JP4337559B2 - 高分子光導波路製造用鋳型及び高分子光導波路の製造方法 - Google Patents

高分子光導波路製造用鋳型及び高分子光導波路の製造方法 Download PDF

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Description

フレキシブルな高分子光導波路を低コスト複製生産するための製造方法に関する。
高分子光導波路の製造方法としては、(1)フイルムにモノマーを含浸させてコア部を選択的に露光して屈折率を変化させフイルムを貼り合わせる方法(選択重合法)。(2)コア層クラッド層を塗布後、反応性イオンエチングを用いてクラッド部を形成する方法(RIE法)。(3)高分子材料中に感光性の材料を添加した紫外線硬化樹脂を用いて、露光・現像するフォトリソグラフィー法を用いる方法(直接露光法)。(4)射出成形利用法。(5)コア層クラッド層を塗布後、コア部を露光してコア部の屈折率を変化させる方法(フォトブリーチング法)等が提案されている。しかし、(1)の選択重合法はフイルムの貼り合わせに問題がある。(2)や(3)の方法は、フォトリソグラフィー法を使うためコスト高になる。(4)の方法は、コア径の精度に課題がある。(5)の方法は十分な屈折率差が取れないという課題がある。現在、実用上性能的に優れた方法は、(2)や(3)の方法のみであるが、どの技術も大面積でフレキシブルな基材に形成した高分子光導波路の製造方法はないのが現状である。
一方、シャープ(株)のデビット・ハートはキャピラリーとなる溝のパターンが形成された基板と平板とをクランプ用治具で密着させ、減圧させてモノマー溶液をキャピラリーに充填させることで製造する高分子光導波路の製造方法を提案している(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法はクランプを用いて平板と密着させないとコア部以外にもモノマー溶液が含浸し精密な導波路構造を形成できないことと、また、モノマー溶液が高分子に反応して固化するときに体積変化を起こしコアの形状が変化するという欠点を持つ。また、キャピラリーを除去するときにモノマー溶液が反応した高分子とキャピラリーが部分的に接着していることから、コア形状を崩してしまうという欠点を持つ。
また、最近、ハーバード大学のGeorge M. Whitesides らは、ナノ構造を作る新技術としてソフトリソグラフィーの一つとして毛細管マイクロモールドという方法を提唱している。これは、フォトリソグラフィーを利用してマスター基板を作り、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の密着性と容易な剥離性を利用してナノ構造をマスター基板からPDMSの鋳型を作り、この鋳型に毛細管現象を利用して液体ポリマーを流し込んで固化させる方法である。以下の非特許文献1に詳しい解説記事が記載されている。また、ハーバード大学のGeorge M. Whitesides のグループのKim Enochらによって毛細管マイクロモールド法に関する特許が出願されている(以下の特許文献2参照。)。しかし、この特許に記載の製造方法は、光導波路のコア部のような断面積が小さい場合には、時間がかかり量産に適さないし、モノマー溶液が高分子に反応して固化するときに体積変化を起こしコアの形状が変化するという欠点を持つ。
これに対して本発明者等は、フィルム基材に光導波路を設けたフレキシブル高分子光導波路を作製する方法を提案した(例えば、特願2003−166485号)。この方法は、製造工程が極めて単純化されたもので、容易に高分子光導波路を作製することができ、従来の高分子光導波路の製造方法に比較し、非常に低コストで高分子光導波路を作製することができる。
しかしながら、上記製造方法において使用する鋳型の材料としては、可撓性のシリコーン樹脂を用いており、鋳型作製時の加熱条件や除熱条件によって全体の収縮率が変化しやすいため、複数の導波路アレイ間のピッチに誤差が生じやすく改善の余地が残されていた。すなわち、誤差が大きな場合は導波路アレイとコネクタとの接続損が増加する。また1つの鋳型から複数の導波路アレイを作ることで生産性を高める場合も、複数の導波路アレイを切り離す切断面の基準線に対して複数の導波路アレイの相対位置が狂ってしまう恐れもある。
一方、寸法誤差を極力防ぐため鋳型全体を剛体で形成する方式もあるが、この場合クラッドとなるフィルム基板自体を若干変形させることによって鋳型から導波路コア部分を剥離する必要があるため導波路コア部分に欠陥が入る確率が若干増加する。そのため、剥離工程では鋳型自体が自在に変形する可撓性であることが望ましい。
特許第3151364号公報 米国特許第6355198号明細書 SCIENTIFIC AMERICAN September 2001(日経サイエンス2001年12月号)
本発明は、前記のごとき問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、可撓性の鋳型を用いても、複数の導波路アレイにおける位置精度を容易に維持することができる高分子光導波路製造用鋳型を提供することにある。
本発明の別の目的は、簡便な方法により、低コストで高分子光導波路を製造する方法であって、毛細管現象や吸引を使った高分子光導波路のコア形状を高精度に維持し、導波損失、挿入損失が少なく、特に複数の導波路アレイにおける位置精度を維持することができる高分子光導波路の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。
