JP2005095574A - 使い捨て吸収性物品及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】使い捨ておむつなどの吸収性物品の前後ウエスト域を係脱可能に連結するためのファスナ手段が該域に配置されている弾性部材の収縮で悪影響を受けないようにすること。
【解決手段】前記吸収性物品において、ウエスト域１２及び／又は１３が、弾性手段１９が位置する弾性化中間域２３と、弾性手段１９が位置せずに中間域２３の対向側に連なる非弾性化対向側域２４とを有し、ファスナ手段２１及び／又は２２が対向側域２４に配置されている。
【選択図】図２

Description

この発明は、排泄物を吸収保持するための使い捨て吸収性物品及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、幼児用又は失禁用の開放型又はパンツ型おむつ、トレーニングパンツ、その他の類似構造物及びその製造方法に関する。特に、その製造方法としては、その物品の吸収体を支持して着用者の身体に固定する機能を有するベースシートにウエスト用弾性部材を配置する方法に関する。

使い捨ておむつなどの吸収性物品に関する特許文献１には、物品の後側ウエスト域に複数条の弾性部材が配置され、後側ウエスト域を物品の前側ウエスト域に係脱可能に連結するためのファスナ手段が後側ウエスト域における弾性部材が配置されている領域上に固定されている構造が開示されている。

使い捨ておむつに関する特許文献２には、おむつの前後側ウエスト域に弾性部材が配置され、開放型おむつ及びパンツ型おむつの併用型として使用可能なように、予め前後側ウエスト域が連結されているとともに、前側ウエスト域の対向側にファスナ手段の一方が、かつ、後側ウエスト域にその他方がそれぞれ固定され、しかも、必要に応じて、前側ウエスト域を後側ウエスト域から引き裂くため、前側ウエスト域の対向側にそれぞれ一条の切断線が設けられている構造が開示されている。
ＷＯ ０１／１３８４３ Ａ１公報 特許第３０９６１５２号公報

特許文献１に開示の吸収性物品では、弾性部材が配置されている領域上にファスナ手段が固定されているので、弾性部材の収縮によってファスナ手段が凹凸状に変形し、そのためファスナ手段を係止部に係合させ難かったり、係合状態が不良で係合力が低く不用意に係合が解かれてしまったりするという問題がある。

この問題を解決する一つの手段としては、ファスナ手段を固定すべきウエスト域の所定域に弾性部材を配置しないようにすることが考えられる。しかし、そのようにウエスト域に弾性部材を部分的に配置することは、技術的に可能ではあるが、この種物品を廉価量産するため高速運転すべき機械装置では適当ではない。したがって、ファスナ手段を固定すべきウエスト域の周り方向の全長にわたって弾性部材が配置されるのが一般的である。

特許文献２に開示のおむつでは、前側ウエスト域を後側ウエスト域から引き裂くための切断線がその対向側にそれぞれ一条だけ設けられているので、それらウエスト域が、この種物品で慣用されているように、合成樹脂を素材とするステープル又は連続フィラメントの不織布からなる場合には、特に、その不織布が切断線に沿う引き裂き方向と交差する方向へ配向するそれら繊維又はフィラメントを含む場合には、切断線に沿って前側ウエスト域を引き裂き難いという問題がある。

したがって、この発明の目的は、前記問題を解決することができる使い捨て吸収性物品及びその製造方法を提供することにある。

この発明の目的は、ウエスト域に配置される弾性部材の収縮によってファスナ手段に悪影響を与えることがない使い捨て吸収性物品及びその製造方法を提供することにある。

この発明のもう一つの目的は、前後側ウエスト域を予め連結してあって、必要に応じて、それら域の一方をその他方から引き裂くようにされている構造の場合、その引き裂きを容易にすることが可能な使い捨て吸収性物品及びその製造方法を提供することにある。

なお、前記目的に関する記載は、この発明における一つの請求項に記載の発明が、その発明の構成によって前記目的の少なくとも一つを達成するということを意味するものであって、前記目的のすべてを同時に達成するということを意味するものではない。

