JP2005038730A - 非焼結式ニッケル電極およびアルカリ蓄電池 - Google Patents

非焼結式ニッケル電極およびアルカリ蓄電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 安価であって、かつ従来の3次元多孔体を基板とする非焼結式ニッケル電極を提供したアルカリ蓄電池に比べて高率放電特性、充放電サイクル特性が劣らないアルカリ蓄電池を提供する。
【解決手段】 非焼結式ニッケル電極の基板として、2次元の多孔体もしくは凹凸を設けた金属製基板を適用し、ニッケル電極に粒子状または繊維状の熱可塑性樹脂を結着剤として含有させる。また、基板の表面に接着性に富む樹脂を配置したり、結着剤の表面改質(官能基の付与など)により活物質層と基板の接着性を高め、ニッケル電極の活物質保持機能を高める。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルカリ電池用非焼結式ニッケル電極および該ニッケル電極を用いたニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池やニッケル亜鉛電池等のアルカリ電池に関するものである。
近年携帯電話等の小型情報端末機器、パーソナルコンピュータ、電動工具等の電源として、ニッケル水素蓄電池やニッケルカドミウム電池等のアルカリ蓄電池が広く用いられている。また、ニッケル亜鉛一次(ニッケル亜鉛乾電池ともいう)および二次電池も高エネルギーを有する電池として注目されている。殊に、ニッケル水素蓄電池は、従来高出力を必要とする用途には不向きとされていたが、高率放電特性の改良によって前記の用途のみならず、ハイブリッド形電気自動車(HEV)の動力源としても用いられるようになり、需要量が増大するにつれ一層の価格の低減が求められている。
前記用途において、電池は限定された大きさの空間に収納される。電池収納空間の省スペース化のため、電池に対して小型化が要求されている。また、適用する機器の電気的負荷が大きくなる傾向にあり、電池に対して優れた高率放電特性が求められている。
アルカリ蓄電池は、水酸化ニッケルを主活物質とするニッケル電極を正極とし、水素吸蔵合金電極、カドミウム電極や亜鉛電極を負極とする構成を採っている。正極については、生産性が高いことと、高容量化を図ることができるところから、かっての焼結式ニッケル電極に替えて、非焼結式(ペースト式ともいう)ニッケル電極が広く用いられている。
前記非焼結式ニッケル電極は、活物質である水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末を発泡ニッケル等のスポンジ状3次元多孔体基板に担持させたものであって、ニッケル電極内にオキシ水酸化コバルトからなる導電性ネットワークを形成することによって導電性を確保している。該非焼結式ニッケル電極は、水酸化ニッケルを主成分とする物質粉末に導電性ネットワークを形成するための材料である水酸化コバルトや一酸化コバルト粉末の混合粉末にカルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を溶解させた水溶液を添加混練してペーストにし、該ペーストを発泡ニッケル等の多孔性基板に充填した後乾燥し、プレス加工を施したものである。前記発泡ニッケル製基板は、目が細かく活物質粒子表面にオキシ水酸化コバルトの導電性ネットワークを形成させるのみで十分な集電機能が確保できる利点がある。また、該基板は、活物質粉末の保持機能にも優れており、例えばペーストの増粘剤として添加したCMCの結着力により、CMC以外に特に結着剤を添加することなく活物質粉末が基板に保持される。しかし、金属発泡体等の3次元多孔体基板は高価である欠点があり、それに替わる基板を適用したニッケル電極の開発が求められていた。
3次元多孔体に替わる非焼結式ニッケル電極用基板として金属性穿孔やメタルラス等の2次元多孔体あるいは単純な金属板などがあるが、3次元多孔体に比べて活物質の保持機能および集電機能が劣る欠点があり、穿孔鋼板等の2次元多孔体を基板に適用したニッケル電極は未だに実用化されてはいない。2次元多孔体または単純な板状基板の活物質保持機能や集電機能を高めるため、例えば穿孔板の孔の断面形状をハの字状にして基板に立体的な構造を付与することが提案されている。また、芯材である金属板の表面にニッケル粉末を焼結させて金属板の表面に微細な凹凸を設けることが提案されている。(例えば特許文献1、特許文献2参照)
実開平6−79065号公報(図2) 特開平5−3033号公報(図1) しかし、前記特許文献で提案されている方法は、基板の構造が特殊であり、基板そのものが高価になるという欠点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、従来の3次元多孔性基板を適用した非焼結式ニッケル電極の高率放電特性や充放電サイクル特性などの電気的特性を低下させることなく、前記金属発泡体等の3次元多孔性基板に替えて、穿孔金属板、エキスパンドメタルや、金属製メッシュに代表されるメタルラス等の2次元多孔性基板を適用した非焼結式ニッケル電極を実現せんとするものである。
本発明に係るニッケル電極は、耐アルカリ電解液性の金属製基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末を担持させた非焼結式ニッケル電極であって、孔径が0.5〜2mm、開口率が5〜20%の2次元多孔体を基板とし、結着剤として粒子状又は繊維状の熱可塑性樹脂を含有するニッケル電極である。本発明に係る構成のニッケル電極とすることによって、3次元多孔体を基板に用いたニッケル電極に比べて安価であって、活物質の保持機能や集電機能の劣らないニッケル電極を実現する。
