JP2005070193A - ピッチ変換導波路アレイ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平面基板上に配置された複数の光導波路の始端のピッチPinと終端のピッチPoutとがPin<Poutの関係をもつピッチ変換導波路アレイであって、前記複数の光導波路のそれぞれが曲げ損失を無視できる曲率で構成され、かつすべての光導波路の導波路長が略同一であることを特徴とするピッチ変換導波路アレイである。
【選択図】 なし
Description
本発明の目的は、光導波路間の伝搬損失のばらつきが少ないピッチ変換導波路アレイを提供することにある。
<1> 平面基板上に配置された複数の光導波路の始端のピッチPinと終端のピッチPoutとがPin<Poutの関係をもつピッチ変換導波路アレイであって、
前記複数の光導波路のそれぞれが曲げ損失を無視できる曲率で構成され、かつすべての光導波路の導波路長が略同一であることを特徴とするピッチ変換導波路アレイである。
以下、本発明のピッチ変換型導波路アレイの実施の形態について詳述する。
q=R・Δn/(d・n)
θi(rad)=arccos(1−2(i-1)×(Pout−Pin)/4/r)
(i=1,2,3)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
式(1)で求められた導波路アレイの経路を計算すると、すべての光導波路について以下に示す式(2)で導波路長Lwが求められる。
Lw=2r(θ1+θ2+θ3)・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
1)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層から形成され、ピッチ変換導波路用凸部に対応する凹部を有する鋳型を準備する工程
2)鋳型にクラッド用基材を密着させる工程
3)クラッド用基材を密着させた鋳型のピッチ変換導波路用凸部に対応する凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填する工程
4)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる工程
5)鋳型をクラッド用基材から剥離する工程
6)コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成する工程
1)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層から形成され、光導波路コア凸部に対応する凹部を有する鋳型を準備する工程
鋳型の作製は、ピッチ変換導波路に対応する凸部を形成した原盤を用いて行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。以下では、原盤を用いる方法について説明する。
<原盤の作製>
ピッチ変換導波路に対応する凸部を形成した原盤の作製には、従来の方法、たとえばフォトリソグラフィー法やRIE法を特に制限なく用いることができる。また、本出願人が先に出願した電着法又は光電着法により高分子光導波路を作製する方法(特願2002−10240号)も、原盤を作製するのに適用できる。原盤に形成される光導波路に対応する凸部の大きさは一般的に5〜500μm程度、好ましくは40〜200μm程度であり、光導波路の用途等に応じて適宜決められる。例えばシングルモード用の光導波路の場合には、10μm角程度のコアを、マルチモード用の光導波路の場合には、50〜100μm角程度のコアが一般的に用いられるが、用途によっては数百μm程度と更に大きなコア部を持つ光導波路も利用される。なお、原盤上のコアは、前述の本発明に係る設計方法における構成で配置する。
鋳型は、前記のようにして作製した原盤のピッチ変換導波路に対応する凸部が形成された面に、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布したり注型し、必要に応じ乾燥処理をした後、該樹脂を硬化させ、次いでその硬化樹脂層を剥離して作製される。また、鋳型には、前記凸部に対応する凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填するための進入口、及び前記凸部に対応する凹部から前記樹脂を排出させるための排出口が形成されるが、その形成方法は特に制限はない。原盤に予め進入口や排出口に対応する凸部を設けておくこともできるが、簡便な方法としては、例えば、原盤に鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層を形成した後剥離して型をとり、その後、型の両端を前記凹部が露出するように切断することにより進入口及び排出口を形成する方法が挙げられる。
