JP4144468B2 - 積層型高分子光導波路およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、(1)の選択重合法はフイルムの貼り合わせに問題があり、(2)や(3)の方法は、フォトリソグラフィー法を使うためコスト高になり、(4)の方法は、得られるコア径の精度に課題がある。また、(5)の方法はコア層とクラッド層との十分な屈折率差がとれないという問題がある。
現在、性能的に優れた実用的な方法は、(2)や(3)の方法のみであるが前記のごときコストの問題がある。そして(1)ないし(5)のいずれの方法も、大面積でフレキシブルなプラスチック基材に高分子導波路を形成するのに適用しうるものではない。
この問題を解決する方法の1つとして、デビット・ハートはキャピラリーとなる溝のパターンが形成されたパターン基板と平面基板とをクランプ用治具で固着し、さらにパターン基板と平面基板との接触部分を樹脂でシールなどした後減圧して、モノマー(ジアリルイソフタレート)溶液をキャピラリーに充填して、高分子光導波路を製造する方法を提案した(以下の特許文献1参照)。この方法はコア形成用樹脂材料としてポリマー前駆体材料を用いる代わりにモノマーを用いて充填材料を低粘度化し、キャピラリー内に毛細管現象を利用して充填させ、キャピラリー以外にはモノマーが充填されないようにする方法である。
しかし、この方法はコア形成用材料としてモノマーを用いているため、モノマーが重合してポリマーになる際の体積収縮率が大きく、高分子光導波路の透過損失が大きくなるいう問題がある。
また、この方法は、パターン基板と平面基板とをクランプで固着する、あるいはこれに加えさらに接触部を樹脂でシールするなど煩雑な方法であり、量産には向かず、その結果コスト低下を期待することはできない。また、クラッドとして厚さがmmオーダーあるいは1mm以下のフィルムを用いる高分子光導波路の製造に適用することは不可能である。
しかし、この特許に記載の製造方法を高分子光導波路の製造に適用しても、光導波路のコア部は断面積が小さいので、コア部を形成するのに時間がかかり、量産に適さない。また、モノマー溶液が重合して高分子になるときに体積変化を起こしコアの形状が変化し、透過損失が大きくなるという欠点を持つ。
このように、PDMSを使ったソフトリソグラフィー技術や、毛細管マイクロモールド法は、ナノテクノロジーとして最近、米国を中心に注目を集めている技術である
このフィルムを貫通する方向に光導波路コアを形成することは困難であるため、異なる積層面に属する導波路を、たとえばMTコネクタのようなコアを等間隔で一直線上に並べた配置をもつ光コネクタに導びくのが難しい。
例えば、以下の特許文献3に示されているように、単層のコア部分に対して正確に厚みを制御した上下クラッド構造をもち、かつコア部分が全体の厚みの中心に位置するような導波路フィルムを作製し、この導波路フィルムを複数積層して、積層方向に一直線に導波路コア断面を並べる方法でも、異なる積層面をもつ導波路を同一のMTコネクタに導くことが可能である。しかし配置の自由度は小さく、たとえば積層面にある導波路端面のうち任意のいくつかだけを選択して一直線上に等ピッチで配置することはできない。これは光ファイバーをポリイミドフィルムに布線して作られる光ファイバー配線板と比較して自由度が小さいことを意味する。
本発明の目的は、光導波路コア端面を光コネクタ等と容易に接続することが可能な積層型高分子光導波路の製造方法、及びこれにより製造された積層型高分子光導波路を提供することにある。
<1> 光透過性クラッドフィルム上に少なくとも光導波路コアを有する導波路フィルムを、2枚以上準備する準備工程と、
2枚以上の前記導波路フィルムを前記光透過性クラッドフィルムと屈折率が近いクラッド形成用硬化性樹脂により積層する積層工程と、
積層した前記導波路フィルムの積層体の端部において、少なくとも1つの前記光導波路コアを含み、前記積層体の積層方向にそれぞれ独立して屈曲可能な複数の短冊状構造を形成する短冊状構造形成工程と、
少なくとも1つの前記短冊状構造を屈曲させ、異なる前記導波路フィルムに属する前記光導波路コアの端面が一直線上に配置した状態で、複数の短冊状構造の端部を固定面上に固定する配置・固定工程と、
を有することを特徴とする積層型高分子光導波路の製造方法である。
a)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層から形成され、光導波路コア凸部に対応する凹部を有する鋳型を準備する工程
b)鋳型に光透過性クラッドフィルムを密着させる工程