<1> 複数本の光導波路コアに相当する複数の凹部を有する、鋳型形成用硬化性樹脂を硬化してなる鋳型の内部に、前記複数の凹部すべてを跨ぐ切り欠き部又は前記複数の凹部それぞれを独立して跨ぐ切り欠き部を有する補強板が、前記凹部の端部近傍に、前記複数の凹部すべて又はそれぞれを独立して跨ぐ状態で埋設されていることを特徴とする高分子光導波路製造用鋳型である。
<2> さらに、前記凹部の両端に貫通穴を有することを特徴とする前記<1>に記載の高分子光導波路製造用鋳型である。
<3> さらに、切断用の位置基準線に相当する凹部を有することを特徴とする前記<1>または<2>に記載の高分子光導波路製造用鋳型である。
<4> 前記補強板が、厚み5mm以下の光透過性ガラス又は光透過性樹脂からなることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の高分子光導波路製造用鋳型である。
<5> 前記補強板が、厚み1mm以下のセラミック、金属、又は光非透過性樹脂からなることを特徴とする前記<1>から<>のいずれかに記載の高分子光導波路製造用鋳型である。
<6> 前記補強板を複数有し、該複数の補強板が前記凹部の一端と他端のそれぞれの近傍に位置することを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の高分子光導波路製造用鋳型である。
<7> 1)基板上に、複数本の光導波路コアに相当する複数の凸部を形成した原盤を準備する工程、2)前記原盤上に、前記複数の凸部すべてを跨ぐ切り欠き部又は前記複数の凸部それぞれを独立して跨ぐ切り欠き部を有する補強板を、前記凸部の端部近傍に、前記複数の凸部すべて又はそれぞれを独立して跨ぐ状態で設置し、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布して加熱して硬化し、鋳型形成用硬化性樹脂製の高分子光導波路製造用鋳型を作製する工程、3)前記高分子光導波路製造用鋳型における前記原盤の凸部に対応する凹部の両端に貫通穴を設ける工程、4)前記高分子光導波路製造用鋳型をクラッド用基材に密着させる工程、5)前記高分子光導波路製造用鋳型の貫通穴をそれぞれコア形成用硬化性樹脂の進入部及び排出部とし、コア形成用硬化性樹脂を進入部に接触させて、吸引および毛細管現象で進入させた後、硬化手段により前記コア形成用硬化樹脂を硬化させ光導波路コアを作製する工程を有することを特徴とする高分子光導波路の製造方法である。
本発明によれば、可撓性の鋳型を用いても、複数の導波路アレイにおける位置精度を容易に維持することができる高分子光導波路製造用鋳型を提供することができる。
また、本発明によれば、簡便な方法により、低コストで高分子光導波路を製造する方法であって、毛細管現象や吸引を使った高分子光導波路のコア形状を高精度に維持し、導波損失、挿入損失が少なく、特に複数の導波路アレイにおける位置精度を維持することができる高分子光導波路の製造方法を提供することができる。
本発明の高分子光導波路製造用鋳型は、複数本の光導波路コアに相当する複数の凹部を有する、鋳型形成用硬化性樹脂を硬化してなる鋳型の内部に、前記複数の凹部すべてを跨ぐ切り欠き部又は前記複数の凹部それぞれを独立して跨ぐ切り欠き部を有する補強板が、前記凹部の端部近傍に、前記複数の凹部すべて又はそれぞれを独立して跨ぐ状態で埋設されていることを特徴としている。
以下、本発明の高分子光導波路製造用鋳型を説明する前に、該高分子光導波路製造用鋳型を用いる高分子光導波路の製造方法の概略について説明する。
図1は、高分子光導波路の製造方法の概略を説明する図である。図1においては、説明を簡単にするため、光導波路コアは1本のみ図示している。
図1(A)は原盤10を示し、12は光導波路コアに対応する凸部である。この原盤10の凸部形成面に鋳型形成用硬化性樹脂を塗布又は注型した後硬化させる(図1(B)参照)。図1(B)中、20aは硬化樹脂層である。その後硬化樹脂層20aを剥離すると、凹部が形成された硬化樹脂層20aが得られる(図示せず)。凹部22が形成された硬化樹脂層20aに、凹部22に連通する貫通穴26及び28を凹部両端に打ち抜き等により形成して鋳型20(図1(C)参照)を得る。
次に、図1(D)が示すように、鋳型20をクラッド用基材30に密着させる。そして、鋳型20に形成されている貫通穴26にコア形成用硬化性樹脂を入れ、他端の貫通穴28から減圧吸引して(加圧充填でもよく両者を併用してもよい)鋳型凹部22にコア形成用硬化性樹脂を充填する。その後該樹脂を硬化させ、鋳型を剥離すると、図1(E)に示されるように、クラッド用基材30の上に光導波路コア32と貫通穴26及び28内において硬化した樹脂部分が形成される。最後に貫通穴で硬化した樹脂部分をダイサー等で切り落として導波路路フィルムとする(図1(F)参照)。コア端面は鏡面平滑性を有している。
以上の製造方法に用いる通常の鋳型は、平坦で耐熱性のある基板上に、複数本の光導波路コアに相当する凸部、及び必要に応じて位置基準線に相当する凸部を形成したものを原盤として用意し、原盤上にシリコーン樹脂を塗布・加熱し、さらに前記凸部に対応した鋳型凹部の両端に鋳型を上下に貫通する穴をあけることで作製される。