＜用語の意義＞
「シャーシ」は、吸収性物品の本体を意味する。したがって、従来の使い捨て吸収性物品にみられるその本体とは別材料から形成され、該本体の対向側縁に接合されてその側縁から外方へ延出するテープ状タブなどは、この発明のシャーシの対向側域に該当せず、この発明のファスナ手段は、該タブに配置されているファスナ手段を含まない。

「弾性化」は、物品の所要域において、該域のゴム弾性を有しない構成材料に弾性部材を適用して、該域に弾性的に伸縮する性質を付与してあることを意味する。

「非弾性化」は、物品の所要域に弾性部材が一旦配置され、その後の処理で弾性部材が実質的に配置されない状態になっている場合、又は、該域に弾性部材が配置されてはいても、その後の処理で弾性部材が物品において必要とされる収縮する性質を実質的に失っていることを意味する。

「ファスナ手段」は、ベルクロ（商標）やマジックテープ（商標）として周知のものと機能が実質的に同じもので、フックバッキングから複数のフックが突出するフック部材と、ループバッキングから複数のループが隆起又は浮き出るループ部材とが互いに係脱可能な対構造関係にあるものを意味する。ただし、ループ部材としては、物品を構成する繊維不織布などのループ機能を有するものも適用することができ、これをも含む。さらに、「ファスナ手段」は、フック部材及びループ部材にかえて、接着剤を物品のシャーシに直接的又は間接的に塗布してなるファスナも適用することができ、これをも含む。

「第１ウエスト域」は、物品の前後側ウエスト域の一方を意味し、「第２ウエスト域」は、前後側ウエスト域の他方を意味する。

この発明の課題を解決するための手段としての前提構成は、第１ウエスト域、第２ウエスト域、これらウエスト域間に股下域及び前記股下域の対向側にレッグ域を有する吸収性シャーシを含み、前記第１及び第２ウエスト域のうちの少なくとも前記第１ウエスト域に着用者のウエスト周り方向へ作用する第１弾性手段と、前記レッグ域に着用者のレッグ周り方向へ作用する第２弾性手段と、前記第１ウエスト域の対向側に前記第１及び第２ウエスト域を互いに係脱可能に連結するためのファスナ手段とを備える使い捨て吸収性物品にある。

前記前提構成において、この発明の特徴は、前記第１ウエスト域が、弾性化中間域と、前記中間域の対向側に連なる非弾性化対向側域とを有する点と、前記ファスナ手段が前記対向側域にそれぞれ配置されている点とを含む構成にある。

この発明の使い捨て吸収性物品によれば、第１及び／又は第２ウエスト域が弾性化中間域と非弾性化対向側域とに区画され、対向側域にファスナ手段が配置されているので、ファスナ手段は、少なくともウエスト域における弾性化のために配置される弾性部材の収縮によって凹凸状に変形するなど、ファスナ手段の係合部に対する係合に悪影響を与えることがない。したがって、ファスナ手段を係合部に係合させ難かったり、係合状態が不良で係合力が小さくて不用意に係合が解かれてしまったりするという既述の問題を解消することができる。

＜発明の具体的形態＞
ファスナ手段の対向側域に対する配置が、第１ウエスト域とは別材料から形成されている補強層を介してなされていることが好ましい。この形態によれば、ファスナ手段が位置する領域を補強して前記変形及び該領域の破損を有効に防止し、ファスナ手段の係合部に対する係合を安定化させることなどができる。

シャーシは、内面及び外面を有する可撓性・液抵抗性ベースシートと、前記内面に固定的に配置されている半剛性吸収体とを含むことが好ましい。この形態によれば、着用者の身体に対するフィット性を高め、排泄物の漏れを防止し、着用者に剛性な違和感を覚えさせないようにし、シャーシと前記吸収体とが相対的に妄りに移動しないようにすることなどができる。

ベースシートは、少なくとも二枚のシートが間欠的に接合されているラミネートシートを含み、第１及び第２弾性手段が前記二枚のシート間に配置されていることが好ましい。この形態によれば、ベースシートに所要の引張り及び引裂強度を与え、弾性部材を確実に固定することなどができる。

