JP5762453B2 - 六方晶フェライト磁性粒子の製造方法およびこれにより得られた六方晶フェライト磁性粒子、ならびにそれらの利用 - Google Patents

六方晶フェライト磁性粒子の製造方法およびこれにより得られた六方晶フェライト磁性粒子、ならびにそれらの利用 Download PDF

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Description

本発明は、六方晶フェライト磁性粒子の製造方法、およびこの方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子に関するものであり、詳しくは、焼成によりフェライト化する工程における粒子の凝集を抑制することにより微粒子を得ることができる、六方晶フェライト磁性粒子の製造方法、およびこの方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子に関するものである。
更に本発明は、上記製造方法および六方晶フェライト磁性粒子の利用にも関するものである。
六方晶フェライトは永久磁石として用いられているが、近年は磁気記録媒体における磁性体としても使用されている。
六方晶フェライトの製造方法としては、鉄塩とアルカリ土類金属塩を共沈させて得た共沈物を焼成しフェライト化する方法(共沈法)が知られている(特許文献1、2参照)。また、共沈法の改良法として、逆ミセルを形成して共沈物を得る方法(逆ミセル法)も提案されている(特許文献3参照)。この逆ミセル法については、特許文献4に、電波吸収体として使用されるε−酸化鉄の製造に適用することが提案されている。
特開平7−172839号公報 特開2010−1171号公報 特開2007−91517号公報 特開2008−277726号公報
記録情報量の増加により、磁気記録媒体には常に高密度記録化が要求されている。高記録密度化を達成するには磁性体を小さくする必要があるが、共沈法や逆ミセル法には、焼成時に粒子が焼結し凝集するため微粒子化が困難であるという課題がある。
上記の点に関し、特許文献3には、共沈物をアルカリ土類金属化合物で被覆した後に焼成することにより、焼結を抑制することが提案されている。しかし本発明者の検討によれば、アルカリ土類金属化合物による焼結防止効果は必ずしも十分なものではない。高密度記録化を達成するためには、より効果的に焼結を防止する手段が求められる。
そこで本発明の目的は、微粒子状の六方晶フェライト磁性粒子を製造するための手段を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子(フェライト前駆体)をガラス成分により被覆した後に焼成することにより、焼成時の焼結防止が可能になることを新たに見出した。ただし、前述の特許文献4では、ε−酸化鉄を得るためにシリカコーティング内で酸化反応を進行させる必要があるため粒子を完全に覆う量のシリカコーティングを設けているのに対し、上記焼成に付される粒子のガラス成分による被覆量が過剰であると、焼成時にフェライト形成よりもヘマタイト(Fe23)形成が優位に進行する結果、焼成物は主成分として六方晶フェライトではなくヘマタイトを含むものとなってしまうことも判明した。以下、この点について更に説明する。
例えば、水酸化鉄と炭酸バリウムを含む粒子を焼成することによりバリウムフェライト磁性粒子を得ることができる。焼成中には、Fe(OH)2が酸化されFeOが生成し、BaCO3が分解しBaOとCO2が生成し、生成されたFeOとBaOによりバリウムフェライトが合成される。ただし、六方晶フェライトの合成において、粒子が完全にガラス成分に覆われた状態では、生成したCO2は反応系内に留まってしまう。これによりBaCO3からBaOを生成する反応の進行が妨げられることが、ヘマタイトの生成が優位に進行する理由と考えられる。他の鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を焼成する場合も同様に、アルカリ土類金属塩の分解反応の進行が妨げられることが、フェライト形成が妨げられる理由と推察される。また、六方晶フェライトの合成には酸素分圧依存性があることが知られており、粒子をガラス成分で完全に覆った場合、酸素が供給されなくなり、六方晶フェライトの合成が阻害されると推察される。
以上の知見に基づき本発明者は、鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子にガラス成分を被着させたうえで焼成し、焼成後にX線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ることにより、微粒子の六方晶フェライト磁性粒子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を焼成しフェライト化することにより六方晶フェライト磁性粒子を得る工程を含み、
前記粒子にガラス成分を被着させた後に粒子の焼成を行うことにより、X線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ること、および、
得られた焼成物表面からガラス成分を除去すること、
を更に含む、六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[2]鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を逆ミセル法または共沈法により調製する工程を更に含む、[1]に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[3]前記ガラス成分は、ケイ素化合物の加水分解物である[1]または[2]に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[4]前記ケイ素化合物は、アルコキシシランである[3]に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[5]前記鉄塩は水酸化鉄であり、前記アルカリ土類金属塩はアルカリ土類金属の炭酸塩である[1]〜[4]のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[6]前記粒子を含む溶液に前記ガラス成分の前駆体を添加し撹拌することにより、前記前駆体の加水分解物であるガラス成分を前記粒子に被着させることを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[7]前記前駆体を、前記溶液中に存在する鉄1モルに対して0.05〜0.4モル%の範囲の量で添加する[6]に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[8]前記ガラス成分を、アルカリにより溶解除去する[1]〜[7]のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子。
[10]粒子サイズが10〜20nmの範囲である[9]に記載の六方晶フェライト磁性粒子。
[11][9]または[10]に記載の六方晶フェライト磁性粒子からなる磁気記録用磁性体。
[12][9]または[10]に記載の六方晶フェライト磁性粒子と有機溶媒とを含む磁性塗料。
[13]水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物を更に含む、[12]に記載の磁性塗料。
[14]結合剤を更に含む、[12]または[13]に記載の磁性塗料。
[15]磁気記録媒体の磁性層形成のために使用される、[12]〜[14]のいずれかに記載の磁性塗料。
[16][13]〜[15]のいずれかに記載の磁性塗料の製造方法であって、
[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法により六方晶フェライト磁性粒子を作製すること、
