JP2005097046A - 複合材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械強度あるいは伝導性に優れたカーボンナノチューブ構造体とセラミックスとが複合されてなる複合材およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 カーボンナノチューブ構造体とセラミックスからなる複合材であって、該カーボンナノチューブ構造体は、官能基が結合した複数のカーボンナノチューブの前記官能基間を化学結合させて相互に架橋した網目構造を構成することを特徴とする。官能基を結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を基体表面に塗布する塗布工程と、複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、前記カーボンナノチューブ構造体とセラミックスを複合する複合工程とを含む製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブ構造体とセラミックスが複合されてなる複合材、および、その製造方法に関する。
特開2001−288626号公報 特開2002−234000号公報
カーボンナノチューブ(CNT)は、その特異な形状や特性ゆえに、様々な応用が考えられている。カーボンナノチューブの形状は炭素原子の六員環で構成されるグラフェンシートを巻いた1次元性を有する筒状であり、グラフェンシートが1枚の構造のカーボンナノチューブをシングルウォールナノチューブ(SWNT)、多層の場合をマルチウォールナノチューブ(MWNT)と呼ぶ。シングルウォールナノチューブは直径約1nm、マルチウォールカーボンナノチューブは数十nm程度であり、従来のカーボンファイバーと呼ばれる物よりも極めて細い。
また、カーボンナノチューブは、マイクロメートルオーダーの長さを有し、直径とのアスペクト比が非常に大きいことが特徴的である。さらに、カーボンナノチューブは炭素原子の六員環の配列が螺旋構造をとることから、金属性と半導体性の両方の性質を有するという、極めて希有な特性を有する物質である。加えて、カーボンナノチューブの電気伝導性は極めて高く、電流密度に換算すると100MA/cm2以上の電流を流すことができる。
カーボンナノチューブは、電気的特性だけではなく、機械的性質についても優れた点を有する。すなわち、炭素原子のみで構成されているため、非常に軽量であるにもかかわらず、1TPaを越えるヤング率を有し、極めて強靱である。また、ケージ物質であるために弾力性・復元性にも富んでいる。このように、カーボンナノチューブは様々な優れた性質を有するため、工業材料として、極めて魅力的な物質である。
これまでに、カーボンナノチューブの優れた特性を利用した応用研究が数多く行われている。例えば、走査プローブ顕微鏡の探針、微小電子源、水素貯蔵、電子材料・電子デバイスとしてダイオードやトランジスタなどの試作が行われている。
このようにカーボンナノチューブの様々な応用が考えられているが、実用化に近い例として、樹脂の強化や伝導性複合材料としてカーボンナノチューブを添加する応用があげられる。
そのような複合材の1つとして、セラミックス−カーボンナノチューブ複合材がある。セラミックスは耐熱性、耐摩耗性、軽量性等の利点を有するが、カーボンナノチューブを添加することにより、機械的強度や熱伝導性が増加し、さらには、導電性までも付与することが可能となる。このようなセラミックス−カーボンナノチューブ複合材は特許文献1にも開示されている。
しかしながら、特許文献1においては、オルガノポリシロキサン組成物中にカーボンナノチューブを混合させ、それを塗布後焼成して、SiO2―カーボンナノチューブ複合材を得ているが、その混合プロセスにおいて、カーボンナノチューブ表面にオルガノポリシロキサンが付着してしまうため、カーボンナノチューブ表面間の同士の接触は偶発的にしか起こらず、電気的パスが粗となるため、導電性が低くなってしまう。また、このカーボンナノチューブのネットワークが粗であるために、熱伝導性も低くなってしまう。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、カーボンナノチューブ構造体を用いて複合材を構成することで、機械的強度の向上、熱あるいは電気の伝導性を向上させたセラミックスの複合材を提供することにある。
上記目的は、以下の本発明により達成される。
すなわち、本発明の複合材は、カーボンナノチューブ構造体とセラミックスが複合されてなる複合材であって、該カーボンナノチューブ構造体は、官能基が結合した複数のカーボンナノチューブの前記官能基間を化学結合させて相互に架橋した網目構造を構成されてなることを特徴とする。
本発明の複合材においては、カーボンナノチューブが相互に架橋しているため、単なるカーボンナノチューブ表面間の接触の場合とは異なり、接続が確実且つ安定して得られる。この結果ナノチューブ間での熱や電気の伝導性が確保され、カーボンナノチューブに特有の性質である導電性や熱伝導性を活用することができるため、セラミックスの利点を保持しながら、良好な導電性や熱伝導性を備えさせることが可能となる。本発明の複合材において、カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となっていることが好ましい。
本発明の複合材に用いられるセラミックスとしては、酸化物系、窒化物系、炭化物系、硼化物系、珪化物系があり、酸化物系が製造の容易性の点でより好ましい。
前記カーボンナノチューブ構造体は、官能基が結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を硬化させることにより、前記カーボンナノチューブが接続された複数の前記官能基間を化学結合させて架橋部位が形成されてなるものであることが好ましい。
このうち、前記架橋部位として好ましい第1の構造は、前記溶液中に含まれる架橋剤により複数の前記官能基間を架橋した構造であり、該架橋剤は非自己重合性であることがより好ましい。
前記カーボンナノチューブ構造体を、このように溶液硬化により形成すると、前記カーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位は、前記官能基の架橋反応後に残存する残基同士を、前記架橋剤の架橋反応後に残存する残基である連結基で連結した架橋構造となり、ネットワーク化することができる。
カーボンナノチューブ同士を架橋させる架橋剤としては、例えば特許文献2に記載されているようなアルコキシド等を用いることもできるが、前記架橋剤の特性として、アルコキシドのようにそれら同士が重合反応をするような性質(自己重合性)を有すると、当該架橋剤自身が多重に重合し、連結した組織状となって、架橋剤の組織中にカーボンナノチューブが分散しているかのような状態となってしまう場合があり、カーボンナノチューブ構造体中に占める実質的なカーボンナノチューブの密度が低くなってしまう。
一方、前記架橋剤が非自己重合性であれば、カーボンナノチューブ相互の間隔を、使用した架橋剤の残基のサイズに制御することができるため、所望のカーボンナノチューブのネットワーク構造を高い再現性で得られるようになる。さらに架橋剤の残基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができ、また、構造体中のカーボンナノチューブを密に構造化できる。
したがって、前記架橋剤が非自己重合性であれば、本発明における前記カーボンナノチューブ構造体を充填材とすることで、確実にナノチューブ同士を近距離で結合した骨格を得ることができ、この結果、カーボンナノチューブ構造体が電気的、熱的ネットワークパスとなり、良好な機械強度、導電性あるいは熱伝導率を有することとなる。なお、本発明において「自己重合性」とは、架橋剤同士が、水分等他の成分の存在下、あるいは他の成分の存在なしに、相互に重合反応を生じ得る性質をいい、「非自己重合性」とは、そのような性質を有しないことを言う。
なお、前記架橋剤として非自己重合性のものを選択すれば、本発明の複合材におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造となる。また、前記連結基としては、炭化水素を骨格とするものが好ましく、その炭素数としては2〜10個とすることが好ましい。この炭素数を少なくすることで、架橋部位の長さが短くなり、カーボンナノチューブ相互の間隙をカーボンナノチューブ自体の長さと比較して十分に近接させることができ、実質的にカーボンナノチューブのみから構成される網目構造のカーボンナノチューブ構造体を得ることができる。このため、本複合材を、導電率、熱伝導率に優れたものとすることができる。
前記官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、前記架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
また、好ましい前記架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
上記好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。
前記官能基としては、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富むため、その後エステル化して官能基を−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とすることは比較的容易である。この官能基は架橋反応しやすく、塗布膜形成に適している。
また、当該官能基に対応する前記架橋剤として、ポリオールを挙げることができる。ポリオールは、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)との反応により硬化し、容易に強固な架橋体を形成する。ポリオールの中でも、グリセリンやエチレングリコールは、上記官能基との反応性が良好であることは勿論、それ自体生分解性が高く、環境に対する負荷が小さい。
