JP2005053365A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】トレッドの特に中間陸部の剛性を高めて操縦安定性の確保を図りつつ、ウェット排水性能とくには耐ハイドロプレーニング性能を向上させる。
【解決手段】一対のセンター周溝2と、一対のショルダー周溝4と、センターリブ3と、中間陸部7と、ショルダー周溝4に開口する緩傾斜溝8と、横溝6とを有する空気入りタイヤであって、緩傾斜溝8のセンター側端を中間陸部7内で終了させ、緩傾斜溝8のその終端9から全長にわたって、周方向に対して緩傾斜溝8より小さい角度でショルダー周溝4側へ延在して、緩傾斜溝8のショルダー周溝4への開口11と重なる位置でまたは、その開口よりわずかに下方側でショルダー周溝4に開口する急傾斜溝10を形成して、両傾斜溝8、10により中間陸部7に、三角ブロック12とリブ13を区画し、そのリブ13の、ショルダー周溝4の近傍に形成される隅部14の表面高さをショルダー周溝4に向けて漸減させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転方向を特定した方向性パターンを有する空気入りタイヤ、とくには、ウェット排水性能なかでも耐ハイドロプレーニング性能と、操縦安定性とを高い次元で両立させた空気入りタイヤに関するものである。
耐ハイドロプレーニング性能と、ドライ及びウェット路面における操縦安定性とを両立させるにあたっては、トレッドパターンを、周溝と傾斜溝の組み合わせになって、回転方向が特定されたものとすることが一般的であり、この種のタイヤでは、トレッド周方向に連続して延びる周溝によって、タイヤの前後方向の排水を、また、トレッド周方向に対して傾斜して延びる傾斜溝によって、タイヤ幅方向への排水を、それぞれ行うこととしている。
しかるに、このようなタイヤでは一般に、排水性能を高めるために、トレッド中央域において傾斜溝を周溝に開口させているので、傾斜溝と周溝とにより挟まれる鋭角状の陸部部分に偏摩耗が発生しやすく、また、トレッド中央域の陸部剛性が低くなるという問題があった。
これに対する、トレッド中央域の陸部剛性の低下を招くことなく、耐ハイドロプレーニング性能を向上させる技術としては、例えば特開2001−225611号公報に開示されたものがある。
このタイヤは、図5に、展開図で示すトレッドパターンを有するものである。ここでは、トレッド踏面部51の中央域に、タイヤ赤道線Cを隔てて対称に位置して、トレッド周方向に直線状に連続して延在する一対の周溝52を比較的近接させて設けるとともに、タイヤ赤道線Cからその両側にトレッド幅Wのほぼ1/4ずつの距離を隔てた位置に、他の一対の周溝53を設けて、周溝52と周溝53との間に、中間陸部54を区画している。また、この中間陸部54には、周溝53に交差するも周溝52には開口しない急傾斜溝55および緩傾斜溝56を形成し、急傾斜溝55を中間陸部54のほぼ中央で屈曲させ、屈曲点よりトレッド端側では緩傾斜溝56とほぼ平行となるように形成し、各中間陸部54にほぼ台形状のブロック57およびほぼ櫛歯状のリブ58のそれぞれを区画している。また、周溝53からトレッド踏面端へ開口する横溝59を設けてショルダーブロック60を区画し、横溝59の周溝53への開口位置は二列ごとに緩傾斜溝56の周溝53への開口位置に一致させている。
ところがこのような形態のブロック57の周方向長さは、ショルダーブロック60の周方向長さとほぼ同じであり、ショルダーブロック60の周方向長さをパターンノイズの抑制上あまり長く出来ないことから、ブロック57の周方向長さも長くできないため、周方向剛性をさらに高める必要がある場合に、自由度が確保できず制約条件となっていた。また、急傾斜溝55は屈曲点を設けているため、当該溝内の排水方向が、屈曲点においてトレッド接地面内の流線方向とずれて、排水効率が低下しやすい面を有しており、さらに高い排水性を求める上では、改良する余地を有していた。
特開2001−225611号公報