本発明の高分子光導波路形成用鋳型は、上記鋳型の基本構造に改良を加え、凹部の端部近傍に補強板を埋設させたことに最大の特徴がある。すなわち、図2に示すような鋳型形成用硬化性樹脂(硬化樹脂層)および補強板を備える構造とした。図2(A)は、高分子光導波路形成用鋳型20の上面図を示し、図2(B)は図2(A)のA−A断面図を示し、図2(C)は図2(A)の矢印B方向から見た図である。図2では図1と実質的に同じ構成要素には同一の符号を付している。図2は、250μmピッチを2mmピッチに変換するコア径50μmで8チャンネル導波路アレイを作製する高分子光導波路形成用鋳型20の例を示している。この高分子光導波路形成用鋳型20の凹部22の一端と他端のそれぞれの近傍において、厚み1mmの補強板21a、21b(ガラス板、コーニング7059)が埋設されている。26、28は貫通穴である。
補強板21a、21bは、図2(C)に示すように、凹部を跨ぐ切り欠き部21を有する。具体的は、凹部径より一回り大きな100μm角の大きさの切り欠きが、それぞれ対応する凹部22の周囲に設けられている。
本発明の高分子光導波路製造用鋳型は、鋳型全体の光導波路コアに相当する凹部の長手方向の変形が容易なため、導波路コアを形成した後に鋳型自体を変形させて剥離することが容易である。さらに、鋳型形成用硬化性樹脂が加熱後完成するまでに生じる若干の収縮に対しては、ガラス板に規定されている部分の寸法誤差が少ないため、ピッチ変換の値の設計上の補正が容易である。さらに収縮率のばらつきも小さくなるため、鋳型毎の誤差が少なくなる。
前記補強板としては、光導波路コアに相当する凹部に対応する切り欠き部があればよい。切り欠き部の形状は必ずしも導波路コアの形状と相似でなくてもかまわないため、たとえば正方形断面のコアに対して半円状の切り欠きでもよい。さらに正方形断面が複数集まったアレイ断面に対して、アレイ全体を包含する長方形の切り欠きを用いてもよい。ただし鋳型が収縮を拘束する効率が低下するため収縮率補正が若干多めに必要となる。
補強板の材質としては、光透過性ガラス、光透過性樹脂、セラミック、金属、光非透過性樹脂などが挙げられる。
前記補強板の厚みは、鋳型自体の変形剥離特性を維持するためには薄いことが望ましい。具体的には、光透過性の材料(光透過性ガラス、光透過性樹脂)の場合は、5mm以下、望ましくは3mm以下であれば剥離特性は同等に維持することができる。
また、補強板の材料として光透過性のものを用いなくてもコア材料に紫外線硬化樹脂を用いることができる。これは直接紫外線があたらなくても近接する部分は硬化反応が進むためである。補強板の材料として光透過性のものでない場合(セラミック、金属、樹脂など)、補強板の厚みが1mm以下とすることが好ましい。
また、切断用の位置基準線に相当する凹部を設けると、光導波路コアと同様に補強板の切り欠き部により鋳型形成用硬化性樹脂を拘束することによって、導波路デバイスを切り出すときの位置がより正確に決定できる。切断用の位置基準線に相当する凹部により形成された位置基準線34を図1(E)に示す。
<高分子光導波路の製造方法>
次に、本発明の高分子光導波路の製造方法について説明する。本発明の高分子光導波路の製造方法は、以下の1)〜5)の工程を有することを特徴としている。
1)基板上に、複数本の光導波路コアに相当する複数の凸部を形成した原盤を準備する工程
2)前記原盤上に、前記複数の凸部すべてを跨ぐ切り欠き部又は前記複数の凸部それぞれを跨ぐ切り欠き部を有する補強板を、前記凸部の端部近傍に、前記複数の凸部すべて又はそれぞれを跨ぐ状態で設置し、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布して加熱して硬化し、高分子光導波路製造用鋳型を作製する工程
3)前記高分子光導波路製造用鋳型における前記原盤の凸部に対応する凹部の両端に貫通穴を設ける工程
4)前記高分子光導波路製造用鋳型をクラッド用基材に密着させる工程
5)前記高分子光導波路製造用鋳型の貫通穴をそれぞれコア形成用硬化性樹脂の進入部及び排出部とし、コア形成用硬化性樹脂を進入部に接触させて、吸引および毛細管現象で進入させた後、硬化手段により前記コア形成用硬化樹脂を硬化させ光導波路コアを作製する工程
以下、各工程について詳細に説明する。
前記1)の工程
基板上に、複数本の光導波路コアに相当する複数の凸部を形成した原盤を準備する。
光導波路コアに対応する凸部及び必要に応じて位置基準線を形成した原盤の作製には、従来の方法、たとえばフォトリソグラフィー法を特に制限なく用いることができる。また、本出願人が先に出願した電着法又は光電着法により高分子光導波路を作製する方法(特願2002−10240号)も、原盤を作製するのに適用できる。原盤に形成される光導波路用凸部の大きさは高分子光導波路の用途等に応じて適宜決められる。例えばシングルモード用の光導波路の場合には、10μm角程度のコアを、マルチモード用の光導波路の場合には、50〜100μm角程度のコアが一般的に用いられるが、用途によっては数百μm程度と更に大きなコア部を持つ光導波路も利用される。
前記2)の工程
前記原盤上に、前記複数の凸部すべてを跨ぐ切り欠き部又は前記複数の凸部それぞれを跨ぐ切り欠き部を有する補強板を、前記凸部の端部近傍に、前記複数の凸部すべて又はそれぞれを跨ぐ状態で設置し、シリコーン樹脂を塗布して加熱して硬化し、シリコーン樹脂製の高分子光導波路製造用鋳型を作製する。