前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位は、前記官能基が−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)であり、前記架橋剤としてエチレングリコールを用いた場合、−COO(CH22OCO−となり、前記架橋剤としてグリセリンを用いた場合、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。架橋部位の化学構造は上記4つからなる群より選ばれるいずれかの化学構造であっても構わない。
また、架橋部位の構造として好ましい第2の構造は、複数の官能基同士の化学結合により形成されている構造である。そして、化学結合を生ずる反応が、脱水縮合、置換反応、付加反応および酸化反応のいずれかであることがより好ましい。
このカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブ同士を、このカーボンナノチューブに結合された官能基同士を化学結合を作ることにより架橋部位を形成して網目状の構造体を形成しているため、結合させる官能基によってカーボンナノチューブ間を結合させる架橋部位のサイズが一定となる。カーボンナノチューブは極めて安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、設計した架橋部の構造とすることができ、カーボンナノチューブ構造体を均質なものとすることができる。
さらに、官能基同士の化学結合であることから、官能基間を架橋剤を用いて架橋した場合に比べて、カーボンナノチューブ間の架橋部の長さを短くできるので、カーボンナノチューブ構造体が密となり、カーボンナノチューブ特有の効果を奏しやすくなる。
また、本発明において、カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となっているので、単なるカーボンナノチューブの分散膜や樹脂分散膜のように、カーボンナノチューブ同士が偶発的に接触しているだけで、実質的に孤立した状態の材料とは異なり、カーボンナノチューブの優れた特性を安定的に活用することができる。
前記複数の官能基同士の化学結合としては、縮合反応では、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−および−NCH−から選ばれる一つ、置換反応では−NH−、−S−および−O−から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−NHCOO−、酸化反応では、−S−S−であることが好ましい。
また、反応前にカーボンナノチューブに結合させる前記官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−X、−COX(Xはハロゲン原子)、−SH、−CHO、−OSO2CH3、−OSO2(C64)CH3−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましい。
前記官能基としては、−COOHを特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易である。しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富み、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の脱水縮合剤を利用することで、容易に縮合反応をおこし、塗布膜形成に適する。
この態様の場合には、前記複数のカーボンナノチューブとしては、電気伝導性の高いマルチウォールカーボンナノチューブであるほうが、電気的、熱的パスを安定的が形成される点で好ましい。
一方、本発明の複合材の製造方法は、官能基を結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を基体表面に供給する供給工程と、複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、前記カーボンナノチューブ構造体とセラミックスを複合する複合工程とを含むことを特徴とする。
従来、カーボンナノチューブを寄せ集めて相互に接触させることで、カーボンナノチューブ間の相互作用の効果を狙った構造体は、封止する際には塗布工程により、固化する以前にカーボンナノチューブが流動してしまうとともに、カーボンナノチューブ相互の接触部位の間に母材が流入するため接続が失われてしまい、結局複合材の成分として利用することができなかった。
また、予め溶液中にカーボンナノチューブを分散させた分散液を塗布した場合には、カーボンナノチューブの濃度をかなり高くしない限り、カーボンナノチューブ相互の接触による接続を達成することができず問題であった。
本発明においては、まず基体の表面に、官能基を有するカーボンナノチューブを含む溶液(以下、単に「架橋溶液」という場合がある。)を供給する供給工程で、基体の全面あるいはその表面の一部に、架橋溶液を供給する。そして、続く架橋工程で、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する。この2つの工程を経ることで、前記基体表面において、カーボンナノチューブ構造体の構造自体を安定化させる。そしてこのカーボンナノチューブ構造体をセラミックスと複合する。
複合工程における方法としては、カーボンナノチューブ構造体に、セラミックスを含浸させる方法や、蒸着やスパッタリングによりカーボンナノチューブ構造体とセラミックスを複合化する方法がある。
含浸させる方法としては、紛体状のセラミックスを超音波振動を付加する等してカーボンナノチューブ構造体中の網目構造の空隙中に浸透させ、これを焼結する方法がある。また、分散媒にセラミックス粉を分散させた液体状のもの、あるいは焼成後にセラミックス化する有機ペーストを、カーボンナノチューブ構造体中に塗布、含浸させ、これを焼成もしくは焼結させる方法がある。
セラミックス材料としては、酸化物系、窒化物系、炭化物系、硼化物系、珪化物系のセラミックスを形成する、O、N、B、C、Siなどの非金属、Al、Pb、Biなどの金属、Ti、Zr、Hf、Yなどの遷移金属、Kなどのアルカリ金属、Ca、Mg、Srなどのアルカリ土類金属、La、Ceなどの希土類、F、Clなどのハロゲン属から選ばれる一つを含むセラミック原料を用いる。このうち、SiO2、TiO2などの酸化物系は取り扱いの容易性の点で好適である。
次に、カーボンナノチューブ構造体を構成する、官能基間の化学結合を形成するとき、架橋部位を形成するのに好ましい第1の方法は、前記溶液中に含まれる架橋剤により複数の前記官能基間を架橋する方法であり、先に述べたように、該架橋剤は非自己重合性であることがより好ましい。
本発明の複合材の製造方法において、前記官能基としては、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、前記架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
また、好ましい前記架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
上記好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。
前記官能基としては、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富むため、その後エステル化して官能基を−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とすることは比較的容易である。この官能基は架橋反応しやすく、カーボンナノチューブ構造体の形成に適している。
また、当該官能基に対応する前記架橋剤として、ポリオールを挙げることができる。ポリオールは、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)との反応により硬化し、容易に機械的強度の高い架橋体を形成する。ポリオールの中でも、グリセリンやエチレングリコールは、上記官能基との反応性が良好であることは勿論、それ自体生分解性が高く、環境に対する負荷が小さい。
また、架橋部位を形成する第2の好ましい方法は、複数の前記官能基同士を化学結合させる方法である。
このようにすることで、結合させる官能基によってカーボンナノチューブ間を結合させる架橋部位のサイズが一定となる。カーボンナノチューブは極めて安定な化学構造であるため、修飾させようとした官能基以外の官能基等が結合する可能性は低く、この官能基同士を化学結合させた場合は、設計した架橋部の構造とすることができ、カーボンナノチューブ構造体を均質なものとすることができる。
さらに、官能基同士の化学結合であることから、官能基間を架橋剤を用いて架橋した場合に比べて、カーボンナノチューブ間の架橋部の長さを短くできるので、カーボンナノチューブ構造体が密となり、カーボンナノチューブ特有の効果を奏しやすくなる。
官能基同士を化学結合させる反応としては、縮合、置換反応、付加反応、酸化反応が特に好ましい。
本発明の複合材の製造方法において、前記官能基としては、縮合反応では−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2から選ばれる少なくとも一つ、置換反応では−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C64)CH3から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−OH、および−NCOから選ばれる少なくとも一つ、酸化反応では−SHが好ましい。
なお、特に本発明の複合材の製造方法においては、上記官能基を含む分子をカーボンナノチューブに結合させて、上に列挙した官能基部分で化学結合して架橋部位を構成しても良い。
この反応が脱水縮合である場合には、縮合剤を添加することが好ましい。また、官能基は、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