作製した六方晶フェライト磁性粒子を水洗すること、および、
前記水洗中または水洗後に、前記六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液に、水系溶液中でアニオン基となる官能基を有する化合物を添加し該化合物を前記六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させること、
を含む、前記磁性塗料の製造方法。
[17]前記化合物が被着した六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液を溶媒置換処理に付すことにより有機溶媒に溶媒置換することを更に含む、[16]に記載の磁性塗料の製造方法。
[18]非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁性層を、[15]に記載の磁性塗料を用いて形成することを含む、前記磁気記録媒体の製造方法。
[19]前記磁性塗料を、[16]または[17]に記載の製造方法により作製することを含む、[18]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[20]非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含む磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末は、[9]または[10]に記載の六方晶フェライト磁性粒子である磁気記録媒体。
[21][18]または[19]に記載の方法によって得られた磁気記録媒体である、[20]に記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、高密度記録用磁気記録媒体の磁性体として好適な六方晶フェライト磁性粒子を得ることができる。
本発明の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法は、鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を焼成しフェライト化することにより六方晶フェライト磁性粒子を得る工程を含み、前記粒子にガラス成分を被着させた後に粒子の焼成を行うことにより、X線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ること、および、得られた焼成物表面からガラス成分を除去すること、を更に含むものである。
先に説明したように、上記の本発明の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法によれば、焼成時の焼結を抑制することができ、これにより微粒子状の六方晶フェライト磁性粒子を得ることが可能となる。
以下、本発明の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法について、更に詳細に説明する。
本発明では、鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を焼成しフェライト化することにより六方晶フェライト磁性粒子を得る。ここで焼成される粒子は、粒子サイズの制御が容易である点から、共沈法または逆ミセル法により得ることが好ましく、逆ミセル法により得ることがより好ましい。即ち、上記粒子は、共沈法または逆ミセル法により得られる鉄塩とアルカリ土類金属塩との共沈物であることが好ましく、逆ミセル法により得られる共沈物であることがより好ましい。
共沈法では、フェライトを構成するために必要な金属元素(鉄、アルカリ土類金属、Co等)の水溶性塩および必要に応じて保磁力制御用の元素(Ti、Zn等)の水溶性塩を水に溶解した水溶液とアルカリ水溶液とを混合し、鉄塩とアルカリ土類金属塩(および任意に含まれる上記元素の塩)を共沈させる。
一方、逆ミセル法では、フェライトを構成するために必要な金属元素の塩を溶解した水溶液に、界面活性剤および水と混ざり合わない有機溶媒を添加しW/Oエマルジョンを形成し、これにアルカリを加えて沈殿させることにより、鉄塩とアルカリ土類金属塩との共沈物を得る。逆ミセル法では、例えば界面活性剤と水との混合比により、共沈物の粒子サイズをコントロールすることができる。
上記水溶性塩としては、硝酸塩、塩化物等を挙げることができ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、等を挙げることができる。
共沈法、逆ミセル法はいずれも六方晶フェライトの製造方法として公知であり、本発明でも公知技術により、鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子(共沈物)を得ることができる。粒子中に含まれる鉄塩およびアルカリ土類金属塩の種類は、使用した水溶性塩の種類により定まるものである。例えば硝酸鉄(III)およびアルカリ土類金属の硝酸塩を使用することにより、鉄塩として水酸化鉄を、アルカリ土類金属塩として炭酸塩を含む共沈物を得ることができる。なおアルカリ土類金属としてバリウムを使用することによりバリウムフェライトを、ストロンチウムを使用することによりストロンチウムフェライトを、カルシウムを使用することによりカルシウムフェライトを得ることができる。
後述するように本発明では粒子にガラス成分を被着させる。アルカリ土類金属はガラスに取込まれやすいため、本発明では化学両論組成以上の量、例えば化学両論組成の1倍〜5倍の量のアルカリ土類金属を加えることが好ましく、化学両論組成の1.5倍〜4倍の量のアルカリ土類金属を加えることがより好ましい。
ガラス成分を被着させた後の焼成は、例えば500〜1000℃の焼成温度で行うことができる。本発明における焼成およびそれ以降の工程についても、共沈法および逆ミセル法に関する公知技術を適用することができる。
共沈法の詳細については、例えば特開2010−1171号公報段落[0043]〜[0050]および実施例1〜5、特公平4−32005号公報第4欄37行目〜第6欄31行目および実施例、逆ミセル法については特開平3−204909号公報の2頁左下欄3行目〜3頁左下欄12行目の記載および実施例、特開2007−91517号公報段落[0011]〜[0024]、[0027]〜[0030]および実施例、の記載を参照できる。
本発明では、以上説明した鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子にガラス成分を被着させる。ガラス成分の被着を溶液中で行うことが、被着が容易であり好ましい。例えば、鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を含有する溶液にガラス成分の前駆体を添加し撹拌することにより、当該前駆体の加水分解物であるガラス成分を粒子に被着させることができる。共沈法または逆ミセル法により上記粒子を得る場合には、粒子を共沈(沈殿)させた溶液に前駆体を添加することにより、いわゆるゾル−ゲル法により粒子表面にガラス成分を析出させることができる。粒子にガラス成分を被着させるために好適な前駆体としては、ケイ素化合物を挙げることができる。ケイ素化合物としては、アルコキシシラン等のシラン化合物を用いることが好ましい。シラン化合物を加水分解することにより、粒子表面にシリカ(SiO2)を被着させることができる。中でも、ゾル−ゲル法によりシリカを形成可能なオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を用いることが好ましい。