本発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題としてなされたものであり、それの目的は、中間陸部のブロックの周方向剛性を高めて、かつウェット排水性能とくには耐ハイドロプレーニング性能をより向上させた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド踏面部に、タイヤ赤道線を隔てて位置してトレッド周方向に連続して延びる一対のセンター周溝を形成して、それらの間にセンターリブを区画し、各センター周溝とトレッド踏面端との間に、トレッド周方向に連続して延びる一対のショルダー周溝を形成して、ショルダー周溝とセンター周溝との間に中間陸部を、ショルダー周溝とトレッド踏面端との間にショルダー陸部をそれぞれ区画し、それぞれの中間陸部に、タイヤの車両への装着姿勢の正面視で、上方に向けて相互に離隔する方向に延在してショルダー周溝に開口するそれぞれの緩傾斜溝をトレッド周方向に間隔をおいて形成し、ショルダー陸部に、ショルダー周溝とトレッド踏面端とに開口するそれぞれの横溝をトレッド周方向に間隔をおいて形成してなる空気入りタイヤであって、各緩傾斜溝のセンター側端を中間陸部内で終了させるとともに、緩傾斜溝のその終端から全長にわたって、周方向に対して緩傾斜溝より小さい角度でショルダー周溝側へ延在して、上方側に隣接する緩傾斜溝のショルダー周溝への開口と重なる位置で、または、その開口よりわずかに下方側でショルダー周溝に開口する急傾斜溝を形成して、これらの両傾斜溝により中間陸部に、三角ブロックとリブとのそれぞれを区画し、そのリブの、ショルダー周溝の近傍に形成される隅部の表面高さをショルダー周溝に向けて漸減させてなる。
これによれば、急傾斜溝のトレッド周方向に対する角度を、緩傾斜溝のそれよりも、その全長にわたって小さくすることにより、急傾斜溝と緩傾斜溝及びショルダー周溝により区画される三角形状の三角ブロックのトレッド周方向長さを、図5に示すような、屈曲点を有する急傾斜溝と、緩傾斜溝とにより区画したほぼ台形状のブロックに較べて長くすることができ、三角ブロックの周方向剛性を高め、高い操縦安定性を得ることができる。また、センター周溝と急傾斜溝および緩傾斜溝とにより区画されるリブのショルダー周溝の近傍に形成される隅部を、リブ高さをショルダー周溝に向けて漸減させるよう面取りすることにより、リブのショルダー周溝に近接する隅部の剛性が低下することを防止して、耐偏摩耗性を高め、操縦安定性を高めることができる。
また、センター周溝とショルダー周溝とを設けることにより、トレッド周方向への排水性能を確保し、急傾斜溝をより滑らかに延在させることにより、急傾斜溝内の排水方向のトレッド接地面内での流線方向のずれを防止することができる。また、急傾斜溝により直進時からコーナリング時までの排水性能を高め、緩傾斜溝により、コーナリング走行時の排水効率をさらに高める効果をもたせ、全ての走行シーンでの排水効率を効率よく高めることができる。
ここで、急傾斜溝および緩傾斜溝のそれぞれをともに中間陸部内で終了させることにより、急傾斜溝および緩傾斜溝をセンター周溝に開口させることに起因する、とくに急傾斜溝とセンター溝とによる鋭角部分画成をなくすことができ、かつ、急傾斜溝および緩傾斜溝とセンター溝との間にトレッド周方向に連続するほぼ鋸歯状のリブを形成することができるので、中間陸部の剛性を高めて、ドライ路面およびウェット路面の双方における操縦安定性を高めることができる。
また、緩傾斜溝は、ウェット路面などの摩擦の低い路面において、エッジ成分として機能し、駆動及び制動性能を高めることができる。
さらに、ショルダー陸部に横溝を設けることにより、旋回走行時における耐ハイドロプレーニング性能を高め、ウェット路面などの摩擦の低い路面において、駆動及び制動性能を高めることができる。
また、急傾斜溝と緩傾斜溝とをともに、ショルダー周溝に開口させることにより、トレッド中央域の水を、ショルダー周溝に効果的に流し込み、さらにショルダー周溝からショルダー陸部に設けた横溝を経て、トレッド幅方向外側へスムーズに排除することができる。
急傾斜溝と緩傾斜溝とはともに、トレッド周方向に対し鋭角をなすことにより、急傾斜溝は主に直進走行時での排水に寄与し、緩傾斜溝は主に旋回走行時での排水に寄与するので、全ての走行シーンにおいて効率的な排水を実現し、より高いウェット排水性能とくには耐ハイドロプレーニング性能を得ることができる。
