JP2007087496A - ナノ粒子軟磁性層を有する垂直磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

ナノ粒子軟磁性層を有する垂直磁気記録媒体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、低ノイズで高密度な垂直磁気記録媒体を提供することである。また、垂直磁気記録媒体を簡便にかつ低コストで製造する方法を提供することである。
【解決手段】 非磁性基板上に、少なくとも1層の軟磁性層および少なくとも1層の硬磁性層を有する垂直磁気記録媒体であって、該軟磁性層が25℃での面内保磁力が1.6kA/m〜16kA/mである磁性ナノ粒子を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、垂直磁気記録媒体に関する。特に、ナノ粒子軟磁性層を有する垂直磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
近年パーソナルコンピュータや情報機器は小型化され、さらには、ユビキタスを実現するための携帯性が求められつつある。このために、より多くの情報を蓄積するための超高密度で小型の磁気記録装置が必要となっている。
磁気記録の高密度化を実現する技術として、従来の面内磁気記録方式に替えて、垂直磁気記録方式が注目されている。垂直磁気記録媒体は面内配向した軟磁性層の上に垂直配向した硬磁性層を配置する構成が基本である。
垂直磁気記録媒体に関する特許文献は数多く開示されているが、これらにおける媒体作製法のほとんどはスパッタ法で行う薄膜形成法である。スパッタ法で行う薄膜形成法では、直接には垂直配向磁性層を得ることが困難なため、配向制御のための下地層を設けるなどの工夫が必要である。
例えば、特許文献1、2、3および4では、スパッタ法での垂直配向を促進するための下地層が開示されている。しかし、これらの方法では、層構成が複雑化する欠点を有する上に、理想的な垂直配向を達成するには至っていない。
また、特許文献5および6にはスパッタ法で形成した軟磁性層を開示している。これらはノイズ低減して高密度化することを目的としているが、ノイズ除去は不十分である。特許文献7および8では、さらに複雑な層構成を形成させることで、低ノイズ化を図っているが、製造工程が多くコストの高いものになっている。
硬磁性層の垂直配向性を高めるための技術が特許文献9に示されている。特許文献9では、軟磁性裏打ち層をメッキ法、スパッタ法、蒸着法、もしくはCVD(化学気相成長)法で作製しており、中間層にカーボン相で隔離配列された軟磁性ナノ粒子層および硬磁性ナノ粒子を含有する記録層を溶媒を用いたスピンコート法もしくは浸漬法で設けている。さらに、保護層をメッキ法、スパッタ法、蒸着法、もしくはCVD法で設け、潤滑層を溶媒を用いたスピンコート法もしくは浸漬法で設けている。この方法では、中間層の軟磁性ナノ粒子層は硬磁性層と軟磁性裏打ち層の静磁気的相互作用を遮断するために設けられており、特許文献7、8などに見られる非磁性中間層と同様の目的で開示されている。
しかしながら、特許文献9で示されているカーボン相を連続相とした中間層の構成では膜強度は十分でなく、さらに、軟磁性裏打ち層と軟磁性ナノ粒子中間層の製造方法が全く異なり、さらにその上の記録層、保護層等の製造方法も一貫していないため、製造工程が複雑で生産性が低く、かつコストが高いものとなっている。
特開2001−167423号公報 特開2001−283428号公報 特開2002−25044号公報 特開2002−100030号公報 特開平5−250651号公報 特開2002−42318号公報 特開2002−312924号公報 特開2002−342909号公報 特開2004−362746号公報
本発明は、低ノイズで高密度な垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。また、このような特徴を有する垂直磁気記録媒体を簡便にかつ低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下に示す手段により解決された。
<1> 非磁性基板上に、少なくとも1層の軟磁性層および少なくとも1層の硬磁性層を有する垂直磁気記録媒体であって、該軟磁性層が25℃での面内保磁力が1.6kA/m〜16kA/mである磁性ナノ粒子を含有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
<2> 前記軟磁性層に含有される磁性ナノ粒子が、Fe100-x-yx(SmまたはY)yからなる窒化鉄系磁性ナノ粒子またはFe100-m-n(PtまたはCo)m(Cu、AgまたはNi)nからなる合金系磁性ナノ粒子を含有することを特徴とする<1>に記載の垂直磁気記録媒体。ここで、xは10原子%〜30原子%、yは0原子%〜10原子%、mは25原子%〜75原子%、nは0原子%〜60原子%の領域を示す。但し、m+n<100である。
<3> 前記硬磁性層が、磁場中乾燥または磁場中アニールにより垂直配向したナノ粒子磁性層であることを特徴とする<1>または<2>に記載の垂直磁気記録媒体。
<4> <1>、<2>および<3>に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性層および前記硬磁性層を共に溶媒を用いて塗布法もしくは浸漬法により塗布する工程とその後の乾燥工程を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
<5> <4>に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記垂直磁気記録媒体が前記軟磁性層および前記硬磁性層の間に中間層を有し、該中間層を溶媒を用いて塗布法もしくは浸漬法により塗布する工程とその後の乾燥工程を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
本発明により、従来技術より低ノイズで高密度な垂直磁気記録媒体が提供される。また、このような特徴を有する垂直磁気記録媒体を簡便にかつ低コストで製造する方法が提供される。
以下において、本発明のナノ粒子軟磁性層を有する垂直磁気記録媒体およびその製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることであるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
1.軟磁性ナノ粒子
(粒子サイズ)
本発明における軟磁性ナノ粒子の平均粒径は1nm〜30nmが好ましい。さらに好ましくは、3nm〜20nmである。平均粒径が本発明より小さい場合には、保磁力が出ず、常磁性となるため好ましくない。また本発明より大きい場合には保磁力が高くなり過ぎるため好ましくない。
(保磁力)
本発明における軟磁性ナノ粒子の保磁力は、1.6kA/m〜16kA/mである。好ましくは、2.5kA/m〜12kA/mである。この値が、本発明の範囲より小さ過ぎても、また大き過ぎても硬磁性層に影響を与え、垂直記録しにくい。
(組成)
本発明における軟磁性ナノ粒子は、前記の保磁力を示すものとしであれば、どのような元素からなる粒子でも構わない。具体例としては次に示すものが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明においては、Fe100-x-yx(SmまたはY)yからなる窒化鉄系磁性ナノ粒子またはFe100-m-n(PtまたはCo)m(Cu、AgまたはNi)nからなる合金系磁性ナノ粒子が好ましく用いられる。ここで、xは10原子%〜30原子%、yは0原子%〜10原子%、mは25原子%〜75原子%、nは0原子%〜60原子%の領域を示す。但し、m+n<100である。具体的には、FePt、FePd、CoPt、Fe3Pt、Co3Pt、Ni3Pt、Fe2N、Fe3N、Fe4N、Fe16YN、Fe2YN、Fe16SmN、Fe2SmN、Fe3SmN、およびFe162が好ましい。
また、上記以外に、CoCrPt、Fe14Nd2B、BaFe1219、表面を不動態化したFe、表面を不動態化したCoなども好ましく用いられる。
2.硬磁性粒子
本発明における硬磁性粒子は、硬磁性を示すものであればどのような粒子でも構わないが、好ましくはナノ粒子である。
本発明に用いることの出来る硬磁性ナノ粒子としては、粒径および組成の変動係数が20%以下である合金ナノ粒子が好ましく、より好ましくは、15%以下であり、さらに好ましくは、10%以下である。変動係数が20%より大きいと、保磁力の変動が大きく、磁気記録再生での出力低下やノイズ上昇の原因となる。
本発明に用いることが出来る硬磁性ナノ粒子としては、少なくとも2種の金属が周期表の8族、9族、10族、および11族の中から選択される合金ナノ粒子が好ましい。さらに、表面を酸化した合金ナノ粒子、あるいは、一部を酸化した合金ナノ粒子も好ましい。
粒径は以下のようにして測定した。
カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した金属ナノ粒子を載せて乾燥させ、TEM(日本電子(株)製1200EX)で10万倍撮影したネガを粒径測定器(カールツァイス製KS−300)で測定し、算術平均粒径と変動係数を算出した。
また、組成は以下のようにして測定した。
カーボン膜を貼り付けたNi300メッシュに希釈した金属ナノ粒子を載せて乾燥させ、FE−TEM(日立製作所(株)製HF−2210)で50万倍観察しながら、FE−TEM/EDSで組成分析(粒子領域を30秒間積算し、得られたスペクトルから、EDS内蔵ソフトのFilter Fit法を用いて、各金属の組成を原子%で算出)し、組成比と変動係数(Ptで代表)を算出した。
本発明における硬磁性ナノ粒子の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
FePt、CoPt、FePd、CoPd、CoCrPt、CoCrPd、FeNiPt、FeCoPt、FePtCu、FePtAg、FePtNi。
3.ナノ粒子の調製方法