高分子光導波路製造用鋳型は、前記のようにして準備した高分子光導波路作製用原盤のコアに対応する凸部が形成された面に、前記凸部の端部近傍に、前記複数の凸部すべて又はそれぞれを跨ぐ状態で設置し、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布したり注型し、必要に応じ乾燥処理をした後、該樹脂を硬化させ、次いでその硬化樹脂層を剥離して作製される。
図3(A)〜(C)は、それぞれ、補強板の3つの態様を示す図である。図3(A)は、補強板の切り欠き部が矩形形状の態様、図3(B)は、同切り欠き部が半円形状の態様、図3(C)は、凸部全体を包含する長方形形状の態様である。補強板は、導波路アレイに相当する凸部が形成された原盤上のアレイ両端に相当する場所に設置する。この際、原盤のみに鋳型形成用硬化性樹脂に対する離型材を塗布させる。そして原盤上にシリコン樹脂を塗布加熱したのち原盤から鋳型形成用硬化性樹脂を剥離すると、鋳型形成用硬化性樹脂に補強板が内蔵された構造をもつ鋳型が作製できる。
前記硬化樹脂層の厚さは、鋳型としての取り扱い性を考慮して適宜決められるが、一般的に0.1〜50mm程度が適切である。
鋳型形成用硬化性樹脂としては、その硬化物が原盤から容易に剥離できること、鋳型(繰り返し用いる)として一定以上の機械的強度・寸法安定性を有すること、凹部形状を維持する硬さ(硬度)を有すること、クラッド用基材との密着性が良好なことが好ましい。鋳型形成用硬化性樹脂には、必要に応じて各種添加剤を加えることができる。
鋳型形成用硬化性樹脂は、高分子光導波路作製用原盤の表面に塗布や注型等することが可能で、また、高分子光導波路作製用原盤に形成された個々のコアに対応する凸部を正確に写し取らなければならないので、ある限度以下の粘度、たとえば、500〜7000mPa・s程度を有することが好ましい。(なお、本発明において用いる「鋳型形成用硬化性樹脂」の中には、硬化後、弾性を有するゴム状体となるものも含まれる。)また、粘度調節のために溶剤を、溶剤の悪影響が出ない程度に加えることができる。
前記鋳型形成用硬化性樹脂としては、前記のごとき剥離性、機械強度・寸法安定性、硬度、クラッド用基材との密着性の点から、硬化後、シリコーンゴム(シリコーンエラストマー)又はシリコーン樹脂となる硬化性オルガノポリシロキサンが好ましく用いられる。前記硬化性オルガノポリシロキサンは、分子中にメチルシロキサン基、エチルシロキサン基、フェニルシロキサン基を含むものが好ましい。また、前記硬化性オルガノポリシロキサンは、一液型のものでも硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものでもよく、また、熱硬化型のものでも室温硬化型(例えば空気中の水分で硬化するもの)のものでもよく、更に他の硬化(紫外線硬化等)を利用するものであってもよい。
前記硬化性オルガノポリシロキサンとしては、硬化後シリコーンゴムとなるものが好ましく、これには通常液状シリコーンゴム(「液状」の中にはペースト状のように粘度の高いものも含まれる)と称されているものが用いられ、硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものが好ましく、中でも付加型の液状シリコーンゴムは、表面と内部が均一にかつ短時間に硬化し、またその際副生成物が無く又は少なく、かつ離型性に優れ収縮率も小さいので好ましく用いられる。
硬化性シリコーンゴムオリゴマー又はモノマー及び硬化性シリコーン樹脂オリゴマー又はモノマーとしては、メチルシロキサン基、エチルシロキサン基、フェニルシロキサン基を含むものが好ましく、特に硬化性ジメチルシロキサンゴムオリゴマー(PDMS)が密着性及び剥離性の点から好ましい。PDMSの硬化物は、一般に屈折率が1.43程度と低いために、PDMSから作った鋳型は、クラッド用基材から剥離せずに、そのままクラッド層として利用することができる。この場合には、PDMS鋳型と、充填したコア形成用樹脂及びクラッド用基材とが剥がれないような工夫が必要になる。
前記液状シリコーンゴムの粘度は、光導波路コアに対応する凸部を正確に写し取り、かつ気泡の混入を少なくして脱泡し易くする観点と、数ミリの厚さの鋳型形成の点から、500〜7000mPa・s程度のものが好ましく、さらには、2000〜5000mPa・s程度のものがより好ましい。
さらに、鋳型の表面エネルギーは、100μN/cm〜300μN/cm、好ましくは150μN/cm〜240μN/cmの範囲にあることが、基材フィルムとの密着性とコア形成用硬化性樹脂の浸透速度の点からみて好ましい。
鋳型のシェア(Share)ゴム硬度は、15〜80、好ましくは20〜60であることが、型取り性能、凹部形状の維持、剥離性の点からみて好ましい。
鋳型の表面粗さ(二乗平均粗さ(RMS))は、0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下にすることが、形成されたコアの光導波特性において光損失を大幅に低減できる。
また、鋳型は、紫外領域及び/又は可視領域において光透過性であることが好ましい。鋳型が可視領域において光透過性であることが好ましいのは、以下の3)の工程において鋳型をクラッド用基材に密着させる際、位置決めが容易に行え、また、以下の4)の工程においてコア形成用硬化性樹脂が鋳型凹部に充填される様子が観察でき、充填完了等が容易に確認しうるからである。また、鋳型が紫外領域において光透過性であることが好ましいのは、コア形成用硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合に、鋳型を透して紫外線硬化を行うためであり、鋳型の、紫外領域(250nm〜400nm)における透過率が80%以上であることが好ましい。