特に縮合反応で用いる前記官能基としては、−COOHを特に好適なものとして挙げることができる。カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入することは、比較的容易であり、しかも得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)は、反応性に富む。このため網目構造を形成するための官能基を、一本のカーボンナノチューブの複数箇所に導入しやすく、さらにこの官能基は縮合反応しやすいことから、カーボンナノチューブ構造体の形成に適している。
本発明の複合材の製造方法においては、溶液を架橋塗布溶液として基体上に塗布して、塗布膜を形成することが好ましい。このとき前記供給工程で使用する前記溶液に、さらに溶剤を含ませることができる。前記架橋剤や添加剤の種類によっては、当該架橋剤や添加剤が、その溶剤を兼ねることも可能である。
以下、本発明を複合材とその製造方法とに分けて詳細に説明する。
[複合材]
本発明の複合材は、複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を用いるため、機械的な強度が高く、また電気的、熱的パスが形成され、導電率、熱伝導率が優れたものとなる。これにセラミックスを混合した構成とすることで、セラミックスの優れた特性を保ちながら、機械強度、電気的特性あるいは、熱的特性が向上した材料となる。
[セラミックス]
カーボンナノチューブ構造体と複合されるセラミックスとしては特に制限は無く、用途に応じて適宜選択できる。具体的には、酸化物系、窒化物系、炭化物系セラミックス、硼化物系、珪化物系があげられる。ただし、セラミック原料をセラミックス化する際の、製造の簡易さからは酸化物系(例えばSiO2、TiO2)のセラミックスが好ましい。
<カーボンナノチューブ構造体>
本発明において「カーボンナノチューブ構造体」とは、複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成する構造体である。相互に架橋した網目構造を構成するようにカーボンナノチューブの構造体を形成することができれば、当該カーボンナノチューブ構造体は如何なる方法で形成されたものであっても構わないが、後述する本発明の複合材の製造方法により製造されたものであることが、容易に製造可能であるとともに、高性能な複合材成分を得ることができ、しかも特性の均一化や制御が容易である。
後述する本発明の複合材の製造方法により製造された本発明の複合材に用いられる前記カーボンナノチューブ構造体の第1の構造は、官能基を有するカーボンナノチューブおよび前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤を含む溶液(架橋溶液)を硬化させることにより、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基と前記架橋剤とを架橋反応させて架橋部位が形成されてなるものである。また、カーボンナノチューブ構造体の第2の構造は、官能基を有するカーボンナノチューブの官能基同士が化学結合して架橋部位が形成されてなるものである。
本発明の複合体に用いるカーボンナノチューブ構造体は、層状の構造を有するカーボンナノチューブ構造体層とすることもできる。以下、当該製造方法による例を挙げて、本発明の複合材における前記カーボンナノチューブ構造体層について説明する。なお、特に説明しない場合は、架橋部位の構造を問わない事項である。
(カーボンナノチューブ)
本発明において、主要な構成要素であるカーボンナノチューブは、シングルウォールカーボンナノチューブでも、二層以上のマルチウォールカーボンナノチューブでも構わない。いずれのカーボンナノチューブを用いるか、あるいは双方を混合するかは、複合材の用途により、あるいはコストを考慮して、適宜、選択すればよい。
例えば、カーボンナノチューブ構造体層に導電機能を担わせる場合には、当該層に含まれる前記複数のカーボンナノチューブについて、マルチウォールカーボンナノチューブとすることが、ネットワーク化による抵抗損失を抑えることができるため好ましい。導電性のシングルウォールカーボンナノチューブを用いることも可能であるが、シングルウォールカーボンナノチューブは半導体型のものと導体型のものが混合して製造され、導体型のものを抽出するのが困難なため、主として導体型が生産されるマルチウォールカーボンナノチューブを用いる方が、カーボンナノチューブ構造体層に導電機能を担わせる場合には好ましい。
また、シングルウォールカーボンナノチューブの変種であるカーボンナノホーン(一方の端部から他方の端部まで連続的に拡径しているホーン型のもの)、カーボンナノコイル(全体としてスパイラル状をしているコイル型のもの)、カーボンナノビーズ(中心にチューブを有し、これがアモルファスカーボン等からなる球状のビーズを貫通した形状のもの)、カップスタック型ナノチューブ、カーボンナノホーンやアモルファスカーボンで外周を覆われたカーボンナノチューブ等、厳密にチューブ形状をしていないものも、本発明においてカーボンナノチューブとして用いることができる。
さらに、カーボンナノチューブ中に金属等が内包されている金属内包ナノチューブ、フラーレンまたは金属内包フラーレンがカーボンナノチューブ中に内包されるピーポッドナノチューブ等、何らかの物質をカーボンナノチューブ中に内包したカーボンナノチューブも、本発明においてカーボンナノチューブとして用いることができる。
以上のように、本発明においては、一般的なカーボンナノチューブのほか、その変種や、種々の修飾が為されたカーボンナノチューブ等、いずれの形態のカーボンナノチューブでも、その反応性から見て問題なく使用することができる。したがって、本発明における「カーボンナノチューブ」には、これらのものが全て、その概念に含まれる。
これらカーボンナノチューブの合成は、従来から公知のアーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法のいずれの方法によっても行うことができ、本発明においては制限されない。これらのうち、高純度なカーボンナノチューブが合成できるとの観点からは、磁場中でのアーク放電法が好ましい。
用いられるカーボンナノチューブの直径としては、0.3nm以上100nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの直径が、当該範囲を超えると、合成が困難であり、コストの点で好ましくない。カーボンナノチューブの直径のより好ましい上限としては、30nm以下である。
一方、一般的にカーボンナノチューブの直径の下限としては、その構造から見て、0.3nm程度であるが、あまりに細すぎると合成時の収率が低くなる点で好ましくない場合もあるため、1nm以上とすることがより好ましく、10nm以上とすることがさらに好ましい。
用いられるカーボンナノチューブの長さとしては、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの長さが、当該範囲を超えると、合成が困難、もしくは、合成に特殊な方法が必要となりコストの点で好ましくなく、当該範囲未満であると、一本のカーボンナノチューブにおける架橋結合点数が少なくなる点で好ましくない。カーボンナノチューブの長さの上限としては、10μm以下であることがより好ましく、下限としては、1μm以上であることがより好ましい。
前記架橋溶液におけるカーボンナノチューブの含有量としては、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、有する官能基の種類・量、架橋剤の種類・量、溶剤やその他添加剤の有無・種類・量、等により一概には言えず、硬化後良好なカーボンナノチューブ構造体が形成される程度に高濃度であることが望まれるが、塗布適性が低下するので、あまり高くし過ぎないことが望ましい。
また、具体的なカーボンナノチューブの割合としては、既述の如く一概には言えないが、官能基の質量は含めないで、塗料全量に対し0.01〜10g/L程度の範囲から選択され、0.1〜5g/L程度の範囲が好ましく、0.5〜1.5g/L程度の範囲がより好ましい。
使用しようとするカーボンナノチューブの純度が高く無い場合には、架橋溶液の調製前に、予め精製して、純度を高めておくことが望ましい。本発明においてこの純度は、高ければ高いほど好ましいが、具体的には90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。純度が低いと、不純物であるアモルファスカーボンやタール等の炭素生成物に架橋剤が架橋して、カーボンナノチューブ間の架橋距離が変動してしまい、所望の特性を得られない場合があるためである。カーボンナノチューブの精製方法に特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。
(官能基)
本発明において、カーボンナノチューブが有する官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、何らかの架橋剤により架橋反応を起こし得るものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−NR12、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R'CHOH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR’3(以上、R、R1、R2およびR’は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基を選択することが好ましく、その場合、前記架橋剤として、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得るものを選択する。
特に、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)は、カルボキシル基がカーボンナノチューブへの導入が比較的容易で、それにより得られる物質(カーボンナノチューブカルボン酸)をエステル化させることで容易に官能基として導入することができ、しかも、架橋剤による反応性も良好であることから、特に好ましい。
官能基−COORにおけるRは、置換または未置換の炭化水素基であり特に制限は無いが、反応性、溶解度、粘度、塗料の溶剤としての使いやすさの観点から、炭素数が1〜10の範囲のアルキル基であることが好ましく、1〜5の範囲のアルキル基であることがより好ましく、特にメチル基またはエチル基が好ましい。
