光に対する透過率が10%よりも大きくなるように設定され、例えば、超薄膜のマグネシウム−銀合金に透明な導電性酸化物を積層化して形成された電極などが採用される。また、この陰極において、導電性酸化物をスパッタリングする際に発光層などがプラズマにより損傷するのを防ぐため、銅フタロシアニンなどを添加したバッファ層を陰極30と有機層20との間に設けるとよい。
光反射性電極として用いられる場合には、以上のような材料の内、外部へ取り出す光を反射する性能を備えた材料が適宜選択され、一般には金属や合金、金属化合物が選択される。
陰極30は、以上のような材料単独で形成してもよいし、複数の材料によって形成してもよい。例えば、マグネシウムに銀や銅を5%〜10%添加させれば、陰極30の酸化を防止でき、また陰極30の有機層20との接着性も高くなる。
また、陰極30は、同一組成又は異種組成の複数層からなる複層構造であってもよい。
例えば以下のような構造にしてもよい。
・陰極30の酸化を防ぐため、陰極30の有機層20と接しない部分に、耐食性のある金属からなる保護層を設ける。
この保護層形成用の材料としては例えば銀やアルミニウムなどが好ましく用いられる。
・陰極30の仕事関数を小さくするために、陰極30と有機層20との界面部分に仕事関数の小さな酸化物やフッ化物、金属化合物等を挿入する。
例えば、陰極30の材料をアルミニウムとし、界面部分にフッ化リチウムや酸化リチウムを挿入したものも用いられる。
陰極30は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などの公知の薄膜成膜法によって形成できる。
(基板2)
基板2は、有機EL素子1を支える、主として板状の部材である。有機EL素子1は、構成する各層が非常に薄いため、一般に基板2によって支えられた有機ELデバイスとして作製される。
基板2は、有機EL素子1が積層される部材であるため、平面平滑性を有していることが好ましい。
また、基板2は、有機層20よりも光取り出し側にある場合には取り出す光に対して透明とされる。
基板2としては、上記した性能を有していれば公知のものを用いることができる。一般には、ガラス基板やシリコン基板、石英基板などのセラミックス基板や、プラスチック基板が選択される。また、金属基板や支持体に金属箔を形成した基板なども用いられる。さらに、同種又は異種の基板を複数組み合わせた複合シートからなる基板を用いることもできる。
〈製造例〉
第一の有機EL素子1は、前記した製造方法等の公知の有機EL素子製造方法を適宜組み合わせて作製することができ、例えば図4に示すように製造することもできる。
(製造例1)
基板2の一方の面上に、陽極10形成用材料としてのITO層40を設ける。この際、図4(a)に示すように、少なくとも陽極の端子部11、陽極の導通部12及び電極領域13を配置する範囲を含むようにITO層40を設ける。基板2上にITO層40を設ける方法としては、前記したような公知の方法を適宜採用でき、例えばスパッタリング法や真空蒸着法、ゾル・ゲル法、クラスタービーム蒸着法、PLD法等を採用できる。
次に図4(b)に示すように、ITO層40を設けた基板2から、陽極の端子部11、陽極の導通部12及び電極領域13以外の部分のITO層40を削除する。削除方法としては、例えば、研磨するなど物理的に削除する方法や、削除しない部分にマスクをして、削除する部分をドライエッチングやウェットエッチングにより削除する方法などを挙げることができる。
以上のようにして作製した電極領域13上に有機層20を積層する。この積層方法としては上記したような公知の薄膜形成法を用い、採用する層構成に応じて適当な材料を積層すればよい。
図4(c)に示すように、有機層20の上に陰極の電極領域33を設け、基板上に陰極の端子部31を設け、陰極の電極領域33と陰極の端子部31とを陰極の導通部32で接続するように設ける。これら陰極30の設け方は、前記した公知の陰極製造方法を適宜採用すればよい。
また、第一の有機EL素子1を次のように作製することもできる。
(製造例2)
まず、基板2の一方の面上における陽極10を形成しない部分にマスクをする。そして、基板のこの面上にITO層40を設け、次いでマスクを除去する。このようにして陽極10を作製した後は、前記同様に有機層20及び陰極30を形成する。
次に、第一の有機EL素子1の作用について説明する。
〈作用〉
第一の有機EL素子1の陽極の端子部11と陰極の端子部31に外部駆動回路が接続されると、陽極の端子部11から陽極の導通部12を介して陽極の電極領域13に正孔が輸送される。一方、陰極の電極領域33には、陰極の端子部31から陰極の導通部32を介して電子が輸送される。
有機層20には、陽極の電極領域13から正孔が注入され、陰極の電極領域33から電子が注入される。そして、正孔及び電子の少なくとも一方を輸送して両者を再結合し、励起状態を生成し、発光材料を励起状態にする。発光材料は、基底状態に戻る際に光を発する。
次に、第一の有機EL素子1の効果について説明する。
〈効果〉
第一の有機EL素子1は、有機層の発光領域内の各位置に流れる電流の大きさの差を小さくできる。すなわち、有機EL素子1に無数に存在する各電流経路の抵抗値の最大差を小さくできる。
この効果を考える場合には、体積抵抗率の小さい陰極30については無視できるため、基板2と陽極10のみを示した図5を用いて上記効果について詳細に説明する。
図5(a)には、第一の有機EL素子1の陽極10を示し、(b)には従来の有機EL素子の陽極100を示す。従来の有機EL素子は、陽極の端子部110と陽極の電極領域130とが直接電気的に接続されている。なお、図5(a)に示す陽極の電極領域13と(b)に示す陽極の電極領域130とは、同一の体積抵抗率の物質で構成され、同一膜厚で、同一の大きさ(表面積)である。
第一の有機EL素子1における最も抵抗値の大きい経路は、図5(a)に示す、陽極の接続部12aから、陽極の電極領域13における端の点13t1へ至る経路である。点13t1は、接続部12aから最も距離の離れた点である。
一方、第一の有機EL素子1における最も抵抗値の小さな経路は、図5(a)に示す、陽極の接続部12aから、接続部12a近傍の点13t2へ至る経路である。
両経路の抵抗値の差は、接続部12aから点13t1,13t2への距離の差が大きくなるほど大きくなる。ここで、接続部12aから13t2間の距離はほぼゼロであるので、後者の抵抗値はほぼゼロと考えることができる。
つまり、第一の有機EL素子1における抵抗値の最大差は、接続部12aと13t1とを結ぶ直線P−1の長さで決まる。
