JP2005079327A - バリスタ及びバリスタの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ESD耐量が高く、かつ、高周波信号に対する波形の劣化が少ないバリスタ、及び、バリスタの製造方法を提供する。
【解決手段】
ZnOを主成分とする第一結晶粒、及び、Zn、Co及びSiを含む酸化物を主成分とする第二結晶粒を含む磁器組成物と、磁器組成物を挟む一対の電極板とを有するバリスタである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、バリスタ、及び、バリスタの製造方法に関する。
従来より、電子回路におけるサージの吸収、抑制等をすべく、ZnOを主成分として含む誘電体を一対の電極ではさんだZnO系のバリスタが知られている(特許文献1参照)。
特開平6−13260号公報
近年では、通信機器等における通信速度の高速化等に伴い、例えば、USB2.0の240MHzの信号等の、高周波の信号が伝達される電子回路においてこのようなZnO系のバリスタを使用する必要がある。そして、このような高周波信号が伝達される電子回路においては、高周波信号に対する波形の劣化を低減すべくZnO系のバリスタの静電容量を低くして、バリスタのインピーダンスを高くすることが求められている。
しかしながら、従来のZnO系のバリスタにおいて、単に対向する電極の面積を小さくしてインピーダンスを低下させても、電極単位面積当たりの電流密度が高くなって、静電気放電(ESD: ElectroStatic Discharge)に対する耐量(ESD耐量)が低下し好ましくない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ESD耐量が高く、かつ、高周波信号に対する波形の劣化が少ないZnO系のバリスタ、及び、バリスタの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ZnOを主成分とする第一結晶粒と、Zn、Co及びSiを含む酸化物を主成分とする第二結晶粒と、を含む磁器組成物を有するバリスタは、周波数が高くなるにつれて静電容量が低下する性質があることを見いだし、本発明に想到するに至った。
本発明にかかるバリスタは、ZnOを主成分とする第一結晶粒、及び、Zn、Co及びSiを含む酸化物を主成分とする第二結晶粒を含む磁器組成物と、磁器組成物を挟む少なくとも一対の電極板と、を有する。
このような磁器組成物を有するZnO系のバリスタは、周波数が高くなるほど静電容量が低くなる。このため、電極面積を従来と同程度にしてESD耐量を維持しても、高周波信号に対する静電容量が従来よりも低くなるので高周波信号に対するインピーダンスを高くすることができる。
ここで、第一結晶粒は、Co及びAlを含んでおり、また、第一結晶粒間の粒界に、Pr,K,Cr,Ca及びSiを含む酸化物が存在していることが好ましい。
Coは、ZnO系の第1結晶粒の粒界の界面準位を形成し、電圧非直線性の発現に大きく寄与する。また、Alは、ZnO系の第1結晶粒の半導体化剤として好適に作用する。また、Pr,K,Cr,Ca及びSiを含む酸化物が第一結晶粒同士の粒界に存在している場合、焼結時における磁器組成物の結晶粒界への酸素拡散速度が速いため焼結性が高くなる。また、焼結を制御して結晶の粒度の均一性を高くすることが容易となる。
ここで、周波数を高くしていった場合にバリスタの静電容量を十分に低下させるための第二結晶粒の酸化物の好適な組成としては、(Zn1−xCoSiOが挙げられる。ここで、0<x<1である。特に、x=0.1である(Zn0.9Co0.1SiOが好ましい。
また、第一結晶粒及び前記第二結晶粒をあわせた全体積に対する第二結晶粒の体積分率が、5%以上60%未満であることが好ましい。
これによれば、周波数が高くなると静電容量が十分低くなる性質を備えつつ、非線形定数αを大きくできて好ましい。ここで、第二結晶粒の体積分率が5%以下になると、周波数が高くなっても静電容量が十分に低くならない傾向がある。一方、第二結晶粒の体積分率が60%以上となると、非線形定数が小さくなって、バリスタとして機能しにくくなる傾向がある。
また、磁器組成物及び一対の電極板を含む素体が、複数積層されていることが好ましく、このような積層バリスタは、小型化が可能である。
