JP2005082164A - 咬合具および包装袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 長尺の互いに咬合する雄部又は雌部と基部からなる咬合具であって、基部の樹脂が咬合部と一体の樹脂層(B)、反咬合側樹脂層(A)、咬合側樹脂層(C)から形成され、各樹脂の融点の関係が、(C)>(B)>(A)であることを特徴とした咬合具。具体的には、各層樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、各層樹脂の融点差が5℃以上で、樹脂層(B)の樹脂は、融点が、95〜125℃の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体またはエチレン−極性ビニルモノマー共重合体である。特に、樹脂層(A)の樹脂は、密度が850〜910kg/m3であるメタロセン触媒で製造された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体である。
【選択図】 図1
Description
これらの問題点の解消のために、咬合具の咬合部や基部を耐熱性の異なる樹脂を用いることも提案されている。(たとえば、特許文献2、3、4)。
また、ガセット式包装袋では、前段として、ガセット式の筒状を形成した後にテープ状咬合具を融着する方法、基材フィルムの中央部にテープ状咬合具を融着した後にガセットを形成しながら筒状となし、次いで他方の咬合具を融着する方法が採用されている。しかし、いずれにしても、ガセット式袋では、咬合具テープは、フィルムの走行方法に直角(横方向)に挿入される。このため、テープ状咬合具の融着に際して、前記のセパレータは利用できない。さらに、融着の際に基材フィルムの厚みが異なるため、融着条件によっては、融着強度不足、咬合部の変形などが発生する問題がある。
また、咬合具の基部を多層にする前記提案の咬合具においては、咬合具としての特性、フィルムとの融着強度、フィルムへの融着加工性のすべてを満足するものではなく、特に咬合具の咬合特性を最適化して、再咬合性を高めた、咬合具付き包装袋を得ることが困難であった。
すなわち、
1.長尺の互いに咬合する雄部または雌部の咬合部と基部とを備えた咬合具であって、前記基部の樹脂が前記咬合部と一体の中間樹脂層(B)、基材フィルムとの融着層となる反咬合側樹脂層(A)、咬合側樹脂層(C)を備えて形成され、各樹脂の融点の関係が、(C)>(B)>(A)であるように樹脂を選択して構成された咬合具に係わるものである。
本発明によれば、十分な咬合具としての特性を確保したままで、製袋時の低温ヒートシール性、テープ状咬合具の走行性などの製袋特性を大幅に向上する。
2.各層樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、各層樹脂の融点差が5℃以上である樹脂で構成された咬合具に係わるものである。
3.前記において、中間樹脂層(B)の樹脂は、融点が、95〜125℃の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、またはエチレン−極性ビニルモノマー共重合体で構成された咬合具に係わるものである。
4.前記において、樹脂層(A)の樹脂は、密度が850〜920kg/m3であるメタロセン触媒で製造された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、または密度が910〜950kg/m3のエチレン−酢酸ビニル共重合体で構成された咬合具に係るものである。
5.前記において、樹脂層(C)の樹脂がプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、高密度ポリエチレン、密度920kg/m3以上の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれた少なくとも一種、または2種以上の組成物、すなわち主要成分樹脂のみ、または複数樹脂との組成物で構成された咬合具に係わるものである。
また、本発明は、
6.前記の咬合具を袋本体内に融着してなる包装袋に係わるものである。
7.咬合具を備えたガセット式包装袋に係わるものである。
図1において、咬合具300は、一対の雄部310および雌部320と基部311、321をそれぞれ備えている。この咬合具はテープ状であって咬合具は例えば鎖線で示す袋本体のフィルム200、210の内面側で互いに対向する位置にそれぞれ融着固定されることにより咬合具を備えた包装袋となる。
雌咬合具320は、同様に、基部321と、咬合部322とを備えている。雌基部321は、長手帯状に形成され、厚さ寸法が例えば50μm〜250μm程度に形成されている。この雌基部321は、雌咬合部と一体の中間樹脂層(B)321B、フィルムとのヒートシール面を構成する反咬合側樹脂層(A)、321A、ヒートシール時のセパレータ面に対応する、咬合側樹脂層(C)321Cの少なくとも3種からなる基部が3層構造に構成されている。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などを例示できる。中でも、ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。ポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(LLDPE)、メタロセン触媒で製造された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(M−LLDPE)、エチレン−極性ビニルモノマー共重合体などを例示できる。
ここで、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体のα-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1などを例示できる。また、密度としては、850〜940kg/m3、融点としては、60〜130℃の範囲である。また、エチレン−極性ビニルモノマー共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体などを例示できる。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、メタロセン触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体などを例示できる。