c)光透過性クラッドフィルムを密着させた鋳型の凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填する工程
d)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる工程
e)鋳型を光透過性クラッドフィルムから剥離する工程
また、本発明の高分子光導波路の製造方法によれば、製造工程が極めて単純化され容易に積層型高分子光導波路を製造することができ、従来の積層型高分子光導波路の製造方法に比較し、極めて低コストで積層型高分子光導波路を製造することが可能となる。また、本発明の積層型高分子光導波路の製造方法により、損失ロスが少なく高精度であり、かつ各種機器への自由な装填を可能とするフレキシブルな積層型高分子光導波路が得られる。さらに積層型高分子光導波路の形状等を自由に設定することができる。
本発明の積層型高分子光導波路は、光透過性クラッドフィルム上に少なくとも光導波路コアを有する導波路フィルム2枚以上が前記光透過性クラッドフィルムと屈折率が近いクラッド形成用硬化性樹脂の硬化層により積層されている積層型高分子光導波路であって、前記積層型高分子光導波路の端部において、少なくとも1つの光導波路コアを含み、前記積層型高分子光導波路の積層方向にそれぞれ独立して屈曲可能な複数の短冊状構造を有することを特徴としている。前記の「クラッドフィルムと屈折率の近いクラッド用硬化性樹脂の硬化層」における「近い」とは、両者の屈折率の差が0.01以内にある場合を意味する。
すなわち、本発明の積層型高分子光導波路は、導波路フィルムの大部分が接着積層され、複数の光導波路コアの相対位置が固定されていても、端面を一直線上に揃えているため、容易に発光素子、受光素子、光コネクタ等に導くことが可能である。
前記導波路フィルムに用いる光透過性クラッドフィルムの厚みは20μm〜2mmであることが好ましい。20μmより膜厚が薄いと、導波路フィルムを積層する際のハンドリングが容易でなくなり、導波路フィルム単体としての機械的強度を保つことが難しく、製造時に光導波路コアに曲げの力が加わってコアに歪が入りやすく、歩留まりの悪化や性能が著しく低下する虞があり、また、クラッドフィルムとしての機能が不完全になり、光の漏れを生じる可能性が出てくる。
また、前記の点以外にコスト面からみても、導波路フィルムはその設計ピッチ(積層方向のコアピッチ)が許す限り厚いほうが望ましい。これは一般に光導波路として用いることができるクラッド用硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂)の価格が高いため、なるべくその使用量を減らすほうが低コストになるためである。しかし、光透過性クラッドフィルムが2mmより厚くなるとフィルムが剛直となり、各光導波路の分配やコネクタへの結合時に余裕がなくなるので、2mm以下にすることが好ましい。
光透過性クラッドフィルムが薄く、必要なコアピッチを得るためにクラッド用硬化性樹脂の使用量が多くなる場合には、導波路フィルムとして、クラッドフィルムの上に光導波路コアを有し、その上にクラッド用硬化性樹脂等の硬化層を介して他の光透過性クラッドフィルムが設けられているものを用いることができる。
体積収縮率に関しては、コア上面とその上に位置するクラッドフィルムとの間の間隙に存在するクラッド用硬化性樹脂の硬化層の厚さはコア分だけ薄いため、その厚さを10μm以下にすることも容易である。したがって、この部分の体積収縮に伴うピッチ変化は無視することが可能である。
次に、導波路フィルムの作製方法について説明すると、先ず、光導波路コアに対応する凸部を形成した原盤に、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布或いは注型し、該樹脂を硬化させ、得られる硬化樹脂層を原盤から剥離して光導波路コア凸部に対応する凹部を有する鋳型を準備し、該鋳型にクラッドフィルムを密着させ、鋳型の凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填し、充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させ、最後に鋳型を剥離して導波路フィルムを得る。また、その後同様のクラッドフィルムをコア形成面に接着剤(クラッド形成用硬化性樹脂等)により積層して他の態様の導波路フィルムとすることができる。この態様の導波路フィルムは、具体的には、前記のごとき方法により作製した導波路フィルムの上に、クラッドフィルムの屈折率と近い接着剤を用いて他のクラッドフィルムを貼り合わせて得られる。用いる接着剤は紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、例えば、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が用いられる。