本発明における磁性ナノ粒子を形成しうる液相合成法としては、沈殿法で分類すると、(1)1級アルコールを用いるアルコール還元法、(2)2級、3級、2価または3価のアルコールを用いるポリオール還元法、(3)熱分解法、(4)超音波分解法、(5)強力還元剤還元法、などを利用することができる。
また、反応系で分類すると、(6)高分子存在法、(7)高沸点溶媒法、(8)正常ミセル法、(9)逆ミセル法、などを利用することができる。この内、(2)と(6)の組み合わせ、(5)と(6)の組み合わせおよび(5)と(9)の組み合わせが好ましく利用できる。特に、粒径が制御しやすい点から逆ミセル法が好ましい。
(逆ミセル法)
逆ミセル法は、少なくとも、(1)2種の逆ミセル溶液を混合して還元反応を行う還元工程と、(2)還元反応後に所定温度で熟成する熟成工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
(1)還元工程
まず、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)を調製する。
前記界面活性剤としては、油溶性界面活性剤が用いられる。具体的には、スルホン酸塩型(例えば、エーロゾルOT(和光純薬(株)製))、4級アンモニウム塩型(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、エーテル型(例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル)などが挙げられる。
非水溶性有機溶媒中の界面活性剤量は、20g/L〜200g/Lであることが好ましい。
前記界面活性剤を溶解する非水溶性有機溶媒として好ましいものは、アルカン、エーテル等が挙げられる。
アルカンとしては、炭素数7〜12のアルカン類であることが好ましい。具体的には、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、またはドデカン等が好ましい。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、またはジブチルエーテル等が好ましい。
還元剤水溶液中の還元剤としては、アルコール類;ポリオール類;H2;HCHO、S26 2-、H2PO2 -、BH4 -、N25 +、およびH2PO3 -などを含む化合物;を単独で使用、または2種以上を併用することが好ましい。
水溶液中の還元剤量は、金属塩1モルに対して、3モル〜50モルであることが好ましい。
ここで、逆ミセル溶液(I)溶液中の水と界面活性剤との質量比(水/界面活性剤)は、20以下となるようにすることが好ましい。質量比が20以下であると、沈殿の生成を抑え、粒子も揃いやすいといった利点がある。質量比は、15以下とすることが好ましく、0.5〜10とすることがより好ましい。なお、逆ミセル溶液(I)溶液とともに、目的に応じて、上記質量比や使用原料を変えた逆ミセル溶液(I’)、(I”)等を調製し、これらを併用してもよい。
上記とは別に、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と金属塩水溶液とを混合した逆ミセル溶液(II)を調製する。
界面活性剤および非水溶性有機溶媒の条件(使用する物質、濃度等)については、逆ミセル溶液(I)の場合と同様である。
なお、逆ミセル溶液(I)と同種のものまたは異種のものを使用することができる。また、逆ミセル溶液(II)中の水と界面活性剤との質量比も逆ミセル溶液(I)の場合と同様であり、逆ミセル溶液(I)の質量比と同一としてもよく、異なっていてもよい。また、逆ミセル溶液(II)とともに、目的に応じて、上記質量比や使用原料を変えた逆ミセル溶液(II’)、(II”)等を調製し、これらを併用してもよい。
金属塩の具体例としては、H2PtCl6、K2PtCl4、Pt(CH3COCHCOCH32、Na2PdCl4、Pd(OCOCH32、PdCl2、Pd(CH3COCHCOCH32、HAuCl4、Fe2(SO43、Fe(NO33、(NH43Fe(C243、Fe(CH3COCHCOCH33、NiSO4、CoCl2、Co(OCOCH32、AgNO3、AgCH3COO、AgClO4、および(NH42CuCl4などが挙げられる。
金属塩水溶液中の濃度(金属塩濃度として)は、0.1μmol/mL〜1000μmol/mLであることが好ましく、1μmol/mL〜100μmol/mLであることがより好ましい。
以上のようにして調製した逆ミセル溶液(I)と(II)とを混合する。混合方法としては、特に限定されるものではないが、還元の均一性を考慮して、逆ミセル溶液(I)を撹拌しながら、逆ミセル溶液(II)を添加していって混合することが好ましい。混合終了後、還元反応を進行させることになるが、その際の温度は、−5℃〜30℃の範囲で、一定の温度とすることが好ましい。
還元温度を−5℃〜30℃とすることで、水相が凝結して還元反応が不均一になるといった問題を解消し、凝集または沈殿が起こりやすく系が不安定となる問題をも解消することができる。好ましい還元温度は0℃〜25℃であり、より好ましくは5℃〜25℃である。
ここで、前記「一定温度」とは、設定温度をT(℃)とした場合、当該TがT±3℃の範囲にあることをいう。なお、このようにした場合であっても、当該Tの上限および下限は、上記還元温度(−5℃〜30℃)の範囲にあるものとする。
還元反応の時間は、逆ミセル溶液の量等により適宜設定する必要があるが、1分〜30分とすることが好ましく、5分〜20分とすることがより好ましい。
還元反応は、粒径分布の単分散性に大きな影響を与えるため、できるだけ高速攪拌しながら行うことが好ましい。
好ましい攪拌装置は高剪断力を有する攪拌装置であり、詳しくは、攪拌羽根が基本的にタービン型あるいはパドル型の構造を有し、さらに、その羽根の端もしくは、羽根と接する位置に鋭い刃を付けた構造であり、羽根をモーターで回転させる攪拌装置である。具体的には、ディゾルバー(特殊機化工業製)、オムニミキサー(ヤマト科学製)、ホモジナイザー(SMT製)などの装置が有用である。これらの装置を用いることにより、単分散な合金粒子を安定な分散液として合成することができる。
上記装置の回転数は、2000rpm〜20000rpmにすることが好ましい。
前記逆ミセル溶液(I)および(II)の反応後に、アミノ基またはカルボキシ基を1個〜3個有する少なくとも1種の分散剤を、作製しようとする合金粒子1モル当たり、0.001モル〜10モル添加することが好ましい。
かかる分散剤を添加することで、より単分散で、凝集の無い合金粒子を得ることが可能となる。添加量が、0.001モル〜10モルとすることで、合金粒子の単分散性をより向上させながら、凝集の発生を抑制することができる。
前記分散剤としては、合金粒子表面に吸着する基を有する有機化合物が好ましい。具体的には、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基またはスルフィン酸基を1個〜3個有するものであり、これらを単独または併用して用いることができる。
構造式としては、R−NH2、NH2−R−NH2、NH2−R(NH2)−NH2、R−COOH、COOH−R−COOH、COOH−R(COOH)−COOH、R−SO3H、SO3H−R−SO3H、SO3H−R(SO3H)−SO3H、R−SO2H、SO2H−R−SO2H、またはSO2H−R(SO2H)−SO2Hで表される化合物であり、式中のRは直鎖、分岐または環状の飽和、不飽和の炭化水素である。
分散剤として特に好ましい化合物はオレイン酸である。オレイン酸はコロイドの安定化において周知の界面活性剤であり、鉄等の金属粒子を保護するのに用いられてきた。オレイン酸の比較的長い(たとえば、オレイン酸は18炭素鎖を有し長さは〜20オングストローム(〜2nm)である。オレイン酸は脂肪族ではなく二重結合が1つある)鎖は粒子間の強い磁気相互作用を打ち消す重要な立体障害を与える。
エルカ酸やリノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸同様に(たとえば、8〜22の間の炭素原子を有する長鎖有機酸を単独でまたは組み合わせて用いることができる)用いられる。オレイン酸は(オリーブ油など)容易に入手できる安価な天然資源であるので好ましい。また、オレイン酸から誘導されるオレイルアミンもオレイン酸同様有用な分散剤である。
(2)熟成工程
還元反応終了後、反応後の溶液を熟成温度まで昇温する。
前記熟成温度は、30℃〜90℃で一定の温度とすることが好ましく、その温度は、前記還元反応の温度より高くする。また、熟成時間は、5分〜180分とすることが好ましい。熟成温度および時間が上記範囲にあることで、凝集または沈殿を防ぎ、不完全な反応による組成変化を防ぐことができる。好ましい熟成温度および時間は40℃〜80℃および10分〜150分であり、より好ましい熟成温度および時間は40℃〜70℃および20分〜120分である。
ここで、前記「一定温度」とは、還元反応の温度の場合と同義(但し、この場合、「還元温度」は「熟成温度」となる)であるが、特に、上記熟成温度の範囲(30℃〜90℃)内で、前記還元反応の温度より5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましい。5℃以上高くすることで、処方通りの組成が得られやすくなる。
前記熟成を行った後は、水と1級アルコールとの混合溶液で前記熟成後の溶液を洗浄し、その後、1級アルコールで沈殿化処理を施して沈殿物を生成させ、該沈殿物を有機溶媒で分散させる洗浄・分散工程を設けることが好ましい。
かかる洗浄・分散工程を設けることで、不純物が除去され、磁気記録媒体の磁性層を塗布により形成する際の塗布性をより向上させることができる。
上記洗浄および分散は、少なくともそれぞれ1回、好ましくは、それぞれ2回以上行う。
洗浄で用いる前記1級アルコールとしては、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール等が好ましい。体積混合比(水/1級アルコール)は、10/1〜2/1の範囲にあることが好ましく、5/1〜3/1の範囲にあることがより好ましい。水の比率が高いと、界面活性剤が除去されにくくなることがあり、逆に1級アルコールの比率が高いと、凝集を起こしてしまうことがある。
以上のようにして、溶液中に分散した合金粒子(合金粒子含有液)が得られる。
