JP6665856B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に係わる。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、基板上に、第1電極、発光層を含む発光機能層、及び、第2電極を順次成膜することで形成される。また、有機EL素子では、絶縁層によるリブ状の画素分離層を設けることにより、隣接する素子同士の分離が行なわれている。
このような有機EL素子では、例えば、基板上に、第1電極、画素分離層となる絶縁膜、発光機能層、及び、第2電極が順次形成される。画素分離層となる絶縁膜は、レジスト材料等を用いたフォトリソグラフィ工程により作製される。また、第1電極、発光機能層、及び、第2電極は、蒸着マスク等の所定の開口を有するマスクを用いることにより、所定の形状に成膜される。
有機EL素子の作製において、マスクを用いた発光機能層、及び、第2電極の成膜では、画素分離層上への異物の転写(付着)による有機EL素子の信頼性の低下が問題となっている。これは、例えば、発光機能層や第2電極を形成する際、画素分離層上にマスクが接触することにより、マスクに異物が付着し、さらに、このマスクに付着した異物が画素分離層の表面に転写(付着)することが原因と考えられている。画素分離層上に異物が存在すると、異物により有機EL素子の封止が阻害され、素子の信頼性が低下する。
この問題に対し、発光機能層の形成領域の外側の画素分離層に蒸着マスクを接触させて、発光機能層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、発光機能層の形成領域外にマスクを接触させることにより、有機EL素子の発光領域内へのマスクからの異物の転写を防止している。
特開2011−222146号公報
しかしながら、上述の方法は、絶縁層からなる画素分離層を設けることが前提となっている。有機EL素子において絶縁層で画素分離層を形成する場合には、フォトリソグラフィ工程による絶縁層のパターニングが必要となり、製造工程における工程数の増加やコストの増加が発生する。このため、絶縁層による画素分離層を形成せずに、マスクによるパターニングのみで隣接する有機EL素子同士を分離する方法が求められている。
絶縁層による画素分離層を形成せずに、マスクによるパターニングのみで隣接する有機EL素子同士を分離する場合には、上述の画素分離領層にマスクを接触させる方法は適用できない。また、画素分離層が無い構成の場合、基板上に成膜するパターンは、第1電極、発光機能層、及び、第2電極でそれぞれ必要範囲が異なる。この場合、素子精度を確立させる必要があるため、第1電極、発光機能層、及び、第2電極層の各成膜範囲の近傍で基材とマスクを接触させることが望まれる。このため、成膜パターンにもマスク接触が起こり、成膜物がマスクへ付着して異物となる。そして、このマスクに付着した異物が次の工程において、マスクから成膜パターン側に転写されて、リークや封止性能低下等の有機EL素子の信頼性の低下を引き起こす。
このような画素分離領層を作製しない有機EL素子においても、マスクからの異物の転写を抑止し、有機EL素子の信頼性を向上することが求められている。
上述した問題の解決のため、本発明においては、信頼性の向上が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供するものである。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、第1電極、第2電極、及び、第1電極と第2電極との挟持された発光機能層を備え、第1電極よりも発光機能層の形成面積が大きく、発光機能層よりも第2電極の形成面積が大きい。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、基板上に第1電極を形成する工程と、第1電極上に発光機能層を形成する工程と、発光機能層上に第2電極を形成する工程とを有する。そして、第1電極を第1電極の形状の開口部を有する第1マスクを用いて形成し、発光機能層を第1マスクよりも開口部の面積が大きい第2マスクを用いて形成し、第2電極を第2マスクよりも開口部の面積が大きい第3マスクを用いて形成する。
本発明によれば、信頼性の向上が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を提供することができる。
実施形態の有機EL素子の平面図である。 図1に示す有機EL素子のA−A線断面図である。 有機EL素子の製造工程図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.有機エレクトロルミネッセンス素子
2.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
〈1.有機エレクトロルミネッセンス素子〉
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の具体的な実施の形態について説明する。図1に有機EL素子の平面図を示す。また、図1に示す有機EL素子のA−A線断面図を図2に示す。
[有機EL素子の構成]
図1及び図2に示す有機EL素子10は、基板11と、基板11上に設けられた第1電極12、第1電極12上に設けられた発光機能層13、及び、発光機能層13上に設けられた第2電極14を備える。なお、本実施形態では、有機EL素子における、基板11側を下層、第2電極14側を上層として説明する。また、以下の説明において透明(透光性)とは波長550nmにおける光透過率が50%以上であることをいう。
また、図1に示すように、有機EL素子10には、有機EL素子10の1辺側に、第1取出し部15及び第2取出し部16が設けられている。第1取出し部15は、有機EL素子10の第1電極12と電気的に接続された、第1電極12の取出し部である。第2取出し部16は、第2電極14と電気的に接続された、第2電極14の取出し部である。
基板11上において、発光機能層13を介して第2電極14と対向する部分が第1電極12であり、第2電極14と対向する位置以外で第1電極12の辺から突出する部分が第1取出し部15である。また、第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14の積層部の外部に形成され、第2電極14の辺から突出する部分が第2取出し部16である。
図1及び図2に示す有機EL素子10は、上層に形成されている層ほど形成面積が大きい。つまり、基板11側に形成されている第1電極12よりも発光機能層13の形成面積が大きく、発光機能層13よりも第2電極14の形成面積が大きい。