また、前記2つのクラッドフィルムの屈折率差は小さい方が好ましく、その差は0.05以内、好ましくは0.001以内、更に好ましくは差がないことが光の閉じ込めの点からみて好ましい。
前述の本発明の積層型高分子光導波路は、本発明の積層型高分子光導波路の製造方法により製造することができる。すなわち、本発明の積層型高分子光導波路の製造方法は、前記本発明の積層型高分子導波路の製造方法であって、以下の1)〜3)の工程を有することを特徴としている。
1)以下のa)〜e)の工程を2回以上行って2枚以上の導波路フィルムを作製する工程
a)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層から形成され、光導波路コア凸部に対応する凹部を有する鋳型を準備する工程
b)鋳型に光透過性クラッドフィルムを密着させる工程
c)光透過性クラッドフィルムを密着させた鋳型の凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填する工程
d)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる工程
e)鋳型を光透過性クラッドフィルムから剥離する工程
2)前記2枚以上の導波路フィルムをクラッド形成用硬化性樹脂により積層する工程
3)前記積層した導波路フィルムの積層体に複数の短冊状構造を形成する工程
以下に、本発明による導波路フィルムの作製方法を工程順に説明する。
a)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層から形成され、光導波路コア凸部に対応する凹部を有する鋳型を準備する工程
鋳型の作製は、光導波路コアに対応する凸部を形成した原盤を用いて行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。以下では、原盤を用いる方法について説明する。
光導波路コアに対応する凸部を形成した原盤の作製には、従来の方法、たとえばフォトリソグラフィー法やRIE法を特に制限なく用いることができる。また、本出願人が先に出願した電着法又は光電着法により高分子光導波路を作製する方法(特願2002−10240号)も、原盤を作製するのに適用できる。原盤に形成される光導波路コアに対応する凸部の大きさは一般的に5〜500μm程度、好ましくは40〜200μm程度であり、高分子光導波路の用途等に応じて適宜決められる。例えばシングルモード用の光導波路の場合には、10μm角程度のコアを、マルチモード用の光導波路の場合には、50〜100μm角程度のコアが一般的に用いられるが、用途によっては数百μm程度と更に大きなコア部を持つ光導波路も利用される。
鋳型は、前記のようにして作製した原盤の光導波路コアに対応する凸部が形成された面に、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布したり注型し、必要に応じ乾燥処理をした後、該樹脂を硬化させ、次いでその硬化樹脂層を剥離して作製される。また、鋳型には、前記凸部に対応する凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填するための進入口、及び前記凸部に対応する凹部から前記樹脂を排出させるための排出口が形成されるが、その形成方法は特に制限はない。原盤に予め進入口や排出口に対応する凸部を設けておくこともできるが、簡便な方法としては、例えば、原盤に鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層を形成した後剥離して型をとり、その後、型の両端を前記凹部が露出するように切断することにより進入口及び排出口を形成する方法が挙げられる。
また、鋳型凹部に連通する貫通孔を凹部の両端に設けることが有効である。進入口側の貫通孔は液(樹脂)溜まりとして利用でき、排出側の貫通孔は減圧吸引管をその中に挿入して凹部内部を減圧吸引装置に接続することができる。貫通孔は、凹部のピッチにより、各凹部に対応してそれぞれ設けてもよく、また、各凹部に共通に連通する1つの貫通孔を設けてもよい。
前記硬化樹脂層の厚さは、鋳型としての取り扱い性を考慮して適宜決められるが、一般的に0.1〜50mm程度が適切である。
