JP4059022B2 - 二価フェノールの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼオライト系触媒、ケトン及び燐酸の存在下、一価フェノールを過酸化物で酸化して二価フェノールを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一価フェノールをゼオライト系触媒存在下に過酸化物で酸化して二価フェノールを製造する方法としては、以下の方法が知られている。
例えば米国特許3580956号には、ランタニウム、セリウム等の希土類金属を含むモルデナイト、フォージャサイト等のゼオライトを触媒とした一価フェノールの酸化反応が報告されている。しかし、該明細書中にはタール等が副生成物として生成することが記載されており、全反応生成物中の二価フェノール量も42重量%と低いものであった。
【0003】
米国特許4578521号にはプロトン型のZSM−5を触媒とする一価フェノールのパラ位選択的な酸化技術が報告されている。しかしながら本発明者らによるフェノールを原料とした追試では、パラ位酸化物であるハイドロキノンが選択的に生成する様子は見られず、収率も充分ではなかった。
フランス特許2693457号にはプロトン型の酸性ゼオライトとケトン化合物を共存させ過酸化水素で一価フェノールを酸化する製造方法が開示されている。しかし、プロトン型酸性ゼオライトとしては、ZSM−5、Y型ゼオライト(US−Y等)、フェリエライト、X型ゼオライト(フォージャサイト)、L型ゼオライト、モルデナイト、ZSM−11、Mazzite、およびオフレタイトが挙げられているが、本発明のプロトン型βゼオライトについては何ら記載されていない。該明細書によれば、プロトン型酸性ゼオライトとして特にUS−YとZSM−5が好ましいとされているものの、最も高い収率となる組み合わせであるUS−Yで2−ペンタノンを用いる系においても、過酸化水素基準の収率は74%程度であり、本発明者らの追試でも十分な収率は得られなかった。また、使用されているUS−Yは、一度調製したY型ゼオライトを脱アルミニウム処理し、さらに塩化ケイ素で処理する等、その調製工程は多段かつ煩雑である。
【0004】
金属を結晶格子中に含むゼオライト触媒を利用する技術としては、例えば米国特許4396783号にチタンを結晶格子中に含むZSM−5型のゼオライトであるチタノシリケート−1(TS−1)を触媒として用いた、一価フェノール、モノアルキルベンゼン等の置換基を有するベンゼン、又はフェノールを過酸化水素で酸化する技術が報告されている。この製法によれば、従来のアルミノシリケート系ゼオライトに比較して高い収率で二価フェノールを生成すると記載されているが、過酸化水素基準の収率は54%程度であった。また、Advancesin Catalysis, 41(1996),253〜334には、TS−1を触媒として用いた同反応はタール等の副生が伴ない、最適化された条件下でも過酸化水素基準の収率が84%程度であると記載されているが、この収率は十分なものではない。
【0005】
特開平7−2714号公報および特開平6−40977号公報には、TS−1を触媒として1,4−ジオキサン等の環状エーテルと水又はメタノール等の極性溶媒を共存させ、主にパラ配向性の生成物、すなわちハイドロキノンを選択的に製造する技術が開示されている。この技術ではハイドロキノン/カテコール比が4〜5の範囲で二価フェノールが得られているが、過酸化水素基準の収率は70%程度であり十分ではない。
これらTS−1を用いた技術は、Accounts of ChemicalResearch,31(8),(1998)485〜493に示されているように、TS−1触媒の調製の再現性が問題となっており、TS−1を工業的に用いる上での障害となっている。
【0006】
その他、金属を結晶格子中に導入したゼオライトを用いた先行技術としては、Chem.Commun,(1996)2707〜2708に、触媒活性成分となるクロムを結晶格子中に含むβゼオライトを用い、過酸化水素で一価フェノールを酸化する二価フェノールの製造方法が記載されているが、過酸化水素基準の収率は72%程度と十分でない。
【0007】
以上述べたように、従来のゼオライト系触媒を用いる二価フェノールの製造法には、本発明の金属を担持したプロトン型βゼオライトは開示されていない。また、これら二価フェノールの製造法は、タール等の副生成物の発生等により収率が低かったり、用いるゼオライト触媒の調製が煩雑であるなど、工業的製法として問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
発明が解決しようとする課題は、調製が簡便である高活性ゼオライト系触媒を用いて一価フェノールを酸化し、高収率で二価フェノールを製造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討した結果、これまで検討されていなかったプロトン型の酸性ゼオライトであるプロトン型βゼオライトに、イオン交換処理などの簡便な方法で前記金属を担持した触媒を用いることによって、ケトン及び燐酸の存在下、一価フェノールを過酸化物で酸化して、タール等の副生成物を生じることなく二価フェノールを高収率で製造できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明で使用される一価フェノールとしては、例えば、フェノール、一価モノアルキルフェノール、一価ハロゲン化フェノール、一価ポリアルキルフェノールが挙げられる。
【0011】
一価モノアルキルフェノールが有するアルキル基としては、直鎖又は分岐状の炭素原子数1〜6個のアルキル基が挙げられる。アルキル基の位置は、反応に関与しなければ特に限定されない。これら化合物としては、例えば、o−,m−又はp−クレゾール、o−,m−又はp−エチルフェノール、o−プロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、m−ブチルフェノール、p−イソブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、m−イソブチルフェノール、p−ペンチルフェノール、p−ヘキシルフェノールが挙げられる。
【0012】