当該合金粒子は、単分散であるため、支持体に塗布しても、これらが凝集することなく均一に分散した状態を保つことができる。従って、アニール処理を施しても、それぞれの合金粒子が凝集することがないため、効率良く強磁性化することが可能で、塗布適性に優れる。
3.磁気記録媒体
本発明の磁気記録媒体は、支持体上に少なくとも1層の軟磁性層および少なくとも1層の硬磁性層を有する。好ましくは前記軟磁性層と硬磁性層との間にこれらの磁性の相互干渉を防止するための中間層を有する。
1)中間層
前記軟磁性層と硬磁性層との間に設けられる中間層が軟磁性ナノ粒子を含有しても良い。中間層を設けることによって、磁気ヘッドにより書き込む際に、係る記録層(硬磁性層)を介して軟磁性層に流れ込む磁束が中間層の軟磁性ナノ粒子により狭窄される。したがって、記録層と中間層との界面付近において磁束が面内方向に広がることを防止して高い磁束密度を保持することができる。その結果、書込性を向上することができる。
2)溶媒
本発明における磁気記録媒体を構成する軟磁性層、硬磁性層、中間層、保護層、および潤滑層等は、溶媒を用いて塗布法もしくは浸漬法によって作製することが出来る。
本発明では、磁性粒子分散液中に、非極性溶媒を添加する。また、塗布するための結合剤を含有し、そのために一部極性溶媒を含有してもよい。
非極性溶媒としては、トルエン、ベンゼン、またはキシレン等の芳香族炭化水素類や、オクタン、デカン、ヘキサン、またはノナン等のアルカン類を少なくとも1種使用することが好ましい。非極性溶媒は、塗布液とする前の状態で20質量%〜95質量%含有されていることが好ましく、30質量%〜95質量%含有されていることがより好ましい。
極性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、またはメチルイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、またはプロパノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸ブチル、または酢酸イソブチル等のエステル類;グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル系;シクロヘキサノン等を少なくとも1種使用することが好ましい。
極性溶媒は、塗布液とする前の状態で、5質量%〜80質量%含有されていることが好ましく、5質量%〜70質量%含有されていることがより好ましい。
結合剤の溶解性と磁性粒子の凝固防止との両立を図る観点から、極性溶媒と非極性溶媒との質量比(極性溶媒/非極性溶媒)は、1/9〜4/6であることが好ましく、1/9〜3/7であることがより好ましい。
3)結合剤
結合剤としては、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100℃〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000(好ましくは10,000〜100,000)、重合度が約50〜1000のものを使用することが好ましい。
このような熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、またはビニルエーテル等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。
また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーとの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、およびポリウレタンとポリイソシアネートとの混合物等が挙げられる。
これらの樹脂については、朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については、特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。
以上の樹脂は単独または組み合わせて使用できるが、好ましいものとしては、ポリウレタン単独の場合や、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との組み合わせ、または、上記した共重合体等にポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂の構造は、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、またはポリカプロラクトンポリウレタン等が使用できる。
上記したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性とを得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2(以上につき「M」は水素原子、またはアルカリ金属塩基を表す)、OH、NR2、N+3(以上につき「R」は炭化水素基を表す)やエポキシ基、SH、CN、等から選ばれる少なくとも1以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。なかでも、−SO3Mが検討した中では好ましかった。このような極性基の量は10-1モル/g〜10-8モル/gであることが好ましく、10-2モル/g〜10-6モル/gであることがより好ましい。
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体的な例(製品名)としては、VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE(以上、ユニオンカーバイト社製)、MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO(以上、日信化学工業(株)製)、1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD(以上、電気化学(株)製)、MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A(以上、日本ゼオン(株)製)、ニッポランN2301、N2302、N2304(以上、日本ポリウレタン(株)製)、パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209(以上、大日本インキ(株)製)、バイロンUR8200、UR8300、UR8700、RV530、RV280(以上、東洋紡(株)製)、ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020(以上、大日精化(株)製)、MX5004(三菱化成(株)製)、サンプレンSP−150(三洋化成(株)製)、サランF310、F210(以上、旭化成(株)製)等が挙げられる。
結合剤は、磁性層だけでなく非磁性層が形成される場合には、当該非磁性層にも含有される。非磁性層および磁性層に用いられる結合剤は、非磁性層の場合は非磁性粉末の全質量、磁性層の場合は強磁性規則合金(磁性粒子)の全質量に対し、2質量%〜50質量%の範囲で使用することが好ましく、10質量%〜30質量%の範囲で使用することがより好ましい。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5質量%〜30質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2質量%〜20質量%、ポリイソシアネートは2質量%〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタン樹脂のみまたはポリウレタン樹脂とイソシアネートのみを使用することも可能である。
また、ポリウレタン樹脂を用いる場合は、そのガラス転移温度が−50℃〜150℃であることが好ましく、0℃〜100℃であることがより好ましく、30℃〜90℃であることがさらに好ましい。また、破断伸びは100%〜2000%であることが好ましく、破断応力は0.05kg/mm2〜10kg/mm2(0.49MPa〜98MPa)であることが好ましく、降伏点は0.05kg/mm2〜10kg/mm2(0.49MPa〜98MPa)であることが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1、5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。
これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL;武田薬品社製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202;住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL;等があり、これらを単独または硬化反応性の差を利用して2種以上の組合せで各層とも用いることができる。
本発明における塗布後にアニール処理を施す場合の結合剤としては、金属と酸素を含む有機または無機マトリックス剤が好ましい。具体例としては、オルガノシリカゾル(例えば、日産化学(株)製シリカゾル、シーアイ化成(株)製ナノテックSiO2)、オルガノチタニアゾル(例えば、シーアイ化成(株)製ナノテックTiO2)およびシリコーン樹脂(例えば、東レ・ダウコーニング(株)製トレフィルR910)等が挙げられる。マトリックス剤の添加量は、磁性ナノ粒子の全体積に対して1〜400体積%であり、好ましくは3〜300体積%、より好ましくは5〜200体積%である。
4)塗布
本発明における軟磁性層、中間層、硬磁性層、保護層、または潤滑層などを塗布する方法としては、スピンコート、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、またはスプレイコートなどが利用できる。
5)支持体
本発明の支持体としては、磁気記録媒体に使用される支持体であれば、無機物および有機物のいずれでもよい。基板の厚さは3μm〜800μmのものを使用することができる。
