JP2005072671A - 通信用電子部品および送受信切替え用半導体装置 - Google Patents

通信用電子部品および送受信切替え用半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】挿入損失および高調波歪みが小さいとともに、パワーアンプの出力電力を大きくすることができる送受信切替え回路およびそれを実装した通信用電子部品を提供する。
【解決手段】無線通信システムにおける送受信切替え用のスイッチ回路を構成する素子としてダイオードの代わりに直列接続もしくはマルチゲートのFET(Q1,Q2)を用い、各ゲート端子と制御端子との間に接続されるゲート抵抗(R11〜R13,R21〜R23)の抵抗値を、高い電圧が印加される側から低い側へ順に小さくするようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信システムにおける送受信切替え回路さらには挿入損失を低減しアンテナと受信側回路との間のアイソレーションを向上させる場合に適用して有効な技術に関し、例えば携帯電話機に用いられる送受信切替え回路を形成した半導体集積回路並びに該半導体集積回路とロウパスフィルタ、インピーダンス整合回路等を実装したフロントエンドモジュールさらにはこれに高出力増幅回路などを実装したパワーモジュールのような通信用電子部品に適用して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話機においては、例えば880〜915MHz帯のGSM(Global System for Mobile Communication)と1710〜1785MHz帯のDCS(Digital Cellular System)のような2つの周波数帯の信号を扱えるデュアルバンド方式の携帯電話機がある。さらに、近年においては、GSMやDCSの他に例えば1850〜1915MHz帯のPCS(Personal Communication System)の信号を扱えるトリプルバンド方式や800MHz帯を使用する欧州のGSM方式と850MHz帯を使用する米国のGSM方式の信号を扱えるクォッドバンド方式の携帯電話機に対する要求がある。
【0003】
ところで、従来の携帯電話機は、一般に、送信信号のアップコンバートや変調、受信信号のダウンコンバート、復調を行なう機能を有する半導体集積回路(一般に高周波ICと呼ばれる)と、送信データをI,Q信号に変換したり復調されたI,Q信号から受信データを復元したりする機能を有する半導体集積回路(ベースバンドIC)と、高周波電力増幅器およびそのバイアス回路、インピーダンス整合回路等を実装したパワーモジュールと呼ばれる電子部品と、送受信切替え回路、ロウパスフィルタ、インピーダンス整合回路等を実装したフロントエンドモジュールと呼ばれる電子部品などにより構成されていた。
【0004】
また、従来の携帯電話機に用いられる送受信切替え回路は、挿入損失を小さくするためダイオードを用いたものが多かった。なお、ダイオードを用いたスイッチ回路を実装したフロントエンドモジュールに関する発明としては、例えば特許文献1に記載されているものなどがある。なお、本明細書においては、表面や内部にプリント配線が施されたセラミック基板のような絶縁基板に複数の半導体チップとディスクリート部品が実装されて上記プリント配線やボンディングワイヤで各部品が所定の役割を果たすように結合されることであたかも一つの電子部品として扱えるように構成されたものをモジュールと称する。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−051751号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ダイオードを用いた送受信切替え回路はディスクリートの部品を使用するため、特にクォッドバンド方式のシステムのように複数のダイオードを必要とするシステムではこれを実装したモジュールのサイズが大きくなるとともに、消費電流が大きいという問題点がある。また、ダイオードを用いた送受信切替え回路は、ダイオード素子の他にλ/4のマイクロストリップラインを必要とするが、このラインの長さが5mm近くもあるため、モジュールのサイズがさらに大きくなる原因となっている。
【0007】
そこで、本発明者等は、ダイオードの代わりにFET(電界効果トランジスタ)を用いる送受信切替え回路について検討を行なった。その結果、FETを用いた送受信切替え回路では、トランジスタがオフしているときにソースもしくはドレインに入ってくる信号のレベルが大きいと、その入力電力でトランジスタがオンされてしまうため、パワーアンプの出力電力を大きくできないとともに、出力信号が歪んで高調波成分が多くなるという問題点があることが明らかになった。以下、この問題点について、詳細に説明する。
【0008】
図11には、本発明者ら検討したHEMT(高電子移動度トランジスタ)を使用した送受信切替えスイッチ回路を示す。図11の送受信切替えスイッチ回路は、パワーアンプの出力端子に接続される送信側端子Txとアンテナに接続されるアンテナに接続されるコモン端子COMとの間に接続された第1のスイッチトランジスタQ1と、アンテナに接続されるコモン端子COMとロウノイズアンプなどの受信系回路の入力端子が接続される受信側端子Rxとの間に接続された第2のスイッチトランジスタQ2とからなり、送信側端子Txと受信側端子RxにはそれぞれチョークコイルのようなインダクタL1,L2を介して常時直流電圧Vdcが印加されている。
【0009】