前記硬化性オルガノポリシロキサン、中でも硬化後シリコーンゴムとなる液状シリコーンゴムは、クラッド用基材との密着性と剥離性という相反した特性に優れ、ナノ構造を写し取る能力を持ち、シリコーンゴムとクラッド用基材とを密着させると液体の進入さえ防ぐことができる。このようなシリコーンゴムを用いた鋳型は高精度に原盤を写し取り、クラッド用基材に良く密着するため、鋳型とクラッド用基材の間の凹部のみに効率よくコア形成用樹脂を充填することが可能となり、さらにクラッド用基材と鋳型の剥離も容易である。したがって、この鋳型からは高精度に形状を維持した高分子光導波路を、極めて簡便に作製することができる。
また、前記硬化樹脂層、とりわけ硬化樹脂層がゴム弾性を有する場合、硬化樹脂層の一部すなわち原盤凸部を写し取る部分以外の部分を他の剛性材料に置き換えることができ、この場合、鋳型のハンドリング性が向上する。
前記3)の工程
高分子光導波路製造用鋳型には、前記凸部に対応する凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填するための貫通穴、すなわち進入口、及び前記凸部に対応する凹部から前記樹脂を排出させるための貫通穴、すなわち排出口を形成する。具体的には、凹部に連通する貫通穴を凹部の両端に設ける。進入部側の貫通穴は液(樹脂)溜まりとして利用でき、排出部の貫通穴は減圧吸引管をその中に挿入して凹部内部を減圧吸引装置に接続することができる。貫通穴は、凹部のピッチにより、各凹部に対応してそれぞれ設けてもよく、また、各凹部に共通に連通する1つの貫通穴を設けてもよい。
前記4)の工程
前記高分子光導波路製造用鋳型をクラッド用基材に密着させる。
本発明において用いるクラッド用基材としては、ガラス基材、セラミック基材、プラスチック基材等のものが制限なく用いられる。また屈折率制御のために前記基材に樹脂コートしたものも用いられる。クラッド用基材の屈折率は、1.55より小さく、1.50より小さいものがより好ましい。特に、コア材の屈折率より小さいことが必要である。また、クラッド基材としては、平坦で、鋳型との密着性に優れ、両者を密着させた場合、鋳型凹部以外に空隙が生じないものが好ましい。また、クラッド基材が鋳型及び/又はコアとの密着性が余り良好でない場合には、オゾン雰囲気による処理、波長300nm以下の紫外線照射処理を行って、鋳型等との密着性を改善することが好ましい。
プラスチック基材の中でも、フレキシブルなフィルム基材を用いた高分子光導波路は、カプラー、ボード間の光配線や光分波器等としても使用できる。前記フィルム基材は、作製される高分子光導波路の用途に応じて、その屈折率、光透過性等の光学的特性、機械的強度、耐熱性、鋳型との密着性、フレキシビリティー(可撓性)等を考慮して選択される。
前記フィルム基材の材料としては、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、脂環式アクリル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等)、脂環式オレフィン樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、二又は三酢酸セルロース、アミド系樹脂(脂肪族、芳香族ポリアミド等)、イミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、または前記樹脂のブレンド物等が挙げられる。
また、前記フィルム基材が鋳型及び/又はコアとの密着性が余り良好でない場合には、オゾン雰囲気による処理、波長300nm以下の紫外線照射処理を行って、鋳型等との密着性を改善することが好ましい。
前記脂環式アクリル樹脂としてはトリシクロデカン等の脂肪族環状炭化水素をエステル置換基に導入した、OZ−1000、OZ−1100(日立化成(株)製)等が用いられる。
また、脂環式オレフィン樹脂としては主鎖にノルボルネン構造を有するもの、及び主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基(アルキル基としては炭素数1から6のものやシクロアルキル基)等の極性基をもつものが挙げられる。中でも前記のごとき主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂は、低屈折率(屈折率が1.50近辺であり、コア・クラッドの屈折率の差を確保できる)及び高い光透過性等の優れた光学的特性を有し、鋳型との密着性に優れ、さらに耐熱性に優れているので特に本発明の高分子光導波路の作製に適している。
前記フィルム基材の屈折率は、コアとの屈折率差を確保するため、1.55より小さく、好ましくは1.53より小さくすることが望ましい。
また、前記フィルム基材の厚さはフレキシビリティーと剛性や取り扱いの容易さ等を考慮して適切に選ばれ、一般的には0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。
5)の工程
前記高分子光導波路製造用鋳型の貫通穴をそれぞれコア形成用硬化性樹脂の進入部及び排出部とし、コア形成用硬化性樹脂を進入部に接触させて、吸引および毛細管現象で進入させた後、硬化手段により前記コア形成用硬化樹脂を硬化させ光導波路コアを作製する。