本発明にかかるバリスタは、磁器組成物と、磁器組成物を両側から挟む一対の電極板と、を備えるバリスタであって、周波数1MHzにおける静電容量が、周波数1kHzにおける静電容量の90%以下である。
このようなバリスタは、周波数が高くなるほど静電容量が低くなるため、電極面積を従来と同程度にしてESD耐量を維持しつつ、高周波信号に対するインピーダンスを高くできる。
本発明にかかるバリスタの製造方法は、Zn、Co、及び、Siを含む粉末を成形して成形体とする工程と、前記成形体を焼成してZnOを主成分とする第一結晶粒及びZn、Co及びSiを含む酸化物を主成分とする第二結晶粒を有する磁器組成物を得る工程と、を含む。
これによれば、上述のバリスタを好適に製造できる。
本発明によれば、ESD耐量が高く、かつ、高周波信号に対する波形の劣化が少ないバリスタを提供できる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るバリスタの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るバリスタ2を説明する概略断面図である。このバリスタ2は、磁器組成物からなる電圧非直線性抵抗体層10と、電圧非直線性抵抗体層10内に形成された一対の平板状の内部電極層(電極板)4,4と、電圧非直線性抵抗体層10の両端面に各々形成された外部電極12,14と、を備えている。
電圧非直線性抵抗体層10は、外形が略直方体状に形成されている。電圧非直線性抵抗体層10の磁器組成物の詳細については後で詳述する。
内部電極層4,4は、電圧非直線性抵抗体層10内に形成された導電層であり、電圧非直線性抵抗体層10の厚み(上下)方向に互いに離間されて対向し、電圧非直線性抵抗体層10のうちの中央部10cを挟みこんでいる。ここで、一対の内部電極層4,4及び電圧非直線抵抗層10の中央部10cがバリスタ素体50を形成している。
一方(上方)の内部電極層4の一端は電圧非直線性抵抗体層10の一方(左方)の端面まで達しており、外部電極12と電気的に接続されている。また、他方(下方)の内部電極層4の他端は、電圧非直線性抵抗体層10の他方(右方)の端面まで達しており、外部電極14と電気的に接続されている。内部電極層4,4は、導電性材料であり、例えば、Pd等の金属材料を使用できる。ここで、内部電極層4,4同士が対向する部分の面積を、重なり面積Sとする。
外部電極12、14は、電圧非直線性抵抗体層10において互いに対向する側面10a、側面10b上に各々形成されている。外部電極12,14は導電材料であり、たとえば、Ag等の金属材料を利用できる。さらに、外部電極12及び外部電極14は、電圧非直線性抵抗体層10の上面10c及び下面10dよりも各々上下方向に突出するように形成されている。
そして、電圧非直線性抵抗体層10は、図2に示すように、ZnOを主成分とする第一結晶粒100と、Zn、Co、Siを含む酸化物を主成分とする第二結晶粒120と、を有する多結晶体としての磁器組成物である。第二結晶粒120は、第一結晶粒100間に分散されている。ここで、第一結晶粒100と第一結晶粒100との境界部分を粒界130とする。
このような電圧非直線性抵抗体層10を有するバリスタ2は、周波数が高くなるほど静電容量が低くなる傾向がある。したがって、従来と同程度のESD耐量を維持できるように電極の重なり面積Sを設定しても、高周波における静電容量を従来のZnO系のバリスタに比べて十分低くできる。このため、高周波信号に対するインピーダンスを高くすることができ、ESD耐量が高く、かつ、高周波信号に対する波形の劣化の少ないバリスタが実現される。
ここで、ESD耐量とは、バリスタが吸収可能な静電気の大きさの目安であり、例えば、IEC(International Electrotechnical Commission )の規格IEC61000−4−2に定められている静電気放電イミュニティ試験によって測定できる。
本実施形態のような構成の電圧非直線性抵抗体層10を有するバリスタ2において、高周波になるほど静電容量が低くなる理由は、例えば、以下のように考えることができる。