従来の有機EL素子における最も抵抗値の大きい経路は、図5(b)に示す陽極の端子部110と陽極の電極領域130の接点130t1から、当該点と最も離れた位置にある点130t2へ至る経路である。また、従来の有機EL素子における最も抵抗値の小さな経路は、図5(b)に示す、接点130t1から、接点130t1近傍の点130t3へ至る経路である。両経路の抵抗値の差は、接点130t1から点130t2,130t3への距離の差が大きくなるほど大きくなる。ここで、接点130t1と点130t3間の距離はほぼゼロであるので、後者の抵抗値はほぼゼロと考えることができる。
つまり、従来の有機EL素子における抵抗値の最大差は、接点130t1と点130t2とを結ぶ直線P−2の長さによって決まる。
前記したように、第一の有機EL素子1における陽極の電極領域13と従来の有機EL素子における陽極の電極領域130とは前記したように同条件で作成されているため、両者の抵抗値における最大値の差は、直線P−1と直線P−2との長さの差が大きくなるほど大きくなる。
ここで、直線P−2は、矩形の陽極の電極領域130のほぼ対角線である。したがって、直線P−2よりも直線P−1の方が短いと言える。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る第一の有機EL素子1における抵抗値の最大差は、従来の有機EL素子における抵抗値の最大差よりも小さくできる。
また、第一の有機EL素子1において、導通部12が陽極の電極領域13と接続する位置を適宜設定すれば、抵抗値の最大差をより小さくすることも可能になる。
第一の有機EL素子1は、以上の効果を奏するため、以下の効果を得ることも可能になる。
(効果a)輝度むらの抑制
第一の有機EL素子1は、前記したように、電流経路の抵抗値の差が従来よりも小さくできる。したがって、有機層20において、電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所との電流値の差を従来よりも小さくできる。そのため、素子全体として輝度むらを小さくすることが可能になる。
(効果b)素子の長寿命化
第一の有機EL素子1は、前記したように、有機層20において、電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所との電流値の差を従来よりも小さくできる。そのため、電流の流れる量に起因して、素子の寿命が長くなる箇所と短くなる箇所との寿命差を小さなものにすることも可能になる。
(効果c)素子の変質防止
第一の有機EL素子1は、前記したように、有機層20において、電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所との電流値の差を従来よりも小さくできる。そのため、電流の流れる量に起因して、素子が変質しやすい場所と変質しにくい場所との変質の度合いの差を小さなものにすることも可能になる。
(効果d)色度むらの抑制
例えば、赤色に発光する層(赤色発光層)、青色に発光する層(青色発光層)及び緑色に発光する層(緑色発光層)を積層して白色を表現するような、有機層に複数の発光材料を含有させて、複数の波長の光を発する有機EL素子における色度むらを抑制することができる。このような有機EL素子では、有機層に流れる電流の大きさが変わると、発光材料ごとに輝度が変わってしまう。すなわち、素子としての発光色(色度)が変わってしまう(S−Sアニヒレーション現象、T−Tアニヒレーション現象)。
しかし、第一の有機EL素子1は、前記したように、有機層20において、電流が多く流れる箇所と少なくしか流れない箇所との電流値の差を従来よりも小さくできる。したがって、以上の現象を抑制することが可能になる。すなわち、色度むらを抑制することが可能になる。
〈変形例〉
第一の有機EL素子1は、以下のように変形することもできる。また、各変形例が互いに矛盾しない範囲内で、それぞれを組み合わせて具現化することもできる。
(変形例1)
陽極の導通部12を、図1等に示すように陽極の電極領域13の一辺に沿わせるのではなく、複数の辺に沿わせてもよい。
例えば図6(a)に示すように三辺に沿わせてもよい。
また、陽極の導通部12は、陽極の電極領域13の外周に沿って設けなくてもよい。例えば、図6(b)に示すように、陽極の導通部12が陽極の電極領域13の外周に沿っていなくても、前記した作用・効果を得ることができる。
すなわち、第一の有機EL素子1における陽極の導通部12は、少なくとも一方の接続部12aが陽極の電極領域13に接続しており、他方の接続部12bが陽極の端子部11に接続していればよい。
(変形例2)
陽極の導通部12の接続部は二つであることに限定されない。
例えば図7(a)に示すように、陽極の電極領域13と接続する接続部を二つ(接続部12aと接続部12a’)設けてもよい。また、(b)に示すように、陽極の端子部11と接続する接続部を二つ(接続部12bと接続部12b’)設けてもよい。当然、接続部を三つ以上設けてもよい。場合によっては、接続部をミシン目状に設けてもよい。
なお、各接続部の太さ(陽極の電極領域13と接する部分の長さ)を変更し、各接続部から電極領域へ流れる電流量を調整し、有機層における各位置に流れる電流量の差が小さくなるようにするとよい。
(変形例3)
陽極の導通部12を複数設けてもよい。例えば図8に示すように、陽極の導通部を二つ(導通部12と導通部12’)設けてもよい。すなわち、陽極の導通部12を、陽極の端子部11の数を超えた数設けてもよい。
なお、変形例2や変形例3において、陽極の電極領域と接続する接続部12bを複数設ける場合には、その少なくとも一つが、陽極の電極領域13と陽極の端子部11とが対向する部分の一部に設けられていてもよい。
例えば、図9に示すように、陽極の導通部12を二つ設けてもよい。この構成において、一方の導通部12(第一の導通部)は、前記したように、陽極の電極領域13の外周における陽極の端子部11と対向する部分以外において電極領域13と接続している。他方の導通部12(第二の導通部)は、陽極の電極領域13の外周における陽極の端子部11と対向する部分の一部において電極領域13と接続している。
以上の構成を採用すると、有機層20における陽極の端子部11に近い位置に流れる電流の量も多くすることが可能となる。
(変形例4)
陽極の導通部12が陽極の電極領域13と接続する位置を、以下の条件(i)を満たすように設定すると上記した効果がより得られ、以下の条件(ii)を満たすように設定すると上記した効果がさらに得られる。
(i)陽極の電極領域13の外周のいずれかの位置。かつ、上記位置と電極領域の外周上の各点との間の抵抗値の最大値と最小値との差が、電極領域と端子部とを最短距離で直接電気的に接続した場合における、当該接続される部分の各点と電極領域の外周上の各点との間の抵抗値の最大値と最小値との差よりも小さい位置。
つまり、陽極の電極領域13を均一の膜厚、均一の密度等で作製した場合には、図5(a)に示した直線P−1が、(b)に示した直線P−2よりも短くなるように上記接続位置を設定するとよい。