官能基の導入量としては、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、官能基の種類、複合材の用途等により異なり、一概には言えないが、1本のカーボンナノチューブに2以上の官能基が付加する程度の量とすることが、得られる架橋体の強度、すなわち架橋体の強度の観点から好ましい。
なお、カーボンナノチューブへの官能基の導入方法については、後述の[複合材の製造方法]の項において説明する。
(架橋剤)
架橋剤を用いて、カーボンナノチューブに接続した官能基間を架橋する場合、架橋剤としては、カーボンナノチューブの有する前記官能基と架橋反応を起こすものであればいずれも用いることができる。換言すれば、前記官能基の種類によって、選択し得る架橋剤の種類は、ある程度限定されてくる。また、これらの組み合わせにより、その架橋反応による硬化条件(加熱、紫外線照射、可視光照射、自然硬化等)も、自ずと定まってくる。
具体的に好ましい前記架橋剤としては、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得るものを選択する。
特に、既述の好ましい前記官能基として例示された群、および、上記好ましい前記架橋剤として例示された群より、それぞれ少なくとも1つの官能基および架橋剤を、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。下記表1に、カーボンナノチューブの有する官能基と、それに対応する架橋反応可能な架橋剤との組み合わせを、その硬化条件とともに列挙する。
Figure 2005097046
これらの組み合わせの中でも、官能基側の反応性が良好な−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)と、容易に強固な架橋体を形成するポリオール、ポリアミン、アンモニウム錯体、コンゴーレッドおよびcis−プラチンとの組み合わせが好適なものとして挙げられる。なお、本発明で言う「ポリオール」、「ポリアミン」および「アンモニウム錯体」とは、OH基、NH2基およびアンモニウム基を2以上有する有機化合物の総称である。これらの中でも炭素数2〜10(より好ましくは2〜5)、OH基数2〜22(より好ましくは2〜5)のポリオールが、架橋性や過剰分投入した時の溶剤適性、生分解性による反応後の廃液の処理性(環境適性)、ポリオール合成の収率等の観点から好ましい。特に上記炭素数は、得られるカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブ相互間を狭めて実質的な接触状態にする(近づける)ことができる点で、上記範囲内で少ない方が好ましい。具体的には、特にグリセリンやエチレングリコールが好ましく、これらの内の一方もしくは双方を架橋剤として用いることが好ましい。
別の視点から見ると、前記架橋剤としては、非自己重合性の架橋剤であることが好ましい。上記ポリオールの例として挙げたグリセリンやエチレングリコールに加え、ブテンジオール、ヘキシンジオール、ヒドロキノンおよびナフタレンジオールは、非自己重合性の架橋剤であり、より一般的に示せば、自身の中に相互に重合反応を生じ得るような官能基の組を有していないことが、非自己重合性の架橋剤の条件となる。逆に言えば、自己重合性の架橋剤とは、自身の中に相互に重合反応を生じ得るような官能基の組を有しているもの(例えば、アルコキシド)が挙げられる。
また、カーボンナノチューブ構造体を、複数のカーボンナノチューブが、少なくともその一端がそれぞれ異なるカーボンナノチューブに結合された複数の官能基同士の化学結合により形成された架橋部位を介して、相互に架橋した網目構造を構成する第2の手法をとることも、好ましい。
(官能基2)
この場合、カーボンナノチューブが有する官能基としては、カーボンナノチューブに化学的に付加させることができ、かつ、何らかの添加剤により官能基同士を反応させるものであれば、特に制限されず、如何なる官能基であっても選択することができる。具体的な官能基としては、−COOR、−COX、−MgX、−X(以上、Xはハロゲン)、−OR、−NR12、−NCO、−NCS、−COOH、−OH、−NH2、−SH、−SO3H、−R'CHOH、−CHO、−CN、−COSH、−SR、−SiR’3(以上、R、R1、R2およびR’は、それぞれ独立に、置換または未置換の炭化水素基)等の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このうち、縮合反応では−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2から選ばれる少なくとも一つ、置換反応では−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C64)CH3から選ばれる少なくとも一つ、付加反応では−OH、および−NCOから選ばれる少なくとも一つ、酸化反応では−SHが好ましい。
また、これらの官能基を一部に含む分子をカーボンナノチューブに結合させ、先に列挙した好ましい官能基部分で化学結合させることも可能である。この場合においても、カーボンナノチューブに結合させる分子量の大きい官能基は意図したように結合されているので、架橋部位の長さは制御可能となる。
(添加剤)
前記架橋溶液において添加される添加剤はカーボンナノチューブの有する前記官能基同士を反応させるものであればいずれも用いることができる。換言すれば、前記官能基の種類および反応の種類によって、選択し得る添加剤の種類は、ある程度限定されてくる。また、これらの組み合わせにより、その反応による硬化条件(加熱、紫外線照射、可視光照射、自然硬化等)も、自ずと定まってくる。
(縮合剤)
具体的に好ましい前記添加剤としては、縮合剤としては酸触媒、脱水縮合剤、たとえば硫酸、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミドを挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの縮合剤を選択することが好ましく、その場合、前記官能基として、選択された縮合剤により官能基同士が反応を起こし得るものを選択する。
(塩基)
前記架橋溶液において置換反応に必須成分である塩基はヒドロキシル基の酸性度に応じて任意の塩基を選択すればよい。
具体的に好ましい前記塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジン、ナトリウムエトキシド等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基を選択することが好ましくその場合、前記官能基として、選択された塩基により官能基同士が置換反応を起こし得るものを選択する。
特に、既述の好ましい前記官能基として例示された群より、それぞれ少なくとも2つの官能基が相互に反応を起こし得る組み合わせとなるように選択することが好ましい。下記表2に、カーボンナノチューブの有する官能基と、それに対応した反応名を列挙する。
付加反応については、必ずしも添加剤は必要としない。酸化反応についても、必ずしも添加剤は必要ないが、酸化反応促進剤を添加する方が好ましい。具体的には、ヨウ素を挙げることができる。
Figure 2005097046
前記架橋溶液における架橋剤や官能基結合用の添加の含有量としては、架橋剤の種類(自己重合性か非自己重合性かの別を含む)や官能基結合用の添加剤は勿論、カーボンナノチューブの長さ・太さ、単層か多層か、有する官能基の種類・量、溶剤やその他添加剤の有無・種類・量、等により一概には言えない。特に、グリセリンやエチレングリコールなどは、それ自身粘度があまり高くなく、溶剤の特性を兼ねさせることが可能であるため、過剰に添加することも可能である。
(その他の添加剤)
前記架橋溶液においては、溶剤、粘度調整剤、分散剤、架橋促進剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。 溶剤は、前記架橋剤もしくは官能基結合用の添加剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。使用可能な溶剤としては、特に制限は無く、用いる架橋剤の種類に応じて選択すればよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶剤や水、酸水溶液、アルカリ水溶液等が挙げられる。かかる溶剤の添加量としては、塗布適性を考慮して適宜設定すればよいが、特に制限は無い。
粘度調整剤も、前記架橋剤や官能基結合用の添加剤のみでは塗布適性が十分で無い場合に添加する。使用可能な溶剤としては、特に制限は無く、用いる架橋剤の種類に応じて選択すればよい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、THF等が挙げられる。
これら粘度調整剤の中には、その添加量によっては溶剤としての機能を有するものがあるが、両者を明確に区別することに意義は無い。かかる粘度調整剤の添加量としては、塗布適性を考慮して適宜設定すればよいが、特に制限は無い。
分散剤は、溶液中でのカーボンナノチューブないし架橋剤あるいは官能基結合用の添加剤の分散安定性を保持するために添加するものであり、従来公知の各種界面活性剤、水溶性有機溶剤、水、酸水溶液やアルカリ水溶液等が使用できる。ただし、分散剤は必ずしも必要ではない。また、形成後の複合材の用途によっては、複合材に分散剤等の不純物が含まれないことが望まれる場合もあり、その場合には勿論、分散剤は、添加しないか、極力少ない量のみしか添加しない。
(架橋溶液の調製方法)
次に、架橋溶液の調製方法について説明する。
前記架橋溶液は、官能基を有するカーボンナノチューブに、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤、あるいは、官能基同士を化学結合させる添加剤を必要に応じて混合することで調製される(混合工程)。当該混合工程に先立ち、カーボンナノチューブに官能基を導入する付加工程を含んでもよい。
官能基を有するカーボンナノチューブを出発原料とすれば、混合工程の操作のみを行えばよいし、通常のカーボンナノチューブそのものを出発原料とすれば、付加工程から操作を行えばよい。
