JP4360166B2 - グリース組成物及び転動装置 - Google Patents

グリース組成物及び転動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4360166B2
JP4360166B2 JP2003338473A JP2003338473A JP4360166B2 JP 4360166 B2 JP4360166 B2 JP 4360166B2 JP 2003338473 A JP2003338473 A JP 2003338473A JP 2003338473 A JP2003338473 A JP 2003338473A JP 4360166 B2 JP4360166 B2 JP 4360166B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thickener
oil
grease composition
grease
base oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003338473A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005105080A (ja
Inventor
真也 中谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=34533983&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP4360166(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2003338473A priority Critical patent/JP4360166B2/ja
Publication of JP2005105080A publication Critical patent/JP2005105080A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4360166B2 publication Critical patent/JP4360166B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

本発明は、グリース組成物及びそれを適用した転動装置に関し、詳しくは、耐熱性に優れたグリース組成物及びそれを適用した転動装置に関する。
近年、自動車の小型軽量化、居住空間の拡大の要請から、自動車のエンジンルーム空間は小さくなる傾向にある。これに伴い、エンジンルーム内に設置される電装部品及びエンジン補機の一層の小型軽量化が進んでいる。しかし、このような小型化が進むことにより、エンジンルームの高温化という問題が発生している。また、これに加え、エンジンルームの静粛性向上の要請からエンジンルームの密閉化が進んでいるため、エンジンルームの高温化が一層促進される傾向にある。したがって、エンジンルーム内に装備される部品の耐熱性が益々重要となってきている。例えば、電動ファンモータ軸受は、従来は130〜150℃の軸受温度で使用されてきたが、近年においては、180〜200℃の高温下でも耐え得るような軸受けが必要とされている。したがって、軸受けに使用されるグリースについても耐熱性の高いものが必要とされる。
従来においては、150℃以上の温度下で使用される軸受けでは、例えば、特許文献1(特許第2,977,624号公報)に開示されているように、合成油系潤滑油にLi系石鹸およびウレア系化合物を配合させたグリースを封入していた。しかしながら、このグリースは、160℃以上の高温下では、早期に焼付けを生じるため、耐熱性のより高いグリースの開発が望まれていた。
特許第2,977,624号公報 特開平11−181465号公報
このような状況下、耐熱性を改善した種々のグリースが開発されている。
例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を増ちょう剤に配合し、パーフルオロポリエーテル油を基油としたフッ素系グリースもこの一例であり、このようなフッ素系グリースを軸受けに使用した場合には、160℃以上の環境下でも使用可能なことが知られている。
しかしながら、フッ素系グリースは、一般的なグリースに配合される添加剤を添加することが困難であり、潤滑性、防錆性及び金属腐食性能の点で劣る傾向がある。
また、特許文献2(特開平11−181465号公報)には、ウレア系グリースにフッ素油を配合して耐熱性を向上させたグリース組成物が開示されている。しかしながら、このグリース組成物では、フッ素油と親和性のある増ちょう剤成分が不足しているため、離油やもれが大きく、高温の軸受けに使用された場合に寿命が短いという問題があった。
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決し、優れた耐熱性・潤滑性を有するグリース組成物を提供し、また、高温下においても寿命の長い転動装置を提供することを目的としている。