先に説明したように、粒子がガラス成分に完全に覆われてしまうと、焼成においてフェライト形成に対してヘマタイト形成が優位に進行してしまい、X線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ることは困難となる。したがって本発明では、X線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得られる量のガラス成分により、粒子表面を被着することが好ましい。粒子の一部が未被着の状態となるようにガラス成分を粒子に被着させれば、例えば先に例示した反応系では、生成したCO2が未被着部分から反応系外に出るため、BaCO3からBaOを生成する反応の進行が妨げられることなく、その結果、X線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ることができる。例えば、溶液中に存在する鉄(粒子に含まれているものと溶液中に含まれているものを含む)1モルに対して0.05〜0.4モル%の範囲の量で、ガラス成分の前駆体を溶液に添加することにより、ガラス成分が被着していない部分を有する粒子を得ることができる。
ガラス成分が被着した粒子は、好ましくは焼成前に、洗浄および風乾等による乾燥に付される。洗浄は、例えば特開2007−91517号公報段落[0024]に記載されているように、水と1級アルコールとの混合溶媒を用いて行うことができる。または、他の有機溶媒による洗浄を行ってもよい。
その後、乾燥させた粒子は、任意に粉砕工程に付した後、焼成される。粉砕工程を行うことにより焼成を均一に行うことができ、焼成後のガラス成分の除去が容易になる。
前述のように、焼成については、共沈法および逆ミセル法に関する公知技術を適用することができる。焼成後の粒子は、X線回折による分析において、主成分として六方晶フェライトが検出されるものである。なお主成分として六方晶フェライトが検出されるとは、X線回折スペクトルにおいて最大強度を示すピークが六方晶フェライトの結晶構造由来のピークであることをいう。
焼成後の粒子の表面にはガラス成分が残留しているため、ガラス成分の除去を行う。ガラス成分は、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に粒子を浸漬する方法(アルカリ洗浄)またはフッ酸(HF)等により、溶解除去することができる。フッ酸は取扱いが容易ではないため、アルカリ洗浄が好ましく用いられる。
以上説明した本発明の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法によれば、焼成時の焼結により粒子が凝集することを防ぐことができるため、微粒子の六方晶フェライトを得ることができる。例えば本発明によれば、粒子サイズが10〜20nmであって高密度記録用磁気記録媒体の磁性体として好適な微粒子状の六方晶フェライト磁性粒子を得ることができる。
なお本発明において粒子サイズとは、以下の方法により測定した値をいうものとする。
日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。粒子が集合した粉体については、500個の粒子のサイズを測定し、それら粒子サイズの平均値を粒子サイズ(平均粒子サイズ)とする。
なお、本発明において、磁性体等の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」と言う)は、(1)粉体の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、(2)粉体の形状が板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、(3)粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
また、該粉体の平均針状比は、上記測定において粉体の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粉体の(長軸長/短軸長)の値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粉体サイズの定義で(1)の場合は、粉体を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さ乃至高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)という。
形状異方性は(2)、(3)、(1)の順に大きくなる。磁化容易軸を面内に配向させる場合には形状異方性を単純に大きくできる方を選択することが、微粒子化の観点から好ましい。一方、垂直記録用に磁化容易軸を面に対し垂直に配向する場合には、塗布等の流動配向の観点を加味すべきであるため、(2)、(1)、(3)の順に好ましくなっていく。
更に本発明によれば、本発明の製造方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子も提供される。
本発明の六方晶フェライト磁性粒子は、本発明の製造方法により得られたものであるため、例えば10〜20nmの範囲の粒子サイズの微粒子であることができる。このような微粒子磁性体は、磁気記録用磁性体として好適である。本発明の六方晶フェライト磁性粒子によれば、六方晶フェライト磁性粒子を結合剤および溶媒と混合し塗布液として支持体上に塗布することにより磁性層を形成することができる。したがって、本発明の六方晶フェライト磁性粒子は、塗布型磁気記録媒体への適用に好適である。
即ち、本発明の六方晶フェライト磁性粒子を用いることにより、非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含有する磁性層を有する磁気記録媒体であって、前記強磁性粉末が本発明の六方晶フェライト磁性粒子である磁気記録媒体を得ることができる。したがって本発明の他の態様は、磁性層の強磁性粉末として本発明の六方晶フェライト磁性粒子を含む塗布型磁気記録媒体に関する。
上記磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と本発明の磁性粒子および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する重層構成の磁気記録媒体であることもでき、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有する磁気記録媒体であることもできる。本発明の六方晶フェライト磁性粒子を用いて磁気記録媒体を製造するためには、磁気記録媒体に関する公知技術を適用することができる。また、後述の本発明の磁気記録媒体の製造方法に関する記載も参照できる。
更に本発明は、磁性粒子および有機溶媒を含む磁性塗料に関する。
本発明の磁性塗料は、磁性粒子として前述の製造方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子を含むものである。好ましくは、水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物も含むものである。なお本発明において「水系」とは、「水を含む」との意味で用いることとする。また、以下においては上記化合物を「分散剤」ともいう。
水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物は、有機溶媒系の磁性塗料中で六方晶フェライト磁性粒子の分散剤として機能することができる。これは、水系溶液中でアニオン性基となる官能基が磁性粒子表面に吸着することで、磁性粒子同士が凝集することを防ぐことができるからである。したがって、そのような化合物が本発明の磁性塗料に含まれることにより、前述の製造方法により得られた六方晶フェライトを、有機溶媒中に高度な分散状態で存在させることが可能となる。こうして得られた磁性塗料は、磁性粒子が高度に分散していることが望まれる塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液として好適である。本発明によれば微粒子状の六方晶フェライト磁性粒子を得ることができるので、得られた微粒子状六方晶フェライト磁性粒子を磁性塗料中に高度な分散状態で存在させることによって、超高密度記録用磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液として好適な磁性塗料を得ることができる。