まず、バリスタを、図3に示すように、第一結晶粒100、第二結晶粒120、及び、粒界130が直列に接続されたものと考え、第一結晶粒100を抵抗器R1とキャパシタC1との並列回路、第二結晶粒120を抵抗器R2とキャパシタC2との並列回路、粒界130を抵抗器RbとキャパシタCbとの並列回路と想定する。
そして、図3のようなバリスタの等価回路において、回路シミュレータの「スパイス」を用いてフィッティングを行って、バリスタの静電容量変化率ΔCを求めた。
ここで、ZnOを主成分とする第一結晶粒100における抵抗器R1の抵抗を1Ω、第一結晶粒100におけるキャパシタC1の静電容量を0.1pFとし、粒界130における抵抗器Rbの抵抗を600MΩ、粒界130におけるキャパシタCbの静電容量を4pFとして固定した。
図4は、第二結晶粒120のキャパシタC2の静電容量を8pFとしたときに、第二結晶粒120の抵抗器R2の抵抗を変化させたときの、バリスタ2の静電容量変化率ΔCを示す図である。また、図5は、第二結晶粒120の抵抗器R2の抵抗を60kΩとしたときに、第二結晶粒120のキャパシタC2の静電容量を変化させたときの静電容量変化率ΔCを示す図である。
なお、静電容量変化率ΔCは、周波数1MHzで測定した静電容量をCHとし、周波数1kHzで測定した静電容量をCLとした場合に、ΔC=(CH−CL)/CLで定められる値とした。静電容量変化率ΔCが低い(負の値)ほど、周波数が高くなったときの静電容量の低下が著しいことを示す。
そうすると、このようなバリスタ2において、第二結晶粒120における抵抗器R2の抵抗と第二結晶粒120におけるキャパシタC2の静電容量とを所定の範囲とすることにより、周波数が高くなるにつれてバリスタ2の静電容量を低くすることができることが理解される。
具体的には、静電容量変化率ΔCを十分に低くするためには、第二結晶粒の抵抗器R2の抵抗とキャパシタC2の静電容量を、0.01MΩ≦R2≦50MΩ、かつ、0.1≦C2/Cb≦10とすることが好ましい。
そして、本実施形態に係るZn,Co,Siを含む酸化物である第二結晶粒120は、上述の条件の抵抗及び静電容量を示すため、本実施形態に係るバリスタ2は周波数が高くなるほど静電容量が十分に低下する傾向を示すものと考えられる。
ここで、第一結晶粒100は、Al原子及びCo原子を含んでいることが好ましい。Co原子は、ZnO系の第一結晶粒100の粒界130の界面準位を形成し、電圧非直線性抵抗層10の電圧非直線性の発現に大きく寄与する。また、Al原子は、ZnO系の第1結晶粒100の半導体化剤として好適に作用する。なお、Alに代えて、B,Ga,Inから選択される少なくとも一つの元素を含んでいても動作は可能である。
また、第一結晶粒100間の粒界130には、Pr,K,Cr,Ca及びSiを含む酸化物が存在していることが好ましい。Pr,K,Cr,Ca及びSiを含む酸化物が粒界130に存在している場合、電圧非直線性抵抗層10の結晶粒界への酸素拡散速度を速めることができ焼結性が良くなる。また、焼結時の焼結性が好適に制御できるので各結晶粒の粒度の均一性が高くなる。
なお、Prに代えて、Y,La,Ce,Nd、Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luから選択される少なくとも一つの希土類元素を含んでいても動作は可能である。また、K原子に代えて、Na,Rb,Csから選択される少なくとも一つの元素を含んでいても動作は可能である。また、Crに代えて、Mo原子でも動作は可能である。さらに、Caに代えて、Mg、Sr,Baから選択される少なくとも一つの元素でも動作は可能である。
ここで、第二結晶粒120の組成としては、(Zn1−xCoSiOが好ましく(0<x<1)、x=0.1である(Zn0.9Co0.1SiOがより好ましい。このとき、(Zn1−xCo):Si:Oの組成比は、2:1:4が好ましいが、多少の組成比のずれが合っても構わない。
また、第一結晶粒100及び第二結晶粒120をあわせた全体積に対する第二結晶粒120の体積分率を、5%以上60%未満とすることが好ましい。これによれば、静電容量変化率ΔCを十分低い値としつつ、バリスタ2の非線形定数αを大きくできて好ましい。ここで、第二結晶粒120の体積分率が5%以下になると、静電容量変化率ΔCが十分に低くならない傾向がある。一方、第二結晶粒120の体積分率が60%以上となると、非線形定数αが小さくなって、バリスタとして機能しにくくなる傾向がある。