無機物の支持体としては、Al、Al−Mg、Mg−Al−Zn等のMg合金、ガラス、石英、カーボン、シリコン、またはセラミックス等が用いられる。これらの支持体は耐衝撃性に優れ、また薄型化や高速回転に適した剛性を有する。また、有機物の支持体と比較して、熱に強い特徴を有している。
有機物の支持体としては、ポリエステル類(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン類、セルロ−ストリアセテート、ポリカ−ボネート、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、またはポリベンゾオキサゾール等を用いることができる。
また、必要に応じて、塗布する面の表面粗さを変えるため特開平3−224127号公報に記載されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理等を施しておいてもよい。
支持体としてWYKO社製TOPO−3Dで測定した中心面平均表面粗さ(Ra)は、通常、8.0nm以下であることが好ましく、4.0nm以下であることがより好ましく、2.0nm以下であることがさらに好ましい。これらの支持体は単に中心面平均表面粗さが小さいだけではなく、0.5μm以上の粗大突起がないことが好ましい。
また、表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーの一例としては、Ca、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の無機微粒子、アクリル系などの有機微粉末が挙げられる。支持体の最大高さRmaxは1μm以下であることが好ましく、十点平均粗さRzは0.5μm以下であることが好ましく、中心面山高さRpは0.5μm以下であることが好ましく、中心面谷深さRvは0.5μm以下であることが好ましく、中心面面積率Srは10%〜90%であることが好ましく、平均波長λaは5μm〜300μmが好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールできるものであり、0.01μm〜1μmの大きさのもの各々を0.1mm2あたり0個から2000個の範囲で制御することができる。
また、支持体のF−5値は好ましくは5kg/mm2〜50kg/mm2(49MPa〜490MPa)である。さらに、支持体の100℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は5kg/mm2〜100kg/mm2(49MPa〜980MPa)であることが好ましく、弾性率は100kg/mm2〜2000kg/mm2(0.98GPa〜19.6GPa)が好ましい。温度膨張係数は10-4/℃〜10-8/℃であることが好ましく、10-5/℃〜10-6/℃であることがより好ましい。湿度膨張係数は10-4/%RH以下であることが好ましく、10-5/%RH以下であることがより好ましい。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
6)軟磁性層、硬磁性層
軟磁性層および硬磁性層には、既述の磁性粒子、結合剤、極性溶媒および非極性溶媒の他に、必要に応じて、種々の添加剤等が含有されてなる。
本発明の磁気記録媒体は、上記磁性層を支持体の片面だけに設けてもよく、両面に設けてもよい。また、潤滑剤の供給源とする観点および支持体の突起を被覆する観点から、支持体と磁性層との間に非磁性層を設けてもよい。
支持体上に非磁性層を形成する場合、当該磁性層(上層または上層磁性層ともいう)は、非磁性層を塗布により形成した後、非磁性層が湿潤状態のうち(W/W)に設けてもよく、または、非磁性層が乾燥した後(W/D)に設けてもよい。
生産得率の点から同時、または逐次湿潤塗布が好ましいが、ディスクの場合は乾燥後塗布でも十分に使用できる。
軟磁性層の厚みは、20nm〜300nmであることが好ましく、50nm〜200nmであることがより好ましい。20nm〜300nmとすることで、記録再生出力の低下、オーバーライト特性および分解能の劣化を防ぐことができる。
硬磁性層の厚みは、5nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜50nmであることがより好ましい。5nm〜100nmとすることで、安定な記録再生がなされ、高密度の垂直磁気記録が可能となる。
7)垂直磁化処理
本発明における垂直磁化処理して垂直磁気記録層を形成する工程は、磁性ナノ粒子を硬磁性化した後、再分散した塗布液を基板上に塗布して磁場中乾燥する方法、磁性ナノ粒子塗布液を基板上に塗布して磁場中乾燥した後、磁場中で350℃〜550℃のアニール処理する方法、および、磁性ナノ粒子塗布液を基板上に塗布して磁場中乾燥した後、磁場中でレーザアニール処理する方法のいずれも好ましく用いられる。磁場は基板に対して垂直方向にかかるように配置される。
前記垂直磁化処理工程は、空孔を有するテンプレートを用い該空孔にナノ粒子を充填して加熱する規則化加熱処理を行ってもよい。ナノ粒子が空孔中に積み上げられた状態で規則化加熱処理されており、ナノ粒子同士の結合が弱く容易に結合を切ることができるので、結晶規則化した硬磁性ナノ粒子を容易に抽出できる。
8)カーボンブラック、研磨剤
軟磁性層および硬磁性層には、カーボンブラックを含有させてもよい。当該カーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
カーボンブラックのSBETは5m2/g〜500m2/gであることが好ましく、DBP吸油量は10mL/100g〜400mL/100gであることが好ましい。平均粒子径は2nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜50nmであることがより好ましい。pHは2〜10であることが好ましく、含水率は0.1%〜10%であることが好ましく、タップ密度は0.1g/mL〜1g/mLであることが好ましい。
上記カーボンブラックの具体的な例としては、BLACKPEARLS−2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72(以上、キャボット社製)、#80、#60、#55、#50、#35(以上、旭カーボン社製)、#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B(以上、三菱化成工業社製)、CONDUCTEX SC、RAVEN150、50、40、15、RAVEN−MT−P(以上、コロンビアンカーボン社製)、ケッチェンブラックEC(日本EC社製)等が挙げられる。
カーボンブラックは、分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用してもよい。また、その表面の一部をグラファイト化したものを使用してもよい。さらに、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。
これらのカーボンブラックは単独、または組み合わせて使用することができる。
カーボンブラックを使用する場合は磁性体(磁性粒子)に対する全質量の0.1%〜30%の範囲で使用することが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って、本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは上層の磁性層、下層の非磁性層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。
本発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは、例えば、「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
また、磁性層には研磨剤を含有させてもよい。研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイヤモンド、窒化ケイ素、炭化ケイ素チタンカーバイド、酸化チタン、二酸化ケイ素、または窒化ホウ素等、主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独または組合せで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90質量%以上であれば効果にかわりはない。
これら研磨剤の粒子サイズは0.01μm〜2μmであることが好ましく、0.05μm〜1.0μmであることがより好ましく、0.05μm〜0.5μmであることがさらに好ましい。
特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。研磨剤のタップ密度は0.3g/mL〜2g/mLであることが好ましく、含水率は0.1%〜5%であることが好ましく、pHは2〜11であることが好ましく、SBETは1m2/g〜30m2/gであることが好ましい。研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでもよいが、形状の一部に角を有するものが研磨性を高くすることができ好ましい。
具体的には、AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT20、HIT−30、HIT−55、HIT60A、HIT70、HIT80、HIT100(以上、住友化学(株)製)、ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM(以上、レイノルズ(株)製)、WA10000(不二見研磨剤(株)製)、UB20(上村工業(株)製)、G−5、クロメックスU2、クロメックスU1(以上、日本化学工業(株)製)、TF100、TF140(以上、戸田工業(株)製)、ベータランダムウルトラファイン(イビデン(株)製)、B−3(昭和鉱業(株)製)等が挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
9)その他の添加剤
磁性層および後述の非磁性層には、種々の添加剤を含有させることが好ましい。使用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果等の少なくとも1つの効果を有するものが適宜使用される。
