JP2020095879A - ニッケル水素電池用正極、ニッケル水素電池、及びニッケル水素電池用正極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニッケル水素電池用正極において、コバルト材料の添加量を低減しつつも抵抗を低下させる。【解決手段】正極合剤と正極集電体とを備えるニッケル水素電池用正極であって、前記正極合剤が正極活物質として水酸化ニッケル粒子を含み、前記水酸化ニッケル粒子の表面が金属ニッケル粒子で被覆されており、前記正極合剤が金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料を1質量%以上3質量%以下含む、ニッケル水素電池用正極とする。【選択図】図1
Description
本願はニッケル水素電池用正極等を開示する。
ニッケル水素電池の正極活物質として水酸化ニッケルが知られている。水酸化ニッケルは電子伝導性が低いことから、ニッケル水素電池の正極において正極活物質として水酸化ニッケルを用いる場合、当該水酸化ニッケルとともに導電助剤等の添加が必要である。ニッケル水素電池の正極に適用される導電助剤としてはコバルト材料が広く知られている。例えば、特許文献1に開示されているように、水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト酸化物を被覆する。或いは、非特許文献1に開示されているように、ニッケル水素電池用正極において、水酸化ニッケル粒子とは別体で、導電助剤としてコバルト粒子を添加する。
M. G. Ortiz et al., International Journal of Hydrogen Energy 39 (2014) 8661-8666
本発明者の新たな知見によると、ニッケル水素電池用正極においてコバルト材料の添加量を増大させると電池の短絡のリスクが高くなる。ニッケル水素電池においては放電末期の電位とコバルトのイオン化電位が近く、正極中のコバルトがイオン化してセパレータや負極上に拡散して金属コバルトやコバルト化合物として再析出する虞があるためである。コバルトの析出による電池の短絡のリスクを低減するためには、例えば、セパレータを厚くする(例えば200μm程度とする)ことが有効であるが、この場合、直流成分の抵抗が増加して大電流での使用時に不利となるほか、電池の体積エネルギー密度が低下してしまう。ニッケル水素電池用正極において、コバルト材料の添加量を低減しつつ、抵抗を低下させることが可能な新たな技術が必要である。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、正極合剤と正極集電体とを備えるニッケル水素電池用正極であって、前記正極合剤が正極活物質として水酸化ニッケル粒子を含み、前記水酸化ニッケル粒子の表面が金属ニッケル粒子で被覆されており、前記正極合剤が金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料を1質量%以上3質量%以下含む、ニッケル水素電池用正極を開示する。
本開示のニッケル水素電池用正極において、前記金属ニッケル粒子の平均粒子径が30nm以上500nm以下であってもよい。
本開示のニッケル水素電池用正極において、前記コバルト化合物が、電池の充電時に、水酸化物イオンと反応してオキシ水酸化コバルトを生成し得る化合物であってもよい。
本開示のニッケル水素電池用正極において、前記コバルト化合物が酸化コバルトであってもよい。
本開示のニッケル水素電池用正極において、前記金属ニッケル粒子が一次粒子からなっていてもよい。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、上記本開示の正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に設けられたセパレータと、電解液と、を備える、ニッケル水素電池を開示する。
本開示のニッケル水素電池において、前記セパレータの厚みが30μm以上90μm以下であってもよい。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、水酸化ニッケル粒子の表面を金属ニッケル粒子で被覆して複合体を得る、第1工程と、金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料と前記複合体とを混合して、前記コバルト材料を1質量%以上3質量%以下含む正極合剤を得る、第2工程と、前記正極合剤と正極集電体とを用いて正極を作製する、第3工程と、を備える、ニッケル水素電池用正極の製造方法を開示する。
本開示の製造方法は、前記第1工程において、めっきによって、前記水酸化ニッケル粒子の表面に前記金属ニッケル粒子を生成させてもよい。
本開示の製造方法は、前記めっきが無電解めっきであってもよい。
本開示の製造方法は、前記第2工程において、前記コバルト材料と前記複合体とを混合した後でさらにバインダーを混合して前記正極合剤を得てもよい。
本開示の技術においては、正極活物質である水酸化ニッケル粒子の表面を金属ニッケル粒子で被覆することで、水酸化ニッケル粒子の表面における電子伝導性を向上させることができる。結果として、導電助剤として必要なコバルト材料の添加量を1質量%以上3質量%以下と従来よりも大きく低減したとしても、正極の抵抗を顕著に低下させることができる。
1.ニッケル水素電池用正極10
図1にニッケル水素電池用正極10の断面の構成を概略的に示す。また、図2に正極10に含まれる水酸化ニッケル粒子1a及び金属ニッケル粒子1bの断面の構成を概略的に示す。図1及び2に示すように、正極10は、正極合剤1と正極集電体2とを備えている。正極合剤1は正極活物質として水酸化ニッケル粒子1aを含んでいる。また、水酸化ニッケル粒子1aの表面は金属ニッケル粒子1bで被覆されている。さらに、正極合剤1は金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料1cを1質量%以上3質量%以下含んでいる。
図1にニッケル水素電池用正極10の断面の構成を概略的に示す。また、図2に正極10に含まれる水酸化ニッケル粒子1a及び金属ニッケル粒子1bの断面の構成を概略的に示す。図1及び2に示すように、正極10は、正極合剤1と正極集電体2とを備えている。正極合剤1は正極活物質として水酸化ニッケル粒子1aを含んでいる。また、水酸化ニッケル粒子1aの表面は金属ニッケル粒子1bで被覆されている。さらに、正極合剤1は金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料1cを1質量%以上3質量%以下含んでいる。
1.1.正極合剤1
図1に示すように、正極合剤1は、少なくとも、水酸化ニッケル粒子1aと、当該水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆する金属ニッケル粒子1bと、コバルト材料1cとを含んでいる。
図1に示すように、正極合剤1は、少なくとも、水酸化ニッケル粒子1aと、当該水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆する金属ニッケル粒子1bと、コバルト材料1cとを含んでいる。
1.1.1.水酸化ニッケル粒子1a