一価ハロゲン化フェノールが有するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。ハロゲン原子の数及び位置は、反応に関与しなければ特に限定されない。これら化合物としては、例えば、o−,m−又はp−フルオロフェノール、o−,m−又はp−クロロフェノール、o−,m−又はp−ブロモフェノール、o−,m−又はp−ヨウ化フェノール、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−ジクロロフェノール、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−ジブロモロフェノール、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,5−、2,4,6−又は3,4,5−トリクロロフェノールが挙げられる。
【0013】
一価ポリアルキルフェノールが有するアルキル基としては、直鎖又は分岐状の炭素原子数1〜6個のアルキル基が挙げられる。アルキル基の数及び位置は、反応に関与しなければ特に限定されない。これら化合物としては、例えば、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,5−又は3,4−ジメチルフェノール、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−又は3,4,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、2,3,4,5−又は2,3,5,6−テトラメチルフェノール、2−エチル−3−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、2−ペンチル−6−メチルフェノール、3−ヘキシル−5−メチルフェノールが挙げられる。
【0014】
本発明で使用されるケトンとしては、例えば、モノケトン、ジケトンが挙げられる。モノケトンとしては、非環式又は環式モノケトンが挙げられる。非環式モノケトンとしては、例えば、炭素原子数3〜20個、好ましくは3〜10個の直鎖状又は分岐状脂肪族モノケトンや芳香族モノケトンを挙げることができる。これら化合物の水素原子はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)で置換されてもよい。ハロゲン原子の数及び位置は、反応に関与しなければ特に限定されない。
【0015】
直鎖状脂肪族モノケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、3−デカンノン、6−ウンデカノン、2−トリデカノン、7−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、2−ヘプタデカノン、3−オクタデカノン、4−ノナデカノン、1−クロロ−2−プロパノン、1−クロロ−3−ヘプタノン、1−ブロモ−3−ヘプタノンが挙げられる。
【0016】
分岐状脂肪族モノケトンとしては、例えば、3−メチル−2−ブタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、6−メチル−2−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ヘプタノンが挙げられる。芳香族モノケトンとしては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、1−フェニル−3−プロパノン、1−フェニル−1−ブタノン、1−フェニル−3−ブタノン、1−フェニル−3−ペンタノン、1,3−ジフェニル−2−プロパノンが挙げられる。
【0017】
環式モノケトンとしては、例えば、炭素原子数5〜12個のシクロアルキルモノケトンを挙げることができる。これら化合物の水素原子はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、或いは炭素原子数1〜6個の直鎖状又は分岐状のアルキル基などの置換基で置換されてもよい。置換基の数及び位置は、反応に関与しなければ特に限定されない。これら化合物としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロドデカノン、2−クロロシクロヘキサノン、2−エチル−1−シクロペンタノン、2−メチル−1−シクロヘキサノンを挙げることができる。
【0018】
ジケトンとしては、非環式又は環式ジケトンが挙げられる。非環式ジケトンとしては、例えば、炭素原子数5〜21個、好ましくは5〜12個の直鎖状又は分岐状脂肪族ジケトンや芳香族ジケトンを挙げることができる。これら化合物の水素原子はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)で置換されてもよい。ハロゲン原子の数及び位置は、反応に関与しなければ特に限定されない。直鎖状脂肪族ジケトンとしては、例えば、2,3−ブタンジオン、2,4−ペンタンジオン、2,5−ヘキサンジオンが挙げられる。分岐状脂肪族ジケトンとしては、例えば、2,5−ジメチル−3,4−ヘキサンジオンが挙げられる。芳香族ジケトンとしては、例えば、1,2−ジフェニルエタン−1,2−ジオンが挙げられる。
【0019】
環式ジケトンとしては、例えば、炭素原子数5〜12個の環式ジケトンを挙げることができる。これら化合物の水素原子はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素又はヨウ素)、又は炭素原子数1〜6個の直鎖状又は分岐状のアルキル基などの置換基で置換されてもよい。置換基の数及び位置は、反応に関与しなければ特に限定されない。環式ジケトンとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジオンが挙げられる。
【0020】
本発明で使用されるケトンとして好ましいものは、直鎖状又は分岐状脂肪族モノケトン、或いは環式モノケトンであり、更に好ましいものは、直鎖状又は分岐状脂肪族モノケトンであり、その中でも4−メチル−2−ペンタノン、3−ペンタノンが特に好ましい。
ケトンの使用量は、過酸化物に対するケトンのモル比(ケトン:過酸化物)が0.05:1〜5:1になるような割合であることが好ましい。
【0021】
本発明で使用される燐酸としては、オルト燐酸、ピロ燐酸、メタ燐酸、三燐酸、四燐酸、ポリ燐酸、無水燐酸、燐酸水溶液が挙げられるが、燐酸水溶液が好ましい。燐酸水溶液の濃度としては、0.001〜100重量%が好ましい。
燐酸の使用量は、過酸化物に対する燐酸の重量比(燐酸:過酸化物)が0.0001:1〜0.05:1になるような割合であることが好ましい。
【0022】
本発明で使用される過酸化物は、過酸化水素などの無機過酸化物、又は、ケトンパーオキサイド、脂肪族過カルボン酸などの有機過酸化物が挙げられる。
