JP2005043532A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光沢メモリの発生を防止した定着装置、及び画像品質の高い画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーを転写材上に熱定着させる定着装置であって、トナーを転写材上に熱定着させる定着回転体と、前記定着回転体に接触する清掃回転体と、前記清掃回転体に接触する清掃部材と、を有し、前記トナーはワックスを含有し、前記清掃回転体は前記定着回転体と接触する部分の表面粗さＲｚが１．６μｍ以下であり、前記定着回転体と前記清掃回転体との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高く、前記清掃回転体と前記清掃部材との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高いことを特徴とする定着装置。
【選択図】 図２
【解決手段】トナーを転写材上に熱定着させる定着装置であって、トナーを転写材上に熱定着させる定着回転体と、前記定着回転体に接触する清掃回転体と、前記清掃回転体に接触する清掃部材と、を有し、前記トナーはワックスを含有し、前記清掃回転体は前記定着回転体と接触する部分の表面粗さＲｚが１．６μｍ以下であり、前記定着回転体と前記清掃回転体との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高く、前記清掃回転体と前記清掃部材との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高いことを特徴とする定着装置。
【選択図】 図２
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等の画像形成装置で用いられる定着装置、及び該定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
通常、電子写真法等の画像形成装置に用いられる定着装置は、例えば定着ローラと加圧ローラによって定着ニップ部を形成し、この定着ニップ部でトナーを担持した転写材の定着を行っている。
【０００３】
従来、この定着の際に定着ローラ表面にトナーが付着してしまうオフセットが発生したり定着ローラへのトナーを担持した紙の巻き付きが起こり、これにより画像品質や通紙性能を低下させてしまうという問題が発生していたが、例えば定着ローラ表面にシリコーンオイルを塗布することで、オフセットの発生や紙巻き付きを抑えるという技術が用いられていた。
【０００４】
しかしながら、従来の定着ローラにシリコーンオイルを用いるという技術では、定着ローラのシリコーンオイルが転写紙に付着してしまい、シリコーンオイル付着によるべたつき感が避けられず、得られた画像の品質に大きな問題が残されている。また、シリコーンオイルは高価であるのに加え、装置内にシリコーンオイルを定着装置に供給する機構を設ける必要もある。さらに、シリコーンオイルが熱によりその一部が蒸発し、機内を汚染したりしてしまう課題もある。
【０００５】
そこで、従来のように定着ローラにシリコーンオイルなどの使用をなるべく抑え、替わりにワックスを添加したトナーを用いることで、加熱時にトナー中から溶解したワックスが定着ローラに供給され、オフセットの発生や紙巻き付きを抑えるという技術が開示されている（例えば特許文献１参照）。
【０００６】
【特許文献１】
特開平３−１８５４５９号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
このようにワックスを添加したトナーを用いて定着を行うことにより、シリコーンオイルの使用を抑えて、オフセットの発生や紙巻き付きを抑えることができる。
【０００８】
しかしながら、トナーから定着ローラにしみ出たワックスの一部が定着ローラに付着してしまい、定着ローラ上にワックスによる潜像が形成され、この状態で次の定着を行った際に、画像表面に存在するワックス量が異なるようになるために定着ローラ上のワックス潜像に起因する光沢ムラやＯＨＴに対しては透過ムラといった現象（以下、光沢メモリともいう）が発生してしまうという問題が生じている。光沢メモリは、特に、均一なベタ画像のときに顕著に目立ち、転写紙やＯＨＴ上にワックス潜像の光沢ムラや透過ムラを形成してしまうことで画像品質を低下させてしまっている。
【０００９】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、光沢メモリの発生を防止した定着装置、及び画像品質の高い画像形成装置を提供することである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成された。
【００１１】
（１） トナーを転写材上に熱定着させる定着装置であって、トナーを転写材上に熱定着させる定着回転体と、前記定着回転体に接触する清掃回転体と、前記清掃回転体に接触する清掃部材と、を有し、前記トナーはワックスを含有し、前記清掃回転体は前記定着回転体と接触する部分の表面粗さＲｚが１．６μｍ以下であり、前記定着回転体と前記清掃回転体との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高く、前記清掃回転体と前記清掃部材との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高いことを特徴とする定着装置。
【００１２】
（２） 前記トナーの前記ワックスの含有率が７〜２３質量％であることを特徴とする（１）に記載の定着装置。
【００１３】
（３） 前記ワックスの融点が７５〜１１０℃であることを特徴とする（１）又は（２）に記載の定着装置。
【００１４】
（４） 前記定着回転体と接触する前記清掃回転体表面の前記ワックスに対するワックスの融点以上で２３０℃以下の領域内での所定温度Ｔ（℃）での接触角をＡ（°）、前記清掃回転体と接触する前記定着回転体表面の前記ワックスに対する前記所定温度Ｔ（℃）での接触角をＢ（°）としたときに、Ａ＜Ｂであることを特徴とする（１）〜（３）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１５】
（５） 前記定着回転体が０．２ｍｍ以上の耐熱弾性層を有し、前記清掃回転体は前記定着回転体と接触する部分のビッカース表面硬さが３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上であり、前記清掃回転体は２〜１０ｋｇｆの荷重で前記定着回転体に圧接していることを特徴とする（１）〜（４）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１６】
（６） 前記定着回転体の最表面にＰＦＡ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰのいずれかのフッ素樹脂を含有するトナー離型層を有することを特徴とする（１）〜（５）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１７】
（７） 前記清掃部材が芳香族ポリアミド繊維及び又はポリエステル繊維を含有する不織布であることを特徴とする（１）〜（６）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１８】
（８） 前記清掃部材がシート状の清掃部材であり、該シート状の清掃部材を移動させる清掃部材移動手段を有することを特徴とする（１）〜（７）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１９】
（９） 前記定着回転体にシリコーンオイルを塗布しないことを特徴とする（１）〜（８）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００２０】
（１０） 前記清掃部材がシリコーンオイルを含浸しないことを特徴とする（１）〜（９）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００２１】
（１１） （１）〜（１０）のいずれか１項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【００２２】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、トナーを転写材上に熱定着させる定着装置において、トナーを転写材上に熱定着させる定着回転体と、定着回転体の表面に接触する清掃回転体と、清掃回転体に接触する清掃部材とを有し、トナーにはワックスを含有させ、清掃回転体の定着回転体と接触する部分の表面粗さＲｚを１．６μｍ以下として、定着回転体と清掃回転体との接触部分での温度がワックスの融点より高く、清掃回転体と清掃部材との接触部分での温度がワックスの融点より高くしておくことで、光沢メモリの発生を抑えて高品位な画像形成を行うことができる定着装置とすることができた。
【００２３】
即ち、定着回転体に付着したワックスは、清掃回転体との接触部分が融点より高い温度であることからワックスが溶解した状態となり、この溶解したワックスが表面粗さ１．６μｍ以下である清掃回転体によって効率よくふき取られる。
【００２４】
また、ふき取りによって清掃回転体に付着したワックスは、清掃部材との接触部分が融点より高い温度であることから、同様にワックスが溶解した状態となり、この溶解したワックスが清掃部材によってふき取られる。このようにして定着回転体に付着したワックスを効率よく取り除くことができ、光沢メモリの発生を抑えることができる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下にその実施の形態を、図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【００２６】
図１は本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
図１に示すように、この画像形成装置１は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成ユニット９Ｙ、９Ｍ、９Ｃ、９Ｋと、ベルト状の中間転写体６と給紙手段と搬送手段とトナーカートリッジ５Ｙ、５Ｍ、５Ｃ、５Ｋ、本発明である定着装置１０、及び操作部９１等から構成されている。
【００２７】