(ii)陽極の電極領域13の外周のいずれかの位置。かつ、当該位置と陽極の電極領域13の周囲とを直線で結ぶ陽極の電極領域13内を通る電流経路の抵抗値の差の最大値が最も小さくなる位置。又は、この位置近傍。
つまり、陽極の電極領域13を均一の膜厚、均一の密度等で作製した場合には、図5(a)に示した、陽極の導通部12の接続部12aと、陽極の電極領域13の周囲とを結ぶ直線の長さが最も短くなる位置を計算し、この位置若しくはこの位置近傍を両者の接続位置とするとよい。
なお、上記変形例2や変形例3のように、陽極の導通部12が陽極の電極領域13と複数の位置で接続するように設計した場合には、すべての接続点を実際に接続し、一つの接続点と陽極の電極領域13との間の抵抗値の最大値と最小値との差が小さくなるように、好ましくは最も小さくなるように設計するとよい。この位置若しくはこの位置近傍を各接続部12aとすると、前記した効果がより得られる。
また、陽極の導通部12と陽極の電極領域13との接続位置は、例えば、この位置を適宜変更し、輝度むらが最も小さくなる位置を探し出して決定してもよい。
(変形例5)
図10に示すように、陽極の電極領域13と陽極の導通部12との間の領域に、陽極の電極領域13よりも体積抵抗率の高い物質により形成した高抵抗部14を設けてもよい。このように高抵抗部14を設けることで、陽極の導通部12から陽極の電極領域13へ、陽極の導通部12の接続部12a以外の位置で陽極の電極領域13に電流が流れる可能性を極めて小さくできる。そのため、上記した効果をより得ることが可能になる。
なお、高抵抗部14は、陽極の電極領域13と陽極の導通部12との間の領域すべてに設けなくともよく、一部にのみ設けてもよい。
また、高抵抗部14は、陽極の電極領域13の外周に沿って設けず、外周に対して斜めに設けたり、曲線を有するように設けたりしてもよい。すなわち、前記した作用が得られるように設ければよい。
高抵抗部14は、上記したように陽極の電極領域13よりも体積抵抗率の高い物質であればどのような部材を配置してもよく、また、この部材をどのように配置してもよい。高抵抗部14の具体例としては、例えば以下のようなものを挙げることができる。
・上記した製造例のように、電極材料を塗布した後に、陽極の電極領域13と陽極の端子部11との間の材料を除去することで、高抵抗部14を作製できる。すなわち、高抵抗部14を設ける領域に、陽極の端子部11、陽極の導通部12及び/又は陽極の電極領域13形成用の材料を塗布した後、この領域からこの材料を、研磨や化学エッチング法等の公知の除去法を用いて除去して高抵抗部14を作製してもよい。
このようにして作製された高抵抗部14は溝(空洞、空気が配置された部位)となるため、陽極の導通部12よりも体積抵抗率の高い領域となる。
なお、有機層20等の変質などを防止するために、このように作製した溝に、有機層20等にとっての不活性なガスや材料を配置してもよい。ただし、これらのガスや材料は、陽極の電極領域13よりも体積抵抗率が高い物質である必要がある。また、これらのガスや材料は、好ましくは有機EL素子を変質させない、又は変質させにくいガスや材料であることが好ましく、一般には、変形例11に示すような、公知の有機EL素子に用いられる絶縁材料を採用することができる。また、変形例11における絶縁層4が上記溝内に入るように有機EL素子を製造してもよい。
・高抵抗部14を配置する位置に電極材料を塗布した後に、この位置の電極材料を酸化させるなどして、陽極の電極領域13よりも体積抵抗率を高くしてもよい。例えばこの領域をプラズマ酸化させて高抵抗部14を作製してもよい。この場合少なくとも、高抵抗部14の陽極の端子部11と対向する面と、陽極の電極領域13と対向する面を酸化すればよい。
・高抵抗部14を配置する位置に、予め陽極の電極領域13よりも体積抵抗率の高い材料による高抵抗部14を配置し、その後に陽極10を形成してもよい。
(変形例6)
図11に示すように、陽極の端子部11と陽極の電極領域13との間の領域に、陽極の導通部12よりも体積抵抗率の高い物質により形成された高抵抗部(第二の高抵抗部)15を設けるとよい。
このような高抵抗部15を設けることで、陽極の端子部11から陽極の電極領域13へ直接電流が流れる可能性を極めて小さくできるため、上記したような効果をより得ることが可能になる。
なお、高抵抗部15の作製方法としては、変形例5に示した高抵抗部14の作製方法と同等の方法を採用できる。したがって、例えば、高抵抗部15を設ける位置に、陽極の導通部12又は陽極の電極領域13と同一の電極材料を設けた後、この材料を除去して高抵抗部15を作製することもできる。
(変形例7)
陽極の端子部11の数は、一つに限定されず、二つ以上であってもよい。
例えば、図12(a)に示すように、陽極の電極領域13の一辺の外側に、陽極の端子部を二つ(端子部11と端子部11’)設けてもよく、図13に示すように、陽極の電極領域13の向かい合う辺の外側にそれぞれ陽極の端子部11,11’を設けてもよい。このように複数の陽極の端子部11,11’を設ける場合には、各陽極の端子部11,11’に陽極の導通部12,12’を設け、各陽極の導通部12,12’はそれぞれ異なる位置で陽極の電極領域13と接続してもよい。
なお、図12(a)のように、すなわち、下記条件を備えるように陽極10を設ければ、陽極の端子を、陽極の電極領域13の一辺側にまとめて配置できるため、外部駆動回路との接続・配線が容易になる。結果として、本有機EL素子を用いた機器(例えば携帯端末等)を小さくしたり、この機器における有機EL素子が占める面積・体積を小さくしたりすることも可能になる。
・陽極10は、少なくとも、有機層と接する一つの陽極の電極領域13と、外部駆動回路が接続される二つの陽極の端子部11,11’と、二つの陽極の導通部12,12’とを有している。
・各端子部11,11’は、それぞれ陽極の導通部12,12’を介して陽極の電極領域13に電気的に接続されている。
・陽極の電極領域13は略矩形である。
・各陽極の端子部11,11’は、図12(a)に示すように、陽極の電極領域13の外周の一方の短辺の両側に配置されている。
・各陽極の導通部12,12’は、図12(a)に示すように、それぞれ、陽極の電極領域13の外周における異なる長辺において陽極の電極領域13と接続されている。つまり、陽極の導通部12が長辺13−2において電気的に接続され、陽極の導通部12’が長辺13−4において電気的に接続されている。
