JP3555473B2 - アルカリ二次電池用正極の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等のアルカリ二次電池を構成することのできる正極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコン、携帯電話等の小型化が進む中、情報関連機器、通信機器等の分野では、高エネルギー密度であるという理由から、ニッケルカドミウム電池(Ni−Cd電池)、ニッケル水素電池(Ni−MH電池)等のアルカリ二次電池が実用化され広く普及するに至っている。また一方、資源問題、環境問題から、自動車の分野においても電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)の開発が進み、HEV用の電源として、既にNi−MH電池が実用化されている。
【0003】
これらNi−Cd電池、Ni−MH電池等のアルカリ二次電池の正極は、一般的には、活物質に水酸化ニッケルを使用し、この水酸化ニッケルの粉末をニッケル系の集電体に保持させることにより構成されている。当初から実用されている水酸化ニッケルの保持方法として、減圧含浸法がある。減圧含浸法は、集電体に多孔度約80%の焼結式ニッケル基板に硝酸ニッケル水溶液を減圧含浸させた後、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液に浸漬してから洗浄・乾燥させるという含浸・中和工程を5〜10回行って、その多孔質基板内へ活物質の水酸化ニッケルを保持させるものである。この減圧含浸法によって製造された正極は、機械的な強度が高く、高率充放電に優れているという利点があった。ところが、幾度もの含浸・中和工程を繰り返す必要があることから製造工程が煩雑になる等の欠点があった。
【0004】
そこでこの欠点を解消する製造方法を採用した正極として、発泡式極板が開発された。この発泡式極板は、多孔度95%以上の3次元網目構造のニッケル多孔質体に、活物質である水酸化ニッケル微粉末にカルボキシルメチルセルロースやポリビニルアルコール等の水溶性高分子を結着剤として混合したペースト状の水溶液を、直接多孔質体の空孔に充てんして乾燥させたものである。
【0005】
ところが、この発泡式極板は、製造工程が簡略化できるものの、結着剤として用いる水溶性高分子に導電性はなく、正極の内部抵抗が大きいことから高出力放電が困難であるという問題を抱えていた。また、水溶性高分子自体の結着力は比較的弱く、充放電に伴って発生する活物質粒子の膨張収縮により、活物質粒子が集電体から脱落して放電容量が次第に減少し、いわゆる電池のサイクル特性を劣化させる要因ともなっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、結着剤としての水溶性高分子のもつ上記欠点を解消すべく、結着力が強くかつ電気伝導性の良好な物質によって活物質粒子を結着させることにより、高出力放電が可能でかつサイクル特性の良好な二次電池を構成することのできるアルカリ二次電池用正極を提供することを課題としている。また、この正極を、簡便な方法によって製造する製造方法を提供することをも課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のアルカリ二次電池用正極の製造方法により製造されるアルカリ二次電池用正極(以下、適宜「本発明のアルカリ二次電池用正極」あるいは「本発明の正極」と称す。)は、集電体と、水酸化ニッケルを主成分とし、該集電体に保持される活物質粒子と、該活物質粒子どうしおよび該集電体と該活物質粒子とを結着し、導電パスを形成する金属ニッケルとを含んでなる。本発明のアルカリ二次電池用正極は、活物質となる水酸化ニッケルおよび集電体材料との親和力が強くかつ電気伝導性の高い金属ニッケルによって、活物質粒子および集電体を結着させるように構成されたものである。このような構成のものとすることにより、本発明の正極を用いたアルカリ二次電池は、内部抵抗が小さいことで高出力放電が可能となり、かつ、活物質粒子の脱落が抑制されることでサイクル特性の良好な二次電池となる。
【0008】
また本発明のアルカリ二次電池用正極では、前記集電体は多孔質ニッケル系物質からなり、前記活物質粒子および前記金属ニッケルは該多孔質ニッケル系物質の空孔内に位置するように構成することが望ましい。電気化学的に安定であり、空孔内において活物質粒子を保持できることから、活物質粒子の脱落がさらに抑制でき、活物質粒子を結着させる金属ニッケルによる導電パスがより効率的に機能することで正極の電気抵抗をより小さくすることができる。