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット９Ｙは、像担持体（以下、感光体と称す）１Ｙの周囲に配置された帯電手段２Ｙ、露光手段３Ｙ、現像装置４Ｙ、転写手段７Ｙ、クリーニング手段８Ｙを有する。
【００２８】
マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット９Ｍは、感光体１Ｍ、帯電手段２Ｍ、露光手段３Ｍ、現像装置４Ｍ、転写手段７Ｍ、クリーニング手段８Ｍを有する。
【００２９】
シアン色の画像を形成する画像形成ユニット９Ｃは、感光体１Ｃ、帯電手段２Ｃ、露光手段３Ｃ、現像装置４Ｃ、転写手段７Ｃ、クリーニング手段８Ｃを有する。
【００３０】
黒色画像を形成する画像形成ユニット９Ｋは、感光体１Ｋ、帯電手段２Ｋ、露光手段３Ｋ、現像装置４Ｋ、転写手段７Ｋ、クリーニング手段８Ｋを有する。
【００３１】
中間転写体６は、複数のローラ６Ａ、６Ｂ、６Ｃに巻回され、回動可能に支持されている。
【００３２】
画像形成ユニット９Ｙ、９Ｍ、９Ｃ、９Ｋより形成された各色の画像は、回動する中間転写体６上に転写手段７Ｙ、７Ｍ、７Ｃ、７Ｋにより逐次１次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【００３３】
給紙手段である給紙カセット２０内に収容された用紙Ｐは、給紙ローラ２１により一枚ずつ給紙され、レジストローラ２２を経て、転写手段７Ａに搬送され、用紙Ｐ上に前記カラー画像が２次転写される。
【００３４】
カラー画像が転写された前記用紙Ｐは、本発明の定着装置である定着装置１０により定着処理され、搬送手段である搬送ローラ２３、２４を経て、排紙ローラ２５に挟持されて機外の排紙トレイ２６上に載置される。
【００３５】
図２は、本発明の定着装置を詳しく説明するための定着装置１０の概略断面図である。
【００３６】
図２に示すように、本発明の定着装置である定着装置１０は、本発明に係る定着回転体である加熱定着ローラ１０１を有している。さらに定着装置１０は、本発明に係る清掃回転体である清掃ローラ１０３と、本発明に係る清掃部材である清掃ウェブ１０４を有しており、これらで加熱定着ローラ１０１に付着したワックスを取り除く。
【００３７】
加熱定着ローラ１０１は加圧回転体であり加熱定着ローラ１０１に圧接する加圧ローラ１０２とで定着ニッブ部Ｎを形成し、この定着ニップ部Ｎにトナーｔを有した転写材Ｐを通過させ熱定着を行っている。このニップ部Ｎでの熱定着によって、トナーｔは溶融し転写材Ｐ上に定着される。この際、トナーｔ中に分散含有されるワックスが溶解して加熱定着ローラ１０１と溶融したトナー樹脂の界面に所定量以上存在するようになるために、トナー樹脂と加熱定着ローラ１０１の接着力が下がり、オフセットや転写材の巻き付きが抑制されるとともに、ワックスの一部は加熱定着ローラ１０１に付着する。
【００３８】
加熱定着ローラ１０１は、加熱源であるハロゲンヒータ１６１を内包するアルミニウム円筒芯金１０５に厚さ１．５ｍｍのシリコーンゴムの耐熱弾性層１０６を形成し、さらに１層ないし３層の接着層を介してその上の最表面に厚さ３０μｍのＰＦＡ樹脂のトナー離型層１０７を、ディスパージョン状態のＰＦＡ樹脂を塗布焼成することにより、形成させたものであり、図示しないモータにより回転駆動される。また、加熱定着ローラ１０１には、ＰＦＡ樹脂のトナー離型層１０７として、チューブとして成型されたＰＦＡチューブを耐熱弾性層１０６の上に接着層等を介して被覆してもよい。
【００３９】
加圧ローラ１０２は、アルミニウム円筒芯金１０８に厚さ１．０ｍｍのシリコーンゴムの耐熱弾性層１０９を形成し、さらに１層ないし３層の接着層を介してその上の最表面に厚さ３０μｍのＰＦＡ樹脂のトナー離型層１１０を形成させたものであり、加熱定着ローラ１０１とで、トナー像ｔを有する転写紙Ｐを圧着して、加圧しながら従動回転する。トナー離型層１１０は前述したトナー離型層１０７と同様な方法にて形成される。
【００４０】
トナー離型層１０７には、フッ素樹脂を含有する材料を用いることが好ましい。フッ素樹脂としてより好ましいのは、ＰＦＡ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰのいずれかを含有する材料であり、最も好ましくは、ＰＦＡ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰのいずれかである。これにより、トナー樹脂やトナー粒子に含まれるワックスに対する加熱定着ローラ１０１表面の離型性も向上し、定着時にトナーが加熱定着ローラ１０１表面につきにくくなるとともに、加熱定着ローラ１０１表面にワックスがつきにくくなり、加熱定着ローラ１０１表面にワックスが付着したとしてもより清掃ローラ１０３によるワックスの除去効果を向上させることができ、光沢メモリをより一層抑えることができる。
【００４１】
加熱定着ローラ１０１のトナー離型層１０７の厚さは２０〜５０μｍであることが好ましい。２０μｍ以上とすることで、均一なフッ素樹脂の層を形成しやすくなる。また、５０μｍ以下とすることで、加熱定着ローラ１０１表面がトナー像ｔを担持する転写紙Ｐの表面凹凸にならい易くすることができ、画像劣化を抑えることができる。また、５０μｍ以下の領域では、加熱定着ローラ１０１表面が清掃ローラ１０３表面にならい易くなることにより清掃ローラ１０３によるワックスの除去効果を一層向上させることができる。
【００４２】
清掃ローラ１０３は、アルミニウム円筒芯金に硬質陽極化処理を行ってアルミナ被膜を形成し、さらにテトラチオモリブデン酸アンモニウム溶液中で二次電解して被膜中の超微細ポアー内に二硫化モリブデンを析出させてから表面を研磨したものであり、表面粗さＲｚを１．６μｍ以下とし、ビッカース表面硬さが３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上である。また、この清掃ローラ１０３のアルミニウム円筒の内側にハロゲンヒータを設置して、外部加熱ローラとしての役目も兼ねることが可能である。
【００４３】
清掃ローラ１０３の加熱定着ローラ１０１と接触する部分の材料には、表面粗さＲｚが１．６μｍ以下のもので加熱定着ローラ１０１の表面温度に対する耐熱性があればどのようなものを用いてもよい。上述したもの以外でも、例えば、アルミニウム円筒芯金に、Ａｓｋｅｒ−Ｃ（５００ｇｆ 荷重）硬度で１５〜５０°となるように発泡シリコーンゴムを３〜８ｍｍ程度の厚さで成型し、さらにその上に接着層等を介して５０〜８０μｍ程度の厚みを持ち表面粗さＲｚを１．６μｍ以下となるように成型されたポリイミドシームレスチューブを被覆したものを用いてもよい。
【００４４】
本発明において表面粗さＲｚは、ＪＩＳＢ０６０１−１９８２に記載の基準長０．８ｍｍの値を意味する。即ち、基準長０．８ｍｍの距離間で上位から５つの山頂の平均高さと、下位から５つの谷底の平均低さとの差である。
【００４５】
清掃ローラ１０３の表面粗さＲｚは、１．０μｍ以下であることが特に好ましい。加熱定着ローラ１０１上においてワックスの融点以上の温度が保たれている場合は、ワックスは液状であり、通常高さは約１μｍ以下となることから、表面粗さＲｚを上記のような小さい値にすることにより、より一層ワックスと清掃ローラ１０３の接触が確実になるため、加熱定着ローラ１０１に付着したワックスをより一層効率よくふき取ることができる。
【００４６】
清掃ローラ１０３は、加熱定着ローラ１０１と２〜１０ｋｇｆの荷重で接触しており、ハロゲンヒータ１６１を調整して、この接触部分での温度がトナー中に含有されるワックスの融点より高くなるようにしている。これにより、加熱定着ローラ１０１上に付着したワックスが溶解した状態で清掃ローラ１０３によってふき取られるようになり、加熱定着ローラ１０１からのワックス除去効率が向上して光沢メモリを抑えることができる。
【００４７】
清掃ローラ１０３と加熱定着ローラ１０１との接触部分は画像形成に用いられる転写材Ｐの最大用紙幅以上であることが好ましい。また、清掃ウェブ１０４と清掃ローラ１０３との接触部分も画像形成に用いられる転写材Ｐの最大用紙幅以上であることが好ましい。これによりどのような紙に対しても光沢メモリをなくすことができる。
【００４８】
また、清掃ローラ１０３は、清掃ウェブ１０４とも接触しており、ハロゲンヒータ１６１により加熱された加熱定着ローラ１０１からの熱によって、清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４の接触部分での温度がトナー中に含有されるワックスの融点より高くなっている。これにより、加熱定着ローラ１０１に付着したワックスをふき取ったことで清掃ローラ１０３に付着したワックスが、溶解した状態で清掃ウェブ１０４によってふき取られるようになり、清掃ローラ１０３からのワックス除去効率を向上させることができる。トナーに含有されるワックスの融点は通常１１０℃以下程度と低く、また、加熱定着ローラ１０１は常にハロゲンヒータ１６１から熱供給を受け表面温度が通常約１６０℃以上に保持され、さらに、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラ１０３とが接触回転することから、清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４の接触部分での温度もワックスの融点よりも高くなるのである。
【００４９】
例えば、アルミニウム円筒芯金にアルミナ被膜を形成し研磨した清掃ローラ１０３においては、芯金の熱伝導性が良好なために加熱定着ローラ１０１との接触により表面温度はすぐに上昇する。アルミニウム円筒芯金の肉厚は撓みなどが発生しない範囲において薄い方が表面温度をすぐに上昇できるため良く、０．８〜２ｍｍ程度が好ましい。また、発泡シリコーンゴム表面にポリイミドチューブを被服したような清掃ローラ１０３の場合も、発泡シリコーンゴムの熱伝導性が悪いために加熱定着ローラ１０１との接触回転により表面温度はすぐに上昇する。
【００５０】
加熱定着ローラ１０１、清掃ローラ１０３はウォームアップ時に回転する期間が設けられて要ることが好ましく、これにより、清掃ローラ１０３は画像形成装置立ち上げ直後でも十分な高温度にすること可能である。
【００５１】