水酸化ニッケル粒子1aは、ニッケル水素電池用正極10において正極活物質として機能する。水酸化ニッケル粒子1aの大きさは特に限定されるものではなく正極活物質として機能し得る大きさであればよい。水酸化ニッケル粒子1aは一次粒子であっても二次粒子であってもよい。水酸化ニッケル粒子1aの一次粒子径は、例えば、0.2μm以上2.0μm以下であってもよい。当該一次粒子径の下限は0.3μm以上であってもよいし、0.5μm以上であってもよい。当該一次粒子径の上限は2.0μm以下であってもよいし、1.0μm以下であってもよい。水酸化ニッケル粒子1aが二次粒子を構成する場合、当該二次粒子径は、例えば、5.0μm以上15.0μm以下であってもよい。当該二次粒子径の下限は6.0μm以上であってもよいし、7.0μm以上であってもよい。当該二次粒子径の上限は14.0μm以下であってもよいし、13.0μm以下であってもよい。水酸化ニッケル粒子1aの平均粒子径は、例えば、5.0μm以上15.0μm以下であってもよい。当該平均粒子径の下限は6.0μm以上であってもよいし、7.0μm以上であってもよい。当該平均粒子径の上限は14.0μm以下であってもよいし、13.0μm以下であってもよい。
水酸化ニッケル粒子1aは、ニッケル水素電池用正極10において正極活物質として機能する。水酸化ニッケル粒子1aの大きさは特に限定されるものではなく正極活物質として機能し得る大きさであればよい。水酸化ニッケル粒子1aは一次粒子であっても二次粒子であってもよい。水酸化ニッケル粒子1aの一次粒子径は、例えば、0.2μm以上2.0μm以下であってもよい。当該一次粒子径の下限は0.3μm以上であってもよいし、0.5μm以上であってもよい。当該一次粒子径の上限は2.0μm以下であってもよいし、1.0μm以下であってもよい。水酸化ニッケル粒子1aが二次粒子を構成する場合、当該二次粒子径は、例えば、5.0μm以上15.0μm以下であってもよい。当該二次粒子径の下限は6.0μm以上であってもよいし、7.0μm以上であってもよい。当該二次粒子径の上限は14.0μm以下であってもよいし、13.0μm以下であってもよい。水酸化ニッケル粒子1aの平均粒子径は、例えば、5.0μm以上15.0μm以下であってもよい。当該平均粒子径の下限は6.0μm以上であってもよいし、7.0μm以上であってもよい。当該平均粒子径の上限は14.0μm以下であってもよいし、13.0μm以下であってもよい。
尚、正極合剤1において「水酸化ニッケル粒子1aの平均粒子径」は以下の手順により特定する。すなわち、(1)SEMによって正極合剤1の二次元画像を取得する。(2)当該二次元画像において、水酸化ニッケル粒子1a1、1a2、…1anの各々の面積(A1、A2、…An)を求める。(3)当該二次元画像における水酸化ニッケル粒子1a1、1a2、…1anの各々の面積(A1、A2、…An)から、各々の円相当直径(Da1、Da2、…Dan)を求める。(4)各々の円相当直径の和(Da1+Da2+…+Dan)を水酸化ニッケル粒子の個数(n)で割った値((Da1+Da2+…+Dan)÷n)を、正極合剤1に含まれる水酸化ニッケル粒子1aの平均粒子径とする。
正極合剤1に含まれる水酸化ニッケル粒子1aの含有量は特に限定されるものではなく、目的とする電池容量に応じて適宜決定することができる。例えば、正極合剤1は水酸化ニッケル粒子1aを80質量%以上含んでいてもよい。上限は特に限定されず、後述の金属ニッケル粒子1bの含有量、コバルト材料1cの含有量及びその他の成分の含有量に応じて適宜決定される。
1.1.2.金属ニッケル粒子1b
図2に示すように、水酸化ニッケル粒子1aは、その表面が金属ニッケル粒子1b、1b、…によって被覆されている。これにより、水酸化ニッケル粒子1aの表面における電子伝導性が向上する。金属ニッケル粒子1bは一次粒子であっても二次粒子であってもよい。特に、金属ニッケル粒子1bは一次粒子からなることが好ましい。尚、「一次粒子からなる」とは「実質的に一次粒子からなる」ことを意味し、一部が二次粒子となっていることを許容する趣旨である。具体的には、水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆する金属ニッケル粒子1bは個数基準で95%以上が一次粒子からなることが好ましい。
図2に示すように、水酸化ニッケル粒子1aは、その表面が金属ニッケル粒子1b、1b、…によって被覆されている。これにより、水酸化ニッケル粒子1aの表面における電子伝導性が向上する。金属ニッケル粒子1bは一次粒子であっても二次粒子であってもよい。特に、金属ニッケル粒子1bは一次粒子からなることが好ましい。尚、「一次粒子からなる」とは「実質的に一次粒子からなる」ことを意味し、一部が二次粒子となっていることを許容する趣旨である。具体的には、水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆する金属ニッケル粒子1bは個数基準で95%以上が一次粒子からなることが好ましい。
金属ニッケル粒子1bは、水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆することから、水酸化ニッケル粒子1aよりも小さいことが自明である。金属ニッケル粒子1bの大きさは、水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆できる限り、特に限定されるものではない。水酸化ニッケル粒子1aの表面に金属ニッケル粒子1bをより容易に保持させる観点から、金属ニッケル粒子1bはできるだけ小さいことが好ましい。金属ニッケル粒子1bを小さくすることで、金属ニッケル粒子1bの結晶性を低下させることができ、金属ニッケル粒子1bと電解液との反応を抑制する効果も期待できる。本発明者の新たな知見では、例えば、金属ニッケル粒子1bの平均粒子径が30nm以上500nm以下である場合に、正極10の抵抗がより一層低減される。当該平均粒子径の下限は40nm以上であってもよいし、50nm以上であってもよい。当該平均粒子径の上限は450nm以下であってもよいし、400nm以下であってもよい。
尚、正極合剤1において「水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆する金属ニッケル粒子1bの平均粒子径」は以下の手順により特定する。すなわち、(1)SEMによって正極合剤1の二次元画像を取得する。(2)当該二次元画像において、水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆する金属ニッケル粒子1b1、1b2、…1bnの各々の面積(B1、B2、…Bn)を求める。(3)当該二次元画像における金属ニッケル粒子1b1、1b2、…1bnの各々の面積(B1、B2、…Bn)から、各々の円相当直径(Db1、Db2、…Dbn)を求める。(4)各々の円相当直径の和(Db1+Db2+…+Dbn)を金属ニッケル粒子の個数(n)で割った値((Db1+Db2+…+Dbn)÷n)を、正極合剤1において水酸化ニッケル粒子1aの表面を被覆する金属ニッケル粒子1bの平均粒子径とする。
正極合剤1に含まれる金属ニッケル粒子1bの含有量は特に限定されるものではなく、水酸化ニッケル粒子1aの大きさや含有量等に応じて適宜決定することができる。例えば、100質量部の水酸化ニッケル粒子1aに対して、0.1質量部以上20質量部以下の金属ニッケル粒子1bを含んでいてもよい。下限は3質量部以上であってもよい。上限は10質量部以下であってもよい。或いは、正極合剤1は金属ニッケル粒子1bを0.1質量%以上15質量%以下含んでいてもよい。下限は1質量%以上であってもよい。上限は10質量%以下であってもよい。
