JP2006287045A - 電子部品 - Google Patents

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裕二 梅田
Tomoko Ueda
智子 上田
Yoshinori Fujikawa
佳則 藤川
Akira Sato
陽 佐藤
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Abstract

【課題】 誘電率などの電気特性に優れ、誘電体層を薄くした場合においても、温度特性に優れ、信頼性が高く、小型で大容量の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供すること。
【解決手段】 チタン酸バリウムを主成分とする誘電体層2を有する積層セラミックコンデンサ1である。誘電体層2を形成する複数の誘電体粒子20のうち、隣接する誘電体粒子20間に存在する結晶粒界22の厚さが1nm以下である粒子の割合が全体の30%以上95%以下である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサなどの電子部品に係り、さらに詳しくは、誘電率などの電気特性に優れ、誘電体層を薄くした場合においても、温度特性に優れ、信頼性が高く、小型で大容量の電子部品に関する。
近年、電化製品は、ますます小型化および高機能化が進み、それに伴って電子部品にも小型化および高性能化が強く求められている。電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサの場合、特に高容量、高信頼性が求められている。
しかしながら、小型でかつ高容量の積層セラミックコンデンサを得るためには、誘電体セラミック層や内部電極層の薄層化が必要不可欠であるが、それに伴い信頼性が劣化してしまう。一方、小型でかつ高信頼性の積層セラミックコンデンサを得るためには、誘電体セラミック層や内部電極層を厚くする必要があるが、それでは高容量は得られない。
高容量で且つ高信頼性を示す積層セラミックコンデンサを得る方法として、例えば下記の特許文献1には、EIA規格のX7R特性を満たし、さらに高誘電率を示し、かつ絶縁抵抗が高い誘電体磁器組成物が提案されている。しかしながら、この文献1に示された方法では、例えば誘電体セラミック層を3μm以下と薄層化した際には、必ずしも市場の要求を満たす信頼性を得ることが出来ない。
また、下記の特許文献2には、BaTiOを主成分とする誘電体粉末に微細なものを用いること、およびその最大粒径や粒度分布を限定することで、微細でかつ良好な電気特性を示す誘電体セラミックを得る方法が開示してある。誘電体セラミックを微細化することで、高信頼性を得ることもできる。
しかしながら、上記文献2においては、誘電体セラミック層の厚みが30μmを想定しており、誘電体セラミック層を3μm以下と薄層化した際には、必ずしも市場の要求を満たす信頼性を得ることが出来ないことが予想される。たとえば文献2においては、MnやMgといった副成分を非常に多く添加しているが、添加物組成を過剰に添加すると、結晶粒界にドナーもしくはアクセプター成分が偏析するなどの理由により、積層セラミックコンデンサの信頼性が低下することが予想される。すなわち、この文献2に記載してある方法では、より誘電体層を薄層化した際には、絶縁不良の増加や寿命を始めとする信頼性の低下といった問題が予想される。
特開平5−9066号公報 特開2001−316176号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、誘電率などの電気特性に優れ、誘電体層を薄くした場合においても、温度特性に優れ、信頼性が高く、小型で大容量の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することである。
本発明者等は、誘電体層の厚みを、たとえば5μm以下、3μm以下と薄層化した場合においても、誘電体層を構成する結晶粒子間における結晶粒界の厚みを、適切な値に制御することによって、JIS規格のB特性およびEIA規格のX5R特性を満たし、高い信頼性が得られ、かつ小型で大容量の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る電子部品は、
チタン酸バリウムを主成分とする誘電体層を有する電子部品であって、
前記誘電体層を形成する複数のセラミック粒子のうち、隣接するセラミック粒子間に存在する結晶粒界の厚さが1nm以下である粒子の割合が全体の30%以上95%以下であることを特徴とする。
好ましくは、隣接するセラミック粒子間に存在する結晶粒界の厚さが0.75nm以下である粒子の割合が全体の40%以上90%以下である。
本発明において、結晶粒界の厚さが1nm以下または0.75nm以下である粒子の割合が少なすぎると、誘電体層の誘電率が低くなると共に、絶縁抵抗の寿命が短くなる傾向にある。また、結晶粒界の厚さが1nm以下または0.75nm以下である粒子の割合が多すぎると、誘電体層の絶縁抵抗の寿命が短くなると共に、温度特性が悪くなる傾向にある。
好ましくは、誘電体層の厚さは、4.5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、特に好ましくは2.5μm以下である。本発明は、誘電体層の厚さが特に薄層化した場合に効果がある。
好ましくは、セラミック粒子の平均粒子径が0.3μm以下である。粒子径が小さくなることにより良好な信頼性を得ることができるが、誘電体粒子のサイズ効果により、高い誘電率を得ることが困難になる。従って、粒子径の下限は特に定義されない。しかしながら、小さい粒子径を得るためには小さい原料を用いる必要があり、その原料粉末が小さくなればなるほどその取り扱いが困難になるため、通常、セラミック粒子の平均粒子径は0.05μm程度を下限とする。
好ましくは、誘電体層には、マグネシウム(Mg)酸化物が副成分として含まれ、チタン酸バリウム(BaTiO)を100モルに対して、Mg酸化物は、0〜2モル(ただし0を除く)、さらに好ましくは0〜1モル(ただし0を除く)で含まれる。
Mg酸化物を含有することで誘電体粒子の微細化が図れるが、副成分としてのMgO添加量が多すぎると、誘電体粒子の微細化は図れるものの、温度特性の劣化や絶縁抵抗の低下などの不都合を生じることがある。従って、このような各種電気特性を劣化させない範囲で、MgO含有量を少なくすることが望ましい。
好ましくは、誘電体層には、マンガン(Mn)酸化物および/またはクロム(Cr)酸化物が副成分として含まれ、チタン酸バリウム(BaTiO)を100モルに対して、Mn酸化物とCr酸化物との合計は、0〜0.5モル(ただし0を除く)、さらに好ましくは、0〜0.4モル(ただし0を除く)で含まれる。
Mn酸化物および/またはCr酸化物を含有することで、焼結を促進する効果と、IR(絶縁抵抗)を高くする効果と、高温負荷寿命を向上させる効果があるが、それらの含有量が多すぎると、温度特性の劣化や絶縁抵抗の低下などの不都合を生じることがある。従って、このような各種電気特性を劣化させない範囲で、Mn酸化物および/またはCr酸化物含有量を少なくすることが望ましい。
好ましくは、誘電体層には、希土類(R)酸化物が副成分として含まれ、チタン酸バリウム(BaTiO)を100モルに対して、R酸化物は、0〜4モル(ただし0および4を除く)、さらに好ましくは0.5〜3モル、特に好ましくは0.5〜2モルで含まれる。
Rとしては、好ましくは、Sc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選ばれる1種又は2種以上、さらに好ましくは、Y、DyおよびHoから選ばれる1種又は2種以上である。
このようなR酸化物を所定範囲で含有させることで、結晶粒界の厚さが1nm以下である粒子の割合を制御することが可能になり、本発明の作用効果を奏することが可能になる。
好ましくは、誘電体層には、バナジウム(V)酸化物、タングステン(W)酸化物、タンタル(Ta)酸化物および/またはニオブ(Nb)酸化物が、副成分として含まれ、チタン酸バリウム(BaTiO)を100モルに対して、V酸化物、W酸化物、Ta酸化物およびNb酸化物の合計が、0〜0.5モル(ただし0を除く)、さらに好ましくは0〜0.3モル(ただし0を除く)、特に好ましくは0〜0.1モル(ただし0を除く)で含まれる。
V酸化物、W酸化物、Ta酸化物およびNb酸化物を含有することで、高温負荷寿命を向上させる効果があるが、それらの含有量が多すぎると、温度特性の劣化や絶縁抵抗の低下などの不都合を生じることがある。従って、このような各種電気特性を劣化させない範囲で、これら酸化物含有量を少なくすることが望ましい。
好ましくは、誘電体層には、ガラス成分が含まれる。ガラス成分としては、特に限定されないが、好ましくは、(Ba1−x Ca)SiO(但し、x=0.3〜0.7)である。このガラス成分の場合には、チタン酸バリウムを100モルに対して、ガラス成分は、0.5〜12モル(ただし0.5を除く)、さらに好ましくは0.5〜6モル(ただし0.5および6を除く)、さらに好ましくは1〜4モルで含まれる。
このようなガラス成分を所定範囲で含有させることで、結晶粒界の厚さが1nm以下、または0.75μm以下である粒子の割合を制御することが可能になり、本発明の作用効果を奏することが可能になる。
本発明において、電子部品としては、特に限定されないが、好ましくは、前記誘電体層と、内部電極層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサである。その他の電子部品としては、特に限定されないが、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
好ましくは、前記内部電極層が、NiまたはNi合金などの卑金属を主成分とする。
本発明に係る電子部品によれば、誘電率などの電気特性に優れ、誘電体層を薄くした場合においても、温度特性に優れ、信頼性が高く、小型で大容量の積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2は積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する誘電体粒子の概略図、
図3(A)は本発明の一実施例に係る積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する誘電体粒子のTEM写真、
図3(B)は図3(A)に示す結晶粒界の拡大写真、
図4(A)は本発明の一比較例に係る積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する誘電体粒子のTEM写真、
図4(B)は図4(A)に示す結晶粒界の拡大写真である。
積層セラミックコンデンサの製造方法
図1に示すように、本発明の電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両側端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。内部電極層3は、各側端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。
一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
コンデンサ素子本体10の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は通常、縦(0.4〜5.6mm)×横(0.2〜5.0mm)×高さ(0.2〜1.9mm)程度とすることができる。
誘電体層2は、チタン酸バリウムと、ガラス成分と、副成分とを有する。
チタン酸バリウムは、組成式(BaO)TiOで表される。そして、上記式中の、Aサイト構成成分としてのBaとBサイト構成成分としてのTiとのモル比(A/B値)mは、特に限定されず、0.990〜1.035である。
ガラス成分としては、本実施形態ではBa酸化物、Ca酸化物及びSi酸化物を含有する場合を例示することができる。好ましくは、ガラス成分は、(Ba1−x Ca)SiO(但し、x=0.3〜0.7)で表される。
副成分は、本実施形態では、
Mg酸化物と、
Mn酸化物及びCr酸化物の一方又は双方と、
V酸化物、W酸化物、Ta酸化物及びNb酸化物から選ばれる1種または2種以上と、
R(但し、Rは、Sc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選ばれる1種又は2種以上、好ましくはY、Dy及びHoから選ばれる1種または2種以上)の酸化物とを、含有する。
図2に示すように、本実施形態の誘電体層2は、複数の誘電体粒子(セラミック粒子)20を有する。誘電体粒子20の平均粒子径が0.3μm以下である。粒子径が小さくなることにより良好な信頼性を得ることができるが、誘電体粒子のサイズ効果により、高い誘電率を得ることが困難になる。従って、粒子径の下限は特に定義されない。しかしながら、小さい粒子径を得るためには小さい原料を用いる必要があり、その原料粉末が小さくなればなるほどその取り扱いが困難になるため、通常、セラミック粒子の平均粒子径は0.05μm程度を下限とする。
誘電体粒子20と誘電体粒子20との間には、結晶粒界22が存在し、本実施形態では、隣接するセラミック粒子間に存在する結晶粒界22の厚さが1nm以下である粒子の割合が全体の30%以上95%以下である。好ましくは、隣接するセラミック粒子間に存在する結晶粒界の厚さが0.75nm以下である粒子の割合が全体の40%以上90%以下である。
結晶粒界の厚さが1nm以下または0.75nm以下である粒子の割合が少なすぎると、誘電体層の誘電率が低くなると共に、絶縁抵抗の寿命が短くなる傾向にある。また、結晶粒界の厚さが1nm以下または0.75nm以下である粒子の割合が多すぎると、誘電体層の絶縁抵抗の寿命が短くなると共に、温度特性が悪くなる傾向にある。
なお、結晶粒界の厚さが1nm以下または0.75μm以下の粒子の割合は、たとえば次のようにして測定することができる。すなわち、まず、透過型電子顕微鏡(TEM)により、700nm×500nmの領域を観察する。その視野中に観測された結晶粒界22に関して、任意の三重点24から結晶粒界22に沿って100nmずつ離れた点において結晶粒界の厚みを測定する。これを複数の視野に関して行い、計50点において、結晶粒界の厚みを測定し、集計することで、割合を求めることができる。
誘電体層2の積層数や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよいが、本実施形態では、一対の内部電極層3に挟まれる誘電体層2の厚みは、4.5μm以下、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは2.5μm以下と薄層化されている。本実施形態では、このように誘電体層2の厚みを薄層化したときでも、コンデンサ1の各種電気特性、特に十分な温度特性を保持しつつも、CR積やIR寿命が改善されている。
内部電極層3は、実質的に電極として作用する卑金属の導電材で構成されることが好ましい。導電材として用いる卑金属としては、Ni又はNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,Co,Cu,Al,Ru,Rh,Re,Pt,IrおよびOsから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.05〜3μm、特に0.1〜2.0μm程度であることが好ましい。
外部電極4は、通常Ni,Pd,Ag,Au,Cu,Pt,Rh,Ru,Ir等の少なくとも1種又はそれらの合金で構成される。通常は、Cu,Cu合金、Ni又はNi合金等や、Ag,Ag−Pd合金、In−Ga合金等が使用される。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1を製造する方法の一例を説明する。
(1)本実施形態では、焼成後に図1に示す誘電体層2を形成するための焼成前誘電体層を構成することとなる誘電体層用ペーストと、焼成後に図1に示す内部電極層3を形成するための焼成前内部電極層を構成することとなる内部電極層用ペーストを準備する。また、外部電極用ペーストも準備する。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練して調製する。
(1−1)本実施形態で用いる誘電体原料は、上述した誘電体磁器組成物を構成する各原料を所定の組成比で含有する。まず、上記各原料たるチタン酸バリウム原料と、ガラス成分原料と、副成分原料とを準備する。
チタン酸バリウム原料
誘電体層の主成分となるチタン酸バリウム原料としては、組成式(BaO)TiOで表されるものが用いられる。本実施形態で用いるチタン酸バリウム原料は、いわゆる固相法の他、いわゆる液相法によっても得ることができる。固相法(仮焼法)は、BaCO、TiOを出発原料として用いる場合、これらを所定量秤量して混合、仮焼、粉砕することにより、原料を得る方法である。液相法としては、しゅう酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法などが挙げられる。
ガラス成分原料
ガラス成分原料としては、Ba化合物、Ca化合物及びSi化合物を含有するものが用いられる。ガラス成分原料中のSi化合物は焼結助剤として作用し、Ca化合物及びBa化合物は静電容量の温度特性(温度に対する静電容量の変化率)を改善する効果を示す。
本実施形態で用いるガラス成分原料は、混合物の形態でもよいし、あるいは複合酸化物の形態で用いてもよい。ただし、本実施形態では、混合物の形態よりも融点が低くなる複合酸化物の形態で用いることが好ましい。
混合物の形態としては、Ca化合物(CaOやCaCOなど)+Si化合物(SiOなど)+Ba化合物(BaOやBaCOなど)などが例示される。複合酸化物の形態としては、(Ba1−x Ca)SiOなどが例示される。上記式中のxは、好ましくは0.3〜0.7であり、さらに好ましくは0.35〜0.50である。xが小さすぎると温度特性が劣化する傾向があり、xが大きすぎると誘電率が低下する傾向がある。
副成分原料
本実施形態では、副成分原料としては、
Mg化合物と、
Mn化合物及びCr化合物の一方又は双方と、
V化合物、W化合物、Ta化合物及びNb化合物から選ばれる1種または2種以上と、
R(但し、Rは、Sc、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Dy、Ho、Tb、Gd及びEuから選ばれる1種又は2種以上、好ましくはY、Dy及びHoから選ばれる1種または2種以上)の化合物とを、用いる。
Mg化合物は、容量温度特性を平坦化させる効果および粒成長を抑制する効果がある。Mn化合物及びCr化合物は、焼結を促進する効果と、IR(絶縁抵抗)を高くする効果と、高温負荷寿命を向上させる効果とがある。V化合物、W化合物、Ta化合物及びNb化合物は、高温負荷寿命を向上させる効果がある。Rの化合物は、主として、高温負荷寿命を向上させる効果を示す。
なお、Mg化合物とは酸化マグネシウム及び/又は焼成後に酸化マグネシウムになる化合物を意味し、Mn化合物とは酸化マンガン及び/又は焼成後に酸化マンガンになる化合物を意味し、Cr化合物とは酸化クロム及び/又は焼成後に酸化クロムになる化合物を意味する。
V化合物とは酸化バナジウム及び/又は焼成後に酸化バナジウムになる化合物を意味し、W化合物とは酸化タングステン及び/又は焼成後に酸化タングステンになる化合物を意味し、Ta化合物とは酸化タンタル及び/又は焼成後に酸化タンタルになる化合物を意味し、Nb化合物とは酸化ニオブ及び/又は焼成後に酸化ニオブになる化合物を意味する。
Rの化合物とはR酸化物及び/又は焼成後にR酸化物になる化合物を意味する。
(1−2)次に、チタン酸バリウム原料と、ガラス成分原料と、副成分原料とを混合して、最終組成にする。
前記チタン酸バリウム原料100モルに対するガラス成分原料の混合量(比率)は、次の通りである。
Ba化合物をBaOに、Ca化合物をCaOに、Si化合物をSiOに換算したとき、
好ましくは、
Ba化合物+Ca化合物:0.5〜12モル(ただし0.5を除く)、
Si化合物:0.5〜12モルであり(ただし0.5を除く)、
より好ましくは、
Ba化合物+Ca化合物:0.5〜6モル(ただし0.5および6を除く)、
Si化合物:0.5〜6モル(ただし0.5および6を除く)である。
Ba化合物、Ca化合物及びSi化合物の添加量が少なすぎると、比較的低温での緻密化が困難であり、しかも温度特性に悪影響を与えることがある。
また、本発明では、ガラス成分を所定範囲で含有させることで、結晶粒界の厚さが1nm以下または0.75nm以下である粒子の割合を制御することが可能になる。
前記チタン酸バリウム原料100モルに対する副成分原料の混合量(比率)は、次の通りである。
Mg化合物をMgOに、Mn化合物をMnOに、Cr化合物をCrに、V化合物をVに、W化合物をWOに、Ta化合物をTaに、Nb化合物をNbに、Rの化合物をRに換算したとき、
好ましくは、
Mg化合物:0〜2モル(但し、0モルを除く)、
Mn化合物+Cr化合物:0〜0.5モル(但し、0モルを除く)、
V化合物+W化合物+Ta化合物+Nb化合物:0〜0.5モル(但し、0モルを除く)、
Rの化合物:0〜4モル(但し、0モルおよび4モルを除く)であり、
より好ましくは、
Mg化合物:0〜1モル(但し、0モルを除く)、
Mn化合物+Cr化合物:0〜0.4モル(但し、0モルを除く)、
V化合物+W化合物+Ta化合物+Nb化合物:0.01〜0.1モル、
Rの化合物:0.5〜3.5モルである。
Mg化合物の添加量が少なすぎると異常粒成長が生じる傾向にあり、多すぎると比誘電率が低下する傾向にある。Mn化合物及びCr化合物の合計添加量が多すぎると比誘電率が低下する傾向にある。V化合物、W化合物、Ta化合物及びNb化合物の合計添加量が多すぎると、IRが著しく低下する傾向にある。Rの化合物の添加量が多すぎると焼結性が悪化する傾向にある。
その後、この混合粉末を、必要に応じて、ボールミルなどで、純水などの分散媒とともに混合し、乾燥することによって、誘電体原料を得ることができる。
なお、上記成分で構成される誘電体原料は、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができるが、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。
なお、誘電体原料中の各化合物の含有量は、焼成後に上記した誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。
塗料化する前の状態で、誘電体原料の平均粒径は、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.05〜0.26μm程度とされる。
有機ビヒクルは、バインダおよび溶剤を含有するものである。バインダとしては、例えばエチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダを用いることができる。溶剤も、特に限定されるものではなく、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、キシレン、エタノールなどの有機溶剤が用いられる。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と、水中に水溶性バインダを溶解させたビヒクルを混練して、形成することもできる。水溶性バインダは、特に限定されるものではなく、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。
内部電極層用ペーストは、上述した各種導電性金属や合金からなる導電材料あるいは焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。
外部電極用ペーストも、この内部電極層用ペーストと同様にして調製される。
各ペーストの有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、例えば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されても良い。
(2)次に、上記誘電体原料を含有する誘電体層用ペーストと、内部電極層用ペーストとを用いて、焼成前誘電体層と焼成前内部電極層とが積層されたグリーンチップを作製する。その後、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を経て、コンデンサ素子本体10を得る。その後、この素子本体10に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成して、積層セラミックコンデンサ1が製造される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記組成の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
誘電体原料の作製
まず、チタン酸バリウム原料、ガラス成分原料及び副成分原料を用意した。
チタン酸バリウム原料としては、比表面積(SSA)が6m/gの(BaO)・TiO(但し、m=1.005)を用いた。チタン酸バリウム原料は、1.005モルのBaCOに対して、1.000モルのTiOを準備し、これらをボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥後、800℃で空気中で焼成し、さらに、ボールミルにより100時間湿式粉砕して製造した。
なお、SSAは、窒素吸着法により測定した値であり、mはガラスビード法により求めた。
ガラス成分原料としては、BaCO,CaCO及びSiOを所定割合でボールミルにより16時間湿式混合し、乾燥後、1150℃で空気中で焼成し、さらに、ボールミルにより100時間湿式粉砕することにより得られた複合酸化物としての(Ba0.6 Ca0.4 )SiO(以下、BCGともいう)を用いた。
副成分原料としては、平均粒径が0.01〜0.1μmのMgO、MnO(またはCr)、Y、Vを用いた。
次に、100モルのチタン酸バリウム原料に対して、ガラス成分原料としてのBCGと、副成分原料としてのMgO、MnO(またはCr)、Y、Vを添加し、水を溶媒としてボールミルで16時間湿式混合(水粉砕)した。その後130℃で熱風乾燥させて誘電体原料を得た。
誘電体原料は、100モルのチタン酸バリウム原料に対して、BCG:3モル、Y:0〜4モル(表1の試料1〜8参照)、MgO:0.5モル、MnO:0.2モル(またはCr:0.2モル)、V:0.03モルが含有してあった。
次に、得られた誘電体原料にポリビニルブチラール樹脂およびエタノール系の有機溶媒を添加し、再度ボールミルで混合し、ペースト化して誘電体層用ペーストを得た。
次に、Ni粒子44.6重量部と、テルピネオール52重量部と、エチルセルロース3重量部と、ベンゾトリアゾール0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極用ペーストを得た。
焼結体の作製
得られた誘電体層用ペーストを用いてドクターブレード法により、PETフィルム上にグリーンシートを形成した。この上に内部電極用ペーストをスクリーン印刷法により印刷した。その前後に、内部電極用ペーストが印刷されていない保護用グリーンシートをPETフィルムから剥離し、厚さが約300μmとなるように複数枚積層し、その上に内部電極用ペーストを印刷したシートをPETフィルムから剥離しつつ所望の枚数(この場合は5枚)積層し、さらに再び保護用グリーンシートを積層し、圧着して、グリーンチップを得た。なお、焼成前の誘電体層の厚みは、3μmであった。
次に、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、チップ焼結体を得た。脱バインダ処理条件は、昇温速度:32.5℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。焼成条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1200℃前後(1180〜1280℃/表2参照)、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したN+H混合ガスとした。アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1050℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガスとした。なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、水温を20℃としたウェッターを用いた。
得られた焼結体のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は4であった。
コンデンサ試料の作製及び特性評価
得られたチップ焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Gaを塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサの試料を得た。
得られた各コンデンサ試料について、比誘電率ε、静電容量の温度特性(TC)、高温負荷寿命(IR寿命/表では単に「寿命」)を測定し、結果を表2に示す。
比誘電率εについては、まず、得られたコンデンサ試料に対し、基準温度20℃において、デジタルLCRメータ(横河電機(株)製 YHP4284)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1Vrms/μmの条件下で、静電容量Cを測定した。そして、得られた静電容量から、比誘電率ε(単位なし)を算出した。
本実施例では、比誘電率が2500以上が好ましく、2700以上がさらに好ましい。
静電容量の温度特性(TC)については、EIAJ規格のX5R特性について評価した。つまり、コンデンサ試料に対し、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下で、静電容量を測定し、基準温度を25℃としたとき、−55〜85℃の温度範囲内で、温度に対する静電容量変化率(ΔC/C)がX5R特性を満足する(±15%以内)かどうかを調べ、満足する場合を○、満足しない場合を×とした。
高温負荷寿命については、コンデンサ試料に対し、150℃で40Vの直流電圧を印加し、その状態に保持することにより、高温負荷寿命を測定した。この高温負荷寿命は、誘電体層を薄層化する際に特に重要となるものである。本実施例では印加開始から抵抗が一桁落ちるまでの時間を寿命と定義し、これを10個のコンデンサ試料に対して行い、その平均寿命時間を算出した。本実施例では、IR寿命が100時間以上が好ましく、110時間以上がさらに好ましい。
これらの結果を表2に示す。
誘電体層の厚み
得られた焼結体を内部電極に垂直な面で切断し、その切断面を研磨し、その研磨面の複数箇所を金属顕微鏡で観察した。次に、金属顕微鏡で観察した画像についてデジタル処理を行うことにより焼結後の誘電体層の平均厚みを求めた。各試料の誘電体層の平均厚みは2.5μmであった。
誘電体層中の誘電体粒子の平均粒径
得られた焼結体を研磨し、化学エッチングを施した後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて研磨面の観察を行い、コード法によって、誘電体層における誘電体粒子20の形状を球と仮定して、該誘電体粒子の平均粒径を測定した。平均粒径は、測定点数250点の平均値とした。平均粒径は、0.20〜0.26μmであった。
誘電体層中の誘電体粒子の結晶粒界厚み
得られた焼結体を機械研磨し、イオンミリングを施した後、透過型電子顕微鏡(TEM)にて結晶粒界の厚みを、以下のようにして測定した。
TEMにより、700nm×500nmの領域を観察した。その視野中に観測された結晶粒界22に関して、任意の三重点24から結晶粒界22に沿って100nmずつ離れた点において結晶粒界22の厚みを測定した。これを複数の視野に関して行い、計50点において結晶粒界22の厚みを測定した。その測定結果から、結晶粒界22の厚みが1nm以下である粒子対の割合(%)と、結晶粒界の厚みが0.7nm以下である粒子対の割合(%)とを、各試料について算出した。結果を表2に示す。
なお、表1および表2において、実施例である試料番号3のTEM写真を図3(A)に示し、その拡大写真を図3(B)に示す。また、比較例である試料番号8のTEM写真を図4(A)に示し、その拡大写真を図4(B)に示す。
評価
表2の試料番号1〜8に示すように、結晶粒界の厚みが1nm以下である粒子対の割合が全体の30%以上95%以下である積層セラミックコンデンサにおいてはEIA規格のX5R特性を満足し、かつ高誘電率で高い信頼性を示すことが確認された。そして、より好ましくは、その結晶粒界の厚みが0.7nm以下である粒子対の割合が全体の40%から90%である積層セラミックコンデンサにおいては、同じくEIA規格のX5R特性を満足し、かつさらに高誘電率で、高い信頼性(高寿命)を示すことがわかった。
コアに代表される誘電体部と粒界部とを比較したとき、一般に絶縁抵抗は粒界部の方が高い。従って1nm以上の厚みを持つ粒界の割合が多ければ多いほど、その信頼性は高くなると考えられる。しかしその一方で、同じく誘電体部と粒界部とを比較したとき、一般に誘電率は誘電体部の方が高い。従って、1nm以下の厚みを持つ粒界の割合が少なければ少ないほど、積層セラミックコンデンサの誘電率は高くなると考えられる。その信頼性と誘電率の両方において好ましい値を得るためには、1nm以下(好ましくは0.7nm以下)の厚みを持つ粒界粒界の割合が、上記の範囲であると考えられる。
なお、Yの添加量に応じて、結晶粒界の厚みが1nm以下(または0.7nm以下)である粒子対の割合が変化することが確認されたが、後述する他の実施例で示すように、Yの添加量以外の方法でも、その割合は変化する。
実施例2
表1の試料番号9および10に示すように、Yに代えて、またはDyまたはHoを、100モルのチタン酸バリウム原料に対して1モルの添加量で添加した以外は、実施例1の試料番号3と同様にして、焼結体サンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な評価を行った。表2に示すように、実施例1と同様な傾向があることが確認された。この実施例から、Yに代えて、その他の希土類(Sc、Er、Tm、Yb、Lu、Tb、Gd及びEu)でも同様な効果が得られることが予想される。
実施例3
表1の試料番号11〜16に示すように、BCGの添加量を、0.5〜6の範囲で変化させた以外は、実施例1の試料番号5と同様にして、焼結体サンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な評価を行った。表2に示すように、実施例1と同様な傾向があることが確認された。すなわち、結晶粒界の厚みが1nm以下である粒子対の割合が全体の30%以上95%以下である積層セラミックコンデンサにおいてはEIA規格のX5R特性を満足し、かつ高誘電率で高い信頼性を示すことが確認された。そして、より好ましくは、その結晶粒界の厚みが0.7nm以下である粒子対の割合が全体の40%から90%である積層セラミックコンデンサにおいては、同じくEIA規格のX5R特性を満足し、かつさらに高誘電率で、高い信頼性(高寿命)を示すことがわかった。
また、BCGなどのガラス成分の添加量やMg量を変化させることによっても、結晶粒界の厚みが1nm以下(または0.7nm以下)である粒子対の割合が変化することが確認された。
実施例4
表3の試料番号3a〜3eに示すように、焼成温度を1180°C〜1260°Cで変化させた以外は、実施例1の試料番号3と同様にして、焼結体サンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な評価を行った。表3に示すように、実施例1と同様な傾向があることが確認された。すなわち、結晶粒界の厚みが1nm以下である粒子対の割合が全体の30%以上95%以下である積層セラミックコンデンサにおいてはEIA規格のX5R特性を満足し、かつ高誘電率で高い信頼性を示すことが確認された。そして、より好ましくは、その結晶粒界の厚みが0.7nm以下である粒子対の割合が全体の40%から90%である積層セラミックコンデンサにおいては、同じくEIA規格のX5R特性を満足し、かつさらに高誘電率で、高い信頼性(高寿命)を示すことがわかった。