また、本発明の磁性塗料は、前記成分とともに結合剤を含むこともできる。結合剤を含む磁性塗料は、塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液として好適なものである。例えば、後述する分散剤による処理後の溶液に結合剤を添加することによって、結合剤を含む磁性塗料を得ることができる。ここで添加され得る結合剤の詳細については、後述の記載を参照できる。
前記の水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物は、有機溶媒中で六方晶フェライト磁性粒子と混合してもよい。水系溶液中でアニオン性基として存在することにより、より良好に六方晶フェライト磁性粒子表面に吸着することができるため、水系溶液中で六方晶フェライト磁性粒子と混合することによって、六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させることが好ましい。例えば、本発明の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法では、前述のようにガラス成分除去のための処理を行うため、前記化合物を、ガラス成分除去後の水洗中または水洗後の水系溶液中に添加することにより六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させることができる。ガラス成分除去後の水洗は、水により、または水系溶媒、例えば水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等と水との混合溶媒により行うことができる。
水洗後、水系溶液から公知の固液分離方法により六方晶フェライト磁性粒子を取り出してもよい。取り出した六方晶フェライト磁性粒子は、任意に乾燥処理に付すことができる。取り出された六方晶フェライト磁性粒子は、前記分散剤が被着しているため、有機溶媒に添加すると有機溶媒中で良好に分散可能である。こうして本発明の磁性塗料を得ることができる。
または、水洗後、溶媒置換処理により有機溶媒に溶媒置換することによって、本発明の磁性塗料を得ることができる。溶媒置換処理は、有機溶媒の添加と固液分離とを繰り返す公知の溶媒置換法によって行うことができる。溶媒置換処理については、後述の実施例も参照できる。水溶液からの粒子の取り出しを行わずに溶媒置換処理することが、六方晶フェライト磁性粒子が有機溶媒中により一層高度に分散した磁性塗料を得るためには好ましい。
即ち、本発明の一態様は、
前述の本発明の製造方法により六方晶フェライト磁性粒子を作製すること、
作製した六方晶フェライト磁性粒子を水洗すること、および、
前記水洗中または水洗後に、前記六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液に、前記分散剤を添加し該分散剤を前記六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させること、
を含む、本発明の六方晶フェライト磁性粒子と、前記分散剤と、有機溶媒と、を含む磁性塗料の製造方法、
にも関する。
上記磁性塗料の製造方法は、前記分散剤が被着した六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液を溶媒置換処理に付すことにより有機溶媒に溶媒置換することを更に含むことが好ましい。
以下に、本発明の磁性塗料およびその製造方法について、更に詳細に説明する。
前述の水系溶液中でアニオン性基となる官能基の具体例としては、以下の官能基を挙げることができる。
Figure 0005762453
[上記において、m1は0または1を表し、m2は1または2を表し、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表す。]
上記硫黄系極性基には、
スルホン酸(塩)基[−S(=O)2OM];
硫酸(塩)基[−(O)−S(=O)2OM];
スルフィン酸(塩)基[−S(=O)OM];および
亜硫酸(塩)基[−(O)−S(=O)OM]、
が包含される。ここでスルホン酸(塩)基とは、スルホン酸基とそのアルカリ金属塩基を包含する意味で用いることとする。硫酸(塩)基等についても同様である。また、以下に記載のホスホン酸(塩)基等についても同様である。
Figure 0005762453
[上記において、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表す。]
Figure 0005762453
[上記において、m1は0または1を表し、m2は1または2を表し、Mは水素原子またはアルカリ金属原子を表す。]
上記リン系極性基には、
ホスホン酸(塩)基[−P(=O)(OM)2];
ホスフィン酸(塩)基[−P(−H)(=O)(OM)];
リン酸(塩)基[−O−P(=O)(OM)2];および
亜リン酸(塩)基[−O−P(−H)(=O)(OM)]、
が包含される。
上記官能基はいずれも、水系溶液中でアニオン性基となる官能基であって、六方晶フェライト磁性粒子表面への吸着性に優れる官能基である。かかる官能基を有する化合物を六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させることにより、有機溶媒系の磁性塗料における六方晶フェライト磁性粒子の分散性を高めることができる。
前記分散剤は、前記硫黄系極性基、カルボン酸(塩)基、およびリン系極性基からなる群から選ばれる一種以上の官能基を1つ以上含むことができる。
前記硫黄系極性基を含む化合物の具体的態様としては、前記硫黄系極性基を有する環状化合物および該極性基を有する非環状含窒素化合物を挙げることができる。
前記硫黄系極性基を有する環状化合物に含まれる環構造としては、脂肪族環、芳香族環(芳香族炭化水素環と芳香族複素環を含む。)、非芳香族性複素環のいずれであってもよく、また縮合環であってもよい。複素環に含まれるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子を挙げることができる。前記硫黄系極性基は、環構造に直接置換してもよく、アルキレン基等の二価の連結基を介して置換してもよい。
分散性向上の観点から、上記環状化合物の好ましい具体例としては、下記一般式(I)で表される環状化合物を挙げることができる。
Figure 0005762453
上記一般式(I)中、R11〜R16はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも1つは前記硫黄系極性基である。また、R11〜R16は2つ以上が連結して環構造を形成してもよい。形成される環構造としては、上記に例示したものを挙げることができる。一般式(I)には前記硫黄系極性基が含まれるが、その数は少なくとも1つであり、2つ以上であってもよい。前記硫黄系極性基が含まれることにより、磁性粒子表面に吸着し分散性を向上することができる。
一般式(I)中、前記硫黄系極性基のほかに含まれ得る置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、シクロアルキル基(例えばシクロヘキシル基)、水酸基、アルコキシル基(例えば炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。分散剤の水系溶液への溶解性が高いほど、多くの分散剤を磁性粒子表面に吸着させ磁性粒子の分散性を向上することができる。この点からは、R11〜R16の中で前記硫黄系極性基以外は、水素原子またはアミノ基であることが好ましい。