また、図12(b)に示すように、各導通部12,12’の材料、太さ及び膜厚をそれぞれ略同一にした場合には、陽極の電極領域13の長辺における、導通部12と陽極の電極領域13とが接続する接続部12aの位置と、導通部12’と陽極の電極領域13とが接続する接続部12a’の位置とを略同じにするとよい。つまり、短辺13−1から接続部12aまでの距離Lと、短辺13−1から接続部12a’までの距離L’とを略同一にするとよい。これにより、前記した効果をより得ることができ、輝度むら等の問題が生じる可能性を極めて低くすることができる。
各導通部12,12’の材料、太さ及び膜厚の少なくとも一つを異なるように設計した場合には、上記距離Lと距離L’とを異なるようにするとよい。図12(c)に示すように、材料及び膜厚が同一で、導通部12’の方を導通部12よりも太くした場合には、距離Lよりも距離L’を長くするとよい。
図12に示すように、陽極の端子部11,11’を陽極の電極領域13の外周の一方の短辺13−1の両側に配置する場合には、図17や図19に示すように、陰極の端子部31を陽極の端子部11,11’の間に配置するとよい。これにより、すべての端子を陽極の電極領域13の一辺側(好ましくは短辺側)に設けることができるため、外部駆動回路との配線が容易になる。また、電極領域に対して一辺側にのみ端子が存在するため、複数の辺側に端子が存在する従来の有機EL素子よりも小型化が可能である。携帯端末のように有機EL素子を配置できる大きさが限定されているような場合には、従来の有機EL素子よりも電極領域、すなわち発光領域の大きさを大きくすることも可能になる。
当然、各陽極の導通部12,12’が陽極の電極領域13と接続する接続部12a、12bを、変形例4で説明したように適当に設定すれば、上記した効果をより得ることも可能になる。
(変形例8)
陽極の電極領域13の形状は矩形に限定されない。例えば、図14(a)に示すように、角取り(面取り)された形状でもよく、(b)に示すように、角を丸めた形状であってもよい。各辺も、厳密な直線である必要はなく、例えば一部に曲線部を有していたり、一辺が全体として曲線であったりしても、実際上矩形と同等の形状であれば、このような形状も採用しうる。つまり、このような形状の陽極の電極領域13も、本実施の形態における「略矩形」の陽極の電極領域13に含まれる。
なお、陽極の電極領域13の角を角取りしたり丸めたりすると、角に電力が集中する現象を緩和できるため、前記した効果をより得ることが可能になる。
また、上記した各例では、陽極の電極領域13の短辺に対向する位置に陽極の端子部11を設けた例を示したが、図15に示すように長辺に対向する位置に陽極の端子部11を設けてもよい。
(変形例9)
補助電極を設けることも当然に可能である。補助電極は、陽極の端子部11、陽極の導通部12及び陽極の電極領域13の少なくとも一つに設けることができる。これにより、陽極10の体積抵抗率を下げることが可能になる。
(変形例10)
図16に示すように、陽極10に、陽極の端子部11、陽極の導通部12及び陽極の電極領域13以外の部分16を設けてもよい。なお、この部分16に補助電極を設けるなどして、陽極の導通部12と陽極の電極領域13との接続部における電位と、部分16と陽極の電極領域13との各接続部との電位との差を小さくすれば、上記した効果をより得ることも可能になる。つまり、陽極の導通部12と陽極の電極領域13との接続部12aの数を、極めて多くしたのと実質的に同等の効果を得ることが可能になる。
(変形例11)
陽極10と陰極30とが短絡しないようにするために、有機層20の周囲、特に陽極の導通部12と陰極30との間に絶縁部を設けるとよい。すなわち、図17〜図19に示すように、基板2上に、陽極10と陰極の端子部31とを設け、陽極の導通部12,12’上に絶縁層4を設け、陽極の電極領域13上に有機層20を設け、有機層20上に陰極の電極領域33を設けてもよい。
絶縁部形成用の材料としては、公知の有機EL素子に採用される絶縁部形成用の材料を適宜採用することができ、例えば、SiO、SiON、Al、Si、SiAlON、Y、BaTiO、Sm、BaTa、Ta、ATO、Al−TiO、SrTiO、PbTiO等を挙げることができる。形成方法も公知の形成方法を採用でき、例えばスパッタ法、電子線蒸着法、CVD法等を採用することができる。
(変形例12)
有機層20等を外気から保護するために、第一の有機EL素子1をパッシベーション膜や封止缶によって保護してもよい。この際、陽極の端子部11及び陰極の端子部31は、素子外部に露出するように保護する必要がある。
パッシベーション膜は、有機EL素子1が酸素や水分と接触するのを防止するために基板と反対側に設けられる保護層(封止層)である。パッシベーション膜に使用する材料としては、例えば、有機高分子材料、無機材料、さらには光硬化性樹脂などを挙げることができ、保護層に使用する材料は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。保護層は、一層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
有機高分子材料の例としては、クロロトリフルオロエチレン重合体、ジクロロジフルオロエチレン重合体、クロロトリフルオロエチレン重合体とジクロロジフルオロエチレン重合体との共重合体等のフッ素系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート等のアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリパラキシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
無機材料としては、ポリシラザン、ダイヤモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属硫化物などを挙げることができる。
封止缶は、外部からの水分や酸素を遮断するために、一般に基板2とは反対側に設けられる、封止板、封止容器等の封止部材により構成される部材である。封止缶は、背面側の電極側(基板2とは反対側)のみに設置しても、有機EL素子1全体を覆ってもよい。封止部材の厚さは、有機EL素子1を封止でき外部の空気を遮断することができれば、封止部材の形状、大きさ、厚さ等は特に限定されない。封止部材に用いる材料としては、ガラス、ステンレススチール、金属(アルミニウム等)、プラスチック(ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート等)、セラミック等が使用できる。
封止部材を有機EL素子1に設置する際には、適宜封止剤(接着剤)を用いてもよい。有機EL素子1全体を封止部材で覆う場合は、封止剤を用いずに封止部材同士を熱融着してもよい。封止剤としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、二液型硬化樹脂等が使用可能である。