また、焼成温度を変化させることでも、結晶粒界の厚みが1nm以下(または0.7nm以下)である粒子対の割合が変化することが確認された。
実施例5
表3の試料番号9a〜9eに示すように、焼成温度を1180°C〜1260°Cで変化させた以外は、実施例1の試料番号9と同様にして、焼結体サンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な評価を行った。表3に示すように、実施例4と同様な傾向があることが確認された。
実施例6
表3の試料番号10a〜10eに示すように、焼成温度を1180°C〜1260°Cで変化させた以外は、実施例1の試料番号10と同様にして、焼結体サンプルとコンデンササンプルとを作製し、同様な評価を行った。表3に示すように、実施例4と同様な傾向があることが確認された。
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2は積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する誘電体粒子の概略図である。 図3(A)は本発明の一実施例に係る積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する誘電体粒子のTEM写真、図3(B)は図3(A)に示す結晶粒界の拡大写真である。 図4(A)は本発明の一比較例に係る積層セラミックコンデンサにおける誘電体層を構成する誘電体粒子のTEM写真、図4(B)は図4(A)に示す結晶粒界の拡大写真である。
符号の説明
1… 積層セラミックコンデンサ
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極
10… コンデンサ素子本体
20… 誘電体粒子
22… 結晶粒界
24… 三重点

Claims (11)

  1. チタン酸バリウムを主成分とする誘電体層を有する電子部品であって、
    前記誘電体層を形成する複数のセラミック粒子のうち、隣接するセラミック粒子間に存在する結晶粒界の厚さが1nm以下である粒子の割合が全体の30%以上95%以下であることを特徴とする電子部品。
  2. チタン酸バリウムを主成分とする誘電体層を有する電子部品であって、
    前記誘電体層を形成する複数のセラミック粒子のうち、隣接するセラミック粒子間に存在する結晶粒界の厚さが0.75nm以下である粒子の割合が全体の40%以上90%以下であることを特徴とする電子部品。
  3. 前記誘電体層の厚さが3μm以下である請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 前記セラミック粒子の平均粒子径が0.3μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品。
  5. 前記誘電体層には、マグネシウム酸化物が副成分として含まれ、チタン酸バリウムを100モルに対して、マグネシウム酸化物は、0〜2モル(ただし0を除く)で含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品。
  6. 前記誘電体層には、マンガン酸化物および/またはクロム酸化物が副成分として含まれ、チタン酸バリウムを100モルに対して、マンガン酸化物とクロム酸化物との合計は、MnOとCrで換算して0〜0.5モル(ただし0を除く)で含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子部品。
  7. 前記誘電体層には、希土類酸化物が副成分として含まれ、チタン酸バリウムを100モルに対して、希土類酸化物は、0〜4モル(ただし0および4を除く)で含まれることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品。
  8. 前記誘電体層には、バナジウム酸化物、タングステン酸化物、タンタル酸化物および/またはニオブ酸化物が、副成分として含まれ、チタン酸バリウムを100モルに対して、バナジウム酸化物、タングステン酸化物、タンタル酸化物およびニオブ酸化物の合計が、0〜0.5モル(ただし0を除く)で含まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品。
  9. 前記誘電体層には、ガラス成分が含まれ、チタン酸バリウムを100モルに対して、ガラス成分は、0.5〜12モルで含まれることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子部品。
  10. 前記誘電体層と、内部電極層とが交互に積層してある素子本体を有する積層セラミックコンデンサである請求項1〜9のいずれかに記載の電子部品。
  11. 前記内部電極層が卑金属を主成分とすることを特徴とする請求項10に記載の電子部品。
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