加熱定着ローラ１０１と接触する清掃ローラ１０３の表面部分のトナーに含有されるワックスに対する融点以上２３０℃以下における所定温度Ｔ（℃）における接触角をＡとし、清掃ローラ１０３と接触する加熱定着ローラ１０１の表面部分のトナーに含有されるワックスに対する前記所定温度Ｔ（℃）における接触角をＢとしたときに、Ａ＜Ｂであることが好ましい。このようにすることで、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラ１０３の接触部分で、加熱定着ローラ１０１に付着した融点以上となったワックスが、加熱定着ローラ１０１から清掃ローラ１０３に移動しやすくなり、加熱定着ローラ１０１からのワックス除去効率がより一層向上して光沢メモリをより一層抑えることができる。上述した接触角の大小関係が維持される必要のある温度領域は、ワックスの融点以上で、かつ定着回転体表面の正常使用状態での最高温度（定着回転体表面のフッ素樹脂が十分耐久性のある温度）以下である。
【００５２】
本発明では、加熱定着ローラ１０１の耐熱弾性層１０６の厚さが０．２ｍｍ以上であり、さらに、清掃ローラ１０３は加熱定着ローラ１０１と接触する部分のビッカース表面硬さが３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上であり、清掃ローラ１０３は２〜１０ｋｇｆの荷重で加熱定着ローラ１０１に圧接していることが好ましい。加熱定着ローラ１０１の耐熱弾性層１０６の厚さを０．２ｍｍ以上とすることにより、加熱ローラ表面がトナー像ｔを担持する転写紙Ｐの表面凹凸にならい易くなり画質が良好になるばかりでなく、清掃ローラ１０３が硬いものであっても清掃ローラ１０３と加熱定着ローラ１０１の接触が安定し、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラ１０３との接触部分で加熱定着ローラ１０１に付着したワックスが加熱定着ローラ１０１から清掃ローラ１０３に移動しやすくなり、加熱定着ローラ１０１からのワックス除去効率がより一層向上して光沢メモリをより一層抑えることができる。
【００５３】
また、ビッカース硬度を３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上とすることにより、清掃ローラ１０３が当接する清掃ウェブ１０４や付着する紙粉により磨耗して磨耗粉が発生したり、清掃ローラの表面粗さが粗くなることを抑えることができるため、清掃ローラ１０３の清掃効果を維持することができる。
【００５４】
清掃ローラ１０３は２〜１０ｋｇｆの荷重で加熱定着ローラ１０１に圧接していることにより、清掃ローラ１０３と加熱定着ローラ１０１とｍｐ接触が安定し、清掃ウェブ１０４が接触していても清掃ローラ１０３が加熱定着ローラ１０１に安定して従動することができて、かつ加熱定着ローラ１０１の耐熱弾性層にダメージを与えない。
【００５５】
ビッカース表面硬さはＪＩＳ Ｚ ２２５１の微小硬さ試験法に則り測定することができる硬度とする。具体的には、対面角が１３６度のダイヤモンド正四角錐の圧子を用い、試験面に窪みをつけた時の荷重Ｆ（ｋｇｆ）を、窪みの対角線長さｄ（ｍｍ）から求めた表面積で除した商をいい、
表面硬さ（Ｈｖ）＝１．８５４４Ｆ／ｄ２
（但し、ｄは窪みの対角線長さの平均（ｍｍ）である。）
で算出できる。本発明においてはＭＶＫ−Ｈ１００（（株）アカシ製）を用いて、２３℃、５０％ＲＨの環境で測定した値としている。
【００５６】
清掃ウェブ１０４は、シート状であり、芳香族ポリアミド繊維とポリエステル繊維とを重量比６：４で合わせて厚み７０μｍ目付け量２７ｇ／ｍ２とした不織布である。清掃ウェブ１０４には、芳香族ポリアミド繊維とポリエステル繊維とを重量比４：６で合わせて厚み４６μｍ目付け量２７ｇ／ｍ２とした不織布を用いてもよい。
【００５７】
例えば清掃ウェブ１０４を用いない場合、ワックスが清掃ローラ１０３上に蓄積したり、加熱定着ローラ１０１に微小ながらオフセットしているトナーや紙粉が蓄積することにより、徐々に清掃ローラ１０３のワックスの清掃能力が低下してしまうが、清掃ウェブ１０４を設けることによって、清掃ローラ１０３に付着したトナーや紙粉、ワックスをより効率よくふき取ることができるので清掃効果を維持向上させることができる。
【００５８】
清掃ウェブ１０４には、清掃ローラ１０３から融点以上のワックスをふき取ることができる材料であればどのような材料を用いてもよいが、耐熱性の観点から芳香族ポリアミド繊維又はポリエステル繊維を含有する不織布を用いるのが好ましい。
【００５９】
清掃ウェブ１０４は、本発明に係る清掃部材移動手段である元巻き側１１２Ａと巻き取り側１１２Ｂの間に張力を持って張り巡らせ、清掃ウェブ１０４に清掃ローラ１０３が当接するように配置され、駆動モータ（図示せず）を使用してシート状の清掃ウェブの巻き取り側１１２Ｂの軸を所定角度回転させて、清掃ウェブ１０４を移動させている。これにより、清掃ウェブ１０４で清掃ローラ１０３の清掃を行って汚れた部分を移動させ、清掃ウェブ１０４と清掃ローラ１０３の接触部にトナーや紙粉、ワックスが多量に蓄積しないようにして清掃ローラ１０３の清掃を行うことができ、より一層光沢メモリの発生を抑えることができる。清掃ウェブ１０４の移動量は、０．０２〜０．０５ｍｍ／ｃｏｐｙ（Ａ３用紙）の範囲の中の一定値としておくのが効率的で好ましい。０．０２ｍｍ／ｃｏｐｙ以上とすることで、清掃ローラ１０３の清掃が十分行われ、０．０５ｍｍ／ｃｏｐｙ以下とすることで清掃ウェブ１０４の長さを必要以上に長くする必要がなく、スペースやコストの面から好ましい。
【００６０】
清掃ウェブ１０４の移動量は、清掃ウェブ駆動モータの駆動時間を、新しい清掃ウェブ１０４を取り付けた状態からの清掃ウェブ駆動モータの駆動累積時間を関数とした式で計算される値にすることにより一定値に制御することが可能である。
【００６１】
加熱定着ローラ１０１には、シリコーンオイルを塗布していない。このようにすることで、画像品質をより一層向上させ、コスト削減も図ることができる。
【００６２】
また、清掃ウェブ１０４にもシリコーンオイルを含浸していない。これにより、画像品質をより一層向上させ、コスト削減も図れる。
【００６３】
また、トナー像ｔからしみだしたワックスが加圧ローラ１０３にも接触してしまう場合もあるので、図３に示すように、加圧ローラ１０２に接触する清掃ローラ１０３と、該清掃ローラ１０３に接触する清掃ウェブ１０４を設け、加圧ローラ１０２のワックス除去を行うようにしてもよい。尚、図３以降の説明においては、図２の説明で説明された用語と同じものの説明及びそれに関連する説明について省略されている場合があるが、特に説明がない限りは図２の説明と同じである。
【００６４】
次に、図４に本発明の定着装置の他の一例の概略図を示す。
図４に示す定着装置は、本発明に係る定着回転体である定着ベルト１２１を、上加圧ローラ１２２と、支持加熱ローラ１２３とで支持しており、支持加熱ローラ１２３を図示しないモータにより回転駆動して定着ベルト１２１を回転させている。定着ベルト１２１は支持加熱ローラ１２３で加熱されている。
【００６５】
図４に示す定着装置は、支持加圧ローラ１２２と支持加熱ローラ１２３とで支持された定着ベルト１２１と下加圧ローラ１２４とでニップ部Ｎを形成して、この定着ニップ部Ｎにトナーｔを有した転写材Ｐを通過させ熱定着を行っている。
【００６６】
また、定着ベルト１２１に接触して、内部にハロゲンヒータ１６２を有する前述した清掃ローラ１０３が設けられ、さらに、清掃ローラ１０３に接触して清掃ウェブ１０４が設けられている。
【００６７】
本発明は、図４に示すように、本発明に係る定着回転体が定着ベルト１２１であるような場合であっても、定着ベルト１２１と清掃ローラ１０３との接触部分の温度と清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４との接触部分の温度とを、使用するトナーに含有されるワックスの融点より高くして、表面粗さ１．６μｍ以下である清掃ローラ１０３で定着ベルト１２１上のワックスを溶解状態でふき取り、さらに、清掃ローラ１０３に付着したワックスを清掃ウェブ１０４を溶解状態でふき取るようにすることで、光沢メモリの発生を抑えることができる。
【００６８】
図４に示す定着装置では、支持加熱ローラ１２３のハロゲンヒータ１６１と清掃ローラ１０３のハロゲンヒータ１６２とを使用して、定着ベルト１２１と清掃ローラ１０３との接触部分の温度と、清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４との接触部分の温度がワックスの融点より高くなるように調整している。このように、清掃ローラ１０３と支持加熱ローラ１２３との位置が離れてしまっているような場合は、熱源として清掃ローラ１０３にさらにハロゲンヒータ１６２を設けて清掃ローラ１０３の加熱を行うことで、それぞれの接触部分の温度調節を容易に行うことができる。
【００６９】
また、図５に示すように、清掃ローラ１０３が定着ベルト１２１を介して支持加熱ローラ１２３と接しているような装置構成であるような場合は、支持加熱ローラ１２３のハロゲンヒータ１６１のみでも、定着ベルト１２１と清掃ローラ１０３との接触部分の温度と清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４との接触部分の温度とをワックスの融点より高くなるように容易に調整することができるので、清掃ローラ１０３にハロゲンヒータ１６２を設ける必要がなくなる。
【００７０】
本発明に用いられるトナーはワックスを含有していれば、従来公知のトナーを用いることができる。
【００７１】
本発明において、ワックスには、例えば、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、これらの変性物（例えば、酸化物やグラフと処理物）、高級脂肪酸、およびその金属塩、アミドワックス、エステル系ワックス等の従来公知のワックスを用いることができるが、例えば高級脂肪酸エステルワックスを用いるのが好ましい。これにより、定着ニップ部でのトナー画像部からのワックスのしみ出しを良好にしオフセットや紙巻き込みの発生をより一層抑えることができるのに加え、清掃ローラ１０３でのワックスふき取りが良好になるためより一層光沢メモリを防止することができる。
【００７２】
本発明に係るトナーのワックスの含有率は７〜２３質量％であることが好ましい。ワックスの含有率を７質量％以上とすることで、定着ニップ部でのトナー画像からのワックスしみ出しが十分となりオフセットや紙巻き込みの発生をより一層抑えることができる。一方、ワックスの含有率が２３質量％以下とすることで、加熱定着ローラ１０１への余分なワックス付着をより一層抑えることができる。