なお、パッシベーション膜や封止缶と有機EL素子1との間の空間に水分吸収剤を挿入してもよい。水分吸収剤は特に限定されず、具体例としては酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等が挙げられる。
また、パッシベーション膜や封止缶内に不活性なガスを封入してもよい。不活性なガスとは、有機EL素子1と反応しないガスのことを言い、例えばヘリウム、アルゴン等の希ガスや窒素ガスを採用することができる。
(変形例13)
上記した各例では、陽極10を一体構成で作製した例を示したが、陽極10の各構成要素をそれぞれ別個に作製して組み合わせて陽極10を構成してもよい。例えば、基板2上に陽極の端子部11と陽極の電極領域13とをITOにより形成した後、両者を銅線等で接続してもよい。この構成では、銅線が陽極の導通部12となる。
(変形例14)
有機EL素子を、全面発光する構成ではなく、複数の素子をマトリックス状に配置してもよい。この場合、パッシブマトリックス制御法やアクティブマトリックス制御法等を用い、有機EL素子を用いて画像を表示できるようにしてもよい。
(変形例15)
上記例では、陽極の方が陰極よりも体積抵抗率の高い材料により構成されている例を示したが、陰極の方が陽極よりも体積抵抗率が高い場合には、陰極に上記した処理を施せばよい。
また、上記例では、基板側の電極が他方の電極よりも体積抵抗率の高い材料により構成されている例を示したが、他方の電極の方が基板側の電極よりも体積抵抗率が高い場合には、他方の電極に上記した処理を施せばよい。
(変形例16)
上記した位置以外に高抵抗部(第三の高抵抗部)を設けることもできる。例えば、図20に示すように、第三の高抵抗部17を、高抵抗部14や第二の高抵抗部15とは異なる位置に設けてもよい。これによっても、陽極の導通部12と陽極の電極領域13との接続部を実質上複数(接続部12aと接続部12a’と接続部12a”)設けることが可能となり、前記した効果がより得られる可能性がある。
次に、本実施の形態に係る第二の有機EL素子について説明する。
《第二の有機EL素子》
図21及び図22に、第二の有機EL素子の構成を説明するための、陽極10の構成を示す。第二の有機EL素子は、以下の構成を採用する。
・一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極(陽極)が、他方の電極(陰極)よりも体積抵抗率が高い物質で形成されている。
・陽極は、少なくとも、有機層と接する陽極の電極領域と、外部駆動回路が接続される陽極の端子部と、陽極の導通部とを有している。
・陽極の電極領域は略矩形である。
・陽極の端子部は、陽極の電極領域の外周に沿った位置に配置され、陽極の導通部を介して陽極の電極領域と電気的に接続されている。
・陽極の導通部は、陽極の端子部と接続する接続部と、陽極の電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなる。
・陽極の電極領域と接続する接続部は、陽極の電極領域の外周における陽極の端子部と対向する部分の一部で陽極の電極領域と接続されている。
つまり、第二の有機EL素子は、図21や図22に示すように、陽極の導通部12の陽極の電極領域13と接続する接続部12aの位置が、陽極の電極領域13の外周における端子部11と対向する部分13Xの一部に設けられている。
なお、第二の有機EL素子も、上記構成と矛盾しない範囲内で、第一の有機EL素子と同様に変形することができ、特に、上記変形例4のように陽極の導通部12の陽極の電極領域13と接続する接続部12aの位置を決定するとよい。
例えば、図21や図22に示すように、接続部12aの位置は、電極領域13の外周における端子部と対向する部分13Xにおいて、陽極の電極領域13の外周への直線距離が短い位置、又はこの位置近傍に設定するとよい。このように設定すれば、第一の有機EL素子と同様の理由(作用)により、前記同等の効果を得ることができる。
また、第二の有機EL素子と第一の有機EL素子とを組み合わせて構成することも当然に可能である。
例えば、図23(a)に示すように、二つの陽極の導通部12及び12’を設け、一方の導通部12を第二の有機EL素子による構成(第二の導通部)とし、他方の導通部12’を第一の有機EL素子による構成(第一の導通部)としてもよい。具体的には、以下の通りである。
・導通部12は、陽極の電極領域13と、その外周における端子部11と対向する部分13Xの一部において接続している。
・導通部12’2は、陽極の電極領域13と、その外周における端子部と対向する部分13X以外の部分において接続している。
また、各接続部を極めて多数設ける(ミシン目状に設ける)ことも当然に可能である。
このような構成を採用する場合、接続部と電極領域との接する部分の長さを調整し、有機層の各位置に流れる電流量の差が小さくなるように設計することが好ましい。
さらに、図23(b)に示すように、陽極の電極領域13の外周における端子部、すなわち外部駆動回路と電気的に接続される箇所を極めて多く設けることも当然に可能である。すなわち、次の要件を満たすように構成してもよい。
・陽極の電極領域13と、二つの端子部11並びに11’と、それぞれ互いに異なる端子部に接続された二つの(第一の)導通部12’−1並びに12’−2と、それぞれ互いに異なる端子部に接続された二つの(第二の)導通部12−1並びに12−2とを有している。
・各端子部11並びに11’は、それぞれ、導通部12’−1並びに12’−2及び導通部12−1並びに12−2を介して陽極の電極領域13に電気的に接続されている。
・陽極の電極領域13は略矩形とされている。
・各端子部11並びに11’は、図に示すように、陽極の電極領域13の外周における一方の短辺の両側に配置されている。
・導通部12’−1並びに12’−2は、それぞれ、陽極の電極領域13における異なる長辺において電極領域13と接続されている。本例では、それぞれ3箇所ずつの接続部が設けられている(12b1〜12b6)。
・導通部12−1並びに12−2は、それぞれ、陽極の電極領域13における端子部と対向する部分13X、13X’の一部で電極領域13と接続されている。本例では、それぞれ一箇所ずつの接続部が設けられている(12a1〜12a2)。
このような構成を備えれば、有機層20の各位置に流れる電流量を概略一様に設計することが極めて容易となる。
次に、本実施の形態に係る第三の有機EL素子について説明する。
《第三の有機EL素子》
本実施の形態に係る第三の有機EL素子は、一対の電極に有機層が挟まれ、いずれの電極も略同一の体積抵抗率の物質で形成されており、少なくとも一方の電極が、第一及び第二の有機EL素子における陽極の構成、又は陽極を変形した構成を備えていることを特徴とする。この構成を採用しているため、前記同様の理由により、上記同等の効果を得ることができる。
