JP2005057900A - エンジン駆動インバータ発電装置 - Google Patents

エンジン駆動インバータ発電装置 Download PDF

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Katsumi Yamamoto
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Abstract

【課題】 負荷を間欠駆動する際に生じるエンジンの動作音を小さくして騒音の低減を図ったエンジン駆動インバータ発電装置を提供する。
【解決手段】 インバータ装置20に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されている状態でエンジン3の回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間を、インバータ装置20に設定値を超える負荷がかかっている状態でエンジンの回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間よりも長くするようにエンジン回転速度制御部23を構成して、負荷を間欠駆動した際にエンジンの回転速度の変動に伴って生じるエンジンの動作音を小さくした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、エンジンにより駆動される発電機を電源として直流電圧を発生する電源部と、該電源部の出力を交流電圧に変換するインバータ装置とを備えたエンジン駆動インバータ発電装置に関するものである。
エンジンにより駆動される発電機を電源とする電源装置として、例えば特許文献1及び2に示されているように、発電機を電源として直流電圧を出力する電源部と、該電源部の直流出力を一定の周波数の交流出力に変換するインバータ装置と、エンジンの回転速度をインバータ装置にかかっている負荷に適合した目標回転速度(インバータ装置から負荷を駆動するために必要な出力を発生させるために必要な回転速度)に保つように制御するエンジン回転速度制御部とを備えたものがある。
発電機として交流発電機を用いる場合、電源部は、該交流発電機と、その交流出力を直流出力に変換するコンバータとにより構成される。
インバータ装置は、ブリッジの各辺をスイッチ素子と該スイッチ素子に逆並列接続された帰還用ダイオードとにより構成した周知のブリッジ形のインバータ回路と、該インバータ回路から所定の周波数の交流電圧を出力させるように該インバータ回路を構成するスイッチ素子を所定のタイミングでオンオフ制御するインバータ制御部とにより構成される。
また従来のインバータ発電装置に設けられていたエンジン回転速度制御部は、例えば、インバータの負荷の大きさに応じてエンジンの目標回転速度を設定する目標回転速度設定部と、エンジンの回転速度を検出する回転速度検出部と、検出された回転速度と演算された目標回転速度との偏差を検出する偏差検出部と、検出された偏差に比例演算(P演算)、比例・積分・微分演算(PID演算)または比例・積分演算(PI演算)を施して偏差を零にするために必要なエンジンの吸入空気量調節部(例えばスロットルバルブ)の操作量を演算する操作量演算部と、操作量演算部により演算された操作量だけエンジンの吸入空気量調節部を操作する操作部とを備えて、エンジンの回転速度と目標回転速度との偏差を零にするようにエンジンの回転速度をフィードバック制御する。
特開2000−217398号公報 特開平5−18285号公報
上記のように、負荷の大きさに適合する目標回転速度を設定して、エンジンの回転速度と目標回転速度との偏差を零にするようにエンジンの回転速度をフィードバック制御するエンジン回転速度制御部を備えたインバータ発電装置においては、起動電流が大きい負荷、例えば電動工具等を間欠駆動する場合に、エンジンの回転速度が大きく変動して不快な音を発生するという問題があった。
即ち、上記のような負荷を駆動する際には、起動時に大きな電流を流す必要があるため、エンジン回転速度制御部は、作業者が負荷を起動させたときにエンジンの回転速度を上限値付近まで上昇させるが、その後作業を停止すると負荷が無くなるため、エンジン回転速度制御部はエンジンの回転速度を下限値(通常はアイドリング回転速度)まで急激に低下させる。電動工具のように間欠駆動される負荷は、比較的短い周期で起動と停止とを繰り返すため、エンジンの回転速度の大幅な変動に伴う大きな動作音(変動音)が頻繁に発生し、このエンジンの変動音と負荷自体が発生する動作音とが大きな騒音となって、作業者及び周囲の者に不快感を与えるという問題があった。
本発明の目的は、負荷が間欠駆動された際にエンジンが発生する動作音を抑制して、騒音が作業者や周囲の者に与える影響を少なくすることができるようにしたエンジン駆動インバータ発電装置を提供することにある。