【００７３】
ワックスの含有量を調整することが容易であるトナーとして重合トナーが挙げられる。本発明で用いられるトナーは重合トナーを用いることでワックスの含有量を容易に調整することができるので好ましい。
【００７４】
本発明に係るトナーに含有されるワックスの融点は７５〜１１０℃であることが好ましい。これにより、定着ニップ部でのトナー画像からのワックスしみ出しや、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラ１０３の接触部でワックスの溶解がスムーズに行われるため、オフセットや紙巻き込みの発生をより一層抑えることができるのに加え、清掃ローラ１０３でのワックスふき取りが良好になるためより一層光沢メモリを防止することができる。
【００７５】
【実施例】
実施例１ トナー１の調整
トナーは、ワックスの含有量が７〜２３質量％に調整されたもので、カラー複合機Ｋｏｎｉｃａ９３３１用トナーを使用した。このトナーは特願２００３−１４６００７に詳細記載されている乳化重合法による重合トナーである。使用したトナーの軟化点はワックス含有量が約１３質量％の際に約１２０℃であり、トナー中に含有するワックスは高級脂肪酸エステルワックスであり、その融点は約８０℃である。ここで、軟化点とは、高化式フローテスターを用いて測定された温度をいう。また、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法（ＤＳＣ）に於ける昇温時のＤＳＣカーブにおいて、最大の吸熱を示すピークの頂点の温度をいう。
【００７６】
実施例２ 画像試料１〜７の作製
図１、２に示す画像形成装置を用い、さらに清掃ローラ１０３として表１に示す清掃ローラを用いて、実施例１で準備したトナー１とコニカカラーペーパ８１．４ｇ／ｍ２紙（Ａ４サイズ）を使用して、紙上のトナー付着量が１色当たり約０．４〜０．５ｍｇ／ｃｍ２となるようにしてフルカラー画像を形成していき、連続１０１枚の画像試料の画像形成を転写紙Ｐの搬送速度３水準条件で行い、それぞれ２枚目以降の合計３００枚の画像試料１〜７を作製した。
【００７７】
なお、図２に示す定着装置１０の加熱定着ローラ１０１、加圧ローラ１０２には下記のものを用いている。
【００７８】
加熱定着ローラ１０１：アルミニウムＡ５０５６円筒芯金に、熱伝導率０．５０Ｗ／ｍ・ＫでＪＩＳ−Ａ硬度１０°のシリコーンゴムの耐熱弾性層１０６を厚さ１．５ｍｍで形成し、さらに２層の接着層を介してその上の最表面に厚さ３０μｍのＰＦＡ樹脂のトナー離型層１０７を、ディスパージョン状態のＰＦＡ樹脂を塗布焼成することにより形成し表面平滑処理を施して、外径６５．０ｍｍにしたもの。表面粗さＲｚは２．０μｍ以下である。
【００７９】
加圧ローラ１０２：アルミニウムＡ５０５６円筒芯金に、熱伝導率０．５０Ｗ／ｍ・ＫでＪＩＳ−Ａ硬度１０°のシリコーンゴムの耐熱弾性層１０６を厚さ１．０ｍｍで形成し、さらに２層の接着層を介してその上の最表面に厚さ３０μｍのＰＦＡ樹脂のトナー離型層１０７を、ディスパージョン状態のＰＦＡ樹脂を塗布焼成することにより形成し、外径５５．０ｍｍにしたもの。表面粗さＲｚは２．０μｍ以下である。
【００８０】
加熱定着ローラ１０１と加圧ローラ１０２の圧着荷重は約１００Ｋｇｆであり、ニップ幅は約７〜８ｍｍである。加熱定着ローラを駆動させることにより、転写紙Ｐの搬送速度が所定速度になるようにしており、本実施例では、７３ｍｍ／ｓｅｃ、１１０ｍｍ／ｓｅｃ、２２０ｍｍ／ｓｅｃの３水準で通紙を行っている。加熱定着ローラ１０１のアルミニウム円筒芯金内部にはハロゲンヒータ１６１が固定されて設置され、加熱定着ローラ１０１、加圧ローラ１０２表面に近接した位置に配置された温度検知センサ（図示せず）の検知出力によりＯＮ／ＯＦＦ制御を行うことにより、加熱定着ローラ１０１の表面温度を１６０〜２１０℃の範囲内の所定値、加圧定着ローラ１０２の表面温度を１４０〜１９０℃の範囲内の所定値に保つようにしている。
【００８１】
表１に示す定着装置１０の清掃ローラ１０３に用いたＡ１、Ａ２、Ａ３、Ａ４、Ａ５、Ａ６は、下記清掃ローラである。
【００８２】
Ａ１：芯金厚１．０ｍｍのアルミニウムＡ５０５２円筒芯金に硬質陽極化処理を行ってアルミナ被膜を約４０μｍ形成し、さらにテトラチオモリブデン酸アンモニウム溶液中で二次電解して被膜中の超微細ポアー内に二硫化モリブデンを析出させてから表面を約１０μｍ研磨して、加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを３．２μｍ、ビッカース硬度３６０Ｋｇ／ｍｍ２である外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８３】
Ａ２：芯金厚１．０ｍｍのアルミニウムＡ５０５２円筒芯金表面を研磨した後、ポリイミドワニスを１０μｍ以下の厚みで塗布後に焼成し、加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを３．２μｍとした外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８４】
Ａ３：アルミニウムパイプ円筒芯金に、Ａｓｋｅｒ−Ｃ（５００ｇｆ 荷重）硬度で１５〜５０°となるように発泡シリコーンゴムを成型し、さらにその上に５０μｍの厚さで表面粗さＲｚが１．５μｍのＰＦＡチューブを接着層を介して被覆した外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８５】
Ａ４：清掃ローラＡ１と同じものを研磨条件を変更して加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを１．５μｍ、ビッカース硬度３６０ｋｇ／ｍｍ２とした清掃ローラ。
【００８６】
Ａ５：清掃ローラＡ３と同じ円筒芯金を、表面の研磨条件を変更してＡ２の芯金粗さより平滑にした後、ポリイミドワニスを１０μｍ以下の厚みで塗布後に焼成し、加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを１．５μｍとした外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８７】
Ａ６：清掃ローラＡ１と同じものを研磨条件を変更して加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを０．８μｍ、ビッカース硬度３６０ｋｇ／ｍｍ２とした清掃ローラ。
【００８８】
Ａ７：外径１４ｍｍのアルミニウムパイプ円筒芯金に、Ａｓｋｅｒ−Ｃ（５００ｇｆ 荷重）硬度で１５〜５０°となるように発泡シリコーンゴムを約５ｍｍの厚みを持たせて成型後に表面を研磨し、さらにその上に８０μｍの厚さで絶縁性シームレスポリイミドチューブを、接着層を介して被覆して表面粗さＲｚを０．８μｍとした外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８９】
清掃ローラＡ１、Ａ２、Ａ３、Ａ４、Ａ５、Ａ６は、それぞれ８ｋｇｆの荷重で加熱定着ローラ１０１に圧接させて画像形成を行っている。当接荷重を２ｋｇｆとしても、各々結果は変わらないことを確認している。
【００９０】
表面粗さＲｚの測定には表面粗さ計（小坂研究所社製 ＳｕｒｆｃｏｒｄｅｒＳＥ−３３００）を用いてローラ形状のまま測定した。
【００９１】
用いた清掃ローラの接触表面部分とトナーに含有されるワックスとの１６０℃における接触角Ａ、加熱定着ローラ１０１の接触表面部分とトナーに含有されるワックスとの１６０℃における接触角Ｂ、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラとの接触部分の温度Ｃ、清掃ローラと清掃ウェブ１０４の接触部分の温度Ｄも表１に示す。接触角Ａ及びＢの値は、ワックスの融点から定着ローラ１０１の最高使用温度である２３０℃の範囲でも測定してみたが、この温度範囲での接触角Ａ、接触角Ｂの大小関係は変わらなかった。
【００９２】
接触角Ａ、Ｂの測定には、加熱定着ローラ１０１、清掃ローラ１０３の接触部分を含む一部分を切り取った薄片を成形し、協和界面科学製ＣＡ−Ｗ１５０型で液適法により、液滴量がほぼ一定になるようにして測定した値を用いた。ワックス及び被測定物を加熱するために協和界面科学製恒温槽Ｈ２型を使用した。
【００９３】
【表１】
【００９４】
実施例３ 画像試料１〜７の光沢メモリ評価
作製したそれぞれの画像試料１〜７について、下記の基準に従って、光沢メモリの評価を行った。結果を表２に示す。
【００９５】
１：どのサンプルも光沢メモリが顕著に発生する。
２：どのサンプルも光沢メモリが少し発生する。許容レベル。
【００９６】
３：一部のサンプルで光沢メモリが若干発生する。発生サンプルのレベルは２と同程度。
【００９７】
４：どのサンプルも光沢メモリが全く発生しない。
【００９８】
【表２】
【００９９】
表２の結果より、本発明の定着装置で定着を行った画像試料は光沢メモリの発生が抑えられていることが分かった。
【０１００】
【発明の効果】
本発明により、光沢メモリの発生を防止した定着装置、及び画像品質の高い画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図２】本発明の定着装置の一例を説明するための概略断面図である。
【図３】本発明の定着装置の一例を説明するための概略断面図である。
【図４】本発明の定着装置の一例を説明するための概略断面図である。
【図５】本発明の定着装置の一例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
１ 画像形成装置
９Ｙ、９Ｍ、９Ｃ、９Ｋ 画像形成ユニット
６ 中間転写体
１０ 定着装置
２０ 給紙カセット
１０１ 加熱定着ローラ
１０２ 加圧ローラ
１０３ 清掃ローラ
１０４ 清掃ウェブ
１２１ 定着ベルト
１２２ 上加圧ローラ
１２３ 支持加熱ローラ
１２４ 下加圧ローラ
１６１、１６２ ハロゲンヒータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式等の画像形成装置で用いられる定着装置、及び該定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
通常、電子写真法等の画像形成装置に用いられる定着装置は、例えば定着ローラと加圧ローラによって定着ニップ部を形成し、この定着ニップ部でトナーを担持した転写材の定着を行っている。
【０００３】