本発明に係るニッケル電極は、凹凸を設けた金属製基板に主として水酸化ニッケルからなる活物質粉末、結着剤および導電剤を主成分とする活物質層を担持させた非焼結式ニッケル電極であって、結着剤として粒子状又は繊維状の熱可塑性樹脂を含有するニッケル電極である。本発明に係る構成のニッケル電極とすることによって、前記2次元多孔体を基板に適用したニッケル電極同様、3次元多孔体を基板に用いたニッケル電極に比べて安価であって、活物質の保持機能や電気的特性の劣らないニッケル電極を実現する。
本発明に係るニッケル電極は、前記結着剤がポリオレフィンまたはポリテトラフロロエチレン樹脂であって、前記基板の表面に接着しており前記結着剤と異なる樹脂を配置したニッケル電極である。ここでいう結着剤と異なる樹脂とはスチレンブタジエン共重合体(SBR)等基板と接着性を有する樹脂を指す。本発明に係る構成のニッケル電極とすることによって、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂やポリテトラフロロエチレン等の金属との接着性に乏しい樹脂を結着剤に適用した場合に基板と活物質層との結着機能を高めることができる。
本発明に係るニッケル電極は、前記粒子状または繊維状熱可塑性樹脂が官能基を有することを特徴とするニッケル電極である。本発明に係る構成のニッケル電極とすることによって、前記粒子状または繊維状熱可塑性樹脂が本来基板との接着性に乏しい樹脂であったとしても、樹脂に接着性を付与することができ、ポリオレフィン樹脂等基板との接着性に乏しい樹脂を結着剤に用いた場合であっても基板と活物質層の結着機能を高めることができる。
本発明に係るアルカリ蓄電池は、前記本発明に係るニッケル電極を適用したアルカリ蓄電池であって、従来の3次元多孔体を基板に適用した非焼結式ニッケル電極を備えるアルカリ蓄電池に比べて電気的特性を低下させることなく、安価なアルカリ蓄電池とすることができる。
本発明の請求項1によれば、従来の3次元多孔体基板を用いたニッケル電極に比べて安価であって、活物質層の保持機能、高率放電性能および充放電サイクル性能において従来のニッケル電極に劣らないニッケル電極を実現することができる。
本発明の請求項2によればニッケル電極に添加する熱可塑性樹脂が基板との接着性に劣るものを適用した場合にも従来に劣らない活物質層と基板との接着性を確保することができる。
本発明の請求項3によれば、ニッケル電極に添加する熱可塑性樹脂が本来基板との接着性に劣るものであっても基板との接着性を高めることができる。
本発明の請求項4によれば、請求項1の効果を高めることができる。
本発明の請求項5によれば、請求項1において高率放電性能を高めることができる。
本発明の請求項6によれば、非焼結式ニッケル電極を適用したアルカリ蓄電池において、従来の電池に比べて安価であって、高率放電特性、充放電サイクル特性が従来の電池に比べて劣らないアルカリ蓄電池を実現することができる。
図1は、本発明に係る非焼結式ニッケル電極1の断面の1例を模式的に示す図である。該ニッケル電極1は、平均粒径が5〜30μm程度の水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末、導電剤粉末および結着剤の混合物からなる活物質層2をニッケルメッキを施した穿孔鋼板製基板3の両面に層(活物質層)状に担持させたものである。
前記基板3は、特に限定されるものではなく、前記のようにニッケルやニッケルメッキを施した鋼板製の穿孔板、エキスパンドメタルやメッシュを適用することができる。これら2次元の多孔体は、従来の3次元多孔体に比べて安価である利点がある。中でも穿孔金属板は格別に安価であり、本発明に係るニッケル電極の基板として最も好適な材料の一つである。
本発明に適用する前記2次元多孔性基板は、開口径が0.5〜2.0mmであり、中でも0.5〜1.6mmとすることが好ましい。本発明においては、開口の形状は、穿孔板に多く見られる円形や矩形の他にエキスパンドメタルやメッシュのように菱形も含まれ、その形状は特に限定されるものではない。ここでいう孔径とは、円形の開口の場合はその直径を、三角形の場合はその最短の辺の長さを、矩形や菱形など多角形の開口の場合はその最小の対角線の長さを指す。
開口径が0.5mmを下回る穿孔板やエキスパンドメタルは製造が困難で入手し難く実用に適さない欠点がある。後記の如く、開口径が2.0mmを超える基板を適用したニッケル電極は集電機能が劣り、高率放電特性が低下する虞がある。
本発明に適用する前記2次元多孔性基板の開口率は、5〜20%であって、中でも10〜20%とすることが好ましい。開口率が20%を超えると集電機能が低下し、開口率が5%を下回ると活物質保持機能が低下する虞がある。
図2は、本発明に係るニッケル電極の活物質2の構成を模式的に示す断面図である(簡略化するため活物質層2を基板3の片面にのみ表記した。)。ニッケル電極の活物質層2は、水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末4、導電剤粉末5および結着剤6の混合物である。前記のように、本発明に係るニッケル電極は、結着剤6として、図2に示したように粒子状の熱可塑性樹脂を含有する。あるいは図には示していないが、結着剤として繊維状の熱可塑性樹脂を含有する。前記結着剤は、平均粒径が0.2〜5μmの粒子状または太さが1〜5μmの繊維状であることが好ましい。該熱可塑性樹脂は、正極内において連続した膜状としてではなく粒子または繊維として存在するので活物質粉末同士あるいは活物質と基板さらには活物質粉末と電解液のコンタクトを阻害する虞がない。このため、本発明に係るニッケル電極は、導電性が高く、かつ活物質と電解液とのコンタクトも良いので高率放電特性に優れたニッケル電極となることが期待できる。