【0023】
ケトンパーオキサイドとしては、例えば、炭素原子数が3〜20個、好ましくは3〜10個であるジアルキルケトンパーオキサイドが挙げられる。これら化合物としては、例えば、ジメチルケトンパーオキサイド、ジエチルケトンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチル−n−プロピルケトンパーオキサイド、メチルイソプロピルケトンパーオキサイド、及びメチルイソブチルケトンパーオキサイドなどを挙げられる。
脂肪族過カルボン酸としては、過酢酸、過プロピオン酸などを挙げられる。
過酸化水素としては、0.1重量%以上、好ましくは0.1〜90重量%の過酸化水素水を使用することができるが、30〜80重量%のものが更に好ましい。
【0024】
本発明で使用される過酸化物としては、過酸化水素またはケトンパーオキサイドか好ましい。このケトンパーオキサイドはケトンと過酸化水素の接触により合成可能であり、ここで使用されるケトンは前記と同様のものである。
過酸化物の使用量は、一価フェノールに対する過酸化物のモル比(過酸化物:一価フェノール)が1:1〜1:100、更には1:5〜1:20になるような範囲であることが好ましい。
【0025】
本発明では、触媒としてβゼオライトが使用される。βゼオライトとしては、プロトン型βゼオライトが好ましいが、中でも遷移金属、2B族金属、第3周期から第6周期の3B族金属、第5周期から第6周期の4B族金属、又はランタノイド金属担持プロトン型βゼオライトが特に好ましい(これら元素の族及び周期の名称は、“理化学辞典”,岩波書店,第4版,1993,付録IIの元素の周期表(a)長周期型に基づく)。βゼオライト中のアルミニウム(骨格内アルミニウム)の含有量は、Al:Si(原子比)が1:10〜1:10000になるような割合であることが好ましい。
βゼオライトの使用量は、一価フェノールに対するβゼオライトの重量比(βゼオライト:一価フェノール)が1:1〜1:500、更には1:5〜1:100になるような範囲であることが好ましい。
【0026】
βゼオライトはJournal of Physical Chemistry,104(2000),2853〜2859に記載の方法により調製してもよく、市販のものを好適に使用することもできる。
プロトン型βゼオライトは、前記文献記載の方法などで調製される。例えば、βゼオライトを硝酸アンモニウム,塩化アンモニウムなどのアンモニウムイオン含有水溶液(アンモニウム塩濃度:0.1〜40重量%)中、20〜120℃で1〜20時間加熱処理し、イオン交換水などで洗浄して、20〜150℃で乾燥後、300〜650℃、1〜10時間焼成することによって得られる。また0.01規定〜1規定塩酸水溶液中に浸し、室温〜100℃の間で、数分から数日処理した後、イオン交換水等で洗浄、室温〜150℃で乾燥、150℃〜650℃で焼成して得たプロトン型βゼオライトも同様に好適に使用し得る。
【0027】
金属担持プロトン型βゼオライトとしては、上記プロトン型βゼオライトに遷移金属、2B族金属、第3周期から第6周期の3B族金属、第5周期から第6周期の4B族金属、又はランタノイド金属を担持させて焼成したものが使用できる。遷移金属としては、スカンジウム、イットリウムなどの3A族、チタン、ジルコニウムなどの4A族、バナジウム、ニオブなどの5A族、クロム、モリブデン、タングステンなどの6A族、マンガンなどの7A族、鉄、コバルト、ニッケルなどの8族、銅、銀、金などの1B族が挙げられるが、好ましくはイットリウム、ニオブ、タンタル、マンガン、コバルト、ニッケル、銀である。2B族金属としては、亜鉛が好ましい。第4周期から第6周期の3B族金属としては、ガリウム、インジウムが好ましい。ランタノイド金属としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、サマリウム、イッテルビウムが好ましい。また、第5周期から第6周期の4B族金属である、錫、鉛が好ましい。金属の担持方法としては、通常のイオン交換法、含浸法、化学蒸着(CVD)法、機械的混練法などの金属担持手法が適用可能であるが、イオン交換法又は含浸法が好ましい。
【0028】
イオン交換法による前記金属担持プロトン型βゼオライトの調製は、触媒調製化学、講談社(1980)61〜73に記載の方法などで行うことができる。例えば、プロトン型βゼオライトを前記金属の硝酸塩、塩酸塩又は硫酸塩などの前記金属イオン含有水溶液(前記金属塩濃度:0.1〜40重量%)中、20〜120℃で1〜20時間加熱処理し、イオン交換水などで洗浄して、20〜150℃で5分〜24時間乾燥後、300〜650℃、1〜10時間焼成することによって得られる。プロトン型βゼオライトに担持された前記金属イオンは、Mδ+/Al(δは1,2又は3を表す。)が0.0001〜10、更には0.01〜1(Mδ+は前記金属イオンを表し、Alはプロトン型βゼオライトの骨格内アルミニウムを表す。)の比(原子比)になるような範囲であることが好ましい。
【0029】
含浸法による金属担持プロトン型βゼオライトは、触媒調製化学、講談社(1980)49〜60に記載の方法などで行うことができる。例えば以下に示す方法で調製可能である。金属の硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩などの無機塩、もしくはアルコキシドなどの有機塩を任意の溶媒に溶解させた溶液を所定量、あらかじめ焼成処理したβゼオライトに含浸させる。これを90℃〜140℃で攪拌加熱し、溶媒を蒸発させた後、300〜650℃、1〜10時間焼成する。この際、含浸操作はビーカーや磁性るつぼを用いた方法が好適に用いられるが、ロータリーエバポレーターを用いて溶液中に担体をいれ、溶媒を減圧除去、乾固するという方法で行ってもよい。プロトン型βゼオライトに担持された金属は、M/Alが0.01〜1000、更には0.1〜100(Mは担持する金属、Alは骨格内に導入されたアルミニウムを表す。)の比(原子比)になるような範囲であることが好ましい。
【0030】
本発明で使用されるβゼオライトの形状は、粉体、粒体、ペレット、ハニカム状成形体などを挙げることができる。
二価フェノールの製造法に応じた形状としては、例えば、液相バッチ式反応器を用いて製造する時には粉体、粒体などを使用するのが好ましく、液相流通式反応器を用いた時にはペレット、ハニカム状成形体などが好ましい。
【0031】