前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明者らは、所定の基油中に第一増ちょう剤と第二増ちょう剤として所定の化合物を用いた場合に、優れた耐熱性・潤滑性を有することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明のグリース組成物は、基油中に、第一増ちょう剤と第二増ちょう剤とを含み、前記第一増ちょう剤が、下記式(I):
で示される脂肪族ジウレア化合物であり、第二増ちょう剤が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はフッ化ビニリデンとヘキサフルオロイソブチレンとのコポリマーであり、前記第二増ちょう剤は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量を100重量%に対して40重量%〜70重量%であり、前記基油が、芳香族エステル油(AE)と、パーフルオロポリエーテル油(PFPE)からなり、前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)が、基油の50重量%以上70重量%以下であり、前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)は、40℃における動粘度が、30〜400mm 2 /sであり、前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量が、グリース組成物全体の24〜28重量%であるグリース組成物である。
本発明では、第二増ちょう剤成分としてフッ素樹脂を含むので、パーフルオロエーテル油を含む基油と混合することにより優れた耐熱性を示す。したがって、このようなグリース組成物によれば、高温下においても寿命の長い転動装置を提供することが可能となる。また、前記基油には、エステル系合成油も含まれているため、種々の添加剤を添加することが可能となる。したがって、広範な範囲の添加剤を使用し得るので、適当な添加剤を添加することにより、潤滑性、防錆性、及び防食性に優れたグリース組成物を提供することが可能となる。さらに、第一増ちょう剤としてジウレア化合物を含み、基油としてエステル系合成油を含有していることにより、通常のフッ素系グリースと比較して安価なグリース組成物を提供し得る。
増ちょう剤全量に対して、前記ジウレア化合物を30〜80重量%、前記フッ素樹脂を70〜20重量%の範囲で含むことが好ましく、特に、ジウレア化合物を30〜60重量%、フッ素樹脂を70〜40重量%の範囲で含むことが好ましい。前記ジウレア化合物と前記フッ素樹脂とが上記範囲にあると、耐熱性に優れ、かつ、低コストのグリース組成物を提供し得る。
前記基油が、基油全量に対して、エステル系合成油を30〜80重量%、パーフルオロポリエーテル油を70〜20重量%含むことが好ましい。エステル系合成油とパーフルオロポリエーテル油の量が上記範囲にあると、耐熱性に優れ、しかも、低コストのグリース組成物を提供し得る。
前記第一増ちょう剤及び前記第二増ちょう剤の合計量が、前記グリース組成物全体の5〜40重量%であることが好ましい。5重量%未満であるとグリース状態を維持することが困難となり、40重量%を超えるとグリース組成物が硬化しすぎて十分な潤滑性を発揮することが困難となる。ただし、グリース組成物の混和ちょう度、及び、転動装置への適用の観点からは、増ちょう剤の含有量がグリース組成物全体の10〜30重量%であることが好ましい。
前記エステル系合成油(芳香族エステル油)の40℃ における動粘度(JIS K22 83に準拠)が20〜500mm2/sであり、前記パーフルオロポリエーテル油の4 0℃ における動粘度(JIS K2283に準拠)が20〜500mm2/sであることが好ましい。両者の40℃における動粘度が500mm2/sを超えると、転動装置のトルクが上昇しすぎる傾向にある。また、低温での流動性が不十分となり、転動装置を低温下で起動する際に異音が発生するおそれがある。また、動粘度が20mm2/s未満であると、蒸発損失や潤滑性の点から適当でない。すなわち、基油の粘度が低すぎると、高温において例えば軸受けの回転中に軌道面と転動体との金属接触を避けるのに十分な潤滑油膜の形成が困難となる。したがって、転動装置のトルク、低温での流動性、蒸発損失及び潤滑性等のバランスの観点から、両基油の40℃における動粘度が30〜400mm2/sであることが好ましい。
また、本発明のグリース組成物の混和ちょう度は、220〜385であることが好ましい。混和ちょう度が220未満であると、グリース組成物が硬すぎるため、転動装置のトルク性能が低下する傾向にある。また、385を超えると転動装置からの漏れ量が多くなる。
本発明の転動装置は、上記グリース組成物を封入したことを特徴としている。
本発明によれば、優れた耐熱性・潤滑性を有するグリース組成物を提供することができる。また、高温下においても寿命の長い転動装置を提供することができる。
本発明のグリース組成物は、基油中に、第一増ちょう剤と第二増ちょう剤とを含むものである。また、基油は、エステル系合成油及びパーフルオロポリエーテル油を含むものである。
以下、本発明のグリース組成物について、詳細に説明する。
<第一増ちょう剤(ジウレア化合物)>
本発明において、第一増ちょう剤として使用されるジウレア化合物は、下記の一般式(I)で示される。