なお、ここでいう面積とは、図1に示すように、基板11の表面の鉛直方向から見た各層の投影面の面積である。このため、有機EL素子10の厚さ方向の面積、及び、表面の凹凸に起因する表面積は含まれない。
また、有機EL素子10において、第1電極12の形成面積に、第1取出し部15の面積は含まれない。同様に、第2電極14の形成面積に、第2取出し部16の面積は含まれない。
第1電極12は、基板11上において第1取出し部15と電気的に接続する所定の形状に形成されている。この形状については特に限定されず、有機EL素子10の発光面の形状に基づいて適宜設計される。
発光機能層13は、第1電極12の全面を覆うように形成され、且つ、第1電極12よりも面積が大きく形成されている。このため、発光機能層13を形成した後は、第1電極12が発光機能層13から露出しない構成となる。また、発光機能層13は、第1電極12と第1取出し部15との接続部分も覆う形状であり、この発光機能層13に覆われていない部分の第1取出し部15が、基板11上で発光機能層13から露出される構成である。
第2電極14は、基板11上に露出する第1取出し部15の周囲を除き、発光機能層13を覆うように形成され、且つ、発光機能層13よりも面積が大きく形成されている。第2電極14が形成されない第1取出し部15の周囲とは、第1取出し部15と第2電極14との間に設けられる絶縁距離内の範囲である。
第1電極12と第2電極14とは、発光機能層13により短絡が防止されている。このため、第1電極12と第2取出し部16とも、発光機能層13により短絡が防止されている。第1電極12と第2電極14、及び、第1電極12と第2取出し部16とは、第1電極12の全面が発光機能層13により覆われているため、発光機能層13が上述の形成面積、形状の条件を満たす限り短絡が防止される。
一方、第2電極14と第1取出し部15との短絡を発光機能層13で防止するためには、第1取出し部15と電気的な接続がない形状に第2電極14を形成する必要がある。具体的には、第2電極14と第1取出し部15との短絡を防止するためには、第2電極14と第1取出し部15とを、発光機能層13によって短絡が防止できる距離まで、離す必要がある。この短絡を防止するために必要な距離が、絶縁距離である。
即ち図1に示すように、この絶縁距離内の範囲において、基板11上で発光機能層13から露出する第1取出し部15の周囲に、第2電極14が形成されていない形状とする必要がある。このため、少なくとも絶縁距離内の範囲において発光機能層13が露出する形状に、第2電極14を形成する必要がある。
第1取出し部15と第2電極14との絶縁距離は、発光機能層13によって短絡が防止できる最小距離以上とすることができ、好ましくは、この最小距離にマスクのアライメント誤差を加えた距離とすることができる。また、この絶縁距離は、第1取出し部15が配置される有機EL素子10の1辺の長さ以下、好ましくは第1取出し部15が封止部から露出している長さ以下とすることができる。例えば、有機EL素子10において、上記絶縁距離を確保しつつ、第1取出し部が配置される1辺の長さ以下において、発光機能層13が露出する構成とすることができる。
発光機能層13が複数の層で構成されている場合には、発光機能層13を構成する各層の面積は同じであり、同じ形状であることが好ましい。但し、発光機能層13を構成する各層においても、下層(基板11)側に形成されている層よりも上層(基板11と逆)側に形成されている層の面積が大きくなるように形成されていてもよい。
第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14の各層間に他の層が形成されている場合には、この層間の他の層も下層(基板11)側に形成されている層よりも面積が大きく、上層(基板11と逆)側に形成されている層よりも面積が小さいことが好ましい。或いは、下層(基板11)、又は、上層(基板11と逆)のいずれかと同じ面積であることが好ましい。
基板11と第1電極12との間に形成される層、例えば、基板11の表面に形成されるバリア層や、有機EL素子10の光取出しを向上させるための光学的な作用を有する層、及び、第1電極12の下層に形成される下地層等については、形成面積は特に限定されない。例えば、下地層は、第1電極12が形成される形状で形成されていればよい。第1電極12の下地層としては、第1電極12の形成時に成長核となるPdやInを含む金属や、後述する電子輸送材料に適用される窒素原子を含んだ化合物から形成することが好ましい。
以下、有機EL素子について、主要な構成要素及びその製造方法について説明する。
[第1電極・第2電極(陽極・陰極)]
第1電極12、及び、第2電極14は、有機EL素子10において一方が陽極となり、他方が陰極となる。
第1電極12、又は、第2電極14を陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au、Ag等の金属、CuI、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィ法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。陽極側から発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
また、第1電極12、又は、第2電極14を陰極として用いる場合には、発光機能層13に電子を供給する陰極(カソード)として機能する電極膜で構成する。陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物やアルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。また、陰極として上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
また、第1取出し部15、及び、第2取出し部16は、第1電極12、又は、第2電極14と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
[発光機能層]