1.1.3.コバルト材料
図1に示すように、コバルト材料1cは導電助剤として水酸化ニッケル粒子1a、1a、…の間に存在しており、水酸化ニッケル粒子1a、1a、…の間に導電パスを形成する。正極10においては、水酸化ニッケル粒子1aの表面に金属ニッケル粒子1bが被覆されることで、水酸化ニッケル粒子1aの表面における電子伝導性が向上しており、結果として導電助剤であるコバルト材料1cの量を低減することができる。本発明者の知見では、正極合剤1においてコバルト材料1cを1質量%以上3質量%以下と少量含ませるだけで、正極10の抵抗を十分に低下させることができる。
図1に示すように、コバルト材料1cは導電助剤として水酸化ニッケル粒子1a、1a、…の間に存在しており、水酸化ニッケル粒子1a、1a、…の間に導電パスを形成する。正極10においては、水酸化ニッケル粒子1aの表面に金属ニッケル粒子1bが被覆されることで、水酸化ニッケル粒子1aの表面における電子伝導性が向上しており、結果として導電助剤であるコバルト材料1cの量を低減することができる。本発明者の知見では、正極合剤1においてコバルト材料1cを1質量%以上3質量%以下と少量含ませるだけで、正極10の抵抗を十分に低下させることができる。
コバルト材料1cの形状や大きさは特に限定されるものではない。例えば、粒子状とすることができる。この場合、コバルト材料1cは一次粒子であっても二次粒子であってもよい。コバルト材料1cの一次粒子径は、例えば、0.1μm以上5μm以下であってもよい。当該一次粒子径の下限は0.01μm以上であってもよいし、0.1μm以上であってもよい。当該一次粒子径の上限は5μm以下であってもよいし、10μm以下であってもよい。コバルト材料1cが二次粒子を構成する場合、当該二次粒子径は、例えば、0.1μm以上5μm以下であってもよい。当該二次粒子径の下限は0.01μm以上であってもよいし、0.1μm以上であってもよい。当該二次粒子径の上限は5μm以下であってもよいし、10μm以下であってもよい。
コバルト材料1cは金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種である。コバルト化合物としては導電性のコバルト化合物をいずれも採用可能である。特に、コバルト化合物は、電池の充電時に、水酸化物イオンと反応してオキシ水酸化コバルトを生成し得る化合物であることが好ましい。そのようなコバルト化合物としては、酸化コバルト、炭酸コバルト、オキシ水酸化コバルトから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。特に酸化コバルトが好ましい。
正極合剤1にコバルト材料1cとして「金属コバルト」及び/又は「電池の充電時に、水酸化物イオンと反応してオキシ水酸化コバルトを生成し得るコバルト化合物」が含まれる場合、ニッケル水素電池の充電時、電解酸化によってオキシ水酸化コバルトが生成して、水酸化ニッケル粒子1a、1a、…間に導電ネットワークが形成され易い。例えば、コバルト材料1cとして金属コバルトを用いた場合は、電池の充電時、正極10において下記式(1)のような反応が生じ、コバルト材料1cとして酸化コバルトを用いた場合は、電池の充電時、下記式(2)のような反応が生じる。これにより、正極合剤1中に導電ネットワークが形成されて、正極10全体としての抵抗を一層低下させることができる。
Co+3OH− → CoOOH(III)+H2O+3e− …(1)
CoO+OH− → CoOOH(III)+e− …(2)
Co+3OH− → CoOOH(III)+H2O+3e− …(1)
CoO+OH− → CoOOH(III)+e− …(2)
ここで、本発明者の新たな知見によれば、水酸化ニッケル粒子1aの表面に金属ニッケル粒子1bが存在することによって、上記の電解酸化反応を促進することができる。すなわち、正極合剤1において、少量(例えば1質量%)のコバルト材料1cを含ませるだけで十分な導電ネットワークを形成することができる。一方、本発明者の新たな知見によれば、正極合剤1においてコバルト材料1cの含有量を3質量%超としても、上記の導電ネットワークが飽和してコバルト材料1cが余分となってしまう。すなわち、コバルト材料1cの含有量を3質量%超とすると、電池の充放電に伴って正極10からコバルトが多量に溶出してセパレータや負極にコバルトが析出し、正負極間の短絡が懸念される。
1.1.4.その他の成分
正極合剤1は、任意に、バインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、ニッケル水素電池用正極にて採用され得る公知のバインダーをいずれも採用可能である。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等である。バインダーは1種のみを用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。また、正極合剤1は、上記課題を解決できる範囲で、水酸化ニッケル粒子1a以外の正極活物質を含んでいてもよい。さらに、正極合剤1は、上記課題を解決できる範囲で、コバルト材料1c以外の導電助剤を含んでいてもよい。正極合剤1におけるこれら任意成分の含有量は特に限定されるものではなく、目的とする性能に応じて適宜調整可能である。
正極合剤1は、任意に、バインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、ニッケル水素電池用正極にて採用され得る公知のバインダーをいずれも採用可能である。例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等である。バインダーは1種のみを用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。また、正極合剤1は、上記課題を解決できる範囲で、水酸化ニッケル粒子1a以外の正極活物質を含んでいてもよい。さらに、正極合剤1は、上記課題を解決できる範囲で、コバルト材料1c以外の導電助剤を含んでいてもよい。正極合剤1におけるこれら任意成分の含有量は特に限定されるものではなく、目的とする性能に応じて適宜調整可能である。
1.2.正極集電体
図1に示すように、正極10は、正極合剤1に加えて正極集電体2を備えている。正極集電体2は、ニッケル水素電池の正極集電体として使用可能な公知の金属により構成することができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。正極集電体2の形態は特に限定されるものではない。箔状、板状、メッシュ状、多孔質状等、種々の形態とすることができる。基材の表面に上記の金属をめっき・蒸着したものであってもよい。尚、図1においては、説明の便宜上、正極集電体2の一方側表面のみに正極合剤1が積層される形態について示したが、本開示の正極10における正極合剤1及び正極集電体2の配置はこれに限定されるものではない。例えば、正極集電体2の両面に正極合剤1が備えられていてもよい。或いは、正極集電体2として発泡金属板を用い、当該発泡金属板の表面及び内面に正極合剤1を配置することで、正極10を構成することもできる。