トランジスタQ1,Q2としてはデプレッション型のHEMTを用い、そのゲート端子にはそれぞれ抵抗R1,R2を介して制御電圧Vsw1,Vsw2が印加され、Q1,Q2のソース端子とドレイン端子にはそれぞれ直流電圧Vdcが印加されている。そのため、デプレッション型であっても制御電圧Vsw1,Vsw2が接地電位GND(0V)のようなロウレベルにされるとトランジスタQ1,Q2はオフ状態に、また制御電圧Vsw1,Vsw2が電源電圧VccのようなハイレベルにされるとトランジスタQ1,Q2はオン状態にされる。具体的には、送信モードでは、制御電圧Vsw1がハイレベル、制御電圧Vsw2がロウレベルにされて、トランジスタQ1がオン、Q2がオフ状態にされる。また、受信モードでは、制御電圧Vsw1がロウレベル、制御電圧Vsw2がハイレベルにされて、トランジスタQ1がオフ、Q2がオン状態にされる。
【0010】
図12には、トランジスタQ1がオン、Q2がオフ状態にされる送信モードにおける送受信切替えスイッチ回路の等価回路が示されている。図12に示されているように、送信モードでは、トランジスタQ1はソース・ドレイン間の抵抗Ron1とゲート・ソース間の容量Cgs1とゲート・ドレイン間の容量Cgd1とにより表される。Ron1はトランジスタQ1のオン抵抗(チャネル抵抗)である。一方、トランジスタQ2はソース・ドレイン間の容量Cds2とゲート・ソース間の容量Cgs2とゲート・ドレイン間の容量Cgd2とにより表される。送信モードで要求される特性は、送信側端子Txとアンテナに接続されるコモン端子COMとの間の挿入損失が小さいことと、アンテナに接続されるコモン端子COMと受信側端子Rxとの間のアイソレーションが高いことである。
【0011】
一般に、オンしているFETのチャネル抵抗Ron1は低い(1Ω以下)ので、Q1による挿入損失も低い(0.5dB以下)。そのため、送信側端子Txに入力されたパワーアンプからの送信出力は抵抗Ron1を通過してアンテナに接続されるコモン端子COMへ低損失で伝達される。ただし、高周波信号の場合、図12に示されているトランジスタQ1のゲート・ソース間容量Cgs1を介して信号が漏れるおそれがあるので、10kΩ程度のゲート抵抗Rg1を設けることで信号漏れによる挿入損失の増加を抑えるようにしている。これにより、パワーアンプからの送信出力はトランジスタQ1を通してアンテナに接続されるコモン端子COMへ低損失で伝達されるので、図11のスイッチ回路の場合、パワーアンプからの送信出力がそのままトランジスタQ2にも入力される。そのため、最大許容入力電力を規定するのはトランジスタQ2のアイソレーション特性となる。
【0012】
図13には、図11のスイッチ回路を構成するトランジスタQ2のオフ時にゲート・ソース間容量Cgs2に印加される高周波電圧の波形(i)と、Q1のオン時にゲート・ソース間容量Cgs1印加される波形(ii)が示されている。送信モードでは、トランジスタQ1がオンしている状態でのソース・ドレイン間の抵抗Ron1は低い(1Ω以下)ので、ソース電位とドレイン電位の差は小さい。そのため、Q1のゲート・ソース間容量Cgs1に印加される高周波電圧の波形(i)の振幅は小さなものとなる。
【0013】
一方、オフ状態のトランジスタQ2のソース・ドレイン間は容量を介して結合された状態になっており、アンテナ端の信号はVdcをバイアス点として変化し、Q2のゲート端子には0Vが印加されているため、Q1のゲート・ソース間容量Cgs1に印加される高周波電圧の波形(ii)の中心電位を「0」とすると、オフ状態のトランジスタQ2のゲート・ソース間容量Cgs2には、−Vdcを中心とし振幅が2(|Vdc|−|Vth|)の波形(i)のような高周波電圧が印加される。ここで、VthはトランジスタQ1,Q2のしきい値電圧であり、Q2のゲート・ソース間に|Vdc|−|Vth|よりも大きな電圧が印加されるとQ2がオンしてしまい、Q1を通してアンテナ端に伝達される高周波信号が受信側端子Rxへ漏れてしまう。
【0014】
従って、図11のスイッチ回路における最大許容入力電力の振幅は、2(|Vdc|−|Vth|)となる。そのため、パワーアンプがこれよりも大きな電力の高周波信号を出力すると、スイッチ回路の挿入損失が大きくなるとともに高調波が発生してしまう。なお、トランジスタQ1,Q2のしきい値電圧Vthを小さくすれば、最大許容入力電力の振幅を大きくすることが可能であるが、しきい値電圧Vthを小さくするとオン抵抗Ronが大きくなってしまい、挿入損失が大きくなるので好ましくない。
【0015】
本発明の目的は、システムないしはモジュールを構成する部品数を減らし、実装密度を高めて小型化を図るとともに消費電流を低減することができる送受信切替え回路およびそれを実装した通信用電子部品を提供することにある。 本発明の他の目的は、挿入損失および高調波歪みが小さい送受信切替え回路およびそれを実装した通信用電子部品を提供することにある。
本発明の他の目的は、パワーアンプの出力電力を大きくすることができる送受信切替え回路およびそれを実装した通信用電子部品を提供することにある。
この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添附図面から明らかになるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
すなわち、無線通信システムにおける送受信切替え用のスイッチ回路を構成する素子としてダイオードの代わりに直列接続もしくはマルチゲートのFETを用い、各ゲート端子と制御端子との間に接続されるゲート抵抗の抵抗値を、高い電圧が印加される側から低い側へ順に小さくするようにしたものである。また、送信信号が入力される送信側端子とアンテナに接続される端子との間に接続された第1のトランジスタと、アンテナに接続される端子と受信信号を受信回路へ供給するための受信側端子との間に接続された第2のトランジスタとからなるスイッチ回路において、送信側端子とアンテナに接続される端子にそれぞれバイアス用の直流電圧を印加するようにするのが望ましい。
【0017】