【0009】
本発明のアルカリ二次電池用正極の製造方法は、上記本発明のアルカリ二次電池用正極を製造する方法であって、集電体に活物質粒子およびニッケルよりイオン化傾向の大きい金属の粒子を含む混合物を付着させて正極前駆体を形成させる正極前駆体形成工程と、該正極前駆体形成工程後、該正極前駆体を陽イオンにニッケルを含む塩の水溶液に接液させて、該ニッケルよりイオン化傾向の大きい金属を該水溶液に溶出させつつ、前記活物質粒子および該集電体表面に金属ニッケルを析出させるニッケル析出工程とを含むことを特徴とする。つまり本発明のアルカリ二次電池用正極の製造方法は、電気化学的に卑な金属の粒子と活物質粒子との混合物を付着させた正極前駆体から、いわゆる置換メッキの技法により卑な金属と置換してニッケルを析出させることにより、活物質粒子が金属ニッケルにより結着された上記本発明の正極を製造するものである。本発明の製造方法は、置換メッキという簡便な1つの工程を付加するだけで、高出力放電が可能でサイクル特性の良好な二次電池を構成できる正極を製造できるという利点を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のアルカリ二次電池用正極を構成する集電体は、活物質粒子を保持して電極を形造る基材となる役割を果たすもので、導電性が良好であり、電池内の電気化学的反応によって容易に腐食されないものであれば種々の材質のものを用いることができる。一般には、電気化学的に貴な金属材料を用いることができる。機械的強度、成形性、活物質粒子である水酸化ニッケルおよび結着の役割を果たす金属ニッケルとの親和性等を考慮すれば、ニッケルまたはニッケル合金等のニッケル系物質を用いることが望ましい。また集電体のすべての部分がニッケル系物質である必要はなく、他の物質の表面をニッケル系物質で被覆する態様のものとすることもできる。
【0011】
集電体は、箔状あるいは板状のものを用いることもでき、また多孔質体を用いることもできる。箔状のものあるいは板状のものを用いる場合には、その両面あるいは片面に活物質粒子を結着させればよい。また、多孔質体を用いる場合には、多孔質体の空孔内に活物質粒子を結着させればよい。箔状あるいは板状のものとしては、例えばニッケル箔(板)、穿孔させたパンチングメタル状のニッケル箔(板)、ステンレス鋼あるいは軟鋼製の箔(板)またはパンチングメタルやエキスパンドメタル形状のものにニッケルめっきを施したもの等を用いることができる。多孔質体としては、発泡ニッケル基板、網状焼結属基板等を用いることができる。また、不織布等にニッケルめっきを施したフェルトめっき基板等を用いることもできる。
【0012】
これらの中でも、3次元網目構造をもつ発泡ニッケル基板は、空孔率95%以上のものが容易に作製でき、空孔内に活物質粒子を保持できることで活物質粒子の脱落が少なく、かつ活物質粒子の充てん密度を高くできることから、集電体には、この発砲ニッケル基板を用いることが望ましい。また、集電体にニッケル箔(板)等の平面形状のものを用いた場合は、表面に活物質粒子を層状に保持させることで、活物質粒子の保持力に劣るが、活物質密度をさらに高めることができるという利点がある。
【0013】
本発明のアルカリ二次電池用正極に用いる活物質は、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を主成分とした粒子からなる粉末を用いる。化学量論的な水酸化ニッケルの粒子からなる粉末であってもよく、また、電極反応におけるγ−NiOOH生成に起因する体積膨張を抑制するために、水酸化コバルト、水酸化カドミウム等を添加して固溶体とした水酸化ニッケル粒子、あるいは、水酸化コバルト等のコバルト化合物を表面に被覆させた水酸化ニッケル粒子からなる粉末を用いてもよい。さらに水酸化ニッケル粒子にコバルト、コバルト酸化物等の粒子を混合させた混合粉末を用いてもよく、また、電極反応に伴う酸素ガスの発生を抑制するために、酸化イットリウム(Y2O3)等の粒子を添加した混合粉末を用いるものであってもよい。
【0014】
本発明のアルカリ二次電池用正極では、活物質粒子どうしおよび集電体と活物質粒子との結着は金属ニッケルによって行われている。活物質粒子がニッケル化合物でるため、活物質粒子どうしの金属ニッケルによる結着力は強いものとなる。集電体がニッケル系物質である場合には、活物質粒子と集電体との結着力も強いものとなるため、この点からも集電体にニッケル系の物質を用いることが望ましい。また、この金属ニッケルは、正極内において導電パスを形成する。活物質粒子表面を完全に被覆するものである場合には、電極反応を阻害することになるため、活物質粒子の一部を覆うものであり、電極全体に広く分散することで電極全体からの集電を担保するように位置するものであることが望ましい。このような金属ニッケルの正極における形態は、以下の本発明の製造方法における接液する水溶液からの析出によって容易に実現させることができる。