本発明の二価フェノールの製造では、反応温度は、20〜300℃、更には40〜200℃であることが好ましい。反応時間は、触媒の種類や反応温度によって異なるが、特に制限は無い。また、反応は大気圧で行えるが減圧又は加圧下で行ってもよい。反応は、液相で、バッチ式、流通式、トリクルベッド方式などで行うことができる。
【0032】
本発明における反応としては、例えば、一価フェノール、過酸化水素、ケトン及び燐酸を、β−ゼオライトをあらかじめ充填した反応器に供給して、一価フェノールを酸化してニ価フェノールを生成させ、反応器から反応混合物を排出させる反応などが挙げられる。
【0033】
本発明で製造される二価フェノールは、原料の一価フェノールの構造に対応し、1種類あるいは数種類のものの混合物として得られる。また、これらの二価フェノールは、常法にて分離、精製して得ることができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例で制限されるものではない。
二価フェノールの収率は、次式に従って求めたものである。なお、分析はガスクロマトグラフィーにより行った。
【0035】
【数1】
【0036】
参考例1(イットリウムイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸イットリウム三水和物(0.85g)を超純水に溶解させることにより、イットリウムイオン含有水溶液を20cc調製した。得られた水溶液にAl:Si=1:37.5であるゼオリスト製のプロトン型βゼオライト(2g)を浸漬し、85℃で14hr保温することにより、プロトンとイットリウムイオンのイオン交換を行った。得られた懸濁液を吸引濾過し、110℃で乾燥後、550℃で2.5hr焼成することにより、イットリウムイオン担持プロトン型βゼオライト1.9gを得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたイットリウムイオンとAlの比(原子比)は、Y3+/Al=0.23であった。
【0037】
参考例2(亜鉛イオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸亜鉛六水和物(0.66g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、亜鉛イオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持された亜鉛イオンとAlの比(原子比)は、Zn2+/Al=0.28であった。
【0038】
参考例3(ニッケルイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸ニッケル六水和物(0.65g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、ニッケルイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたニッケルイオンとAlの比(原子比)は、Ni2+/Al=0.27であった。
【0039】
参考例4(マンガンイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
和光純薬製の硝酸マンガン六水和物(0.64g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、マンガンイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたマンガンイオンとAlの比(原子比)は、Mn2+/Al=0.27であった。
【0040】
参考例5(コバルトイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸コバルト六水和物(0.65g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、コバルトイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたコバルトイオンとAlの比(原子比)は、Co2+/Al=0.26であった。
【0041】
参考例6(銀イオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸銀(0.38g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、銀イオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持された銀イオンとAlの比(原子比)は、Ag+/Al=0.23であった。
【0042】
参考例7(錫イオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の塩化錫(0.50g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、錫イオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持された錫イオンとAlの比(原子比)は、Sn2+/Al=2.10であった。
【0043】
参考例8(鉛イオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸鉛(0.74g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、鉛イオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持された鉛イオンとAlの比(原子比)は、Pb2+/Al=0.30であった。
【0044】
参考例9(ランタンイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
和光純薬製の硝酸ランタン六水和物(0.96g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、ランタンイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたランタンイオンとAlの比(原子比)は、La3+/Al=0.08であった。
【0045】
参考例10(セリウムイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
和光純薬製の硝酸セリウム六水和物(0.96g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、セリウムイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたセリウムイオンとAlの比(原子比)は、Ce3+/Al=0.09であった。