第１弾性手段は、中間域のほぼ全域に配置されており、ゴム弾性を有する複数条の糸状又は紐状物であることが好ましい。この形態によれば、第１及び第２ウエスト域を着用者のウエスト周りに比較的広範囲に、しかし過圧迫をあたえることなくフィットさせることなどができる。

ファスナ手段は、メカニカルファスナ、接着剤をシャーシの所要部位に直接的又は間接的に塗布してなるファスナのいずれかであり、シャーシの縦方向における第１ウエスト域の両端縁の近傍間の範囲にわたって連続的又は間欠的に配置されていることが好ましい。この形態によれば、第１及び第２ウエスト域を互いに係脱可能に連結する構造を有する物品の場合、保護者や介護者らが前記第１及び／又は第２ウエスト域の対向側部をつかんで該域を引っ張るときのその張力を該域のほぼ全域に及ぼすこと及びその操作を容易ならしめること、広範囲の係合面積を確保して係合強度を高めることなどができる。

第１及び第２弾性手段が、複数条の弾性部材から構成され、前記弾性部材の長さ方向端が、前記ファスナ手段の長さ方向側縁の近傍に、該側縁と交差する方向に延在していることが好ましい。この形態によれば、ファスナ手段を介して、第１及び第２弾性手段が互いに連動的又は協働的に作用する。すなわち、第１弾性手段の収縮応力は、第２弾性手段に連動してその収縮応力を作用させる。したがて、着用者のウエスト周りに対するウエスト域の適宜な弾性的圧接は、着用者のレッグ周りに対するレッグ域の適宜な弾性的圧接となり、着用者に対するウエスト域及びレッグ域の弾性的圧接状態を調整する必要があるとき、それぞれ別に調整する煩わしさがない。

物品としては、開放型おむつ、パンツ型おむつのいずれであってもよい。

物品の製造方法において、シャーシの一部を構成するベースシートとすべき連続ウエブに互いに離間並列する複数条の連続弾性部材が伸長させられながら供給され、中間域に相当するウエブの第１域に前記弾性部材が固定されることと、前記対向側域に相当する前記ウエブの第２域に位置する前記弾性部材が非弾性化処理を施されることが好ましい。この形態によれば、この発明の所期の目的を容易に達成することなどができる。

第２域における前記非弾性化処理は、第２域における弾性部材が第２域に固定されず、互いに隣接する第２域どうしの境界線上に位置する弾性部材が該境界線上において切断されることによって第２域における前記弾性部材が収縮させられることによりなされることが好ましい。この形態によれば、第２域に外観上処理痕を残さないようにすることなどができる。

第２域における前記非弾性化処理は、第２域における前記弾性部材が、第２域に固定された状態において、切断されることによりなされることが好ましい。この形態によれば、第２域にスリットのような前記処理痕を残さないようにすることなどができる。

第２域における前記非弾性化処理は、第２域における前記弾性部材が、第２域に固定された状態において、第２域に対する複数のスリットの形成によって第２域における前記ベースシートと同時に切断されることによりなされることが好ましい。この形態によれば、パンツ型物品における第１及び第２ウエスト域を開放型物品に変形すべく切り離すためのスリットをも同時に設けることなどができる。

弾性部材の固定は、前記ウエブに間欠的に塗布した接着剤でなされることが好ましい。この形態によれば、ベースシートの柔軟性や通気性を阻害しないようにすることなどができる。