また、鋳型凹部に連通する貫通孔を凹部の両端に設けることが有効である。進入口側の貫通孔は液(樹脂)溜まりとして利用でき、排出側の貫通孔は減圧吸引管をその中に挿入して凹部内部を減圧吸引装置に接続することができる。貫通孔は、凹部のピッチにより、各凹部に対応してそれぞれ設けてもよく、また、各凹部に共通に連通する1つの貫通孔を設けてもよい。
前記硬化樹脂層の厚さは、鋳型としての取り扱い性を考慮して適宜決められるが、一般的に0.1〜50mm程度が適切である。
また、前記原盤にはあらかじめ離型剤塗布などの離型処理を行なって鋳型との剥離を促進することが望ましい。
鋳型形成用硬化性樹脂は、原盤の表面に塗布や注型等することが可能で、また、原盤に形成された個々の光導波路コアに対応する凸部を正確に写し取らなければならないので、ある限度以下の粘度、たとえば、500〜7000mPa・s程度を有することが好ましい。(なお、本発明において用いる「鋳型形成用硬化性樹脂」の中には、硬化後、弾性を有するゴム状体となるものも含まれる。)また、粘度調節のために溶剤を、溶剤の悪影響が出ない程度に加えることができる。
鋳型のシェア(Share)ゴム硬度は、15〜80、好ましくは20〜60であることが、型取り性能、凹部形状の維持、剥離性の点からみて好ましい。
鋳型の表面粗さ(二乗平均粗さ(RMS))は、0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下にすることが、形成されたコアの光導波特性において光損失を大幅に低減できる。
本発明において用いるクラッド用基材としては、ガラス基材、セラミック基材、プラスチック基材等のものが制限なく用いられる。また屈折率制御のために前記基材に樹脂コートしたものも用いられる。クラッド用基材の屈折率は、1.55より小さく、1.50より小さいものがより好ましい。特に、コア材の屈折率より0.01以上小さいことが必要である。また、クラッド基材としては、平坦で、鋳型との密着性に優れ、両者を密着させた場合、鋳型凹部以外に空隙が生じないものが好ましい。また、クラッド基材が鋳型及び/又はコアとの密着性が余り良好でない場合には、オゾン雰囲気による処理、波長300nm以下の紫外線照射処理を行って、鋳型等との密着性を改善することが好ましい。
プラスチック基材の中でも、フレキシブルなフィルム基材を用いた高分子光導波路は、カプラー、ボード間の光配線や光分波器等としても使用できる。前記フィルム基材は、作製される高分子光導波路の用途に応じて、その屈折率、光透過性等の光学的特性、機械的強度、耐熱性、鋳型との密着性、フレキシビリティー(可撓性)等を考慮して選択される。
また、前記フィルム基材が鋳型及び/又はコアとの密着性が余り良好でない場合には、オゾン雰囲気による処理、波長300nm以下の紫外線照射処理を行って、鋳型等との密着性を改善することが好ましい。
また、脂環式オレフィン樹脂としては主鎖にノルボルネン構造を有するもの、及び主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基(アルキル基としては炭素数1から6のものやシクロアルキル基)等の極性基をもつものが挙げられる。中でも前記のごとき主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂は、低屈折率(屈折率が1.50近辺であり、コア・クラッドの屈折率の差を確保できる)及び高い光透過性等の優れた光学的特性を有し、鋳型との密着性に優れ、さらに耐熱性に優れているので特に本発明のピッチ変換導波路アレイの作製に適している。
また、前記フィルム基材の厚さはフレキシビリティーと剛性や取り扱いの容易さ等を考慮して適切に選ばれ、一般的には0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。
鋳型凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填するには、鋳型に鋳型より一回り大きいサイズのクラッド用基材を密着させ、凹部の進入口にコア形成用硬化性樹脂を少量垂らし毛細管現象を利用して充填したり、凹部にコア形成用硬化性樹脂を加圧充填したり、凹部の排出口を減圧吸引したり、あるいは加圧充填と減圧吸引の両方を行うなどにより充填することができる。前記のごとく凹部端部に貫通孔を設けた場合は、進入側貫通孔に樹脂を溜め加圧充填したり、排出側貫通孔にポンプにつながった減圧吸引管を挿入して減圧吸引するなどすることができる。
また、前記加圧充填と減圧吸引を併用する場合はこれらを同期して行うことがさらに、前記加圧充填において圧力を段階的に増加させ、前記減圧吸引において圧力を段階的に減少させることが、鋳型が安定して固定された状態で、コア形成用硬化性樹脂をより高速に注入する相反則を両立させる点からみて好ましい。