前記付加工程は、カーボンナノチューブに所望の官能基を導入する工程である。官能基の種類によって導入方法が異なり、一概には言えない。直接的に所望の官能基を付加させてもよいが、一旦、付加が容易な官能基を導入した上で、その官能基ないしその一部を置換したり、その官能基に他の官能基を付加させたり等の操作を行い、目的の官能基としても構わない。
また、カーボンナノチューブにメカノケミカルな力を与えて、カーボンナノチューブ表面のグラフェンシートをごく一部破壊ないし変性させて、そこに各種官能基を導入する方法もある。
また、製造時点から表面に欠陥を多く有する、カップスタック型のカーボンナノチューブや気相成長法により生成されるカーボンナノチューブを用いると、官能基を比較的容易に導入できる。しかし、グラフェンシート構造が完全である方が、カーボンナノチューブの特性を有効に得られるとともに、特性もコントロールしやすいため、マルチウォールカーボンナノチューブを用いて、最外層に適度な欠陥を形成して官能基を結合し架橋させる一方で、構造欠陥の少ない内層をカーボンナノチューブの特性を発揮させる層として利用することが特に好ましい。
付加工程の操作としては、特に制限は無く、公知のあらゆる方法を用いて構わない。その他、特許文献2に各種方法が記載されており、目的に応じて、本発明においても利用することができる。
前記官能基の中でも、特に好適な−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入する方法について説明する。カーボンナノチューブに−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入するには、一旦、カーボンナノチューブにカルボキシル基を付加し(a)、さらにこれをエステル化(b)すればよい。
(a)カルボキシル基の付加
カーボンナノチューブにカルボキシル基を導入するには、酸化作用を有する酸とともに還流すればよい。この操作は比較的容易であり、しかも反応性に富むカルボキシル基を付加することができるため、好ましい。当該操作について、簡単に説明する。
酸化作用を有する酸としては、濃硝酸、過酸化水素水、硫酸と硝酸の混合液、王水等が挙げられる。特に濃硝酸を用いる場合には、その濃度としては、5質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
還流は、常法にて行えばよいが、その温度としては、使用する酸の沸点付近が好ましい。例えば、濃硝酸では120〜130℃の範囲が好ましい。また、還流の時間としては、30分〜20時間の範囲が好ましく、1時間〜8時間の範囲がより好ましい。
還流の後の反応液には、カルボキシル基が付加したカーボンナノチューブ(カーボンナノチューブカルボン酸)が生成しており、室温まで冷却し、必要に応じて分離操作ないし洗浄を行うことで、目的のカーボンナノチューブカルボン酸が得られる。
(b)エステル化
得られたカーボンナノチューブカルボン酸に、アルコールを添加し脱水してエステル化することで、目的の官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)を導入することができる。
前記エステル化に用いるアルコールは、上記官能基の式中におけるRに応じて決まる。すなわち、RがCH3であればメタノールであるし、RがC25であればエタノールである。 一般にエステル化には触媒が用いられるが、本発明においても従来公知の触媒、例えば、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸等を用いることができる。本発明では、副反応を起こさないという観点から触媒として硫酸を用いることが好ましい。
前記エステル化は、カーボンナノチューブカルボン酸に、アルコールと触媒とを添加し、適当な温度で適当な時間還流すればよい。このときの温度条件および時間条件は、触媒の種類、アルコールの種類等により異なり一概には言えないが、還流温度としては、使用するアルコールの沸点付近が好ましい。例えば、メタノールでは60〜70℃の範囲が好ましい。また、還流の時間としては、1〜20時間の範囲が好ましく、4〜6時間の範囲がより好ましい。
エステル化の後の反応液から反応物を分離し、必要に応じて洗浄することで、官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)が付加したカーボンナノチューブを得ることができる。
前記混合工程は、官能基を有するカーボンナノチューブに、前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤あるいは官能基結合用の添加剤を必要に応じて混合し、架橋溶液を調製する工程である。混合工程においては、官能基を有するカーボンナノチューブおよび架橋剤のほか、既述の[複合材]の項で説明したその他の成分も混合する。そして、好ましくは、塗布適性を考慮して溶剤や粘度調整剤の添加量を調整することで、塗布直前の架橋溶液を調製する。
混合に際しては、単にスパチュラで攪拌したり、攪拌羽式の攪拌機、マグネチックスターラーあるいは攪拌ポンプで攪拌するのみでも構わないが、より均一にカーボンナノチューブを分散させて、保存安定性を高めたり、カーボンナノチューブの架橋による網目構造を全体にくまなく張り巡らせるには、超音波分散機やホモジナイザーなどで強力に分散させても構わない。ただし、ホモジナイザーなどのように、攪拌のせん断力の強い攪拌装置を用いる場合、含まれるカーボンナノチューブを切断してしまったり、傷付けてしまったりする虞があるので、極短い時間行えばよい。
以上説明した架橋溶液を、前記基体の表面に対して供給し、硬化することにより、カーボンナノチューブ構造体層が形成される。供給方法や硬化方法は、後述の[複合材の製造方法]の項で詳述する。
本発明において、カーボンナノチューブ構造体層は、カーボンナノチューブがネットワーク化された状態となっている。詳しくは、該カーボンナノチューブ構造体層は、マトリックス状に硬化したものとなり、カーボンナノチューブ同士が架橋部分を介して接続しており、電子やホールの高い伝送特性といったカーボンナノチューブ自身が有する特徴を存分に発揮することができる。すなわち、当該カーボンナノチューブ構造体層は、カーボンナノチューブ相互が緊密に接続しており、しかも他の結着剤等を含まないことから、実質的にカーボンナノチューブのみからなるため、カーボンナノチューブが有する本来の特性が最大限に生かされる。
本発明におけるカーボンナノチューブ構造体層の厚みとしては、用途に応じて、極薄いものから厚めのものまで、幅広く選択することができる。使用する前記架橋溶液中のカーボンナノチューブの含有量を下げ(単純には、薄めることにより粘度を下げ)、これを薄膜状に塗布すれば極薄い構造体膜となり、同様にカーボンナノチューブの含有量を上げれば厚めの構造体となる。さらに、塗布を繰返せば、より一層厚膜の塗布膜を得ることもできる。極薄い塗布膜としては、10nm程度の厚みから十分に可能であり、重ね塗りにより上限無く厚い塗布膜を形成することが可能である。一回の塗布で可能な厚膜としては、5μm程度である。また、塗布に限らず、型等に供給して構造体を形成することも可能である。
前記カーボンナノチューブ構造体層において、前記カーボンナノチューブ同士が架橋する部位、すなわち、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基と前記架橋剤との架橋反応による架橋部位は、前記官能基の架橋反応後に残存する残基同士を、前記架橋剤の架橋反応後に残存する残基である連結基で連結した架橋構造となっている。
既述の如く、前記架橋溶液においては、その構成要素である架橋剤が非自己重合性であることが好ましい。前記架橋剤が非自己重合性であれば、最終的に形成されるカーボンナノチューブ構造体層における前記連結基については、前記架橋剤1つのみの残基により構成されることになり、架橋されるカーボンナノチューブ相互の間隔を、使用した架橋剤の残基のサイズに制御することができるため、所望のカーボンナノチューブのネットワーク構造を高い再現性で得られるようになる。また、カーボンナノチューブ間に架橋剤が多重に介在しないので、カーボンナノチューブ構造体中のカーボンナノチューブの実質的な密度を高めることができる。さらに架橋剤の残基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態(カーボンナノチューブ相互が、実質的に直接接触した状態)に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができる。
なお、カーボンナノチューブにおける官能基に単一のものを、架橋剤に単一の非自己重合性のものを、それぞれ選択した架橋溶液により、カーボンナノチューブ構造体層を形成した場合、当該層における前記架橋部位は、同一の架橋構造となる(例示1)。また、カーボンナノチューブにおける官能基に複数種のものを、および/または、架橋剤に複数種の非自己重合性の架橋剤を、それぞれ選択した架橋溶液により、カーボンナノチューブ構造体層を形成した場合であっても、当該層における前記架橋部位は、主として用いた前記官能基および非自己重合性の架橋剤の組み合わせによる架橋構造が、主体的となる(例示2)。
これに対して、カーボンナノチューブにおける官能基や架橋剤が単一であるか複数種であるかを問わず、架橋剤に自己重合性のものを選択した架橋溶液により、カーボンナノチューブ構造体層を形成した場合、当該層におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位は、架橋剤同士の連結(重合)個数が異なる数多くの連結基が混在した状態となり、特定の架橋構造が主体的とはなり得ない。
つまり、前記架橋剤として非自己重合性のものを選択すれば、カーボンナノチューブ構造体層におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、架橋剤1つのみの残基で官能基と結合するため、主として同一の架橋構造となる。なお、ここで言う「主として同一」とは、上記(例示1)の如く、架橋部位の全てが同一の架橋構造となる場合は勿論のこと、上記(例示2)の如く、架橋部位全体に対して、主として用いた前記官能基および非自己重合性の架橋剤の組み合わせによる架橋構造が、主体的となる場合も含む概念とする。