＜第１の実施の形態＞
図１〜図３において、この発明に係る使い捨て吸収性物品の一例としての使い捨ておむつは、前側ウエスト域１２と、後側ウエスト域１３と、それら域の間に延在する股下域１４、股下域１４の対向側にレッグ域１４ａとを有する吸収性シャーシ１０を含む。シャーシ１０は、内面１５及び外面１６を有する比較的高い可撓性及び液抵抗性を有するベースシート１７と、股下域１４を中心としてこれから前後側ウエスト域１２，１３へ延在する吸収構造体１８とを含む。さらに、シャーシ１０は、前後側ウエスト域１２，１３に配置されている第１弾性手段としての複数の弾性部材１９と、股下域１４のレッグ域１４ａに位置する周縁に配置されている第２弾性手段としての複数の弾性部材２０と、前側ウエスト域１２の対向側部におけるベースシート１７の外面１６と後側ウエスト１３の対向側部におけるベースシート１７の内面１５とにそれぞれ配置され互いに係脱可能なファスナ手段２１，２２とを含む。前後側ウエスト域１２，１３には、弾性部材１９が配置されている弾性化中間域２３と、弾性部材１９が配置されていない非弾性化対向側域２４とが、それぞれ画成されている（図４参照）。基本的にこのような構成を有するこの発明に係るおむつは、ファスナ手段２１，２２の互いの係合による前後側ウエスト域１２，１３の連結によって組み立てられる。ただし、この実施の形態では、その一例として開放型おむつを示しているが、この実施の形態に係るこの発明は、後記第３の実施の形態に関して示してあるパンツ型おむつのごとき物品にも適用が可能である。

ベースシート１７は、疎水性繊維不織シート２５，２６が互いに間欠的に接合されているラミネートシートからなり、股下域１４において内側へ凹曲して幅狭くなっていて全体として砂時計型を呈する。不織シート２５，２６は、必要に応じて、液抵抗効果を高めるため、この種物品の構成素材におけるその効果のため用いられている撥水剤で処理されていてもよい。この不織シート２５，２６としては、一般的には、公知の各種の繊維不織布製造方法によりえられ、この種物品の構成材料として慣用されている繊維不織布を適用することができる。

弾性部材１９，２０は、ベースシート１７の不織シート２５，２６間にそれぞれ互いに並列して固定的に配置されている。この固定は、図示されていないが、スパイラル、ドット、直線状又は曲線状のストライプなどのパターンで間欠的に塗布されたホットメルト型接着剤でなされることが好ましい。これら弾性部材１９，２０の素材としては、ゴム弾性を有する限り、天然又は合成の如何を問わず用いられる。

弾性部材１９は、図１及び図２上、前後側ウエスト域１２，１３の各上縁と股下域１４の上縁近傍との間のほぼ全域に配置され、ウエスト開口の上縁における弾性部材１９ａはその並列間隔が狭く、かつ、弾性部材１９ａの下方における弾性部材１９ｂはその並列間隔が広くなっている。しかし、図示されていないが、弾性部材１９ａ，１９ｂは、等間隔で並列していてもよい。それらの伸長応力も、物品の用途などにより、弾性部材１９ａ，１９ｂを配置すべき各部位に応じて適宜設定されうるが、一般的には、ウエスト開口の近傍域に位置する弾性部材１９ａにおいて大きくされ、その他の域に位置する弾性部材１９ｂにおいて小さくされる。これは、弾性部材１９ａが物品を着用者の身体に固定的に保持させる機能を果たすものであるところ、弾性部材１９ｂが身体に対する物品のフィット性のための補助的機能を果たすものであるからである。その機能を果たすためには、それら弾性部材のベースシート１７に対する固定は、それら弾性部材の少なくとも長さ方向端部においてなされておればよく、そのようになされている場合には、それら弾性部材の収縮によってベースシート１７に妄りにギャザーが形成されることがなく、物品の外観をよくするという効果も生ずる。

弾性部材１９，２０は、それらの長さ方向端１９ｃ，２０ａが、ファスナ手段２１，２２の長さ方向側縁の近傍に、該側縁と交差する方向に延在していることが好ましい。このように弾性部材１９，２０が配置されていると、ファスナ手段２１，２２を介して、弾性部材１９，２０が互いに連動的又は協働的に作用する。すなわち、弾性部材１９の収縮応力は、弾性部材２０に連動してその収縮応力を作用させる。したがって、着用者のウエスト周りに対する前後側ウエスト域１２，１３の適宜な弾性的圧接は、着用者のレッグ周りに対するレッグ域の適宜な弾性的圧接となる。