【0015】
次に本発明のアルカリ二次電池用正極の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、正極前駆体形成工程と、ニッケル析出工程とを含む。まず、正極前駆体形成工程で、集電体に活物質粒子およびニッケルよりイオン化傾向の大きい金属の粒子(以下「卑金属粒子」という)を含む混合物を付着させて正極前駆体を形成させる。
ニッケルよりイオン化傾向の大きい金属としては、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム等種々のものを用いることができる。中でも、安価であること、正極中に若干量残存した場合であっても電極反応に悪影響を与えないこと等の理由から亜鉛を用いることが望ましい。また、卑金属粒子は粉末として、活物質粒子からなる粉末と混合させて集電体に付着させるため、正極における活物質粒子密度を高める等の理由から、卑金属粒子の粒径は活物質粒子の粒径より小さいものとすることが望ましい。
【0016】
活物質粒子および卑金属粒子を含む混合物の集電体への付着は、活物質粒子粉末および卑金属粒子粉末とを分散媒に均一に分散せてペースト状の正極合材を調整し、この正極合材を集電体に塗布あるいは充てんさた後、乾燥して分散媒を蒸散させることによって行うことができる。分散媒には、水、アルコール等を用いることができ、安価であるという点を考慮すれば、水を用いるのが望ましい。正極合材の粘度は、集電体の種類、付着させる量(目付量)等によって適正なものとすることが望ましい。なお、乾燥は、乾燥炉中で行うこともでき、自然乾燥で行うこともできる。
【0017】
正極合材中における活物質粒子と卑金属粒子との混合比は、活物質粒子を100重量部とした場合に、卑金属粒子を0.1〜20重量部とすることが望ましい。また正極の性能改善のため、コバルト、コバルト酸化物、酸化イットリウム等を粒子形状で1〜30重量部添加する場合は、卑金属粒子を1〜10重量部の範囲で混合させるのが望ましい。分散媒は、得ようとする正極合材の粘度に応じ、適量を添加すればよい。また、正極合材の混合は、合材自体の均質性を担保するため、ボールミル等を用いて充分に混練するのが好ましい。
【0018】
正極合材の集電体への付着は、集電体が発泡ニッケル基板等の多孔質体である場合には、へら、ドクターブレード等を用い、集電体の空孔内に充てんさせることによってできる。また、集電体がニッケル箔等の場合は、ロールコータ、スプレー等を用いて、集電体の片面あるいは両面に塗布することによってできる。集電体表面に層状に正極合材を付着させた場合は、乾燥後活物質粒子および卑金属粒子が集電体より剥離、脱落等することも考えられる。剥離、脱落等が生じる場合は、乾燥前または乾燥直後に、脱落防止手段を採用して次工程に供することが望ましい。脱落防止手段は、例えば、次工程の金属ニッケルの析出を阻害しないように留意すれば、樹脂等のシート状の被覆を正極合材の層の表面に設ける等するものであってもよい。なお、金属ニッケルを析出させた後、容易に取り除くことができるものであることが望ましい。
【0019】
上記のようにして作製した正極前駆体は、次工程であるニッケル析出工程に供される。ニッケル析出工程では、前駆体を、陽イオンにニッケルを含む塩の水溶液に接液させて、ニッケルよりイオン化傾向の大きい上記卑金属を該水溶液に溶出させつつ、活物質粒子および集電体表面(集電体が多孔質体である場合は空孔内の内部表面を意味する)に金属ニッケルを析出させる。
【0020】
図1に、ニッケル製の集電体を用い、卑金属粒子に亜鉛粒子を用いた場合の金属ニッケルの析出の過程を、模式的に示す。亜鉛はニッケルよりもイオン化傾向が大きいため、ニッケルイオンを含む水溶液中では、優先的に酸化され、電子を放出してイオンとなって溶液中に溶出する。放出された電子は、溶液中のニッケルイオンを還元し、ニッケルイオンは金属ニッケルとなって析出する。無電解めっきの1種であるいわゆる置換めっきである。金属ニッケルの析出は、活物質粒子表面および集電体表面で起こり、この析出した金属ニッケルが、活物質粒子どうしおよび活物質粒子と集電体とを繋ぎ止める役割を果たす。また、析出した金属ニッケルどうしも一部において互いに接し合うために、この金属ニッケルによって導電パスが形成されることとなる。
【0021】