前記結着剤である粒子状または繊維状熱可塑性樹脂の材質は、特に限定されるものではないが、安価で入手が容易なものが好適である。粒子状のものとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)やポリテトラフロロエチレンや3フッ化塩化エチレン等のフッ素樹脂が適用でき、繊維状のものとして、例えば粉末状のポリテトラフロロエチレンと活物質粉末の混合物にアルコール等の溶媒を添加して混練することによって得ることができる。
本発明に係るニッケル電極は、基板と活物質層との界面に基板と接着性を有する樹脂(以下接着性樹脂と記述する)を配置することが好ましい。前記のように本発明に係るニッケル電極においては、活物質粉末を主成分とする混合物が基板の両面に層状に担持されており、両方の層(以下活物質層と記述する)が開口を介して繋がっているので、活物質層が基板から容易に剥離することはない。しかし、前記粒子状または繊維状熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂やポリテトラフロロエチレンの場合、これら熱可塑性樹脂の基板に対する接着性が劣るため、活物質層と基板との間に十分な接着機能が得られない。このような構成のニッケル電極においては、基板の表面に基板と接着性樹脂を配置して該樹脂を介して活物質層と基板との接着性を高めるか、あるいは前記熱可塑性樹脂の表面に官能基を付与するなど表面改質を施すことによって結着剤である熱可塑性樹脂と基板との接着性を高めることが好ましい。
前記接着性樹脂の例としては、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム(SBR)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、アクリルゴム等の合成ゴムや天然ゴムなどゴム類が適用できる。またポリエーテルやポリエステルなどの熱可塑性樹脂やエポキシなどの熱硬化性樹脂が適用できる。さらに、接着性樹脂が基板表面を層状に覆う場合には、樹脂に炭素粉末やニッケル粉末を混合し、樹脂に接着の機能以外に導電性を付与していわゆる導電性樹脂層とすることも出来る。該接着性樹脂は、基板と活物質層の界面に微量に配置されておれば十分にその機能を果たす効果がある。具体的には、基板表面に配置する樹脂の量は、基板の片面に対して基板の単位面積(開口部分を除く面積)当たり1〜7g/m2とするのが好ましく、1〜4g/m2とするのがさらに好ましい。樹脂量が1g/m2未満では基板と活物質層を接着させる効果が得られず、7g/m2を超えると基板と活物質層との間の導電機能が阻害されるので好ましくない。これらの樹脂の希薄溶液を基板表面に塗布したのち、乾燥して溶媒を除去することによって基板表面に樹脂を配置することができる。基板表面に配置する樹脂の量は、塗布する樹脂溶液の濃度を変えるか、または樹脂溶液の濃度を一定にして塗布回数を変えることによって制御することができる。
結着剤である前記粒子状または繊維状の熱可塑性樹脂に導入する官能基は、特に限定されるものではないが、たとえばカルボキシル基やスルフォン基が有効である。例えば粒子状ポリエチレンにカルボキシル基を導入するには、ポリエチレン粒子に電子線を照射してラジカルを発生させたのちアクリル酸やメタアクリル酸の溶液に浸漬する方法がある。また、スルフォン基を導入するには、例えば粒子状ポリエチレンを熱濃硫酸や無水硫酸に接触させる方法が適用できる。
本発明に係るニッケル電極は、前記水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末に、前記粒子状または繊維状熱可塑性樹脂の他にニッケル粉末または炭素粉末等の導電剤を混合させた状態で含有する。特にニッケル粉末は耐アルカリ性、耐酸化性に極めて優れており、導電剤として好ましい材料である。本発明において導電剤の大きさ、含有比率等は特に限定されるものではないが、導電剤粉末の平均粒径は0.1〜3μm、ニッケル電極活物質層の導電剤粉末の含有比率は5〜15重量%が好ましい。ニッケル粉末の場合、平均粒径が0.1μm未満の粉末は高価である欠点があり、平均粒径が3μmを超えると導電性付与機能が低い欠点がある。また、導電剤粉末の含有比率が5重量%未満では導電性付与機能が低く、15重量%を超えるとニッケル電極の活物質充填量が低い欠点がある。
前記水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末の形状や組成は特に限定されるものではないが、平均粒径が5〜30μmであって、例えば数重量%の亜鉛を固溶状態で含む水酸化ニッケルを主成分とする芯層の表面に、公知の方法によりオキシ水酸化コバルト等のコバルトの高次化合物からなる導電性の層であって、活物質粒子全体に占める比率が数重量%の表面層を設けたものを適用することもできる。
本発明に係るニッケル電極に適用する基板の別の実施形態は、エンボス加工やローレット加工により凹凸を設けた基板である。凹凸の形状は特に限定されるものではないが、例えば半球状や円錐状等の凹凸を設けることが好適である。図3は、凹部7と凸部8を設けた基板の断面形状を模式的に示した図であり、図4は該基板の平面の形状を模式的に示した図である。図4で斜線を施した円は凹部7を、白抜きの円は凸部8を示す。本発明に係るニッケル電極に適用する基板においては、例えば図3に示すように基板2に凹部7と凸部8が交互に並ぶように配置するのが好ましい。凹部および凸部の大きさは直径(図3で示したDに相当)が0.5〜1.2mm、高さが0.2〜0.5mmであって凹部と凸部の間隔を示すピッチ(隣り合う凹部と凸部、隣合う凹部同士、あるいは隣合う凸部同士の中心間の距離、図3、図4においてPで表記した)が0.8〜2mmとすることが好ましい。基板と活物質層の結着機能を高めるには、なるべく小さな凹凸を密に設けることが好ましいが。直径が0.5mm未満の凹凸を設けることは技術的に難しく、1.2mmを超えると前記結着を高める機能を得にくい欠点がある。また、基板に凹凸を設けることに加えて、基板に穿孔を設けたり、図3(ロ)に示したように、基板の表面に、結着剤とは異なる基板と接着性のある樹脂9を配置することも活物質層と基板との結着性を高めるうえで有効である。