ファスナ手段２１，２２は、ベルクロ（商標）やマジックテープ（商標）として周知のものと機能が実質的に同じものであって、ファスナ手段２１，２２の一方が、フックバッキングの片面から複数のフックが突出するフック部材と、その一方に係脱可能なファスナ手段２１，２２の他方が、ループバッキングの片面から複数のループが隆起又は浮き出るループ部材とからなっていて、ベースシート１７の素材に比較して高い剛性を有する。ただし、ファスナ手段２１，２２は、感圧性接着剤をシャーシ１０に直接的又は間接的、かつ、連続的又は部分的に塗布してなるファスナであってもよい。ここに間接的に塗布してなるファスナとは、適宜のバッキングに接着剤を塗布したものの該バッキングをシャーシ１０に接合してファスナを形成する場合を意味する。また、ループ部材からなるファスナ手段の場合には、該手段が特別に配置されることなく、該手段を物品を構成する繊維不織布や網状布にかえることができる。ファスナ手段２１，２２の、前後側ウエスト域１２，１３の対向側域２４に対する固定は、ホットメルト型接着剤及び／又は溶着によってなされうる。この固定は、図示されていないが、後記第３の実施の形態に関して記述する補強層４５を介してなされていることが好ましい。

感圧性接着剤としては、この発明が属する技術分野などにおいて通常使用されているものを使用することができる。適当な接着剤としては、例えば、天然ゴム系、又はアクリル系、シリコーン系、ウレタン系などの合成ゴム系を挙げることができる。また、他の接着剤としては、天然ラテックスに、ＳＢＲエマルジョン、ＩＲエマルジョン、アクリル重合体、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合体のいずれか一つ又は二つ以上の混合物を所定割合で添加したものを使用することもできる。接着剤の塗布厚さは、通常、約５〜１００μｍの範囲であり、好ましくは、約１０〜６０μｍである。

ファスナ手段２１，２２は、シャーシ１０の縦方向における前後ウエスト域１２，１３の両端縁の近傍間の範囲にわたって連続的かつ帯状に延在していることが好ましい。その理由は、物品を着用者に着用させるため、保護者や介護者らが後側ウエスト域１３又は前側ウエスト域１２の対向側部をつかんで該域を引っ張るとき、その張力を該域のほぼ全域に及ぼすことができるので、該域に皺が派生したり偏在したりすることで、該域が身体に十分に密着しなかったり不恰好に当てられたりすることを防止することができ、広範囲の係合面積を確保して係合強度を高めることができ、また、前後ウエスト域１２，１３が、ファスナ手段２１，２２が有する剛性によってその形状を保持し、ファスナ手段２１，２２の係脱操作が容易になるからである。このような効果を有する限り、ファスナ手段２１，２２は、図示されていないが、図示例とは異なり、物品の縦方向に断続していてもよいし、また、物品の横方向へ複数並列していてもよい。

図示例の形態の場合、ファスナ手段２１，２２のサイズは、おむつのサイズにもよるが、幅２ｍｍ〜３０ｍｍ、縦５０ｍｍ〜２００ｍｍのものが適用可能であり、好ましくは、幅５ｍｍ〜２０ｍｍ、縦５０ｍｍ〜１５０ｍｍである。このサイズは、ファスナ手段２１，２２が、特に接着剤をシャーシ１０に直接的又は間接的に塗布してなるものである場合において、該ファスナ手段の充分な剥離及びせん断強度を確保するうえで有効である。

図３に最もよく見られるように、吸収構造体１８は、吸液性コア２８と、コア２８の上面を覆う可撓性・透液性上面シート２９と、コア２８の底面を覆う可撓性・液抵抗性下面シート３０とを含む。上下面シート２９，３０は、コア２８の周縁から外方へ延出して互いに接合する部分３１，３２を有する。さらに、吸収構造体１８は、その対向側に配置されている一対の比較的高い可撓収縮性及び液抵抗性を有するフラップ３３を含む。フラップ３３は、ベースシート１７と前記部分３１との間に固定されている基縁部３４と、遠位縁部３５と、対向端部３６とを有し、内方へ折り返された状態で該対向端部が上面シート２９に接合されている。フラップ３３は、それ自体を上面シート２９から上方へ離間させるための弾性スペース手段としての、伸長下に遠位縁部３５に取り付けられている弾性部材３７を有し、その離間によって排泄物を受止するためのチャネル３８が形成されている。

