JP2005038499A - 磁気ディスク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】再生時のトラック幅が2μm以下の記録再生システムに使用される、支持体上に強磁性粉末と結合剤からなる磁性層を有する磁気ディスクであって、記録領域の最内周部における前記磁性層と磁気ヘッドとの摩擦力(Fin)が30mN以下、記録領域の最外周部における前記磁性層と磁気ヘッドとの摩擦力(Fout)が20mN以下、且つFin/Foutの値が1.0〜4.0であることを特徴とする磁気ディスク。
【選択図】 なし
Description
特許文献1に記載の中間層上に磁性層を設けた磁気ディスクは、潤滑剤としてのアルキルアミンが中間層の非磁性粉末に吸着されることなく適量の潤滑剤が磁気ディスクの表面に供給され、電磁変換特性を劣化させることなく摩擦係数の低減を実現し、優れた信頼性を有する磁気ディスクを提供することが可能であるとしている。
また、特許文献2の実施例の中には、対ヘッド摩擦力を低減することで耐久性が向上することが示されている。しかし、ヘッドとメディアの相対速度が低下すると摩擦力は上昇することが知られており、磁気ディスクの内径から外径にかけて安定した摩擦特性を確保するには、広い相対速度の範囲で適切な摩擦特性を確保する必要がある。さらには、半径位置で摩擦力の値が大きく異なる場合は、ヘッド姿勢が変化し、ヘッドとディスクのスペーシングが大きくなり、電磁変換特性が低下することがわかってきた。この傾向は記録密度が高い場合に顕著であり、同文献2で達成しているような再生時のトラック幅が5μm以上の記録再生システムでは、問題とならなかった。
(1)再生時のトラック幅が2μm以下の記録再生システムに使用される、支持体上に強磁性粉末と結合剤からなる磁性層を有する磁気ディスクであって、記録領域の最内周部における前記磁性層と磁気ヘッドとの摩擦力(Fin)が30mN以下、記録領域の最外周部における前記磁性層と磁気ヘッドとの摩擦力(Fout)が20mN以下、且つFin/Foutの値が1.0〜4.0であることを特徴とする磁気ディスク。
(2)前記強磁性粉末が六方晶系フェライト粉末であることを特徴とする上記(1)に記載の磁気ディスク。
(3)前記再生時に使用される磁気ヘッドがMRヘッドであることを特徴とする上記(1)に記載の磁気ディスク。
本発明は、上記のように規定したことにより、磁気ディスクが高記録密度であり、かつ記録領域全体にわたって安定したSNRが得られ、かつ走行耐久性に優れるものである。
摩擦力(Fin)とは、磁気ディスクを回転させ、その回転接線方向であって、かつ記録領域の最内周部に磁気ヘッドを配置し、該磁気ヘッドに作用する力を、微小荷重ロードセルを使用して検出して得られる摩擦力である。摩擦力(Fin)は、30mN以下に制御され、好ましくは20mN以下である。
摩擦力(Fout)とは、磁気ヘッドの配置を記録領域の最外周部にすること以外は、摩擦力(Fin)と同じである。摩擦力(Fout)は、20mN以下に制御され、好ましくは10mN以下である。
摩擦力の測定時における磁気ディスクの回転速度は、特に限定はなく、磁気ディスクが対応する磁気ディスク装置における通常の速度の範囲であればよいが、通常は、1800rpm以上が好ましく、より好ましくは1800〜7200rpmである。
Fin/Foutは、1.0〜4.0、好ましくは1.0〜2.0である。
本発明における摩擦力は、23℃、50%RHの環境下のいずれにおいても満足される値である。
尚、該摩擦力の測定の詳細は、特許文献2などが参照される。
摩擦力(F)の大きさは、磁気ディスクの表面の凹凸や硬さ等の表面状態によって変化すると推定される。この摩擦力が小さいほど、磁気ディスクの表面や磁気ヘッドが損傷する確率が低くなる。
本発明では、上記のように摩擦力(Fin)、摩擦力(Fout)、及びFin/Foutを制御することにより、電磁変換特性及び走行耐久性の両立を図ることができる。
また、本発明の磁気ディスクは、長時間の使用においても潤滑性能を維持することができ、耐久性が高く、良好な磁気特性を有するなど優れた特性を有する。摩擦力が高くなると、トラッキングエラーが発生しやすく、データの記録あるいは再生ができなくなる場合があるが、摩擦力を小さく抑えることでそれらも改善でき磁気ディスクの信頼性を向上することができる。
磁気ディスクの表面状態を制御する手段としては、磁性層に含有される結合剤(Tg、物理強度等)の選定、粉体(強磁性粉末、研磨剤、カーボンブラック等の構造、形状、サイズ)の選定、潤滑剤(種類、添加量)の選定、溶剤の選定、分散法の選定、カレンダー処理条件の選定等が挙げられる。
[磁性層]
本発明の磁気ディスクは、通常、磁性層を支持体の両面に設けられるが、片面であっても良い。
その片側に設けられている磁性層は単層でも互いに組成の異なる複層でもよい。また、本発明は支持体と磁性層の間に実質的に非磁性である下層(非磁性層または下層ともいう)をwet on wet法、wet on dry法等により設けることが好ましい。磁性層を上層または上層磁性層ともいう。
高密度記録を達成するために強磁性粉末の抗磁力は高いことが好ましく、使用する記録ヘッドの性能にもよるが、143〜223kA/mが好ましい。高抗磁力化にともない、信号のオーバーライトが問題となる。強磁性金属粉末の抗磁力は形状異方性が主な起源であるので、形状の変動係数が小さいことが好ましい。