【0046】
参考例11(プラセオジムイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
和光純薬製の硝酸プラセオジムn水和物(n=4〜6)(0.93g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、プラセオジムイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたプラセオジムイオンとAlの比(原子比)は、Pr3+/Al=0.10であった。
【0047】
参考例12(イッテルビウムイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
和光純薬製の硝酸イッテルビウム4水和物(0.96g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、イッテルビウムイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたイッテルビウムイオンとAlの比(原子比)は、Yb3+/Al=0.12であった。
【0048】
参考例13(サマリウムイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸サマリウム6水和物(0.99g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、サマリウムイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたサマリウムイオンとAlの比(原子比)は、Sm3+/Al=0.12であった。
【0049】
参考例14(ガリウムイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
和光純薬製の硝酸ガリウムn水和物(n≒3)(0.69g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、ガリウムイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたガリウムイオンとAlの比(原子比)は、Ga3+/Al=0.56であった。
【0050】
参考例15(インジウムイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
和光純薬製の硝酸インジウムn水和物(n≒3)(0.79g)を使用した以外は参考例1と同様に調製した。その結果、インジウムイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたインジウムイオンとAlの比(原子比)は、In3+/Al=0.50であった。
【0051】
参考例16(ニオブ担持プロトン型βゼオライトの調製)
アルドリッチ製のニオブエトキシド(0.14g)をエタノール20mlに希釈させることにより、Nb含有エタノール溶液を20ml調製した。得られた溶液にゼオリスト製のプロトン型βゼオライト2gを浸漬したのち、90℃で1hr攪拌加熱し、エタノールを蒸発させることにより、Nbをβゼオライト上に含浸担持した。得られた紛体を550℃で2.5hr焼成することにより、ニオブ担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたニオブとAlの比(原子比)は、Nb/Al=0.55であった。
【0052】
参考例17(タンタル担持プロトン型βゼオライトの調製)
アルドリッチ製のタンタルエトキシド(0.09g)をエタノール20mlに希釈させることにより、Ta含有エタノール溶液を20ml調製した。得られた溶液にゼオリスト製のプロトン型βゼオライト2gを浸漬したのち、90℃で1hr攪拌加熱し、エタノールを蒸発させることにより、Taをβゼオライト上に含浸担持した。得られた紛体を550℃で2.5hr焼成することにより、タンタル担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたタンタルとAlの比(原子比)は、Ta/Al=0.29であった。
【0053】
参考例18(亜鉛イオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸亜鉛六水和物(0.33g)を超純水に溶解させることにより、亜鉛イオン含有水溶液を20cc調製した。得られた水溶液にAl:Si=1:75であるズードケミー触媒製のプロトン型βゼオライト(2g)を浸漬し、85℃で14hr保温することにより、プロトンと亜鉛イオンのイオン交換を行った。得られた懸濁液を吸引濾過し、110℃で乾燥後、550℃で2.5hr焼成することにより、亜鉛イオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持された亜鉛イオンとAlの比(原子比)は、Zn2+/Al=0.27であった。
【0054】
参考例19(ニッケルイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸ニッケル六水和物(0.33g)を使用した以外は参考例18と同様に調製した。その結果、ニッケルイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたニッケルイオンとAlの比(原子比)は、Ni2+/Al=0.27であった。
【0055】
参考例20(マンガンイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
和光純薬製の硝酸マンガン六水和物(0.32g)を使用した以外は参考例18と同様に調製した。その結果、マンガンイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたマンガンイオンとAlの比(原子比)は、Mn2+/Al=0.26であった。
【0056】
参考例21(コバルトイオン担持プロトン型βゼオライトの調製)
関東化学製の硝酸コバルト六水和物(0.33g)を使用した以外は参考例18と同様に調製した。その結果、コバルトイオン担持プロトン型βゼオライト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該βゼオライトに担持されたコバルトイオンとAlの比(原子比)は、Co2+/Al=0.26であった。