なお本発明において、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
一方、前記非環状含窒素化合物とは、環状構造中に窒素原子を含まない化合物をいい、窒素原子を含まない環状構造を有する化合物も包含されるものとする。分散性向上の観点から、前記硫黄系極性基を有する非環状含窒素化合物の好ましい具体例としては、下記一般式(II)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0005762453
一般式(II)中、R21〜R23はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも1つは前記硫黄系極性基を含む。前記硫黄系極性基が含まれることにより、磁性粒子表面に吸着し磁性粒子の分散性を高めることができる。一般式(II)に含まれる前記硫黄系極性基は、少なくとも1つであり、2つ以上であってもよい。
一般式(II)中のR21〜R23において前記硫黄系極性基を含む置換基は、前記硫黄系極性基そのものであってもよく、置換基として前記硫黄系極性基を含むものであってもよい。分散性向上の点から好ましくは前記硫黄系極性基が置換したアルキル基であって、例えば−(CH2n−(O)m1−S(=O)m2−OM[ここでm1、m2、およびMは上記と同義である。]であって、nは好ましくは1〜5の範囲の整数であり、より好ましくは1〜3の範囲の整数であり、より一層好ましくは2または3である。中でも、−(CH22SO3Mまたは−(CH23SO3Mを含むものが更に一層好ましい。
前述のように、分散剤の水系溶液への溶解性が高いほど、多くの分散剤を磁性粒子表面に吸着させ磁性粒子の分散性を向上することができる。この点からは、一般式(II)中のR21〜R23の中で、前記硫黄系極性基またはこれを含む基以外は、置換基を有していてもよいアルキル基またはシクロアルキル基であることが好ましく、水酸基および/もしくはアルコキシル基によって置換されたアルキル基、またはシクロアルキル基であることがより好ましい。水酸基およびアルコキシル基によって置換されたアルキル基としては、これらによって置換された分岐アルキル基がより一層好ましい。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基がより一層好ましい。
前述の通り、分散剤は、前記硫黄系極性基が含まれることにより磁性粒子表面に吸着し分散性を高めることができる。分子中で前記硫黄系極性基以外の部分が占める割合が多いほど、磁性粒子表面に吸着する分散剤の分子数が少なくなるため、良好な分散性向上効果を得る観点からは、分子中で前記硫黄系極性基以外の部分が占める割合が大きくないことが好ましい。この点から、前記分散剤は、前記硫黄系極性基を除く部分の分子量が400以下であることが好ましく、例えば200以下程度であってもよい。また、前記硫黄系極性基を除く部分の分子量は50以上であることが表面改質効果の点からは好ましい。
一方、前記カルボン酸(塩)基を含む化合物の具体的態様としては、カルボン酸(塩)基を有する芳香族化合物および脂肪族化合物からなる群から選択されるカルボン酸系化合物を挙げることができる。なお、磁性粒子の分散性の更なる向上の観点からは、分子内に含まれる上記カルボン酸(塩)基の数が1つの化合物については、カルボン酸(塩)基を除く部分の炭素数は1以上13以下であることが好ましい。
前記カルボン酸(塩)基を有する芳香族化合物に含まれる芳香族環としては、芳香族炭化水素環であっても芳香族複素環であってもよく、また縮合環であってもよい。入手容易性等の観点からは芳香族炭化水素環が好ましい。上記芳香族化合物に含まれる芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等を挙げることができ、中でもベンゼン環が好ましい。また、2つ以上の芳香族環が二価の連結基を介して結合していてもよい。前記カルボン酸(塩)基は、芳香族環に直接置換することもでき、またはアルキレン基、アルケニレン基等の連結基を介して置換することもできる。
前記カルボン酸(塩)基を有する脂肪族化合物は、環式または非環式の脂肪族化合物であり、脂肪族基として飽和または不飽和のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基等を含むものを挙げることができる。上記脂肪族基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。また、上記脂肪族化合物は、含窒素化合物であることも好ましい。含窒素化合物に含まれる窒素は、窒素原子の3つの結合手のうちの1つが水素原子以外の置換基により置換された一置換窒素として、即ち無置換アミノ基(−NH2)として含まれていてもよく、窒素原子の3つの結合手のうちの2つが置換された二置換窒素、または3つすべてが置換された三置換窒素として含まれていてもよい。より一層の分散性向上の観点からは、含窒素化合物としては、二置換窒素または三置換窒素を含むものを用いることが好ましい。
先に説明したように、前記カルボン酸系化合物の中で、分子内に含まれる前記カルボン酸(塩)基の数が1つの化合物については、カルボン酸(塩)基を除く部分の炭素数は1以上13以下であることが好ましい。一方、分子内に上記カルボン酸(塩)基を2つ以上含むものについては、カルボン酸(塩)基を除く部分の炭素数は1以上13以下であってもよく、13超であってもよい。
前記カルボン酸系化合物は、前記カルボン酸(塩)基以外の置換基を含むこともでき、その具体例としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシル基(例えば炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基等を挙げることができる。
上記置換基の中で好ましいものとしては、分岐アルキル基、ならびにフッ素原子、およびトリフルオロメチル基等のフッ素原子で置換されたアルキル基からなる群から選択されるフッ素含有置換基を挙げることができる。中でも、分岐アルキル基およびフッ素含有置換基からなる群から選ばれる置換基を前記カルボン酸(塩)基とともに含む芳香族化合物は、良好な分散性向上効果を発揮することができる。上記芳香族化合物が芳香族環としてベンゼン環を含むものである場合、上記フッ素含有置換基および分岐アルキル基は前記のカルボン酸(塩)基のオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置に置換していてもよいが、オルト位またはメタ位に置換していることが、より一層の分散性向上の観点から好ましい。
また、分散性向上の観点から、前記カルボン酸(塩)基とともに水酸基を含む化合物も、分散剤として好ましい化合物である。
前述の通り、前記分散剤は、前記カルボン酸(塩)基が含まれることにより磁性粒子表面に吸着し分散性を高めることができる。分散性向上の観点からは、前記カルボン酸(塩)基が2つ以上含まれる化合物は、分散剤として好ましい化合物である。また、分子中で前記カルボン酸(塩)基以外の部分が占める割合が多いほど、磁性粒子表面に吸着する分散剤の分子数が少なくなるため、良好な分散性向上効果を得る観点からは、分子中で前記カルボン酸(塩)基以外の部分が占める割合が大きくないことが好ましい。この点から、前記表面改質剤は、前記カルボン酸(塩)基を除く部分の分子量が400以下であることが好ましく、例えば200以下程度であってもよい。また、前記カルボン酸(塩)基を除く部分の分子量は20以上であることが分散性向上効果の点からは好ましい。