ここで好ましくは、緩傾斜溝の少なくとも一部を直線状に延在させる。
これにより、緩傾斜溝が排水水流に及ぼす抵抗を減らしてウェット排水性能を高めることができる。
また好ましくは、急傾斜溝を曲線状に延在させるとともに、それのトレッド周方向に対する角度を、下方から上方に向けて徐々に大きくする。
これによれば、急傾斜溝はトレッド中央域ではトレッド周方向に対する角度が小さくなり、排水の流速を高めることができ、タイヤ幅方向外側に向けて徐々に角度を大きくすることにより、ショルダー周溝への水の流れをスムーズなものとすることができるため、排水効率を高めて、ウェット排水性能とくには耐ハイドロプレーニング性能を高めることができる。
また、三角ブロックの急傾斜溝とショルダー周溝とにより区画される三角ブロックの角部の角度を比較的大きなものとすることができるので、三角ブロックの当該角部の剛性を高めて、ドライおよびウェット路面の操縦安定性を高めることができる。
さらに好ましくは、横溝のトレッド周方向の配列ピッチ数を、緩傾斜溝のトレッド周方向の配列ピッチ数の1.5倍以上かつ3.0以下とする。
これによれば、ショルダー陸部に横溝により区画されるブロックを、中間陸部に急傾斜溝および緩傾斜溝により区画されるブロックよりも小さくすることができ、ブロックの路面への衝接力を小さくしてパターンノイズを抑制し、ショルダー陸部の剛性を下げることにより、振動乗り心地性能を高めることができる。また、ショルダー陸部のブロックの周方向長さを短くすることにより、摩耗の進行に伴い、ブロックのヒール部分と、隣接する回転方向後方のブロックのトウ部分との間に発生する高低段差を小さくし、タイヤの外観上の不良を抑制することができる。
横溝の配列ピッチ数を緩傾斜溝の配列ピッチ数の1.5倍未満とすると、上記の作用効果が小さくなり、3.0倍より大きくすると、ショルダー陸部のブロックの剛性が小さくなりすぎて好ましくない。
また好ましくは、緩傾斜溝の前記終端を、中間陸部の、タイヤ赤道面側の縁から中間陸部の幅の3〜50%の範囲に位置させる。
これによればトレッド中央域のウェット排水性能と耐偏摩耗性および操縦安定性能をバランスよく高めることができる。
緩傾斜溝の終端を、中間陸部のタイヤ赤道面側端から中間陸部の幅の3%より小さい範囲に位置させると、センター周溝と急傾斜溝および緩傾斜溝との間に区画される鋸波状のリブの狭窄部分の剛性が小さくなり、耐偏摩耗性および操縦安定性能が低下する。また、緩傾斜溝の終端を、中間陸部のタイヤ赤道面側端から中間陸部の幅の50%より大きい範囲に位置させると、急傾斜溝及び緩傾斜溝によるトレッド中央域の排水効果が小さくなるとともに、三角ブロックが小さくなりすぎて剛性が小さくなりすぎ、操縦安定性能が低下する。
さらに好ましくは、ショルダー周溝の溝幅を、緩傾斜溝のそこへの開口位置から、それの上方側の急傾斜溝のそこへの開口位置までの間で、徐々に狭くする。
これによれば、ショルダー周溝の水をショルダー陸部の横溝にスムーズに流し込み、排水効率を高めて、耐ハイドロプレーニング性能を高めることができる。
また好ましくは、緩傾斜溝のセンター周溝側の終端の近傍部分で、その緩傾斜溝および急傾斜溝のそれぞれの溝底を、その終端に向けて溝深さを漸減する上げ底傾斜面とするとともに、前記リブの、緩傾斜溝の終端位置より下方側部分にその終端と対応する部分で表面高さが最も低く、下方側に向けて高さが漸増する一方、周溝に向けて高さが漸減する、正面視形状がほぼ三角形をなす折れ曲がり傾斜面を設ける。
これによれば、センター周溝と急傾斜溝および緩傾斜溝との間に区画されるリブの剛性を高めて、トレッド中央域の耐偏摩耗性と操縦安定性能を高めることができる。また、中間陸部の表面から急傾斜溝の終端を経由して、急傾斜溝及び緩傾斜溝への水の流し込みをスムーズにすることにより、排水性能を向上することができる。
また、緩傾斜溝の終端からセンター周溝に向けて折れ曲がり傾斜面を形成することにより、センター周溝の溝体積を増やしてウェット排水性能及び耐ハイドロプレーニング性能を高めることができ、かつ、トレッド周方向に連続する折れ曲がり傾斜面がセンター周溝内の空気に積極的に擾乱を与えることにより、センター溝内の気中共鳴音の発生を有効に抑制することができる。
さらに好ましくは、三角ブロックの、センター周溝に近接する隅部の表面高さを、センター周溝に向けて漸減させる面取り傾斜面を設け、この面取り傾斜面を、表面高さの最低位置で前記上げ底傾斜面に連続させる。
これによれば、中間陸部の表面から緩傾斜溝の終端を経由して、急傾斜溝及び緩傾斜溝への水の流し込みをさらにスムーズにすることにより、排水性能を高めて、耐ハイドロプレーニング性能をさらに高めることができる。
また好ましくは、面取り傾斜面の表面高さの最低位置を、前記上げ底傾斜面の高さの中間位置でそれに連続させる。
これによれば、中間陸部の表面から緩傾斜溝の終端を経由して、急傾斜溝及び緩傾斜溝への水の流し込みをさらにスムーズにすることにより、排水性能を高めて、耐ハイドロプレーニング性能をさらに高めることができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面に示すところに基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態を、車両への装着姿勢の正面視で示すトレッドパターンの展開図である。
ここでは、トレッド踏面部1に、タイヤ赤道線Cを隔てて対称に位置して、トレッド周方向に直線状に連続して延在する一対のセンター周溝2を比較的近接させて設け、一対のセンター周溝2間にセンターリブ3を区画するとともに、タイヤ赤道線Cからその両側にトレッド幅Wのほぼ1/4ずつの距離を隔てた位置に、一対のショルダー周溝4を設ける。さらに、ショルダー周溝4とトレッド踏面端との間にショルダー陸部5を区画し、ショルダー陸部5にはショルダー周溝4とトレッド踏面端とを連通する横溝6を設ける。
センター周溝2とショルダー周溝4との間に中間陸部7を区画し、その中間陸部7には、ショルダー周溝4からトレッド周方向に対し鋭角αをなして滑らかに延びセンター周溝2の手前で終了する緩傾斜溝8と、緩傾斜溝8の終端9から全長にわたってトレッド周方向に対して緩傾斜溝8よりも小さい鋭角βをなして滑らかに延び、上方の緩傾斜溝8のショルダー周溝4への開口のわずかに下方側に開口する急傾斜溝10とを設ける。急傾斜溝10は、上方に隣接する緩傾斜溝8のショルダー周溝4への開口位置11のわずかに下方にて開口することにより、急傾斜溝10と緩傾斜溝8とショルダー周溝4とは、トレッド周方向に連続するジグザグ状の溝を形成する。また、緩傾斜溝8と急傾斜溝10およびショルダー周溝4とにより、中間陸部7にほぼ三角形状の三角ブロック12を区画するとともに、センター周溝2と緩傾斜溝8と急傾斜溝10とにより、トレッド周方向に連続する鋸波状のリブ13を区画し、リブ13のショルダー周溝4側の隅部14をその表面高さをショルダー周溝4に向けて漸減させるよう面取りし、その一部をショルダー周溝4内にせりださせる。緩傾斜溝8の終端9のセンター周溝2の側縁からの距離Dは、中間陸部7の幅Bの3〜50%の範囲とし、ここではほぼ10%として、終端9を位置させる。
ここでは急傾斜溝10を曲線状に延在させて、トレッド周方向に対する角度βを、タイヤの車両への装着姿勢の正面視で下方から上方に向けて徐々に大きくする。
また、緩傾斜溝8をほぼ直線状に延在させて、トレッド周方向に対する角度αを、下方から上方に向けてほぼ一定とする。
また、ショルダー陸部5の横溝6のトレッド周方向の配列ピッチ数を、緩傾斜溝8のトレッド周方向の配列ピッチ数の1.5倍以上、ここでは二倍とし、横溝6のショルダー周溝4への開口位置と、緩傾斜溝8のショルダー周溝4への開口位置は、横溝6の二列ごとに一致するように、横溝6と緩傾斜溝8を配置する。これに加えて、リブのショルダー周溝4側に形成される隅部14を、ショルダー周溝4内にせり出させることにより、ショルダー周溝4内の排水をショルダー陸部5の横溝6に誘導して排水効率を高めることができる。
さらに、ショルダー周溝4の溝幅を、緩傾斜溝8のショルダー周溝への開口位置11の近傍での幅Gから急傾斜溝の開口位置の近傍での幅Hへと、徐々に狭くするとともに、当該次の開口位置11近傍の位置にて幅Gに戻し、トレッド周方向において、周期的に変化させる。
図2は、図1のa−a断面、b−b断面、c−c断面を拡大して示す、断面図である。