例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また、分岐していてもよい)、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもよい)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもよい)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもよい)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、等が使用できる。
より具体的には、脂肪酸では、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、およびイソステアリン酸などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシジエチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−ヘキシルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレート、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリデシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチルグリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレイル;アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリルアルコール、およびラウリルアルコール等が挙げられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリンドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤;環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤;カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基、または燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダイン型等の両性界面活性剤;等も使用できる。
これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書(株)発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純物が含まれてもかまわない。これらの不純物は30質量%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
これらの潤滑剤および界面活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤または界面活性剤の併用比率は目的に応じ最適に定められるべきものである。当該目的としては、(1)非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、(2)沸点、融点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、(3)界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、(4)潤滑剤の添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させる、等考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。一般には、潤滑剤の総量としては、磁性体(磁性粒子)または非磁性粉末に対し、0.1質量%〜50質量%とすることが好ましく、2質量%〜25質量%とすることがより好ましい。
また、本発明で用いられる添加剤のすべて、または、その一部は、磁性塗料製造および非磁性塗料製造のどの工程で添加してもかまわない。例えば、混練工程前に磁性体と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤とによる混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。さらに、目的によってはカレンダー処理を施した後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
10)非磁性層
次に、非磁性層に関する詳細な内容について説明する。非磁性層は実質的に非磁性であればその構成は制限されるべきものではないが、通常、少なくとも樹脂からなり、好ましくは、粉体、例えば、無機粉末もしくは有機粉末が樹脂中に分散されたものが挙げられる。無機粉末は、好ましくは非磁性粉末であるが、非磁性層が実質的に非磁性である範囲で磁性粉末も使用することができる。
これら非磁性粉末の粒子サイズ(粒径)は、0.005μm〜2μmの範囲が好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の粒子サイズは、0.01μm〜0.2μmの範囲である。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径は0.08μm以下が好ましい。針状金属酸化物である場合は、長軸長が0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。タップ密度は0.05g/mL〜2g/mLであることが好ましく、0.2g/mL〜1.5g/mLであることがより好ましい。非磁性粉末の含水率は0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.2質量%〜3質量%であることがより好ましく、0.3〜1.5質量%であることがさらに好ましい。非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましく、pHは5.5〜10であることが特に好ましい。
非磁性粉末のSBET(比表面積)は1m2/g〜100m2/gであることが好ましく、5m2/g〜80m2/gであることがより好ましく、10m2/g〜70m2/gであることがさらに好ましい。非磁性粉末の結晶子サイズ(結晶子径)は0.004μm〜1μmが好ましく、0.04μm〜0.1μmが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は5〜100mL/100gであることが好ましく、10〜80mL/100gであることがより好ましく、20〜60mL/100gであることがさらに好ましい。非磁性粉末の比重は1〜12であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。モース硬度は4以上10以下のものが好ましい。
非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1μmol/m2〜20μmol/m2であることが好ましく、2μmol/m2〜15μmol/m2であることがより好ましく、3μmol/m2〜8μmol/m2であることがさらに好ましい。pHは3〜6の間が好ましい。
非磁性粉末としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、または金属硫化物等の無機化合物から選択することができる。
無機化合物としては、例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化ケイ素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、または二硫化モリブデンなどを単独または組合せて使用される。特に好ましいのは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、または硫酸バリウムであり、最も好ましいのは、二酸化チタン、α酸化鉄である。
非磁性粉末の具体的な例(製品名)としては、ナノタイト(昭和電工(株)製)、HIT−100、ZA−G1(以上、住友化学(株)製)、αへマタイトDPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPN−500BX、DBN−SA1、DBN−SA3(以上、戸田工業(株)製)、酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、αへマタイトE270、E271、E300、E303(以上、石原産業(株)製)、酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、αへマタイトα−40(以上、チタン工業(株)製)、MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD(以上、テイカ(株)製)、FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M(以上、堺化学(株)製)、DEFIC−Y、DEFIC−R(以上、同和鉱業(株)製)、AS2BM、TiO2P25(以上、日本アエロジル(株)製)、100A、500A(以上、宇部興産(株)製)等が挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
これらの非磁性粉末の表面には、表面処理を施すことによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnO、またはY23のいずれか1以上を存在させることが好ましい。分散性を考慮すると、Al23、SiO2、TiO2、またはZrO2であることが好ましいが、更に好ましいのはAl23、SiO2、またはZrO2である。
これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナを存在させた後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