また、前記リン系極性基を含む化合物の具体的態様としては、前記リン系極性基を有するアミン化合物を挙げることができる。アミン化合物としては、モノアミンであってもよく、ジアミン、トリアミン等のポリアミンであってもよい。分散性向上効果および入手容易性の観点から、分散剤として好ましいアミン化合物としては、下記一般式(A)で表されるモノアミンおよび下記一般式(B)で表されるジアミンを挙げることができる。
Figure 0005762453
[一般式(A)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に置換基を表し、少なくとも1つは前記一価のリン系極性基を含む。]
Figure 0005762453
[一般式(B)中、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に置換基を表し、少なくとも1つは前記一価のリン系極性基を含み、Lは二価の連結基を表す。]
一般式(A)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に置換基を表す。これらR1、R2およびR3の中で、少なくとも1つは前記一価のリン系極性基を含む。前記一価の置換基は、窒素原子に直接置換していてもよく、連結基を介して間接的に置換していてもよい。連結基としては、アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基等の炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましい。その他の置換基については、後述の一般式(I)について記載する通りである。
一般式(B)中、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に置換基を表す。これらR4、R5、R6およびR7の中で、少なくとも1つは前記一価のリン系極性基を含む。前記一価の置換基は、窒素原子に直接置換していてもよく、連結基を介して間接的に置換していてもよい。当該連結基およびその他の置換基については、先に一般式(A)について記載した通りである。二価の連結基Lの詳細についても、先に一般式(A)に含まれる連結基について記載した通りである。
前記リン系極性基を有するアミン化合物は、分散性向上の観点からは、2つ以上の前記リン系極性基を有することが好ましい。したがって、一般式(A)で表されるモノアミンについては、R1、R2およびR3で表される置換基の2つまたは3つが、前記一価のリン系極性基を含むことが好ましく、一般式(B)で表されるジアミンについては、R4、R5、R6およびR7で表される置換基の2〜4つが、前記リン系極性基であることが好ましい。
前記リン系極性基を有する芳香族化合物に含まれる芳香族環としては、芳香族炭化水素環であっても芳香族複素環であってもよく、また縮合環であってもよい。入手容易性等の観点からは芳香族炭化水素環が好ましい。上記芳香族化合物に含まれる芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等を挙げることができ、中でもベンゼン環が好ましい。
前記リン系極性基を有する脂肪族化合物は、環式または非環式の脂肪族化合物であり、脂肪族基として飽和または不飽和の直鎖または分岐のアルキル基、シクロアルキル基等を含むものを挙げることができる。中でも、炭素数1〜20の飽和または不飽和の直鎖または分岐のアルキル基を有するものが好ましく、炭素数1〜20の飽和の直鎖アルキル基を有するものがより好ましい。
前記芳香族化合物および脂肪族化合物において、前記リン系極性基は、芳香族基または脂肪族基に直接置換してもよく、アルキレン基等の二価の連結基を介して置換してもよい。また、上記芳香族基および脂肪族基は、前記リン系極性基以外の置換基を有さないものであってもよく、有するものであってもよい。リン系極性基以外の具体例については、後述の一般式(I)について記載する通りである。
分散性向上の観点から、前記リン系極性基を有する芳香族化合物および脂肪族化合物の好ましい具体例としては、下記一般式(I)で表される芳香族化合物および脂肪族化合物を挙げることができる。
Figure 0005762453
上記一般式(I)中、Rはアリール基(芳香族炭化水素基)またはアルキル基を表し、m1、m2、およびMは前記と同義である。
上記一般式(I)中、Rで表されるアリール基またはアルキル基は、前記リン系極性基以外の置換基を有さないものであってもよく、有するものであってもよく、またRで表されるアリール基またはアルキル基の置換基として前記リン系極性基を有していてもよい。一般式(I)で表される芳香族化合物および脂肪族化合物は、少なくとも1つの前記リン系極性基を含むことにより、磁性粒子表面に吸着し磁性粒子の分散性を高めることができる。
一般式(I)中、前記リン系極性基のほかに含まれ得る置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシル基(例えば炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボン酸(塩)基等を挙げることができる。
分散剤として使用される化合物の水系溶液への溶解性が高いほど、多くの分散剤を磁性粒子表面に吸着させ磁性粒子の分散性を向上することができる。この点からは、Rで表されるアリール基はフェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
上記一般式(I)中、Rで表されるアルキル基としては、飽和または不飽和の直鎖または分岐のアルキル基を挙げることができる。その詳細は、先に前記リン系極性基を有する脂肪族化合物に含まれ得るアルキル基について記載した通りである。
前述の通り、前記分散剤は、前記リン系極性基が含まれることにより磁性粒子表面に吸着し分散性を高めることができる。分子中で前記リン系極性基以外の部分が占める割合が多いほど、磁性粒子表面に吸着する分散剤の分子数が少なくなるため、良好な分散性向上効果を得る観点からは、分子中で前記リン系極性基以外の部分が占める割合が大きくないことが好ましい。この点から、前記表面改質剤は、前記リン系極性基を除く部分の分子量が400以下であることが好ましく、例えば300以下程度、更には200以下程度であってもよい。また、前記リン系極性基を除く部分の分子量は20以上であることが表面改質効果の点からは好ましい。
また、前記官能基を有する化合物の他の具体的態様としては、特開2012−14809号公報に記載の一般式(I)で表される化合物および一般式(II)で表される化合物を挙げることができる。なお同公報に記載のアニオン性基となる官能基が、前述の水系溶液中でアニオン性基となる官能基に相当する。これらの中で好ましくは、以下に示す特開2012−14809号公報に記載の一般式(I)で表される化合物である。
Figure 0005762453
[一般式(I)において、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数5〜10のアルキル基であり、X1およびX2は水素原子または置換基であり、ただしX1およびX2のいずれか一方は、水系溶液中でアニオン性基となる官能基である。]
特開2012−14809号公報に記載の一般式(I)で表される化合物および一般式(II)で表される化合物の詳細については、同公報の段落[0020]〜[0031]の記載を参照できる。
以上説明した分散剤は、いずれも公知の方法で合成可能であり、また市販品として入手可能である。前記分散剤は、例えば、磁性粒子100質量部に対して0.1〜10質量部、水洗中または水洗後の六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液の総質量100質量部に対して0.0001〜5質量部の量で、一種単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。また、前記水系溶液に分散剤を添加する際や添加後に、公知の方法による分散ないし撹拌処理を行うことが、分散剤を磁性粒子表面に均一に被着させるために好ましい。分散剤は、そのまま、または分散剤を水系溶媒に添加して調製した溶液として、前記水系溶液へ添加することができる。分散剤を溶液として添加する場合、溶液中の分散剤の濃度は特に限定されるものではない。