なお、非線形定数αとは、バリスタ2に電圧Vを印加した場合の、電圧Vと電流Iとの関係をI=(V/C)αで近似したときのαを示す。ここで、Cは定数である。そして、αが1であれば、オーミック抵抗体を示し、1をこえて大きくなればなるほど、所定の電圧以下ではほとんど電流が流れにくくなるという電圧非直線特性、すなわち、バリスタ特性が十分に現れることを示す。
また、第一結晶粒100の好適な径は、2〜20μm程度であり、第二結晶粒120の好適な径は2〜20μmである。
さらに、内部電極層4,4がパラジウムを含む場合には、電圧非直線性抵抗体層10は、ビスマスを含まないことが好ましい。この場合、ビスマスがパラジウムと反応して酸化パラジウムの高抵抗層を形成し、バリスタ電圧や非線形定数が悪影響を受けることを防止できる。また、十分高い温度で焼結ができるため、電圧非直線性抵抗体層10及び電極層の焼結を十分行える。
次に、このようなバリスタ2の製造方法の一例について説明する。
まず、電圧非直線性抵抗体層10の原料粉体を含む原料スラリーを調製する。具体的には、Zn,Co,Siの原子を含む原料粉体をボールミル等で湿式混合し、原料スラリーを調製する。このような原料スラリーを構成する粉体としては、各元素についての酸化物、炭酸塩、炭酸塩水和物等があげられ、また、複数の元素を有する酸化物、炭酸塩、炭酸塩水和物等を用いてもよい。
ここで、焼結後に第一結晶粒100と第二結晶粒120とを好適に形成するためには、Zn,Co,Siの総モル数を100%としたときに、原料スラリーにおける粉体のZn,Co,Siの各原子分率を、Zn:20〜98.95%、Co:0.05〜50%、Si:1〜30%程度とすることが好ましい。
また、この原料スラリーにおける原料粉末は、上述の観点からAl原子を含むことが好ましく、Pr,K,Cr及びCaの原子を含むことが好ましい。好適なAl,Pr,K,Cr,Caの原子の含有比率は、Zn原子のモル数を100%としたときに、各々、0.0001〜1%、0.01〜10%、0.005〜5%、0〜2%、0.05〜5%、である。
なお、原料粉末は、Al原子に代えて、B,Ga,Inから選択される少なくとも一つの元素を含んでいてもよく、Prに代えて、Y,La,Ce,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luから選択される少なくとも一つの希土類元素を含んでもよく、K原子に代えて、Na,Rb,Csから選択される少なくとも一つの元素を含んでもよく、Crに代えて、Mo原子を含んでもよく、さらに、Caに代えて、Mg、Sr,Baから選択される少なくとも一つの元素を含んでもよく、いずれも焼結後にバリスタとして動作可能である。
また、ボールミル等での原料粉末の湿式混合においては、エチルセルロース、ポリビニルプチラール等の有機バインダを添加することが好ましく、さらに、混合用の溶媒としてとしてアセトン、トルエン等の有機溶媒を用いることが好ましく、さらに、ジブチルフタレート等の有機可塑剤を添加することが好ましい。
ボールミルで混合する場合のボールとしては、ジルコニアボール等が挙げられる。また、ボールミルにおける混合時間は20時間程度が好適である。
ここで、あらかじめ第一結晶粒100と同様の結晶組成の粉体や第二結晶粒120と同様の結晶組成の粉体をあらかじめ作製しておき、この粉体を用いて原料スラリーを調製してもよい。
例えば、第二結晶粒120として、(Zn0.9Co0.1SiOという結晶組成を想定すると、このような結晶組成の粉体は、Zn,Co,Si原子を1.8:0.2:1で含むように原料粉末を秤量し、これを水等の溶媒中でジルコニアボール等を用いてボールミル中で混合し、乾燥後、1200℃程度で2時間程度焼結し、水を溶媒としてジルコニアボールを用いたボールミル中で20時間程度粉砕し、乾燥することにより得ることができる。第1結晶粒100と同様の結晶組成の粉体も同様にして作製することができる。
つづいて、内部電極層4,4を形成すべく、焼成すると導電性材料となるパラジウム等の内部電極用粉体ペーストを用意する。