また、前記原盤にはあらかじめ離型剤塗布などの離型処理を行なって鋳型との剥離を促進することが望ましい。
鋳型形成用硬化性樹脂は、原盤の表面に塗布や注型等することが可能で、また、原盤に形成された個々の光導波路コアに対応する凸部を正確に写し取らなければならないので、ある限度以下の粘度、たとえば、500〜7000mPa・s程度を有することが好ましい。(なお、本発明において用いる「鋳型形成用硬化性樹脂」の中には、硬化後、弾性を有するゴム状体となるものも含まれる。)また、粘度調節のために溶剤を、溶剤の悪影響が出ない程度に加えることができる。
鋳型のシェア(Share)ゴム硬度は、15〜80、好ましくは20〜60であることが、型取り性能、凹部形状の維持、剥離性の点からみて好ましい。
鋳型の表面粗さ(二乗平均粗さ(RMS))は、0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下にすることが、形成されたコアの光導波特性において光損失を大幅に低減できる。
本発明において用いる光透過性クラッドフィルムとしては、ガラス基材、セラミック基材、プラスチック基材等のものが制限なく用いられる。また屈折率制御のために前記基材に樹脂コートしたものも用いられる。光透過性クラッドフィルムの屈折率は、1.55より小さく、1.50より小さいものがより好ましい。特に、コア材の屈折率より0.01以上小さいことが必要である。また、光透過性クラッドフィルムの材質としては、平坦で、鋳型との密着性に優れ、両者を密着させた場合、鋳型凹部以外に空隙が生じないものが好ましい。また、光透過性クラッドフィルムが鋳型及び/又はコアとの密着性が余り良好でない場合には、オゾン雰囲気による処理、波長300nm以下の紫外線照射処理を行って、鋳型等との密着性を改善することが好ましい。
プラスチック基材の中でも、フレキシブルなフィルム基材を用いた高分子光導波路は、カプラー、ボード間の光配線や光分波器等としても使用できる。前記フィルム基材は、作製される高分子光導波路の用途に応じて、その屈折率、光透過性等の光学的特性、機械的強度、耐熱性、鋳型との密着性、フレキシビリティー(可撓性)等を考慮して選択される。
また、前記光透過性クラッドフィルムが鋳型及び/又はコアとの密着性が余り良好でない場合には、オゾン雰囲気による処理、波長300nm以下の紫外線照射処理を行って、鋳型等との密着性を改善することが好ましい。
また、脂環式オレフィン樹脂としては主鎖にノルボルネン構造を有するもの、及び主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基(アルキル基としては炭素数1から6のものやシクロアルキル基)等の極性基をもつものが挙げられる。中でも前記のごとき主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂は、低屈折率(屈折率が1.50近辺であり、コア・クラッドの屈折率の差を確保できる)及び高い光透過性等の優れた光学的特性を有し、鋳型との密着性に優れ、さらに耐熱性に優れているので特に本発明の高分子光導波路の作製に適している。
鋳型凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填するには、鋳型に鋳型より一回り大きいサイズの光透過性クラッドフィルムを密着させ、凹部の進入口にコア形成用硬化性樹脂を少量垂らし毛細管現象を利用して充填したり、凹部にコア形成用硬化性樹脂を加圧充填したり、凹部の排出口を減圧吸引したり、あるいは加圧充填と減圧吸引の両方を行うなどにより充填することができる。前記のごとく凹部端部に貫通孔を設けた場合は、進入側貫通孔に樹脂を溜め加圧充填したり、排出側貫通孔にポンプにつながった減圧吸引管を挿入して減圧吸引するなどすることができる。
また、前記加圧充填と減圧吸引を併用する場合はこれらを同期して行うことがさらに、前記加圧充填において圧力を段階的に増加させ、前記減圧吸引において圧力を段階的に減少させることが、鋳型が安定して固定された状態で、コア形成用硬化性樹脂をより高速に注入する相反則を両立させる点からみて好ましい。
前記コア形成用の紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が好ましく用いられる。
また、前記紫外線硬化性樹脂としてエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられる。