溶媒置換処理については、前述の通りである。溶媒置換に使用する有機溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。中でも、磁気記録媒体に通常使用される結合剤の溶解性および磁性粒子表面への結合剤の吸着の点からはケトン類を含有する有機溶媒(ケトン系有機溶媒)を用いることが好ましい。
上記有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50質量%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法について説明する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性層を、本発明の六方晶フェライト磁性粒子および有機溶媒を含む磁性塗料、即ち本発明の磁性塗料を用いて形成することを含む。こうして、前述の本発明の磁気記録媒体を製造することができる。
前記磁性層は、前述の本発明の磁性塗料の製造方法により調製された磁性塗料を用いて形成することが好ましい。前記分散剤を含む磁性塗料では、六方晶フェライト磁性粒子がより高度な分散状態で存在することができる。したがって、そのような磁性塗料を用いることにより、表面平滑性に優れた磁性層を有する磁気記録媒体を提供することが可能となる。磁性層の表面平滑性に優れた磁気記録媒体は高密度記録用途に好適であるため、本発明の磁気記録媒体は高密度記録用磁気記録媒体として用いることができる、
以下、本発明の磁気記録媒体およびその製造方法の具体的態様について説明する。
磁性層
前記磁性層は、本発明の六方晶フェライト磁性粒子と結合剤を含む層である。磁性層の結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落[0029]〜[0031]を参照できる。また、上記樹脂とともにポリイソシアネート系硬化剤を使用することも可能である。
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。なお添加剤として、前述の分散剤を使用することは分散性の更なる改善に有効である。
非磁性層
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。本発明では、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を形成することができる。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2010−24113号公報段落[0036]〜[0039]を参照できる。
非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。また、非磁性層にはカーボンブラックや有機質粉末を添加することも可能である。それらについては、例えば特開2010−24113号公報段落[0040]〜[0042]を参照できる。
非磁性支持体
前記方法で調製された磁性塗料は、非磁性層上に直接、または非磁性層等の他の層を介して非磁性支持体上に塗布される。これにより、非磁性支持体上に、必要に応じて非磁性層等の他の層を介して磁性層を有する磁気記録媒体を得ることができる。
非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmが好ましい。
層構成
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μmである。磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01〜0.15μmであり、好ましくは0.02〜0.12μmであり、さらに好ましくは0.03〜0.10μmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることが更に好ましい。なお、本発明における磁気記録媒体の非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明における磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
バックコート層
本発明では、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
製造工程
磁性層形成のための塗布液は、本発明の六方晶フェライト磁性粒子を使用する点以外、通常の磁性層形成用塗布液の調製方法と同様の方法で作製することができる。好ましくは、先に記載した本発明の磁性塗料の製造方法により、磁性層形成のための塗布液を作製することができる。
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための塗布液を製造する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる磁性粒子、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、分散剤、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。なお、前記分散剤は、磁性層形成用塗布液調製のための工程において、有機溶媒中に六方晶フェライト磁性粒子を含む溶液に添加することも可能である。また、本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液、非磁性層塗布液またはバックコート層塗布液を分散させるには、ガラスビーズやその他のビーズを用いることができる。このような分散メディアとしては、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。磁気記録媒体の製造方法の詳細については、例えば特開2010−24113号公報段落[0051]〜[0057]を参照できる。
[参考態様]
ところで、前述の水系溶液への分散剤の添加、およびその後の溶媒置換処理を含む磁性塗料の製造方法は、磁性粒子が高度に分散した有機溶媒系の磁性塗料を得るための製造方法として広く適用可能な方法である。したがって、例えば、磁性粒子としてε−酸化鉄粒子を含む磁性塗料を製造するための製造方法としても好適なものである。ε−酸化鉄粉末は、結晶構造に由来する高い結晶磁気異方性を有し熱的安定性に優れるため、微細化しても磁気記録に適した優れた磁気特性を維持することができる。そのため近年、ε−酸化鉄粉末を磁気記録用途に使用することが提案されている(例えば、特開2008−60293号公報参照)。
他方、高密度記録用磁気記録媒体に求められる特性の1つとしては、磁性層が高い表面平滑性を有することが挙げられる。このためには強磁性粉末を高度に分散させることが重要である。しかし、従来のε−酸化鉄の主な用途であった永久磁石では、ε−酸化鉄を高度に分散させることは要求されていない。したがって、ε−酸化鉄を高密度記録用磁気記録媒体に適用可能にするほど高度に分散させるための分散技術については、十分な検討がなされていなかった。
これに対し前述の水系溶液への分散剤の添加およびその後の溶媒置換処理を含む磁性塗料の製造方法によれば、ε−磁性粒子を高度に分散させることができる。
水系溶液への分散剤の添加およびその後の溶媒置換処理については、先に記載した通りである。