高分子光導波路製造用鋳型の凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填するには、クラッド用基材を密着させ、凹部の進入部にコア形成用硬化性樹脂を少量垂らし毛細管現象を利用して充填したり、凹部にコア形成用硬化性樹脂を加圧充填したり、凹部の排出部を減圧吸引したり、あるいは加圧充填と減圧吸引の両方を行うなどにより充填することができる。前記のごとく、進入側貫通穴に樹脂を溜め加圧充填したり、排出側貫通穴にポンプにつながった減圧吸引管を挿入して減圧吸引するなどすることができる。
また、前記加圧充填と減圧吸引を併用する場合はこれらを同期して行うことがさらに、前記加圧充填において圧力を段階的に増加させ、前記減圧吸引において圧力を段階的に減少させることが、鋳型が安定して固定された状態で、コア形成用硬化性樹脂をより高速に注入する相反則を両立させる点からみて好ましい。
コア形成用硬化性樹脂としては放射線硬化性、電子線硬化性、熱硬化性等の樹脂を用いることができ、中でも紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
前記コア形成用の紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が好ましく用いられる。
また、前記紫外線硬化性樹脂としてエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられる。
コア形成用硬化性樹脂は、鋳型とクラッド用基材との間に形成された空隙(鋳型の凹部)に充填させるため、用いるコア形成用硬化性樹脂はそれが可能なように十分低粘度であることが必要である。前記硬化性樹脂の粘度は、10mPa・s〜2000mPa・s、望ましくは100mPa・s〜1000mPa・s、更に好ましくは300mPa・s〜700mPa・sにするのが、充填速度、コア形状の良さ及び光損失の少なさの点から好ましい。
このほかに、原盤に形成された光導波路コアに対応する凸部が有する元の形状を高精度に再現するため、前記硬化性樹脂の硬化前後の体積変化が小さいことが必要である。例えば、体積が減少すると導波損失の原因になる。したがって、前記硬化性樹脂は、体積変化ができるだけ小さいものが望ましく、10%以下、好ましくは0.01〜4%の範囲にあることが望ましい。溶剤を用いて低粘度化することは、硬化前後の体積変化が大きいのでできれば避ける方が好ましい。
コア形成用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするため、前記樹脂にポリマーを添加することができる。前記ポリマーはコア形成用硬化性樹脂との相溶性を有し、かつ該樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないものが好ましい。またポリマーを添加することにより体積変化を小さくする他、粘度や硬化樹脂のガラス転移点を高度に制御できる。前記ポリマーとしては例えばアクリル系、メタクリル酸系、エポキシ系のものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
コア形成用硬化性樹脂の硬化物の屈折率は1.20から1.60の範囲、より好ましくは1.4から1.6の範囲が好ましく、硬化物の屈折率が前記範囲内に入る2種類以上の屈折率の異なる樹脂が用いられる。
コア形成用硬化性樹脂の硬化物の屈折率は、クラッドとなる前記フィルム基材(以下の6)の工程におけるクラッド層を含む)より大きいことが必要である。コアとクラッド(クラッド用基材及びクラッド層)との屈折率の差は、0.001以上、好ましくは0.03以上である。
また、この工程において、毛細管現象によるコア形成用硬化性樹脂の鋳型凹部への充填を促進するために、系全体を減圧(0.1〜100kPa程度)することが望ましい。
また、前記充填を促進するため、前記系の減圧に加えて、鋳型の進入口から充填するコア形成用硬化性樹脂を加熱することにより、より低粘度化することも有効な手段である。
充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる。紫外線硬化性樹脂を硬化させるには、紫外線ランプ、紫外線LED、UV照射装置等が用いられる。また、熱硬化性樹脂を硬化させるには、オーブン中での加熱等が用いられる。
前記5)の工程の後、鋳型をクラッド用基材から剥離する。また、前記2)〜5)の工程で用いる鋳型は、屈折率等の条件を満たせばそのままクラッド層に用いることも可能で、この場合は、鋳型を剥離する必要はなくそのままクラッド層として利用する。この場合、鋳型とコア材料の接着性を向上させるために鋳型をオゾン処理することが好ましい。
コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成するが、クラッド層としてはフィルム(たとえば前記4)の工程で用いたようなクラッド用基材が同様に用いられる)や、クラッド用硬化性樹脂を塗布して硬化させた層、高分子材料の溶剤溶液を塗布して乾燥して得られる高分子膜等が挙げられる。クラッド用硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、例えば、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が用いられる。