「主として同一」と言った場合に、全架橋部位における「同一である架橋部位の割合」としては、例えば架橋部位において、カーボンナノチューブのネットワーク形成とは目的を異にする機能性の官能基や架橋構造を付与する場合も想定されることから、一律に下限値を規定し得るわけではない。ただし、強固なネットワークでカーボンナノチューブ特有の高い電気的ないし物理的特性を実現するためには、全架橋部位における「同一である架橋部位の割合」としては、個数基準で50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、全て同一であることが最も好ましい。これらの個数割合は、赤外線スペクトルで架橋構造に対応した吸収スペクトルの強度比を計測する方法等により求めることができる。
このように、カーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造のカーボンナノチューブ構造体層であれば、カーボンナノチューブの均一なネットワークを所望の状態に形成することができ、電気的ないし物理的特性を、均質で良好、さらには期待した特性もしくは高い再現性をもって構成することができる。
また、前記連結基としては、炭化水素を骨格とするものが好ましい。ここで言う「炭化水素を骨格」とは、架橋されるカーボンナノチューブの官能基の架橋反応後に残存する残基同士を連結するのに資する、連結基の主鎖の部分が、炭化水素からなるものであることを言い、この部分の水素が他の置換基に置換された場合の側鎖の部分は考慮されない。勿論、連結基全体が炭化水素からなることが、より好ましい。
前記炭化水素の炭素数としては2〜10個とすることが好ましく、2〜5個とすることがより好ましく、2〜3個とすることがさらに好ましい。なお、前記連結基としては、2価以上であれば特に制限は無い。
カーボンナノチューブの有する官能基と架橋剤との好ましい組み合わせとして既に例示した、前記官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とエチレングリコールとの架橋反応では、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が−COO(CH22OCO−となる。
また、前記官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)とグリセリンとの架橋反応では、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が、OH基2つが架橋に寄与すれば−COOCH2CHOHCH2OCO−あるいは−COOCH2CH(OCO−)CH2OHとなり、OH基3つが架橋に寄与すれば−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−となる。
また、本発明におけるカーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブが、少なくともその一端がそれぞれ異なるカーボンナノチューブに結合された複数の官能基同士の化学結合により形成された架橋部位を介して、ネットワーク化された状態とすることもできる。該カーボンナノチューブ構造体は、マトリックス状に縮合したものとなり、カーボンナノチューブ同士が架橋部分を介して接続しており、電子やホールの高い伝送特性といったカーボンナノチューブ自身が有する特徴を存分に発揮することができる。すなわち、当該カーボンナノチューブ構造体は、カーボンナノチューブ相互が緊密に接続しており、しかも他の結着剤等を含まないことから、実質的にカーボンナノチューブのみからなるため、カーボンナノチューブが有する本来の特性を利用できるようになる。
本発明において、カーボンナノチューブ構造体層の厚みとしては、用途や所望の電気特性に応じて、極薄いものから厚めのものまで、幅広く選択することができる。使用する前記架橋溶液中のカーボンナノチューブの含有量を下げ(単純には、薄めることにより粘度を下げ)、これを薄膜状に塗布すれば極薄い構造体膜となり、同様にカーボンナノチューブの含有量を上げれば厚めの構造体となる。さらに、塗布を繰返せば、より一層厚膜の塗布膜を得ることもできる。極薄い構造体膜としては、10nm程度の厚みから十分に可能であり、重ね塗りにより上限無く厚い塗布膜を形成することが可能である。一回の塗布で可能な厚膜としては、2μm程度である。また、含有量などを調整した架橋溶液を型に注入し、結合させることで所望の形状にすることも可能である。
前記カーボンナノチューブ構造体において、前記カーボンナノチューブ同士が架橋する部位、すなわち、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基同士の反応による架橋部位は、前記官能基の反応後の結合体で連結した架橋構造となっている。
官能基同士を反応させて架橋部位を形成しているため、カーボンナノチューブ構造体中のカーボンナノチューブの実質的な密度を高めることができる。さらに官能基のサイズを小さくすれば、電気的にも物理的にも極めて近接した状態に、カーボンナノチューブ相互の間隔を構成することができ、カーボンナノチューブ単体の特性を引き出しやすくなる。ナノチューブ構造体層におけるカーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、官能基の化学結合であるため、構造体が主として同一の架橋構造となる。なお、ここで言う「主として同一」とは、架橋部位の全てが同一の架橋構造となる場合は勿論のこと、架橋部位全体に対して官能基同士の化学結合による架橋構造が、主体的となる場合も含む概念とする。
このように、カーボンナノチューブ同士が架橋する架橋部位が、主として同一の架橋構造のカーボンナノチューブ構造体層であれば、カーボンナノチューブの均一なネットワークを所望の状態に形成することができ、電気的ないし物理的特性を、均質で良好、さらには期待した特性もしくは高い再現性をもって構成することができる。
以上説明したように、本発明の複合材において、カーボンナノチューブ構造体層が、複数のカーボンナノチューブが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となった状態で形成されていると、単なるカーボンナノチューブの分散膜のように、カーボンナノチューブ同士の接触状態並びに配置状態が不安定になることがなく、電子やホールの高い伝送特性といった電気的特性や、熱伝導、強靭性といった物理的特性、その他光吸収特性等カーボンナノチューブに特有の性質を安定して発揮することができる。
本発明の複合材は、他の層が形成されていてもよい。例えば、前記基体表面と前記カーボンナノチューブ構造体層との間に、両者の接着性を向上させるための接着層を設けることは、カーボンナノチューブ構造体層の接着強度を高めることができ、好ましい。接着層の形成方法やその他詳細は、[複合材の製造方法]の項にて説明することとする。
以上説明したように、本実施形態のカーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブが複数の架橋部位を介して網目構造の状態となった状態で形成されているので、単なるカーボンナノチューブの分散膜のように、カーボンナノチューブ同士の接触状態並びに配置状態が不安定になることがなく、極めて安定なカーボンナノチューブネットワークが構成され、良好な導電性、熱伝導性を有することが可能である。加えて、カーボンナノチューブ構造体自身が強靭性かつ柔軟であることから、補強材としても機能するので、極めて機械的強度の高い材料となる。また、焼成時のセラミックスの割れを減少させる効果やセラミックスを軽量化するという効果もある。
このようにセラミックスの特性にカーボンナノチューブの特性を付与した本複合体は導電性、熱伝導性だけでなく、機械的特性も優れており、用途として、静電気防止材、各種摺動材、軸受け材、構造材、ヒートシンク部材、電磁波シールド材、電界シールド材などに好適である。
以上説明した本発明の複合材の具体的な形状等は、次の[複合材の製造方法]の項や実施例の項で明らかにする。勿論、後述する構成はあくまでも例示であり、本発明の複合材の具体的な態様は、これらに限定されるものではない。
[複合材の製造方法]
本発明の複合材の製造方法は、上記本発明の複合材を製造するのに適した方法である。具体的には、(A)基体の表面に、官能基を有するカーボンナノチューブを含む溶液(架橋溶液)を供給する供給工程と、(B)複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、前記カーボンナノチューブ構造体とセラミックスを複合する複合工程とを含む。
以下、これら各工程に分けて、本発明の複合材の製造方法の詳細について説明する。
(A)供給工程
本発明において、「供給工程」とは、前記基体の表面に、官能基を有するカーボンナノチューブを含む溶液(架橋溶液)を供給する工程である。なお、供給工程で前記架橋溶液を供給すべき領域は、前記所望の領域を全て含んでさえいればよく、前記基体の表面の全面に供給しなければならないわけではない。
当該供給方法に制限はなく、単に液滴を垂らしたり、それをスキージで塗り広げたりする方法から、一般的な塗布方法まで、幅広くいずれの方法も採用することができる。一般的な塗布方法としては、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、キャストコート法、ロールコート法、刷毛塗り法、浸漬塗布法、スプレー塗布法、カーテンコート法等が挙げられる。また、所定形状の型等に注入して供給することもできる。なお、基体、官能基を有するカーボンナノチューブ、架橋剤並びに架橋溶液の内容については、[複合材]の項で説明した通りである。
(B)架橋工程
本発明において、「架橋工程」とは、塗布後の前記架橋溶液を硬化して、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体層を形成する工程である。なお、架橋工程で前記架橋溶液を硬化して、カーボンナノチューブ構造体層を形成すべき領域は、前記所望の領域を全て含んでさえいればよく、前記基体の表面に塗布された前記架橋溶液を全て硬化しなければならないわけではない。