コア２８は、少なくとも、それぞれ公知のフラッフパルプと、水不溶性にして自重２０倍以上の吸収能を有するポリマー粒子との混合からなり、適宜圧縮されている。したがって、コア２８は、可撓性が高い上下面シート２９，３０に比較して剛性が高く、いわゆる半剛性を有する。図示されていないが、コア２８は、その製造、保形性、前記粒子のこぼれ落ち防止などのうえから、その全体がティシュペーパなどの液吸収拡散性シートで被覆されていることが好ましい。

上下面シート２９，３０は不織シートからなる。この不織シートとしては、一般的には、公知の各種の繊維不織布製造方法によってえられ、この種の物品の構成材料として慣用されている繊維不織布を適用することができる。

<第２の実施の形態>
説明を簡潔にするため、第１の実施の形態に係る発明の構造及び部材に対応するそれらについては、可能な範囲で同じ符号を付して、説明が省略されている。

図５においては、第１の実施の形態とは後側ウエスト域１３の対向側のみが異なる形態を示す。この形態においては、後側ウエスト域１３の対向側の耳部が一連のシャーシ１０の一部によって形成されている第１の実施の形態とは異なり、後側ウエスト域１３の対向側に別材料からなる耳フラップ１３Ａが連接されることで、シャーシ１０の一部を形成している。耳フラップ１３Ａは、ベースシート１７と少なくとも同等の引張強度を有し、好ましくは、ベースシート１７を形成するそれぞれのシート材料よりも高い剛性を有する繊維不織布などのシート材料から形成され、シャーシ１０に対する連接は、シャーシ１０の側縁部と耳フラップ１３Ａの基縁部とをヒートシール、ソニックシールなどの適宜な手段によるシームライン３９でなされている。耳フラップ１３Ａの内面にはファスナ手段２２が配置されている。

<製造方法の実施の形態>
図６において、前後ウエスト域１２，１３の一方に対する弾性部材１９を配置する方法が略図をもって示されている。すなわち、この図では、前後ウエスト域１２，１３の一方に相当する部分を含む連続ウエブ１１７が、その他方に相当する部分、吸収構造体１８及び脚開口の弾性部材２０などを省略して示されている。

この方法では、前記ベースシート１７とすべき連続ウエブ１１７には、互いに離間並列する複数条の連続弾性部材１１９が所要倍率で伸長させられながら供給される。前記中間域２３に相当するウエブ１１７の第１域１２３には、ホットメルト型接着剤（図示せず）が塗布される一方、前記対向側域２４に相当する第２域１２４には前記接着剤が塗布されない。前記接着剤が塗布されている第１域１２３には、その接着剤を介して弾性部材１１９が固定される。ウエブ１１７の第２域１２４には、ファスナ手段２１としてのメカニカルファスナ又は感圧性接着剤をシャーシ１０に直接又は間接的に塗布してなるファスナが固定される。ウエブ１１７は、弾性部材１１９とともに、互いに隣接する第２域１２４どうしの境界線１５０上に沿って切断される。この切断によって、図の左側に示されるように、第２域１２４に位置する弾性部材１１９の部分は、その収縮（スナップバック）によって自動的に収縮させられることになる。

なお、この方法の実施においては、前記切断は、全ての構成部材が組み込まれている個々の物品が連続ウエブとして連続的に並列する状態において、個々の物品に切り離されるときになされ、かつ、そのようになされることが物品の高速量産のうえで好ましい。

＜第３の実施の形態＞
この形態においても、説明を簡潔にするため、第１の実施の形態に係る発明の構造及び部材に対応するそれらについては、可能な範囲で同じ符号を付して、説明が省略されている。

図７〜図９において、この発明に係る物品は、吸収性シャーシ１０の前側ウエスト域１２と後側ウエスト域１３との対向側縁部と、各耳フラップ４０の側縁部とが重ね合わせられた状態でそれら縁部に沿って延在するシームライン４１で連接されている。この連接によって、ウエスト開口４２と、一対の脚開口４３とが画成されているパンツ型おむつが構成されている。