以下に、ニッケル電極用基板に穿孔板を適用した例を提示して本発明の詳細を説明するが、本発明の実施の態様は、以下に記述する実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(ニッケル電極の活物質粉末の作製)
ニッケル電極の活物質には、高容量型のニッケル電極用活物質として用いられている高密度タイプの水酸化ニッケルを主成分とする粉末(以下単に水酸化ニッケル粉末と記述する)を適用した。該水酸化ニッケル粉末は、平均粒径が約10μmの粉末であって、金属としての比率で亜鉛(Zn)およびコバルト(Co)をそれぞれ4重量%と5重量%固溶させた水酸化ニッケルを芯層とし、表面にβ−水酸化コバルト{Co(OH)2}を被覆したものである。尚、紛末全体に占める前記水酸化コバルトの比率を5重量%とした。
前記表面に水酸化コバルトの層を設けた水酸化ニッケル粉末100gを温度60℃、濃度10重量%の水酸化ナトリウム水溶液200ml中に投入し、撹拌して粉末を分散させた。前記分散液の温度を90℃に維持しながら、酸化剤である濃度5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液45mlを徐徐に滴下した。該反応浴の温度を前記温度に維持しながら、2時間の間ゆっくり撹拌した。前記水酸化ニケル粉末を反応浴溶液とろ過分離した後、水洗しその後乾燥した。得られた水酸化ニッケル紛末濃度30重量%、温度80℃の水酸化ナトリウム水溶液20gを加えて温度80℃に2時間保持した後水洗乾燥した。このようにして得た活物質粒子に含まれる平均酸化数は2.15であった。
(ニッケル電極基板の作製)
メッキ厚さ5μmのニッケルメッキを施した厚さ0.05mm、開口径1.0mmの円形の開口を有し、開口率が5%の穿孔鋼板を用意した。
(ニッケル電極活物質ペーストの作製)
前記酸化処理を施した水酸化ニッケル紛末100重量部と平均粒径1μmのニッケル粉末7重量部との混合物に平均粒径が3μm、密度が0.93の低密度PE粒子2重量部(水酸化ニッケル粉末の容積とPE粒子の容積の和に占めるPE粒子の容積比率は7%)および濃度0.5重量%のCMC水溶液25重量部を添加混連して、ペーストを作製した。
(ニッケル電極の作製)
前記穿孔鋼板製基板の両面に、前記ニッケル電極活物質ペーストを塗布した。塗布後の極板を乾燥して厚さ約1.3mmの極板を得た。該極板を、表面温度を80℃に加熱した熱ロールに通し、厚さを約0.6mmに加圧調整した。得られた極板を38×90mmに裁断して電池試作用のニッケル極板とした。該極板の重量から活物質充填量を算定した。該活物質充填量から正極の充填容量は、1600mAhと算定された。
(ニッケル電極の耐振動試験)
前記ニッケル極板を、ニッケルメッキを施した直径5mmの鉄製の棒状巻芯に巻き付けた後、極板を容量50mlのガラス製メスシリンダーの中に収納し、加振装置によりメスシリンダー毎上下方向の振動を加えた。加える振動を、振幅が2mm、周波数が1Hz、加振の回数(振動数)を300回とした。加振において脱落した活物質量を活物質の充填量で除した値を活物質脱落率とし極板の活物質保持機能を示す尺度とした。試験用サンプル5個を用意し、5個の平均値をもって活物質脱落率とした。
(水素吸蔵合金電極の作製)
MmNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3(MmはLa、Ce、Pr、Nd等の希土類元素の混合物であるミッシュメタルを表す)で示される組成の水素吸蔵合金を適用して所定の方法によって38×110mm、厚さ0.25mmの水素吸蔵合金電極を作製した。
(ニッケル水素蓄電池の作製)
前記ニッケル電極と水素吸蔵合金電極を組み合わせて捲回式極板群を作製し、該極板群を適用して、定法によりAAサイズの円筒型ニッケル水素電池を5個づつ組み立てた。尚、負極(水素吸蔵合金電極)と正極(ニッケル電極)の活物質充填容量の比を1.6とした。
(化成および放電容量の確認)
前記実施例電池および比較例電池を定法により電池を活性化するための充放電を5サイクル繰り返し行い、該化成に続いて6〜10サイクルの間、温度20℃において、1/10ItAにて12時間充電した後1/5ItA(電流320mA)終止電圧1.0Vで放電し、安定した放電容量が得られることを確認した。
(高率放電試験)
実施例1に係る容量確認済み(前記化成のための5サイクル目までの充放電と、それに続く容量確認のための10サイクル目までの充放電過程を終えたことを指す)ニッケル水素蓄電池を各々5個づつ用意し、周囲温度20℃において高率放電試験に供した。電流1/5ItAで6時間充電した後、1時間休止時間を設け、その後同温度で電流5ItA、放電終止電圧0.8Vとして放電した。該放電で得られた放電容量の、前記周囲温度20℃において電流1/5ItA、終止電圧1.0Vで放電したときに得られた放電容量に対する比率を求め、5個の平均値を高率放電における放電容量(1/5ItA放電に於ける放電容量に対する百分率で表した)とした。
(充放電サイクル試験)