強磁性粉末自体のSFDは小さい方が好ましく、強磁性粉末のHc分布を小さくする必要がある。テープのSFDが小さいと、磁化反転がシャープでピークシフトが小さくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hc分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲータイトの粒度分布を良くする、単分散α−Fe2O3を使用する、粒子間の焼結を防止するなどの方法がある。
次に下層に関する詳細な内容について説明する。下層としては非磁性無機粉末と結合剤を主体とするものが好ましい。下層に用いられる非磁性無機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機質化合物から選択することができる。無機化合物としては例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または組み合わせで使用される。特に好ましいのは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタン、α酸化鉄である。これら非磁性無機粉末の平均粒子径は0.005〜2μmが好ましいが、必要に応じて平均粒子径の異なる非磁性無機粉末を組み合わせたり、単独の非磁性無機粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性無機粉末の平均粒子径は0.01μm〜0.2μmである。特に、非磁性無機粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径0.08μm以下が好ましく、針状金属酸化物である場合は、平均長軸長が0.3μm以下が好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。タップ密度は通常、0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。非磁性無機粉末の含水率は通常、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、更に好ましくは0.3〜1.5質量%である。非磁性無機粉末のpHは通常、2〜11であるが、pHは5.5〜10の間が特に好ましい。非磁性無機粉末の比表面積は通常、1〜100m2/g、好ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは10〜70m2/gである。
本発明の下層に用いられる非磁性無機粉末の具体的な例及び製造法としては、WO98/35345に記載のものが例示される。
本発明に使用される結合剤としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものである。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組み合わせて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組み合わせ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものがあげられる。
本発明の磁性層に使用されるカーボンブラックはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック、等を用いることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、平均粒子径は5nm〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/cc、が好ましい。具体的には、WO98/35345に記載のもが挙げられる。
本発明はダイヤモンド以外に他の研磨剤を磁性層等に併用することができる。研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独または組み合わせで使用される。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の平均粒子径は0.01〜2μmが好ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子径の異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/ml、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的にはWO98/35345に記載のものが挙げらる。磁性層、非磁性層に添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