非磁性層中にカーボンブラックを混合させて表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。
また、非磁性層に前記カーボンブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。
また、非磁性層には有機質粉末を目的に応じて、添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、およびフタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記載されているような方法を使用できる。
非磁性層の厚みは、0.2μm〜3.0μmとすることが好ましく、0.3μm〜2.0μmとすることがより好ましい。
非磁性層の結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
11)バック層
一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐久性を維持させるために、バック層には、カーボンブラックと無機粉末とが含有されていることが好ましい。
カーボンブラックは、平均粒子径の異なる二種類のものを組み合わせて使用することが好ましい。この場合、平均粒子径が10nm〜20nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子径が230nm〜300nmの粗粒子状カーボンブラックを組み合わせて使用することが好ましい。
一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バック層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。
一方、体積平均粒子径が230nm〜300nmの粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、また、バック層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。しかし、粗粒子状カーボンブラックを単独で用いると、過酷な走行系では、テープ摺動により、バック層からの脱落が生じ易くなり、エラー比率の増大につながる欠点を有している。
微粒子状カーボンブラックの具体的な製品名としては、以下のものを挙げることができる。カッコ内は体積平均粒子径を示す。すなわち、RAVEN2000B(18nm)、RAVEN1500B(17nm)(以上、コロンビアカーボン社製)、BP800(17nm)(キャボット社製)、PRINNTEX90(14nm)、PRINTEX95(15nm)、PRINTEX85(16nm)、PRINTEX75(17nm)(以上、デグサ社製)、#3950(16nm)(三菱化成工業(株)製)等である。
また、粗粒子カーボンブラックの具体的な製品名としては、サーマルブラック(270nm)(カーンカルブ社製)、RAVEN MTP(275nm)(コロンビアカーボン社製)を挙げることができる。
バック層において、平均粒子径の異なる二種類のものを使用する場合、体積平均粒径が10nm〜20nmの微粒子状カーボンブラックと230nm〜300nmの粗粒子状カーボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、95:5〜85:15の範囲である。
バック層中のカーボンブラック(2種類のものを使用する場合には、その全量)の含有量は、結合剤100質量部に対して、通常30質量部〜80質量部の範囲であり、好ましくは、45質量部〜65質量部の範囲である。
無機粉末は、硬さの異なる2種類のものを併用することが好ましい。具体的には、モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉末とを使用することが好ましい。モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末を添加することで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもない。またこの無機粉末の平均粒子径は、30nm〜50nmの範囲にあることが好ましい。
モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末としては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
バック層内の軟質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して10質量部〜140質量部の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、35質量部〜100質量部である。
モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加することにより、バック層の強度が強化され、走行耐久性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対しても劣化が少なく、強いバック層となる。また、この無機粉末の添加により、適度の研磨力が付与され、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減する。特に軟質無機粉末と併用すると、表面の粗いガイドポールに対しての摺動特性が向上し、バック層の摩擦係数の安定化も図ることができる。
硬質無機粉末は、その平均粒子サイズが80nm〜250nm(さらに好ましくは、100nm〜210nm)の範囲にあることが好ましい。
モース硬度が5〜9の硬質無機質粉未としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化クロム(Cr23)を挙げることができる。これらの粉末は、それぞれ単独で用いても良いし、あるいは併用しても良い。これらの内では、α−酸化鉄又はα−アルミナが好ましい。硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して通常3〜30質量部であり、好ましくは、3質量部〜20質量部である。
バック層に前記軟質無機粉末と硬質無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉末との硬さの差が、2以上(更に好ましくは、2.5以上、特に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質無機粉末とを選択して使用することが好ましい。
バック層には、前記それぞれ特定の平均粒子サイズを有するモース硬度の異なる二種類の無機粉末と、前記平均粒子サイズの異なる2種類のカーボンブラックとが含有されていることが好ましい。
バック層には、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選択して使用できる。バック層において、潤滑剤は、結合剤100質量部に対して通常1質量部〜5質量部の範囲で添加される。
12)保護膜等
また、磁性層上に非常に薄い保護膜を形成することで、耐磨耗性を改善し、さらにその保護膜上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、十分な信頼性を有する磁気記録媒体とすることができる。
保護膜の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、または酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、または窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、または炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素(カーボン);等があげられるが、特に好ましくは、一般に、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質のカーボンである。
カーボンからなるカーボン保護膜は、非常に薄い膜厚で十分な耐磨耗性を有し、摺動部材に焼き付きを生じ難いため、保護膜の材料としては好適である。
カーボン保護膜の形成方法として、ハードディスクにおいては、スパッタリング法が一般的であるが、ビデオテープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されている。従って、これらの方法を適用することが好ましい。
中でもプラズマインジェクションCVD(PI−CVD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得られると報告されている(例えば、特開昭61−130487号公報、特開昭63−279426号公報、特開平3−113824号公報等)。
このカーボン保護膜は、ビッカース硬度で1000kg/mm2以上であることが好ましく、2000kg/mm2以上であることがより好ましい。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ非導電性であることが好ましい。
そして、カーボン保護膜として、ダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボン)膜を使用した場合、この構造はラマン光分光分析によって確認することができる。すなわち、ダイヤモンド状炭素膜を測定した場合には、1520cm-1〜1560cm-1にピークが検出されることによって確認することができる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとともに、保護膜としての硬度も低下する。
このカーボン保護膜を形成するための炭素原料としては、メタン、エタン、プロパン、またはブタン等のアルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチレン等のアルキン;をはじめとした炭素含有化合物を用いることが好ましい。また、必要に応じてアルゴンなどのキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添加ガスを加えることができる。