なお、上記式(I)中、R2は炭素数6〜15の芳香族系炭化水素基であり、R1及びR3は炭素数6〜20の直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状の脂肪族系炭化水素基である。これらの炭化水素基の炭素数が前記下限値より小さいと、増ちょう剤が基油に分散し難く、増ちょう剤と基油とが分離しやすい傾向にある。一方、炭化水素基の炭素数が前記上限値より大きいと、工業的に製造し難い傾向にある。なお、R1及びR3は、同一であっても異なっていてもよい。
この一般式(I)で表されるジウレア化合物は、公知の方法で製造することが可能であり、例えば、基油中で、R2を骨格中に含むジイソシアネート1モルに対して、R1及びR3を骨格中に含むモノアミンを合計で約2モルの割合で反応させることにより得られる。また、このようなジウレア化合物は商業的にも入手可能である。
2を骨格中に含むジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、ジメチルジフェニレンジイソシアネート、又はこれらのアルキル置換体等が好適に用いられる。
1又はR3を骨格中に含むモノアミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミン等の脂肪族アミン等を使用し得る。
<第二増ちょう剤(フッ素樹脂)>
第二増ちょう剤として使用されるフッ素樹脂の種類は、特に制限するものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は、テトラフルオロエチレンと全体若しくはその一部がフッ素化された他のエチレン系不飽和炭化水素モノマーとの共重合体(以下、「テトラフルオロエチレン共重合体」と記す)等が好ましい。
テトラフルオロエチレン共重合体としては、例えば、以下の(1)〜(4)に示すものが挙げられる。
(1)フッ化ビニリデン;ヘキサフルオロイソブテン;クロロトリフルオロエチレン;パーフルオロプロペン等のパーフルオロアルキルエチレン類のうちの1種以上のコモノマーを、0.01〜3モル%、好ましくは0.05〜0.5モル%共重合させた変性ポリテトラフルオロエチレン。
(2)少なくとも1種のパーフルオロアルキルビニルエーテル(パーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜6個である)を、テトラフルオロエチレン(TFE)に0.5〜8モル%共重合させたTFE熱可塑性共重合体。
具体的には、例えばパーフルオロプロピルビニルエーテルとTFEとの共重合体、パーフルオロメチルビニルエーテルとTFEとの共重合体、パーフルオロエチルビニルエーテルとTFEとの共重合体等が挙げられる。
(3)炭素数3〜8のパーフルオロオレフィンを、2〜20モル%共重合させたTFE熱可塑性共重合体。
なお、この共重合体には、5モル%未満であれば、パーフルオロビニルエーテル構造を有する他のコモノマーを共重合させてもよい。
(4)パーフルオロメチルビニルエーテル0.5〜13モル%と、下記式(II)〜(IV)のフッ素化モノマーのうち1種以上(0.05〜5モル%)とを共重合させたTFE熱可塑性共重合体。
ただし、式(II)及び式(III)中、RFは、下記(i)〜(iii)のうちの少なくとも一つである。
(i)2〜12個の炭素原子を含有するパーフルオロアルキル基
(ii)下記式(V)のような化学構造を有する基。ただし、式(V)中、rは1〜4の整数であり、r’は0〜3の整数である。
(iii)下記式(VI)のような化学構造を有する基。ただし、式(VI)中、構造単位(OCFX)と(OCF2−CFY)は連鎖に沿って統計的に分布している。また、Tは、1〜3個の炭素原子を含有するパーフルオロアルキル基であり、任意に1個のH又はClを有する。X及びYは、F基又はCF3基である。Zは、−(CFX)−又は−(CF2CFY)−であり、qとq’は0〜10の整数で相互に同じか又は異なる数値であってもよい。
ここで、式(II)及び式(III)により示されるフッ素化合物モノマーの数平均分子量は、200〜2000である。
また、式(IV)中、R4は1〜5個の炭素を有するパーフルオロアルキル基で、CF3が好ましい。また、X1とX2は相互に独立して、1〜3個の炭素を有するパーフルオロアルキル基又はF基で、このような中でもCF3基が好ましい。
なお、(1)〜(4)には、分子式中の数値、共重合化、及び平均分子量について好適な数値範囲が限定されているが、これらの数値が前記範囲の下限値未満であると、グリース状とするのに十分な増ちょう性がテトラフルオロエチレン共重合体に付与されない。また、前記範囲の上限値を超えると、グリース組成物が硬化して十分な潤滑性を発揮することが困難である。
<その他の増ちょう剤>
本発明は、増ちょう剤成分として、第一増ちょう剤であるジウレア化合物と第二増ちょう剤であるフッ素樹脂を含むが、本発明の効果を妨げない範囲において、これ以外の増ちょう剤をグリース組成物中に含めてもよい。このような増ちょう剤としては、従来公知のもが用いられる。
<基油>
本発明において使用される基油としては、エステル系合成油及び/又はパーフルオロポリエーテル油を含む基油が好適に用いられる。