なお、好ましくは、両方の電極が第一及び第二の有機EL素子の構成を備えていると、より効果的である。この場合、陽極と陰極を例えば以下のように構成してもよい。
陽極:陰極
第一の有機EL素子における陽極と同等の構成:第一の有機EL素子における陽極と同等の構成
第一の有機EL素子における陽極と同等の構成:第二の有機EL素子における陽極と同等の構成
第二の有機EL素子における陽極と同等の構成:第一の有機EL素子における陽極と同等の構成
第二の有機EL素子における陽極と同等の構成:第二の有機EL素子における陽極と同等の構成
以下、本実施の形態に係る有機EL素子を実施例によりより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定して解釈されるものでないことは当然である。
《実施例1》
図24に示すように、横の長さ40mm、縦の長さ50mmの透明なガラス製の基板2上に、横の長さAが30mm、縦の長さBが40mm、膜厚220nmのITO層が形成された基板を用意した。この基板からITOをレーザリペア装置により一部除去して、陽極の端子部11、陽極の導通部12及び陽極の電極領域13を形成した。図24における各部位の寸法は以下の通りである。
長さC=10mm、
長さD=3mm
幅E=10μm〜20μm
距離F=3mm
間隔H=10μm〜20μm
以上のようにして陽極10が形成された基板2の基板洗浄を行った。基板洗浄は、アルカリ洗浄、純水洗浄を順次行い、乾燥させた後に紫外線オゾン洗浄を行った。
基板洗浄後、少なくとも陽極の導通部12を含む陽極の電極領域13の外周に、RFスパッタリング法によってSiOにより構成された絶縁層4を設けた。
絶縁層形成後、陽極の電極領域13上に、ホール輸送層、発光層及び電子輸送層からなる有機層を形成した。
まず、陽極の電極領域13上に、真空蒸着装置(カーボンルツボ、蒸着速度0.1nm/s、真空度約5.0×10−5Pa)で膜厚30nmのTPTEの層を作製し、この層をホール輸送層とした。
ホール輸送層上に、真空蒸着装置(カーボンルツボ、蒸着速度0.1nm/s、真空度約5.0×10−5Pa)で膜厚30nmの示すDPVBi(93.0重量%、ホスト材料)と、BCzVBi(7.0重量%、ゲスト材料)とを共蒸着した層を作製し、この層を発光層とした。
発光層上に、真空蒸着装置(カーボンルツボ、蒸着速度0.1nm/s、真空度約5.0×10−5Pa)で膜厚20nmの2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールの層を作製し、この層を電子輸送層とした。
電子輸送層上に、タングステンボード(蒸着速度1nm/s、真空度約5.0×10−5Pa)で膜厚150nmのアルミニウムの層を形成し、この層を陰極の電極領域33とした。また、基板2上に同様の方法で陰極の端子部31を形成し、陰極の端子部31と陰極の電極領域33との間に同様の方法で陰極の導通部32を形成し陰極30を形成し、有機EL素子を作製した。
作成した有機EL素子に、基板2とは反対側に、陽極の端子部11及び陰極の端子部31が外部に露出するようにSiOによるパッシベーション膜にて膜封止した。
そして、膜封止した有機EL素子を、陽極の端子部11及び陰極の端子部31と外部電極とを接続し、150mAの定電流を流し、電流を流し初めてから五分後の輝度を測定した。
輝度の測定ポイントは、図25(a)に示すように、有機EL素子1の発光領域の各辺を10等分し、それぞれの辺を1:4:4:1に分割する直線の交点とした。各交点を、図25に示すように、上段左からa、b、c、中段左からd、e、f、下段左からg、h、iと名付けた。輝度の測定は、輝度測定器(株式会社トプコン製、商品名BM7)を用いて行った。測定結果を表1に示す。なお、表1には、各測定ポイントにおいて測定した輝度を、最も輝度の小さかったポイントの輝度で割った輝度比にて示した。
《実施例2》
実施例2に係る有機EL素子は、図25(b)に示す形状の陽極10とし、長さ10mmの切り込みGを設けた点以外は、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、実施例1と同様に輝度を測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1には、実施例2における各測定ポイントにおいて測定した輝度を、最も輝度の小さかったポイントの輝度で割った輝度比にて示した。
《実施例3》
実施例3に係る有機EL素子は、切り込みGの長さを20mmとした点以外は、実施例2と同様に有機EL素子を作製し、実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1には、実施例3における各測定ポイントにおいて測定した輝度を、最も輝度の小さかったポイントの輝度で割った輝度比にて示した。
《比較例》
比較例では、図25(c)に示すように、陽極の導通部12を省略し、陽極の端子部11と陽極の電極領域13とを直接接続した点以外は、実施例1と同様に有機EL素子を作製し、実施例1と同様に輝度を測定した。測定結果を表1に示す。なお、表1には、比較例における各測定ポイントにおいて測定した輝度を、最も輝度の小さかったポイントの輝度で割った輝度比にて示した。
《評価》
比較例では、輝度の最も小さかった測定ポイントに対する輝度の最も大きかった測定ポイントの輝度比が2.68であったのに対し、陽極の端子部11と陽極の電極領域13とを離した(3mm空間を空けた)実施例1の有機EL素子では上記輝度比が2.16であった。
また、10mmの切り込みGを設けた実施例2では上記輝度比が1.58、20mmの切り込みGを設けた実施例3では上記輝度比が1.60となった。
すなわち、本実施の形態に係る実施例1〜実施例3の有機EL素子は、輝度の最も小さかった測定ポイントに対する輝度の最も大きかった測定ポイントの輝度比が、比較例の有機EL素子よりも小さかった。
また、比較例1では、平均輝度に対して最も輝度の小さかった測定ポイントにおける輝度は54%で、最も輝度の大きかった測定ポイントにおける輝度は141%であった。これに対し、実施例1では、平均輝度に対して最も輝度の小さかった測定ポイントにおける輝度は59%で、最も輝度の大きかった測定ポイントにおける輝度は127%であった。実施例2では、平均輝度に対して最も輝度の小さかった測定ポイントにおける輝度は85%で、最も輝度の大きかった測定ポイントにおける輝度は118%であった。実施例3では、平均輝度に対して最も輝度の小さかった測定ポイントにおける輝度は87%で、最も輝度の大きかった測定ポイントにおける輝度は139%であった。