カーボン保護膜の膜厚が厚いと、電磁変換特性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足する。従って、膜厚は、2.5nm〜20nmとすることが好ましく、5nm〜10nmとすることがより好ましい。
また、この保護膜と基板となる磁性層の密着性を改善するために、あらかじめ磁性層表面を不活性ガスでエッチングしたり、酸素等の反応性ガスプラズマに曝して表面改質する事が好ましい。
走行耐久性および耐食性を改善するため、上記磁性層もしくは保護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。添加する潤滑剤としては公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用できる。
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)nまたはこれらの共重合体等である。
また、炭化水素系潤滑剤のアルキル基の末端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物が、摩擦力を低減する効果が高く好適である。
さらに、この分子量は、500〜5000、好ましくは1000〜3000である。500〜5000とすることで、揮発を抑え、また潤滑性の低下を抑えることができる。また、粘度が高くなるのを防ぎ、スライダーとディスクが吸着しやすくなって走行停止やヘッドクラッシュなどを発生するのを防ぐことができる。
このパーフルオロポリエーテルは、具体例として、FOMBLIN(アウジモンド社製)、KRYTOX(デュポン社製)などの商品名で市販されている。
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、またはトリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤、等が挙げられる。
前記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用される。これらの潤滑剤を磁性層もしくは保護膜上に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させればよい。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、またはピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体;ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、またはチオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体;等が挙げられる。
13)物理特性
本発明の磁気記録媒体は、以下に説明するような物理特性を有することが好ましい。
本発明になる磁気記録媒体の磁性層の飽和磁束密度は、好ましくは0.1T〜0.3Tである。磁性層の保磁力Hcは95.5kA/m(1200Oe)〜955kA/m(12000Oe)が好ましく、159kA/m(2000〜6000Oe)〜478kA/m(2000〜6000Oe)がより好ましい。保磁力の分布は狭い方が好ましく、角形比は0.7以上が好ましい。
磁性層の中心面平均表面粗さRaはWYKO社製TOPO−3Dを用いて、250μm×250μmの面積での測定で4nm以下、好ましくは2nm以下、さらに好ましくは1nm以下である。磁性層の表面突起は前述の通りに設定することにより電磁変換特性、摩擦係数を最適化することが好ましい。これらは支持体のフィラーによる表面性のコントロールや前述したように磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダー処理のロール表面形状などで容易にコントロールすることができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。
以上のようにして製造される磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて、好ましくは0.1nm〜4nm、より好ましくは0.1nm〜2nmの範囲とする。このように、極めて優れた平滑性を有する表面とすることが、高密度記録用の磁気記録媒体として好ましいからである。
このような表面を得る方法として、磁性層を形成した後にカレンダー処理を施す方法が挙げられる。また、バーニッシュ処理を施してもよい。
得られた磁気記録媒体は、適宜、打ち抜き機で打ち抜いたり、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
4.本発明の用途
本発明の強磁性規則合金ナノ粒子は、ビデオテープ、コンピュータテープ等の磁気テープ、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク等の磁気記録媒体に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、組成比、合成法、媒体作製法などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(ナノ粒子合成)
始めにナノ粒子の合成方法の具体例を示す。
《ナノ粒子の合成1》
高純度N2ガス中で下記の操作を行った。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH43(C243)(和光純薬(株)製)0.43gと塩化白金酸カリウム(K2PtCl4)(和光純薬(株)製)0.42gとをH2O(脱酸素処理済み)6mLに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT(東京化成(株)製)12.4gをデカン(和光純薬(株)製)120mLに溶解した溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(I−A)を調製した。
NaBH4(和光純薬(株)製)0.48gをH2O(脱酸素処理済み)6mLに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT12.4gをデカン120mLに溶解した溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II−A)を調製した。
NaBH40.12gをH2O(脱酸素処理済み)1.5mLに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT3.1gをデカン30mLに溶解した溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(III−A)を調製した。
Bicine(同仁化学研究所製)0.01gをH2O(脱酸素処理済み)1.5mLに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT3.1gをデカン30mLに溶解した溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(IV)を調製した。
逆ミセル溶液(II−A)を22℃でオムニミキサー(ヤマト科学(株)製)で高速攪拌しながら、逆ミセル溶液(I−A)を瞬時に添加した。スタートから3分後に逆ミセル溶液(III−A)を瞬時に添加した。また、スタートから5分後にオレイルアミン(東京化成(株)製)3mLを添加した。オレイルアミン添加終了2分後に、マグネチックスターラー攪拌に変更して、40℃に昇温した後、120分間熟成した。終了10分前に逆ミセル溶液(IV)を添加した。
室温に冷却後、オレイン酸(和光純薬(株)製)3mLを添加、混合して、大気中に取出した。逆ミセルを破壊するために、H2O450mLとメタノール450mLとの混合液を添加して水相と油相とに分離した。油相側に金属ナノ粒子が分散した状態が得られた。油相側をH2O900mL+メタノール300mLで1回洗浄した。その後、エタノールを300mL添加して、3000rpm、10分間遠心分離してナノ粒子を沈降させた。上澄み液を除去して、ヘプタン(和光純薬(株)製)40mLを添加して再分散した。さらに、エタノール40mL添加して、前記と同様の遠心分離操作を行ってナノ粒子を沈降させた。この操作をさらに2回行い最終的にデカン6mL、オレイルアミン10μlおよびオレイン酸100μlを添加してFePtナノ粒子分散液(a)を得た。
《ナノ粒子の合成2》
ナノ粒子の合成1に対し、逆ミセル溶液(I−A)、(II−A)、(III−A)および(IV)中のH2O量を、それぞれ、9.6mL、9.6mL、2.4mLおよび2.4mLとする以外はナノ粒子の合成1と同様に行い、FePtのナノ粒子分散液(b)を得た。
《ナノ粒子の合成3》
ナノ粒子の合成1に対し、逆ミセル溶液(I−A)、(II−A)、(III−A)および(IV)中のH2O量を、それぞれ、18mL、18mL、4.5mLおよび4.5mLとする以外はナノ粒子の合成1と同様に行い、FePtのナノ粒子分散液(c)を得た。
《ナノ粒子の合成4》
高純度N2ガス中で下記の操作を行った。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH43(C243)(和光純薬(株)製)0.86gをH2O(脱酸素処理済み)12mLに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT12.4gをデカン120mLに溶解した溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(I−B)を調製した。
NaBH40.48gをH2O(脱酸素処理済み)12mLに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT12.4gをデカン120mLに溶解した溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II−B)を調製した。