【0057】
参考例22(コバルトイオン担持プロトン型US−Yの調製)
関東化学製の硝酸コバルト六水和物(0.65g)を超純水に溶解させることにより、コバルトイオン含有水溶液を20cc調製した。得られた水溶液にAl:Si=1:3.0である日揮ユニバーサル製のプロトン型US−Y(2g)を浸漬し、85℃で14hr保温することにより、プロトンとコバルトイオンのイオン交換を行った。得られた懸濁液を吸引濾過し、110℃で乾燥後、550℃で2.5hr焼成することにより、コバルトイオン担持プロトン型US−Y(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該ゼオライトに担持されたコバルトイオンとAlの比(原子比)は、Co2+/Al=0.02であった。
【0058】
参考例23(コバルトイオン担持プロトン型モルデナイトの調製)
関東化学製の硝酸コバルト六水和物(0.65g)を超純水に溶解させることにより、コバルトイオン含有水溶液を20cc調製した。得られた水溶液にAl:Si=1:6.0である東ソー製のプロトン型モルデナイト2gを浸漬し、85℃で14hr保温することにより、プロトンとコバルトイオンのイオン交換を行った。得られた懸濁液を吸引濾過し、110℃で乾燥後、550℃で2.5hr焼成することにより、コバルトイオン担持プロトン型モルデナイト(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該ゼオライトに担持されたコバルトイオンとAlの比(原子比)は、Co2+/Al=0.09であった。
【0059】
参考例24(コバルトイオン担持プロトン型ZSM−5の調製)
関東化学製の硝酸コバルト六水和物(0.65g)を超純水に溶解させることにより、コバルトイオン含有水溶液を20cc調製した。得られた水溶液にAl:Si=1:20である日揮ユニバーサル製のプロトン型ZSM−5(2g)を浸漬し、85℃で14hr保温することにより、プロトンとコバルトイオンのイオン交換を行った。得られた懸濁液を吸引濾過し、110℃で乾燥後、550℃で2.5hr焼成することにより、コバルトイオン担持プロトン型ZSM−5(1.9g)を得た。ICP発光分析を行ったところ、該ゼオライトに担持されたコバルトイオンとAlの比(原子比)は、Co2+/Al=0.08であった。
【0060】
実施例1
参考例2の亜鉛イオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)、フェノール(10.00g)、3−ペンタノン(0.27g)、85重量%燐酸水溶液(0.02g)を300mlのフラスコに入れ、窒素雰囲気に置換した後、攪拌しながら60℃まで昇温した。次いで、この温度において、0.10gの60重量%過酸化水素水を滴下し、1.5分後0.10g滴下し、3分後、更に0.10g滴下して、最初の滴下から5分になるまで反応させた。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが48.1%、ハイドロキノンが36.3%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は84.4%であった。反応液はごく薄い黄色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0061】
実施例2
触媒を参考例3のニッケルイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例1と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが47.7%、ハイドロキノンが35.3%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は83.0%であった。反応液はごく薄い黄色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0062】
実施例3
触媒を参考例10のセリウムイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例1と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが47.9%、ハイドロキノンが30.9%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は78.8%であった。反応液はごく薄い黄色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例4
参考例1のイットリウムイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)、フェノール(10.00g)、3−ペンタノン(0.27g)、85重量%燐酸水溶液(0.02g)を300mlのフラスコに入れ、窒素雰囲気に置換した後、攪拌しながら100℃まで昇温した。次いで、この温度において、0.10gの60重量%過酸化水素水を滴下し、1.5分後0.10g滴下し、3分後、更に0.10g滴下して、最初の滴下から5分になるまで反応させた。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが51.2%、ハイドロキノンが33.8%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は85.0%であった。反応液はごく薄い黄色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0065】
実施例5
反応温度を100℃とした以外は実施例1と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが54.7%、ハイドロキノンが38.6%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は93.3%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0066】
実施例6
触媒を参考例3のニッケルイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが53.1%、ハイドロキノンが38.1%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は91.2%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0067】