前側ウエスト域１２の対向側域２４に、中間域２３における弾性部材１９と連続する同部材部分が延在する状態において、物品の縦方向へ間欠的に延びその横方向へ複数並列するように設けられた複数のスリット４４によってベースシート１７と同時にその長さ方向へ細かく切断されることにより、対向側域２４における弾性部材１９の切断部分が、実質的に収縮性を失っている。弾性部材１９のこのような切断は、一般的には、鋭利な刃物によって機械的に押し切りしてなされる。しかし、これにかえてアンビルとホーンとを備える超音波装置から発せられる超音波によってなされてもよい。この超音波による処理においては、ベースシート１７が切断されることなく、弾性部材が切断又は劣化されるようになされうる。また、そのように収縮性を失わせるには、失わせるベースシート１７の領域にホットメルト接着剤を塗布して硬化させて該領域を剛性化することもできる。

スリット４４は、弾性部材１９に対してその収縮性を失わせるほかに、前側ウエスト域１２を引き裂くための機能をも有するようにしてあるところ、その引き裂きを容易にするため、シームライン４１に隣接するスリット４４の少なくともライン４４ａは、前側ウエスト域１２の上縁からその下縁まで達していることが好ましい。前側ウエスト域１２の外面における対向側域２４のほぼ内側半分と中間域２３の対向側縁部とを覆うように比較的大きい輪郭サイズを有する補強層４５が形成され、対向側域２４上の補強層４５にファスナ手段２１が固定されている。一方、耳フラップ４０の内面には、ファスナ手段２１と係脱可能なファスナ手段２２が固定されている。

耳フラップ４０は、ベースシート１７と少なくとも同等の引張強度を有し、好ましくは、ベースシート１７を形成するそれぞれのシート材料よりも高い剛性を有する繊維不織布などのシート材料から形成することができ、図示されていないが、図示例とは異なり、後側ウエスト域１３と一連の素材から形成されてもよい。

補強層４５は、繊維不織シートやプラスチックフィルムなど適宜の強度及び剛性を有するシートをベースシート１７に、ホットメルト型接着剤、ヒート又はソニック溶着などで接合して形成されるほか、前記接着剤を塗布して硬化させることによって形成されてもよい。後者の場合には、ベースシート１７を構成する前記不織シート２５の内面であることが好ましい。この補強層４５は、ファスナ手段２１が位置する領域及びスリット４４が位置する領域の少なくとも一部を補強して該手段の変形及び後者の領域の破損を有効に防止し、ファスナ手段２１，２２の係合を安定化させることができる。

この実施の形態において、対向側域２４における弾性部材１９の収縮性を失わせることを含む物品の製造方法は図示されていないが、スリット４４を設けること及び補強層４５を形成することを除き、第１の実施の形態における製造方法を利用することができ、この説明からその方法は自明であるので省略されている。

この実施の形態に係る物品では、必要又は好みに応じて、引き裂き案内としてのスリット４４ａに沿って前側ウエスト域１２を引き裂くと、開放型おむつに変形させることが可能である。

また、スリット４４で弾性部材１９の収縮性を失わせることや、補強層４５を形成することは、第１及び第２の実施の形態にも適用可能である。その他、第１ないし第３の実施の形態は、それらの構成を適宜組み合わせることで、図示されていない形態に係る構成を採択することができる。

この発明の第１の実施の形態に係る使い捨ておむつの組み立て状態の斜視図。 図１のおむつの開放状態の斜視図。 図１のおむつの中央横断面図。 図２のＩＶ−ＩＶ線に沿う断面図。 この発明の第２の実施の形態に係る使い捨ておむつの開放状態の斜視図。 第１及び第２の実施の形態に係るおむつの製造工程の一部を示す一部省略平面図。 この発明の第３の実施の形態に係る使い捨ておむつの組み立て斜視図。 図７のおむつの一部開放状態の斜視図。 図８のＩＸ−ＩＸ線に沿う断面図。