上記した手段によれば、スイッチ回路を構成する素子としてダイオードの代わりにFETを用いることにより、システムないしはモジュールを構成する部品点数を減らし、実装密度を高めることができる。また、ゲート抵抗の抵抗値を、高い電圧が印加される側から低い側へ順に小さくすることにより、高い電圧が入力される側のFETが先にオン状態にされるのを回避して挿入損失を減らし高調波歪みを低減させることができる。さらに、送信側端子とアンテナに接続される端子にそれぞれバイアス用の直流電圧を印加することにより、送信側端子に入力される高周波信号の最大許容電力を増大させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る送受信切替えスイッチ回路の第1の実施例を示す。本実施例の送受信切替えスイッチ回路は、GaAsチップのような半導体基板上に半導体集積回路として形成される。
本実施例の送受信切替えスイッチ回路は、パワーアンプの出力端子に接続される送信側端子Txとアンテナに接続されるコモン端子COMとの間に接続された第1のスイッチトランジスタQ1と、上記コモン端子COMとロウノイズアンプなどの受信系回路の入力端子が接続される受信側端子Rxとの間に接続された第2のスイッチトランジスタQ2とからなり、上記送信側端子Txと上記コモン端子COMにはそれぞれ外付け抵抗Rd1,Rd2を介して直流電圧Vdcが印加されている。
【0019】
トランジスタQ1,Q2としてはデプレッション型のPチャネルHEMTが用いられ、それぞれ1つのチャネルに対応して3つのゲート電極が形成されたトリプルゲートの素子として構成されており、Q1のそれぞれのゲート電極には抵抗R11,R12,R13を介して制御電圧Vsw1が、またQ2のそれぞれのゲート電極には抵抗R21,R22,R23を介して制御電圧Vsw2が印加される。Q1,Q2のソース端子にはそれぞれ直流電圧Vdcが印加されているため、デプレッション型であっても制御電圧Vsw1,Vsw2が接地電位GND(0V)のようなロウレベルにされるとトランジスタQ1,Q2はオフ状態に、また制御電圧Vsw1,Vsw2が電源電圧VccのようなハイレベルにされるとトランジスタQ1,Q2はオン状態にされる。
【0020】
具体的には、送信モードでは、制御電圧Vsw1がハイレベル、制御電圧Vsw2がロウレベルにされて、トランジスタQ1がオン、Q2がオフ状態にされる。また、受信モードでは、制御電圧Vsw1がロウレベル、制御電圧Vsw2がハイレベルにされて、トランジスタQ1がオフ、Q2がオン状態にされる。
【0021】
本実施例では、抵抗Rd1,Rd2は外付け抵抗で構成されているが、オンチップの抵抗であってもよいことは言うまでもない。抵抗Rd1,Rd2の代わりにチョークコイルのようなインダクタを用いてもよい。ただし、抵抗を用いることにより、オンチップ化が容易となり、部品点数を減らしシステムの小型化が可能になる。抵抗Rd1,Rd2はその抵抗値が大きいほど、制御電圧Vsw1,Vsw2を供給する信号線側に高周波成分が漏れて挿入損失が増加するのを防止することができるが、あまり大きすぎるとスイッチングの応答が遅くなるので、5kΩ〜20kΩの範囲内になるように設定される。
【0022】
本実施例では、トランジスタQ1側のゲート抵抗R11,R12,R13はその抵抗値r11,r12,r13がr11>r12>r13の関係になるように、例えばr11=3×r13,r12=2×r13に設定されている。トランジスタQ2側のゲート抵抗R21,R22,R23の抵抗値r21,r22,r23も同様に、r11>r12>r13、例えばr21=3×r23,r22=2×r23に設定されている。ここで、r13,r23はそれぞれ5kΩのような値が選択される。
【0023】
なお、ソース・ドレイン間の抵抗が図1の回路に比べて少し高くなるが、図2に示すようにゲート抵抗R21,R22,R23の抵抗値r21,r22,r23が例えばr21:r22:r23=3:2:1の関係になるように設定されたHEMTからなる3個のQ21,Q22,Q23が直列に接続されてなるスイッチと、同様にゲート抵抗R11,R12,R13の抵抗値r11,r12,r13が例えばr11:r12:r13=3:2:1の関係になるように設定された3個のトランジスタQ11,Q12,Q13が直列に接続されてなるスイッチ(図示略)とからなる送受信切替えスイッチ回路であってもよい。
【0024】
図2と同様な構成を有しゲート抵抗の抵抗値が同一である3段接続のトランジスタQ21,Q22,Q23からなりバイアス電圧Vdcが抵抗Rd2を介して受信側端子Rxに印加されている図3に示すようなスイッチと、同じくゲート抵抗の抵抗値が同一である3段接続のトランジスタQ11,Q12,Q13からなるスイッチ(バイアス給電点は送信側端子Tx)とを用いた送受信切替えスイッチ回路においては、オフ状態(Vsw2=0V)で各トランジスタQ21,Q22,Q23のソース側のノードNd1,Nd2,Nd3の電位Vd1,Vd2,Vd3がVd1>Vd2>Vd3となるため、ソースからゲートへ流れ込む電流Ig1,Ig2,Ig3はIg1>Ig2>Ig3である。
【0025】
そのため、Q21,Q22,Q23のゲート・ソース間電圧Vgs1,Vgs2,Vgs3はVgs1>Vgs2>Vgs3となる。その結果、アンテナ端子に近いトランジスタQ21のソースに図13に示す波形(i)のような高周波電圧Vinが印加されたときに、ゲート・ソース間電圧Vgs1がターンオン電圧(|Vdc|−|Vth|)に達し、他のトランジスタQ22,Q23よりも先にオン状態に移行してしまう。その結果、Q21,Q22,Q23のオフ状態におけるスイッチ回路の最大許容入力電圧がそれほど増加しない。
【0026】
これに対し、図2に示すようなスイッチを用いた場合には、ゲート抵抗R21,R22,R23の抵抗値r21,r22,r23がr21:r22:r23=3:2:1の関係になるように設定されているため、ゲート抵抗R21,R22,R23に電流Ig1,Ig2,Ig3が流れることにより、電圧降下でゲート電極の電圧はQ21,Q22,Q23の順に低くなり、Q21,Q22,Q23のゲート・ソース間電圧Vgs1,Vgs2,Vgs3はほぼ同一になる。そのため、アンテナ端子に近いトランジスタQ21が他のトランジスタQ22,Q23よりも先にオン状態になるのが回避され、最大許容入力電圧が増加する。このことは、スイッチング・トランジスタとしてトリプルゲートのHEMTを用いる図1のスイッチ回路についても言えることである。