図1および図2(a)に示すように、緩傾斜溝8および急傾斜溝10の溝底から緩傾斜溝8の終端9に向けて溝深さを漸減させるように溝底を底上げして、タイヤの車両への装着姿勢の正面視形状がほぼ三角形状の上げ底傾斜面15を形成し、図1および図2(b)に示すように、緩傾斜溝8の終端9より下方側部分にその終端と対応する部分で表面高さが最も低く、下方側に向けて高さが漸増する一方、センター周溝2に向けて、高さが漸減するよう、リブ13を面取りして、正面視形状がほぼ三角形状の折れ曲がり傾斜面16を形成する。また、三角ブロックのセンター周溝側の端部分をブロック表面高さを漸減させてほぼ三角形状の面取り傾斜面17を形成し、上げ底傾斜面15の急傾斜溝10及び緩傾斜溝8の溝底との交線Lを、三角ブロックの下方端18よりも上方に位置させて、三角ブロック12の面取り傾斜面17の表面高さの最低位置を、上げ底傾斜面15の高さの中間位置で連続させて、上げ底傾斜面15と面取り傾斜面17とは、図2(c)の断面図及び図3の斜視図に示すような、複合面を形成する。これにより、緩傾斜溝8の終端9から急傾斜溝10および緩傾斜溝8への排水をよりスムーズなものとすることができる。ここでは、上げ底傾斜面15と、折れ曲がり傾斜面16および面取り傾斜面17は、平坦面としているが、凸曲面形状とすることも出来る。
さらに、三角ブロック12のショルダー周溝4に面する上方端19と下方端20にも面取りを施し、三角ブロック12の剛性を高めている。
これらのことにより、三角ブロック及びリブの各部剛性を高め、耐偏摩耗性を向上し、ドライ及びウェット走行時の操縦安定性を高めることができる。また、トレッド周方向に対して異なる角度を有する急傾斜溝と緩傾斜溝とを組み合わせて設けることにより、より優れたウェット排水性能とくには耐ハイドロプレーニング性能を得ることができる。
以下に、本発明に係るタイヤの、耐ハイドロプレーニング性能、操縦安定性能に関する実施例について説明する。
供試タイヤとして、サイズがPSR205/55 R16で、一種類の実施例タイヤと、二種類の比較例タイヤを用意した。実施例タイヤ1は図1に示したトレッドパターンと、表1に示す寸法諸元を有するものとした。
また、比較例タイヤ1は図5に示したトレッドパターンを有し、表2に示す寸法諸元を有するものとし、比較例タイヤ2は図4に示したトレッドパターンを有し、表1に示す寸法諸元を有するものとした。なお、表1に示す符号は、図1、4中の符号と対応するものとし、図4に示すトレッドパターンは、図1に示すトレッドパターンのリブ13のショルダー周溝4に面する端部分14の面取りをしない形状のものである。
Figure 2005053365
Figure 2005053365
供試タイヤのJATMAに規定される標準リムにリム組すると共に、充填空気圧を230kPaとし、2名乗車に相当する荷重を付加した状態で実車走行を行い、直線時の耐ハイドロプレーニング性能は、水深5mmのウェット路面を直線走行によって通過するときの、ハイドロプレーニング現象の発生限界速度をフィーリング評価することにより求め、曲線時の耐ハイドロプレーニング性能は、水深5mmの半径80mのウェット路面を走行によって通過するときの、ハイドロプレーニング現象の発生限界横Gをフィーリング評価することにより求め、そして操縦安定性能は、ドライ及びウェット条件のサーキットコースを、各種の走行モードでスポーツ走行したときの、テストドライバーのフィーリング評価によって求め、その結果を表3に指数をもって示す。なお、表3中の指数値は大きいほど優れた結果を示すものとした。
Figure 2005053365
表2に示すところによれば、実施例タイヤ1は、耐ハイドロプレーニング性能、操縦安定性能全ての測定項目において、従来の比較例タイヤ1および2の性能を上回っていることが分かる。
比較例タイヤ1と比較例タイヤ2とを比較すると、比較例タイヤ2では、比較例タイヤに較べ耐ハイドロプレーニング性能は高められているものの、リブのショルダー周溝側に面する隅部を面取りしないことにより、ブロックの剛性が低下し、ドライおよびウェット操縦安定性が低下していることが分かる。
この発明の実施の形態を示すトレッドパターンの展開図である。 図1の部分拡大断面図である。 図1の部分拡大斜視図である。 従来のトレッドパターンの展開図である。 従来のトレッドパターンの展開図である。