このほかに、原盤に形成された光導波路コアに対応する凸部が有する元の形状を高精度に再現するため、前記硬化性樹脂の硬化前後の体積変化が小さいことが必要である。例えば、体積が減少すると導波損失の原因になる。したがって、前記硬化性樹脂は、体積変化ができるだけ小さいものが望ましく、10%以下、好ましくは0.01〜5%の範囲にあることが望ましい。溶剤を用いて低粘度化することは、硬化前後の体積変化が大きいのでできれば避ける方が好ましい。
コア形成用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするため、前記樹脂にポリマーを添加することができる。前記ポリマーはコア形成用硬化性樹脂との相溶性を有し、かつ該樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないものが好ましい。またポリマーを添加することにより体積変化を小さくする他、粘度や硬化樹脂のガラス転移点を高度に制御できる。前記ポリマーとしては例えばアクリル系、メタクリル酸系、エポキシ系のものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
コア形成用硬化性樹脂の硬化物の屈折率は、クラッドとなる前記フィルム基材(以下のe)の工程におけるクラッド層を含む)より大きいことが必要である。コアとクラッド(光透過性クラッドフィルム及びクラッド層)との屈折率の差は、0.01以上、好ましくは0.04以上である。
また、前記充填を促進するため、前記系の減圧に加えて、鋳型の進入口から充填するコア形成用硬化性樹脂を加熱することにより、より低粘度化することも有効な手段である。
充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる。紫外線硬化性樹脂を硬化させるには、紫外線ランプ、紫外線LED、UV照射装置等が用いられる。また、熱硬化性樹脂を硬化させるには、オーブン中での加熱等が用いられる。
前記d)の工程の後、鋳型を光透過性クラッドフィルムから剥離する。また、前記a)〜d)の工程で用いる鋳型は、屈折率等の条件を満たせばそのままクラッド層に用いることも可能で、この場合は、鋳型を剥離する必要はなくそのままクラッド層として利用する。この場合、鋳型とコア材料の接着性を向上させるために鋳型をオゾン処理することが好ましい。
図7(A)は原盤10を示し、12は光導波路コアに対応する凸部である。この原盤10の凸部形成面に鋳型形成用硬化性樹脂を塗布又は注型した後硬化させる(図7(B)参照)。図7(B)中、20aは硬化樹脂層である。その後硬化樹脂層20aを剥離すると、凹部が形成された硬化樹脂層20aが得られる(図示せず)。凹部22が形成された硬化樹脂層20aに、凹部22に連通する貫通孔26及び28を凹部両端に打ち抜き等により形成して鋳型20(図7(C)参照)を得る。
次に、図7(D)が示すように、鋳型に形成されている貫通孔26にコア形成用硬化性樹脂を入れ、他端の貫通孔28から減圧吸引して(加圧充填でもよく両者を併用してもよい)鋳型凹部22にコア形成用硬化性樹脂を充填する。その後該樹脂を硬化させ、鋳型を剥離すると、図7(E)に示されるように、クラッドフィルム30の上に光導波路コア32と貫通孔26及び28内において硬化した樹脂部分が形成される。最後に貫通孔で硬化した樹脂部分をダイサー等で切り落として導波路路フィルムとする(図7(F)参照)。コア端面は鏡面平滑性を有している。
積層型高分子光導波路は、前記のごとき方法で作製した導波路フィルムを、クラッド形成用硬化性樹脂により積層することにより作製される。
コア形成面にクラッドフィルムを積層していない態様の導波路フィルムの場合は、最上層の導波路フィルムのコア形成面にクラッドフィルムを接着剤により積層したり、クラッド用硬化性樹脂の硬化層からなるクラッド層を形成したりする。
以上のようにして2枚以上の導波路フィルム積層した積層体の端部近傍に切り込みを入れて、光導波路コアが存在する短冊状構造を形成する。この短冊状構造は、前述の通り、隣接部分および積層型高分子光導波路本体とは独立に積層方向に屈曲することが可能である。
<原盤の作製>
Si基板に厚膜レジスト(マイクロケミカル(株)製、SU−8)をスピンコート法で塗布した後、80℃でプリベークし、フォトマスクを通して露光して、現像し、図1(C)、(D)に示すような断面が正方形の8本の光導波路用凸部(幅:50μm、高さ:50μm、長さ:50mm、近接部250μmピッチ)と、平面形状を有する2つの断面が正方形のアライメントマーク用凸部(幅:50μm、高さ:50μm、一辺の長さ:2mm、図示せず)とを形成した。次に、これを120℃でポストベークして、光導波路コア作製用原盤を作製した。