本発明は、エンジンにより駆動される発電機を電源として直流電圧を出力する電源部と、電源部の出力電圧を交流電圧に変換するインバータ装置と、エンジンの回転速度をインバータにかかっている負荷に適合した目標回転速度に保つように制御するエンジン回転速度制御部とを備えたインバータ発電装置に係わるものである。
本発明においては、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されている状態(負荷が零の状態を含む)で回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間を、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっている状態で回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間よりも長くするように、エンジン回転速度制御部が構成される。
本発明の好ましい態様では、上記エンジン回転速度制御部が、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていることが検出されているときにエンジンの回転速度と目標回転速度との偏差を零にするようにエンジンの回転速度をフィードバック制御し、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときには、一定の時間が経過する毎に回転速度を所定の下げ幅だけステップ状に低下させることにより回転速度を目標回転速度に向けて低下させる制御を行うように構成される。
上記回転速度をステップ状に低下させる際の回転速度の下げ幅は一定としてもよく、時間の経過に伴って増加させてもよい。
本発明の他の好ましい態様では、上記エンジン回転速度制御部が、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていることが検出されているときにエンジンの回転速度と目標回転速度との偏差を零にするようにエンジンの回転速度をフィードバック制御し、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときには、回転速度を目標回転速度に向けて滑らかに低下させる制御を行うように構成される。
上記のように、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されている状態で回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間を、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっている状態で回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間よりも長くするように、エンジン回転速度制御部を構成すると、負荷を間欠駆動した際に生じるエンジンの変動音を小さくして、騒音の低減を図ることができ、作業者や周囲の者に不快感を与えるのを防ぐことができる。
以上のように、本発明によれば、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されている状態で回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間を、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっている状態で回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間よりも長くするように、エンジン回転速度制御部を構成したので、負荷を間欠駆動した際にエンジンの回転速度の変動に伴って生じるエンジンの動作音を小さくして、騒音の低減を図ることができ、作業者や周囲の者に不快感を与えるのを防ぐことができる。
図1は、本発明に係わるインバータ発電装置1の構成例を示したもので、同図において、2は3相磁石式交流発電機、3は磁石発電機2を駆動するエンジンである。磁石式交流発電機2は、多極に構成された磁石回転子(図示せず。)と、3相結線された発電コイル2u 〜2w を有する固定子とからなっていて、図示しない磁石回転子は、エンジン3のクランク軸に取り付けられている。
また4はダイオードDu〜DwとDx〜Dzとを3相ブリッジ接続して構成した整流器からなるコンバータで、コンバータ4の3相の交流入力端子4u〜4wにそれぞれ発電機2の3相の出力端子が接続され、コンバータ4の直流出力端子4a,4b間には電源コンデンサCdが接続されている。
図示の例では、発電機2とエンジン3とコンバータ4と電源コンデンサCd とにより、エンジンにより駆動される発電機を電源として直流電圧を出力する電源部が構成されている。