【0027】
また、送信時にオン状態にされるトランジスタQ11,Q12,Q13に関しても、入力される高周波電圧VinがQ11,Q12,Q13のソース・ドレイン間で分割され、ゲート・ソース間電圧Vgs1,Vgs2,Vgs3はVgs1>Vgs2>Vgs3となる。そのため、ゲート抵抗が同一であると、図13に波形(ii)で示される高周波電圧が大きくなったときに、送信側端子Txに最も近いトランジスタQ11のゲート・ソース間電圧が真っ先にゲートに正方向の電流が流れ始めるビルトインポテンシャルと呼ばれる電圧Vbiを超えて高調波成分が多く発生するようになる。
【0028】
これに対し、実施例のように、ゲート抵抗R11,R12,R13の抵抗値r11,r12,r13が3:2:1にされることにより、Q11,Q12,Q13のゲート・ソース間電圧Vgs1,Vgs2,Vgs3はほぼ同一になり、送信側端子Txに最も近いトランジスタQ11のゲートに真っ先に電流が流れ始めるのを回避することができる。このことは、スイッチング・トランジスタとしてトリプルゲートのHEMTを用いる図1のスイッチ回路についても言えることである。以上のように、図1の実施例のスイッチング回路も図2の実施例のスイッチング回路も高周波電力が入力される側のトランジスタのゲート抵抗の抵抗値を大きくしているため、最大許容入力電圧を図11のようなスイッチング回路に比べて大きくすることができる。
【0029】
また、3個のトランジスタをそれぞれ直列に接続してなる図2のスイッチング回路に比べてトリプルゲートのHEMTを用いる図1のスイッチ回路の方が、途中にソース電極やドレイン電極を設ける領域のない分だけチャネルが短くなりまたソース抵抗とドレイン抵抗がない分だけオン抵抗Ronを小さくすることができ、挿入損失を低減することができるという利点がある。さらに、図1と図2の実施例のスイッチング回路においては、トランジスタQ1,Q2の高周波電力が入力される側の端子に高周波信号の動作点を与えるバイアス電圧Vdcを印加しているため、高調波歪を小さくできるという利点がある。
【0030】
すなわち、バイアス電圧Vdcを印加するポイントとしては、図11に示すようにトランジスタQ2の高周波電力が入力される側と反対側の端子とすることも考えられるが、そのようにするとトランジスタQ2のゲート・ソース間容量Cgs2の非線形性により、高周波信号(図13の波形(i))の動作点が図13に矢印Xで示すようにずれて、しきい値電圧Vthのラインを超えてしまい、高調波歪を大きくするおそれがある。しかるに、図1と図2の実施例のスイッチング回路では、トランジスタQ2の高周波電力が入力される側の端子にバイアス電圧Vdcを印加しているため、高調波歪を小さくすることができる。
【0031】
同様に、トランジスタQ1に関してもバイアス電圧Vdcを印加するポイントを送信側端子Txではなく、反対側のアンテナに接続されるコモン端子COMとすることも可能であるが、そのようにするとトランジスタQ1のオン抵抗Ronの非線形性により、高周波信号(図13の波形(ii)の動作点が図13に矢印Yで示すようにずれて、ドレイン電流特性のリニアでない領域で動作して高調波歪を大きくするおそれがある。しかるに、図1と図2の実施例のスイッチング回路では、トランジスタQ1の高周波電力が入力される送信側端子Txにバイアス電圧Vdcを印加しているため、高調波歪を小さくすることができる。
【0032】
図4には、本発明の送受信切替えスイッチ回路の第3の実施例が示されている。
この実施例は、図1の実施例におけるスイッチング・トランジスタQ2と並列に、アンテナに接続されるコモン端子COMと第2の受信側端子Rx2との間にスイッチング・トランジスタQ3を設けたものである。このトランジスタQ3は、Q2と同様にトリプルゲートのHEMTからなる。ゲートに接続された抵抗R31,R32,R33は抵抗値r31,r32,r33が3:2:1に設定されている。この実施例のスイッチング回路は、GSM方式の信号とDCS方式の信号のような異なる2つの周波数帯の信号を送受信可能なシステムを構成するのに用いると便利である。
【0033】
図5には、本発明の送受信切替えスイッチ回路の第4の実施例が示されている。
この実施例は、図1の実施例におけるスイッチング・トランジスタQ2と第1の受信側端子Rx1と第2の受信側端子Rx2との間に、並列形態のスイッチング・トランジスタQ3,Q4を設け、受信側のアイソレーションをさらに高めたものである。これらのトランジスタQ3,Q4は、ダブルゲートのHEMTにより構成されている。ゲートに接続された抵抗R31,R32とR41,R42は抵抗値r31,r32,r41,r42がr31≧r32,r41≧r42に設定されている。この実施例のスイッチング回路も、GSM方式の信号とDCS方式の信号のような異なる2つの周波数帯の信号を送受信可能なシステムを構成するのに用いると便利である。
【0034】
図6には、本発明の送受信切替えスイッチ回路をパワーアンプやロウパスフィルタとともにモジュールとして構成する場合の好適な一実施例の概略構成を示す。
この実施例のモジュールは、アルミナのような誘電体層が複数積層されてなり各誘電体層の表裏に導電体層からなる配線もしくはマイクロストリップラインが形成されてなるセラミック基板100上に、半導体集積回路化されたスイッチ回路(SWIC)110、1800MHzのDCS系の信号および1900MHzのPCS系の送信信号を増幅するパワーアンプ121、800MHz〜850MHzのGSM系の送信信号を増幅するパワーアンプ122、該パワーアンプ121,122の利得を制御する信号や上記SWIC110内のスイッチをオン、オフ制御する信号を生成する制御回路130、パワーアンプ121,122より増幅された高周波信号から高調波を除去するロウパスフィルタ141,142、DCS系およびPCS系の送受信信号とGSM系の送受信信号とを分離する分波器150などが実装されてなる。