符号の説明

１０ シャーシ
１２ 第１又は第２（前側又は後側）ウエスト域
１３ 第２又は第１（後側又は前側）ウエスト域
１４ 股下域
１７ ベースシート
１８ 吸収構造体
１９ 弾性部材（第１弾性手段）
２０ 弾性部材（第２弾性手段）
２１ ファスナ手段
２２ ファスナ手段
２３ 中間域
２４ 対向側域
２５ 不織シート
２６ 不織シート
４５ 補強層
１１７ ウエブ
１２３ 第１域
１２４ 第２域
１５０ 境界線

Claims (15)

1. 第１ウエスト域、第２ウエスト域、これらウエスト域間に股下域及び前記股下域の対向側にレッグ域を有する吸収性シャーシを含み、前記第１及び第２ウエスト域のうちの少なくとも前記第１ウエスト域に着用者のウエスト周り方向へ作用する第１弾性手段と、前記レッグ域に着用者のレッグ周り方向へ作用する第２弾性手段と、前記第１ウエスト域の対向側に前記第１及び第２ウエスト域を互いに係脱可能に連結するためのファスナ手段とを備える使い捨て吸収性物品において、
   前記第１ウエスト域が、弾性化中間域と、前記中間域の対向側に連なる非弾性化対向側域とを有し、前記ファスナ手段が前記対向側域にそれぞれ配置されていることを特徴とする前記物品。
2. 前記ファスナ手段の前記対向側域に対する配置が、前記第１ウエスト域とは別材料から形成されている補強層を介してなされている請求項１に記載の物品。
3. 前記シャーシが、内面及び外面を有する可撓性・液抵抗性ベースシートと、前記内面に固定的に配置されている半剛性吸収体とを含む請求項１又は２に記載の物品。
4. 前記ベースシートが、少なくとも二枚のシートが間欠的に接合されているラミネートシートを含み、前記第１及び第２弾性手段が前記二枚のシート間に配置されている請求項３に記載の物品。
5. 前記第１弾性手段が前記中間域のほぼ全域に配置されている請求項１〜４のいずれかに記載の物品。
6. 前記第１及び第２弾性手段がゴム弾性を有する複数条の糸状又は紐状物である請求項１〜５のいずれかに記載の物品。
7. 前記ファスナ手段が、メカニカルファスナ、接着剤を前記シャーシの所要部位に直接的又は間接的に塗布してなるファスナのいずれかである請求項１〜６のいずれかに記載の物品。
8. 前記ファスナ手段が、前記シャーシの縦方向における前記第１ウエスト域の両端縁の近傍間の範囲にわたって連続的又は間欠的に配置されている請求項１〜７のいずれかに記載の物品。
9. 前記第１及び第２弾性手段が、複数条の弾性部材から構成され、前記弾性部材の長さ方向端が、前記ファスナ手段の長さ方向側縁の近傍に、該側縁と交差する方向に延在している請求項１〜８のいずれかに記載の物品。
10. 前記物品が、開放型おむつ、パンツ型おむつのいずれかである請求項１〜９のいずれかに記載の物品。
11. 前記シャーシの一部を構成するベースシートとすべき連続ウエブに互いに離間並列する複数条の連続弾性部材が伸長させられながら供給され、前記中間域に相当する前記ウエブの第１域に前記弾性部材が固定されることと、前記対向側域に相当する前記ウエブの第２域に位置する前記弾性部材が非弾性化処理を施されることとを含む請求項１に記載の物品の製造方法。
12. 前記第２域における前記非弾性化処理は、前記第２域における前記弾性部材が前記第２域に固定されず、互いに隣接する前記第２域どうしの境界線上に位置する前記弾性部材が該境界線上において切断されることによって前記第２域における前記弾性部材が収縮させられることである請求項１１に記載の製造方法。
13. 前記第２域における前記非弾性化処理は、前記第２域における前記弾性部材が、前記第２域に固定された状態において、切断されることである請求項１１に記載の製造方法。
14. 前記第２域における前記非弾性化処理は、前記第２域における前記弾性部材が、前記第２域に固定された状態において、前記第２域に対する複数のスリットの形成によって前記第２域における前記ベースシートと同時に切断されることである請求項１１に記載の製造方法。
15. 前記弾性部材の固定は、前記ウエブに間欠的に塗布された接着剤でなされる請求項１１〜１４のいずれかに記載の製造方法。

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