JP2005075772A - ヒドロキシフェニルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
下式(2)で表わされるヒドロキシフェニルエーテルにおいて、例えば、Rがメチル基であるo−メトキシフェノール(グアヤコール)は、医薬や香料の原料として用いられ(非特許文献1)、p−メトキシフェノールは、酸化防止剤として或いは医薬等の原料として用いられる(特許文献1)重要な化合物である。
従って工業的にこれらを併産する場合、収率はもとより、オルト位置換体とパラ位置換体の生成割合が問題となる。このため、オルト位置換体又はパラ位置換体を優先的に得る技術はそれぞれが重要である。
フェニルエーテルを酸化して一段階でヒドロキシフェニルエーテルを製造し、且つオルト位置換体を優先的に製造する技術としては以下のものが挙げられる。
以上述べたように、オルト位置換体を優先的に酸化させる技術に関しては、酸化剤基準のヒドロキシフェニルエーテルの収率が40%程度のものしか報告されておらず、高収率でヒドロキシフェニルエーテルを得る技術は見出されていない。
即ち、本発明は次の通りである。
第3の発明は、酸性ゼオライトが、プロトン型ゼオライトである、第1又は2の発明のヒドロキシフェニルエーテルの製造法に関するものである。
本発明で使用されるフェニルエーテルは、前記式(1)で表わされる。
前記式(1)において、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1〜5のアルキル基(なお、これら置換基は構造異性体を含む。)である。
プロトン型βゼオライトとしては、通常のプロトン型βゼオライト以外に、アンモニア昇温脱離法(NH3−TPD)のスペクトルにおいて、330℃を中心としてプラスマイナス100℃の範囲の脱離ピークを示す酸点が存在し、且つ500℃以上の脱離ピークを示す強い酸点の量が2.5μmol/g以下であるプロトン型βゼオライトを用いることができる。
本発明では、これらのプロトン型βゼオライト、或いはこれらにアルカリ土類金属、遷移金属、2B族金属、第3周期から第6周期の3B族金属、第5周期から第6周期の4B族金属、又はランタノイド金属などの金属担持を行ったものが使用される。
なお、ASβゼオライトは、上記の通り非特許文献4に記載の方法により調製してもよく、市販のものを好適に使用することもできる。
ASβゼオライト中のアルミニウム(骨格内アルミニウム)の含有量は、Al:Si(原子比)が1:25〜1:10000になるような割合であることが好ましい。なお、この比率は、ASβゼオライトの原料であるSi化合物とAl化合物、例えば珪酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの組成で制御可能である。
また、浸漬時間は1〜12時間である。
この浸漬操作は、攪拌しながら行うことが好ましいが、静置しても十分同様な効果が得られる。
乾燥の温度範囲は、90〜150℃である。乾燥時間は、前記βゼオライトの量によるが、1時間〜2日である。
焼成時間は、1〜24時間である。
ここで、強い酸点の量は、前記アンモニア昇温脱離法(NH3−TPD)での、脱離アンモニア量から計算される(非特許文献5参照)。
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例で制限されるものではない。
ヒドロキシフェニルエーテルの収率は、次式に従って求めたものである。なお、分析はガスクロマトグラフィーにより行った。
Al:Si=1:37.5であるゼオリスト製のプロトン型βゼオライト(以後H/βと標記する)10.0gを、pHが1.3の硝酸水溶液が50ml入ったナスフラスコに入れ、これをオイルバスで85℃で攪拌しながら2時間加熱した。次いで、ゼオライトを十分にイオン交換水で洗浄し、吸引濾過した後110℃で乾燥、550℃で2.5時間空気焼成した。得られたβゼオライト(以後H/βHNO3と標記する)のICP発光分析を行ったところ、βゼオライト中のアルミニウムが部分的に抜け、Al:Si=1:78であった。
硝酸カルシウム四水和物1.8gをイオン交換水に溶解させることにより、Caイオン含有水溶液を15ml調製した。得られた水溶液にAl:Si=1:37.5であるゼオリスト製のプロトン型βゼオライト2gを浸漬し、85℃で14hr保温することにより、プロトンとカルシウムイオンのイオン交換を行った。得られた懸濁液を吸引濾過し、110℃で乾燥後、550℃で2.5hr焼成することにより、カルシウム担持プロトン型βゼオライト1.9gを得た(以後Ca/H/βと標記する)。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライト中に導入されたカルシウムとAlの比(原子比)は、Ca/Al=0.28であった。
参考例2と同様の方法でH/βHNO3に対してカルシウムを担持した触媒を調製した(以後Ca/H/βHNO3)。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライト中に導入されたカルシウムとAlの比(原子比)は、Ca/Al=0.41であった。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが41.3%、p−メトキシフェノールが26.0%で、合計収率は67.3%であった。反応液は薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが48.5%、p−メトキシフェノールが29.3%で、合計収率は77.8%であった。反応液は薄い赤色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが44.2%、p−メトキシフェノールが29.7%で、合計収率は73.9%であった。反応液は薄い赤色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが49.5%、p−メトキシフェノールが29.9%で、合計収率は79.4%であった。反応液は薄い赤色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
酢酸を加えない以外は実施例1と同様に反応させた。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが28.0%、p−メトキシフェノールが12.4%で、合計収率は40.4%であった。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが39.9%、p−メトキシフェノールが28.5%で、合計収率は68.4%であった。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが34.2%、p−メトキシフェノールが23.7%で、合計収率は57.9%であった。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが28.8%、p−メトキシフェノールが21.3%で、合計収率は50.1%であった。
その結果、メトキシフェノールの収率は、o−メトキシフェノールが27.7%p−メトキシフェノールが22.1%で、合計収率は49.8%であった。
その結果、エトキシフェノールの収率は、o−エトキシフェノールが44.3%、p−エトキシフェノールが29.9%で、合計収率は74.2%であった。反応液は赤色に着色しただけであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
Claims (5)
- 過酸化物が過酸化水素またはカルボン酸パーオキサイドである、請求項1に記載のヒドロキシフェニルエーテルの製造法。
- 酸性ゼオライトが、プロトン型ゼオライトである、請求項1又は2記載のヒドロキシフェニルエーテルの製造法。
- 酸性ゼオライトが、アンモニア昇温脱離法(NH3−TPD)のスペクトルにおいて、330℃を中心としてプラスマイナス100℃の範囲の脱離ピークを示す酸点が存在し、且つ500℃以上の脱離ピークを示す強い酸点の量が2.5μmol/g以下であるプロトン型βゼオライトである請求項1又は2記載のヒドロキシフェニルエーテルの製造法。
- 酸性ゼオライトが、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族金属、第3周期から第6周期の3B族金属、第5周期から第6周期の4B族金属、又はランタノイド金属担持プロトン型βゼオライトである、請求項1又は2記載のヒドロキシフェニルエーテルの製造法。
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