また、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、これらポリエステルのジオール成分の一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの他のジオール成分に置き換えた低結晶性のポリエステルなどが例示できる。ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66などを例示できる。
したがって、咬合具と一体の樹脂層(B)である中間樹脂層の樹脂が、咬合強度、咬合性、再咬合性、密封性などの特性に合わせて適宜選定される。次いで、この中間層の樹脂の融点を基準として、シール層となる反咬合側樹脂層(A)の樹脂の融点が低く、咬合側樹脂層(C)の樹脂の融点が高くなるようにそれぞれの樹脂が選定される。
この場合の融点差は、用途、包装袋の形式などにより適宜決定することができる。たとえば、ポリオレフィン系樹脂からなる場合には、好ましくは、5℃以上、より好ましくは10℃以上である。
具体的には、咬合部と一体の樹脂層(B)の樹脂としては、咬合性の観点から融点が95〜125℃、好ましくは100〜120℃、また、密度が910〜935kg/m3、好ましくは915〜930kg/m3の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体から選定される。
好ましくはプロピレン系共重合体であり、これを用いることで3層共押出しによる基部のカールを低減させることが出来る。更に好ましくはプロピレン−エチレン−ブテン1共重合体であり、これを用いることでカールの低減と同時に中間層樹脂(B)との接着強度が高まる。
これらの樹脂としては、さらにメタロセン系触媒で製造されたポリオレフィン樹脂や、プロピレン−エチレンブロック共重合体、高密度ポリエチレン、密度920kg/m3以上の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれる。
この場合、必要により、主要樹脂成分に対して、他の樹脂を適宜配合して、咬合具の成形性、製品の品質の安定化を図ることができる。たとえば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体などのプロピレン系ランダム共重合体に高密度ポリエチレン、密度が920kg/m3以上の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体などを50質量%以下適宜併用することができる。このようにすることにより、中間層樹脂(B)との接着強度が高めることができる。
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂のMFR(メルトフローレート)は、たとえば1〜50g/10分、好ましくは、2〜30g/10分である。なお、本発明における、融点、密度、MFRは、それぞれJISK7121、JISK7112、JISK7210に基づいて測定したものである。
本発明の咬合具は、これらの樹脂あるいは樹脂組成物を構成する樹脂原料を、3台の押出成形機を用いて、咬合具の雄・雌形状のダイから押し出し冷却することによって製造される。この場合に、各層の厚みは、押出成形機のシリンダ径、回転数の制御などにより最適化することができる。
咬合具基部の厚みとしては、通常50〜300μm、好ましくは80〜250μmである。また、シール層となる反咬合部側樹脂層(A)の厚みとしては、通常5〜100μm、好ましくは10〜80μmである。さらに、咬合部側樹脂層(C)の厚みとしては、通常3〜100μm、好ましくは5〜50μmである。なお、これらの各層は図1に示すような均一厚み層に限定されるものではなく、シール層となる反咬合部側樹脂層(A)、咬合部側樹脂層は本発明の効果を損なわないかぎり、幅方向に不均一厚み、あるいは、不連続であってもよい。
次に、上記咬合具をフィルムに融着する。図2は、咬合具をセパレータを用いて融着する状況を示す一例を示す説明図である。
咬合具のフィルムへのヒートシール部410は、図2に示すように、一対のヒートシール用加熱体411と、一対のセパレータ412と、を備えている。ヒートシール用加熱体411は、ポリプロピレンなどのフィルム200、210の内側で互いに対向配置される長手状に形成されている。このヒートシール用加熱体411は、長手方向に沿って溝状で、雄部312あるいは雌部322が潰れずに挿入可能な凹溝部411Aを有した断面略凹状に形成されている。そして、ヒートシール用加熱体411は、凹溝部411Aの両側部分にて、フィルム200に雄部312を有する基部311を、またフィルム210に雌部322を有する基部321を融着する。
次いで、咬合具の融着された二重になったフィルムは、移送方向と直行する方向で、袋のサイズに合わせてサイドシールが行われる。また、通常は、袋の開封時の開口となる咬合具の端部もヒートシールされる。サイドシール時、またはその前の工程でサイドシール部の咬合具が潰される。その後、サイドシール部の略中央を切断(溶断)して包装袋が製造される。この包装袋は、咬合具融着部の反対側(底部)が開口しており、この開口から食品などが挿入され、開口部をヒートシールすることにより包装体となる。
上述したように、上記一実施の形態では、以下に示す特有の作用効果を奏する。
ヒートシール用加熱体との密着性も少なく、良好なヒートシール作業性および良好な咬合性を有する咬合具付袋を容易に得ることができる。さらに、融着時に例えばセパレータなどを利用する際に、基部の咬合具側樹脂層の樹脂が最も融点の高い樹脂、たとえば高密度ポリエチレン、ランダムポリプロピレン共重合体樹脂、あるいはこれらの混合樹脂組成物にて形成され樹脂層により、セパレータと摺接しても滑り性を向上させるために添加するスリップ剤の析出を抑制でき、またスリップ剤の添加量を減少してもセパレータとの良好な滑り性が得られ、スリップ剤の添加量を減少でき、析出するスリップ剤が包装袋内に異物として混入することを抑制でき、特に食品用包装袋として好適に用いることができる。