実施例1に係る容量確認済みのニッケル水素蓄電池を各々5個づつ用意し、周囲温度20℃において充放電サイクル試験に供した。電流1ItAで1.2時間充電し、1時間休止後電流1ItA、終止電圧1.0Vとして放電し、該充放電を1サイクルとして充放電を繰り返し実施した。300サイクル目の放電容量の、初回の放電容量に対する比率(百分率)の5個の平均値をもってサイクル性能を表す尺度とした。
(実施例2〜実施例4)
実施例1においてニッケル電極基板の開口率のみを表1の実施例2〜実施例5に示した通りに変え、他の構成は全て実施例1と同じ構成とした。該構成としたニッケル電極およびニッケル水素蓄電池をそれぞれ実施例2〜実施例4とする。
(比較例1〜比較例3)
実施例1においてニッケル電極基板の開口率のみを表1の比較例1、比較例2に示した通りに変え、他の構成は全て実施例1と同じ構成とした。このような構成としたニッケル電極およびニッケル水素蓄電池をそれぞれ比較例1〜比較例3とする。
(比較例4)
前記活物質粒子にカルボキシセルロース(CMC)水溶液を添加して前記活物質粒子:CMCが重量比で99.5:0.5の比率になるように配合し、混練してペースト状とした。該ペーストを厚さ1.3mm、坪量450g/m2の発泡ニッケルに充填し乾燥後、ロールに掛けて厚さを0.6mmとした。該極板を裁断し、適用した基板が異なる以外は実施例1と同じ構成のニッケル電極を作製した。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池を比較例3とする。
表1に実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例4に係るニッケル電極の耐振動試験結果、およびニッケル水素蓄電池の高率放電試験結果、サイクル試験結果を示す。
Figure 2005038730
表1に示す如く、実施例1〜実施例4および比較例2に係るニッケル電極は、比較例1、比較例3に比べて活物質脱落量が少なく、活物質保持機能が優れている。特に実施例2〜実施例4に係るニッケル電極は、従来広く用いられている発泡ニッケルを基板に適用した比較例4に係るニッケル電極とほぼ同等の活物質保持機能を有し、実施例2〜4に係るニッケル水素蓄電池は、サイクル性能において比較例4とほぼ同等の性能を示す。比較例2に係るニッケル電極は、活物質の保持機能に優れ、比較例2に係るニッケル水素蓄電池はサイクル性能においても比較例4や実施例2〜実施例4と同等以上であるが、高率放電性能の評価尺度である5ItA放電での放電性能が極端に劣る。比較例2の場合、ニッケル電極用基板に設けた開口の開口率が大きいためにニッケル電極の集電機能が劣り、高率放電性能が低くなったと考えられる。これに対して、実施例1〜実施例4は、優れた高率放電性能を示し、特に実施例2〜実施例4は、比較例4に劣らない性能を示すことが分かる。基板に開口を設けると、該開口を介して、基板の表裏両面に担持させた活物質層同士が密着するため活物質層が基板から剥離し難くなると考えられる。ニッケル電極用基板として開口を設けない基板を適用した比較例3は、ニッケル電極の活物質保持機能が劣り、これが原因でニッケル水素蓄電池のサイクル性能が低くなったものと考えられる。また、比較例1においては開口率が小さいために、比較例3同様ニッケル電極の活物質保持機能が劣っているものと考えられる。実施例、特に実施例2〜実施例4においては、ニッケル電極の活物質保持機能、集電機能共に良好であるために、サイクル性能と高率放電性能の両方において優れた性能を兼ね備えたニッケル水素蓄電池が得られたものと考えられる。以上の結果を総合すると、開口径が1mmの開口を設けた基板を適用したニッケル電極および該ニッkル電極を備えるニッケル水素蓄電池においては、前記ニッケル電極用基板の開口率を5〜20%にすることが良く、開口率を10〜20%にすることが好ましいことが分かる。
(実施例5)
前記実施例1において、ニッケル電極基板の開口径のみを0.5mmとし、他の構成は全て実施例1と同じとした。該構成のニッケル電極およびニッケル水素蓄電池を実施例5とする。
(実施例6〜実施例8)
前記実施例5において、ニッケル電極基板の開口率のみを表2の実施例6〜実施例8に示した通りに変え、他の構成は全て実施例5と同じ構成とした。該構成のニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池をそれぞれ実施例6〜実施例8とする。
(比較例5、比較例6)
前記実施例5においてニッケル電極基板の開口率のみを表2の比較例5、比較例6に示した通りに変え、他の構成は全て実施例5と同じ構成とした。該構成のニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池をそれぞれ比較例5、比較例6とする。
表2に実施例5〜実施例8および比較例5、比較例6に係るニッケル電極の耐振動試験結果、ニッケル水素蓄電池の高率放電試験結果およびサイクル試験結果を示す。
Figure 2005038730
表2に示した通り、実施例5〜実施例8は、比較例6に比べて高率放電性能が優れ、比較例5に比べてサイクル性能に優れている。該実施例5〜実施例8と比較例5、比較例6との性能の差は、前記実施例1〜実施例4と比較例1〜比較例3の性能に差が生じたの同様、ニッケル電極の活物質保持機能と集電機能の差が原因になっているものと考えられる。実施例5〜実施例8の高率放電性能、サイクル性能は表1に示した比較例4に見劣りしない。特に、実施例6〜実施例8は、優れたサイクル性能を示す。このことから、開口径が0.5mmの開口を設けた基板を適用したニッケル電極および該ニッケル電極を備えるニッケル水素蓄電池においては、前記ニッケル電極用基板の開口率を5〜20%にすることが良く、開口率を10〜20%にすることが好ましいことが分かる。
(実施例9)