エステル系合成油としては、特に限定するものではないが、例えば、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペートなどのジエステル;トリメチロールプロパンカプリレート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエートなどのポリオールエステル;トリメリット酸エステル、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどの芳香族エステル油等が挙げられる。このような中でも、芳香族エステル油が熱酸化安定性の観点から好ましい。
エステル系合成油の動粘度は、40℃で20〜500mm2/s、好ましくは30〜400mm2/sであることが望ましい。基油動粘度が上記範囲にあると、潤滑特性、蒸発特性及び低温流動性に優れる傾向にある。
パーフルオロポリエーテル油としては、特に限定するものではないが、例えば、以下に示すような群から選択される少なくとも1種のフルオロオキシアルキレン構造単位を含み構成されるものであることが好ましい。
フルオロオキシアルキレン構造単位の群:(CF2CF2O)、(CF2O)、(CF2CF(CF3)O)、(CF(CF3)O)、(CF2CF2CF2O)、(CF2CF(OX3)O)及び(CF(OX3)O)
なお、上記式中、X3は、−(CF2n3であり、ここで、nは0〜4の整数である。
パーフルオロポリエーテル油が、上記群に示されるフルオロオキシアルキレン構造単位のうち2種以上から構成される場合は、各構造単位は連鎖に沿って統計的に分布している。また、その末端基は、−CF3、−C25、−C37、ClCF2CF(CF3)−、CF3CFClCF2−、ClCF2CF2−、ClCF3−、−CF2H、−CF(CF3)H等のような、1個のH及び/又はClを任意に有するフルオロアルキル基である。
低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるという観点から、パーフルオロポリエーテル油の40℃における動粘度は、20〜500mm2/s、好ましくは30〜400mm2/sであることが望ましい。
なお、本発明の目的を達成し得る限り、本発明の基油として、上記エステル系合成油及びパーフルオロポリエーテル油以外に、例えば、鉱油、高精製鉱油、合成炭化水素油、フェニルエーテル系合成油、シリコーン系合成油等の従来公知の基油を含んでもよい。このような他の基油は、特に限定するものではないが、熱酸化安定性の観点からは、基油全体の30重量%以下であることが好ましい。
<添加剤>
本発明のグリース組成物には、各種性能をさらに向上させるために、所望により種々の添加剤を混合してもよい。
このような添加剤としては、グリース組成物に通常添加される添加剤を用いることができ、特に限定するものではないが、例えば、酸化防止剤、防錆剤、極圧剤、油性剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、一般的に使用される酸化防止剤が使用でき、例えば、フェニル−1−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノールなどのフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛等のその他の酸化防止剤を使用することができる。
防錆剤としては、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属等の有機スルフォン酸塩、アルキル琥珀酸エステル等のアルキル琥珀酸誘導体、アルケニル琥珀酸エステル等のアルケニル琥珀酸誘導体、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル等を使用することができる。
極圧剤としては、例えば、リン系の極圧剤、ジチオリン酸亜鉛、有機モリブデンなどを使用することができる。
油性剤としては、例えば、脂肪酸、動植物油などの油性向上剤を使用することができる。
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどを使用することができる。
このような添加剤は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば、特に限定されるものではない。
<グリース組成物の製造方法>
本発明のグリース組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、エステル系合成油を基油とし、ウレア化合物を増ちょう剤とするジウレアグリースと、パーフルオロポリエーテル油を基油とし、フッ素樹脂を増ちょう剤とするフッ素グリースとを別々に製造し、これらを混合することにより製造してもよい。
或いは、エステル系合成油とパーフルオロポリエーテル油とを混合した基油に、ジウレア化合物及びフッ素樹脂を増ちょう剤として添加することにより製造してもよい。
本発明のグリース組成物は、その用途に制限を受けるものではないが、優れた耐熱性・潤滑性を有することから、オルタネータ、電磁クラッチ等の自動車電装部品、アイドラプーリ等の自動車等の高温高速条件下で使用される機器の回転部分や摺動部分に好適に使用し得る。具体的には、例えば転がり軸受け、特に後述する実施形態の転がり軸受等に好適に使用される。
<転動装置>
次に、本発明の転動装置について詳細に説明する。