実施例7
触媒を参考例4のマンガンイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが54.5%、ハイドロキノンが39.2%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は93.7%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0068】
実施例8
触媒を参考例5のコバルトイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが54.4%、ハイドロキノンが40.2%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は94.6%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0069】
実施例9
触媒を参考例6の銀イオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが49.9%、ハイドロキノンが39.9%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は89.8%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0070】
実施例10
触媒を参考例7の錫イオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが54.7%、ハイドロキノンが38.9%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は93.6%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0071】
実施例11
触媒を参考例8の鉛イオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが52.7%、ハイドロキノンが39.1%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は91.8%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0072】
実施例12
触媒を参考例11のプラセオジムイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが52.9%、ハイドロキノンが32.4%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は85.3%であった。反応液はごく薄い黄色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0073】
実施例13
触媒を参考例13のサマリウムイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが52.2%、ハイドロキノンが33.8%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は86.0%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0074】
実施例14
触媒を参考例12のイッテルビウムイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが54.3%、ハイドロキノンが36.2%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は90.5%であった。反応液はごく薄い黄色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0075】
実施例15
触媒を参考例14のガリウムイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが52.3%、ハイドロキノンが32.7%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は85.0%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0076】
実施例16
触媒を参考例15のインジウムイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが53.6%、ハイドロキノンが39.3%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は92.9%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0077】
実施例17
触媒を参考例16のニオブ担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが49.0%、ハイドロキノンが30.5%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は79.5%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0078】
実施例18
触媒を参考例17のタンタル担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが52.4%、ハイドロキノンが35.7%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は88.1%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0079】
実施例19
触媒を参考例18の亜鉛イオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが55.9%、ハイドロキノンが38.9%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は94.8%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0080】
実施例20