クラッド形成用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするために、該樹脂と相溶性を有し、また該樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないポリマー(例えばメタクリル酸系、エポキシ系)を該樹脂に添加することができる。
クラッド層としてフィルムを用いる場合は、接着剤を用いて貼り合わされるが、その際、接着剤の屈折率が該フィルムの屈折率と近いことが望ましい。用いる接着剤は紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、例えば、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が用いられる。
前記紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするために、クラッド層に添加するポリマーと同様のポリマーを添加することができる。
また、前記クラッド用基材とクラッド層との屈折率差は小さい方が好ましく、その差は0.01以内、好ましくは0.001以内、更に好ましくは差がないことが光の閉じ込めの点からみて好ましい。
本発明の高分子光導波路の製造方法において、特に、鋳型形成用硬化性樹脂として、硬化してゴム状になる液状シリコーンゴム、中でも液状ジメチルシロキサンゴムを用い、クラッド用基材として主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂を用いる組み合わせは、両者の密着性が特に高く、また、鋳型凹部構造の変形がなく、さらに凹部構造の断面積が極めて小さくても(たとえば10×10μmの矩形)、素早く凹部に硬化性樹脂を充填することができる。
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
Si基板に厚膜レジスト(SU−8)をスピンコート法で塗布した後、80℃でプリベークし、フォトマスクを通して露光した後、現像して120℃ポストベークし、250μmピッチを2mmピッチに変換するコア径50μmの8チャンネル導波路アレイ(8本の光導波路コア)に相当する凸部を形成し、これを原盤とした。
次に、厚み1mmの7059ガラスに、光導波路コアの両端ピッチに対応して100μm角の切り欠き部を設けた補強板を250μmピッチ用と2mmピッチ用の2枚用意した。
次に、原盤に離型剤を塗布した後、PDMS(ダウコウニングアジア社製:SYLGARD184)を流し込んで、さらに光導波路コアに相当する凸部両端部に光導波路コアを直交してかつ切り欠き部がそれぞれ対応する凸部を跨ぐようにして補強板を設置した。その上でPDMSを120℃で30分間加熱することで硬化させた後、剥離して50μmの凹部を持った厚み5mmの高分子光導波路製造用鋳型を作製した。
次に、コア形成用硬化性樹脂の入出力部とするため、高分子光導波路製造用鋳型の補強板より外側になる光導波路コア対応凹部の両端部に直径1mmの貫通穴を設けた。この高分子光導波路製造用鋳型と、平板ガラス上に真空チャックされたアートンフイルムを接触させたところ、両者は密着した。
この状態の高分子光導波路製造用鋳型に、コア形成用硬化性樹脂として、粘度が500mPa・sのエポキシ系紫外線硬化樹脂(NTT−AT社製)を入力部に垂らし、反対側の出力部から20kPaで吸引したところ、約1分で全領域に前記紫外線硬化樹脂が充填された。
上記状態において50mW/cm2のUV光を10分間照射して固化させ、高分子光導波路製造用鋳型を光導波路コアの長手方向に変形することによって剥離してアートンフイルム上に屈折率1.54の光導波路コアを形成した。さらに、屈折率がアートンフイルムと同じ1.51の紫外線硬化樹脂を塗布した後、50mW/cm2のUV光を10分間照射して固化させフレキシブルな高分子光導波路を作製した。
このようにして作製されたピッチ変換導波路の両端のピッチ誤差は1μm以内に収まった。
[実施例2]
Si基板に厚膜レジスト(SU−8)をスピンコート法で塗布した後、80℃でプリベークし、フォトマスクを通して露光した後、現像して120℃ポストベークし、250μmピッチを2mmピッチに変換するコア径50μmの8チャンネル導波路アレイ(8本の光導波路コア)に相当する凸部および8本の光導波路コアの端部を結ぶ線に概ね平行な切断用の位置基準線に相当する凸部を形成し、これを原盤とした。
次に、厚み1mmの7059ガラスに、光導波路コアの両端ピッチおよび切断用基準線に対応して100μmの切り欠き部を設けた補強板を250μmピッチ用と2mmピッチ用の2枚用意した。
次に、導波路原盤に離型剤を塗布した後、PDMS(ダウコウニングアジア社製:SYLGARD184)を流し込んで、さらに導波路両端部に導波路コアと基準線に直交してかつ切り欠き部分がそれぞれ対応する凸部を跨ぐようにして補強板を設置した。その上でPDMSを120℃で30分間加熱することで固化させた後、剥離して50μmの凹部を持った厚み5mmの高分子光導波路製造用鋳型を形成した。
次に、コア形成用硬化性樹脂の入出力部とするため、高分子光導波路製造用鋳型の補強板より外側になる凹部の両端部に直径1mmの貫通穴を設けた。この高分子光導波路製造用鋳型と、平板ガラス上に真空チャックされたアートンフイルムを接触させたところ、両者は密着した。