また、ガセット式包装袋の場合のように、セパレータ無しのテープ状咬合具のフィルム走行に対して横方向に挿入する場合においても、十分な融着を幅広い温度範囲で咬合具の咬合特性を維持して融着できる。
なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
また、咬合具を構成する雄部、雌部の形状は、上述した形状に限らず、例えば図3に示すような雄部と対応する雌(図示せず)を断面矢印形状にするなど、再封止可能ないずれの形状の咬合部とすることができる。また、図4に示すように、反咬合側樹脂層(A)311Aおよび咬合側樹脂層(C)311Cにて中間樹脂層(B)311Bがくるまれるように基部311を構成するなどしてもよい。さらに、図5に示すように、一対の雄部を所定間隔で設け、間に雄部が挿入係合することで咬合可能とするなどしてもよい。
実施例1〜3、比較例1〜3
上記実施の形態、すなわち3層構造の雄基部311および雌基部321を有した咬合具300を表1に示す各種樹脂を用いて、3台の押出成形機を用いて押出形成し、咬合具を成形した。なお、咬合具側樹脂層(C)/咬合部と一体の中間樹脂層(B)/反咬合側(シール層)樹脂層(A)の厚みは、30/70/50μmとした。
表1に示す樹脂は下記のとおりである。
LLDPE−1:融点が120℃、密度が915kg/m3でMFRが6g/10分のエチレン−オクテン−1共重合体、出光石油化学社製、商品名:モアテック0628、
LLDPE−2:融点が98℃、密度が903kg/m3でMFRが4g/10分のメタロセン触媒で製造されたエチレン−ヘキセン−1共重合体、三井化学社製、商品名:エボリュー SP0540 、
HDPE:融点が131℃、密度が955kg/m3でMFRが11g/分の高密度ポリエチレン、出光石油化学社製、商品名:HDPE 130J
LDPE:融点が109℃、密度が920kg/m3で、MFRが4g/10分の高圧法低密度ポリエチレン、東ソー社製、商品名:ペトロセン 190
RPP:融点が133℃、密度が900kg/m3でMIが5.4g/分のプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、出光石油化学社製、商品名:F−794NV
表1に示す添加剤は下記のとおりである。
SL剤:スリップ剤:エルカ酸アミドであり、表中の添加量となるべく必要に応じてマスターバッチなどで調整した。
表2に示す、セパレータ無しの咬合具を横挿入する製袋方法として、ヒートシールである融着温度を適宜変更し、融着状態を観察した。その結果を表2に示す。評価は以下の基準に基づいて評価した。
△m:融着が僅かに不十分でT字剥離で一部の後退が認められる
△y:咬合具の内側に容易に剥離可能な若干の融着が発生
×m:融着が不十分で融着強度が不足
×y:咬合具の内側に融着が発生
○:析出が認められない又は僅かに析出が認められる
△:一部白粉となって袋本体に転着するおそれがある状態
・テープ状咬合具シール時の走行性
○:セパレータとの密着がほとんどなく、走行性が良好
△:セパレータとの密着は若干あるが、走行性はほぼ良好
×:セパレータとの密着があり、走行性が不良でシール際の外観の美麗性に劣る。
・咬合具基部のカール
○:カールの発生がほとんどない状態
△:カールは発生しているが実用上使用可能な状態
300…咬合具
310,320…雄・雌咬合具
311,321…基部
311A,321A…反咬合部側樹脂層(シール層)
311B,321B…咬合部と一体の中間樹脂層
311C,321C…咬合部側樹脂層
Claims (7)
- 長尺の互いに咬合する雄部または雌部の咬合部と基部とを備えた咬合具であって、
前記基部の樹脂が前記咬合部と一体の中間樹脂層(B)、反咬合側樹脂層(A)、咬合側樹脂層(C)を備えて形成され、各樹脂の融点の関係が、(C)>(B)>(A)である
ことを特徴とした咬合具。 - 請求項1に記載の咬合具であって、
各層樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、各層樹脂の融点差が5℃以上である
ことを特徴とした咬合具。 - 請求項1または請求項2に記載の咬合具であって、
前記中間樹脂層(B)の樹脂は、融点が、95〜125℃の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体またはエチレン−極性ビニルモノマー共重合体である
ことを特徴とした咬合具。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の咬合具であって、
樹脂層(A)の樹脂は、密度が850〜920kg/m3であるメタロセン触媒で製造された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体、または密度が910〜950kg/m3であるエチレン−酢酸ビニル共重合体である
ことを特徴とした咬合具。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の咬合具であって、
樹脂層(C)の樹脂は、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、高密度ポリエチレン、密度920kg/m3以上の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体から選ばれた少なくとも一種、あるいはこれら二種以上の組成物である
ことを特徴とした咬合具。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の咬合具が袋本体内に融着された
ことを特徴とした包装袋。 - 請求項6に記載の包装袋であって、
ガセット袋である
ことを特徴とした包装袋。
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