本発明の転動装置は、前述したグリース組成物を封入したものである。本発明の転動装置は、かかる構成からなるため、高温下においても長寿命である。本発明の転動装置における前記グリース組成物の封入箇所としては、特に制限されないが、高温高速条件下で使用される回転部分又は摺動部分といった潤滑個所等の所定の箇所である。
本発明の転動装置としては、その一実施形態として、図1に示す玉軸受が好適に挙げられる。図1に示すように、本実施形態の玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に転動自在に配設された複数の玉13と、複数の玉を保持する保持器12と、外輪11に取り付けられた接触形のシール14とで構成される。また、内輪10と外輪11とシール14,14とで囲まれた軸受空間にはグリース組成物Gが充填され、シール14,14により玉軸受1内に密封されている。そして、このようなグリース組成物Gにより、両輪10、11の軌道面と玉13との接触面が潤滑される。
なお、本例では、転動装置として、深みぞ玉軸受を挙げたが、これに限定されず、他の転がり軸受であってもよい。このような転がり軸受としては、例えば、アンギュラ玉軸受、自動調心玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受、スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受が挙げられる。
また、本発明の転動装置は、転がり軸受に限定されず、例えば、ボールねじ、リニアガイド装置、直動ベアリング等の他の種類の転動装置であってもよい。
[実施例]
以下、本発明について実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何等限定されるものではない。
実施例1〜6、参考例1〜4及び比較例1〜5で用いたグリース組成物の主な組成は、表1〜3に示す通りであり、実施例1〜6、参考例1〜4のグリース組成物は、ジウレア化合物(脂肪族ジウレア)及びフッ素樹脂(PTFE又はコポリマー)からなる増ちょう剤(A)と、エステル系合成油(芳香族エステル油)及びパーフルオロポリエーテル油(PFPE油)からなる基油(B)とを含有している。なお、その他添加剤として、グリース組成物全体の1.0重量%のアミン系酸化防止剤(チバスペシャルケミカルズ社製、商品名:VANLUBE 81)と、0.5重量%のCaスルフォネートと、0.05重量%のベンゾトリアゾール系金属不活性化剤(城北化学社製、商品名:ベンゾトリアゾール)とを含有している。
実施例1〜6、参考例1〜4及び比較例1〜5]
表1〜3に示したグリース組成物について、下記の試験方法に従い、防錆性試験及び焼付試験を行った。
なお、混和ちょう度の測定については、JIS K2220に従い行った。
<防錆性試験>
内径17mm、外径47mm、幅14mmの接触形ゴムシール付き深みぞ玉軸受(図1参照)に、実施例1〜10及び比較例1〜5のグリース組成物を、軸受空間容積の50%を占めるように充填した。
回転速度1800min−1で30秒間慣らし運転(回転)を行った後、軸受内部に0.5重量%の塩水を0.5ml注入し、再び回転速度1800min−1で30秒間慣らし運転を行った。次いで、80℃、100%RHに調整された恒温恒湿槽にこの玉軸受を48時間放置した後、玉軸受を分解して軌道面に発生している錆の状況を肉眼で観察した。結果を、以下のようなランクに評価した。
防錆性評価基準
#7:錆の発生無し
#6:シミ状の微小な錆有り
#5:直径0.3mm以下の点状の錆有り
#4:直径1.0mm以下の錆有り
#3:直径5.0mm以下の錆有り
#2:直径10.0mm以下の錆有り
#1:軌道面のほぼ全面に錆が発生
なお、#7〜#5を防錆性良好とし、#4〜#1を防錆性不良とした。
結果を表1〜3に示す。実施例1〜6、参考例1〜4のグリース組成物は良好な防錆性を示した。したがって、実施例1〜6、参考例1〜4のグリース組成物は、雨水等と接触しやすく錆が発生しやすい過酷な環境下で使用される軸受にも好適に用いることができる。これに対し、比較例1に示したように、従来のフッ素グリース(グリース組成物)では、防錆性は不良であった。
<焼付性試験>
内径8mm、外径22mm、幅7mmの鉄シールド付き深みぞ玉軸受(図1参照)に、
実施例1〜6、参考例1〜4及び比較例1〜5のグリース組成物を軸受空間の50%を占めるように充填した。この玉軸受を、図2に示すようなASTM D1741の軸受寿命試験機に類似の試験機に装着した。
軸受温度180℃、アキシアル荷重59Nの条件下で、3000min−1の回転速度で回転させ、焼付が生じて外輪の温度が190℃以上に上昇するまでの時間を寿命とした。そして、3000時間回転させても190℃以上に上昇しなかった場合は、試験を打ち切った。なお、その他の条件については、ASTM D1741に準拠した。
この回転試験は、一種類の軸受について4回行い、その平均値を試験結果として利用した。比較例3のグリース組成物を用いた場合の焼付時間を基準(1.0)として相対比較をした。
結果を表1〜3に示す。実施例1〜6、参考例1〜4のグリース組成物は良好な焼付寿命を示したのに対して、比較例1及び2は、第1の増ちょう剤成分として第1の増ちょう剤成分を有していないため、高温での焼付性が劣っていた。また、比較例3は、第一の基油成分を含んでいないため、比較例4は、第二の基油成分を含んでいないため、高温での焼付性が不十分であった。