図1に示すように、正極10は、正極合剤1に加えて正極集電体2を備えている。正極集電体2は、ニッケル水素電池の正極集電体として使用可能な公知の金属により構成することができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む金属材料を例示することができる。正極集電体2の形態は特に限定されるものではない。箔状、板状、メッシュ状、多孔質状等、種々の形態とすることができる。基材の表面に上記の金属をめっき・蒸着したものであってもよい。尚、図1においては、説明の便宜上、正極集電体2の一方側表面のみに正極合剤1が積層される形態について示したが、本開示の正極10における正極合剤1及び正極集電体2の配置はこれに限定されるものではない。例えば、正極集電体2の両面に正極合剤1が備えられていてもよい。或いは、正極集電体2として発泡金属板を用い、当該発泡金属板の表面及び内面に正極合剤1を配置することで、正極10を構成することもできる。
2.ニッケル水素電池
図3にニッケル水素電池100の構成を概略的に示す。図3に示すように、ニッケル水素電池100は、上記本開示の正極10と、負極20と、正極10及び負極20の間に設けられたセパレータ30と、電解液(不図示)と、を備えている。正極10については上述した通りである。
図3にニッケル水素電池100の構成を概略的に示す。図3に示すように、ニッケル水素電池100は、上記本開示の正極10と、負極20と、正極10及び負極20の間に設けられたセパレータ30と、電解液(不図示)と、を備えている。正極10については上述した通りである。
2.1.負極20
負極20は、例えば、負極合剤と当該負極合剤を支持する負極集電体とによって構成することができる。負極合剤は負極活物質として公知の水素吸蔵合金を含んでいてもよい。水素吸蔵合金は、水素の吸蔵が可能である限り、その合金組成は特に限定されない。水素吸蔵合金は、例えば、Mm−Ni−Mn−Al−Co系合金等を用いることができる。尚、「Mm」はミッシュメタルと称される希土類元素の混合物を指す。また、負極合剤は公知の導電助剤やバインダーを含んでいてもよい。一方、負極集電体は公知の金属により構成することができる。例えば、ニッケルメッシュ(ニッケルパンチングメタル)等である。負極20は、ニッケル水素電池の負極として公知のものをいずれも採用可能であり、本願を参照した当業者にとって自明であることから、これ以上の説明を省略する。
負極20は、例えば、負極合剤と当該負極合剤を支持する負極集電体とによって構成することができる。負極合剤は負極活物質として公知の水素吸蔵合金を含んでいてもよい。水素吸蔵合金は、水素の吸蔵が可能である限り、その合金組成は特に限定されない。水素吸蔵合金は、例えば、Mm−Ni−Mn−Al−Co系合金等を用いることができる。尚、「Mm」はミッシュメタルと称される希土類元素の混合物を指す。また、負極合剤は公知の導電助剤やバインダーを含んでいてもよい。一方、負極集電体は公知の金属により構成することができる。例えば、ニッケルメッシュ(ニッケルパンチングメタル)等である。負極20は、ニッケル水素電池の負極として公知のものをいずれも採用可能であり、本願を参照した当業者にとって自明であることから、これ以上の説明を省略する。
2.2.セパレータ30
セパレータ30はニッケル水素電池のセパレータとして公知のものをいずれも採用可能である。例えば、セパレータ30として、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース等の各種高分子を材料とした不織布を用いることができる。セパレータ30は、その表面に親水化処理等が施されていてもよい。上述したように、本開示のニッケル水素電池100においては、正極10に含まれるコバルト材料1cの量が低減されていることから、薄いセパレータ30を用いた場合でも、電池の短絡が生じ難い。例えば、従来における一般的な厚み(200μm程度)と比較して、セパレータ30が半分以下の厚みであっても、正負極間の短絡を抑制可能である。この点、本開示のニッケル水素電池100においては、例えば、セパレータ30の厚みが30μm以上90μm以下であってもよい。
セパレータ30はニッケル水素電池のセパレータとして公知のものをいずれも採用可能である。例えば、セパレータ30として、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース等の各種高分子を材料とした不織布を用いることができる。セパレータ30は、その表面に親水化処理等が施されていてもよい。上述したように、本開示のニッケル水素電池100においては、正極10に含まれるコバルト材料1cの量が低減されていることから、薄いセパレータ30を用いた場合でも、電池の短絡が生じ難い。例えば、従来における一般的な厚み(200μm程度)と比較して、セパレータ30が半分以下の厚みであっても、正負極間の短絡を抑制可能である。この点、本開示のニッケル水素電池100においては、例えば、セパレータ30の厚みが30μm以上90μm以下であってもよい。
2.3.電解液
電解液はニッケル水素電池の電解液として公知のものをいずれも採用可能である。例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等の電解質が溶解した高濃度アルカリ水溶液である。電解液における電解質の濃度は、例えば、1mol/l以上10mоl/l以下とすることができる。
電解液はニッケル水素電池の電解液として公知のものをいずれも採用可能である。例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等の電解質が溶解した高濃度アルカリ水溶液である。電解液における電解質の濃度は、例えば、1mol/l以上10mоl/l以下とすることができる。
2.4.その他の構成
ニッケル水素電池100には、上記の構成の他、端子や電池ケース等を備えていてもよい。その他の構成については本願を参照した当業者にとって自明であることから、ここでは説明を省略する。尚、ニッケル水素電池100は、図3(A)に示す構成に限定されず、例えば、図3(B)に示すように、正極10の周囲にセパレータ30を巻き付けたうえで、2枚の負極20、20で挟み込むようにして構成してもよく、逆に、負極20の周囲にセパレータ30を巻き付けたうえで、2枚の正極10、10で挟み込むようにして構成してもよい。或いは、いわゆる巻回型の電池としてもよい。
ニッケル水素電池100には、上記の構成の他、端子や電池ケース等を備えていてもよい。その他の構成については本願を参照した当業者にとって自明であることから、ここでは説明を省略する。尚、ニッケル水素電池100は、図3(A)に示す構成に限定されず、例えば、図3(B)に示すように、正極10の周囲にセパレータ30を巻き付けたうえで、2枚の負極20、20で挟み込むようにして構成してもよく、逆に、負極20の周囲にセパレータ30を巻き付けたうえで、2枚の正極10、10で挟み込むようにして構成してもよい。或いは、いわゆる巻回型の電池としてもよい。
3.ニッケル水素電池用正極の製造方法
図4及び5にニッケル水素電池用正極10の製造方法S10の流れを示す。図4及び5に示すように、製造方法S10は、水酸化ニッケル粒子1aの表面を金属ニッケル粒子1bで被覆して複合体5を得る、第1工程S1と、金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料1cと複合体5とを混合して、コバルト材料1cを1質量%以上3質量%以下含む正極合剤1を得る、第2工程S2と、正極合剤1と正極集電体2とを用いて正極10を作製する、第3工程とを備えている。