本発明の磁性層と非磁性層に使用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつものが使用され、組み合わせることにより総合的な性能向上が図れる。潤滑効果を示すものとしては物質の表面同士の摩擦の際、生じる凝着を著しく作用を示す潤滑剤が使用される。潤滑剤には2つの型のものがある。磁気ディスクに使用される潤滑剤は完全に流体潤滑か境界潤滑であるか判定することはできないが、一般的概念で分類すれば流体潤滑を示す高級脂肪酸エステル、流動パラフィン、シリコン誘導体などや境界潤滑を示す長鎖脂肪酸、フッ素系界面活性剤、含フッ素系高分子などに分類される。塗布型媒体では潤滑剤は結合剤に溶解した状態また一部は強磁性粉末表面に吸着した状態で存在するものであり、磁性層表面に潤滑剤が移行してくるが、その移行速度は結合剤と潤滑剤との相溶性の良否によって決まる。結合剤と潤滑剤との相溶性が高いときは移行速度が小さく、相溶性の低いときには早くなる。相溶性の良否に対する一つの考え方として両者の溶解パラメ−タ−の比較がある。流体潤滑には非極性潤滑剤が有効であり、境界潤滑には極性潤滑剤が有効である。
固体潤滑剤としては例えば二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛などが使用される。境界潤滑を示す長鎖脂肪酸としては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)が挙げられる。フッ素系界面活性剤、含フッ素系高分子としてはフッ素含有シリコ−ン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩などが挙げられる。流体潤滑を示す高級脂肪酸エステルとしては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエ−テルの脂肪酸エステルなどが挙げられる。また流動パラフィン、そしてシリコン誘導体としてジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などのシリコ−ンオイル、極性基をもつシリコ−ン、脂肪酸変性シリコ−ン、フッ素含有シリコ−ンなどが挙げられる。
本発明において使用される潤滑剤は特に脂肪酸と脂肪酸エステルが好ましく、具体的にはWO98/35345に記載のものが挙げられる。これらに加えて別異の潤滑剤、添加剤も組み合わせて使用することができる。
本発明は脂肪酸エステルとしてWO98/35345号パンフレットに記載のようにモノエステルとジエステルを組み合わせて使用することも好ましい。
装置:Φ社製PHI−660型
測定条件:1次電子線加速電圧3KV
試料電流 130nA
倍率 250倍
傾斜角度 30°
上記条件で、運動エネルギ−(Kinetic Energy)130〜730eVの範囲を3回積算し、炭素のKLLピークと鉄のLMMピークの強度を微分形で求め、C/Feの比をとることで求める。
本発明の磁気ディスクの厚み構成は支持体が通常、2〜100μm、好ましくは2〜80μmである。
支持体、好ましくは非磁性可撓性支持体と非磁性層または磁性層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。本下塗層厚みは0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.5μmである。
帯電防止やカール補正などの効果を出すために磁性層が設けられている側と反対側の支持体にバック層を設けてもかまわない。この厚みは通常、0.1〜4μm、好ましくは0.3〜2.0μmである。これらの下塗層、バック層は公知のものが使用できる。
なお、下層は実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、たとえば不純物としてあるいは意図的に少量の磁性粉を含んでも、本発明の効果を示すものであり、本発明と実質的に同一の構成と見なすことができることは言うまでもない。実質的に非磁性層とは下層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が100エルステッド(≒8kA/m)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力をもたないことを示す。又、下層に磁性粉を含む場合は、下層の全無機粉末の1/2未満含むことが好ましい。また、下層として、非磁性層に代えて軟磁性粉末と結合剤を含む軟磁性層を形成してもよい。軟磁性層の厚みは上記下層と同様である。
本発明に用いられる支持体は、非磁性可撓性支持体であることが好ましく、支持体の面内各方向に対し、100℃30分での熱収縮率が0.5%以下であり、80℃30分での熱収縮率が0.5%以下、更に好ましくは0.2%以下であることが好ましい。更に前記支持体の100℃30分での熱収縮率及び80℃30分での熱収縮率が前記支持体の面内各方向に対し、10%以内の差で等しいことが好ましい。支持体は非磁性であることが好ましい。これら支持体はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリアセテート、ポリカ−ボネート、芳香族又は脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じ、磁性面とベ−ス面の表面粗さを変えるため特開平3−224127に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などをおこなっても良い。また本発明の支持体としてアルミまたはガラス基板を適用することも可能である。