発光機能層13は、少なくとも、各種有機化合物からなる発光材料を含有する発光層を主体として構成される発光体(単位)である。発光機能層13は、陽極と陰極とからなる一対の電極の間に挟持されており、当該陽極から供給される正孔(ホール)と陰極から供給される電子とが当該発光体内で再結合することにより発光する。第1電極12と第2電極14とで発光機能層13が挟持されている部分のみが、有機EL素子10における発光領域となる。そして、有機EL素子10は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも透明な基板11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。なお、有機EL素子は、所望の発光色に応じて、当該発光機能層13を複数備えていてもよい。
発光機能層13の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。例えば、第1電極12がアノード(すなわち陽極)として機能し、第2電極14がカソード(すなわち陰極)として機能する場合、発光機能層13は、第1電極12側から順に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層を積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層を有することが必須である。正孔注入層及び正孔輸送層は、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層及び電子注入層は、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの発光機能層13のうち、例えば、電子注入層は無機材料で構成されていてもよい。
発光機能層13は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層は、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の補助層を介して積層させた構造としてもよい。補助層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。
また、有機EL素子10は、少なくとも1層の発光層を含む発光機能層13を複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば、以下の構成を挙げることができる。
陽極/第1発光機能層/中間コネクタ層/第2発光機能層/中間コネクタ層/第3発光機能層/陰極
ここで、上記第1発光機能層、第2発光機能層、及び、第3発光機能層は全て同じであっても、異なっていてもよい。また、二つの発光機能層が同じであり、残る一つが異なっていてもよい。
複数の発光機能層13は直接積層されていても、中間コネクタ層を介して積層されていてもよい。
中間コネクタ層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。中間コネクタ層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、これらに限定されない。
発光機能層13内の好ましい構成としては、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた構成から、陽極と陰極とを除いたもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられる。
[発光層]
発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には、非発光性の補助層(図示略)を有していることが好ましい。
発光層の層厚の総和は、1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内であることがより好ましい。発光層の層厚の総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む層厚である。
複数層を積層した構成の発光層の場合、個々の発光層の層厚としては、1〜50nmの範囲内に調整することが好ましく、1〜20nmの範囲内に調整することがより好ましい。積層された複数の発光層が、青、緑、赤のそれぞれの発光色に対応する場合、青、緑、赤の各発光層の層厚の関係については、特に制限はない。
発光層の構成として、ホスト化合物(発光ホスト等)、発光材料(発光ドーパント)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、例えば、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料)と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物)とを同一発光層中に混合して用いてもよい。発光層は、発光材料としてリン光発光化合物が含有されていることが好ましい。発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜形成方法により成膜して形成することができる。
(1)ホスト化合物
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、又は複数種用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
ホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、かつ高Tg(ガラス転移温度)の化合物であることが好ましい。
ここでいうガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物を用いることができる。例えば、特開2010−251675号公報、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
(2)発光材料
発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料)と蛍光発光性化合物(蛍光性化合物、蛍光発光材料)が挙げられる。
(リン光発光性化合物)
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物である。具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物と定義される。好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、リン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性化合物の発光の原理としては、2種挙げられる。