そして、基材上に、磁器組成物原料粉体層を一対の内部電極用粉体層で挟み込んだ積層体を形成する。ここで、磁器組成物原料粉体層は、原料スラリーをドクターブレード法等で塗布することにより形成できる。一方、内部電極用粉体層は、内部電極用粉体ペーストを印刷法等により磁器組成物原料粉体層上に積層することにより形成できる。そして、この積層体を、例えば、1200℃程度で焼成して焼結体を得る。そして、焼結体の側面に外部電極を形成することにより、図1に示すような積層型のバリスタ2を製造できる。
(第二実施形態)
続いて、図8を参照して第二実施形態に係るバリスタ202について説明する。本実施形態のバリスタ202が第1実施形態に係るバリスタ2と異なる点は、バリスタ素体50が、バリスタ素体50の内部電極層4が積層される方向に複数積層されている点である。各バリスタ素体50の下側の電極板4は、その下方に隣接するバリスタ素体50の上側の電極板4を兼ねている。
本実施形態の積層型のバリスタ202においても上述と同様の作用効果を奏するのに加え、多層構造とすることによってバリスタの小型化が可能となる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれらに限定される物ではない。
(実施例1)
まず、第二結晶粒用粉体を作成した。すなわち、ZnO,CoO及びSiOの粉体を18:2:10のモル比率で秤量し、水を溶媒としてZrOのメディアのボールミル中で20時間混合し、全量乾燥させた。さらに、乾燥した混合物を成形して仮成形体を得、この仮成形体を1200℃で2時間大気中で焼成して、(Zn0.9Co0.1SiO結晶を形成して仮焼結体を得た。そして、この仮焼結体をZrOのメディアのボールミル中で、20時間粉砕し、乾燥して、第二結晶粒用粉体とした。
続いて、ZnO,Pr11,CoO,Al,KCO,Cr,CaCO,SiOの各粉体を、各金属のモル比がZn:97.965%、Pr:0.5%、Co:1.5%、Al:0.005%、K:0.05%、Cr:0.1%、Ca:0.1%、Si:0.005%となるように秤量して本焼結用混合粉体を得た。そして、この本焼結用混合粉体に、上述の第二結晶粒用粉体と、有機バインダ、有機溶剤、および、有機可塑剤を加えて、ZrOメディアのボールミル中で20時間混合し、原料スラリーを得た。
ここで、第二結晶粒用粉体と、本焼結用混合粉体との混合比は、後述するように、焼結後の第二結晶粒の体積分率が5%となるように設定した。体積分率は、10本×10本のメッシュを電子顕微鏡写真上に作製し、その交点にいずれの結晶粒があるかを数えることにより求めた。
ここで、有機バインダとしては、ポリビニルブチラールを、有機溶剤としては、エタノール及びアセトンの混合物を、有機可塑剤としては、ジブチルフタレートを用いた。
続いて、PET製のフィルム上に、ドクターブレードを用いて、この原料スラリーを30μmの厚さで塗布し乾燥させてグリーンシートを多数形成した。さらに、グリーンシート上の一部にパラジウムペーストをスクリーン印刷により塗布して内部電極となるべき電極層を形成し、これを乾燥してPETフィルムから剥離し、グリーンシート/電極層の構成の積層体を得た。一方、電極層が形成されていないグリーンシートを複数毎重ねて保護用グリーンシート積層体を得た。そして、保護用グリーンシート積層体上に、上述の積層体を2つ積層し、さらに、保護用グリーンシート積層体を積層し、これらを圧着する事により、図1の構造を有する積層体を得た。
続いて、このような積層体を、加熱して圧着した後、所定のチップ形状となるように切断してグリーンチップとした。
このグリーンチップを、350℃で2時間熱処理をして、脱バインダーを行った後、1200℃で2時間空気中において焼結し、一対の内部電極層4,4および電圧非直線性抵抗体層10を含むバリスタ素体を得た。続いて、バリスタ素体の両端に銀を含むペーストを塗布し、800℃で焼き付けて、外部電極12,14を形成し、第一実施形態に係るバリスタ2を得た。得られたバリスタ2は、内部電極層4,4間の距離が20μm、内部電極層4,4による重なり面積Sが0.05mmであった。
(実施例2〜6)
第二結晶粒用粉体と、本焼結用混合粉体との混合比を、焼結後の第二結晶粒の体積分率が10%、15%、30%、45%、60%となるように設定する以外は実施例1と同様にして実施例2〜6のバリスタを得た。
(比較例1)
第二結晶粒用粉体を用いない以外は実施例1と同様にして、比較例1のバリスタを得た。