【0035】
SWIC110は、図4または図5の実施例のようなスイッチ回路が2個1つの半導体チップ上に形成されている。ただし、各スイッチのゲート電極の幅は、GSM系側のスイッチ回路SW2を構成するトランジスタQ1のゲート幅の方が、DCS,PCD系側のスイッチ回路SW1を構成するトランジスタQ1のゲート幅よりも広くなるように設計されている。最大出力電力はGSMが36dB、DCS,PCSが34dBであり、GSMの方が大きいため、上記のようにゲート幅を設定しないとGSM系側とDCS,PCD系側とでスイッチ回路の挿入損失が同一にならないためである。スイッチ回路SW1,SW2を構成するトランジスタのゲート幅を変える代わりに、トランジスタQ1のゲート段数を変えるようにしてもよい。具体的には、GSMのスイッチ回路SW2の方のトランジスタQ1のゲート段数を少なくする。なお、GSM系側とDCS,PCD系側のトランジスタQ2のゲート幅は、挿入損失と受信側アイソレーションとのトレードオフによって決定される。
【0036】
パワーアンプ121,122と制御回路130は、1つあるいは複数の半導体チップにより構成される。ロウパスフィルタ141,142は、セラミック基板100に形成された導電体層からなる抵抗と導電体層間の容量とにより、あるいは基板上に実装された抵抗素子と容量素子とより構成される。図示しないが、パワーアンプ121,122とロウパスフィルタ141,142との間には、マイクロストリップラインと層間容量とからなるインピーダンス整合回路が設けられる。SWIC110のコモン端子COM1,COM2には、外付け抵抗Rd21,Rd22を介してバイアス電圧Vdcが印加されている。図示しないが送信側端子Tx1,Tx2も同様である。分波器150は、DCS系およびPCS系の送受信信号を通過するハイパスフィルタHFTと、GSM系の送受信信号を通過するロウパスフィルタLFTとから構成される。
【0037】
なお、この実施例のモジュールの外側には分波器150にアンテナATNが、またSWIC110の受信側端子Rx1,Rx2,Rx3,Rx4にはSAWフィルタからなるバンドパスフィルタ211〜214を介して受信信号を増幅するロウノイズアンプ221〜224が接続される。ロウノイズアンプ221〜224は、送信信号を変調する変調回路やアップコンバートを行なうミキサや受信信号を復調する復調回路やダウンコンバートを行なうミキサなどと共に1つの半導体集積回路(高周波ICと呼ばれる)として構成することができる。
【0038】
制御回路130は、送信データ(ベースバンド信号)に基づいてI,Q信号を生成したり復調されたI,Q信号からベースバンド信号を生成したりするベースバンド回路から供給される出力レベル指示信号Vrampなどに基いてパワーアンプ121,122の利得を制御する信号を生成し、モードを指示する信号に基づいてSWIC110内のスイッチ回路に対する送受信切替え電圧Vsw1,Vsw2を生成したりする。ベースバンド回路は1つの半導体チップ上に半導体集積回路(IC)として構成することができる。
【0039】
ところで、一般に、伝送線のインピーダンスは、その伝送線により伝送される信号の周波数によって異なることが知られている。そこで、図6の実施例では、ロウパスフィルタ141からSWIC110までの配線(マイクロストリップライン)L1とロウパスフィルタ142からSWIC110までの配線L2のインピーダンスを合わせるため、L2の長さの方がL1の長さよりも長く(約2倍)なるように設定されている。これは、配線L1により伝送されるDCS(1800MHz)やPCS(1900MHz)の信号よりも配線L2により伝送されるGSMの信号の方が、周波数が低い(約1/2)ためである。一般に、プリント基板上の配線は最短距離となるように設計されることが多い。従って、この実施例の場合には、配線L1に比べて配線L2の方が冗長な経路となるように蛇行して配置されるか、ロウパスフィルタ142の方がロウパスフィルタ141よりもSWIC110から離れた位置に配置されることになる。
【0040】
図7には、本発明の送受信切替えスイッチ回路をパワーアンプやロウパスフィルタとともにモジュールとして構成する場合の第2の実施例とそれを用いた無線通信システムの概略構成を示す。図7において、図6と同一の回路には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0041】
図6の実施例のモジュールは4つの周波数帯の信号を送受信可能に構成されているのに対し、図7の実施例のモジュールは、例えばGSM系の信号とDCS系の信号のような2つの周波数帯の信号を送受信可能に構成されている。図7の実施例では、SWIC110として、図1の実施例のスイッチ回路を2個並列に設けアンテナに接続されるコモン端子COMを共通接続して1つの半導体チップ上に形成したもの、すなわち図4のスイッチ回路において送信側端子Txを2つ設けるとともに、送信側のトランジスタQ1と並列に、第2の送信側端子Tx2とコモン端子COMとの間にトリプルゲートのトランジスタを設けて半導体チップ上に形成したものが使用される。
【0042】
パワーアンプ121,122には、ベースバンド回路300から入力されたI,Q信号に基いて高周波発振器230からの発信信号を変調する変調&アップコンバート用のミキサ240で変調された高周波信号が入力される。ロウノイズアンプ221,222により増幅された受信信号は復調&ダウンコンバート用のミキサ250に供給されて復調される。復調されたI,Q信号はベースバンド回路300に供給されて処理される。高周波発振器230とミサキ240および250は1つの半導体チップ上に半導体集積回路(高周波IC)200として構成されている。
【0043】