前記コア形成用の紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が好ましく用いられる。
また、前記紫外線硬化性樹脂としてエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられる。
このほかに、原盤に形成された光導波路コアに対応する凸部が有する元の形状を高精度に再現するため、前記硬化性樹脂の硬化前後の体積変化が小さいことが必要である。例えば、体積が減少すると導波損失の原因になる。したがって、前記硬化性樹脂は、体積変化ができるだけ小さいものが望ましく、10%以下、好ましくは0.01〜4%の範囲にあることが望ましい。溶剤を用いて低粘度化することは、硬化前後の体積変化が大きいのでできれば避ける方が好ましい。
コア形成用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするため、前記樹脂にポリマーを添加することができる。前記ポリマーはコア形成用硬化性樹脂との相溶性を有し、かつ該樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないものが好ましい。またポリマーを添加することにより体積変化を小さくする他、粘度や硬化樹脂のガラス転移点を高度に制御できる。前記ポリマーとしては例えばアクリル系、メタクリル酸系、エポキシ系のものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
コア形成用硬化性樹脂の硬化物の屈折率は、クラッドとなる前記フィルム基材(以下の5)の工程におけるクラッド層を含む)より大きいことが必要である。コアとクラッド(クラッド用基材及びクラッド層)との屈折率の差は、0.01以上、好ましくは0.05以上である。
また、前記充填を促進するため、前記系の減圧に加えて、鋳型の進入口から充填するコア形成用硬化性樹脂を加熱することにより、より低粘度化することも有効な手段である。
図4(A)は原盤10を示し、12は光導波路コアに対応する凸部である。この原盤10の凸部形成面に鋳型形成用硬化性樹脂を塗布又は注型した後硬化させる(図4(B)参照)。図4(B)中、20aは硬化樹脂層である。その後硬化樹脂層20aを剥離すると、凹部が形成された硬化樹脂層20aが得られる(図示せず)。凹部22が形成された硬化樹脂層20aに、凹部22に連通する貫通孔26及び28を凹部両端に打ち抜き等により形成して鋳型20(図4(C)参照)を得る。
次に、図4(D)が示すように、鋳型に形成されている貫通孔26にコア形成用硬化性樹脂を入れ、他端の貫通孔28から減圧吸引して(加圧充填でもよく両者を併用してもよい)鋳型凹部22にコア形成用硬化性樹脂を充填する。その後該樹脂を硬化させ、鋳型を剥離すると、図4(E)に示されるように、クラッドフィルム30の上に光導波路コア32と貫通孔26及び28内において硬化した樹脂部分が形成される。最後に貫通孔で硬化した樹脂部分をダイサー等で切り落として導波路路フィルムとする(図4(F)参照)。コア端面は鏡面平滑性を有している。
充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる。紫外線硬化性樹脂を硬化させるには、紫外線ランプ、紫外線LED、UV照射装置等が用いられる。また、熱硬化性樹脂を硬化させるには、オーブン中での加熱等が用いられる。
前記4)の工程の後、鋳型をクラッド用基材から剥離する。また、前記1)〜4)の工程で用いる鋳型は、屈折率等の条件を満たせばそのままクラッド層に用いることも可能で、この場合は、鋳型を剥離する必要はなくそのままクラッド層として利用する。この場合、鋳型とコア材料の接着性を向上させるために鋳型をオゾン処理することが好ましい。
コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成するが、クラッド層としてはフィルム(たとえば前記2)の工程で用いたようなクラッド用基材が同様に用いられる)や、クラッド用硬化性樹脂を塗布して硬化させた層、高分子材料の溶剤溶液を塗布して乾燥して得られる高分子膜等が挙げられる。クラッド用硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、例えば、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が用いられる。
クラッド形成用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするために、該樹脂と相溶性を有し、また該樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないポリマー(例えばメタクリル酸系、エポキシ系)を該樹脂に添加することができる。