次に、この原盤に離型剤を塗布した後、熱硬化性ジメチルシロキサン樹脂(ダウコウニングアジア社製:SYLGARD184)を流し込み、120℃で30分間加熱して固化させた後剥離して、断面が正方形の光導波路コア用凸部及びアライメントマーク用凸部に対応する凹部を持った型(鋳型の厚さ:5mm)を作製した。
さらに、前記コア用凹部の両端が露出するように鋳型に直径3mmの孔をくり貫き、下記紫外線硬化性樹脂の入出力部を作り、さらに、2つのアライメントマーク用凸部に対応する凹部の両端部が露出するように端部を切断し、これを鋳型として用いた(図7(C)参照)。
前記鋳型と、鋳型より一回り大きい設計膜厚188μmの光透過性クラッドフィルム(アートンフイルム、JSR(株)製、屈折率1.510)を用意した。この光透過性クラッドフィルムと鋳型を密着させた。次に、鋳型に形成されている光導波路コア作製用凹部の各一端の孔に、粘度が1300mPa・sの紫外線硬化性樹脂(JSR社製:PJ3001)を数滴落とし、他端の孔からダイヤフラム式吸引ポンプ(最大吸引圧33.25KPa)で20kPaの吸引力で吸引したところ、前記各凹部に紫外線硬化性樹脂が充填された(図7(D)参照)。次いで、50mW/cm2のUV光を鋳型を透して5分間照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた。鋳型を光透過性クラッドフィルムから剥離したところ、光透過性クラッドフィルム上に前記原盤凸部と同じ形状の光導波路コア及びアライメントマークが形成された(図7(F)参照)。光導波路コア及びアライメントマークの屈折率は1.591であった。この導波路フィルムを矩形に切り落とすことにより、端部のコア用紫外製硬化樹脂だまりの部分を切り落として、コアの凸部分以外の出っ張りのないリッジ型の導波路フィルムを作製した(図7(F)参照)。さらに同様な工程でアライメントマークを作製した。ただし使用した紫外線硬化樹脂は硬化時にうすいピンク色になるものとした。
前記のごとくして作製した導波路フィルム2枚、および同じ大きさのアートンフィルム1枚を用意し、それぞれに硬化後の屈折率が光透過性クラッドフィルム(アートンフイルム)と同じ1.510で、体積収縮率が5%以下である紫外線硬化性樹脂(JSR(株)製)を塗布装置によって概ね1枚の厚みが250μmになるように全面に塗布した後積層した。さらに積層体の上から顕微鏡光学系でアライメントマークにより2枚の導波路フィルムの相対位置を微調整した後、50mW/cm2のUV光を10分間照射して固化させた。フレキシブルな積層型高分子光導波路が得られた。また、この上に、アートンフィルムを前記の紫外線硬化性樹脂を用いて積層した。積層された導波路フィルムの相対位置誤差は面方向および厚み方向とも2μm以下に収まった。
次いで、1×8のVCSELアレイ(富士ゼロックス(株)製)の発光面に接着した。接続個所における損失は8本の導波路について0.7〜1dBの範囲に収まった。また、この状態で積層型高分子光導波路の本体を曲げずに、短冊状構造部分を曲率半径5mmで曲げることが可能であった。
まず実施例1と同様に、原盤及びPDMS鋳型を作製した。
<導波路フィルムの作製>
前記鋳型と、図2(A)、(B)に示すように不要な部分を切除した設計膜厚188μmの光透過性クラッドフィルム(アートンフイルム、JSR(株)製、屈折率1.510)を用意した。この光透過性クラッドフィルムと鋳型とを密着させた。次に、鋳型に形成されている光導波路コア作製用凹部の各一端の孔に、粘度が1300mPa・sの紫外線硬化性樹脂(JSR社製:PJ3001)を数滴落とし、他端の孔からダイヤフラム式吸引ポンプ(最大吸引圧33.25KPa)で20kPaの吸引力で吸引したところ、前記各凹部に紫外線硬化性樹脂が充填された。次いで、50mW/cm2のUV光を鋳型を透して5分間照射して紫外線硬化させた。鋳型を光透過性クラッドフィルムから剥離したところ、光透過性クラッドフィルム上に前記原盤凸部と同じ形状の光導波路コア及びアライメントマークが形成された。光導波路コア及びアライメントマークの屈折率は1.591であった。この導波路フィルムを矩形に切り落とすことにより、端部のコア用紫外製硬化樹脂だまりの部分を切り落として、コアの凸部分以外の出っ張りのないリッジ型の導波路フィルムを作製した。さらに同様な工程でアライメントマークを作製した。ただし使用した紫外線硬化樹脂は硬化時にうすいピンク色になるものとした。