一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性化合物に移動させることでリン光発光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型である。
もう一つは、リン光発光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光発光性化合物上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型である。
いずれの場合においても、リン光発光性化合物の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される中から適宜選択して用いることができる。好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物又は白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体である。特にイリジウム化合物が好ましい。
リン光発光性化合物の具体例としては、特開2010−251675号公報に記載の化合物を用いることができるが、これらに限定されない。
リン光発光性化合物は、好ましくは発光層の総量に対し、0.1体積%以上30体積%未満である。発光層は、2種以上のリン光発光性化合物を含有していてもよく、発光層におけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化していてもよい。
(蛍光発光性化合物)
蛍光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
[注入層:正孔注入層、電子注入層]
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層との間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
注入層は、必要に応じて設けることができる。正孔注入層であれば、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、電子注入層であれば陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン層、酸化バナジウムに代表される酸化物層、アモルファスカーボン層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子層等が挙げられる。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属層、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデンに代表される酸化物層等が挙げられる。電子注入層はごく薄い膜からなる層であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は1nm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。
正孔輸送層は、単層又は複数層設けることができる。正孔輸送層は、下記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
正孔輸送材料は、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有し、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。特に、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、更には、米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。さらに、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されている、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
また、正孔輸送層の材料に不純物をドープしてp性を高くすることもできる。例えば、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された材料が挙げられる。正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。
[電子輸送層]
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層(図示略)も電子輸送層に含まれる。
電子輸送層は、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。電子輸送層は、下記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
電子輸送層において、発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよい。このような材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又は、それらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されたものも、電子輸送層の材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体や、正孔注入層、正孔輸送層と同様のn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送層の材料として用いることができる。
また、電子輸送層に不純物をドープし、n性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された材料が挙げられる。さらに、電子輸送層には、カリウムやカリウム化合物などを含有させることが好ましい。カリウム化合物としては、例えば、フッ化カリウム等を用いることができる。このように電子輸送層のn性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができる。
電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。
電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
[阻止層:正孔阻止層、電子阻止層]