陽イオンにニッケルを含む塩には、水溶液とした場合に電離しニッケルイオンを生じさせるものであれば構わない。溶解度、電離度が大きいほうが水溶液中に存在させることのできるニッケルイオンが多く、容易にニッケルの析出を行うことができるため、硫酸ニッケル(NiSO4)、塩化ニッケル(NiCl2)、硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)等の、強酸塩を用いることが望ましい。また水溶液の濃度は、金属ニッケルの析出が容易なように、飽和濃度あるいは飽和濃度に近い濃度とすることが望ましい。
【0022】
正極前駆体への上記水溶液の接液は、前駆体全体に上記水溶液が充分に浸透しかつニッケル析出工程中に活物質粒子が集電体から脱落しないようなものであればいかなる方法であってもよい。例えば、上記水溶液を満たした槽の中に前駆体を浸漬させる方法、前駆体に上記水溶液を噴霧する方法等が採用できる。金属ニッケルの析出が完了した正極前駆体を、含浸されている水溶液を除去すべく水等で洗浄し、その後、再び乾燥することによって、正極の製造が完了する。
【0023】
完成した本発明の正極を用いてアルカリ二次電池を構成する場合は、所定の電池ケースに、他の構成要素である負極、セパレータ、電解液等とともに組付ければよい。他の構成要素には、通常用いられる公知のものを採用することができる。負極は、例えば、Ni−Cd電池の場合には、焼結式ニッケル基板に活物質として水酸化カドミウムを保持させたもの等を用いることができ、また、Ni−MH電池の場合には、LaNi5等のAB5型水素吸蔵合金を活物質とし、この活物質を発泡ニッケル基板等の集電体に担持させたもの等を用いることができる。セパレータには、例えば、ポリアミド系あるいはポリオレフィン系の不織布等を、電解液には、水酸化カリウムあるいは必要に応じて水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等を添加した水酸化カリウムの水溶液等を用いることができる。二次電池は、角型、円筒型等の種々の形状のものを構成することができ、いずれのものにおいても、二次電池の組付けは、正極と負極とをセパレータを介して交互に積層あるいはロール状に捲回して電極体とし、この電極体を所定の電池ケースに挿設し、正極および負極と電池ケースに設けられた外部端子との間を接続し、電解液を注入して電極体に含浸させた後、電池ケースを封口して完了する。
【0024】
【実施例】
上記実施形態に基づき、本発明のアルカリ二次電池用正極を実施例として作製した。また、性能比較のため、従来から用いられている結着剤に水溶性高分子を用いたアルカリ二次電池用正極をも比較例として作製した。そしてこれらの正極を用いてNi−MH電池を構成させ、両者の電池性能を比較した。以下、これらについて説明する。
【0025】
〈実施例のアルカリ二次電池用正極〉
本アルカリ二次電池用正極は、集電体に3次元網目構造多孔質の発泡ニッケル基板(セルメット370g/m2:住友電気工業製)を用い、卑金属粒子に亜鉛粒子を用いて製造した正極である。
上記発泡ニッケル集電体に充てんさせる正極合材は、水酸化ニッケル(Ni(OH)2に、酸化コバルト(CoO)、コバルト(Co)、酸化イットリウム(Y2O3)、亜鉛(Zn)を混合し、分散媒として精製水(H2O)を添加し、ボールミルにて充分に混練することによって調整した。正極合材中の各物質の混合比は、Ni(OH)2100重量部に対して、それぞれ、CoOを4.8重量部、Coを1.9重量部、Y2O3を3重量部、Znを5重量部、H2Oを30重量部とした。
【0026】
この正極合材を、へらを用いて、上記集電体の空孔内に充てんして乾燥させ、正極前駆体を得た。この正極前駆体を、硫酸ニッケル(NiSO4)の飽和水溶液で満たした槽の中に1分間浸漬し、金属ニッケルを析出させた。次いで、精製水で満たした槽のなかに浸漬させることにより洗浄し、乾燥させて、本正極の製造を完了させた。
【0027】
〈比較例のアルカリ二次電池用正極〉
本正極は、上記実施例の正極の場合と異なり、Znに代えてカルボキシメチルセルロース(CMC)を結着剤に用いた正極合材を、実施例の場合と同じ発泡ニッケル基板集電体に充てんさせて製造した正極である。
正極合材の混合比は、Ni(OH)2100重量部に対して、それぞれ、CoOを4.8重量部、Coを1.9重量部、Y2O3を3重量部、CMCを1.5重量部、H2Oを30重量部とした。この正極合材を、実施例の場合と同様、へらを用いて、上記集電体の空孔内に充てんして乾燥させ、本正極の製造を完了させた。
【0028】
〈二次電池の作製〉