L−アスコルビン酸(和光純薬(株)製)0.09gをH2O(脱酸素処理済み)3mLに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT3.1gをデカン30mLに溶解した溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(III−B)を調製した。
逆ミセル溶液(II−B)を22℃でオムニミキサー(ヤマト科学(株)製)で高速攪拌しながら、逆ミセル溶液(I−B)を瞬時に添加した。スタートから3分後に逆ミセル溶液(III−B)を瞬時に添加した。また、スタートから5分後にオレイルアミン3mLを添加した。オレイルアミン添加終了2分後に、マグネチックスターラー攪拌に変更して、80℃に昇温した後、溶存酸素ガスを除去したNH4OH(28質量%)を5mL添加して、180分間熟成した。
室温に冷却後、オレイン酸3mLを添加、混合して、大気中に取出した。逆ミセルを破壊するために、H2O450mLとメタノール450mLとの混合液を添加して水相と油相とに分離した。油相側に金属ナノ粒子が分散した状態が得られた。油相側をH2O900mL+メタノール300mLで1回洗浄した。その後、エタノールを300mL添加して、3000rpm、10分間遠心分離してナノ粒子を沈降させた。上澄み液を除去して、ヘプタン40mLを添加して再分散した。さらに、エタノール40mL添加して、前記と同様の遠心分離操作を行ってナノ粒子を沈降させた。この操作をさらに2回行い最終的にデカン3mL、オレイルアミン10μlおよびオレイン酸100μlを添加してFe162ナノ粒子分散液(d)を得た。
実施例1
1.垂直磁気記録媒体の作製
1−1.試料A,B,Cの作製
1)軟磁性層の形成
ナノ粒子分散液(a),(b),および(d)のそれぞれに、シリコーンレジン(東レ・ダウコーニング(株)製、トレフィルR910)をナノ粒子の質量に対して2倍量添加した。このFePtナノ粒子分散液を約0.3mL採取し、2.5インチ径のディスク型ガラス基板上に、室温、4000rpmの条件でスピンコートした。その後、200℃で25分乾燥した。この上に、分散液のスピンコートと乾燥をもう1回繰り返した。出来上がった各試料を、N2+H2(4容量%)ガス雰囲気の70kOe磁場中で面内磁化するように配置して、500℃30分アニール処理した。
2)垂直磁化された硬磁性層の形成
ナノ粒子分散液(c)で得られたFePtナノ粒子分散液に、シリコーンレジン(東レ・ダウコーニング(株)製、トレフィルR910)をナノ粒子の質量に対して0.2倍量添加した。このFePtナノ粒子分散液を約0.3mL採取し、上記の各試料の軟磁性層上に、室温、4000rpmの条件でスピンコートした。その後、70kOe磁場中で垂直磁化するように配置して200℃で25分乾燥した。さらに、N2+H2(4容量%)ガス雰囲気の70kOe磁場中で垂直磁化するように配置して、500℃30分アニール処理した。
3)保護層の形成
垂直磁化された硬磁性層を形成した上記の3つの試料に、下記の調製方法によって調製したオルガノシランのゾル組成物を希釈塗設することで5nmの保護層を形成した。
<オルガノシランのゾル組成物の調製>
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン48g、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテート0.84g、メチルエチルケトン60g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.06g、水11.1gを加え混合したのち、60℃で4時間反応させた後室温まで冷却し、透明なゾル組成物を得た。
4)潤滑剤層の形成
保護層を形成した上記の3つの試料に、リン酸モノラウリルエステルおよびパーフルオロオクタン酸ステアリルエステルの混合物を、それぞれ3mg/m2となるように塗設して潤滑剤層を形成して、試料A、BおよびCとした。
1−2.試料Dの作製
上記試料Aに対し、軟磁性層と硬磁性層の間に、〔3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル〕トリメトキシシランを5nmの厚みになるように塗設して、150℃で25分乾燥した中間層を設ける以外は試料Aと同様にして垂直磁気記録媒体を作製し、試料Dを得た。
1−3.比較試料Eの作製
1)軟磁性層の形成
(Co80Pt2085Cr15at.%の組成を有する合金ターゲットおよびCoCrNbターゲットを、マグネトロンスパッタ装置の真空槽内に設置した。
次いで真空槽内にアルゴンガスを導入して、0.133Paの圧力下で、500WのDC電力を用いてCoCrNbターゲットのスパッタリングを行い、2.5インチ径のガラス基板上に90nmの膜厚の軟磁性層を形成した。
2)垂直磁化された硬磁性層の形成
さらにその上に(Co80Pt2085Cr15at.%合金ターゲットを1.0kWのDC電力でスパッタすることにより、1.33Paの圧力下で80nmの膜厚の(Co80Pd2085Cr15硬磁性層を形成した。
3)保護層の形成
次いで、上記試料をASTeX社製のプラズマインジェクションCVD装置に入れ、反応管先端と試料の間を22mmに設定した。真空槽内を排気し、399×10-6Paとした後、ガス導入管よりエチレンガス150sccm、アルゴンガス50sccmを導入して、反応管内を1.33Paとした。この状態で、反応管の励起コイルに13.56MHzの高周波を450Wの電力で印加して、原料ガス(エチレンガス)をプラズマ化した。支持体には−400V、アノード電極には+500Vのバイアスを印加した。中心部の膜厚が5nmとなるようにカーボン保護膜を形成した。
4)潤滑剤層の形成
保護層を形成した上記試料に、リン酸モノラウリルエステルおよびパーフルオロオクタン酸ステアリルエステルの混合物を、それぞれ3mg/m2となるように塗設して潤滑剤層を形成して、試料Eとした。
1−4.比較試料Fの作製
比較試料Eに対して、軟磁性層を以下のようにした以外は、比較試料Eと同様に行い、比較試料Fを作製した。
<軟磁性層の形成>
CoCrNbターゲットの替わりにFe4Nターゲットをマグネトロンスパッタ装置の真空槽内に設置した。次いで真空槽内にアルゴンガスを導入して、0.133Paの圧力下で、400WのRF電力を用いてFe4Nターゲットのスパッタリングを行い、2.5インチ径のガラス基板上に90nmの膜厚の軟磁性層を形成した。
1−5.比較試料Gの作製
比較試料Eに対して、軟磁性層と保護層を以下のようにした以外は、比較試料Eと同様に行い、比較試料Gを作製した。
<軟磁性層の形成>
CoCrNbターゲットの替わりにCoPdターゲットをマグネトロンスパッタ装置の真空槽内に設置した。次いで真空槽内にアルゴンガスを導入して、0.133Paの圧力下で、500WのDC電力を用いてCoPdターゲットのスパッタリングを行い、2.5インチ径のガラス基板上に90nmの膜厚の軟磁性層を形成した。
<保護層の形成>
上記試料に、前記のオルガノシランのゾル組成物を希釈塗設することで5nmの保護層を形成した。
1−6.比較試料Hの作製
比較試料Eに対し、軟磁性層と硬磁性層の間に、Ruターゲットを用いた、500WのDC電力スパッタリングを行い、5nmの厚みの中間層を形成した以外は比較試料Eと同様にして垂直磁気記録媒体を作製し、比較試料Hとした。
2.性能評価
1)評価項目
<保磁力の測定>
東英工業(株)製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、25℃、印加磁場790kA/m(10kOe)で測定を行った。
面内保磁力:磁気記録媒体の面方向に磁化された状態での保磁力。
垂直方向の保磁力:磁気記録媒体の垂直方向に磁化された状態での保磁力。
<再生出力>
単磁極型垂直ヘッドを用いて400kFCIにおける電磁変換特性を測定した。測定装置はハードディスク電磁変換特性評価用のスピンスタンド(協同電子(株)製SS−60、Guzik RWA−1601)を使用した。
2)評価結果
その結果、表1に示したように、本発明の試料A、B、CおよびDは比較例の試料E、F、GおよびHに対し、面内保磁力に対して垂直方向の保磁力が高く、再生出力も高いことが示された。
Figure 2007087496

Claims (5)

  1. 非磁性基板上に、少なくとも1層の軟磁性層および少なくとも1層の硬磁性層を有する垂直磁気記録媒体であって、該軟磁性層が25℃での面内保磁力が1.6kA/m〜16kA/mである磁性ナノ粒子を含有することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記軟磁性層に含有される磁性ナノ粒子が、Fe100-x-yx(SmまたはY)yからなる窒化鉄系磁性ナノ粒子またはFe100-m-n(PtまたはCo)m(Cu、AgまたはNi)nからなる合金系磁性ナノ粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。ここで、xは10原子%〜30原子%、yは0原子%〜10原子%、mは25原子%〜75原子%、nは0原子%〜60原子%の領域を示す。但し、m+n<100である。
  3. 前記硬磁性層が、磁場中乾燥または磁場中アニールにより垂直配向したナノ粒子磁性層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 請求項1、2および3に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記軟磁性層および前記硬磁性層を共に溶媒を用いて塗布法もしくは浸漬法により塗布する工程とその後の乾燥工程を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法であって、前記垂直磁気記録媒体が前記軟磁性層および前記硬磁性層の間に中間層を有し、該中間層を溶媒を用いて塗布法もしくは浸漬法により塗布する工程とその後の乾燥工程を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
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