阻止層は、上記の有機化合物薄膜の基本構成層の他に、必要に応じて設けられる。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔との再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
[基板]
基板11としては、各種表示デバイスの透明基板に適用されている基板が挙げられる。基板11は、例えば、ガラス基板等の無機系の基板であってもよく、セルロースエステル樹脂(例えば、トリアセチルセルロース(略称:TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース等)、ポリカーボネート樹脂(例えば、パンライト、マルチロン(以上、帝人社製))、シクロオレフィン樹脂(例えば、ゼオノア(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製))、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリライト(三菱レイヨン社製)、スミペックス(住友化学社製))、ポリイミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(略称:PPE)樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN))、ポリエーテルスルホン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:ABS樹脂)/アクリロニトリル・スチレン樹脂(略称:AS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂(略称:MBS樹脂)、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/エチレンビニルアルコール樹脂(略称:EVOH)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等からなる透明樹脂フィルムであってもよい。基板11が透明樹脂フィルムである場合、当該フィルムには2種以上の樹脂が含まれてもよい。
高い光透過性を達成することができる観点から、基板11は、ガラス基板や、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンテレフタレート)、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン、ABS/AS樹脂、MBS樹脂、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール/EVOH(エチレンビニルアルコール樹脂)、スチレン系ブロックコポリマー樹脂等の樹脂成分から構成されるフィルムであることが好ましい。
基板11は、可視光に対する光透過性が高いことが好ましい。具体的には、波長400〜800nmの光の平均光透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。基板11の光の平均光透過率が70%以上であると、有機EL素子10の発光効率が高まりやすい。
上記平均光透過率は、基板11の表面の法線に対して、5°傾けた角度から光を入射させて測定する。平均光透過率は、分光光度計(例えば、U4100;日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定される。
基板11の波長570nmの光の屈折率は1.40〜1.95の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.75の範囲内であり、さらに好ましくは1.45〜1.70の範囲内である。基板11の屈折率は、通常、基板11の材質によって定まる。基板11の屈折率は、エリプソメータを用い、25℃の環境下で測定することにより求められる。
基板11の厚さは、1μm〜20mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10μm〜2mmの範囲内である。基板11の厚さが1μm以上であれば、基板11の強度が高まり、有機EL素子10の製造中に割れたり、裂けたりし難い。一方、基板11の厚さが20mm以下であれば、有機EL素子10のフレキシブル性が十分に高まる。
[封止部]
有機EL素子10は、有機材料等を用いて構成された発光機能層13の劣化を防止することを目的として、後述する封止部で封止されている。この封止部は、接着部により基板11側に固定されている。ただし、第1取出し部15と第2取出し部16は、互いに絶縁性を保った状態で封止部から露出している。
封止部は、有機EL素子10の上面を覆う板状(フィルム状)の部材であって、接着部によって基板11側に固定される。また、封止部は、封止膜であってもよい。このような封止部は、有機EL素子10の電極端子部分を露出させ、少なくとも発光機能層13を覆う状態で設けられている。また、封止部に電極を設け、有機EL素子10の電極端子部分と、封止部の電極とを導通させる構成でもよい。
板状(フィルム状)の封止部としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板をさらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
特に、素子を薄膜化できるということから、封止部としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にして使用することが好ましい。
また、基板材料は、凹板状に加工して封止部として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状に形成される。
さらに、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
また、封止部を基板11側に固定する接着部は、封止部と基板11側との間で有機EL素子10を封止するためのシール剤として用いられる。接着部としては、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、接着部としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
また、板状の封止部と基板11側と間に隙間が形成される場合、この間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止部として封止膜を用いる場合、有機EL素子10における発光機能層13を完全に覆い、かつ有機EL素子10の電極端子部分を露出させる状態で、基板11上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子10における発光機能層13の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成される。このような材料としては、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としてもよい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
〈2.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法〉
次に、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の製造方法について説明する。以下、図3に示す製造工程図を用いて、有機EL素子の製造方法を説明する。なお、以下の有機EL素子の製造方法の説明では、上述の図1及び図2に示す構成の有機EL素子の製造方法について説明する。このため、図1及び図2に示す有機EL素子の構成も参照して説明する。
図3に示すように、有機EL素子の製造方法は、基板11上に第1電極12を形成する工程(a)、第1電極12上に発光機能層13を形成する工程(b)、及び、発光機能層13上に第2電極14を形成する工程(c)を有する。さらに、作製した有機EL素子10の封止工程(d)を行なうことにより、有機EL素子10を封止部17で封止する。
また、図3に示すように、有機EL素子の製造方法では、第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14の各層を、所定のパターンの開口部(開口部21,31,41)を有するマスク(第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40)を用いて形成する。有機EL素子10を形成する基板11上に当該マスクが重ねられた際、開口部(開口部21,31,41)から露出される領域が、第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14の各層を形成する成膜領域となる。
第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14を、蒸着法やスパッタ法を用いて形成する場合には、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40として、所定の形状の開口を有する蒸着マスクを用いる。また、第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14を、塗布法を用いて形成する場合には、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40として、所定の形状の開口を有するスクリーンマスクを用いる。
図1及び図2に示すように有機EL素子10は、基板11側に形成されている第1電極12よりも発光機能層13の形成面積が大きく、発光機能層13よりも第2電極14の形成面積が大きい。このため、図3に示すように、第1電極12を形成するためのマスク(第1マスク20)の開口部21よりも、発光機能層13を形成するためのマスク(第2マスク30)の開口部31の面積が大きい。そして、発光機能層13を形成するためのマスク(第2マスク30)の開口部31よりも、第2電極14を形成するためのマスク(第3マスク40)の開口部41の面積が大きい。
また、第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14の各層を形成するための第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40は、図3に示すように、マスクの一部が薄膜化された凹部22,32,42を有し、この凹部22,32,42内の薄膜化された部分に、所定の形状の開口部21,31,41が形成されている。また、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40において、凹部以外の薄膜化されていない周縁部が、有機EL素子10の基板11側に接触する当接部23,33,43となる。
図3に示すように、有機EL素子10を作製するための基板11側に、当接部23,33,43を接触させた状態で当該マスクを重ねた際、凹部22,32,42内に開口部21,31,41が設けられていることにより、基板11側の成膜領域と開口部21,31,41とが接触しない。このように、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40を配置することにより、開口部21,31,41の近傍と成膜領域との間にギャップ(50μm程度)を介した状態となる。
この状態で成膜を行うと、基板11側の成膜領域と、第1マスク20、第2スク30、及び、第3マスク40とが接触しない状態となる。従って、基板11側からの第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40への異物の付着を防ぐことができる。そして、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40から、基板11側への異物の転写を防ぐことができる。さらに、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40に当接部23,33,43を設け、この当接部23,33,43を基板11側に接触させることで、成膜の際のマスクの撓みが抑制される。このため、成膜領域の位置精度を高めることができる。
また、開口部21,31,41の近傍と成膜領域との間にギャップが存在するため、開口部21,31,41の形状は、開口部21,31,41と成膜面との間の空間から開口部21,31,41の外側への成膜材料の回り込みによる、成膜領域からのはみ出し量も考慮して設計されている。当接部23,33,43を基板11側に接触させることで、開口部21,31,41の近傍と成膜領域との間にギャップの距離が均一となり、成膜領域からのはみ出し量が設計範囲(許容範囲)内となる距離にギャップを保持することができる。このため、開口部21,31,41の近傍と成膜領域との間にギャップを設けても、成膜領域の精度を許容範囲内にすることができる。
