JP2005097513A - 転動装置用フッ素系グリース組成物、及び、転動装置 - Google Patents

転動装置用フッ素系グリース組成物、及び、転動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 転動装置の耐熱性を維持しつつ、転動装置に優れた耐摩耗性を付与し、潤滑寿命がより長い転動装置用フッ素系グリース組成物、及び、耐焼付き性及び耐摩耗性に優れた転動装置を提供する。
【解決手段】 内輪10と、外輪11と、玉13と、を備えた深溝玉軸受1において、基油としてパーフルオロポリエーテル油と、増ちょう剤としてフッ素樹脂と、シリカ超微粒子と、を含有したフッ素系グリース組成物Gを用いて潤滑する。これにより、深溝玉軸受1は、耐焼付き性及び耐摩耗性に優れる。
【選択図】図1

Description

本発明は転動装置用フッ素系グリース組成物、及び、転動装置に関し、特に優れた耐熱性、耐焼付き性及び耐摩耗性を転動装置に付与する転動装置用フッ素系グリース組成物及び長寿命な転動装置に関する。
近年、自動車(乗用車)は小型軽量化や居住空間の拡大が望まれていることから、エンジンルーム空間の縮小が余儀なくされており、そのため電装部品やエンジン補機の小型軽量化がより一層進められている。このことに加えて、静粛性の向上が望まれエンジンルームの密閉化が進んでいるため、エンジンルーム内の高温化が促進されている。このため、上記各部品は高温に耐えられることも重要となっている。
現在、上記各部品に使用されている転がり軸受には、合成油を基油として配合し、増ちょう剤としてウレア化合物を配合してなるウレア−合成油系グリースが主に用いられている。このウレア−合成油系グリースは、軸受温度が170〜180℃までの条件下では、潤滑寿命が長く十分使用可能である。しかし、軸受温度が200℃以上になるような条件では、基油の蒸発やそれに伴うグリースの硬化、及び、増ちょう剤の破壊によるグリースの軟化が起きるため、ウレア−合成油系グリースを用いた場合では早期に焼付きを生じる。
このため、耐熱性を向上させるためには、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を増ちょう剤として配合し、パーフルオロポリエーテル油を基油としたフッ素系グリースを転がり軸受に封入することが知られている(特許文献1等参照)。このフッ素系グリースを用いれば、180℃以上の環境下でも転がり軸受は十分に使用可能である。
特開平1−284542号公報
しかしながら、パーフルオロポリエーテル油は、鉱油やエステル系及びエーテル系等の合成油と比べ、例えば軸受鋼SUJ2やステンレス鋼SUS440C等の軸受材料との親和性に劣るため摩擦摩耗特性に劣る傾向がある。また、フッ素系グリースには一般的なグリースに配合される添加剤を添加することが難しいために、従来の添加剤によって摩擦摩耗特性を改善することには限界がある。
本発明は上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、転動装置の耐熱性を維持しつつ、転動装置に優れた耐摩耗性を付与し、潤滑寿命がより長い転動装置用フッ素系グリース組成物、及び、耐焼付き性及び耐摩耗性に優れた転動装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1による転動装置用フッ素系グリース組成物は、パーフルオロポリエーテル油を基油として含有し、フッ素樹脂を増ちょう剤として含有した転動装置用のフッ素系グリース組成物において、シリカ超微粒子をさらに含有することを特徴とする。
本発明者は上記従来のグリースの欠点を克服し、耐熱性、耐摩耗性及び潤滑寿命に優れたグリースを創作すべく鋭意研究した結果、パーフルオロポリエーテル油(PFPE油)を基油として、フッ素樹脂を増ちょう剤として含有するフッ素系グリース組成物にシリカ超微粒子を添加すると、該フッ素系グリース組成物を用いて潤滑した転動装置が耐熱性に優れるとともに、耐摩耗性及び潤滑寿命にも優れていることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明のフッ素系グリース組成物は、高温条件下でも優れた酸化安定性、機械的安定性を有するパーフルオロポリエーテル油を基油としているため、180℃以上の環境においても基油の熱劣化が抑えられ、優れた高温耐久性を転動装置に付与する。さらに、フッ素系グリース組成物は、基油粘度を低く抑えることにより、低温流動性にも優れる。加えて、フッ素系グリース組成物にシリカ超微粒子を配合したことにより、転動装置の耐摩耗性に著しい改善効果が得られる。これは、シリカ超微粒子による厚さ1nm〜1μmの耐摩耗性を有する潤滑膜が転動装置の転走面(転走面とは、内方部材又は外方部材においては転動体が転動する軌道面を意味し、転動体においては軌道面と転がり接触する転動体の表面(転動面)を意味する。)に形成されるためである。