この状態の高分子光導波路製造用鋳型に、コア形成用硬化性樹脂として、粘度が500mPa・sのエポキシ系紫外線硬化樹脂(NTT−AT社製)を入力部に垂らし、反対側の出力部から20kPaで吸引したところ、約1分で全領域に前記紫外線硬化樹脂が充填された。さらに切断用の位置基準線端部には着色した紫外線硬化樹脂を垂らして光導波路コアと同様な方法で充填した。
上記状態において50mW/cm2のUV光を10分間照射して固化させ、高分子光導波路製造用鋳型を光導波路長手方向に変形することによって剥離してアートンフイルム上に屈折率1.54の光導波路コアおよび切断用の位置基準線を形成した。さらに、屈折率がアートンフイルムと同じ1.51の紫外線硬化樹脂を塗布した後、50mW/cm2のUV光を10分間照射して固化させフレキシブルな高分子光導波路を形成した。さらにこの高分子光導波路を切断用の位置基準線を利用してダイシングソーで切断して完成させた。
このようにして作製されたピッチ変換導波路の両端のピッチ誤差は1μm以内に収まった。さらに導波路両端のコア中心からダイシングソーの切断面までの距離は設計値に対して6μm以内の誤差に収まった。
さらに同一の原盤から以上で説明した高分子光導波路製造用鋳型を10個作製して測定したところ、鋳型間の凹部の位置のばらつきは1μm以内となった。
[実施例3]
実施例2における補強板の厚みを5mmとしたところ、実施例2と同等品質のピッチ変換導波路アレイが作製できた。
[実施例4]
実施例2における補強板を厚み0.5mmのアルミナセラミックにしたところ、光導波路コアは実施例2とほぼ同等に硬化し、品質のピッチ変換導波路アレイが作製できた。
[実施例5]
実施例2における補強板の材質をステンレスとしたところ、実施例2とほぼ同等の品質が確保できた。
[実施例6]
実施例2における補強板の厚みを10mmとしたところ、高分子光導波路製造用鋳型の剥離工程においてアートンフィルム自体を変形させる必要が生じたが、歩留まりは実施例2に比べて5%程度低下に留めることができた。この結果から、補強板の厚みはより薄いことが好ましいことが分かる。
[比較例1]
実施例2において補強板を使用しないシリコーン樹脂のみを材料とした鋳型としたところ、鋳型寸法に50μm程度の誤差が生じた。また同一原盤から鋳型を10個作製したところ鋳型間の凹部の位置のばらつきは20μmとなった。
本発明の高分子光導波路の製造方法の概略を説明する図である。 本発明の高分子光導波路製造用鋳型について説明する図である。 本発明の高分子光導波路製造用鋳型に埋設する補強板の3つの態様を示す図である。
符号の説明
10 原盤
12 凸部
20 鋳型
21a 21b 補強板
21c 切り欠き部
20a 硬化樹脂層
22 凹部
26 28 貫通穴
30 クラッド用基材
32 光導波路用コア
34 位置基準線

Claims (7)

  1. 複数本の光導波路コアに相当する複数の凹部を有する、鋳型形成用硬化性樹脂を硬化してなる鋳型の内部に、前記複数の凹部すべてを跨ぐ切り欠き部又は前記複数の凹部それぞれを独立して跨ぐ切り欠き部を有する補強板が、前記凹部の端部近傍に、前記複数の凹部すべて又はそれぞれを独立して跨ぐ状態で埋設されていることを特徴とする高分子光導波路製造用鋳型。
  2. さらに、前記凹部の両端に貫通穴を有することを特徴とする請求項1に記載の高分子光導波路製造用鋳型。
  3. さらに、切断用の位置基準線に相当する凹部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高分子光導波路製造用鋳型。
  4. 前記補強板が、厚み5mm以下の光透過性ガラス又は光透過性樹脂からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高分子光導波路製造用鋳型。
  5. 前記補強板が、厚み1mm以下のセラミック、金属、又は光非透過性樹脂からなることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の高分子光導波路製造用鋳型。
  6. 前記補強板を複数有し、該複数の補強板が前記凹部の一端と他端のそれぞれの近傍に位置することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の高分子光導波路製造用鋳型。
  7. 1)基板上に、複数本の光導波路コアに相当する複数の凸部を形成した原盤を準備する工程、2)前記原盤上に、前記複数の凸部すべてを跨ぐ切り欠き部又は前記複数の凸部それぞれを独立して跨ぐ切り欠き部を有する補強板を、前記凸部の端部近傍に、前記複数の凸部すべて又はそれぞれを独立して跨ぐ状態で設置し、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布して加熱して硬化し、高分子光導波路製造用鋳型を作製する工程、3)前記高分子光導波路製造用鋳型における前記原盤の凸部に対応する凹部の両端に貫通穴を設ける工程、4)前記高分子光導波路製造用鋳型をクラッド用基材に密着させる工程、5)前記高分子光導波路製造用鋳型の貫通穴をそれぞれコア形成用硬化性樹脂の進入部及び排出部とし、コア形成用硬化性樹脂を進入部に接触させて、吸引および毛細管現象で進入させた後、硬化手段により前記コア形成用硬化樹脂を硬化させ光導波路コアを作製する工程を有することを特徴とする高分子光導波路の製造方法。
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