架橋工程における操作は、前記官能基と前記架橋剤との組み合わせに応じて、あるいは、架橋させる官能基に応じて、自ずと決まってくる。例えば、前掲の表1あるいは表2に示す通りである。熱硬化性の組み合わせであれば、各種ヒータ等により加熱すればよいし、紫外線硬化性の組み合わせであれば、紫外線ランプで照射したり、日光下に放置しておけばよい。勿論、自然硬化性の組み合わせであれば、そのまま放置しておけば十分であり、この「放置」も本発明における架橋工程で行われ得るひとつの操作と解される。
官能基−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)が付加したカーボンナノチューブと、ポリオール(中でもグリセリンおよび/またはエチレングリコール)との組み合わせの場合には、加熱による硬化(エステル交換反応によるポリエステル化)が行われる。加熱により、エステル化したカーボンナノチューブカルボン酸の−COORと、ポリオールのR’−OH(R’は、置換または未置換の炭化水素基)とがエステル交換反応する。そして、かかる反応が複数多元的に進行し、カーボンナノチューブが架橋していき、最終的にカーボンナノチューブが相互に接続してネットワーク状となったカーボンナノチューブ構造体層が形成される。
上記の組み合わせの場合に好ましい条件について例示すると、加熱温度としては、具体的には50〜500℃の範囲が好ましく、150〜200℃の範囲がより好ましい。また、この組み合わせにおける加熱時間としては、具体的には1分〜10時間の範囲が好ましく、1〜2時間の範囲がより好ましい。
(セラミックス複合工程)
上記の工程において得られた基体上のカーボンナノチューブ構造体にセラミックス材料を含浸させた後、所定の温度で焼成する。セラミックスとカーボンナノチューブ構造体を複合させる方法として、金属アルコキシドを用いたゾルゲル法やMOD法(Metal Organic Decomposition:有機金属分解法)が好ましい。これらセラミックスの原材料をカーボンナノチューブ構造体に滴下あるいは原材料中に構造体を浸漬させることにより、構造体の網目中に原材料のゾルや液体が浸透する。その後、その混合体を焼成することにより、ナノチューブ−セラミックスの複合体を得ることができる。
カーボンナノチューブ構造体と複合されるセラミックスとしては特に制限は無く、用途に応じて適宜選択できる。具体的には、酸化物系、窒化物系、炭化物系セラミックス、硼化物系、珪化物系があげられる。ただし、製造の容易性観点からは酸化物系(例えばSiO2、TiO2)のセラミックスが好ましい。
このためセラミックス原料としては、酸化物系、窒化物系、炭化物系、硼化物系、珪化物系のセラミックスを形成する、O、N、B、C、Siなどの非金属、Al、Pb、Biなどの金属、Ti、Zr、Hf、Yなどの遷移金属、Kなどのアルカリ金属、Ca、Mg、Srなどのアルカリ土類金属、La、Ceなどの希土類、F、Clなどのハロゲン属から選ばれる一つを含むセラミック原料を用いる。
複合工程において焼成・焼結に伴いカーボンナノチューブ自体が焼失してしまうのを避けるために、窒素雰囲気中で行うことが好ましい。また、セラミックス原料の焼成温度は、 材料の分解を防止する点から2000℃以下であることが望ましい。
また、他の複合方法として、上記架橋溶液とセラミックス粉末を混合し、その混合液を基体上に供給した後、カーボンナノチューブ構造体を架橋させることにより、ナノチューブ−セラミックスの複合体を得ることもできる。
セラミックス粉末との混合により複合する場合には、セラミックス粉末が焼結されるものが好ましい。例えば、Si34のセラミック粉末は焼結温度が1700℃で、本発明のカーボンナノチューブ構造体の架橋工程における加熱温度範囲120〜550℃と比べて十分に高い。このため、このような組合せを用いる場合には、架橋溶液とセラミック粉末を混合して、基体上に溶液を供給した後、例えば、まず架橋反応温度である550℃程度で1時間程加熱させカーボンナノチューブ構造体を形成し、その後連続して1700℃に昇温させてセラミックス粉末を焼結させることで、複合材を製造することもできる。
以上の各工程を経ることで、本発明の複合材を製造することができるが、本発明の複合材の製造方法においては、その他の工程を含めることもできる。
例えば、前記供給工程に先立ち、前記基体の表面を予め処理する表面処理工程を設けるのも好適である。表面処理工程は、例えば、供給される架橋溶液の吸着性を高めるため、上層として形成されるカーボンナノチューブ構造体層と基体表面との接着性を高めるため、基体表面を清浄化するため、基体表面の電気伝導度を調整するため、等の目的で行われる。
架橋溶液の吸着性を高める目的で行われる表面処理工程としては、例えば、シランカップリング剤(例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等)による処理が挙げられる。中でもアミノプロピルトリエトキシシランによる表面処理は、広く行われており、本発明における表面処理工程でも好適である。アミノプロピルトリエトキシシランによる表面処理は、例えば、Y.L.Lyubchenko et al.,Nucleic Acids Research,1993,vol.21,p.1117-1123等の文献に見られるように、従来よりDNAのAFM観察において基板に使うマイカの表面処理に用いられている。
以上説明したように、本発明によれば、高い機械的強度、熱あるいは電気の伝導性に優れたセラミックスの複合材を提供することができる。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(A)塗布工程
(A−1)架橋溶液の調製(付加工程)
(a)カルボキシル基の付加・・・カーボンナノチューブカルボン酸の合成
マルチウォールカーボンナノチューブ粉末(純度90%、平均直径30nm、平均長さ3μm;サイエンスラボラトリー製)30mgを濃硝酸(60質量%水溶液、関東化学製)20mLに加え、120℃の条件で還流を20時間行い、カーボンナノチューブカルボン酸を合成した。以上の反応スキームを図1に示す。なお、図1中カーボンナノチューブ(CNT)の部分は、2本の平行線で表している(反応スキームに関する他の図に関しても同様)。
溶液の温度を室温に戻したのち、5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した。回収した沈殿物を純水10mLに分散させて、再び5000rpmの条件で15分間の遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物とを分離した(以上で、洗浄操作1回)。この洗浄操作をさらに5回繰り返し、最後に沈殿物を回収した。
回収された沈殿物について、赤外吸収スペクトルを測定した。また、比較のため、用いたマルチウォールカーボンナノチューブ原料自体の赤外吸収スペクトルも測定した。両スペクトルを比較すると、マルチウォールカーボンナノチューブ原料自体においては観測されていない、カルボン酸に特徴的な1735cm-1の吸収が、前記沈殿物の方には観測された。このことから、硝酸との反応によって、カーボンナノチューブにカルボキシル基が導入されたことがわかった。すなわち、沈殿物がカーボンナノチューブカルボン酸であることが確認された。
また、回収された沈殿物を中性の純水に添加してみると、分散性が良好であることが確認された。この結果は、親水性のカルボキシル基がカーボンナノチューブに導入されたという、赤外吸収スペクトルの結果を支持する。
(b)エステル化
上記工程で調製されたカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、メタノール(和光純薬製)25mLに加えた後、濃硫酸(98質量%、和光純薬製)5mLを加えて、65℃の条件で還流を6時間行い、メチルエステル化した。以上の反応スキームを図2に示す。
溶液の温度を室温に戻したのち、ろ過して沈殿物を分離した。沈殿物は、水洗した後回収した。回収された沈殿物について、赤外吸収スペクトルを測定した。その結果、エステルに特徴的な1735cm-1および1000〜1300cm-1の領域における吸収が観測されたことから、カーボンナノチューブカルボン酸がエステル化されたことが確認された。
(混合工程)
上記工程で得られたメチルエステル化したカーボンナノチューブカルボン酸30mgを、グリセリン(関東化学製)4gに加え、超音波分散機を用いて混合した。さらに、これを粘度調整剤としてのメタノール4gに加え、架橋溶液(1)を調製した。
(A−2)基体の表面処理工程
基体としてのシリコンウエハー(アドバンテック製、76.2mmφ(直径3インチ)、厚さ380μm、表面酸化膜の厚さ1μm)を用意した。この上に塗布する架橋溶液(1)と、当該シリコンウエハーとの吸着性を上げるために、アミノプロピルトリエトキシシランにより、シリコンウエハーの表面処理を行った。
アミノプロピルトリエトキシシランによる表面処理は、密閉したシャーレ内で、上記シリコンウエハーをアミノプロピルトリエトキシシラン(アルドリッチ社製)50μLの蒸気に3時間程度晒すことで行った。なお、比較のために、表面処理を施さないシリコンウエハーも、別途用意した。
(A−3)塗布工程
工程(A−1)で調製された架橋溶液(1μL)を、表面処理が施されたシリコンウエハー表面にスピンコーター(ミカサ社製、1H−DX2)を用い、100rpm,30秒の条件で塗布した。表面処理を施さない比較のためのシリコンウエハーについても、同様にして塗布を行った。
(B)架橋工程
架橋溶液を塗布した後、当該塗布膜が形成されたシリコンウエハーを、200℃で2時間加熱し塗布膜を硬化し、カーボンナノチューブ構造体層を形成した。なお、比較のため表面処理を施さない比較のためのシリコンウエハーについても、同様にして塗布膜を硬化した。反応スキームを図3に示す。
得られたカーボンナノチューブ構造体層の状態を光学顕微鏡で確認したところ、極めて均一な硬化膜となっていた。これに対して、比較のため表面処理を施さない比較のためのシリコンウエハーに形成されたカーボンナノチューブ構造体層についても、同様に光学顕微鏡で確認したところ、表面処理を施したものに比して、若干劣るものの、十分に均一な硬化膜となっていた。