符号の説明
1 トレッド踏面部
2 センター周溝
3 センターリブ
4 ショルダー周溝
5 ショルダー陸部
6 横溝
7 中間陸部
8 緩傾斜溝
9 終端
10 急傾斜溝
11 開口位置
12 三角ブロック
13 リブ
14 隅部
15 上げ底傾斜面
16 折れ曲がり傾斜面
17 面取り傾斜面
18 下方端
19 上方端
20 下方端
21 開口位置
22 開口位置
23 テーパ面

Claims (9)

  1. トレッド踏面部に、タイヤ赤道線を隔てて位置してトレッド周方向に連続して延びる一対のセンター周溝を形成して、それらの間にセンターリブを区画し、各センター周溝とトレッド踏面端との間に、トレッド周方向に連続して延びる一対のショルダー周溝を形成して、ショルダー周溝とセンター周溝との間に中間陸部を、ショルダー周溝とトレッド踏面端との間にショルダー陸部をそれぞれ区画し、それぞれの中間陸部に、タイヤの車両への装着姿勢の正面視で、上方に向けて相互に離隔する方向に延在してショルダー周溝に開口するそれぞれの緩傾斜溝をトレッド周方向に間隔をおいて形成し、ショルダー陸部に、ショルダー周溝とトレッド踏面端とに開口するそれぞれの横溝をトレッド周方向に間隔をおいて形成してなる空気入りタイヤであって、
    各緩傾斜溝のセンター側端を中間陸部内で終了させるとともに、緩傾斜溝のその終端から全長にわたって、周方向に対して緩傾斜溝より小さい角度でショルダー周溝側へ延在して、上方側に隣接する緩傾斜溝のショルダー周溝への開口と重なる位置で、または、その開口よりわずかに下方側でショルダー周溝に開口する急傾斜溝を形成して、これらの両傾斜溝により中間陸部に、三角ブロックとリブとのそれぞれを区画し、そのリブの、ショルダー周溝の近傍に形成される隅部の表面高さをショルダー周溝に向けて漸減させてなる空気入りタイヤ。
  2. 緩傾斜溝の少なくとも一部を直線状に延在させる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 急傾斜溝を曲線状に延在させるとともに、それの、トレッド周方向に対する角度を、下方から上方に向けて徐々に大きくしてなる請求項1もしくは2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 横溝のトレッド周方向の配列ピッチ数を、緩傾斜溝のトレッド周方向の配列ピッチ数の1.5倍以上かつ3.0以下としてなる請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 緩傾斜溝の前記終端を、中間陸部の、タイヤ赤道面側の縁から中間陸部の幅の3〜50%の範囲に位置させてなる請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. ショルダー周溝の溝幅を、緩傾斜溝のそこへの開口位置から、それの上方側の急傾斜溝のそこへの開口位置までの間で、徐々に狭くしてなる請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 緩傾斜溝の前記終端の近傍部分で、その緩傾斜溝および急傾斜溝のそれぞれの溝底を、その終端に向けて溝深さを漸減する上げ底傾斜面とするとともに、前記リブの、緩傾斜溝の終端位置より下方側部分にその終端と対応する部分で表面高さが最も低く、下方側に向けて高さが漸増する一方、周溝に向けて高さが漸減する、正面視形状がほぼ三角形をなす折れ曲がり傾斜面を設けてなる請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 三角ブロックの、センター周溝に近接する隅部の表面高さを、センター周溝に向けて漸減させる面取り傾斜面を設け、この面取り傾斜面を、表面高さの最低位置で前記上げ底傾斜面に連続させてなる請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 面取り傾斜面の表面高さの最低位置を、前記上げ底傾斜面の高さの中間位置でそれに連続させてなる請求項8に記載の空気入りタイヤ。
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