図4及び5にニッケル水素電池用正極10の製造方法S10の流れを示す。図4及び5に示すように、製造方法S10は、水酸化ニッケル粒子1aの表面を金属ニッケル粒子1bで被覆して複合体5を得る、第1工程S1と、金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料1cと複合体5とを混合して、コバルト材料1cを1質量%以上3質量%以下含む正極合剤1を得る、第2工程S2と、正極合剤1と正極集電体2とを用いて正極10を作製する、第3工程とを備えている。
3.1.第1工程S1
図5(A)及び(B)に示すように、第1工程S1においては、水酸化ニッケル粒子1aの表面を金属ニッケル粒子1bで被覆して複合体5を得る。水酸化ニッケル粒子1aの表面を金属ニッケル粒子1bで被覆する方法としては種々の方法を採用可能である。例えば、めっきによって、水酸化ニッケル粒子1aの表面に金属ニッケル粒子1bを生成させる方法が好ましい。めっきは電解めっきでも無電解めっきでもよいが、特に無電解めっきが好ましい。この場合、触媒やめっき浴温度やめっき時間を調整することで、水酸化ニッケル粒子1aの表面に生成する金属ニッケル粒子1bの量や大きさを制御することができ、水酸化ニッケル粒子1aの表面を結晶性の低い微細な金属ニッケル粒子1bで均一に被覆することができる。例えば、本発明者の新たな知見によれば、無電解めっきによって水酸化ニッケル粒子1aの表面に金属ニッケル粒子1bを生成させることで、当該金属ニッケル粒子1bの平均粒子径を50nm以上500nm以下の範囲に容易に制御することができる。
図5(A)及び(B)に示すように、第1工程S1においては、水酸化ニッケル粒子1aの表面を金属ニッケル粒子1bで被覆して複合体5を得る。水酸化ニッケル粒子1aの表面を金属ニッケル粒子1bで被覆する方法としては種々の方法を採用可能である。例えば、めっきによって、水酸化ニッケル粒子1aの表面に金属ニッケル粒子1bを生成させる方法が好ましい。めっきは電解めっきでも無電解めっきでもよいが、特に無電解めっきが好ましい。この場合、触媒やめっき浴温度やめっき時間を調整することで、水酸化ニッケル粒子1aの表面に生成する金属ニッケル粒子1bの量や大きさを制御することができ、水酸化ニッケル粒子1aの表面を結晶性の低い微細な金属ニッケル粒子1bで均一に被覆することができる。例えば、本発明者の新たな知見によれば、無電解めっきによって水酸化ニッケル粒子1aの表面に金属ニッケル粒子1bを生成させることで、当該金属ニッケル粒子1bの平均粒子径を50nm以上500nm以下の範囲に容易に制御することができる。
3.2.第2工程S2
図5(C)に示すように、第2工程S2においては、金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料1cと複合体5とを混合して、コバルト材料1cを1質量%以上3質量%以下含む正極合剤1を得る。ここで、第2工程S2においては、複合体5とコバルト材料1cとに加えて、その他の成分を混合して正極合剤1を得てもよい。例えば、第2工程S2において、コバルト材料1cと複合体5とを混合した後でさらにバインダーを混合して正極合剤1を得てもよい。第2工程S2における混合方法は粉体同士の乾式混合であってもよいし、溶媒(例えば水)を用いた湿式混合であってもよいし、乾式混合と湿式混合との組み合わせであってもよい。湿式混合の場合、溶媒中に正極合剤1が分散したペースト(又はスラリー)が得られる。
図5(C)に示すように、第2工程S2においては、金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料1cと複合体5とを混合して、コバルト材料1cを1質量%以上3質量%以下含む正極合剤1を得る。ここで、第2工程S2においては、複合体5とコバルト材料1cとに加えて、その他の成分を混合して正極合剤1を得てもよい。例えば、第2工程S2において、コバルト材料1cと複合体5とを混合した後でさらにバインダーを混合して正極合剤1を得てもよい。第2工程S2における混合方法は粉体同士の乾式混合であってもよいし、溶媒(例えば水)を用いた湿式混合であってもよいし、乾式混合と湿式混合との組み合わせであってもよい。湿式混合の場合、溶媒中に正極合剤1が分散したペースト(又はスラリー)が得られる。
3.3.第3工程S3
図5(D)に示すように、第3工程S3においては、正極合剤1と正極集電体2とを用いて正極10を作製する。第2工程S2において乾式混合を行った場合、例えば、正極合剤1を乾式でプレス成形するとともに正極集電体2を貼り合わせればよい。一方、第2工程S2において湿式混合を行った場合、得られたペースト(又はスラリー)を正極集電体2に塗布する工程、或いは、正極集電体2をペースト(又はスラリー)中に含浸させる工程を経て、正極集電体2の表面等に正極合剤1を設ければよい。
図5(D)に示すように、第3工程S3においては、正極合剤1と正極集電体2とを用いて正極10を作製する。第2工程S2において乾式混合を行った場合、例えば、正極合剤1を乾式でプレス成形するとともに正極集電体2を貼り合わせればよい。一方、第2工程S2において湿式混合を行った場合、得られたペースト(又はスラリー)を正極集電体2に塗布する工程、或いは、正極集電体2をペースト(又はスラリー)中に含浸させる工程を経て、正極集電体2の表面等に正極合剤1を設ければよい。
4.作用及び効果
従来のニッケル水素電池用正極においては、正極活物質である水酸化ニッケル粒子自体に電子伝導性がないことから、当該水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト材料を被覆することで電子伝導性を確保していた(例えば、特許文献1)。或いは、正極合剤中に水酸化ニッケル粒子とともに導電助剤として多量のコバルト材料を含ませることで電子伝導性を確保していた(例えば、非特許文献1)。このようにニッケル水素電池用正極においてコバルト材料の添加量を増大させた場合、電池の充放電に伴って正極から負極へとコバルトが溶出し、セパレータや負極においてコバルトが析出して正負極間が短絡する虞があった。
従来のニッケル水素電池用正極においては、正極活物質である水酸化ニッケル粒子自体に電子伝導性がないことから、当該水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト材料を被覆することで電子伝導性を確保していた(例えば、特許文献1)。或いは、正極合剤中に水酸化ニッケル粒子とともに導電助剤として多量のコバルト材料を含ませることで電子伝導性を確保していた(例えば、非特許文献1)。このようにニッケル水素電池用正極においてコバルト材料の添加量を増大させた場合、電池の充放電に伴って正極から負極へとコバルトが溶出し、セパレータや負極においてコバルトが析出して正負極間が短絡する虞があった。
一方、本開示の正極10においては、水酸化ニッケル粒子1aの表面を金属ニッケル粒子1bで被覆することで活物質表面の電子伝導性を向上させている。結果として、正極10におけるコバルト材料1cの添加量を従来よりも大きく低減しつつ、正極10の抵抗を大きく低減することに成功した。
本開示の正極10においては、水酸化ニッケル粒子1aの表面に「粒子状」の金属ニッケルが存在する点に一つの特徴がある。本発明者の新たな知見によると、水酸化ニッケル粒子の表面に金属ニッケルが層状に密着している場合(すなわち、金属ニッケルが水酸化ニッケル粒子の表面全体を実質的に隙間なく連続的に被覆している場合)、ニッケル水素電池の正極として機能させた場合に正極の抵抗が高くなってしまう。金属ニッケル粒子と比較して層状の金属ニッケルは電解液と反応して不動態を形成し易いため、或いは、水酸化ニッケル粒子の表面に金属ニッケルが平滑に密着し過ぎてイオン反応を阻害するためと考えられる。これに対し、本開示の正極10においては、水酸化ニッケル粒子1aの表面が金属ニッケル粒子1bによって被覆されており、水酸化ニッケル粒子1aの表面におけるイオン反応を実質的に阻害することなく、水酸化ニッケル粒子1aの表面における電子伝導性を向上させることができる。
また、本発明者の新たな知見によると、本開示の正極10を用いてニッケル水素電池100を構成した場合、高温(例えば45℃)においても、電池が短絡することなく安定して充放電サイクルを重ねることができる。また、セパレータの厚みを従来の厚みの半分以下(例えば30μm以上90μm以下)としても、電池の短絡を適切に抑制可能である。すなわち、本開示の正極10によれば、電池の高温耐久性や信頼性を向上させることができるとともに、電池の体積エネルギー密度を向上させることもできる。
以下、実施例を示しつつ本開示の技術についてさらに説明するが、本開示の技術は以下の形態に限定されるものではない。
1.正極活物質の表面処理
1.1.微粒Niめっきによる正極活物質の表面処理
正極活物質として水酸化ニッケル粒子(田中化学研究所社製、平均粒子径:10μm)を用意した。用意した水酸化ニッケル粒子を基材粒子として、基材粒子表面を改質するために、基材粒子をカチオン系界面活性剤で、10分間撹拌処理した。その後、ろ過及び水洗してから、パラジウムイオン触媒溶液で、10分間撹拌処理して、基材粒子表面にパラジウムイオンを吸着させた。その後、ろ過及び水洗してから、還元溶液で、10分間撹拌処理して、基材粒子表面にパラジウム触媒を担持させた。その後、ろ過及び水洗してから、80℃に加温した硫酸ニッケル溶液中にて、表面にパラジウム触媒を担持させた基材粒子を1分間予備撹拌した。なお、硫酸ニッケル溶液の組成は、ニッケル塩0.30mol/L、クエン酸塩1mol/L、炭酸塩1.7mol/Lとした。その後、ヒドラジン一水和物を0.4mol/Lの量で硫酸ニッケル溶液に投入した。反応開始後、表面にパラジウム触媒を担持させた基材粒子を、5分間以上、ヒドラジン一水和物を投入した硫酸ニッケル溶液中にて撹拌して、水酸化ニッケル粒子表面にニッケルめっき膜を形成させていき、ニッケル元素を含む被覆層を形成させた。撹拌後、ニッケル元素を含む被覆層を形成させた水酸化ニッケル粒子をろ過水洗し、80℃で乾燥させた。このようにして、水酸化ニッケル粒子表面に金属ニッケルを生成させた。なお、水酸化ニッケル粒子と金属ニッケル粒子との質量比は100:10であった。図6に表面処理後の水酸化ニッケル粒子及び金属ニッケル粒子の形態を示す。図6に示すように、水酸化ニッケル粒子の表面に金属ニッケル粒子が均一に付着していることがわかる。金属ニッケル粒子は実質的に一次粒子からなるものであり、その平均粒子径は30nm以上500nm以下の範囲内であった。尚、この場合の金属ニッケル粒子の粒度分布は、粒子径約100nmを頂点(頻度10%程度)とし、最大粒径が約600nm、最小粒径が約10nmの対数正規分布となり得る。
1.1.微粒Niめっきによる正極活物質の表面処理
正極活物質として水酸化ニッケル粒子(田中化学研究所社製、平均粒子径:10μm)を用意した。用意した水酸化ニッケル粒子を基材粒子として、基材粒子表面を改質するために、基材粒子をカチオン系界面活性剤で、10分間撹拌処理した。その後、ろ過及び水洗してから、パラジウムイオン触媒溶液で、10分間撹拌処理して、基材粒子表面にパラジウムイオンを吸着させた。その後、ろ過及び水洗してから、還元溶液で、10分間撹拌処理して、基材粒子表面にパラジウム触媒を担持させた。その後、ろ過及び水洗してから、80℃に加温した硫酸ニッケル溶液中にて、表面にパラジウム触媒を担持させた基材粒子を1分間予備撹拌した。なお、硫酸ニッケル溶液の組成は、ニッケル塩0.30mol/L、クエン酸塩1mol/L、炭酸塩1.7mol/Lとした。その後、ヒドラジン一水和物を0.4mol/Lの量で硫酸ニッケル溶液に投入した。反応開始後、表面にパラジウム触媒を担持させた基材粒子を、5分間以上、ヒドラジン一水和物を投入した硫酸ニッケル溶液中にて撹拌して、水酸化ニッケル粒子表面にニッケルめっき膜を形成させていき、ニッケル元素を含む被覆層を形成させた。撹拌後、ニッケル元素を含む被覆層を形成させた水酸化ニッケル粒子をろ過水洗し、80℃で乾燥させた。このようにして、水酸化ニッケル粒子表面に金属ニッケルを生成させた。なお、水酸化ニッケル粒子と金属ニッケル粒子との質量比は100:10であった。図6に表面処理後の水酸化ニッケル粒子及び金属ニッケル粒子の形態を示す。図6に示すように、水酸化ニッケル粒子の表面に金属ニッケル粒子が均一に付着していることがわかる。金属ニッケル粒子は実質的に一次粒子からなるものであり、その平均粒子径は30nm以上500nm以下の範囲内であった。尚、この場合の金属ニッケル粒子の粒度分布は、粒子径約100nmを頂点(頻度10%程度)とし、最大粒径が約600nm、最小粒径が約10nmの対数正規分布となり得る。
1.2.平滑Niめっきによる正極活物質の表面処理
上記の無電解めっきの時間を長時間とすることで、水酸化ニッケル粒子の表面に生成した金属ニッケル粒子を核成長させ、水酸化ニッケル粒子の表面全体に金属ニッケルを平滑にめっきした。水酸化ニッケル粒子と金属ニッケルとの質量比は98:2であった。図7に平滑Niめっき後の金属ニッケルの形態を示す。図7に示すように、水酸化ニッケル粒子の表面全体を層状の金属ニッケルが実質的に隙間なく被覆していることがわかる。層状の金属ニッケルは表面に多少の凹凸を有するものの、粒子状を維持しておらず、粒子径を特定することはできなかった。
上記の無電解めっきの時間を長時間とすることで、水酸化ニッケル粒子の表面に生成した金属ニッケル粒子を核成長させ、水酸化ニッケル粒子の表面全体に金属ニッケルを平滑にめっきした。水酸化ニッケル粒子と金属ニッケルとの質量比は98:2であった。図7に平滑Niめっき後の金属ニッケルの形態を示す。図7に示すように、水酸化ニッケル粒子の表面全体を層状の金属ニッケルが実質的に隙間なく被覆していることがわかる。層状の金属ニッケルは表面に多少の凹凸を有するものの、粒子状を維持しておらず、粒子径を特定することはできなかった。
1.3.水酸化コバルトによる正極活物質の表面処理