前記実施例1において、ニッケル電極基板の開口径のみを2.0mmとし、他の構成は全て実施例1と同じとした。該構成のニッケル電極およびニッケル水素蓄電池を実施例9とする。
(実施例10〜実施例12)
前記実施例9において、ニッケル電極基板の開口率のみを表3の実施例10〜実施例12に示した通りに変え、他の構成は全て実施例9と同じ構成とした。該構成のニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池をそれぞれ実施例10〜実施例12とする。
(比較例7、比較例8)
前記実施例9においてニッケル電極基板の開口率のみを表3の比較例7、比較例8に示した通りに変え、他の構成は全て実施例9と同じ構成とした。該構成のニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池をそれぞれ比較例7、比較例8とする。
表3に実施例9〜実施例12および比較例7、比較例8に係るニッケル電極の耐振動試験結果、ニッケル水素蓄電池の高率放電試験結果およびサイクル試験結果を示す。
Figure 2005038730
表3に示した通り、実施例9〜実施例12は、比較例7に比べてサイクル性能に優れ、比較例8に比べて高率放電性能が優れている。該実施例9〜実施例12と比較例7、比較例8との性能の差は、前記実施例1〜実施例4と比較例1〜比較例3の性能に差が生じたのと同様、ニッケル電極の活物質保持機能と集電機能の差が原因になっているものと考えられる。実施例9〜実施例12の高率放電性能、サイクル性能は表1に示した比較例4に見劣りしない。特に、実施例101〜実施例12は、優れたサイクル性能を示す。このことから、開口径が2.0mmの開口を設けた基板を適用したニッケル電極および該ニッケル電極を備えるニッケル水素蓄電池においては、前記ニッケル電極用基板の開口率を5〜20%にすることが良く、開口率を10〜20%にすることが好ましいことが分かる。
(比較例9)
前記実施例1において、ニッケル電極基板の開口径のみを2.5mmとし、他の構成は全て実施例1と同じとした。該構成のニッケル電極およびニッケル水素蓄電池を比較例9とする。
(比較例10、比較例11)
前記比較例9においてニッケル電極基板の開口率のみを表4の比較例10、比較例11に示した通りに変え、他の構成は全て比較例9と同じ構成とした。該構成のニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池をそれぞれ比較例10、比較例11とする。
表4に比較例9〜比較例11に係るニッケル電極の耐振動試験結果、ニッケル水素蓄電池の高率放電試験結果およびサイクル試験結果を示す。
Figure 2005038730
表4に示した如く、比較例9は5ItA放電における放電容量は60%を超える性能を示すが、活物質脱落量が多くサイクル性能が劣る欠点がある。比較例10および比較例11は5ItA放電における放電容量が55%を下回っており、比較例10はサイクル性能において80%を下回っており、前記の実施例に比べて劣っている。以上記述したように開口径を2.5mmに設定した場合は高率放電性能、サイクル性能のうちのいずれかの性能が劣っている。
(実施例13)
前記実施例1において、ニッケル電極基板の開口径のみを0.8mmとし、他の構成は全て実施例1と同じとした。該構成のニッケル電極およびニッケル水素蓄電池を実施例13とする。
(実施例14、比較例12、比較例13)
前記実施例13において、ニッケル電極基板の開口率のみを表5の実施例14、比較例12、比較例13に示した通りに変え、他の構成は全て実施例13と同じとした。該構成のニッケル電極およびニッケル水素蓄電池をそれぞれ実施例14、比較例12、比較例13とする。
(実施例15)
前記実施例1において、ニッケル電極基板の開口径のみを1.6mmとし、他の構成は全て実施例1と同じとした。該構成のニッケル電極およびニッケル水素蓄電池を実施例15とする。
(実施例16、比較例14、比較例15)
前記実施例15において、ニッケル電極基板の開口率のみを表5の実施例16、比較例14、比較例15に示した通りに変え、他の構成は全て実施例15と同じとした。該構成のニッケル電極およびニッケル水素蓄電池をそれぞれ実施例16、比較例14、比較例15とする。
表5に実施例13、実施例14、比較例12、比較例13および実施例15、実施例16、比較例14、比較例15に係るニッケル電極の耐振動試験結果、ニッケル水素蓄電池の高率放電試験結果およびサイクル試験結果を示す。
Figure 2005038730
ニッケル電極基板の開口率を5、20%とした実施例13、実施例14および実施例15、実施例16は、いずれも5ItA放電における放電容量が60%以上であり、かつサイクル性能も80%を超えている。これに対して、比較例13および比較例15は、サイクル性能は良好であるものの5ItA放電における放電性能が50%を下回っている。他方比較例12および比較例14は、5ItA放電における放電性能は良好であるもののサイクル性能が80%を下回っており実施例に比べて劣る。以上の結果からニッケル電極基板の開口径が0.8mm、1.6mmの場合、共に開口率を5〜20%に設定することが良いことが分かる。
(実施例17)
下記ニッケル基板の表面にSBRを塗布配置したことを除いて、前記実施例2と同じ構成とした。
(ニッケル電極基板の作製)
メッキ厚さ5μmのニッケルメッキを施した厚さ0.06mm、孔径1.0mmの円形の開口を有し、開口率が10%の穿孔鋼板を用意した。該穿孔鋼板を濃度が2重量%のSBRのエマルジョン液に浸漬したのち、エマルジョン液から引き上げ約1時間吊しておいて過剰の液を流下させて排除し、乾燥した。該浸漬、乾燥操作を1回行なった。SBRの溶液に浸漬し乾燥した後と浸漬前の発泡ニッケルの重量差からSBRの付着量を算定した。このようにして求めたSBRの付着量は、1g/m2であった。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池を実施例17とする。