図1は、本発明に係る転動装置の一実施態様である玉軸受の構造を示す縦断面図である。 図2は、グリース組成物の潤滑寿命を評価する軸受寿命試験機の構成を示す断面図である。
符号の説明
1・・・玉軸受、10・・・内輪、11・・・外輪、12・・・保持器、13・・・玉、14・・・シール、G・・・グリース組成物

Claims (3)

  1. 基油中に、第一増ちょう剤と第二増ちょう剤とを含むグリース組成物であって
    前記第一増ちょう剤は、下記式(I):
    に示す脂肪族ジウレア化合物であり、
    第二増ちょう剤は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はフッ化ビニリデンとヘキサフルオロイソブチレンとのコポリマーであり、
    前記第二増ちょう剤は、第一増ちょう剤及び第二増ちょう剤の全体量を100重量%に対して40重量%〜70重量%であり、
    前記基油は、芳香族エステル油(AE)と、パーフルオロポリエーテル油(PFPE)からなり、前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)が、基油の50重量%以上70重量%以下であり、
    前記パーフルオロポリエーテル油(PFPE)は、40℃における動粘度が、30〜400mm 2 /sであり、
    前記第一増ちょう剤と第二増ちょう剤からなる増ちょう剤の全量が、グリース組成物全体の24〜28重量%であるグリース組成物。
  2. 前記基油を構成する前記芳香族エステル油(AE)の40℃における動粘度が20〜500mm2/sである請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のグリース組成物を封入した転動装置。
JP2003338473A 2003-09-29 2003-09-29 グリース組成物及び転動装置 Expired - Fee Related JP4360166B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003338473A JP4360166B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 グリース組成物及び転動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003338473A JP4360166B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 グリース組成物及び転動装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005105080A JP2005105080A (ja) 2005-04-21
JP4360166B2 true JP4360166B2 (ja) 2009-11-11