水酸化ニッケル粒子を、水酸化ナトリウムにて液温50℃基準でpH9.0に維持した反応浴中のアルカリ水溶液に投入した。投入後、該溶液を撹拌しながら、濃度90g/Lの硫酸コバルト水溶液を滴下した。この間、水酸化ナトリウム水溶液を適宜滴下して、液温50℃基準で反応浴をpH9.0に維持しながら1時間保持することで、水酸化ニッケル粒子(核)の表面に水酸化コバルトからなる被覆層を形成させた。なお、水酸化ニッケル粒子と被覆されたコバルトとの質量比は、100:3.0であった。その後、容積が25Lのハイスピードミキサーに、得られた水酸化コバルトが被覆された水酸化ニッケル粒子を7Kg投入した。その後、空気を撹拌混合装置の導入口から撹拌混合装置内へ導入し排気口から排気しながら、撹拌混合装置底部の主攪拌羽を回転数200rpmで、撹拌混合装置側壁の副攪拌羽を1200rpmで、それぞれ回転させて水酸化コバルトが被覆された水酸化ニッケル粒子を混合した。混合を継続しながら、加熱ジャケットで加熱させて撹拌混合装置内のサンプルの温度がほぼ90℃となった後、撹拌混合装置内に48質量%水酸化ナトリウム水溶液0.4Lを、約2分間、噴霧装置から噴霧した。噴霧終了後、約30分間は撹拌混合装置内の温度は約120℃まで昇温し、粒子の表面の色が薄いピンク色から黒色に変化した。その後、撹拌混合装置内の温度を室温に戻し、生成物粒子を取り出し、取り出した生成物粒子を水で洗浄した後、空気中で加熱乾燥した。このようにして水酸化コバルトを酸化コバルトとした。
水酸化ニッケル粒子を、水酸化ナトリウムにて液温50℃基準でpH9.0に維持した反応浴中のアルカリ水溶液に投入した。投入後、該溶液を撹拌しながら、濃度90g/Lの硫酸コバルト水溶液を滴下した。この間、水酸化ナトリウム水溶液を適宜滴下して、液温50℃基準で反応浴をpH9.0に維持しながら1時間保持することで、水酸化ニッケル粒子(核)の表面に水酸化コバルトからなる被覆層を形成させた。なお、水酸化ニッケル粒子と被覆されたコバルトとの質量比は、100:3.0であった。その後、容積が25Lのハイスピードミキサーに、得られた水酸化コバルトが被覆された水酸化ニッケル粒子を7Kg投入した。その後、空気を撹拌混合装置の導入口から撹拌混合装置内へ導入し排気口から排気しながら、撹拌混合装置底部の主攪拌羽を回転数200rpmで、撹拌混合装置側壁の副攪拌羽を1200rpmで、それぞれ回転させて水酸化コバルトが被覆された水酸化ニッケル粒子を混合した。混合を継続しながら、加熱ジャケットで加熱させて撹拌混合装置内のサンプルの温度がほぼ90℃となった後、撹拌混合装置内に48質量%水酸化ナトリウム水溶液0.4Lを、約2分間、噴霧装置から噴霧した。噴霧終了後、約30分間は撹拌混合装置内の温度は約120℃まで昇温し、粒子の表面の色が薄いピンク色から黒色に変化した。その後、撹拌混合装置内の温度を室温に戻し、生成物粒子を取り出し、取り出した生成物粒子を水で洗浄した後、空気中で加熱乾燥した。このようにして水酸化コバルトを酸化コバルトとした。
2.正極ペーストの作製
表面処理後の正極活物質と金属コバルト粒子(高純度化学社製、平均粒子径D50:5μm)又は酸化コバルト粒子(高純度化学社製、平均粒子径:2μm)とを乳鉢にて軽く混合した後、さらに、添加材として酸化イットリウム粒子を加えて軽く混合し、その後、バインダーとしてスチレンブタジエンゴムを加えて固練りを行った。その後、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースを加えるとともに、水を添加し、湿式混合を行った。湿式混合後、脱泡を経て、正極合剤を含む正極ペーストを得た。
表面処理後の正極活物質と金属コバルト粒子(高純度化学社製、平均粒子径D50:5μm)又は酸化コバルト粒子(高純度化学社製、平均粒子径:2μm)とを乳鉢にて軽く混合した後、さらに、添加材として酸化イットリウム粒子を加えて軽く混合し、その後、バインダーとしてスチレンブタジエンゴムを加えて固練りを行った。その後、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースを加えるとともに、水を添加し、湿式混合を行った。湿式混合後、脱泡を経て、正極合剤を含む正極ペーストを得た。
3.正極の作製
作製した正極ペーストを正極集電体としての発泡ニッケル板に含浸塗工した後で、乾燥し、プレスしたうえで、ニッケル水素電池用正極を得た。ここで、正極の容量が390〜400mAhとなるように仕込み量を調整した。
作製した正極ペーストを正極集電体としての発泡ニッケル板に含浸塗工した後で、乾燥し、プレスしたうえで、ニッケル水素電池用正極を得た。ここで、正極の容量が390〜400mAhとなるように仕込み量を調整した。
下記表1に、作製した正極における正極合剤の組成を示す。
4.負極ペーストの作製
負極活物質として水素吸蔵合金と、添加材として酸化イットリウム粒子とを乳鉢にて軽く混合し、その後、バインダーとしてスチレンブタジエンゴムを加えて固練りを行った。その後、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースを加えるとともに、水を添加し、湿式混合を行った。湿式混合後、脱泡を経て、負極合剤を含む負極ペーストを得た。
負極活物質として水素吸蔵合金と、添加材として酸化イットリウム粒子とを乳鉢にて軽く混合し、その後、バインダーとしてスチレンブタジエンゴムを加えて固練りを行った。その後、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースを加えるとともに、水を添加し、湿式混合を行った。湿式混合後、脱泡を経て、負極合剤を含む負極ペーストを得た。
5.負極の作製
作製した負極ペーストを負極集電体(Niめっきパンチングメタル)に含浸塗工した後で、乾燥し、プレスしたうえで、ニッケル水素電池用負極を得た。ここで、負極の容量が600〜800mAhとなるように仕込み量を調整した。
作製した負極ペーストを負極集電体(Niめっきパンチングメタル)に含浸塗工した後で、乾燥し、プレスしたうえで、ニッケル水素電池用負極を得た。ここで、負極の容量が600〜800mAhとなるように仕込み量を調整した。
下記表2に、作製した負極における負極合剤の組成を示す。実施例及び比較例で共通の負極を用いるものとした。
6.ニッケル水素電池の組み付け
作製した正極にセパレータ(PP/PE不織布、厚さ:30μm、60μm又は90μm)を巻き付け、2枚の負極で挟み込んで拘束し、図3(B)に示すような積層体を得た。得られた積層体を電池ケース内に設置するとともに、ケース内に電解液として6M KOH水溶液を投入した。その後、脱気のうえケース内を封止し、評価用のニッケル水素電池を得た。
作製した正極にセパレータ(PP/PE不織布、厚さ:30μm、60μm又は90μm)を巻き付け、2枚の負極で挟み込んで拘束し、図3(B)に示すような積層体を得た。得られた積層体を電池ケース内に設置するとともに、ケース内に電解液として6M KOH水溶液を投入した。その後、脱気のうえケース内を封止し、評価用のニッケル水素電池を得た。
7.ニッケル水素電池の評価
7.1.初期抵抗の測定
作製した電池のリード部を充放電装置に接続し、20mAで240分充電後、20mAで1Vまで放電した。その後、40mAで630分充電したうえで40mAで1Vまで放電することを5回繰り返した。その後、80mAで60分充電し、DCIRにて電池の初期抵抗(25℃)を測定した。
7.1.初期抵抗の測定
作製した電池のリード部を充放電装置に接続し、20mAで240分充電後、20mAで1Vまで放電した。その後、40mAで630分充電したうえで40mAで1Vまで放電することを5回繰り返した。その後、80mAで60分充電し、DCIRにて電池の初期抵抗(25℃)を測定した。
7.2.高温耐久試験
初期抵抗を測定後、SOC20−80%の範囲で、800mA、45℃にて200サイクル充放電を行い、短絡発生の有無を確認した。
初期抵抗を測定後、SOC20−80%の範囲で、800mA、45℃にて200サイクル充放電を行い、短絡発生の有無を確認した。
8.評価結果