(実施例18、実施例19、参考例1)
前記実施例17において、前記穿孔鋼板をSBRのエマルジョン溶液に浸漬した後乾燥する操作回数を2回、3回、5回と変えてニッケル電極の基板表面に配置するSBRの量を表3の実施例18、実施例19および参考例1に示したように変えた。それ以外の構成を実施例17の構成と同じとした。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池をそれぞれ実施例18、実施例19および参考例1とする。
実施例17〜実施例19、参考例1に係るニッケル電極およびニッケル水素蓄電池をそれぞれ5個づつ用意し、ニッケル電極を耐振動試験に、ニッケル水素蓄電池を高率放電試験および充放電サイクル試験に供した。耐振動試験結果、高率放電試験および充放電サイクル試験結果を表6に示す。
Figure 2005038730
表6に示した通り、実施例17〜実施例19および参考例1は、活物質脱落量が前記比較例4に比べて少なく、サイクル性能において比較例4に比べて同等又はそれ以上の特性を示す。さらに、実施例17〜実施例19は、サイクル性能において実施例2を上回る性能を示す。これは、熱可塑性樹脂を結着剤で用いたことと、基板表面にSBRを接着させて活物質層と基板の結着性を高めた効果によるものと考えられる。ただし、参考例1は、実施例2、実施例17〜実施例19に比べて高率放電特性が劣る。参考例1の場合、ニッケル電極の基板の表面に配置したSBRが多いために、ニッケル電極の活物質層と基板の間の電気抵抗が増大して、ニッケル電極の集電機能が低下したために高率放電特性が実施例2、実施例17〜実施例19のそれを下回ったものと考えられる。従って、ニッケル電極基板の表面に配置する接着性樹脂の量は、1〜4g/m2が好ましいことが分かる。
(実施例20、実施例21、参考例2、参考例3)
前記実施例2において、ニッケル電極のニッケル電極に含有させる活物質粉末の容積とPE粒子の容積の和に占めるPE粒子の容積比率を表7の実施例20、実施例21および参考例2、参考例3に示したように変え、それ以外の構成を実施例2の構成と同じとした。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池をそれぞれ実施例20、実施例21、参考例2および参考例3とする。
実施例20、実施例21および参考例2、参考例3に係るニッケル電極およびニッケル水素蓄電池をそれぞれ5個づつ用意し、ニッケル電極を耐振動試験に、ニッケル水素蓄電池を高率放電試験および充放電サイクル試験に供した。耐振動試験結果、高率放電試験および充放電サイクル試験結果を表7に示す。
Figure 2005038730
表7に示した通り、実施例20、実施例21は、比較例4に比べて活物質脱落量が少なく、サイクル性能においても同等以上の性能を有する。これに対して、結着剤量を1vol.%と少なくした参考例2は、活物質脱落量が多くサイクル性能において80%以上ではあるものの実施例20や前記他の実施例に比べて劣る。一方、結着剤量を多くした参考例3は、活物質脱落量は少ないものの高率放電特性が劣る。このことから、ニッケル電極に含有させる粒子状熱可塑性樹脂からなる結着剤量は、2〜7vol%が好ましいことが判る。
(実施例22)
ニッケル電極の結着剤として前記実施例2において適用したPE粒子に替えて表面にアクリル酸をグラフト重合したPE粒子を適用した。前記PE粒子を所定のトレイに厚さほぼ1mmの層状に充填し、トレイごと窒素を充填した(酸素を除去した)気密性の袋に収納し加速電圧300KVの電子線を線量100キログレイ(KGy)照射したのち、前記気密性の袋を窒素雰囲気中で開封し、PE粒子を直ちに濃度30重量%のアクリル酸水溶液中に浸漬した。得られたPE粒子のグラフト率(グラフト重合処理によって増加した重量を元のPE粒子の重量で割った値)は10%であった。適用した結着剤以外の構成は、実施例2の構成と同じとした。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池を実施例22とする。
(実施例23)
前記実施例2において、PE粒子に替えて平均粒径400μmのポリテトラフロロエチレン(PTFE)粉末を適用した。前記酸化処理を施した水酸化ニッケル紛末100重量部と鱗片状黒鉛粉末7重量部との混合物に前記ポリテトラフロロエチレン粉末を4.5重量部(水酸化ニッケル粉末の容積とPTFE粉末の容積の和に占めるPTFE粉末の容積比率は7%)およびエタノール10重量部を添加して混練した。乾燥してエタノールを除去したのち混合物に濃度0.5重量%のCMC水溶液25重量部を添加混連して、ペーストを作製した。該ペーストを実施例2に適用したものと同じ基板の両面に塗布し、実施例2と同じ手順でニッケル極板を作製した。得られたニッケル電極を光学顕微鏡で観察したところPTFEが太さ約5μmの繊維状となってニッケル電極内に分布しているのが確認された。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池を実施例23とする。
実施例22、実施例23に係るニッケル電極およびニッケル水素蓄電池をそれぞれ5個づつ用意し、ニッケル電極を耐振動試験に、ニッケル水素蓄電池を高率放電試験および充放電サイクル試験に供した。耐振動試験結果、高率放電試験および充放電サイクル試験結果を表8に示す。
Figure 2005038730