すなわち、本実施の形態に係る実施例1〜実施例3の有機EL素子は、平均輝度に対する最も輝度の大きい測定ポイントの輝度比が、比較例の有機EL素子における平均輝度に対する最も輝度の大きい測定ポイントの輝度比よりも小さかった。
また、本実施の形態に係る実施例1〜実施例3の有機EL素子は、平均輝度に対する最も輝度の小さい測定ポイントの輝度比が、比較例の有機EL素子における平均輝度に対する最も輝度の小さい測定ポイントの輝度比よりも小さかった。
以上の評価からも明らかなように、本実施の形態に係る実施例1〜実施例3の有機EL素子は、比較例の有機EL素子と比べて、輝度むらが少ないことが分かった。また、このことから、本実施の形態に係る有機EL素子は、比較例の有機EL素子と比べて、表示領域における各点(ポイント)を流れる電流値の差が小さいことが分かった。
第一の有機EL素子の平面図。 図1におけるA−A’線断面図。 図1におけるB−B’線断面図。 (a)〜(c)は第一の有機EL素子の製造方法を説明する平面図。 (a)は第一の有機EL素子の陽極の平面図、(b)は従来の有機EL素子の陽極の平面図。平面図。 (a),(b)は導通部が異なる変形例の陽極の模式平面図。 (a),(b)は導通部が異なる変形例の陽極の模式平面図。 導通部が異なる変形例の陽極の模式平面図。 電極領域の外周部において、電極領域と端子部とが対向する領域の一部にも接続部を設けた変形例を示す陽極の模式平面図。 高抵抗部を備えた変形例の陽極の模式平面図。 高抵抗部を備えた変形例の陽極の模式平面図。 (a)〜(c)は高抵抗部を備えた変形例の陽極の模式平面図。 端子部の位置が異なる変形例の陽極の模式平面図。 (a),(b)は陽極の電極領域の変形例の平面図。 端子部の位置が異なる変形例の陽極の模式平面図。 別の変形例の陽極の模式平面図。 絶縁部を備えた有機EL素子の模式分解斜視図。 絶縁部を備えた有機EL素子の模式断面図。 基板上での陽極の電極領域、端子部等の配置を示す模式平面図。 別の変形例の陽極の模式平面図。 端子部の位置が異なる変形例の陽極の模式平面図。 端子部の位置が異なる変形例の陽極の模式平面図。 第一の有機EL素子と第二の有機EL素子とを組み合わせた構成を示す陽極の模式平面図。 陽極の電極領域、端子部、導通部等の寸法を示す模式平面図。 (a)は実施例1の輝度測定点を示す模式図、(b)は実施例2の輝度測定点を示す模式図、(c)は比較例の輝度測定点を示す模式図。 有機電界発光素子における電流の流れる各経路の抵抗差を説明する模式図。 別の有機電界発光素子における電流の流れる各経路の抵抗差を説明する模式図。
符号の説明
1…有機EL素子、10…一方の電極としての陽極、11,31,110…端子部、12,32…導通部、12a,12b…接続部、12c…導通部本体、13,33,130…電極領域、13a…位置、13X,16…部分、13−1…短辺、13−2,13−4…長辺、13t1,13t2,130t2,130t3…点、130t1…接点、20…有機層、30…他方の電極としての陰極。

Claims (12)

  1. 一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成された有機電界発光素子であって、
    前記一方の電極は、少なくとも、前記有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有し、
    前記端子部は、前記電極領域の外周に沿った位置に配置され、前記導通部を介して前記電極領域と電気的に接続され、
    前記電極領域は略矩形であり、
    前記導通部は、前記端子部と接続する接続部と、前記電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、前記電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなり、
    前記電極領域と接続する接続部は、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分以外の部分において前記電極領域と接続されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成された有機電界発光素子であって、
    前記一方の電極は、少なくとも、前記有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有し、
    前記端子部は、前記電極領域の外周に沿った位置に配置され、前記導通部を介して前記電極領域と電気的に接続され、
    前記電極領域は略矩形であり、
    前記導通部は、前記端子部と接続する接続部と、前記電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、前記電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなり、
    前記電極領域と接続する接続部は、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分の一部で前記電極領域と接続されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  3. 一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成された有機電界発光素子であって、
    前記一方の電極は、少なくとも、前記有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有し、
    前記端子部は、前記電極領域の外周に沿った位置に配置され、前記導通部を介して前記電極領域と電気的に接続され、
    前記電極領域は略矩形であり、
    前記導通部は、複数設けられ、それぞれ、前記端子部と接続する接続部と、前記電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、前記電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなり、
    前記電極領域と接続する接続部のうちの少なくとも一つは、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分以外の部分において前記電極領域と接続され、他の一つは、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分の一部で前記電極領域と接続されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  4. 一対の電極に有機層が挟まれ、いずれの電極も略同一の体積抵抗率の物質で形成された有機電界発光素子であって、
    少なくとも一方の電極は、