触媒を参考例19のニッケルイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが55.8%、ハイドロキノンが39.6%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は95.4%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0081】
実施例21
触媒を参考例20のマンガンイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが55.0%、ハイドロキノンが38.8%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は93.8%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0082】
実施例22
触媒を参考例21のコバルトイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)とした以外は実施例4と同様に反応を行った。
その結果、ニ価フェノールの収率は、カテコールが57.5%、ハイドロキノンが40.5%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は98.0%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0083】
実施例23
反応温度を120℃とした以外は実施例22と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが56.5%、ハイドロキノンが40.4%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は96.9%であった。反応液はごく薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0084】
実施例24
触媒を参考例21のコバルトイオン担持プロトン型βゼオライト(0.20g)、フェノール(10.00g)、3−ペンタノン(0.54g)、85重量%燐酸水溶液(0.02g)を300mlのフラスコに入れ、窒素雰囲気に置換した後、攪拌しながら100℃まで昇温した。次いで、この温度において、0.10gの60%過酸化水素水を滴下し、1.5分後、3分後、4.5分後、6分後、7.5分後にそれぞれ0.10gずつ滴下して、最初の滴下から10分になるまで反応させた。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが52.4%、ハイドロキノンが38.4%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は90.6%であった。反応液は薄い赤褐色に着色したのみであり、タール分の蓄積は殆ど観察されなかった。
【0085】
比較例1
触媒をSi/Al=3.0である日揮ユニバーサル製プロトン型US−Y(0.20g)とした以外は実施例8と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが11.0%、ハイドロキノンが5.4%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は16.4%であった。
【0086】
比較例2
触媒を参考例22で調製したCoイオン担持プロトン型US−Y(0.20g)とした以外は実施例8と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが14.9%、ハイドロキノンが8.1%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は23.0%であった。
【0087】
比較例3
触媒をSi/Al=6.0である東ソー製プロトン型モルデナイト(0.20g)とした以外は実施例8と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールは殆ど得られなかった。
【0088】
比較例4
触媒を参考例23で調製したCoイオン担持プロトン型モルデナイト(0.20g)とした以外は実施例8と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールは殆ど得られなかった。
【0089】
比較例5
触媒をSi/Al=20.0である日揮ユニバーサル製プロトン型ZSM−5(0.20g)とした以外は実施例8と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが16.8%、ハイドロキノンが6.7%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は23.5%であった。
【0090】
比較例6
触媒を参考例24で調製したCoイオン担持プロトン型ZSM−5(0.20g)とした以外は実施例8と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが8.7%、ハイドロキノンが2.4%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は11.1%であった
【0091】
比較例7
触媒をSi/Ti=38.0であるエヌ・イーケムキャット製TS−1(0.20g)とした以外は実施例8と同様に反応を行った。
その結果、二価フェノールの収率は、カテコールが17.1%、ハイドロキノンが7.4%で、カテコールとハイドロキノンの合計収率は24.5%であった。
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【発明の効果】
本発明の遷移金属、2B族金属、第3周期から第6周期の3B族金属、又は第5周期から第6周期の4B族金属、又はランタノイド金属を担持したβゼオライトを触媒として用いる方法により、ケトン及び燐酸の存在下、一価フェノールを過酸化物で酸化する際に、タール分の蓄積も引き起こすことなく、二価フェノールを高収率で得ることができる。
。
Claims (2)
- 遷移金属、2B族金属、第3周期から第6周期の3B族金属、第5周期から第6周期の4B族金属、又はランタノイド金属を担持したプロトン型βゼオライト、ケトン及び燐酸の存在下、一価フェノールを過酸化物で酸化することを特徴とする二価フェノールの製造法。
- 過酸化物が過酸化水素またはケトンパーオキサイドである、請求項1記載の二価フェノールの製造法。
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