Family

ID=34533983

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003338473A Expired - Fee Related JP4360166B2 (ja) 2003-09-29 2003-09-29 グリース組成物及び転動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4360166B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4053252A4 (en) * 2019-10-31 2023-11-22 Minebea Mitsumi Inc. LOW DUST GREASE COMPOSITION FOR FAST ROTATION AND BEARINGS INCLUDING THESE

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007092012A (ja) * 2005-09-02 2007-04-12 Ntn Corp 潤滑グリースおよび潤滑グリース封入転がり軸受
EP1956072A4 (en) * 2005-09-02 2011-02-23 Ntn Toyo Bearing Co Ltd LUBRICATING GREASE AND BEARING BEARING COMPRISED WITH LUBRICATING GREASE
JP5392595B2 (ja) 2008-04-08 2014-01-22 Ntn株式会社 グリース封入外輪回転用転がり軸受
CN111253997A (zh) * 2020-03-10 2020-06-09 广州联博科技发展有限公司 一种复合稠化型聚脲基润滑脂组方及其制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4053252A4 (en) * 2019-10-31 2023-11-22 Minebea Mitsumi Inc. LOW DUST GREASE COMPOSITION FOR FAST ROTATION AND BEARINGS INCLUDING THESE

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005105080A (ja) 2005-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5035315B2 (ja) パーフルオロポリエーテル油組成物
JP4811408B2 (ja) グリース組成物
JP6155414B1 (ja) 潤滑剤組成物
JP4697225B2 (ja) 潤滑剤
JP4793443B2 (ja) 含油軸受用潤滑剤組成物
JP4810842B2 (ja) 潤滑剤組成物
WO2007132626A1 (ja) 潤滑油組成物
JP4515775B2 (ja) 低高温用潤滑グリースおよび転がり軸受
WO2005097955A1 (ja) グリース組成物およびグリース封入軸受
JP2012236935A (ja) 転がり軸受
JP5734269B2 (ja) 潤滑グリース組成物
JP3918520B2 (ja) 含油軸受用潤滑剤組成物
JP4613530B2 (ja) 潤滑グリース組成物
JP4360166B2 (ja) グリース組成物及び転動装置
JP2004339245A (ja) グリース組成物及び転動装置
WO2016002739A1 (ja) 潤滑剤組成物および潤滑剤組成物封入軸受
JP2007217464A (ja) グリース組成物及び転がり軸受
JP2005097513A (ja) 転動装置用フッ素系グリース組成物、及び、転動装置
JP4386632B2 (ja) 転がり軸受
JP3223210B2 (ja) シリコーングリース組成物
JP2013035946A (ja) グリースおよび密封軸受
JP2004123797A (ja) グリース組成物及び転動装置
JP5390849B2 (ja) ポリアミドまたはポリアセタール樹脂製ギヤ潤滑用ウレアグリース組成物。
JP2003269469A (ja) 転動装置
JP2009091464A (ja) 潤滑グリース組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060711

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090501

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090619

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090721

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090803

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4360166

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130821

Year of fee payment: 4

R154 Certificate of patent or utility model (reissue)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154

R157 Certificate of patent or utility model (correction)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R157

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees