JP4717302B2 - 誘電体磁器組成物及び電子部品 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、還元焼成用誘電体磁器組成物と、その誘電体を用いた積層セラミックコンデンサなどの電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積層磁器コンデンサは以下に示すような方法により作製されるのが一般的である。まず、誘電体粉末に有機バインダーや可塑剤、有機溶剤を混合してスラリーを作製し、ドクターブレード法等によりセラミックグリーンシートを作製する。得られたグリーンシート上に内部電極となる電極材料を塗布し、複数枚積層して熱圧着し、一体化させたものを大気中において1000〜1300℃で焼成して焼成体を作製する。得られた焼成体の端面に内部電極と電気的に導通する外部電極を焼き付けることにより積層磁器コンデンサは製造される。
【0003】
従来より低温焼成、高誘電率であるという特徴を示す鉛系誘電体を用いた積層セラミックコンデンサの内部電極は白金、パラジウム、銀−パラジウムといった貴金属が用いられてきた。これは、大気中焼成でも誘電体材料と反応せず、酸化することによる抵抗の増大も起らないためであった。しかし、近年の貴金属の高騰、特にパラジウムが2000円/g以上と高価になっているため、製造コストを高くする原因となっている。
【0004】
また、地球的環境問題に対する世界的関心から、各国において環境法規が整備されており、誘電体材料に含まれる鉛も電子機器を構成する電子部品に含まれている有害物質の一つとして提示されている。現在のところ電子セラミック部品に含まれる鉛は適応外となっているものの、鉛を使用しないチタン酸バリウム系の誘電体を使用する方向になってきている。このように、コストの削減のために、内部電極として卑金属であるNiを用い、環境の面に配慮した鉛フリーのチタン酸バリウム系の誘電体材料を用いることが、一般的になってきている。
【0005】
このように、内部電極として貴金属のPd(Ag- Pd)ではなく卑金属であるNiを用いる場合、問題となるのは焼成時の雰囲気である。大気中及び酸化雰囲気下での焼成ではNiが酸化され、内部電極としての役割を果たさなくなる。そのため、還元雰囲気下での焼成が必要となり、誘電体材料も還元雰囲気で焼成可能な材料となる。鉛系誘電体材料ではNiがNiOに変わる酸素分圧でも、PbOがPbになってしまうということから、この条件下では使用できない。 このため、鉛フリーのチタン酸バリウム系の誘電体材料を使用しなくてはならない。
【0006】
しかし、この誘電体も還元雰囲気での焼成では、主成分であるTiの価数が4価から3価に還元され半導体化すると共に、酸素空位が増加することによる平均寿命(絶縁劣化時間)の低下が観察される。この対策として、アクセプターとして働くMnO,Co2 3 等を添加することによるTiの還元を抑制し、再酸化処理により酸素空位を低減することにより、半導体化することを防止し、ドナーとして働く希土類元素(Y2 3 ,Ho2 3 ,Dy2 3 )等を添加し陽イオン空位を形成することにより、平均寿命(絶縁劣化時間)の低下を防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の電子機器の高性能化に伴い、中高圧下で使用でき、かつ大容量であるセラミックコンデンサの需要が増加している。 実際には、携帯電話やビデオカメラのバッテリーチャージャーを代表する小型スイッチング電源、DC/DCコンバーター等の電源ユニット、蛍光灯などの照明回路等のインバーター、デジタルスチルカメラ、コンパクトカメラ等のストロボ回路、MODEM、ISDN等の情報通信機器を中心に著しい伸びが見られている。そして、最近の高耐圧品に対応するには、高電界強度(5V/μm)でのCR積は3000Ω・F以上あることが望ましい。さらに、通常は5V/μmもの高電界強度を負荷すると寿命特性が低下するが、寿命特性においても従来以上の特性が要求される。また、小型化に伴って発熱が大きくなるので、温度特性もX7RまたはB特性が求められている。
【0008】
しかしながら、このような要求に対応するために前記の従来の材料、例えば特開平6−342735、特開平10−255549、特開昭61−101459号、特公昭61−14611号等に開示されている材料を用いた場合、高電界強度下で、高誘電率(>2000)特性は得られるものの、信頼性の低下(絶縁劣化)、諸特性の低下、特にDCBias電圧による容量の低下が問題となっていた。 さらにこのような材料をもってしても、高電界強度(5V/μm)でのCR積は2000Ω・F以下である。
【0009】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、Ni内部電極積層セラミックコンデンサ用として好適な還元雰囲気焼成可能で高い誘電率を有し、高電界強度特性の良好な誘電体磁器組成物を提供することにある。また、静電容量の温度特性がEIA規格で規定するX7R、JIS規格で規定するB特性を満足する信頼性の高い電子部品を提供することである。具体的には、層厚20μm以上において誘電率が3000以上を示し、高い電界強度(5V/μm)で使用した時、静電容量と絶縁抵抗との積(CR積)が20℃で3000Ω・F以上で、150℃で15V/μmになるように電圧を印加した加速寿命試験において絶縁抵抗が105 Ωに達するまでの時間が1000時間以上と長く、また、耐圧が80V/μm以上、5V/μmの印加時における静電容量の低下率が45%以下の特性を有する積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、請求項1に記載の通り、誘電体材料として、組成式が(Ba1−xCaTiO2+a(但し、0.005≦x≦0.015、0.998≦a≦1.005)からなる主組成物100molに対して、(Ba1−ySrSiO2+b(但し、0≦y≦1.0、0.8≦b≦1.2)で表される酸化物ガラス0.3〜1.5molと、MgO−MnO−Ln(但し、Ln=Ho,Y,Yb,Erから選択された1種類または2種類以上の元素)からなる主添加物とを有する誘電体材料を焼成した誘電体磁器組成物を用いることにより、上記課題を達成し得ることを見出した。
【0011】
主成分として、Baの一部をCaと置換した(Ba1-x Cax a TiO2+a を用いることにより、還元雰囲気で焼成可能で良好な特性を示す誘電体磁器組成物を得ることができる。そして、主成分である(Ba1-x Cax a TiO2+a に上記の各添加物を添加する場合、まず、添加物を1100℃以上の高温度で仮焼きし、粉砕することにより均一化し、これを主組成物の(Ba1-x Cax a TiO2+a に添加することが好ましい。この方法により焼結した後に粒界に選択的にこれらの添加物を均一に析出させることが可能となり、絶縁抵抗及び信頼性の向上が見られる。また、添加物の比重差が小さいために、より均一なグリーンシートを作製することも可能である。
【0012】
Ln2 3 については、Ln=Ho,Y,Yb,Erから選択された1種類または2種以上の元素を添加することが望ましい。 Ho,Y,Yb,Erはほぼ同じような特性を示し、これらから選択された1成分を使用しても、組み合わせて使用しても同様な結果が得られる。
【0013】
請求項1に記載のMgO−MnO−Ln23(但し、Ln=Ho,Y,Yb,Erから選択された1種類または2種以上の元素)からなる主添加物は、それぞれ主組成物である(Ba1-x Cax a TiO2+a 100molに対して各添加物がMgO:0.5〜2.5mol、MnO:0.05〜0.5mol、Ln2 3 :0.2〜2.0molの範囲で添加され、この主添加物の平均粒径は0.1μm以下である。
【0014】
(Ba1-x Cax a TiO2+a の平均粒径が0.3〜0.6μmである原料に、平均粒径0.1μm以下の前記添加物を混合することにより、焼成時に均一な焼結が行われるため、クラックが生じにくくなる。そのため、層厚が10〜50μmの広範囲において、安定した電気特性が得られる。
【0015】
また、請求項1に記載の主組成物の平均粒径は0.3〜0.6μmであるが、さらに0.4〜0.5μmにすることが望ましい。この範囲未満では誘電率が低下し、この範囲を超えてしまうと、DCBias特性及び信頼性が悪化してしまう。
【0016】
さらに、請求項2に記載の通り、前記主添加物を含有すると共に副添加物として、V25またはMoO3の少なくともいずれか一方を前記主組成物に対して0.05〜0.5mol添加することが望ましい。これにより、信頼性が向上する。
【0017】
ここで、請求項1の通り、組成式が(Ba1−xCaTiO2+a(但し、0.005≦x≦0.015、0.998≦a≦1.005)からなる主組成物100molに対して、(Ba1−ySrSiO2+b(但し、0≦y≦1.0、0.8≦b≦1.2)で表される酸化物ガラス0.3〜1.5molと、MgO−MnO−Ln(但し、Ln=Ho,Y,Yb,Erから選択された1種類または2種類以上の元素)からなる主添加物等の置換量、元素、添加量を選択したのは、以下の理由による。
【0018】
主組成物である(Ba1−xCaTiO2+aのCaの置換量xが0.005≦x≦0.015であることが望ましい。絶縁性の向上という点ではxは0でも効果は低減しないが、適応範囲では、耐還元性が向上するのでCR積が高くなる。ここで、xがこの範囲を超えてしまうと焼結性が低下するので誘電率とCR積が低下し、その他の特性も悪化させてしまう。また、aの範囲が0.998≦a≦1.005、さらに1.001≦a≦1.003であることが望ましい。この範囲未満では、急激な粒成長を起こし易く誘電体損失を悪化させてしまう。一方、この範囲を超えると、焼結性が低下する。
【0019】
(Ba1-y Sry b SiO2+b で表される酸化物ガラスのyが0〜1.0、さらに0.5〜1.0の間に、bが0.8〜1.2、さらに0.9〜1.1の間にあることが望ましい。焼結性の向上という点ではyは0でも効果は低減しないが、絶縁抵抗を改善させることができ、CR積が高くなるので、置換量yはこの範囲が好ましい。 また、bがこの範囲未満では、主組成物と過剰に反応を起こし、粒成長を引き起こす場合がある。そのため信頼性が低下するので、IR寿命が低下してしまう。一方、この範囲を超えると焼結性が低下する。
【0020】
(Ba1-y Sry b SiO2+b (但し、0≦y≦1.0、0.8≦b≦1.2)で表される酸化物ガラスの添加量が0.3〜1.5mol、さらに0.5〜1.2molの間にあることが望ましい。この範囲未満では、焼結助剤としての役割が低下して焼結性が低下する。また、この範囲を超えてしまうと誘電率が低下すると共に、耐圧も悪化させてしまう。
【0021】
ここで、酸化物ガラスの添加量を0.5〜0.9molとし、さらに(Ba1-x Cax a TiO2+a のCaの置換量xを0.005≦x≦0.015とし、aの範囲を1.001≦a≦1.003とすることによって、高い電界強度(5V/μm)での高信頼性を得ることができる。
【0022】
また、請求項1に記載のMgO−MnO−Ln2 3 (但し、Ln=Ho,Y,Yb,Erから選択された1種類または2種以上の元素)からなる主添加物は、それぞれ主組成物である(Ba1-x Cax a TiO2+a 100molに対して各添加物がMgO:0.5〜2.5mol、MnO:0.05〜0.5mol、Ln2 3 :0.2〜2.0molとしたのは、以下の理由による。
【0023】
主添加物であるMgOが0.5mol≦MgO≦2.5mol、さらに1.0mol≦MgO≦2.0molであることが望ましい。 この範囲未満では、低温側の容量の変化率が大きくなってしまい、温度特性が低下する。また、粒成長も起こし易くなり、Bias特性も悪化してしまう。また、この範囲を超えてしまうと、誘電率が低下してしまうと共に、信頼性も低下してしまう。これに加えて、MnOが0.05mol≦MnO≦0.5mol、さらに0.10mol≦MnO≦0.3molであることが望ましい。この範囲未満では、誘電損失が大きく、絶縁抵抗、Bias特性、信頼性の向上の効果が低減する。この範囲を超えると、絶縁抵抗が低下すると共に信頼性が低下してしまう。
【0024】
Ln2 3 (但し、Ln=Ho,Y,Yb,Erから選択された1種類または2種以上の元素)を0.2mol≦Ln2 3 ≦2.0mol、さらに0.5mol≦Ln2 3 ≦1.2mol添加することが望ましい。この範囲未満では信頼性の向上の効果が低減し、この範囲を超えると焼結性、信頼性が低下する。
【0025】
また、請求項3に記載の通り、前記主添加物を含有すると共に副添加物として、V2 5 またはMoO3 の少なくともいずれか一方を前記主組成物に対して0.05〜0.5mol添加することが望ましい。 前記主組成物と主添加物を配合することにより高信頼性を示すが、この副添加物を添加することにより、更に信頼性を向上させることが可能である。一方、0.5molを超えてしまうと、CR積が低下してしまう。
【0026】
そして、請求項4に記載のように、誘電体磁器組成物の誘電体材料を前記のような組成範囲にすることにより、1150〜1300℃の還元雰囲気焼成温度で焼成可能で、高誘電率を有し、高電界強度特性の良好な誘電体磁器組成物を有する電子部品を得ることができる。
【0027】
さらに、請求項に記載のように、前記の誘電体磁器組成物を用いたNi内部電極を用いた積層セラミックコンデンサは、X7R、B特性の温度特性を有し、層厚20μm以上で誘電率が3000以上を示し、高い電界強度下(5V/ μm)での容量抵抗積が20℃で3000Ω・F以上で耐圧も80V/μm以上と極めて高く、5V/μmの印加における静電容量の低下率が45%以下で、150℃で15V/μmになるように電圧を印加した加速寿命試験での絶縁抵抗の劣化に至るまでの時間が1000時間以上である電子部品である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。
[1.製造工程]
[1−1.誘電体スラリーの調製]誘電体ベース材料として、平均粒径が0.4μmの(Ba1−xCaTiO2+aを用いた。なお、この(Ba1−xCaTiO2+aはシュウ酸塩共沈法で得られたものを使用した。主添加物(MnO、MgO、Ln2 3 )の酸化物は、それぞれ、表1に示した組成に従って所定の量を秤量した。なお、表1のうちNo.1はx=0の参考例、No.3はx=0.02の参考例である。これらをアルミるつぼに入れ、1150℃で4時間の仮焼を行った。次に、得られた仮焼粉を、ジェットミル、アトライタミルなどの微粉砕機を用いて粉砕することにより、平均粒径が0.1μmの酸化物粉末を得た。なお、この酸化物粉末は、作製条件により一部または全部がガラス化する場合があるが、その組成が均一であれば得られる特性には大きな差はない。
【0029】
(Ba1-y Sry b SiO2+b で表される酸化物ガラスは、BaCO3 、SrC3 ,SiO2 をボールミルにより24時間湿式混合し、乾燥後、1150℃の空気中で焼成し、ジェットミル、アトライタミルなどの微粉砕機を用いて粉砕することにより、製造した。
【0030】
以上のようにして得られた誘電体ベース材料と酸化物粉末及び酸化物ガラスから、元素の配合比率の異なる複数の誘電体原料を作製した。すなわち、各誘電体原料1000gに対して、水とエチルアルコール及び分散剤を80:19:1で混合した溶剤を700g入れ、ホモジナイザーを用いて分散させた。この混合物を、通常の良く知られている分散方法であるボールミルやアトリッションミルを用いて20時間分散させた後、さらに水性エマルジョンとアクリル樹脂と可塑剤を含む溶液を入れて、複数種類の誘電体スラリーを作製した。なお、これらのスラリーの粘性はいずれも約300cpsに調整した。
【0031】
[1−2.グリーンチップの作製]
上記のようにして得られた誘電体スラリーを用いて、ダイコーターにより、PETフィルム上に30μmの厚さを持つグリーンシートを成形し、このグリーンシート上に、内部電極用ペーストを1.5μmの厚みで印刷した。なお、内部電極用ペーストとしては、平均粒径0.4μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)40重量部、及びブチルカルビトール10重量部とを、3本ロールにより混練し、ペースト化したものを使用した。
【0032】
次いで、PETフィルムからシートを剥離して積層し、80℃で1トン/cm2 の静水圧を用いて加圧接着してグリーンチップを得た。有効積層数は120層とした。次に、このグリーンチップを所定サイズに切断し、金属板セッターに搭載し、脱バインダー処理、焼成及びアニールを、下記の条件で連続的に行ない、コンデンサ素子を作製した。なお、脱バインダー処理、焼成及びアニールの条件は、以下の通りである。また、それぞれの雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用いた。
【0033】
(脱バインダー処理)
昇温速度:20℃/時間
保持温度:320℃
温度保持時間:12時間
雰囲気ガス:空気中
(焼成)
昇温速度:250℃/時間
保持温度:1150℃〜1300℃
温度保持時間:4時間
冷却速度:250℃/時間
雰囲気ガス:加湿したN2 とH2 との混合ガス
酸素分圧:1×10-10 atm
(アニール)
保持温度:950℃
温度保持時間:8時間
昇温、降温速度:200℃/時間
雰囲気ガス:加湿したN2 ガス
酸素分圧:2×10-5atm
【0034】
[1−3.バレル処理・外部電極の形成]
得られたコンデンサ素子の端面をバレル処理により研磨した後、平均粒径0.5μmのCu粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶解したもの)35重量部、及びブチルカルビトール7重量部とを混練し、ペースト化した外部電極用ペーストを前記端面に転写し、N2 雰囲気中で750℃にて10分間焼成して外部電極を形成し、図1に示すような構成を有する積層セラミックコンデンサ(以下、MLC)を得た。なお、図において、1は誘電体層、2は内部電極、3は外部電極である。
上記のようにして製造したサンプルのサイズは、4.5×3.2×2.7mmであり、有効誘電体層の厚さは20μm×120層、内部電極層の厚さは約1.0μmであった。各サンプルについて下記に示す特性の評価を行った。
【0035】
(容量の温度特性)
容量の温度特性は、EIA規格のX7R、JIS規格のB特性を満足するか否かを調べた。具体的には、LCRメータにより、X7Rは−55〜125℃について測定電圧1Vで容量を測定し、容量変化率が±15%以内(基準温度25℃)を満足するか否かを調べた。また、B特性は−25〜85℃について測定電圧1Vで容量を測定し、容量変化率が±10%以内(基準温度20℃)を満たすかどうか調べた。両者を満足する場合を○、少なくともどちらかを満足しない場合を×とした。
【0036】
(比誘電率εs及び誘電損失)
20℃における静電容量を測定し、電極面積と誘電体の厚みから比誘電率を測定した。なお、誘電率と誘電損失は1vrms、1.0kHzでの値を用いた。
【0037】
(耐圧)
MLC素子に電圧を印加して電流が10mA以上流れた電圧を耐圧とした。測定数は各組成ごとに50個であり、中心値を代表値とした。
【0038】
(容量抵抗積)
素子を20℃の恒温槽に放置し、10分後に容量と誘電体厚み1μm当り5V印加した時の絶縁抵抗の1分値を測定し、その値と容量の積をCR積とした。
【0039】
(DC Bias特性)
まず、1kHz、1VrmsのAC電圧を印加した時の静電容量を測定した後、DC100V(5V/ μm)と1kHz、1VrmsのAC電圧を同時に印加した時の静電容量を測定した。得られた測定値により、静電容量の低下率を算出した。
【0040】
(加速寿命試験)
加速寿命試験として、温度150℃にて直流電圧を300V(15V/μm)印加して、その絶縁抵抗の経時変化を測定した。 なお、加速寿命試験では、各試料の絶縁抵抗値が105 Ω以下になったときの時間をIR寿命時間とし、複数の試料についての平均寿命時間を求めた。
【0041】
【表1】
Figure 0004717302
【0042】
【表2】
Figure 0004717302
【0043】
[ 1.試験結果]
表2に示したサンプルNo.1〜No.10の結果から、Caの置換量を0.01程度にすることにより、耐還元性が向上して、CR積が大きくなっている。また、0.02を超えてしまうと焼結性及び誘電率の低下が急激に起きており、特性の悪化が確認できた。さらに焼成温度を高くすることにより焼結性を向上させることは可能であるが、高温になるに従って内部電極が切れやすくなり、容量の低下または、構造欠陥を引き起こす可能性が高くなってしまう。 そして、(Ba,Ca)/Tiが適用範囲未満では誘電損失が上昇し、適用範囲を超えると焼結性が低下して、誘電率とCR積が悪化している。
【0044】
また、サンプルNo.11〜No.21の結果から、酸化物ガラスのSrを置換させることで、絶縁抵抗特性が向上していることがわかる。そして、(Ba,Sr)/Siを適用範囲内とすることによって、信頼性、焼結性とも向上している。さらに、酸化物ガラスの添加量を適用範囲内とすることによって、焼結性が向上し、誘電率、耐圧が向上している。
【0045】
そして、サンプルNo.1〜No.21の中で、Caの置換量が前記の範囲にあって、(Ba,Ca)/Tiを1.001以上の1.002とし、酸化物ガラスの添加量が0.5〜0.9molの範囲としたNo.8のIR寿命は1450時間と最も良好な寿命特性を示している。さらに、誘電率が3400以上となっているので、誘電体層厚を大きくすることができ、そのことによってさらに高い信頼性を有するMLCを作製することが可能である。
【0046】
サンプルNo.22〜No.30の結果から、MgO,MnOを適用範囲量添加することによって、温度特性、誘電率などの諸特性が向上し、特に信頼性が向上して良好なIR寿命特性を得ていることがわかる。
【0047】
そして、サンプルNo.31〜No.44の結果から、希土類元素であるHo,Y,Yb,Erを適用範囲量添加することによって、焼結性、信頼性の向上が得られることがわかる。また、適応範囲内ではどの元素を選択または組み合わせても十分に信頼性を確保できることが確認できた。
【0048】
また、サンプルNo.45〜No.49の結果から、V2 5 またはMoO2 を適用範囲量添加することによって、焼結性と信頼性が向上していることがわかる。
【0049】
さらに、サンプルNo.50〜No.53の結果から、主成分の粒径を適用範囲内とすることによって、誘電率と信頼性が著しく向上していることがわかる。
【0050】
そして、主成分に酸化物ガラス、主添加物、副添加物を適用範囲添加したサンプルはIR寿命が1300時間以上となっており、誘電率、耐圧など優れた特性と高い信頼性を有する誘電体材料であることがわかる。
【0051】
表1、表2から明らかなように、本発明に係る誘電体磁器組成物を持つサンプルの各特性は、いずれも本発明の範囲外の誘電体磁器組成物を持つサンプルに比べて格段に優れている。すなわち、本発明に係る誘電体磁器組成物を用いた場合には、20μm以上において誘電率が3000以上を示し、高い電界強度(5V/μm)で使用した時、静電容量と絶縁抵抗との積(CR積)が20℃で3000Ω・F以上で、150℃で15V/μmになるように電圧を印加した加速寿命試験において絶縁抵抗が10Ωに達するまでの時間が1000時間以上と長く、また、耐圧が80V/μm以上、5V/μmの印加時における静電容量の低下率が45%以下の特性を有するMLCを製造することができる。
【0052】
[2.他の実施例]なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例を実施可能である。例えば、誘電体磁器組成物の誘電体材料の具体的な組成は、本発明の範囲内で適宜選択可能である。同様に、電極用金属の組成やバインダーの組成等も、適宜選択可能である。さらに、具体的な製造工程や各工程の条件も適宜選択可能である。例えば、脱バインダー処理や焼成、アニールにおける温度条件や昇温・降温速度条件、雰囲気ガス条件等は、適宜選択可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、層厚が20μm以上の範囲で、高い誘電率を維持した状態で高い電界強度下(5V/μm)での容量抵抗積が高く、Bias特性に優れ、信頼性の高い積層セラミックコンデンサ用として好適な誘電体磁器組成物を提供することができる。また、そのような組成物を用いて、EIA規格のX7R特性、JIS規格のB特性を満たすことが可能な、高性能で信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミックコンデンサの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1・誘電体層
2・内部電極
3・外部電極

Claims (4)

  1. 組成式が(Ba1−xCaTiO2+a(但し、0.005≦x≦0.015、0.998≦a≦1.005)で表される主組成物100molに対して、(Ba1−ySrSiO2+b(但し、0≦y≦1.0、0.8≦b≦1.2)で表される酸化物ガラスを0.3〜1.5molの範囲で添加し、さらに主添加物として、MgO:0.5〜2.5mol、MnO:0.05〜0.5mol、Ln(但し、Ln=Ho,Y,Yb,Erから選択された1種類または2種以上の元素):0.2〜2.0molの範囲でそれぞれ主組成物に添加した誘電体材料を焼成した誘電体磁器組成物であって、誘電体材料の前記主組成物の平均粒径が0.3μm〜0.6μmであり、誘電体材料の前記添加物の平均粒径が0.1μm以下であることを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 副添加物としてV25またはMoO3の少なくともいずれか一方を前記主組成物に対して0.05〜0.5molの範囲で誘電体材料に添加したことを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器組成物。
  3. セラミック誘電体層を有する電子部品であり、前記セラミック誘電体層が求項1〜2記載の誘電体磁器組成物である電子部品。
  4. 前記セラミック誘電体層とNi内部電極とが交互に積層してある積層セラミックコンデンサ本体を有する請求項3記載の電子部品。
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