    前記有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有し、
    前記端子部は、前記電極領域の外周に沿った位置に配置され、前記導通部を介して前記電極領域と電気的に接続され、
    前記電極領域が略矩形であり、
    前記導通部は、前記端子部と接続する接続部と、前記電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、前記電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなり、
    前記電極領域と接続する接続部は、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分以外の部分において前記電極領域と接続されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  5. 一対の電極に有機層が挟まれ、いずれの電極も略同一の体積抵抗率の物質で形成された有機電界発光素子であって、
    少なくとも一方の電極は、
    前記有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有し、
    前記端子部は、前記電極領域の外周に沿った位置に配置され、前記導通部を介して前記電極領域と電気的に接続され、
    前記電極領域が略矩形であり、
    前記導通部は、前記端子部と接続する接続部と、前記電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、前記電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなり、
    前記電極領域と接続する接続部は、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分の一部で前記電極領域と接続されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  6. 一対の電極に有機層が挟まれ、いずれの電極も略同一の体積抵抗率の物質で形成された有機電界発光素子であって、
    少なくとも一方の電極は、
    前記有機層と接する電極領域と、外部駆動回路が接続される端子部と、導通部とを有し、
    前記端子部は、前記電極領域の外周に沿った位置に配置され、前記導通部を介して前記電極領域と電気的に接続され、
    前記電極領域が略矩形であり、
    前記導通部は、複数設けられ、それぞれ、前記端子部と接続する接続部と、前記電極領域と接続する接続部と、両接続部間を電気的に接続し、かつ、前記電極領域及び端子部とは電気的に接続しない導通部本体とからなり、
    前記電極領域と接続する接続部のうちの少なくとも一つは、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分以外の部分において前記電極領域と接続され、他の一つは、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分の一部で前記電極領域と接続されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  7. 一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成された有機電界発光素子であって、
    前記一方の電極は、少なくとも、前記有機層と接する一つの電極領域と、外部駆動回路が接続される二つの端子部と、それぞれ互いに異なる端子部に接続された二つの導通部とを有し、
    各端子部は、前記導通部を介して前記電極領域に電気的に接続され、
    前記電極領域は略矩形であり、
    各端子部は、前記電極領域の外周における一方の短辺の両側に配置され、
    各導通部は、それぞれ、前記電極領域の外周における異なる長辺において前記電極領域と接続されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  8. 一対の電極に有機層が挟まれ、一方の電極が、他方の電極よりも体積抵抗率が高い物質で形成された有機電界発光素子であって、
    前記一方の電極は、少なくとも、前記有機層と接する一つの電極領域と、外部駆動回路が接続される二つの端子部と、それぞれ互いに異なる端子部に接続された二つの第一の導通部と、それぞれ互いに異なる端子部に接続された二つの第二の導通部とを有し、
    各端子部は、前記導通部及び第二の導通部を介して前記電極領域に電気的に接続され、
    前記電極領域は略矩形であり、
    各端子部は、前記電極領域の外周における一方の短辺の両側に配置され、
    各第一の導通部は、それぞれ、前記電極領域の外周における異なる長辺において前記電極領域と接続され、
    各第二の導通部は、それぞれ、前記電極領域の外周における前記端子部と対向する部分の一部で前記電極領域と接続されていることを特徴とする有機電界発光素子。
  9. 請求項7又は8に記載の有機電界発光素子であって、
    他方の電極は、少なくとも前記外部駆動回路が接続される第二の端子部と、有機層と接する第二の電極領域とを有し、
    第二の端子部は、前記二つの端子部の間に設けられていることを特徴とする有機電界発光素子。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子であって、
    前記導通部は、前記電極領域と接続する接続部を複数有し、各接続部は、それぞれ少なくとも他の一の接続部とは異なる位置で前記電極領域と接続していることを特徴とする有機電界発光素子。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の有機電界発光素子であって、
    前記導通部は、前記電極領域の外周に沿って設けられていることを特徴とする有機電界発光素子。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の有機電界発光素子であって、
    前記導通部が前記電極領域と接続される位置は、前記電極領域の外周のいずれかの位置であって、かつ、当該位置と電極領域の外周上の各点との間の抵抗値の最大値と最小値との差が、電極領域と端子部とを最短距離で直接電気的に接続した場合における、当該接続される部分の各点と電極領域の外周上の各点との間の抵抗値の最大値と最小値との差よりも小さい位置、若しくは当該位置の近傍であることを特徴とする有機電界発光素子。
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