表面処理を施した撮影されたシリコンウエハーに形成されたカーボンナノチューブ構造体層の光学顕微鏡写真(2500倍)を図4に示す。なお、写真の倍率は、写真の引き伸ばしの程度等により、多少の誤差が生じている。
(C)複合工程
次に、シリコンウエハー上に形成された、架橋部位を介して網目構造化した層状のカーボンナノチューブ構造体(カーボンナノチューブ構造体層)をセラミックスと複合化した。
まず、SiO2のMODコート剤Si−05S(高純度化学製)をカーボンナノチューブ構造体に2μL滴下し、含浸させた。続いて、ホットプレートで120℃、30分間加熱した。その後、赤外線ゴールドイメージ炉(RHL−P610C、アルバック理工社製)にて、窒素雰囲気中で550℃にて1時間アニーリングを行い、SiO2−カーボンナノチューブ複合材を得た。
この複合材の走査型電子顕微鏡観察を行った結果を図5に、断面観察の結果を図6に示す。カーボンナノチューブ構造体間にSiO2が充填されており、膜の割れもない複合材が形成された。なお、同時にカーボンナノチューブ構造体の存在しない領域を形成したところ、カーボンナノチューブが存在する箇所と比較して非常に脆かった。
次にピコアンメータ4140B(ヒューレットパッカード製)を使って、実施例で得られた複合材の直流電流−電圧特性測定を2端子法で行った結果を図7に示す。本発明のナノチューブ構造体とセラミックスからなる複合体が導電性を有することが確認できた。
図1は実施例中の(付加工程)におけるカーボンナノチューブカルボン酸の合成の反応スキームである。 図2は実施例中の(付加工程)におけるエステル化の反応スキームである。 図3は実施例中の(架橋工程)におけるエステル交換反応による架橋の反応スキームである。 図4は実施例において、(架橋工程)の操作を経て得られたカーボンナノチューブ構造体層の光学顕微鏡写真(2500倍)である。 図5は複合材の走査型電子顕微鏡写真(10000倍)である。 図6は複合材の断面走査型電子顕微鏡写真(10000倍)である。 図7は実施例で形成された複合材の電流−電圧特性測定結果を示すグラフである。

Claims (36)

  1. カーボンナノチューブ構造体とセラミックスとが複合されてなる複合材であって、該カーボンナノチューブ構造体は、官能基が結合した複数のカーボンナノチューブの前記官能基間を化学結合させて相互に架橋した網目構造を構成してなることを特徴とする複合材。
  2. 前記カーボンナノチューブ構造体が、官能基を有するカーボンナノチューブおよび前記官能基と架橋反応を起こす架橋剤を含む溶液を硬化させることにより、前記カーボンナノチューブが有する前記官能基と前記架橋剤とを架橋反応させて架橋部位が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の複合材。
  3. 前記架橋剤が、非自己重合性の架橋剤であることを特徴とする請求項2に記載の複合材。
  4. 前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が、−COO(CH22OCO−、−COOCH2CHOHCH2OCO−、−COOCH2CH(OCO−)CH2OHおよび−COOCH2CH(OCO−)CH2OCO−からなる群より選ばれるいずれかの化学構造であることを特徴とする請求項1に記載の複合材。
  5. 前記架橋部位は、複数の前記官能基同士の化学結合により形成されていることを特徴とする請求項2に記載の複合材。
  6. 前記化学結合を生ずる反応が、脱水縮合、置換反応、付加反応および酸化反応から選ばれる一つであることを特徴とする請求項1に記載の複合材。
  7. 前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋する架橋部位が、−COOCO−、−O−、−NHCO−、−COO−、−NCH−、−NH−、−S−、−O−、−NHCOO−、および、−S−S−から選ばれる一つであることを特徴とする請求項1に記載の複合材。
  8. 前記複数のカーボンナノチューブが、マルチウォールカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1に記載の複合材。
  9. 前記セラミックスが、酸化物系、窒化物系、炭化物系、硼化物系、珪化物系から選ばれる一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の複合材。
  10. 官能基を結合された複数のカーボンナノチューブを含む溶液を基体表面に供給する供給工程と、複数の前記官能基間を化学結合させて、前記複数のカーボンナノチューブが相互に架橋した網目構造を構成するカーボンナノチューブ構造体を形成する架橋工程と、前記カーボンナノチューブ構造体とセラミックスを複合する複合工程とを含むことを特徴とする複合材の製造方法。
  11. 前記複合工程は、前記カーボンナノチューブ構造体に前記セラミックスの原料を含浸させ焼成する焼成工程を含むことを特徴とする請求項10記載の複合材の製造方法。
  12. 前記セラミックス材料が、O、N、B、C、Siなどの非金属、Al、Pb、Biなどの金属、Ti、Zr、Hf、Yなどの遷移金属、Kなどのアルカリ金属、Ca、Mg、Srなどのアルカリ土類金属、La、Ceなどの希土類、F、Clなどのハロゲン属から選ばれる一つを含むことを特徴とする請求項10記載の複合材の製造方法。
  13. 前記溶液は、複数の前記官能基間を架橋する架橋剤を含み、該架橋剤は非自己重合性の架橋剤であることを特徴とする請求項10に記載の複合材の製造方法。
  14. 前記官能基が、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、前記架橋剤が、選択された前記官能基と架橋反応を起こし得る架橋剤であることを特徴とする請求項13に記載の複合材の製造方法。
  15. 前記架橋剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤であり、前記官能基が、選択された前記架橋剤と架橋反応を起こし得る官能基であることを特徴とする請求項13に記載の複合材の製造方法。
  16. 前記官能基が、−OH、−COOH、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COX(Xはハロゲン原子)、−NH2および−NCOからなる群より選ばれる少なくとも1つの基であり、前記架橋剤が、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸ハライド、ポリカルボジイミドおよびポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1つの架橋剤であり、前記官能基と前記架橋剤とが、相互に架橋反応を起こし得る組み合わせとなるようにそれぞれ選択されたことを特徴とする請求項13に記載の複合材の製造方法。
  17. 前記官能基が、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)であることを特徴とする請求項13に記載の複合材の製造方法。
  18. 前記架橋剤が、ポリオールであることを特徴とする請求項17に記載の複合材の製造方法。
  19. 前記架橋剤が、グリセリン、エチレングリコール、ブテンジオール、ヘキシンジオール、ヒドロキノンおよびナフタレンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項17に記載の複合材の製造方法。
  20. 前記溶液が、さらに溶剤を含むことを特徴とする請求項10に記載の複合材の製造方法。
  21. 前記架橋剤が、溶剤を兼ねることを特徴とする請求項20に記載の複合材の製造方法。
  22. 前記化学結合を生ずる反応が、複数の前記官能基同士を化学結合させる反応であることを特徴とする請求項10記載の複合材の製造方法。
  23. 前記溶液は、前記官能基同士の化学結合を生じさせる添加剤を含むことを特徴とする請求項22に記載の複合材の製造方法。
  24. 前記反応が脱水縮合であって、前記添加剤が縮合剤であることを特徴とする請求項23に記載の複合材の製造方法。
  25. 前記官能基が、−COOR(Rは、置換または未置換の炭化水素基)、−COOH、−COX(Xはハロゲン原子)、−OH、−CHO、−NH2から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項24に記載のカーボンナノチューブ構造体の製造方法。
  26. 前記官能基が−COOHであることを特徴とする請求項25に記載の複合材の製造方法。
  27. 前記縮合剤が、硫酸、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよびジシクロヘキシルカルボジイミドから選ばれる一つであることを特徴とする請求項24記載の複合材の製造方法。
  28. 前記反応が置換反応であって、前記添加剤が塩基であることを特徴とする請求項22に記載の複合材の製造方法。
  29. 前記官能基が、−NH2、−X(Xはハロゲン原子)、−SH、−OH、−OSO2CH3および−OSO2(C64)CH3から選ばれる一つであることを特徴とする請求項28に記載の複合材の製造方法。
  30. 前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジンおよびナトリウムエトキシドから選ばれる一つであることを特徴とする請求項28記載の複合材の製造方法。
  31. 前記反応が付加反応であることを特徴とする請求項22に記載の複合材の製造方法。
  32. 前記官能基が、−OH、および−NCOから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項31に記載の複合材の製造方法。
  33. 前記反応が酸化反応であることを特徴とする請求項22に記載の複合材の製造方法。
  34. 前記官能基が、−SHであることを特徴とする請求項33に記載の複合材の製造方法。
  35. 前記溶液には、酸化反応促進剤を含むことを特徴とする請求項33記載の複合材の製造方法。
  36. 前記酸化反応促進剤が、ヨウ素であることを特徴とする請求項35記載の複合材の製造方法。
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