本発明の請求項2による転動装置用フッ素系グリース組成物は、請求項1において、前記シリカ超微粒子は、一次粒径が100nm以下であることを特徴とする。
一次粒径が100nm以下であると、転動装置の転走面に形成される潤滑膜中に超微粒子が入り込みやすくなるので好ましい。
本発明の請求項3による転動装置用フッ素系グリース組成物は、請求項1又は2において、前記シリカ超微粒子は、疎水性付与剤を用いた疎水化処理が施されて、表面が疎水化されていることを特徴とする。
このようなフッ素系グリース組成物であれば、表面が疎水化されたシリカ超微粒子が互いに凝集しにくく安定的に分散するため、転動装置の転走面に耐摩耗性に優れた潤滑膜を均一に形成することができる。
本発明の請求項4による転動装置は、請求項1〜3のいずれか1項において、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面の間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備え、グリース組成物により潤滑が行われる転動装置において、前記グリース組成物は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転動装置用フッ素系グリース組成物であることを特徴とする。
このような転動装置は、高温条件下でも優れた酸化安定性、機械的安定性を有するパーフルオロポリエーテル油を基油としたフッ素系グリース組成物を用いているため耐焼付き性に優れるとともに、シリカ超微粒子の上記作用により耐摩耗性に優れる。
本発明のフッ素系グリース組成物は、高温条件下で優れた酸化安定性、機械的安定性を示し、かつ、優れた耐摩耗性を有する潤滑膜を形成するため潤滑寿命に優れる。また、本発明の転動装置は、上記のような本発明のフッ素系グリース組成物が使用されているため、耐摩耗性及び耐焼付き性に優れる。
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図においては、他の図と同一又は相当する部分には同一の符号を付してある。
[転動装置について]
図1には、本発明の実施形態に係る深溝玉軸受を示す。この深溝玉軸受1は、内輪(内方部材)10と、外輪(外方部材)11と、転動自在に装填された玉13と、これを保持する保持器12と、を備えるものである。また、内輪10と外輪11との間に形成され玉13が内設された空隙部内(図1中に網掛けで示す。)には、本発明のフッ素系グリース組成物Gが充填されており、このフッ素系グリース組成物Gは接触形のシール14,14によって軸受内部に密封されている。
なお、上記実施の形態の深溝玉軸受1は本発明の転動装置の一例であり、本発明は深溝玉軸受に限定されるものではなく、種々の転動装置に適用可能である。転動装置の例としては、深溝玉軸受以外の軸受形式の転がり軸受、リニアガイド、リニアベアリング、及び、ボールねじ装置等があげられる。
なお、本発明における内方部材は、転動装置がリニアガイドの場合には案内レール、同じくリニアベアリングの場合には軸、同じくボールねじ装置の場合にはねじ軸にそれぞれ相当する。また、本発明における外方部材は、転動装置がリニアガイドの場合にはスライダ、同じくリニアベアリングの場合には外筒、同じくボールねじ装置の場合にはナットにそれぞれ相当する。
これらの転動装置は、本発明のフッ素系グリース組成物により潤滑されているので、耐摩耗性及び耐焼付き性に優れている。
[フッ素系グリース組成物について]
次に、本発明におけるフッ素系グリース組成物について説明する。
本発明のフッ素系グリース組成物は、基油としてPFPE油と、増ちょう剤としてフッ素樹脂と、シリカ超微粒子と、を含有する。
本発明に用いるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は、テトラフルオロエチレンと全体もしくは部分的にフッ素化されたエチレン系不飽和モノマーとの共重合体(以下、「テトラフルオロエチレン共重合体」と記すこともある。)が挙げられる。
テトラフルオロエチレン共重合体としては、例えば以下の(1)〜(4)に示すものを挙げることができる。
(1)パーフルオロアルキル−トリフルオロエチレンエーテル類、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロイソブテン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロオレフィン類(例えば、パーフルオロプロペン)のうちの1種以上のコモノマーを少量、一般に0.01〜3モル%、好ましくは0.05〜0.5モル%、PTFEに共重合させた変性ポリテトラフルオロエチレン。
(2)パーフルオロアルキル基が1〜6個の炭素原子を含有しているパーフルオロアルキルビニルエーテルの少なくとも1種を0.5〜8モル%共重合させたテトラフルオロエチレン(TFE)熱可塑性共重合体(例えば、TFE/パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体、TFE/パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、TFE/パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体)。
(3)3〜8個の炭素原子を有するパーフルオロオレフィンを2〜20モル%共重合させたTFE熱可塑性共重合体(例えば、TFE/ヘキサフルオロプロペン熱可塑性共重合体)。なお、この共重合体には、トリフルオロエチレンエーテルの構造を有する他のコモノマーを少量(5モル%未満)共重合させてもよい。
(4)0.5〜13モル%のパーフルオロメチルビニルエーテルと、0.05〜5モル%の以下の(i)〜(iii)に示すうちの1種以上のフッ素化合物モノマーと、を共重合させたTFE熱可塑性共重合体。
(i) RFO−CF=CF2 ・・・式(I)
なお、式(I)中でRFは、以下の(a)〜(c)に示すもののいずれかである。
(a)2〜12個の炭素原子を含有するパーフルオロアルキル基
(b)以下の式(II)に示すもの
−(CF2−CF(CF3)−O)r−(CF2r´−CF3 ・・・式(II)
なお、この式(II)中のrは1〜4の整数であり、r´は0〜3の整数である。
(c)以下の式(III)に示すもの
−Z−(OCFX)q−(OCF2−CFY)q´−O−T ・・・式(III)
なお、この式(III)中、構造単位(OCFX)と(OCF2−CFY)は、連鎖に沿って統計的に分布している。また、Tは1〜3個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基で、任意に1個のH又はClを有する。さらに、X及びYはF又はCF3であり、Zは(CFX)又は(CF2−CFY)である。さらに、q及びq´は互いに同じか又は異なる数値で0〜10の整数であり、このフッ素化合物モノマーの数平均分子量は200〜2000である。
(ii) RF‐CH=CH2 ・・・式(IV)
なお、式(IV)中、RFは(i)において記述した意味を有する。
(iii)
Figure 2005097513
なお、式(V)中のR1は1〜5個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基、好ま
しくはCF3である。また、式(V)中のX1、X2は、互いに独立したフッ素原子又は1〜3個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であり、好ましくはCF3である。
なお、(1)〜(4)には、分子式中の数値、共重合比、及び平均分子量について好適な数値範囲が上述のように規定されているが、これらの数値が前記範囲の下限値未満であると、フッ素系グリース組成物をグリース状とするのに十分な増ちょう性がテトラフルオロエチレン共重合体に付与されない。また、前記範囲の上限値超過であると、フッ素系グリース組成物が硬化して十分な潤滑性を発揮することが困難となる。
本発明におけるパーフルオロポリエーテル油は、以下に示すフルオロオキシアルキレン構造単位を1種以上含有し、かつ、これらの構造単位が重合体連鎖に沿って統計的に分布したものである。このフルオロオキシアルキレン構造単位としては、例えば、−(CF2CF2O)−,−(CF2O)−,−(CF2CF(CF3)O)−,−(CF(CF3)O)−,−(CF2CF2CF2O)−,−(CF2CF(OX3)O)−、及び、−(CF(OX3)O)−が挙げられる。なお、上記フルオロオキシアルキレン構造単位を示す式中のX3は−(CF2n−F3であり、このnは0〜4の整数である。
また、パーフルオロポリエーテル油の末端基は、1個のH及び/又はClを任意に有するフルオロアルキル基である。フルオロアルキル基としては、例えば、−CF3,−C25,−C37,−CF(CF3)CF2Cl,−CF2CFClCF3,−CF2CF2Cl,−CF2Cl,−CHF2,−CHFCF3が挙げられる。
本発明に用いるパーフルオロポリエーテル油は、低温流動性不足による転動装置における低温起動時の異音発生や、油膜が形成され難い高温条件下で起こる焼付きを避けるために、400℃における動粘度が20〜400mm2/sであることが好ましく、30〜200mm2/sであることがさらに好ましい。
本発明に用いるシリカ超微粒子は、一次粒径が100nm以下であるものが好ましい。一次粒径が100nmよりも大きいと、シリカ超微粒子が研摩材として作用するおそれがある。また、耐摩耗性を有する潤滑膜の形成のし易さという観点から、シリカ超微粒子はアスペクト比が3以下であることが好ましい。
超微粒子の製法としては、公知の方法を用いることができ、例えば化学気相析出法(CVD法)、物理気相析出法(PVD)等の気相法や共沈法、金属アルコキシド法、ゾル−ゲル法等の液相法を用いることができる。特に金属アルコキシド法やゾル−ゲル法等の液相法を用いれば、シリカ超微粒子の二次凝集を防ぎやすいので好適である。
また、一般にシリカは、その表面が親水性のシラノール基で覆われているため、フッ素系グリース組成物中における分散安定性が十分でない場合がある。このため、シリカ超微粒子の分散安定性を向上させるために、適当な疎水性付与剤によるシリカ表面の疎水化処理が好適に行われる。このとき用いられる疎水性付与剤は、シリカ超微粒子同士の凝集を防ぎ、かつフッ素系グリース組成物中での分散安定性を向上するものであれば特に限定されないが、例えば、シリカ超微粒子の表面に化学吸着もしくは物理吸着することにより、シリカ超微粒子に疎水性を付与するものを用いることができる。特に、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン化合物(クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン等)、シリコン油類(変性シリコーン油、ジメチルポリシロキサン、メチル水素ポリシロキサン)、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩類(ロウ、高級脂肪酸グリセリル、高級脂肪酸多価金属塩等)、高級アルコール又はそれらの誘導体、パーフロロ化又は部分フッ素化した高級脂肪酸及び高級アルコール等の有機フッ素化合物のうちの少なくとも1種の化合物を好適に用いることができる。
フッ素系グリース組成物への超微粒子の添加量は、好ましくはフッ素系グリース組成物全体の0.01質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。0.01質量%より少ないと耐摩耗性を有する潤滑膜の形成が困難である。また、20質量%より多いと、フッ素系グリース組成物中におけるシリカ超微粒子の分散性の悪化及びシリカ超微粒子同士の凝集が発生するため、耐摩耗性及び耐焼付き性向上の効果が不十分となる。
なお、所望の性能を得るために、本発明のフッ素系グリース組成物に、酸化防止剤、防錆剤等の種々の添加剤をさらに混合してもよい。
酸化防止剤としては、一般的に使用される酸化防止剤を使用でき、例えば、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−1−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛等を使用することができる。
防錆剤としては、スルフォン酸の金属塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等)、アルキルこはく酸誘導体(アルキルこはく酸エステル等)、アルケニルこはく酸誘導体(アルケニルこはく酸エステル等)、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、亜硝酸ソーダ等を使用することができる。