また、発光機能層13の形成では、開口部31の近傍と成膜領域との間にギャップを設けるとともに、成膜された第1電極12よりも、開口部31の面積が大きい第2マスク30を使用する。このように、第2マスク30の開口部31の開口面積が成膜された下層(第1電極12)の成膜領域よりも大きくなることにより、平面(投影)配置での第2マスク30と下層(第1電極12)との重なりを無くすことができる。
同様に、第2電極14の形成では、開口部41の近傍と成膜領域との間にギャップを設けるとともに、成膜され発光機能層13よりも、開口部41の面積が大きい第3マスク40を使用する。このように、第3マスク40の開口部41の開口面積が成膜された下層(発光機能層13)の成膜領域よりも大きくなることにより、平面(投影)配置での第3マスク40と下層(発光機能層13)との重なりをほぼ無くすことができる。
このように、開口部31,41の近傍と成膜領域との間のギャップに加えて、平面(投影)配置で開口部31,41の端部と下層と間に距離を設けることで、成膜の際のマスクに撓みや歪みが発生しても、第2マスク30及び第3マスク40と下層との接触をほぼ無くすことができる。このため、マスクからの異物の転写を抑止し、異物の付着、下層へのダメージを無くすことができる。
第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40において、凹部22,32,42は、少なくとも有機EL素子10の第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14が成膜される領域の全面が収まる範囲以上に形成される。凹部22,32,42の薄膜化は、ハーフエッチングやプレス等の方法により行なわれる。
例えば、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40は、0.5mm厚のSUSからなるマスクを準備し、このマスクを厚さ方向に約0.2mm程度ハーフエッチングすることで、ハーフエッチングした部分に凹部22,32,42を作製することができる。そして、ハーフエッチングされない部分が、当接部23,33,43となる。また、例えば0.2mm以下の薄い板材を2枚用意し、凹部22,32,42以外の部分では2枚の板材を重ねた構成とすることで、当該板材の厚さによる段差を構成し、この段差によって当接部23,33,43と、凹部22,32,42とが作製される。
第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40において、当接部23,33,43と、有機EL素子10の基板11側とが接触する位置(接触領域18)は、第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14の積層部が成膜される領域(以下、素子領域)の外側とする。有機EL素子10の基板11側に第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40の当接部23,33,43が接触すると、この接触位置に異物が転写される可能性がある。このため、有機EL素子10の信頼性を確保するためには、当接部23,33,43と基板11側との接触領域18を、素子領域外とする必要がある。
また、当接部23,33,43と基板11側との接触領域18は、素子領域外においても、転写された異物が有機EL素子10の信頼性に影響を与えない位置とすることが好ましい。有機EL素子10は、上述の有機EL素子の実施形態において説明したように、有機材料等を用いて構成された発光機能層13の劣化を防止することを目的として、第1電極12、発光機能層13、及び、第2電極14が封止部17で封止される。このため、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40の当接部23,33,43と、有機EL素子10の基板11側との接触領域18は、好ましくは、有機EL素子10において封止部17が形成される領域である。
また、封止部17は、少なくとも、有機EL素子10の封止性を確保するために最低限必要な範囲(最低封止範囲19)以上に形成する必要がある。この最低封止範囲19内に異物が転写されると、この異物により封止性が低下する。従って、当接部23,33,43と有機EL素子10の基板11側との接触領域18は、有機EL素子10の封止性を確保するために最低封止範囲19よりも外側に設けられることが好ましい。例えば、封止性を十分に確保するために、最低封止範囲19よりも外側に拡大して形成されている周縁部分(マージン部分)の封止部17に当接部23,33,43を接触させることが好ましい。上記周縁部分のような有機EL素子10の封止性を確保するために設けられる、最低封止範囲19よりも外側の封止部17であれば、異物により封止性が低下する部分が発生しても、この位置よりも内側の領域に封止性を確保するための最低封止範囲19の封止部17が存在する。このため、第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40の接触により、有機EL素子10の基板11側に異物が転写された場合においても、有機EL素子10に要求される封止性を確保することができる。
以下、図3に示す有機EL素子の製造方法の各工程について説明する。
(a)基板11上に第1電極12を形成する工程
第1電極12は、第1マスク20を用いて所定の形状に形成する。第1マスク20には、有機EL素子10の発光面の形状、及び、成膜領域からのはみ出し量を考慮した形状の開口部21が形成されている。
第1電極12の形成では、予め準備しておいた基板11上に、アライメントマーク等に合わせて第1マスク20を重ね、当接部23が有機EL素子10の素子領域外に接触するように、第1マスク20を配置する。そして、第1マスク20の開口部21から、基板11側の成膜領域に、第1電極12を12nm以下、好ましくは4〜9nmの層厚になるように、蒸着法、スパッタ法、塗布法等の適宜の方法により形成する。
なお、第1電極12の形成と同時に、外部電源と接続される第1取出し部15を第1電極12の端部に形成してもよい。この場合には、第1マスク20の開口部21の形状を、上記第1電極12を形成する形状と、第1取出し部15の形状、及び、成膜領域からのはみ出し量とを考慮して形成する。
(b)第1電極12上に発光機能層13を形成する工程
発光機能層13は、第1マスク20の開口部21よりも面積が大きい開口部31を有する第2マスク30を用いて、第1電極12よりも形成面積が大きくなる形状に形成する。また、第2マスク30の開口部31は、成膜された第1電極12の全面が開口部31内に収まる形状、且つ、成膜領域からのはみ出し量を考慮した形状に形成されている。なお、発光機能層13を形成する際に考慮する第1電極12の形成面積、及び、第1電極12の形状には、第1取出し部15は含めない。