図7の実施例においても、インピーダンスを合わせるため、ロウパスフィルタ141からSWIC110までの配線(マイクロストリップライン)L1よりもロウパスフィルタ142からSWIC110までの配線L2の方が長くなるように設定されている。
【0044】
次に、上記実施例のスイッチ回路(SWIC100)を半導体チップ上に形成する場合のデバイス構造の実施例を、図8〜図10を参照しながら説明する。
図8には実施例のSWIC100全体のレイアウト構成が、また図9には図8において符号Aで囲まれている部位を拡大したレイアウトが示されている。なお、図8は、図1に示されている1つの送信側端子Txと1つの受信側端子Rxを有するスイッチ回路を半導体集積回路として構成したものを示す。
【0045】
図8において、符号P1が付されているのは送信側端子Txとしてのボンディングパッド、P2はコモン端子COMとしてのボンディングパッド、P3は受信側端子Rxとしてのボンディングパッド、P4,P5はスイッチトランジスタQ1,Q2のオン・オフ制御電圧Vsw1,Vsw2が入力されるボンディングパッドである。また、符号L11が付されているのは上記送信側端子TxとしてのボンディングパッドP1に接続されたアルミニウムなどの導電層からなる配線、L12はコモン端子COMとしてのボンディングパッドP2に接続された配線、L13は受信側端子RxとしてのボンディングパッドP3に接続された配線である。
【0046】
上記配線L11とL12との間の半導体チップ表面にスイッチトランジスタQ1の能動層やキャリア供給層とコンタクト層、コンタクト層に接続されたソース・ドレイン電極、ソース・ドレイン電極間に設けられたゲート電極などが形成されるトランジスタ形成領域TAR1が設けられている。また、上記配線L12とL13との間の半導体チップ表面にスイッチトランジスタQ2の能動層やキャリア供給層とコンタクト層、コンタクト層に接続されたソース・ドレイン電極と、ソース・ドレイン電極間に設けられたゲート電極などが形成されるトランジスタ形成領域TAR2が設けられている。さらに、これらのトランジスタQ1,Q2の側方(図では右側)には、Q1,Q2のゲート抵抗R11〜R13,R21〜R23となる抵抗層が形成される抵抗形成領域RAR1,RAR2が設けられている。
【0047】
抵抗形成領域RAR1,RAR2に形成されるゲート抵抗R11〜R13,R21〜R23は、図9に拡大して示されているように、本実施例では所定の長さに設定されたWSiN(タングステンシリサイド)などからなる抵抗層MR1〜MR6により構成される。具体的には、最も抵抗値の小さなゲート抵抗R13とR23は1本の抵抗層MR1により、R13,R23の2倍の抵抗値を有するゲート抵抗R12とR22は2本の抵抗層MR2とMR3により、さらにR13,R23の3倍の抵抗値を有するゲート抵抗R11とR21は3本の抵抗層MR4〜MR6によりそれぞれ構成される。各抵抗層MR1〜MR6の長さは同一で、同一抵抗値を有するようにされる。ゲート抵抗R11,R21,R12,R22のように複数の抵抗層を用いる場合には、配線層M1〜M4により各抵抗層が直列になるように接続される。
【0048】
トランジスタ形成領域TAR1には、配線L11から配線L12へ向かってソース電極S1,S2……が櫛歯状に形成され、配線L12から配線L11へに向かってドレイン電極D1,D2……が櫛歯状に形成されている。そして、これらの電極間にゲート電極となるメタル層GM1,GM2,GM3が蛇行しながら互いに平行に配設されている。
【0049】
次に、図9のA−A線に沿った断面図を製造工程順に示す図10を用いてSWICを構成するスイッチトランジスタQ1,Q2とゲート抵抗R11〜R23の断面構造および製造方法の一例を説明する。
まず、通常のHEMTの製造工程と同様にして、半導体絶縁性GaAs基板120上に、GaAsエピタキシャル層121、動作層となるGaAs層122、キャリア供給層となるAlGaAs層123、低抵抗のコンタクト層となるn−GaAs層124を順次形成し、トランジスタ形成領域を除く部位をエッチングにより除去した後、PSG膜とSiO膜からなる絶縁膜131を形成する。そして、この絶縁膜131上にWSiN膜を形成した後、パターニングを行なってゲート抵抗となる抵抗層141を形成して図10(a)の状態となる。
【0050】
その後、トランジスタ形成領域の絶縁膜131の一部に選択エッチングによって開口部を形成して、そこにソース電極およびドレイン電極となるメタル層151,152を形成して図10(b)の状態となる。続いて、上記メタル層151,152間の絶縁膜131およびn−GaAs層124を選択エッチングして3つの開口部を形成して、そこにそれぞれAlGaAs層123に接触したゲート電極となるメタル層153を形成して図10(c)の状態となる。
【0051】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0052】
例えば、上記実施例では、送信側端子Txとコモン端子COMに抵抗を介してバイアス点を与える直流電圧Vdcを印加しているが、チョークコイルなどのインダクタを介して印加してもよい。また、その場合、インダクタは外付け素子でもよいし、トランジスタQ1,Q2が形成されたチップと同一のチップ上に形成されたオンチップの素子であってもよい。
【0053】
また、図5の実施例では、トリプルゲートのトランジスタQ2と直列にデュアルゲートのトランジスタQ3,Q4を接続したが、トランジスタQ3,Q4はシングルゲートのトランジスタであってもよい。さらに、上記実施例では、スイッチ回路を構成するトランジスタとしてHEMTを用いたものを説明したが、HEMTの代わりにMESFETなど他のFETを用いることが可能である。
【0054】
また、前記実施例では、スイッチトランジスタQ1,Q2のゲートに接続されるゲート抵抗としてWSiNを用いているが、WSiN以外の比較的シート抵抗の大きな高融点金属もしくは高融点金属のシリサイドまたはそれらを複数積層したものを用いてゲート抵抗を形成するようにしてもよい。