その他、極圧剤(リン系極圧剤、ジチオリン酸亜鉛、モリブデン化合物等)や、油性向上剤(脂肪酸、動植物油等)、金属不活性化剤(ベンゾトリアゾール等)等の添加剤を使用することができる。
これらの添加剤は、単独又は2種以上を本発明のフッ素系グリース組成物に混合して用いることができる。なお、これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
上記のようにして得られる本発明のフッ素系グリース組成物は、高温条件下で優れた酸化安定性、機械的安定性を示し、かつ、優れた耐摩耗性を有する潤滑膜を形成するため潤滑寿命に優れる。また、本発明の転動装置は、上記のような本発明のフッ素系グリース組成物が使用されているため、耐摩耗性及び耐焼付き性に優れる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により、本発明が制約されるものではない。
[フッ素系グリース組成物について]
本実施例のフッ素系グリース組成物は、以下のようにして調製した。まず、側鎖を有するパーフルオロポリエーテル油(400℃における動粘度88mm2/s)を基油として含有し、ポリテトラフルオロエチレンを増ちょう剤として含有したベースとなるフッ素系グリース組成物を調製した。そして、イソプロピルアルコール溶媒中に分散した一次粒径が12nmの球状のシリカ超微粒子を上記ベースとなるフッ素系グリース組成物に所定量添加した。その後、このシリカ超微粒子を添加したフッ素系グリース組成物を80℃に保ちながら撹拌することにより、溶媒のイソプロピルアルコールを蒸発させた。この溶媒蒸発後のフッ素系グリース組成物を3本ロールにかけて、本実施例のフッ素系グリース組成物とした。
[表面ケイ素化合物層の元素分析について]
図2は、本実施例のフッ素系グリース組成物で潤滑された深溝玉軸受の転走面の深さ方向元素分析の結果を示すグラフである。分析対象とした深溝玉軸受は後述の焼付き寿命試験後の深溝玉軸受1であり、フッ素系グリース組成物(シリカ超微粒子添加量:0.1質量%)を用いた潤滑によりケイ素化合物層が形成された外輪の軌道面について分析した。
分析にはX線光電子分光分析機(ESCA)を用い、ESCAによって光電子の強度を測定することにより各元素の元素存在率(原子%)を得た。また、アルゴンイオンを用いて試料表面を深さ方向へスパッタリングしながらESCAによる測定を行うことにより、種々の深さでの各元素の元素存在率を得た。この深さは、厚さ25nmのシリカ皮膜を有する標準試料について得たスパッタ率を用いて、スパッタ時間から換算した。スパッタ率は、標準試料について深さ25nmまでスパッタリングし、これに要したスパッタ時間を測定することにより算出した。
上記のようにして得られた種々の深さでのケイ素の元素存在率から、そのケイ素の元素存在率の最大値をバックグラウンドで除した値をケイ素極大値とし、ケイ素の元素存在率がバックグラウンドと同等になる深さをケイ素存在深さとした。図2の例においては、ケイ素極大値は表面からの深さが20nmの位置での4であり、ケイ素存在深さは55nmである。また、ケイ素元素のケミカルシフト分析結果より、ケイ素化合物層の主成分は二酸化ケイ素であった。
[焼付き寿命試験について]
次に、本発明の効果を確認するために行った焼付き寿命試験について説明する。
焼付き寿命試験は、ASTM D 1741に規定された試験機に類似の軸受寿命試験機を用いて行った。図3に軸受寿命試験機を示す。
軸受寿命試験機には、深溝玉軸受1の外輪がハウジング91に、内輪が主軸93に固定されており、プーリ92を介してモータ(不図示)の回転駆動力が主軸93に伝わると深溝玉軸受1の内輪が回転するようになっている。また、主軸93にはシーズヒータ94が取り付けられており、深溝玉軸受1の温度を調節可能になっている。そして、深溝玉軸受1の外輪に接続するZスプリング95を用いることによって、深溝玉軸受1に負荷されるアキシアル荷重及びラジアル荷重の調節が可能になっている。なお、同図中の符号96はヒーター取付金具であり、符号97は電源接続端子である。