発光機能層13の形成では、第1電極12が形成された基板11上に、アライメントマーク等に合わせて第2マスク30を重ね、当接部33が有機EL素子10の素子領域外に接触するように、第2マスク30を配置する。そして、第2マスク30の開口部31から、第1電極12上を含む基板11側の成膜領域に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を順次成膜する。このように、第2マスク30を用いて複数の層を成膜することにより、発光機能層13を形成する。
発光機能層13を構成する各層の成膜方法としては、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法が特に好ましい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが好ましい。
(c)発光機能層13上に第2電極14を形成する工程
第2電極14は、第2マスク30の開口部31よりも面積が大きい開口部41を有する第3マスク40を用いて、発光機能層13よりも形成面積が大きくなる形状に形成する。第3マスクの開口部41は、第1取出し部15の周囲の絶縁距離内を除く発光機能層13の全面が開口部41内に収まる形状、且つ、成膜領域からのはみ出し量を考慮した形状に形成されている。
なお、第2電極14の形成と同時に、外部電源と接続される第2取出し部16を第2電極14の端部に形成してもよい。この場合には、第3マスク40の開口部41の形状を、上記第2電極14を形成する形状と、第2取出し部16の形状、及び、成膜領域からのはみ出し量とを考慮して形成する。
第2電極14の形成では、発光機能層13が形成された基板11上に、アライメントマーク等に合わせて第3マスク40を重ね、当接部43が有機EL素子10の素子領域外に接触するように、第3マスク40を配置する。そして、第3マスク40の開口部41から、発光機能層13上を含む基板11側の成膜領域に、蒸着法、スパッタ法、塗布法等の適宜の方法を用いて第2電極14を形成する。
(d)有機EL素子10の封止工程
作製した有機EL素子10は、第1取出し部15及び第2取出し部16を互いに絶縁性を保った状態で露出させて、封止部17により封止される。封止部17は、上述の接着部を有する板状(フィルム状)の部材や、封止膜等を用いて形成する。例えば、有機EL素子10が形成された領域を含む基板11上に、市販のディスペンサー等を用いて、接着剤を塗布して封止部を貼り合わせた後、接着剤を接着硬化させて作製する。
[有機EL素子の効果]
上述の構成の有機EL素子10は、発光機能層13が、第1電極12の全面を覆うように形成され、且つ、第1電極12よりも面積が大きく形成されている。さらに、第2電極14は、基板11上に露出する第1取出し部15の周囲を除き、発光機能層13を覆うように形成され、且つ、発光機能層13よりも面積が大きく形成されている。このように、有機EL素子10は、上層に形成されている層ほど形成面積が大きい構成を有している。
また、上述の製造方法では、発光機能層13を、第1マスク20の開口部21よりも面積が大きい開口部31を有する第2マスク30を用いて、第1電極12よりも大きい形成面積で形成する。また、第2電極14を、第2マスク30の開口部31よりも面積が大きい開口部41を有する第3マスク40を用いて、発光機能層13よりも大きい形成面積で形成する。さらに、有機EL素子10の作製に、一部が薄膜化された凹部22,32,42を有し、この凹部22,32,42内の薄膜化された部分に、開口部21,31,41が形成されている第1マスク20、第2マスク30、及び、第3マスク40を使用する。
これにより、第1電極、発光機能層、及び、第2電極の各層の作製において、マスクからの異物の転写、及び、マスクと有機EL素子10の各層との接触を抑制して、有機EL素子を作製することができる。この結果、信頼性の高い有機EL素子を作製することができる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 有機EL素子、11 基板、12 第1電極、13 発光機能層、14 第2電極、15 第1取出し部、16 第2取出し部、17 封止部、18 接触領域、19 最低封止範囲、20 第1マスク、21,31,41 開口部、22,32,42 凹部、23,33,43 当接部、30 第2マスク、40 第3マスク

Claims (4)

  1. 基板上に第1電極を形成する工程と、
    前記第1電極上に発光機能層を形成する工程と、
    前記発光機能層上に第2電極を形成する工程と、を有し、
    前記第1電極を、前記第1電極の形状の開口部を有する第1マスクを用いて形成し、
    前記発光機能層を、前記第1マスクよりも開口部の面積が大きい第2マスクを用いて形成し、
    前記第2電極を、前記第2マスクよりも開口部の面積が大きい第3マスクを用いて形成し、
    前記第1マスク、前記第2マスク、及び、前記第3マスクが、薄膜化された凹部と、前記凹部の外側に設けられた薄膜化されていない周縁部と、前記凹部に設けられた開口部とを有し、
    前記第1マスク、前記第2マスク、及び、前記第3マスクが、前記周縁部において前記基板と接触し、
    前記第1マスクの前記周縁部と前記基板との接触領域、及び、前記第2マスクの前記周縁部と前記基板との接触領域が、前記第3マスクの開口部よりも外側に配置される
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記第2マスクの開口部は、前記第1電極の全面が収まる形状に形成されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記第3マスクの開口部は、前記第1電極の取出し部の周囲の絶縁距離内を除く前記発光機能層の全面が収まる形状に形成されている請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記第1マスク、前記第2マスク、及び、前記第3マスクと前記基板側との接触領域は、前記第1電極、前記発光機能層、及び、前記第2電極を形成する領域の外側である請求項1から3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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