従来、この定着の際に定着ローラ表面にトナーが付着してしまうオフセットが発生したり定着ローラへのトナーを担持した紙の巻き付きが起こり、これにより画像品質や通紙性能を低下させてしまうという問題が発生していたが、例えば定着ローラ表面にシリコーンオイルを塗布することで、オフセットの発生や紙巻き付きを抑えるという技術が用いられていた。
【０００４】
しかしながら、従来の定着ローラにシリコーンオイルを用いるという技術では、定着ローラのシリコーンオイルが転写紙に付着してしまい、シリコーンオイル付着によるべたつき感が避けられず、得られた画像の品質に大きな問題が残されている。また、シリコーンオイルは高価であるのに加え、装置内にシリコーンオイルを定着装置に供給する機構を設ける必要もある。さらに、シリコーンオイルが熱によりその一部が蒸発し、機内を汚染したりしてしまう課題もある。
【０００５】
そこで、従来のように定着ローラにシリコーンオイルなどの使用をなるべく抑え、替わりにワックスを添加したトナーを用いることで、加熱時にトナー中から溶解したワックスが定着ローラに供給され、オフセットの発生や紙巻き付きを抑えるという技術が開示されている（例えば特許文献１参照）。
【０００６】
【特許文献１】
特開平３−１８５４５９号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
このようにワックスを添加したトナーを用いて定着を行うことにより、シリコーンオイルの使用を抑えて、オフセットの発生や紙巻き付きを抑えることができる。
【０００８】
しかしながら、トナーから定着ローラにしみ出たワックスの一部が定着ローラに付着してしまい、定着ローラ上にワックスによる潜像が形成され、この状態で次の定着を行った際に、画像表面に存在するワックス量が異なるようになるために定着ローラ上のワックス潜像に起因する光沢ムラやＯＨＴに対しては透過ムラといった現象（以下、光沢メモリともいう）が発生してしまうという問題が生じている。光沢メモリは、特に、均一なベタ画像のときに顕著に目立ち、転写紙やＯＨＴ上にワックス潜像の光沢ムラや透過ムラを形成してしまうことで画像品質を低下させてしまっている。
【０００９】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、光沢メモリの発生を防止した定着装置、及び画像品質の高い画像形成装置を提供することである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成された。
【００１１】
（１） トナーを転写材上に熱定着させる定着装置であって、トナーを転写材上に熱定着させる定着回転体と、前記定着回転体に接触する清掃回転体と、前記清掃回転体に接触する清掃部材と、を有し、前記トナーはワックスを含有し、前記清掃回転体は前記定着回転体と接触する部分の表面粗さＲｚが１．６μｍ以下であり、前記定着回転体と前記清掃回転体との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高く、前記清掃回転体と前記清掃部材との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高いことを特徴とする定着装置。
【００１２】
（２） 前記トナーの前記ワックスの含有率が７〜２３質量％であることを特徴とする（１）に記載の定着装置。
【００１３】
（３） 前記ワックスの融点が７５〜１１０℃であることを特徴とする（１）又は（２）に記載の定着装置。
【００１４】
（４） 前記定着回転体と接触する前記清掃回転体表面の前記ワックスに対するワックスの融点以上で２３０℃以下の領域内での所定温度Ｔ（℃）での接触角をＡ（°）、前記清掃回転体と接触する前記定着回転体表面の前記ワックスに対する前記所定温度Ｔ（℃）での接触角をＢ（°）としたときに、Ａ＜Ｂであることを特徴とする（１）〜（３）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１５】
（５） 前記定着回転体が０．２ｍｍ以上の耐熱弾性層を有し、前記清掃回転体は前記定着回転体と接触する部分のビッカース表面硬さが３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上であり、前記清掃回転体は２〜１０ｋｇｆの荷重で前記定着回転体に圧接していることを特徴とする（１）〜（４）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１６】
（６） 前記定着回転体の最表面にＰＦＡ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰのいずれかのフッ素樹脂を含有するトナー離型層を有することを特徴とする（１）〜（５）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１７】
（７） 前記清掃部材が芳香族ポリアミド繊維及び又はポリエステル繊維を含有する不織布であることを特徴とする（１）〜（６）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１８】
（８） 前記清掃部材がシート状の清掃部材であり、該シート状の清掃部材を移動させる清掃部材移動手段を有することを特徴とする（１）〜（７）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００１９】
（９） 前記定着回転体にシリコーンオイルを塗布しないことを特徴とする（１）〜（８）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００２０】
（１０） 前記清掃部材がシリコーンオイルを含浸しないことを特徴とする（１）〜（９）のいずれか１項に記載の定着装置。
【００２１】
（１１） （１）〜（１０）のいずれか１項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【００２２】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、トナーを転写材上に熱定着させる定着装置において、トナーを転写材上に熱定着させる定着回転体と、定着回転体の表面に接触する清掃回転体と、清掃回転体に接触する清掃部材とを有し、トナーにはワックスを含有させ、清掃回転体の定着回転体と接触する部分の表面粗さＲｚを１．６μｍ以下として、定着回転体と清掃回転体との接触部分での温度がワックスの融点より高く、清掃回転体と清掃部材との接触部分での温度がワックスの融点より高くしておくことで、光沢メモリの発生を抑えて高品位な画像形成を行うことができる定着装置とすることができた。
【００２３】
即ち、定着回転体に付着したワックスは、清掃回転体との接触部分が融点より高い温度であることからワックスが溶解した状態となり、この溶解したワックスが表面粗さ１．６μｍ以下である清掃回転体によって効率よくふき取られる。
【００２４】
また、ふき取りによって清掃回転体に付着したワックスは、清掃部材との接触部分が融点より高い温度であることから、同様にワックスが溶解した状態となり、この溶解したワックスが清掃部材によってふき取られる。このようにして定着回転体に付着したワックスを効率よく取り除くことができ、光沢メモリの発生を抑えることができる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下にその実施の形態を、図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されない。また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明の好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
【００２６】
図１は本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
図１に示すように、この画像形成装置１は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成ユニット９Ｙ、９Ｍ、９Ｃ、９Ｋと、ベルト状の中間転写体６と給紙手段と搬送手段とトナーカートリッジ５Ｙ、５Ｍ、５Ｃ、５Ｋ、本発明である定着装置１０、及び操作部９１等から構成されている。
【００２７】
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット９Ｙは、像担持体（以下、感光体と称す）１Ｙの周囲に配置された帯電手段２Ｙ、露光手段３Ｙ、現像装置４Ｙ、転写手段７Ｙ、クリーニング手段８Ｙを有する。
【００２８】
マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット９Ｍは、感光体１Ｍ、帯電手段２Ｍ、露光手段３Ｍ、現像装置４Ｍ、転写手段７Ｍ、クリーニング手段８Ｍを有する。
【００２９】
シアン色の画像を形成する画像形成ユニット９Ｃは、感光体１Ｃ、帯電手段２Ｃ、露光手段３Ｃ、現像装置４Ｃ、転写手段７Ｃ、クリーニング手段８Ｃを有する。
【００３０】
黒色画像を形成する画像形成ユニット９Ｋは、感光体１Ｋ、帯電手段２Ｋ、露光手段３Ｋ、現像装置４Ｋ、転写手段７Ｋ、クリーニング手段８Ｋを有する。
【００３１】
中間転写体６は、複数のローラ６Ａ、６Ｂ、６Ｃに巻回され、回動可能に支持されている。
【００３２】
画像形成ユニット９Ｙ、９Ｍ、９Ｃ、９Ｋより形成された各色の画像は、回動する中間転写体６上に転写手段７Ｙ、７Ｍ、７Ｃ、７Ｋにより逐次１次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【００３３】
給紙手段である給紙カセット２０内に収容された用紙Ｐは、給紙ローラ２１により一枚ずつ給紙され、レジストローラ２２を経て、転写手段７Ａに搬送され、用紙Ｐ上に前記カラー画像が２次転写される。
【００３４】
カラー画像が転写された前記用紙Ｐは、本発明の定着装置である定着装置１０により定着処理され、搬送手段である搬送ローラ２３、２４を経て、排紙ローラ２５に挟持されて機外の排紙トレイ２６上に載置される。
【００３５】
図２は、本発明の定着装置を詳しく説明するための定着装置１０の概略断面図である。
【００３６】
図２に示すように、本発明の定着装置である定着装置１０は、本発明に係る定着回転体である加熱定着ローラ１０１を有している。さらに定着装置１０は、本発明に係る清掃回転体である清掃ローラ１０３と、本発明に係る清掃部材である清掃ウェブ１０４を有しており、これらで加熱定着ローラ１０１に付着したワックスを取り除く。