上記実施例および比較例の正極を用いて、Ni−MH電池を構成させた。負極には、MmNi3.55Co0.75Al0.3Mn0.4の組成の水素吸蔵合金を用いた。セパレータには、厚さ150μmのポリエチレン/ポリプロピレン不織布(三菱化学製)を用い、電解液には、KOH、NaOH、LiOHをそれぞれ3.75、2.25、0.083mol/Lの濃度で溶解させた水溶液を用いた。なお、セパレータを挟んで対向させる正極および負極の容量は、負極の容量を大きくすることで正極規制のNi−MH電池を構成させた。
【0029】
〈電池特性の評価〉
上記実施例および比較例の正極を用いた二次電池に対して充放電試験を行い、それぞれの二次電池の出力特性、サイクル特性について評価した。
出力特性は、上記それぞれの電池に対して、予め作製した放電電流と電池電圧との関係を示すI−V図より開回路電圧の2/3となるときの電流値を求め、この電流値で定電流放電させ、得られた10秒後の電池電圧とこの電流値との積から出力密度(W/kg)を算出し、これを比較することで評価した。図2に、比較例の正極を用いた二次電池の出力密度を100%として、それそれの二次電池の出力密度の割合を示す。
【0030】
図2から明らかなように、比較例の正極を用いた二次電池の出力密度を100%とすれば、実施例の正極を用いた二次電池では118%の出力密度が得られることが判る。この結果から、本発明の正極を用いたアルカリ二次電池は、より高出力な放電が可能となり、出力特性に優れた二次電池となることが確認できた。サイクル特性は、上限電圧1.55V−下限電圧1.0Vとの間で、5時間率放電による定格容量をCとした場合の1Cの電流の充放電を繰り返す充放電サイクル試験を行い、各サイクルの放電容量を測定し、各サイクルにおける放電容量における活物質利用率(各サイクルの放電容量/理論放電容量×100(%))の値を比較することによって評価した。図3に、実施例および比較例の正極を用いたそれぞれの二次電池の各サイクルにおける活物質利用率を示す。
【0031】
図3から明らかなように、比較例の正極を用いた二次電池が約30サイクルにてほとんど放電できなくなったのに対して、実施例の正極を用いた二次電池では80サイクル程度まで活物質利用率を50%以上に維持していることが判る。この結果から、本発明の正極を用いたアルカリ二次電池は、繰り返される充放電によっても容量劣化が小さく、サイクル特性の良好な二次電池となることが確認できた。
【0032】
【発明の効果】
本発明のアルカリ二次電池用正極は、本発明の製造方法により製造され、活物質となる水酸化ニッケルおよび集電体材料との親和力が強くかつ電気伝導性の高い金属ニッケルによって、活物質粒子および集電体を結着させるように構成される。本発明の正極を用いたアルカリ二次電池は、内部抵抗が小さいことで高出力放電が可能となり、かつ、活物質粒子の脱落が抑制されることでサイクル特性の良好な二次電池となる。これにより、アルカリ二次電池の一層の長寿命化、高性能化を実現できる。
【0033】
また、上記正極の製造方法である本発明のアルカリ二次電池用正極の製造方法は、いわゆる置換メッキの技法により卑な金属と置換してニッケルを析出させることにより、活物質粒子が金属ニッケルにより結着された上記本発明の正極を製造するものであり、簡便な1つの工程を付加するだけで、高出力放電が可能でサイクル特性の良好な二次電池を構成できる正極を製造できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルカリ二次電池用正極の製造方法における金属ニッケルの析出の過程を模式的に示す。
【図2】実施例および比較例の正極を用いた二次電池の出力特性を示す。
【図3】実施例および比較例の正極を用いた二次電池のサイクル特性を示す。
Claims (1)
- 集電体と、水酸化ニッケルを主成分とし、該集電体に保持される活物質粒子と、該活物質粒子どうしおよび該集電体と該活物質粒子とを結着し、導電パスを形成する金属ニッケルとを含んでなるアルカリ二次電池用正極の製造方法であって、
前記集電体に前記活物質粒子およびニッケルよりイオン化傾向の大きい金属の粒子を含む混合物を付着させて正極前駆体を形成させる正極前駆体形成工程と、
該正極前駆体形成工程後、該正極前駆体を陽イオンにニッケルを含む塩の水溶液に接液させて、該ニッケルよりイオン化傾向の大きい金属を該水溶液に溶出させつつ、前記活物質粒子および該集電体表面に該金属ニッケルを析出させるニッケル析出工程と、
を含むことを特徴とするアルカリ二次電池用正極の製造方法。
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