5Aはスイッチ素子としてMOSFET Fu 及びFv とFx 及びFy とを用いたブリッジ形のインバータ回路(電力変換回路)で、このインバータ回路においては、互いに直列に接続されたMOSFET Fu 及びFxからなる第1のアームと、同じく直列に接続されたMOSFET Fv 及びFy からなる第2のアームとを並列に接続することによりHブリッジ回路を構成している。この例では、MOSFET Fu 及びFv がそれぞれ第1及び第2のアームの上段のスイッチ素子を構成し、Fx 及びFy がそれぞれ第1及び第2のアームの下段のスイッチ素子を構成している。
MOSFET Fu ,Fv 及びFx ,Fy のドレインソース間にはそれぞれアノードがソース側に向いた寄生ダイオードDfu,Dfv及びDfx,Dfyが形成されている。本実施形態では、これらの寄生ダイオードをインバータ回路のブリッジの各辺を構成するスイッチ素子に逆並列接続する帰還用ダイオードとして用いている。インバータ回路5Aの対の入力端子5a及び5bはコンバータ4の出力端子4a及び4bに接続され、インバータ回路5Aの対の出力端子5u及び5vはそれぞれインダクタンスL1 及びL2 とコンデンサC1 とからなる低域通過形のフィルタ回路5Bを通して対の負荷接続端子7u及び7vに接続されている。負荷接続端子7u及び7vにはコンセントとプラグとからなる周知のコネクタ8を通して電動工具等の負荷9が接続される。
この例では、インバータ回路5Aとフィルタ回路5Bとにより、電源部から与えられる直流出力を交流出力に変換するインバータ装置5が構成されている。
11はインバータ回路5Aからフィルタ回路6を通して負荷に供給される電流を検出する負荷電流検出回路、12は演算増幅器OP1 と該演算増幅器の入力端子を負荷接続端子7u及び7vに接続する抵抗Ru及びRvとからなる負荷電圧検出回路で、負荷電流検出回路11の出力及び負荷電圧検出回路12の出力はコントローラ13に入力されている。
コントローラ13は、CPU13aとROM,RAM,タイマなどを有するマイクロプロセッサと、負荷電流検出回路11の出力をCPU13aに入力する入力回路13bと、負荷電圧検出回路12の出力をデジタル信号に変換してCPU13aに入力するA/D変換器13cと、CPUが発生するPWM信号に応じてFET Fu,Fv,Fx及びFyのゲートに駆動信号Gu,Gv,Gx及びGyを与える駆動信号出力回路13dと、後記する検出回路から与えられるコンバータ4の出力電圧の検出値をデジタル信号に変換してCPU13aに入力するA/D変換器13eとを備えている。
コンバータ4の出力端子間の電圧(電源部の出力電圧)は抵抗Ra及びRbを通して演算増幅器OP2 の入力端子に印加され、該演算増幅器OP2 の出力がコントローラ13内のA/D変換器13eに入力されている。抵抗Ra及びRbと演算増幅器OP2 とにより、電源部の出力電圧を検出する電源出力検出回路14が構成されている。
また15はエンジンの吸気管内に設けられたスロットル弁、16はスロットル弁15を操作するアクチュエータであり、CPU13aから駆動回路17を通してアクチュエータ16に駆動電流が与えられるようになっている。
図2は、図1に示した実施形態に設けられた制御系の構成を示したブロック図で、同図において、18は、電源出力検出回路14により検出されるコンバータ4の出力電圧と、負荷電圧検出回路12により検出される負荷電圧と、負荷電流検出回路11により検出される負荷電流とに対してインバータ装置5のインバータ回路5Aを制御するインバータ制御部、19はエンジン3に取り付けられてクランク軸の所定の回転角度位置でパルスを発生する信号発生装置(図示せず。)の出力から回転速度を検出する回転速度検出部、20は負荷電流検出回路11により検出された負荷電流から負荷9の大きさを判定して、その負荷に適合したエンジンの目標回転速度を演算する目標回転速度演算手段、21は回転速度検出部19により検出された回転速度を目標回転速度演算手段20により演算された目標回転速度に収束させる制御を行うエンジン回転速度制御部である。
インバータ制御部18、回転速度検出部19、目標回転速度設定手段20及びエンジン回転速度制御部21は、CPU13aに所定のプログラムを実行させことにより構成する。
CPU13aは、コンバータ4から得られる電源部の直流出力電圧のデータAN1を電源出力検出回路14の演算増幅器OP2 とA/D変換器13eとを通して読み込むとともに、負荷電圧検出回路12とA/D変換器13cとを通して負荷接続端子7u,7v間の交流電圧の瞬時値を示す瞬時データAN0を読み込む。
インバータ制御部18は、一定のPWM周期Δt毎に到来するスイッチタイミングを検出する毎にCPUが実行しているプログラムに内部割込みをかけて、電源部の出力電圧(AN1)と、PWM周期Δt毎に到来するスイッチタイミングにおける正弦波形の基準電圧の瞬時値とにより決まるデューティ値(正弦波形の交流電圧を出力させるために必要なデューティ値)を求め、求められたデューティ値に基づいてCPU内のタイマにスイッチ素子のオン時間をセットする。タイマがセットされたオン時間の計時を行っていする間PWM信号を高レベルの状態にし、タイマの計時動作が終了した時にPWM信号を零レベルにする。このようにして、インバータ制御部は、CPUから駆動信号出力回路13dを通してインバータ回路5Aのスイッチ素子Fu,Fv,Fx,FyにPWM変調された波形の駆動信号を与えて、各スイッチ素子をオンオフさせることにより、フィルタ回路5Bから正弦波形の交流電圧を出力させる。
電源部の出力をインバータ回路5Aに入力してスイッチ素子をPWM制御することにより、負荷接続端子7u,7v間に波高値がVA の単相交流電圧を得る場合、電源部の出力電圧をVBとすると、PWM周期Δt毎に到来するスイッチタイミングにおけるスイッチ素子のデューティ値Dは、電圧VAとVBとの比で与えられる電圧補正値Kv =VA /VBを用いて、次式により求めることができる。
D=Sin(2πnΔt/T)×Kv …(1)
ここで、nはPWM周期が交流電圧波形の立ち上がりの零クロス点から何番目のPWM周期であるかを示す値で、PWM周期計数用のカウンタの計数値により与えられる。またΔtはPWM周期、Tは負荷接続端子間に得る交流電圧の1周期の時間である。
インバータ制御部18は、クロックパルスを計数しているカウンタの計数値からPWM周期が検出される毎に、カウンタの計数値nと、読み込んだ整流器の出力電圧のデータAN1と波高値を与える電源部の出力電圧VA とを用いて(1)式によりデューティ値Dを求めるか、または予めROMに記憶させたデューティ演算用マップを用いてデューティ値Dを求める。
インバータ制御部は、クロックパルスを計数するカウンタの計数値nにより、一定のPWM周期Δt毎に到来するスイッチタイミングを検出する。そして、各スイッチタイミングが検出される毎にCPUが実行しているプログラムに内部割込みをかけて、各スイッチタイミングにおけるスイッチ素子のデューティ値を求め、求められたデューティ値Dに基づいてCPU内のタイマにスイッチ素子のオン時間をセットする。タイマがセットされたオン時間の計時を行っていする間PWM信号を高レベルの状態にし、タイマの計時動作が終了した時にPWM信号を零レベルにする。このようにして、インバータ制御部は、CPUから駆動信号出力回路13dを通してインバータ回路のスイッチ素子Fu,Fv,Fx,FyにPWM変調された波形の駆動信号を与える。
負荷接続端子7u,7v間には、使用者が任意の負荷を接続する可能性がある。使用者が接続する可能性がある負荷の中には、容量性の負荷もあれば誘導性の負荷もあり、また負荷接続端子を通して断続的に電流を流すように、スイッチング動作を行う負荷もある。負荷接続端子間に基準波形の交流電圧を得るようにインバータ回路のスイッチ素子を制御していても、負荷によっては、出力波形が歪んでしまい、出力電圧波形の歪み率が大きくなることがある。
そこで本実施形態のインバータ制御部18は、負荷接続端子間の電圧の瞬時値を与えるデータAN0をCPUに読み込んで、該データが基準電圧の瞬時値を与える基準データよりも小さいときに駆動信号のデューティ値を大きくし、瞬時データAN0が基準データよりも大きいときには駆動信号のデューティ値を小さくするようにデューティ値を補正して、負荷電圧検出回路12により検出された電圧の瞬時値と基準電圧の瞬時値との間の偏差を零に近付ける制御を行うようにしている。
上記のような補正を行った後のデューティ値D´は、下記の式により与えられる。
D´=D+G×(ANS−AN0)×Kc …(2)
ここで、ANSは基準データで、この基準データは、各スイッチタイミングにおける基準波形の瞬時値である。Gは基準データANSとAN0との差に対する補正量の割合を決めるゲインである。ゲインGは、通常は1以下の値に設定される。
また係数Kc は、負荷接続端子間の電圧の瞬時データの補正値[G×(ANS−AN0)]をその時のデューティ値への補正値に変換するために補正値に乗じる係数で、Kv により決まる数値である。
エンジン回転速度制御部21は、回転速度検出部19が検出したエンジンの回転速度を目標回転速度演算手段20により演算された目標回転速度に収束させる制御を行う部分で、本発明においては、このエンジン回転速度制御部21が、負荷電流検出回路11により検出される負荷電流からインバータ装置20に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されている状態でエンジンの回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間を、インバータ装置20に設定値を超える負荷がかかっている状態で回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間よりも長くするように構成される。
このような制御を行わせるには、インバータ装置5に設定値を超える負荷がかかっていることが検出されているときに回転速度検出部19により検出されたエンジンの回転速度と目標回転速度演算手段20により演算された目標回転速度との偏差を零にするようにエンジンの回転速度を制御する通常のフィードバック制御を行い、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないこと(負荷が零の場合を含む。)が検出されたときには、予め設定した最低回転速度(通常はアイドリング速度)を目標回転速度として、図3に示すように、一定の時間tが経過する毎にエンジンの回転速度を所定の下げ幅ΔNだけステップ状に低下させることにより、回転速度を徐々に低下させて目標回転速度に収束させる制御を行うようにエンジン回転速度制御部21を構成すればよい。
このような制御を行うエンジン回転速度制御部21を構成するために一定の時間毎に(例えば80msec毎に)CPUに実行させるタスクのアルゴリズムを示すフローチャートを図6に示した。図6に示したアルゴリズムによる場合には、先ずステップ1において負荷電流検出回路11により設定値(しきい値)を超える負荷電流が検出されているか否かを判定し、その結果設定値を超える負荷電流が検出されているときには、ステップ2において回転速度検出部19により検出されている現在の回転速度が予め設定した最低回転速度(通常はアイドリング速度)であるか否かを判定する。その結果、現在の回転速度が予め設定した最低回転速度まで低下していない場合には、ステップ3に進んで、負荷電流検出回路11により検出された負荷電流に対して演算された目標回転速度と現在の回転速度との偏差の演算、該偏差にP演算、PI演算またはPID演算を施して該偏差を零にするためにアクチュエータ16に流す駆動電流の大きさを求める演算などの制御演算を行い、ステップ4で演算された大きさの駆動電流をアクチュエータに流してエンジンの回転速度を目標回転速度に一致させる制御を行わせる。
ステップ2において、現在の回転速度が最低回転速度まで低下していると判定されたときには以後何もしないでこのタスクを終了する。
ステップ1で設定値を超える負荷電流が検出されていない(インバータが実質的に無負荷である)と判定されたときには、ステップ5に進んで設定値を超える負荷電流が検出されなくなってから一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過してないなときには、以後何もしないでこのタスクを終了する。またステップ5で設定値を超える負荷電流が検出されなくなってから一定時間が経過したと判定されたときにはステップ6に進んで現在の回転速度が設定された最低回転速度であるか否かを判定し、最低回転速度ではない場合(最低回転速度よりも高い場合)にはステップ7に進んでエンジンの回転速度を一定値ΔNだけ下げるための処理を行わせてこのタスクを終了する。ステップ7でエンジンの回転速度を低下させた後、再びこのタスクが実行された際に、ステップ5に移行した場合には、前回回転速度をΔNだけ低下させた時刻から一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過していると判定されたときにはステップ6に進んで回転速度が最低回転速度まで低下しているか否かを判定し、最低回転速度まで低下していないときには、ステップ7を実行させて回転速度を一定値ΔNだけ低下させる。このようにして、インバータに設定値を超える負荷がかかっていないと判定されているときには、エンジンの回転速度が最低回転速度まで低下するまでエンジンの回転速度を一定の時間毎に一定値ΔNずつステップ状に低下させて、目標回転速度(最低回転速度)に徐々に収束させる。
負荷が低下したことを判定するための設定値は、負荷の動作を停止させた際に負荷に流れる電流に応じて適宜に設定する。負荷(例えば電動工具)の動作を停止させた際に、インバータ装置から負荷に流れる電流が零になる場合は、上記設定値を零に設定する。また負荷の動作を停止させた状態でもある程度の負荷電流が流れる場合には、上記設定値を、負荷の動作停止時に流れる負荷電流にほぼ等しく設定する。
図6に示したアルゴリズムにより制御を行う場合には、ステップ1により、インバータ装置にかかっている負荷の大きさが設定値を超えているか否かを判定する負荷判定手段が構成され、ステップ2により、負荷判定手段によりインバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていると判定されたときにエンジンの回転速度が予め設定した最低回転速度(通常はアイドリング速度)まで低下しているか否かを判定する回転速度判定手段が構成される。またステップ3及び4により、エンジンの回転速度が最低回転速度まで低下していないと判定されたときに、回転速度検出部19により検出された回転速度と目標回転速度演算手段20により演算された目標回転速度との偏差を零にする制御を行う負荷時回転速度制御手段が構成され、ステップ5により、負荷判定手段がインバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないと判定したときに、負荷がかかっていない時間を計測する無負荷状態継続時間計測手段が構成される。更にステップ6及び7により、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに一定の時間が経過する毎に回転速度を所定の下げ幅だけステップ状に低下させることにより回転速度を目標回転速度に向けて低下させる制御を行う無負荷時回転速度暫減制御手段が構成される。
即ち、本実施形態のエンジン回転速度制御部21は、インバータ装置にかかっている負荷の大きさが設定値を超えているか否かを判定する負荷判定手段と、該負荷判定手段によりインバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていると判定されたときにエンジンの回転速度が予め設定した最低回転速度まで低下しているか否かを判定する回転速度判定手段と、エンジンの回転速度が最低回転速度まで低下していないと判定されたときに、回転速度検出部により検出された回転速度と目標回転速度演算手段により演算された目標回転速度との偏差を零にする制御を行う負荷時回転速度制御手段と、負荷判定手段がインバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないと判定したときに、負荷がかかっていない時間を計測する無負荷状態継続時間計測手段と、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに一定の時間が経過する毎に回転速度を所定の下げ幅だけステップ状に低下させることにより回転速度を目標回転速度に向けて低下させる制御を行う無負荷時回転速度暫減制御手段とにより構成されている。
上記の実施形態では、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに、一定の時間が経過する毎に回転速度を所定の下げ幅だけステップ状に低下させるようにしたが、図4に示すように、回転速度をステップ状に低下させる際の回転速度の下げ幅を時間の経過に伴って増加させるようにしてもよい。
図4に示すような制御を行う場合に一定時間毎にCPUに実行させるタスクのアルゴリズムの一例を図7に示した。図7に示したアルゴリズムによる場合には、先ずステップ1において負荷電流検出回路11により設定値(しきい値)を超える負荷電流が検出されているか否かを判定し、その結果設定値を超える負荷電流が検出されているときには、ステップ2においてカウンタをリセットし、ステップ3において回転速度検出部19により検出されている現在の回転速度が予め設定した最低回転速度であるか否かを判定する。その結果、現在の回転速度が最低回転速度まで低下していない場合には、ステップ4に進んで、負荷電流検出回路11により検出された負荷電流に対して演算された目標回転速度と現在の回転速度との偏差の演算、該偏差にP演算、PI演算またはPID演算を施して該偏差を零にするためにアクチュエータ16に流す駆動電流の大きさを求める演算などの制御演算を行い、ステップ5で演算された大きさの駆動電流をアクチュエータに流してエンジンの回転速度を目標回転速度に一致させる制御を行わせる。
ステップ3において、現在の回転速度が最低回転速度まで低下していると判定されたときには以後何もしないでこのタスクを終了する。
ステップ1で設定値を超える負荷電流が検出されていない(インバータが実質的に無負荷である)と判定されたときには、ステップ6に進んで設定値を超える負荷電流が検出されなくなってから一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過してないなときには、以後何もしないでこのタスクを終了する。またステップ6で設定値を超える負荷電流が検出されなくなってから一定時間が経過したと判定されたときにはステップ7に進んで現在の回転速度が設定された最低回転速度であるか否かを判定し、最低回転速度よりも高い場合にはステップ8でカウンタの計数値を1だけインクリメントした後ステップ9に進んでエンジンの回転速度を一定値ΔNとカウンタの計数値との積により決まる下げ幅だけ下げるための処理を行わせてこのタスクを終了する。