【００３７】
加熱定着ローラ１０１は加圧回転体であり加熱定着ローラ１０１に圧接する加圧ローラ１０２とで定着ニッブ部Ｎを形成し、この定着ニップ部Ｎにトナーｔを有した転写材Ｐを通過させ熱定着を行っている。このニップ部Ｎでの熱定着によって、トナーｔは溶融し転写材Ｐ上に定着される。この際、トナーｔ中に分散含有されるワックスが溶解して加熱定着ローラ１０１と溶融したトナー樹脂の界面に所定量以上存在するようになるために、トナー樹脂と加熱定着ローラ１０１の接着力が下がり、オフセットや転写材の巻き付きが抑制されるとともに、ワックスの一部は加熱定着ローラ１０１に付着する。
【００３８】
加熱定着ローラ１０１は、加熱源であるハロゲンヒータ１６１を内包するアルミニウム円筒芯金１０５に厚さ１．５ｍｍのシリコーンゴムの耐熱弾性層１０６を形成し、さらに１層ないし３層の接着層を介してその上の最表面に厚さ３０μｍのＰＦＡ樹脂のトナー離型層１０７を、ディスパージョン状態のＰＦＡ樹脂を塗布焼成することにより、形成させたものであり、図示しないモータにより回転駆動される。また、加熱定着ローラ１０１には、ＰＦＡ樹脂のトナー離型層１０７として、チューブとして成型されたＰＦＡチューブを耐熱弾性層１０６の上に接着層等を介して被覆してもよい。
【００３９】
加圧ローラ１０２は、アルミニウム円筒芯金１０８に厚さ１．０ｍｍのシリコーンゴムの耐熱弾性層１０９を形成し、さらに１層ないし３層の接着層を介してその上の最表面に厚さ３０μｍのＰＦＡ樹脂のトナー離型層１１０を形成させたものであり、加熱定着ローラ１０１とで、トナー像ｔを有する転写紙Ｐを圧着して、加圧しながら従動回転する。トナー離型層１１０は前述したトナー離型層１０７と同様な方法にて形成される。
【００４０】
トナー離型層１０７には、フッ素樹脂を含有する材料を用いることが好ましい。フッ素樹脂としてより好ましいのは、ＰＦＡ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰのいずれかを含有する材料であり、最も好ましくは、ＰＦＡ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰのいずれかである。これにより、トナー樹脂やトナー粒子に含まれるワックスに対する加熱定着ローラ１０１表面の離型性も向上し、定着時にトナーが加熱定着ローラ１０１表面につきにくくなるとともに、加熱定着ローラ１０１表面にワックスがつきにくくなり、加熱定着ローラ１０１表面にワックスが付着したとしてもより清掃ローラ１０３によるワックスの除去効果を向上させることができ、光沢メモリをより一層抑えることができる。
【００４１】
加熱定着ローラ１０１のトナー離型層１０７の厚さは２０〜５０μｍであることが好ましい。２０μｍ以上とすることで、均一なフッ素樹脂の層を形成しやすくなる。また、５０μｍ以下とすることで、加熱定着ローラ１０１表面がトナー像ｔを担持する転写紙Ｐの表面凹凸にならい易くすることができ、画像劣化を抑えることができる。また、５０μｍ以下の領域では、加熱定着ローラ１０１表面が清掃ローラ１０３表面にならい易くなることにより清掃ローラ１０３によるワックスの除去効果を一層向上させることができる。
【００４２】
清掃ローラ１０３は、アルミニウム円筒芯金に硬質陽極化処理を行ってアルミナ被膜を形成し、さらにテトラチオモリブデン酸アンモニウム溶液中で二次電解して被膜中の超微細ポアー内に二硫化モリブデンを析出させてから表面を研磨したものであり、表面粗さＲｚを１．６μｍ以下とし、ビッカース表面硬さが３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上である。また、この清掃ローラ１０３のアルミニウム円筒の内側にハロゲンヒータを設置して、外部加熱ローラとしての役目も兼ねることが可能である。
【００４３】
清掃ローラ１０３の加熱定着ローラ１０１と接触する部分の材料には、表面粗さＲｚが１．６μｍ以下のもので加熱定着ローラ１０１の表面温度に対する耐熱性があればどのようなものを用いてもよい。上述したもの以外でも、例えば、アルミニウム円筒芯金に、Ａｓｋｅｒ−Ｃ（５００ｇｆ 荷重）硬度で１５〜５０°となるように発泡シリコーンゴムを３〜８ｍｍ程度の厚さで成型し、さらにその上に接着層等を介して５０〜８０μｍ程度の厚みを持ち表面粗さＲｚを１．６μｍ以下となるように成型されたポリイミドシームレスチューブを被覆したものを用いてもよい。
【００４４】
本発明において表面粗さＲｚは、ＪＩＳＢ０６０１−１９８２に記載の基準長０．８ｍｍの値を意味する。即ち、基準長０．８ｍｍの距離間で上位から５つの山頂の平均高さと、下位から５つの谷底の平均低さとの差である。
【００４５】
清掃ローラ１０３の表面粗さＲｚは、１．０μｍ以下であることが特に好ましい。加熱定着ローラ１０１上においてワックスの融点以上の温度が保たれている場合は、ワックスは液状であり、通常高さは約１μｍ以下となることから、表面粗さＲｚを上記のような小さい値にすることにより、より一層ワックスと清掃ローラ１０３の接触が確実になるため、加熱定着ローラ１０１に付着したワックスをより一層効率よくふき取ることができる。
【００４６】
清掃ローラ１０３は、加熱定着ローラ１０１と２〜１０ｋｇｆの荷重で接触しており、ハロゲンヒータ１６１を調整して、この接触部分での温度がトナー中に含有されるワックスの融点より高くなるようにしている。これにより、加熱定着ローラ１０１上に付着したワックスが溶解した状態で清掃ローラ１０３によってふき取られるようになり、加熱定着ローラ１０１からのワックス除去効率が向上して光沢メモリを抑えることができる。
【００４７】
清掃ローラ１０３と加熱定着ローラ１０１との接触部分は画像形成に用いられる転写材Ｐの最大用紙幅以上であることが好ましい。また、清掃ウェブ１０４と清掃ローラ１０３との接触部分も画像形成に用いられる転写材Ｐの最大用紙幅以上であることが好ましい。これによりどのような紙に対しても光沢メモリをなくすことができる。
【００４８】
また、清掃ローラ１０３は、清掃ウェブ１０４とも接触しており、ハロゲンヒータ１６１により加熱された加熱定着ローラ１０１からの熱によって、清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４の接触部分での温度がトナー中に含有されるワックスの融点より高くなっている。これにより、加熱定着ローラ１０１に付着したワックスをふき取ったことで清掃ローラ１０３に付着したワックスが、溶解した状態で清掃ウェブ１０４によってふき取られるようになり、清掃ローラ１０３からのワックス除去効率を向上させることができる。トナーに含有されるワックスの融点は通常１１０℃以下程度と低く、また、加熱定着ローラ１０１は常にハロゲンヒータ１６１から熱供給を受け表面温度が通常約１６０℃以上に保持され、さらに、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラ１０３とが接触回転することから、清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４の接触部分での温度もワックスの融点よりも高くなるのである。
【００４９】
例えば、アルミニウム円筒芯金にアルミナ被膜を形成し研磨した清掃ローラ１０３においては、芯金の熱伝導性が良好なために加熱定着ローラ１０１との接触により表面温度はすぐに上昇する。アルミニウム円筒芯金の肉厚は撓みなどが発生しない範囲において薄い方が表面温度をすぐに上昇できるため良く、０．８〜２ｍｍ程度が好ましい。また、発泡シリコーンゴム表面にポリイミドチューブを被服したような清掃ローラ１０３の場合も、発泡シリコーンゴムの熱伝導性が悪いために加熱定着ローラ１０１との接触回転により表面温度はすぐに上昇する。
【００５０】
加熱定着ローラ１０１、清掃ローラ１０３はウォームアップ時に回転する期間が設けられて要ることが好ましく、これにより、清掃ローラ１０３は画像形成装置立ち上げ直後でも十分な高温度にすること可能である。
【００５１】
加熱定着ローラ１０１と接触する清掃ローラ１０３の表面部分のトナーに含有されるワックスに対する融点以上２３０℃以下における所定温度Ｔ（℃）における接触角をＡとし、清掃ローラ１０３と接触する加熱定着ローラ１０１の表面部分のトナーに含有されるワックスに対する前記所定温度Ｔ（℃）における接触角をＢとしたときに、Ａ＜Ｂであることが好ましい。このようにすることで、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラ１０３の接触部分で、加熱定着ローラ１０１に付着した融点以上となったワックスが、加熱定着ローラ１０１から清掃ローラ１０３に移動しやすくなり、加熱定着ローラ１０１からのワックス除去効率がより一層向上して光沢メモリをより一層抑えることができる。上述した接触角の大小関係が維持される必要のある温度領域は、ワックスの融点以上で、かつ定着回転体表面の正常使用状態での最高温度（定着回転体表面のフッ素樹脂が十分耐久性のある温度）以下である。
【００５２】
本発明では、加熱定着ローラ１０１の耐熱弾性層１０６の厚さが０．２ｍｍ以上であり、さらに、清掃ローラ１０３は加熱定着ローラ１０１と接触する部分のビッカース表面硬さが３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上であり、清掃ローラ１０３は２〜１０ｋｇｆの荷重で加熱定着ローラ１０１に圧接していることが好ましい。加熱定着ローラ１０１の耐熱弾性層１０６の厚さを０．２ｍｍ以上とすることにより、加熱ローラ表面がトナー像ｔを担持する転写紙Ｐの表面凹凸にならい易くなり画質が良好になるばかりでなく、清掃ローラ１０３が硬いものであっても清掃ローラ１０３と加熱定着ローラ１０１の接触が安定し、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラ１０３との接触部分で加熱定着ローラ１０１に付着したワックスが加熱定着ローラ１０１から清掃ローラ１０３に移動しやすくなり、加熱定着ローラ１０１からのワックス除去効率がより一層向上して光沢メモリをより一層抑えることができる。
【００５３】