本発明の磁気ディスクの磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニ−ダ、加圧ニ−ダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニ−ダを用いる場合は磁性粉末または非磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)および磁性粉末100部に対し15〜500部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338、特開平1−79274に記載されている。また、磁性層液および非磁性層液を分散させるにはガラスビーズを用いることができるが、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
磁気ディスクは、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。六方晶フェライトは、一般的に面内および垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用い円周配向としてもよい。
カレンダー処理ロールとしてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールまたは金属ロールで処理するが、特に両面磁性層とする場合は金属ロール同志で処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm(≒196kN/m)以上、さらに好ましくは300kg/cm(≒294kN/m)以上である。
本発明では、残留磁束密度×磁性層厚みが、5〜300mT・μmが好ましい。抗磁力Hcは1800〜5000エルステッド(≒144〜400kA/m)が好ましく、1800〜3000エルステッド(≒144〜240kA/m)が更に好ましい。抗磁力の分布は狭い方が好ましく、SFD(スイッチング・フィールド・ディストリビューション)およびSFDrは0.6以下が好ましい。
サンプル1
下記磁性塗料Aと非磁性塗料それぞれについて、各成分をニ−ダで混練したのち、磁性塗料Aについてはサンドミルをもちいて回転数2000rpmで12時間分散し、非磁性塗料についてはサンドミルを用いて回転数2000rpmで3時間分散した。得られた磁性液Aと非磁性塗料の分散液にポリイソシアネ−トを磁性塗料Aの塗布液には3部、非磁性塗料の塗布液には6部を加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン30部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層形成用および非磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層塗布液を、厚さ53μmで中心面平均表面粗さが3nmのポリエチレンナフタレート支持体上に乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗布し乾燥後に、その後、磁性層の厚さが0.15μmになるように塗布をおこない、乾燥後、7段のカレンダで温度90℃、線圧300kg/cmにて処理を行い、3.7吋に打ち抜き、さらに55℃サーモ内で24時間熱処理した。
磁性塗料A及び非磁性塗料中のイソセチルステアレートを表1に記載した添加量に変更したこと以外は、サンプル1と同様な方法でサンプル2〜3を作成した。
下記磁性塗料Aの代わりに磁性塗料Bを用い、ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて回転数2000rpmで6時間分散後、カーボンブラック#50(旭カーボン社製) 1部を加え、さらに継続して6時間分散したこと以外は、サンプル1と同様な方法でサンプル4を作成した。
下記磁性塗料Aの代わりに磁性塗料Bを用い、ニーダで混練したのち、サンドミルを用いて回転数2000rpmで8時間分散後、カーボンブラック#50(旭カーボン社製) 1部を加え、さらに継続して4時間分散したこと以外は、サンプル1と同様な方法でサンプル5を作成した。
磁性塗料及び非磁性塗料中のイソセチルステアレートを表1に記載したエステル種、添加量に変更したこと以外は、サンプル4と同様な方法でサンプル6〜10を作成した。
磁性塗料A及び非磁性塗料に添加するイソシアネートの添加量を表1に記載した添加量に変更したこと以外は、サンプル1と同様な方法でサンプル11〜12を作成した。
磁性塗料及び非磁性塗料に添加するイソシアネートの添加量を表1に記載した添加量に変更したこと以外は、サンプル4と同様な方法でサンプル13〜15を作成した。
磁性塗料Aに添加するダイヤモンドを表1に記載した平均粒径に変更したこと以外は、サンプル1と同様な方法でサンプル16〜17を作成した。
下記磁性塗料Aの代わりに磁性塗料Cを用い、ニ−ダで混練したのち、サンドミルをもちいて回転数2000rpmで12時間分散した後に、ポリイソシアネートと共に平均粒径150nmのダイヤモンド2部をシクロヘキサノン中にスラリー化し、超音波処理したものを添加すること以外はサンプル1と同様な方法でサンプル18を作成した。