本試験に用いた深溝玉軸受1には、図1に示したものと同様の深溝玉軸受(呼び番号6306VV:内径30mm、外径72mm、幅18mm)を用い、各フッ素系グリース組成物を5g封入した。なお、実施例のフッ素系グリース組成物は、種々の量のシリカ超微粒子を添加して、上記のようにして調製した。試験条件は、温度200℃、ラジアル荷重686N、アキシアル荷重490N、深溝玉軸受1の回転速度8000min-1であり、モーターが過負荷にて停止するか、軸受温度が215℃を超えるまでの時間を測定した。また、試験は各10回行い、測定時間の平均値を焼付き寿命時間とした。さらに、比較例として、市販のウレアグリース(基油:ジアルキルジフェニルエーテル油(40℃における動粘度100mm2/s)、増ちょう剤:ジウレア化合物)を封入して焼付き寿命時間を測定し、この焼付き寿命時間を1とした場合の相対値を比焼付き寿命として算出し、比較評価を行った。試験結果を図4に示す。
同図に示すように、シリカ超微粒子の添加量がいずれの場合にも、焼付き寿命が比較例の2倍以上であり、耐焼付き性に優れることが確認された。
[耐摩耗試験について]
次に、本発明の効果を確認するために行った耐摩耗試験について説明する。
耐摩耗試験はASTM D 2596に規定されるものに類似の超高速四球試験機を用い、以下の方法により行った。すなわち、3つの試験球(玉軸受用鋼球、鋼種:SUJ2、径:1/2インチ)を互いに接するように正三角形状に配置して固定し、その中心に形成された窪み上に1つの試験球を配置する。そして、各フッ素系グリース組成物を試験球に塗布した状態で、窪み上に配置した試験球を一定条件(面圧:1.5GPa、滑り速度:1.5m/s)で10分間回転させた後、下側に固定された3つの試験球の摩耗面積をそれぞれ測定した。なお、実施例のフッ素系グリース組成物は、種々の量のシリカ超微粒子を添加して、上記のようにして調製した。試験は各5回行い、計15個の試験球から摩耗面積の平均値を求めた。なお、比較例として、シリカ超微粒子を添加していないフッ素系グリース組成物(シリカ超微粒子添加量:0質量%)を塗布した場合の摩耗面積を測定し、この摩耗面積を1とした場合の相対値を比摩耗面積として算出し、比較評価を行った。試験結果を図4に示す。
同図に示すように、シリカ超微粒子の添加量がいずれの場合にも、摩耗面積が比較例よりも小さく、耐摩耗性に優れることが確認された。また、同図に示すように、シリカ超微粒子の添加量が0.01質量%以上20質量%以下であると耐焼付き性及び耐摩耗性の双方でより優れた効果が得られ、さらに添加量が0.1質量%以上10質量%以下であると耐焼付き性及び耐摩耗性の双方で顕著な効果が得られた。
本発明の実施形態に係る深溝玉軸受を示す図である。 本発明の実施例のフッ素系グリース組成物で潤滑された深溝玉軸受の転走面の深さ方向元素分析の結果を示すグラフである。 軸受寿命試験機を示す図である。 焼付き寿命試験及び耐摩耗性試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 深溝玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 玉
14 シール
G フッ素系グリース組成物

Claims (4)

  1. パーフルオロポリエーテル油を基油として含有し、フッ素樹脂を増ちょう剤として含有した転動装置用のフッ素系グリース組成物において、
    シリカ超微粒子をさらに含有することを特徴とする転動装置用フッ素系グリース組成物。
  2. 前記シリカ超微粒子は、一次粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の転動装置用フッ素系グリース組成物。
  3. 前記シリカ超微粒子は、疎水性付与剤を用いた疎水化処理が施されて、表面が疎水化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の転動装置用フッ素系グリース組成物。
  4. 外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配置された外方部材と、前記両軌道面の間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備え、グリース組成物により潤滑が行われる転動装置において、
    前記グリース組成物は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転動装置用フッ素系グリース組成物であることを特徴とする転動装置。
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