また、ビッカース硬度を３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上とすることにより、清掃ローラ１０３が当接する清掃ウェブ１０４や付着する紙粉により磨耗して磨耗粉が発生したり、清掃ローラの表面粗さが粗くなることを抑えることができるため、清掃ローラ１０３の清掃効果を維持することができる。
【００５４】
清掃ローラ１０３は２〜１０ｋｇｆの荷重で加熱定着ローラ１０１に圧接していることにより、清掃ローラ１０３と加熱定着ローラ１０１とｍｐ接触が安定し、清掃ウェブ１０４が接触していても清掃ローラ１０３が加熱定着ローラ１０１に安定して従動することができて、かつ加熱定着ローラ１０１の耐熱弾性層にダメージを与えない。
【００５５】
ビッカース表面硬さはＪＩＳ Ｚ ２２５１の微小硬さ試験法に則り測定することができる硬度とする。具体的には、対面角が１３６度のダイヤモンド正四角錐の圧子を用い、試験面に窪みをつけた時の荷重Ｆ（ｋｇｆ）を、窪みの対角線長さｄ（ｍｍ）から求めた表面積で除した商をいい、
表面硬さ（Ｈｖ）＝１．８５４４Ｆ／ｄ２
（但し、ｄは窪みの対角線長さの平均（ｍｍ）である。）
で算出できる。本発明においてはＭＶＫ−Ｈ１００（（株）アカシ製）を用いて、２３℃、５０％ＲＨの環境で測定した値としている。
【００５６】
清掃ウェブ１０４は、シート状であり、芳香族ポリアミド繊維とポリエステル繊維とを重量比６：４で合わせて厚み７０μｍ目付け量２７ｇ／ｍ２とした不織布である。清掃ウェブ１０４には、芳香族ポリアミド繊維とポリエステル繊維とを重量比４：６で合わせて厚み４６μｍ目付け量２７ｇ／ｍ２とした不織布を用いてもよい。
【００５７】
例えば清掃ウェブ１０４を用いない場合、ワックスが清掃ローラ１０３上に蓄積したり、加熱定着ローラ１０１に微小ながらオフセットしているトナーや紙粉が蓄積することにより、徐々に清掃ローラ１０３のワックスの清掃能力が低下してしまうが、清掃ウェブ１０４を設けることによって、清掃ローラ１０３に付着したトナーや紙粉、ワックスをより効率よくふき取ることができるので清掃効果を維持向上させることができる。
【００５８】
清掃ウェブ１０４には、清掃ローラ１０３から融点以上のワックスをふき取ることができる材料であればどのような材料を用いてもよいが、耐熱性の観点から芳香族ポリアミド繊維又はポリエステル繊維を含有する不織布を用いるのが好ましい。
【００５９】
清掃ウェブ１０４は、本発明に係る清掃部材移動手段である元巻き側１１２Ａと巻き取り側１１２Ｂの間に張力を持って張り巡らせ、清掃ウェブ１０４に清掃ローラ１０３が当接するように配置され、駆動モータ（図示せず）を使用してシート状の清掃ウェブの巻き取り側１１２Ｂの軸を所定角度回転させて、清掃ウェブ１０４を移動させている。これにより、清掃ウェブ１０４で清掃ローラ１０３の清掃を行って汚れた部分を移動させ、清掃ウェブ１０４と清掃ローラ１０３の接触部にトナーや紙粉、ワックスが多量に蓄積しないようにして清掃ローラ１０３の清掃を行うことができ、より一層光沢メモリの発生を抑えることができる。清掃ウェブ１０４の移動量は、０．０２〜０．０５ｍｍ／ｃｏｐｙ（Ａ３用紙）の範囲の中の一定値としておくのが効率的で好ましい。０．０２ｍｍ／ｃｏｐｙ以上とすることで、清掃ローラ１０３の清掃が十分行われ、０．０５ｍｍ／ｃｏｐｙ以下とすることで清掃ウェブ１０４の長さを必要以上に長くする必要がなく、スペースやコストの面から好ましい。
【００６０】
清掃ウェブ１０４の移動量は、清掃ウェブ駆動モータの駆動時間を、新しい清掃ウェブ１０４を取り付けた状態からの清掃ウェブ駆動モータの駆動累積時間を関数とした式で計算される値にすることにより一定値に制御することが可能である。
【００６１】
加熱定着ローラ１０１には、シリコーンオイルを塗布していない。このようにすることで、画像品質をより一層向上させ、コスト削減も図ることができる。
【００６２】
また、清掃ウェブ１０４にもシリコーンオイルを含浸していない。これにより、画像品質をより一層向上させ、コスト削減も図れる。
【００６３】
また、トナー像ｔからしみだしたワックスが加圧ローラ１０３にも接触してしまう場合もあるので、図３に示すように、加圧ローラ１０２に接触する清掃ローラ１０３と、該清掃ローラ１０３に接触する清掃ウェブ１０４を設け、加圧ローラ１０２のワックス除去を行うようにしてもよい。尚、図３以降の説明においては、図２の説明で説明された用語と同じものの説明及びそれに関連する説明について省略されている場合があるが、特に説明がない限りは図２の説明と同じである。
【００６４】
次に、図４に本発明の定着装置の他の一例の概略図を示す。
図４に示す定着装置は、本発明に係る定着回転体である定着ベルト１２１を、上加圧ローラ１２２と、支持加熱ローラ１２３とで支持しており、支持加熱ローラ１２３を図示しないモータにより回転駆動して定着ベルト１２１を回転させている。定着ベルト１２１は支持加熱ローラ１２３で加熱されている。
【００６５】
図４に示す定着装置は、支持加圧ローラ１２２と支持加熱ローラ１２３とで支持された定着ベルト１２１と下加圧ローラ１２４とでニップ部Ｎを形成して、この定着ニップ部Ｎにトナーｔを有した転写材Ｐを通過させ熱定着を行っている。
【００６６】
また、定着ベルト１２１に接触して、内部にハロゲンヒータ１６２を有する前述した清掃ローラ１０３が設けられ、さらに、清掃ローラ１０３に接触して清掃ウェブ１０４が設けられている。
【００６７】
本発明は、図４に示すように、本発明に係る定着回転体が定着ベルト１２１であるような場合であっても、定着ベルト１２１と清掃ローラ１０３との接触部分の温度と清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４との接触部分の温度とを、使用するトナーに含有されるワックスの融点より高くして、表面粗さ１．６μｍ以下である清掃ローラ１０３で定着ベルト１２１上のワックスを溶解状態でふき取り、さらに、清掃ローラ１０３に付着したワックスを清掃ウェブ１０４を溶解状態でふき取るようにすることで、光沢メモリの発生を抑えることができる。
【００６８】
図４に示す定着装置では、支持加熱ローラ１２３のハロゲンヒータ１６１と清掃ローラ１０３のハロゲンヒータ１６２とを使用して、定着ベルト１２１と清掃ローラ１０３との接触部分の温度と、清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４との接触部分の温度がワックスの融点より高くなるように調整している。このように、清掃ローラ１０３と支持加熱ローラ１２３との位置が離れてしまっているような場合は、熱源として清掃ローラ１０３にさらにハロゲンヒータ１６２を設けて清掃ローラ１０３の加熱を行うことで、それぞれの接触部分の温度調節を容易に行うことができる。
【００６９】
また、図５に示すように、清掃ローラ１０３が定着ベルト１２１を介して支持加熱ローラ１２３と接しているような装置構成であるような場合は、支持加熱ローラ１２３のハロゲンヒータ１６１のみでも、定着ベルト１２１と清掃ローラ１０３との接触部分の温度と清掃ローラ１０３と清掃ウェブ１０４との接触部分の温度とをワックスの融点より高くなるように容易に調整することができるので、清掃ローラ１０３にハロゲンヒータ１６２を設ける必要がなくなる。
【００７０】
本発明に用いられるトナーはワックスを含有していれば、従来公知のトナーを用いることができる。
【００７１】
本発明において、ワックスには、例えば、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、これらの変性物（例えば、酸化物やグラフと処理物）、高級脂肪酸、およびその金属塩、アミドワックス、エステル系ワックス等の従来公知のワックスを用いることができるが、例えば高級脂肪酸エステルワックスを用いるのが好ましい。これにより、定着ニップ部でのトナー画像部からのワックスのしみ出しを良好にしオフセットや紙巻き込みの発生をより一層抑えることができるのに加え、清掃ローラ１０３でのワックスふき取りが良好になるためより一層光沢メモリを防止することができる。
【００７２】
本発明に係るトナーのワックスの含有率は７〜２３質量％であることが好ましい。ワックスの含有率を７質量％以上とすることで、定着ニップ部でのトナー画像からのワックスしみ出しが十分となりオフセットや紙巻き込みの発生をより一層抑えることができる。一方、ワックスの含有率が２３質量％以下とすることで、加熱定着ローラ１０１への余分なワックス付着をより一層抑えることができる。
【００７３】
ワックスの含有量を調整することが容易であるトナーとして重合トナーが挙げられる。本発明で用いられるトナーは重合トナーを用いることでワックスの含有量を容易に調整することができるので好ましい。
【００７４】
本発明に係るトナーに含有されるワックスの融点は７５〜１１０℃であることが好ましい。これにより、定着ニップ部でのトナー画像からのワックスしみ出しや、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラ１０３の接触部でワックスの溶解がスムーズに行われるため、オフセットや紙巻き込みの発生をより一層抑えることができるのに加え、清掃ローラ１０３でのワックスふき取りが良好になるためより一層光沢メモリを防止することができる。
【００７５】
【実施例】
実施例１ トナー１の調整
トナーは、ワックスの含有量が７〜２３質量％に調整されたもので、カラー複合機Ｋｏｎｉｃａ９３３１用トナーを使用した。このトナーは特願２００３−１４６００７に詳細記載されている乳化重合法による重合トナーである。使用したトナーの軟化点はワックス含有量が約１３質量％の際に約１２０℃であり、トナー中に含有するワックスは高級脂肪酸エステルワックスであり、その融点は約８０℃である。ここで、軟化点とは、高化式フローテスターを用いて測定された温度をいう。また、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法（ＤＳＣ）に於ける昇温時のＤＳＣカーブにおいて、最大の吸熱を示すピークの頂点の温度をいう。
【００７６】
実施例２ 画像試料１〜７の作製
図１、２に示す画像形成装置を用い、さらに清掃ローラ１０３として表１に示す清掃ローラを用いて、実施例１で準備したトナー１とコニカカラーペーパ８１．４ｇ／ｍ２紙（Ａ４サイズ）を使用して、紙上のトナー付着量が１色当たり約０．４〜０．５ｍｇ／ｃｍ２となるようにしてフルカラー画像を形成していき、連続１０１枚の画像試料の画像形成を転写紙Ｐの搬送速度３水準条件で行い、それぞれ２枚目以降の合計３００枚の画像試料１〜７を作製した。
【００７７】