六方晶バリウムフェライト 100部
表面処理層:Al2O3 5質量%、SiO2 2質量%
Hc:2500Oe(200kA/m)
板径:30nm
板状比:3
σs:56A・m2/kg
塩化ビニル共重合体:MR110(日本ゼオン社製) 6部
ポリウレタン樹脂:UR8200(東洋紡社製) 3部
ダイヤモンド(平均粒径150nm) 2部
カ−ボンブラック:#50(旭カーボン社製) 1部
イソセチルステアレート 4部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 120部
六方晶バリウムフェライト 100部
表面処理層:Al2O3 5質量%、SiO2 2質量%
Hc:2500Oe(200kA/m)
板径:30nm
板状比:3
σs:56A・m2/kg
塩化ビニル共重合体:MR110(日本ゼオン社製) 6部 ポリウレタン樹脂:UR8200(東洋紡社製) 3部
ダイヤモンド(平均粒径150nm) 2部
イソセチルステアレート 5部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 120部
磁性塗料C
六方晶バリウムフェライト 100部
表面処理層:Al2O3 5質量%、SiO2 2質量%
Hc:2500Oe(200kA/m)
板径:30nm
板状比:3
σs:56A・m2/kg
塩化ビニル共重合体:MR110(日本ゼオン社製) 6部
ポリウレタン樹脂:UR8200(東洋紡社製) 3部
カ−ボンブラック:#50(旭カーボン社製) 1部
イソセチルステアレート 5部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 120部
非磁性塗料
α−Fe2O3 ヘマタイト 100部
平均長軸長:0.07μm、平均短軸長:0.014μm
SBET:55m2/g
pH:9、表面処理剤層:Al2O3:8質量%
カ−ボンブラック(平均粒子径:20nm) 25部
コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製)
塩化ビニル共重合体:MR104(日本ゼオン社製) 15部
ポリウレタン樹脂: 7部
(ネオペンチルグリコール/ヒドロキシカプロン酸/フタル酸/ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフタレートのナトリウム塩/ジフェニルメタンジイソシアネートを原料とするポリウレタンで、質量平均分子量が4万、Tgが38℃、スルホン酸ナトリウムを6.5×10−5当量/g含有する。)
フェニルホスホン酸 4部
イソセチルステアレート 6部
オレイン酸 1.3部
ステアリン酸 1.3部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部
SNRの測定は、米 GUZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90にて、書き込みトラック幅1.5μm、読み出しトラック幅0.9μmの複合型MRヘッドを用い、回転数3600rpmで、半径44mmの位置において線記録密度100KFCIの信号を書き込み、その再生出力(TAA)とDCイレーズ後のノイズレベルを測定し、最外周のSNR値とし、同様な方法で、半径22mmの位置で測定したSNRを最内周SNRとした。
米 GUZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90にロードセル(共和電業社製:LVS−10GA)に係合したSNR測定に使用した複合型MRヘッドを搭載し、回転数3600rpmにて、半径22mmの位置と半径44mmの位置における摩擦力を測定し、Fin、Foutとした。
米 GUZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90にて、SNR測定に使用した複合型MRヘッドを用い、回転数3600rpmにて、半径22mmの位置から半径44mmの位置を連続的にシークさせた。シーク開始後、10時間毎に、シーク部分のドロップアウトを測定し、出力が30%以上低下する長さ300μm以上の欠陥が確認されたところをそのメディアの寿命とした。
Claims (3)
- 再生時のトラック幅が2μm以下の記録再生システムに使用される、支持体上に強磁性粉末と結合剤からなる磁性層を有する磁気ディスクであって、記録領域の最内周部における前記磁性層と磁気ヘッドとの摩擦力(Fin)が30mN以下、記録領域の最外周部における前記磁性層と磁気ヘッドとの摩擦力(Fout)が20mN以下、且つFin/Foutの値が1.0〜4.0であることを特徴とする磁気ディスク。
- 前記強磁性粉末が六方晶系フェライト粉末であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
- 前記再生時に使用される磁気ヘッドがMRヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
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