作製した電池の構成及び評価結果を下記表3に示す。
作製した電池の構成及び評価結果を下記表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、実施例1〜3に係る正極を用いてニッケル水素電池を構成した場合、正極におけるコバルト材料の添加量が1〜3質量%と少量にもかかわらず、電池の初期抵抗を0.20Ω未満に顕著に低減することができた。また、セパレータの厚みを従来の厚み(200μm程度)の半分以下(30〜90μm)としても、高温耐久試験における電池の短絡の発生がなく、信頼性に優れていた。
比較例1に係る正極を用いてニッケル水素電池を構成した場合、正極にコバルト材料が多量に存在することから、電池の初期抵抗を低下させることはできるものの、高温耐久試験において電池の短絡が発生した。電池の充放電に伴って、正極中のコバルトがイオン化してセパレータや負極上に拡散して金属コバルトやコバルト化合物として再析出したことが原因と考えられる。
比較例2に係る正極を用いてニッケル水素電池を構成した場合、セパレータの厚みを90μmとすると電池の初期抵抗が0.20Ωと高くなり、セパレータの厚みを60μm以下と薄くすると高温耐久試験において電池の短絡が発生した。
比較例3に係る正極を用いてニッケル水素電池を構成した場合、正極におけるコバルト材料の量が不足し、セパレータの厚みを90μmとすると電池の初期抵抗が0.21Ωと高くなった。
比較例4に係る正極を用いてニッケル水素電池を構成した場合、正極におけるコバルト材料の量が不足し、セパレータの厚みを90μmとすると電池の初期抵抗が0.25Ωと高くなった。
比較例5に係る正極を用いてニッケル水素電池を構成した場合、正極におけるコバルト材料の量が過剰となり、高温耐久試験において電池の短絡が発生した。
比較例6に係る正極を用いてニッケル水素電池を構成した場合、電池の初期抵抗が1.2Ωと高くなった。実施例1〜3に係る金属ニッケル粒子(微粒Niめっき)と比較して、比較例6に係る層状の金属ニッケル(平滑Niめっき)は電解液と反応して不動態を形成し易いためと考えられる。或いは、比較例6においては、水酸化ニッケル粒子の表面に金属ニッケルが平滑に密着し過ぎてイオン反応が阻害されたためと考えられる。
上記の実施例では、正極合剤中に添加材として酸化イットリウムを添加した形態について説明したが、本開示の技術はこの形態に限定されるものではない。酸化イットリウムは高温特性(高温での容量)をさらに改善するための添加材に過ぎず、正極において酸化イットリウムが含まれずとも、電子伝導性を十分に低下できるとともに、短絡の発生を抑制できることが明らかである。
上記の実施例では、正極合剤中にバインダーとしてSBRやCMCを添加した形態について説明したが、本開示の技術はこの形態に限定されるものではない。バインダーは正極合剤の密着性等を向上させるための添加材に過ぎず、正極においてバインダーが含まれずとも、電子伝導性を十分に低下できるとともに、短絡の発生を抑制できることが明らかである。
以上の通り、ニッケル水素電池用正極において正極合剤として以下の要件を満たすものを用いることで、電池の短絡を回避しつつ、電池の抵抗を低下させることができることが分かった。
(1)正極合剤が正極活物質として水酸化ニッケル粒子を含む。
(2)水酸化ニッケル粒子の表面が金属ニッケル粒子で被覆されている。
(3)正極合剤が金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料を1質量%以上3質量%以下含む。
(1)正極合剤が正極活物質として水酸化ニッケル粒子を含む。
(2)水酸化ニッケル粒子の表面が金属ニッケル粒子で被覆されている。
(3)正極合剤が金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料を1質量%以上3質量%以下含む。
本開示の正極を用いたニッケル水素電池は、車搭載用の大型電源から携帯端末用の小型電源まで広く利用可能である。
1 正極合剤
1a 水酸化ニッケル粒子(正極活物質)
1b 金属ニッケル粒子
1c コバルト材料
2 正極集電体
5 水酸化ニッケル粒子と金属ニッケル粒子との複合体
10 正極
20 負極
30 セパレータ
100 ニッケル水素電池
1a 水酸化ニッケル粒子(正極活物質)
1b 金属ニッケル粒子
1c コバルト材料
2 正極集電体
5 水酸化ニッケル粒子と金属ニッケル粒子との複合体
10 正極
20 負極
30 セパレータ
100 ニッケル水素電池
Claims (11)
- 正極合剤と正極集電体とを備えるニッケル水素電池用正極であって、
前記正極合剤が正極活物質として水酸化ニッケル粒子を含み、
前記水酸化ニッケル粒子の表面が金属ニッケル粒子で被覆されており、
前記正極合剤が金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料を1質量%以上3質量%以下含む、
ニッケル水素電池用正極。 - 前記金属ニッケル粒子の平均粒子径が30nm以上500nm以下である、
請求項1に記載のニッケル水素電池用正極。 - 前記コバルト化合物が、電池の充電時に、水酸化物イオンと反応してオキシ水酸化コバルトを生成し得る化合物である、
請求項1又は2に記載のニッケル水素電池用正極。 - 前記コバルト化合物が酸化コバルトである、
請求項3に記載のニッケル水素電池用正極。 - 前記金属ニッケル粒子が一次粒子からなる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のニッケル水素電池用正極。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の正極と、
負極と、
前記正極及び前記負極の間に設けられたセパレータと、
電解液と、
を備える、ニッケル水素電池。 - 前記セパレータの厚みが30μm以上90μm以下である、
請求項6に記載のニッケル水素電池。 - 水酸化ニッケル粒子の表面を金属ニッケル粒子で被覆して複合体を得る、第1工程と、
金属コバルト及びコバルト化合物から選ばれる少なくとも1種のコバルト材料と前記複合体とを混合して、前記コバルト材料を1質量%以上3質量%以下含む正極合剤を得る、第2工程と、
前記正極合剤と正極集電体とを用いて正極を作製する、第3工程と、
を備える、ニッケル水素電池用正極の製造方法。 - 前記第1工程において、めっきによって、前記水酸化ニッケル粒子の表面に前記金属ニッケル粒子を生成させる、
請求項8に記載の製造方法。 - 前記めっきが無電解めっきである、
請求項9に記載の製造方法。 - 前記第2工程において、前記コバルト材料と前記複合体とを混合した後でさらにバインダーを混合して前記正極合剤を得る、
請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
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JP2002157988A (ja) * | 2000-11-16 | 2002-05-31 | Asahi Kasei Corp | ニッケル水素二次電池 |
-
2018
- 2018-12-13 JP JP2018233625A patent/JP2020095879A/ja active Pending
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