なお、図２に示す定着装置１０の加熱定着ローラ１０１、加圧ローラ１０２には下記のものを用いている。
【００７８】
加熱定着ローラ１０１：アルミニウムＡ５０５６円筒芯金に、熱伝導率０．５０Ｗ／ｍ・ＫでＪＩＳ−Ａ硬度１０°のシリコーンゴムの耐熱弾性層１０６を厚さ１．５ｍｍで形成し、さらに２層の接着層を介してその上の最表面に厚さ３０μｍのＰＦＡ樹脂のトナー離型層１０７を、ディスパージョン状態のＰＦＡ樹脂を塗布焼成することにより形成し表面平滑処理を施して、外径６５．０ｍｍにしたもの。表面粗さＲｚは２．０μｍ以下である。
【００７９】
加圧ローラ１０２：アルミニウムＡ５０５６円筒芯金に、熱伝導率０．５０Ｗ／ｍ・ＫでＪＩＳ−Ａ硬度１０°のシリコーンゴムの耐熱弾性層１０６を厚さ１．０ｍｍで形成し、さらに２層の接着層を介してその上の最表面に厚さ３０μｍのＰＦＡ樹脂のトナー離型層１０７を、ディスパージョン状態のＰＦＡ樹脂を塗布焼成することにより形成し、外径５５．０ｍｍにしたもの。表面粗さＲｚは２．０μｍ以下である。
【００８０】
加熱定着ローラ１０１と加圧ローラ１０２の圧着荷重は約１００Ｋｇｆであり、ニップ幅は約７〜８ｍｍである。加熱定着ローラを駆動させることにより、転写紙Ｐの搬送速度が所定速度になるようにしており、本実施例では、７３ｍｍ／ｓｅｃ、１１０ｍｍ／ｓｅｃ、２２０ｍｍ／ｓｅｃの３水準で通紙を行っている。加熱定着ローラ１０１のアルミニウム円筒芯金内部にはハロゲンヒータ１６１が固定されて設置され、加熱定着ローラ１０１、加圧ローラ１０２表面に近接した位置に配置された温度検知センサ（図示せず）の検知出力によりＯＮ／ＯＦＦ制御を行うことにより、加熱定着ローラ１０１の表面温度を１６０〜２１０℃の範囲内の所定値、加圧定着ローラ１０２の表面温度を１４０〜１９０℃の範囲内の所定値に保つようにしている。
【００８１】
表１に示す定着装置１０の清掃ローラ１０３に用いたＡ１、Ａ２、Ａ３、Ａ４、Ａ５、Ａ６は、下記清掃ローラである。
【００８２】
Ａ１：芯金厚１．０ｍｍのアルミニウムＡ５０５２円筒芯金に硬質陽極化処理を行ってアルミナ被膜を約４０μｍ形成し、さらにテトラチオモリブデン酸アンモニウム溶液中で二次電解して被膜中の超微細ポアー内に二硫化モリブデンを析出させてから表面を約１０μｍ研磨して、加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを３．２μｍ、ビッカース硬度３６０Ｋｇ／ｍｍ２である外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８３】
Ａ２：芯金厚１．０ｍｍのアルミニウムＡ５０５２円筒芯金表面を研磨した後、ポリイミドワニスを１０μｍ以下の厚みで塗布後に焼成し、加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを３．２μｍとした外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８４】
Ａ３：アルミニウムパイプ円筒芯金に、Ａｓｋｅｒ−Ｃ（５００ｇｆ 荷重）硬度で１５〜５０°となるように発泡シリコーンゴムを成型し、さらにその上に５０μｍの厚さで表面粗さＲｚが１．５μｍのＰＦＡチューブを接着層を介して被覆した外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８５】
Ａ４：清掃ローラＡ１と同じものを研磨条件を変更して加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを１．５μｍ、ビッカース硬度３６０ｋｇ／ｍｍ２とした清掃ローラ。
【００８６】
Ａ５：清掃ローラＡ３と同じ円筒芯金を、表面の研磨条件を変更してＡ２の芯金粗さより平滑にした後、ポリイミドワニスを１０μｍ以下の厚みで塗布後に焼成し、加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを１．５μｍとした外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８７】
Ａ６：清掃ローラＡ１と同じものを研磨条件を変更して加熱定着ローラ１０１と接触する部分の表面粗さＲｚを０．８μｍ、ビッカース硬度３６０ｋｇ／ｍｍ２とした清掃ローラ。
【００８８】
Ａ７：外径１４ｍｍのアルミニウムパイプ円筒芯金に、Ａｓｋｅｒ−Ｃ（５００ｇｆ 荷重）硬度で１５〜５０°となるように発泡シリコーンゴムを約５ｍｍの厚みを持たせて成型後に表面を研磨し、さらにその上に８０μｍの厚さで絶縁性シームレスポリイミドチューブを、接着層を介して被覆して表面粗さＲｚを０．８μｍとした外径２４ｍｍの清掃ローラ。
【００８９】
清掃ローラＡ１、Ａ２、Ａ３、Ａ４、Ａ５、Ａ６は、それぞれ８ｋｇｆの荷重で加熱定着ローラ１０１に圧接させて画像形成を行っている。当接荷重を２ｋｇｆとしても、各々結果は変わらないことを確認している。
【００９０】
表面粗さＲｚの測定には表面粗さ計（小坂研究所社製 ＳｕｒｆｃｏｒｄｅｒＳＥ−３３００）を用いてローラ形状のまま測定した。
【００９１】
用いた清掃ローラの接触表面部分とトナーに含有されるワックスとの１６０℃における接触角Ａ、加熱定着ローラ１０１の接触表面部分とトナーに含有されるワックスとの１６０℃における接触角Ｂ、加熱定着ローラ１０１と清掃ローラとの接触部分の温度Ｃ、清掃ローラと清掃ウェブ１０４の接触部分の温度Ｄも表１に示す。接触角Ａ及びＢの値は、ワックスの融点から定着ローラ１０１の最高使用温度である２３０℃の範囲でも測定してみたが、この温度範囲での接触角Ａ、接触角Ｂの大小関係は変わらなかった。
【００９２】
接触角Ａ、Ｂの測定には、加熱定着ローラ１０１、清掃ローラ１０３の接触部分を含む一部分を切り取った薄片を成形し、協和界面科学製ＣＡ−Ｗ１５０型で液適法により、液滴量がほぼ一定になるようにして測定した値を用いた。ワックス及び被測定物を加熱するために協和界面科学製恒温槽Ｈ２型を使用した。
【００９３】
【表１】
実施例３ 画像試料１〜７の光沢メモリ評価
作製したそれぞれの画像試料１〜７について、下記の基準に従って、光沢メモリの評価を行った。結果を表２に示す。
【００９５】
１：どのサンプルも光沢メモリが顕著に発生する。
２：どのサンプルも光沢メモリが少し発生する。許容レベル。
【００９６】
３：一部のサンプルで光沢メモリが若干発生する。発生サンプルのレベルは２と同程度。
【００９７】
４：どのサンプルも光沢メモリが全く発生しない。
【００９８】
【表２】
表２の結果より、本発明の定着装置で定着を行った画像試料は光沢メモリの発生が抑えられていることが分かった。
【０１００】
【発明の効果】
本発明により、光沢メモリの発生を防止した定着装置、及び画像品質の高い画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図２】本発明の定着装置の一例を説明するための概略断面図である。
【図３】本発明の定着装置の一例を説明するための概略断面図である。
【図４】本発明の定着装置の一例を説明するための概略断面図である。
【図５】本発明の定着装置の一例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
１ 画像形成装置
９Ｙ、９Ｍ、９Ｃ、９Ｋ 画像形成ユニット
６ 中間転写体
１０ 定着装置
２０ 給紙カセット
１０１ 加熱定着ローラ
１０２ 加圧ローラ
１０３ 清掃ローラ
１０４ 清掃ウェブ
１２１ 定着ベルト
１２２ 上加圧ローラ
１２３ 支持加熱ローラ
１２４ 下加圧ローラ
１６１、１６２ ハロゲンヒータ
Claims (11)
- トナーを転写材上に熱定着させる定着装置であって、
トナーを転写材上に熱定着させる定着回転体と、
前記定着回転体に接触する清掃回転体と、
前記清掃回転体に接触する清掃部材と、を有し、
前記トナーはワックスを含有し、
前記清掃回転体は前記定着回転体と接触する部分の表面粗さＲｚが１．６μｍ以下であり、
前記定着回転体と前記清掃回転体との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高く、
前記清掃回転体と前記清掃部材との接触部分の温度が前記ワックスの融点より高いことを特徴とする定着装置。 - 前記トナーの前記ワックスの含有率が７〜２３質量％であることを特徴とする請求項１に記載の定着装置。
- 前記ワックスの融点が７５〜１１０℃であることを特徴とする請求項１又は２に記載の定着装置。
- 前記定着回転体と接触する前記清掃回転体表面の前記ワックスに対するワックスの融点以上で２３０℃以下の領域内での所定温度Ｔ（℃）での接触角をＡ（°）、前記清掃回転体と接触する前記定着回転体表面の前記ワックスに対する前記所定温度Ｔ（℃）での接触角をＢ（°）としたときに、Ａ＜Ｂであることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の定着装置。
- 前記定着回転体が０．２ｍｍ以上の耐熱弾性層を有し、前記清掃回転体は前記定着回転体と接触する部分のビッカース表面硬さが３５０Ｋｇ／ｍｍ２以上であり、前記清掃回転体は２〜１０ｋｇｆの荷重で前記定着回転体に圧接していることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の定着装置。
- 前記定着回転体の最表面にＰＦＡ、ＰＴＦＥ、ＦＥＰのいずれかのフッ素樹脂を含有するトナー離型層を有することを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載の定着装置。
- 前記清掃部材が芳香族ポリアミド繊維及び又はポリエステル繊維を含有する不織布であることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１項に記載の定着装置。
- 前記清掃部材がシート状の清掃部材であり、該シート状の清掃部材を移動させる清掃部材移動手段を有することを特徴とする請求項１〜７のいずれか１項に記載の定着装置。
- 前記定着回転体にシリコーンオイルを塗布しないことを特徴とする請求項１〜８のいずれか１項に記載の定着装置。
- 前記清掃部材がシリコーンオイルを含浸しないことを特徴とする請求項１〜９のいずれか１項に記載の定着装置。
- 請求項１〜１０のいずれか１項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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