このようにして得られたバリスタについて、非線形定数α、及び、静電容量変化率ΔCについて各々測定した。
ここで、非線形定数αは、(1)式を用いて取得した。ここで、V1mAは電流1mAの時の電圧、V0.1mAは電流0.1mAの時の電圧である。
Figure 2005079327
また、静電容量変化率ΔCは、前述の定義に基づいて測定した。ここで、1kHz及び1MHzでの静電容量は、HP製の4284A装置により測定した。測定結果を図6の表、及び、図7,図8のグラフに示す。
なお、実施例1〜6において、電圧非直線性抵抗体層における第一結晶粒はZnOを主成分としさらにCo、Alを含み、第二結晶粒は(Zn0.9Co0.1SiOを主として含み、粒界はPr,K,Cr,Ca,Siの酸化物を含んでいた。
電圧非直線性抵抗体層に第二結晶粒を含まないバリスタ(比較例1)では、静電容量変化率ΔCが3.0%しか変化せず十分でない。これに対して、実施例1〜6のバリスタでは、静電容量変化率ΔCを十分低い値とすることができ、高周波信号に対するインピーダンスを高くすることができることが明らかにされた。
なお、本実施形態にかかる組成のバリスタにおいては、第二結晶粒の体積分率が60%になると、非線形定数αが1、すなわち、オーミック抵抗体となり、バリスタとして機能しにくい傾向が見られた。従って、第二結晶粒の体積分率が5%以上60%未満であることが好ましい。
また、実施例1のバリスタの200MHzにおける静電容量は3.1×10−12Fとなった。
図1は、本発明の実施形態にかかる積層バリスタの断面図である 図2は、図1の積層バリスタの磁器組成物の構造を示す模式図である。 図3は、第一実施形態に係るバリスタの等価回路を示す図である。 図4は、第二結晶粒120のキャパシタC2の静電容量を8pFとしたときに、第二結晶粒120の抵抗器R2の抵抗を変化させたときの、バリスタ2の静電容量変化率ΔCを示す図である。 図5は、第二結晶粒120の抵抗器R2の抵抗を60kΩとしたときに、第二結晶粒120のキャパシタC2の静電容量を変化させたときの静電容量変化率ΔCを示す図である。 図6は、実施例1〜6及び比較例1のバリスタにおける第二結晶粒の体積分率及び特性を示す表である。 図7は、実施例1〜6及び比較例1のバリスタにおける第二結晶粒の体積分率と、非線形定数αとの関係を示す図である。 図8は、実施例1〜6及び比較例1のバリスタにおける第二結晶粒の体積分率と、静電容量変化率ΔCとの関係を示す図である。 図9は、第二実施形態に係るバリスタの断面図である。
符号の説明
2、202…バリスタ、10、10c…磁器組成物、4…内部電極層(電極板)、100…第一結晶粒、120…第二結晶粒、130…粒界。

Claims (7)

  1. ZnOを主成分とする第一結晶粒、及び、Zn、Co及びSiを含む酸化物を主成分とする第二結晶粒を含む磁器組成物と、
    前記磁器組成物を挟む少なくとも一対の電極板と、
    を有するバリスタ。
  2. 前記磁器組成物の第一結晶粒は、Co及びAlを含み、前記磁器組成物の第一結晶粒間の粒界に、Pr,K,Cr,Ca及びSiを含む酸化物を有する請求項1に記載のバリスタ。
  3. 前記磁器組成物において前記第一結晶粒及び前記第二結晶粒をあわせた全体積に対する前記第二結晶粒の体積分率が、5%以上60%未満である請求項1又は2に記載のバリスタ。
  4. 前記第二結晶粒は、Zn、Co及びSiを含む酸化物として(Zn1−xCoSiO(ここで0<x<1)を含む請求項1〜4の何れか一項に記載のバリスタ。
  5. 前記磁器組成物及び前記一対の電極板を含む素体が、複数積層された請求項1〜4の何れか一項に記載のバリスタ。
  6. 磁器組成物と、
    前記磁器組成物を挟む一対の電極板と、を備え、
    周波数1MHzにおける静電容量が、周波数1kHzにおける静電容量の90%以下であるバリスタ。
  7. Zn、Co、及び、Siを含む粉末を成形して成形体とする工程と、前記成形体を焼成してZnOを主成分とする第一結晶粒及びZn、Co及びSiを含む酸化物を主成分とする第二結晶粒を有する磁器組成物を得る工程と、を含むバリスタの製造方法。
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