【0055】
以上、本発明を、GSM800方式とGSM850方式、DCS1800方式、PCS1900方式の4つの方式に従った通信が可能に構成されたクォッドバンド方式のシステムやGSM方式とDCS方式の2つの方式に従った通信が可能に構成されたデュアルバンド方式のシステムに好適なスイッチ回路およびそれをパワーアンプとともに実装したモジュールに適用した場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものでなく、例えば2.4GHz帯と5GHz帯の信号を送受信する無線LANのようなシステムに使用するスイッチ回路にも適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、スイッチ回路を構成する素子としてダイオードの代わりにFETを用いることにより、通信システムおよびモジュール(通信用電子部品)を構成する部品点数を減らし、実装密度を高めることができる。
また、ゲート抵抗の抵抗値を、高い電圧が印加される側から低い側へ順に小さくするようにすることにより、高い電圧が入力される側のFETが先にオン状態にされるのを回避して挿入損失を減らし高調波歪みを低減させることができる。
【0057】
さらに、送信側端子とアンテナに接続される端子にそれぞれバイアス用の直流電圧を印加することにより、送信側端子に入力される高周波信号の最大許容電力を増大させることができる。その結果、最大出力電力の大きな無線通信システムに使用しても、挿入損失が低くかつ送信側から受信側への漏れ電力が少なくそれによって高調波歪みを少なくすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る送受信切替えスイッチ回路の第1の実施例を示す回路構成図である。
【図2】本発明に係る送受信切替えスイッチ回路の第2の実施例を示す回路構成図である。
【図3】本発明者らが検討した送受信切替えスイッチ回路の例を示す回路構成図である。
【図4】本発明に係る送受信切替えスイッチ回路の第3の実施例を示す回路構成図である。
【図5】本発明に係る送受信切替えスイッチ回路の第4の実施例を示す回路構成図である。
【図6】本発明の送受信切替えスイッチ回路をパワーアンプやロウパスフィルタとともにモジュールとして構成する場合の好適な一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の送受信切替えスイッチ回路をパワーアンプやロウパスフィルタとともにモジュールとして構成する場合の第2の実施例とそれを用いた無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図8】実施例のSWICの全体のレイアウト構成を示す平面図である。
【図9】図8において符号Aで囲まれている部位を拡大したレイアウトを示す平面図である。
【図10】図9のA−A線に沿った断面図を製造工程順に示す工程説明図である。
【図11】本発明者ら検討したHEMT(高電子移動度トランジスタ)を使用した送受信切替えスイッチ回路を示す回路構成図である。
【図12】図11のトランジスタQ1がオン、Q2がオフ状態にされる送信モードにおける送受信切替えスイッチ回路の等価回路である。
【図13】図11のスイッチ回路を構成するトランジスタQ2のオフ時にゲート・ソース間容量Cgs2に印加される高周波電圧の波形(i)と、Q1のオン時にゲート・ソース間容量Cgs1印加される波形(ii)を示す説明図である。
【符号の説明】
100 モジュール
110 スイッチ回路(SWIC)
121,122 パワーアンプ
130 制御回路
141,142 ロウパスフィルタ
150 分波器
200 高周波IC
211〜214 バンドパスフィルタ
221〜224 ロウノイズアンプ
230 発振器
240 アップコンバート用ミキサ
250 ダウンコンバート用ミキサ
300 ベースバンド回路(ベースバンドIC)

Claims (12)

  1. 第1の周波数帯の高周波送信信号を増幅する第1の電力増幅回路と、第2の周波数帯の高周波送信信号を増幅する第2の電力増幅回路と、送受信用アンテナに接続される第1の端子と、第1の周波数帯の高周波受信信号を処理する第1の受信回路に接続される第2の端子と、第2の周波数帯の高周波受信信号を処理する第2の受信回路に接続される第3の端子と前記第1の端子と前記第1の電力増幅回路と前記第2の端子との間に設けられた第1スイッチ回路と、前記第1の端子と前記第2の電力増幅回路と前記第3の端子との間に設けられた第2スイッチ回路とを備え、前記第1スイッチ回路を構成するトランジスタと前記第2スイッチ回路を構成するトランジスタとは、第1スイッチ回路の挿入損失と第2スイッチ回路の挿入損失のバランスがとれるようにそれぞれの特性が異なっていることを特徴とする通信用電子部品。
  2. 前記第1スイッチ回路を構成するトランジスタと前記第2スイッチ回路を構成するトランジスタとは、ゲート幅が異なることで特性が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の通信用電子部品。
  3. 前記第1スイッチ回路は前記第1の端子と第1の電力増幅回路との間に設けられた第1スイッチ手段と、前記第1の端子と第2の端子との間に設けられた第2スイッチ手段とを備え、前記第2スイッチ回路は前記第1の端子と第2の電力増幅回路との間に設けられた第3スイッチ手段と、前記第1の端子と第3の端子との間に設けられた第4スイッチ手段とを備え、前記第2および第4スイッチ手段を構成するトランジスタは1個のマルチゲートのトランジスタもしくは直列接続された複数のトランジスタからなり、該トランジスタの複数のゲート端子とそれらに共通の制御入力端子との間にそれぞれ抵抗素子が接続され、それらの抵抗素子の抵抗値は前記第1の端子に近い側のゲート端子に接続されている抵抗素子ほどその抵抗値が大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の通信用電子部品。