前記のごとくして作製した導波路フィルム2枚、および同じ大きさのアートンフィルム1枚を用意し、それぞれに硬化後の屈折率が光透過性クラッドフィルム(アートンフイルム)と同じ1.510で、体積収縮率が5%以下である紫外線硬化性樹脂(JSR(株)製)を塗布装置によって概ね1枚の厚みが250μmになるように全面に塗布した後積層した。さらに積層体の上から顕微鏡光学系でアライメントマークにより2枚の高分子光導波路の相対位置を微調整した後、50mW/cm2のUV光を10分間照射して固化させた。フレキシブルな積層型高分子光導波路が得られた。また、この上に、アートンフィルムを前記の紫外線硬化性樹脂を用いて積層した。積層された導波路フィルムの相対位置誤差は面方向および厚み方向とも2μm以下に収まった。
さらに接着剤がはみ出した不要な部分および、光導波路コアの端面をダイシングソーで切断することにより1層につき8本の光導波路コアを持ち、それらが2層積層された積層型高分子光導波路を作製した。その積層型高分子光導波路の図2(B)において破線で示すダイシングラインで導波路長手方向に沿ってダイシングソーにより切断した。切りしろは0.11mmであった。
12 凸部
20 鋳型
20a 硬化樹脂層
22 凹部
30 光透過性クラッドフィルム
40 光導波路コア
50 クラッド層
60 導波路フィルム
110 VCSELアレイ
111 MTコネクタ
Claims (7)
- 光透過性クラッドフィルム上に少なくとも光導波路コアを有する導波路フィルムを、2枚以上準備する準備工程と、
2枚以上の前記導波路フィルムを前記光透過性クラッドフィルムと屈折率が近いクラッド形成用硬化性樹脂により積層する積層工程と、
積層した前記導波路フィルムの積層体の端部において、少なくとも1つの前記光導波路コアを含み、前記積層体の積層方向にそれぞれ独立して屈曲可能な複数の短冊状構造を形成する短冊状構造形成工程と、
少なくとも1つの前記短冊状構造を屈曲させ、異なる前記導波路フィルムに属する前記光導波路コアの端面が一直線上に配置した状態で、複数の短冊状構造の端部を固定面上に固定する配置・固定工程と、
を有することを特徴とする積層型高分子光導波路の製造方法。 - 前記積層工程の前に、導波路フィルムの光導波路コアの存在しない領域を切除する切除工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の積層型高分子光導波路の製造方法。
- 前記配置・固定工程が、少なくとも1つの前記短冊状構造を屈曲させ、異なる前記導波路フィルムに属する前記光導波路コアの端面が一直線上に配置した状態で、複数の短冊状構造の端部を光コネクタに固定する配置・固定工程であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層型高分子光導波路の製造方法。
- 固定面上に固定された前記複数の短冊状構造の端部を同時に切断する工程をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層型高分子光導波路の製造方法。
- 前記準備工程が、以下のa)〜e)の工程を2回以上行って2枚以上の導波路フィルムを作製する工程であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層型高分子光導波路の製造方法。
a)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層から形成され、光導波路コア凸部に対応する凹部を有する鋳型を準備する工程
b)鋳型に光透過性クラッドフィルムを密着させる工程
c)光透過性クラッドフィルムを密着させた鋳型の凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填する工程
d)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる工程
e)鋳型を光透過性クラッドフィルムから剥離する工程 - 前記鋳型として、複数のアライメントマーク作製用凹部を有するものを用いて各導波路フィルムにアライメントマークを作製し、前記2枚以上の導波路フィルムを、前記アライメントマークを利用して積層する工程を有することを特徴とする請求項5に記載の積層型高分子光導波路の製造方法。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の積層型高分子光導波路の製造方法により製造されたことを特徴とする積層型高分子光導波路。
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