ステップ9でエンジンの回転速度を低下させた後、再びこのタスクが実行された際に、ステップ6に移行した場合には、前回回転速度を所定の下げ幅(ΔN×カウント値)だけ低下させた時刻から一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過していると判定されたときにステップ7に進んで回転速度が最低回転速度まで低下しているか否かを判定し、最低回転速度まで低下していないときには、ステップ8でカウンタの計数値を増加させた後、ステップ9を実行させて回転速度を下げ幅(ΔN×カウント値)だけ低下させる。このようにして、インバータに設定値を超える負荷がかかっていないと判定されているときに、エンジンの回転速度が最低回転速度まで低下するまでエンジンの回転速度を一定の時間毎にステップ状に低下させて、目標回転速度(最低回転速度)に徐々に収束させる。
図7に示したアルゴリズムによる場合には、ステップ1により、インバータ装置にかかっている負荷の大きさが設定値を超えているか否かを判定する負荷判定手段が構成され、ステップ3により、負荷判定手段によりインバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていると判定されたときにエンジンの回転速度が予め設定した最低回転速度まで低下しているか否かを判定する回転速度判定手段が構成される。またステップ4及び5により、エンジンの回転速度が最低回転速度まで低下していないと判定されたときに、回転速度検出部により検出された回転速度と目標回転速度演算手段により演算された目標回転速度との偏差を零にする制御を行う負荷時回転速度制御手段が構成され、ステップ6により、負荷判定手段がインバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないと判定したときに、負荷がかかっていない時間を計測する無負荷状態継続時間計測手段が構成される。更にステップ7ないし9により、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに一定の時間が経過する毎に、回転速度の下げ幅を時間の経過に伴って増加させながら回転速度をステップ状に低下させることにより回転速度を目標回転速度に向けて低下させる制御を行う無負荷時回転速度暫減制御手段が構成される。
本実施形態のエンジン回転速度制御部21の構成は、無負荷時回転速度暫減制御手段が、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに一定の時間が経過する毎に、回転速度の下げ幅を時間の経過に伴って増加させながら回転速度をステップ状に低下させることにより回転速度を目標回転速度に向けて低下させる制御を行うように構成されている点を除き、図6に示したアルゴリズムによる場合と同様である。
上記の実施形態では、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに、一定の時間が経過する毎にエンジンの回転速度を所定の下げ幅だけステップ状に低下させることによりエンジンの回転速度を目標回転速度に向けて低下させる制御を行うようにしたが、図5に示したように、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに、エンジンの回転速度を時間の経過に伴って滑らかに低下させるようにしてもよい。
図5に示した例では、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに、エンジンの回転速度を時間の経過に伴って直線的に低下させているが、インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときに、回転速度の減少のさせ方はこれに限定されるものではなく、例えばエンジンの回転速度を時間の経過に伴って指数関数的に低下させるようにしてもよい。
上記の実施形態では、インバータ装置の出力側で負荷電流を検出しているが、インバータ回路のマイナス側の直流入力端子5bとコンバータのマイナス側出力端子4bとの間にシャント抵抗器等の電流検出器を設けることにより、インバータ回路側で負荷電流を検出するようにしてもよい。
上記の実施形態では、負荷電流検出回路の出力からインバータ装置にかかっている負荷を検出するようにしたが、コンバータ4の出力電圧VDの大きさにも負荷の大きさが反映されるので、コンバータの出力電圧VDから負荷の大きさを検出するようにしてもよい。
また、コンバータ4において、発電機の出力を整流する整流素子としてサイリスタを用いて、該サイリスタの導通角を制御することによりコンバータの出力電圧を一定に保つ制御を行う場合には、該サイリスタの導通角からインバータ装置の負荷状態を検出することができる。