  4. 第1および第3スイッチ手段は1個のマルチゲートのトランジスタもしくは直列接続された複数のトランジスタからなり、該トランジスタの複数のゲート端子とそれらに共通の制御入力端子との間にそれぞれ抵抗素子が接続され、それらの抵抗素子の抵抗値は前記第1の端子に近い側のゲート端子に接続されている抵抗素子ほどその抵抗値が小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の通信用電子部品。
  5. 第1の周波数帯の高周波送信信号を増幅する第1の電力増幅回路と、第2の周波数帯の高周波送信信号を増幅する第2の電力増幅回路と、送受信用アンテナに接続される第1の端子と、第1の周波数帯の高周波受信信号を処理する第1の受信回路に接続される第2の端子と、第2の周波数帯の高周波受信信号を処理する第2の受信回路に接続される第3の端子と、前記第1の電力増幅回路と前記第1の端子と前記第2の端子との間に設けられた第1スイッチ回路と、前記第2の電力増幅回路と前記第1の端子と前記第3の端子との間に設けられた第2スイッチ回路とを備え、前記第2の周波数帯の周波数は前記第1の周波数帯の周波数よりも低くされ、前記第2の電力増幅回路と第2スイッチ回路との間に形成され高周波送信信号を伝送する第1の信号線は、前記第1の電力増幅回路と第1スイッチ回路との間に形成され高周波送信信号を伝送する第2の信号線よりも長くなるように設定されていることを特徴とする通信用電子部品。
  6. 第1の周波数帯の高周波送信信号を増幅する第1の電力増幅回路と、第2の周波数帯の高周波送信信号を増幅する第2の電力増幅回路と、送受信用アンテナに接続される第1の端子と、第1の周波数帯の高周波受信信号を処理する第1の受信回路に接続される第2の端子と、第2の周波数帯の高周波受信信号を処理する第2の受信回路に接続される第3の端子と、前記第1の端子と前記第1の電力増幅回路と前記第2の端子との間に設けられた第1スイッチ回路と、前記第1の端子と前記第2の電力増幅回路と前記第3の端子との間に設けられた第2スイッチ回路とを備え、
    前記第1スイッチ回路の前記第1の周波数帯の高周波送信信号が入力される信号入力端子と、前記第2スイッチ回路の前記第2の周波数帯の高周波送信信号が入力される信号入力端子と、前記第1の端子には、それぞれ抵抗素子を介して所定の直流電圧が印加されることを特徴とする通信用電子部品。
  7. 少なくとも前記第1スイッチ回路と前記第2スイッチ回路とは1つの半導体チップ上に形成され、前記信号入力端子と前記第1の端子に接続される前記抵抗素子は、前記半導体チップの外部にて該半導体チップの所定端子に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の通信用電子部品。
  8. 送受信用のアンテナに接続される第1の端子と、送信回路に接続される第2の端子と、受信回路に接続される第3の端子と、前記第1の端子と第2の端子との間に設けられた第1スイッチ手段と、前記第1の端子と第3の端子との間に設けられた第2スイッチ手段とを備え、前記第1スイッチ手段と前記第2スイッチ手段のオン、オフによって送信信号と受信信号の切替えを行なう送受信切替え用半導体装置であって、
    前記第2スイッチ手段は1個のマルチゲートのトランジスタもしくは直列接続された複数のトランジスタからなり、該トランジスタの複数のゲート端子とそれらに共通の制御入力端子との間にそれぞれ抵抗素子が接続され、それらの抵抗素子の抵抗値は前記第1の端子に近い側のゲート端子に接続されている抵抗素子ほどその抵抗値が大きくなるように設定されていることを特徴とする送受信切替え用半導体装置。
  9. 第1スイッチ手段は1個のマルチゲートのトランジスタもしくは直列接続された複数のトランジスタからなり、該トランジスタの複数のゲート端子とそれらに共通の制御入力端子との間にそれぞれ抵抗素子が接続され、それらの抵抗素子の抵抗値は前記第1の端子に近い側のゲート端子に接続されている抵抗素子ほどその抵抗値が大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項8に記載の送受信切替え用半導体装置。
  10. 前記抵抗素子は、前記トランジスタが形成されている半導体基板のトランジスタ形成領域の外側の絶縁膜上に所定のパターンに形成された高融点金属層もしくは高融点金属のシリサイド層からなることを特徴とする請求項8または9に記載の送受信切替え用半導体装置。
  11. 前記第2スイッチ手段は、マルチゲートのトランジスタと前記第1の端子と第3の端子との間に前記マルチゲートのトランジスタと直列に接続された第2のトランジスタとからなり、前記マルチゲートのトランジスタの複数のゲート端子とそれらに共通の制御入力端子との間にそれぞれ抵抗素子が接続され、それらの抵抗素子の抵抗値は前記第1の端子に近い側のゲート端子に接続されている抵抗素子ほどその抵抗値が大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の送受信切替え用半導体装置。
  12. 第2の受信回路に接続される第4の端子と、前記第1の端子と前記第4の端子との間に接続された第3スイッチ手段とをさらに備え、前記第3スイッチ手段は1個のマルチゲートのトランジスタもしくは直列接続された複数のトランジスタからなり、該トランジスタの複数のゲート端子とそれらに共通の制御入力端子との間にそれぞれ抵抗素子が接続され、それらの抵抗素子の抵抗値は前記第1の端子に近い側のゲート端子に接続されている抵抗素子ほどその抵抗値が大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の送受信切替え用半導体装置。
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