前記紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするために、クラッド層に添加するポリマーと同様のポリマーを添加することができる。
また、前記クラッド用基材とクラッド層との屈折率差は小さい方が好ましく、その差は0.05以内、好ましくは0.001以内、更に好ましくは差がないことが光の閉じ込めの点からみて好ましい。
Si基板に厚膜レジスト(マイクロケミカル(株)製、SU−8)をスピンコート法で塗布した後、80℃でプリベークしフォトマスクを通して露光して、現像し、ピッチ変換導波路用凸部(端部の導波路幅:50μm、高さ:50μm)を形成し光導波路コア作製用原盤を作製した。このとき、ピッチ変換導波路用凸部は、各実施例及び比較例ごとに表2に記載の設計条件(実施例1〜2は図1に示すtype1であり、実施例3は図3に示すtype1である。)に従いフォトマスクを設定した。そして、ピッチ変換導波路用凸部を形成したSi基板を120℃でポストベークし、光導波路コア作製用原盤を作製した。
その後、鋳型を剥離し、もう1枚のアートンフィルムを用意し、屈折率1.51のクラッド用紫外線硬化樹脂により導波路コア部分を挟むようにして接着した。最後に端部をダイサーにより切断した。
以上のようにして、実施例1〜5及び比較例1〜2のピッチ変換導波路アレイを作製した。各実施例における導波路群の中心線の曲率半径R1〜R3及び中心角度θ1〜θ3を表1に示す。
8本の光導波路からなるピッチ変換導波路アレイについて、コアクラッドの屈折率差、コア径、および伝搬する信号波長から曲がり損失の無視できる曲率半径の限界値rは変化する。ここでは前記説明した組み合せにおける限界値をr=10mmとして設計を行った。この値は実施例1〜3におけるアレイ中心よりも内側の導波路(曲率半径にして0.25×1.5=0.375mm小さくなる)にも曲げ損失が生じない値である。
この実施例では説明を省略したが、本発明においては左右対称の条件がそろっていれば必ずしも曲率半径をすべて一定にする必要はない。ただし限界値の曲率半径で設計することにより、基板長さを最小にできることは言うまでもない。
また、本実施例では8本の導波路からなるピッチ変換導波路アレイについて説明したが、その他の本数でも同様の設計手法が使用できることは言うまでもない。
12 凸部
20 鋳型
20a 硬化樹脂層
22 凹部
26 28 貫通孔
30 光透過性クラッドフィルム
32 光導波路コア
100 ピッチ変換導波路アレイ
102 平面基板
104 光導波路
Claims (6)
- 平面基板上に配置された複数の光導波路の始端のピッチPinと終端のピッチPoutとがPin<Poutの関係をもつピッチ変換導波路アレイであって、
前記複数の光導波路のそれぞれが曲げ損失を無視できる曲率で構成され、かつすべての光導波路の導波路長が略同一であることを特徴とするピッチ変換導波路アレイ。 - 前記複数の光導波路が2n本(nは正の整数)の光導波路であって、始端から終端に向けて先ず2(n-1)本ずつの光導波路群を左右対称に屈曲させ、かつ屈曲終端部において各々の光導波路群の中心のなす間隔をPout×2(n-1)とし、更に2(n-1)本ずつの光導波路群を2(n-2)本ずつの光導波路群にまとめて左右対称に屈曲させ、かつ屈曲終端部において各々の光導波路群の中心のなす間隔をPout×2(n-2)とすることを繰り返し、終端においてすべての光導波路間のピッチがPoutとなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のピッチ変換導波路アレイ。
- 左右対称に屈曲させた2(n-1)本ずつの光導波路群の中心線が、同一曲率と同一長さをもつ一対の円弧を含み、該一対の円弧の曲率中心が前記光導波路群に対してそれぞれ別側となるように組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項2に記載のピッチ変換導波路アレイ。
- 始端から終端における、左右対称に屈曲させた光導波路群を構成する各光導波路の曲率中心が、前記光導波路群の中心線の曲率中心と同一となるように中心線からの距離に応じて曲率が変化する光導波路により構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のピッチ変換導波路アレイ。
- 光進行方向における光導波路の曲率の絶対値分布が、前記複数の光導波路を形成するすべての光導波路において等しいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のピッチ変換導波路アレイ。
- 光進行方向における光導波路屈曲部の前後に直線部が挿入されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のピッチ変換導波路アレイ。
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