本発明に係わるエンジン駆動インバータ発電装置のハードウェア部分の構成例を示した回路図である。 図1のインバータ発電装置に設けられる制御系の構成の一例を示したブロック図である。 図1に示したインバータ発電装置において負荷が急減した際のエンジン回転速度の時間的な変化の一例を示したタイムチャートである。 図1に示したインバータ発電装置において負荷が急減した際のエンジン回転速度の時間的な変化の他の例を示したタイムチャートである。 図1に示したインバータ発電装置において負荷が急減した際のエンジン回転速度の時間的な変化の更に他の例を示したタイムチャートである。 図1のインバータ発電装置において、制御部を構成するマイクロプロセッサにより実行されるプログラムのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。 図1のインバータ発電装置において、制御部を構成するマイクロプロセッサにより実行されるプログラムのアルゴリズムの他の例を示したフローチャートである。
符号の説明
1 インバータ発電装置
2 3相磁石式交流発電機
3 エンジン
4 コンバータ
5 インバータ回路
6 フィルタ回路
7u,7v 負荷接続端子
9 負荷
13 制御部

Claims (5)

  1. エンジンにより駆動される発電機を電源として直流電圧を出力する電源部と、前記電源部の出力電圧を交流電圧に変換するインバータ装置と、前記エンジンの回転速度を前記インバータにかかっている負荷に適合した目標回転速度に保つように制御するエンジン回転速度制御部とを備えたインバータ発電装置において、
    前記エンジン回転速度制御部は、前記インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されている状態で前記回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間を、前記インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっている状態で前記回転速度を目標回転速度に収束させる際の回転速度の整定時間よりも長くするように構成されていることを特徴とするエンジン駆動インバータ発電装置。
  2. エンジンにより駆動される発電機を電源として直流電圧を出力する電源部と、前記電源部の出力電圧を交流電圧に変換するインバータ装置と、前記エンジンの回転速度を前記インバータ装置にかかっている負荷に適合した目標回転速度に保つように制御するエンジン回転速度制御部とを備えたインバータ発電装置において、
    前記エンジン回転速度制御部は、前記インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていることが検出されているときに前記エンジンの回転速度と目標回転速度との偏差を零にするように前記エンジンの回転速度をフィードバック制御し、前記インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときには、一定の時間が経過する毎に前記回転速度を所定の下げ幅だけステップ状に低下させることにより前記回転速度を目標回転速度に向けて低下させる制御を行うように構成されていることを特徴とするエンジン駆動インバータ発電装置。
  3. 前記回転速度をステップ状に低下させる際の回転速度の下げ幅は、一定であることを特徴とする請求項2に記載のエンジン駆動インバータ発電装置。
  4. 前記回転速度をステップ状に低下させる際の回転速度の下げ幅は、時間の経過に伴って増加させられることを特徴とする請求項2に記載のエンジン駆動インバータ発電装置。
  5. エンジンにより駆動される発電機を電源として直流電圧を出力する電源部と、前記電源部の出力電圧を交流電圧に変換するインバータ装置と、前記エンジンの回転速度を前記インバータ装置にかかっている負荷に適合した目標回転速度に保つように制御するエンジン回転速度制御部とを備えたインバータ発電装置において、
    前記エンジン回転速度制御部は、前記インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていることが検出されているときに前記エンジンの回転速度と目標回転速度との偏差を零にするように前記エンジンの回転速度をフィードバック制御し、前記インバータ装置に設定値を超える負荷がかかっていないことが検出されたときには、前記回転速度を目標回転速度に向けて滑らかに低下させる制御を行うように構成されていることを特徴とするエンジン駆動インバータ発電装置。
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