表8に示した通り、粒子状PEにアクリル酸をグラフト重合した結着剤を適用した実施例22は、活物質脱落量が少なく、高率放電特性、サイクル性能共に優れた特性を示す。これは、結着剤にアクリル酸をグラフト重合したことによって結着剤の基板に対する接着機能が増したためと考えられる。また、繊維状ポリテトラフロロエチレンを結着剤に適用した実施例23は、高率放電特性が優れ、サイクル性能に置いても比較例4と同等以上の性能を有している。実施例23において優れた性能が得られたのは、実施例23においては、結着剤が繊維状であるために活物質層の集電機能および活物質と電解液とのコンタクトを阻害せず、かつ、活物質層と基板との結着機能が高いためと考えられる。
(実施例24)
(ニッケル電極基板の作製)
ニッケルメッキを施した厚さ0.06mmの鋼板にエンボス加工を施し、断面形状が図3(イ)、平面形状が図4(イ)に示す基板を作製した。なお、略半球状の凸部の直径(D)を0.8mm、高さを0.3mm、ピッチ(P)を1.2mmとし、該基板をニッケル電極用基板に適用した。該基板が異なる以外は前記実施例2と同じ構成とした。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池を実施例24とする。
(実施例25)
前記実施例2で適用した穿孔鋼板にエンボス加工を施し、実施例24に適用したニッケル電極用基板と同様の凹凸を設けた基板を適用した。エンボス加工に際しては凹凸と開口の相対的な位置関係を特に規定しなかった。該基板をニッケル電極の基板に適用した以外は前記実施例2と同じ構成とした。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池を実施例25とする。
(実施例26)
前記実施例25においてエンボス加工を施して凹凸を設けた穿孔鋼板を前記実施例18同様、SBRのエマルジョン液に浸漬して表面にSBRを付着させた。該基板が異なる以外は前記実施例25と同じ構成とした。該ニッケル電極およびニッケル電極を適用したニッケル水素蓄電池を実施例26とする。
実施例24〜実施例26に係るニッケル電極およびニッケル水素蓄電池をそれぞれ5個づつ用意し、ニッケル電極を耐振動試験に、ニッケル水素蓄電池を高率放電試験および充放電サイクル試験に供した。耐振動試験結果、高率放電試験および充放電サイクル試験結果を表9に示す。
Figure 2005038730
表9に示した通り、実施例24は、表1に示した前記比較例3に比べて活物質脱落量が少なく、高率放電特性、サイクル性能共に優れている。基板に凹凸を設けた実施例24においては、比較例3に比べて活物質層と基板との接触面積が大きいためにニッケル電極の集電機能が優れていることおよび活物質層と基板との結着機能が高められたことによって、比較例3に比べて活物質脱落量が少なくなり、優れたサイクル性能が得られたものと考えられる。実施例25においては開口を設けた基板にさらに凹凸を設けたために、実施例24に比べて集電機能が低くなり高率放電特性が少し低下したものの、活物質層と基板との結着機能が向上して実施例24に比べてサイクル性能が向上し、基板に凹凸を設けていない前記実施例2に比べて高率放電性能、サイクル性能共に上回ったものと考えられる。実施例26においては、実施例25において基板の表面にSBRを配置したために、実施例25に比べてニッケル電極の集電機能が低下し、高率放電特性が若干低いが、活物質層と基板との結着機能がさらに向上したために、実施例25に比べて活物質脱落量が少なくなるとともにさらに優れたサイクル性能が得られたものと考えられる。
本発明に係るニッケル電極の構成を模式的に示す図である。 本発明に係るニッケル電極の活物質層の構成を模式的に示す断面図である。 本発明に係るニッケル電極の基板の断面形状を模式的に示す図である。 本発明に係るニッケル電極の基板の凹凸の配置を模式的に示す図である。
符号の説明
1 ニッケル電極
2 活物質層
3 基板
4 活物質粒子
5 導電剤
6 粒子状熱可塑性樹脂
7 凹部
8 凸部
9 基板に接着した樹脂

Claims (6)

  1. 口径が0.5〜2mmの開口を有し、開口率が5〜20%の2次元の金属製多孔体からなる基板に、水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末、結着剤および導電剤を主成分とする活物質層を担持させた非焼結式ニッケル電極であって、前記結着剤が粒子状又は繊維状の熱可塑性樹脂であることを特徴とする非焼結式ニッケル電極。
  2. 凹凸を設けた金属製基板に水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末、結着剤および導電剤を主成分とする活物質層を担持させた非焼結式ニッケル電極であって、前記結着剤が粒子状又は繊維状の熱可塑性樹脂であることを特徴とする非焼結式ニッケル電極。
  3. 前記結着剤がポリオレフィンまたはポリテトラフロロエチレン樹脂であって、前記基板の表面に接着しており前記結着剤と異なる樹脂を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非焼結式ニッケル電極。
  4. 前記粒子状または繊維状熱可塑性樹脂が官能基を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の非焼結式ニッケル電極。
  5. ニッケル電極に含まれる前記活物質粉末の容積を100としたときに前記粒子状または繊維状熱可塑性樹脂の容積が2〜7である請求項1〜請求項4記載の非焼結式ニッケル電極。
  6. 請求項1〜請求項5に記載の非焼結式ニッケル電極を備えることを特徴とするアルカリ蓄電池。
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