ε−酸化鉄の調製方法としては、ゲーサイトを出発原料とする方法、逆ミセル法等が知られており、本発明でもそれら公知の方法を用いてε−酸化鉄を調製し、磁性層用強磁性粉末として使用することができる。または、市販のε−酸化鉄を使用することもできる。
以下に、一例として、逆ミセル法によるε−酸化鉄の調製方法について説明する。
逆ミセル法によるε−酸化鉄の調製は、
(1)ε−酸化鉄の前駆体である鉄塩粒子(以下、「前駆体粒子」ともいう。)の作製工程;
(2)好ましくはゾル−ゲル法による、焼結防止剤による前駆体粒子の被覆工程;
(3)焼結防止剤に被覆された前駆体粒子の加熱焼成工程;
(4)加熱焼成により前駆体粒子が転換することで得られたε−酸化鉄の粒子表面からの焼結防止剤の除去工程、
を含むことができる。
工程(1)では、逆ミセル法によりミセル溶液から前駆体の鉄塩粒子を析出させることができる。より詳しくは、鉄の水溶性塩を溶解した水溶液に、界面活性剤および水と混ざり合わない有機溶媒を添加しW/Oエマルジョンを形成し、これにアルカリを加えることで鉄塩を析出させる。例えば界面活性剤と水との混合比により、析出する鉄塩の粒子サイズをコントロールすることができる。後述するように焼結防止剤によって前駆体粒子を被覆した後に加熱焼成を行うことで、ε−酸化鉄粒子が焼結し粗大粒子となることを防ぐことができる。したがって、最終的に得られるε−酸化鉄粒子の粒子サイズは、主にここで析出する鉄塩粒子の粒子サイズによって制御することができる。
上記水溶性塩としては、鉄の硝酸塩、塩化物等を挙げることができ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水等を挙げることができる。また、ε−酸化鉄は、Feの一部を他の元素に置換することで磁気特性を制御することができる。置換元素としては、Al、Ga、In等を挙げることができる。このような置換型のε−酸化鉄も、本発明において磁性層の強磁性粉末として使用することができる。逆ミセル法により置換型ε−酸化鉄を得る場合には、工程(1)においてミセル溶液に置換元素の化合物(硝酸塩、水酸化物等)を添加すればよい。
工程(2)は、工程(3)において粒子同士が焼結し粗大粒子化することを防ぐために、加熱焼成前に前駆体粒子表面に焼結防止剤を被覆する工程である。前駆体粒子表面に焼結防止剤を均一に被覆する観点からは、ゾル−ゲル法により前駆体粒子表面に焼結防止剤を被覆させることが好ましい。
焼結防止剤としては、Si化合物、Y化合物等を用いることができる。焼結防止効果および加熱焼成後の除去の容易性の観点からは、Si酸化物により前駆体粒子を被覆することが好ましい。例えば、工程(1)において前駆体粒子が析出した溶液にアルコキシシラン等のシラン化合物を添加すると、シラン化合物の加水分解物であるシリカ(SiO2)を、前駆体粒子表面に被着させることができる。上記シラン化合物としては、ゾル−ゲル法によりシリカを形成可能なオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を用いることが、より好ましい。
焼結防止剤により被覆した前駆体粒子は、工程(3)の前に前駆体粒子表面から未反応物(上記のシラン化合物等)を除去するために洗浄に付すこともできる。洗浄は、水、有機溶媒、またはそれらの混合溶媒を用いて行うことができる。
以上のように焼結防止剤により被覆された前駆体粒子は、必要に応じて、溶液からの取り出し、洗浄、乾燥、粉砕等の処理を施した後に、工程(3)の加熱焼成に付される。粉砕することにより、焼成を均一に行うことができ、また焼成後の焼結防止剤の除去が容易になる。
工程(3)における加熱焼成は、例えば500〜1500℃の雰囲気温度で行うことができる。例えば空気中で上記雰囲気温度で前駆体粒子を加熱焼成することにより、酸化反応等により、前駆体粒子をε−酸化鉄に転換することができる。
通常、焼成後の粒子の表面には焼結防止剤が残留しているため、工程(4)を行い焼結防止剤を除去する。焼結防止剤の種類によって除去方法は適宜選択することができる。例えば、前述のシリカは水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液に粒子を浸漬する方法(アルカリ洗浄)またはフッ酸(HF)等により、溶解除去することができる。フッ酸は取扱いが容易ではないため、アルカリ洗浄が好ましく用いられる。好ましい態様では、この後に行う水洗中または水洗後に、前記分散剤の添加および溶媒置換処理を行うことができる。
上述の逆ミセル法によるε−酸化鉄粒子の調製については、後述の参考例も参照できる。
以上説明した参考態様には、
ε−酸化鉄粒子と、前記分散剤と、有機溶媒と、を含む磁性塗料;
ε−酸化鉄粒子を含む水系溶液に、水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物を添加し該化合物をε−酸化鉄粒子表面に被着させること、
を含み、好ましくは、
前記化合物が被着したε−酸化鉄粒子を含む水溶液を溶媒置換処理に付すことにより有機溶媒に溶媒置換すること、
を含む、前記磁性塗料の製造方法;
非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁性層を、前記したε−酸化鉄粒子含有磁性塗料を用いて形成するか、または、
前記した製造方法によりε−酸化鉄粒子含有磁性塗料を作製し、作製した磁性塗料を用いて磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法;
およびこの製造方法により得られた磁気記録媒体;
が包含される。参考態様については、特記しない限り、本発明に関する前述の記載を適用することができる。
以下に、本発明の具体的実施例および比較例を挙げるが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。以下に記載の「%」は、質量%を示し、記載されている割合は質量比を示す。
1.六方晶フェライト磁性粒子に関する実施例・比較例
実施例1、2、比較例1〜4
〔手順1:ミセル溶液の作製〕
ミセル溶液Iおよびミセル溶液IIを、以下の方法で作製した。
(1)ミセル溶液Iの作製
硝酸鉄(III)9水和物10.46g、硝酸バリウム0.846g、臭化セチルトリメチルアンモニウム123.7gに純水207.9gを添加した後、n−オクタン439.8g、1−ブタノール101.2gを添加し撹拌し溶解した。
(2)ミセル溶液IIの作製
臭化セチルトリメチルアンモニウム247.5gに10%アンモニア水178.5g、純水255.2gを添加した後、n−オクタン879.6g、1−ブタノール202.3gを添加し撹拌し溶解した。
〔手順2:共沈物の形成〕
ミセル溶液Iと混合する10分前にミセル溶液IIに炭酸ナトリウム8.2gを添加し撹拌しながら、撹拌したミセル溶液Iを滴下した。滴下終了後、混合液を30分間撹拌し続けた。
〔手順3:ガラス成分前駆体の加水分解〕
手順2で得られた混合液中には、水酸化鉄Fe(OH)2と炭酸バリウムBaCO3との共沈物が含まれている。上記ミセル溶液にはアンモニアが過剰量含まれていること、および水酸化鉄の溶解度は比較的低いことから、ミセル溶液に含まれていた鉄は、すべて共沈物に取り込まれていると考えられる。
当該混合液を撹拌しながら、テトラエトキシシラン(TEOS)を表1記載の量で加えた。約1日そのまま、撹拌し続けた。これにより、TEOSが加水分解し、混合液中の共沈物表面にシリカが被着する。
〔手順4:洗浄〕
手順3で得られた溶液を分液ロートに入れ、純水、エタノールの1:1混合液を200ml加え、静置し、赤褐色の部分とそれ以外の部分に分かれるのを待ち、赤褐色の部分以外を捨てた。この操作を3回繰返した後、遠心分離機にセットして遠心分離処理した。
以上の処理で得られた沈殿物を回収した。回収された沈殿物をクロロホルムとエタノールの混合溶液を用いて再分散し、遠心分離を行い得られた沈殿物を回収した。
〔手順5:焼成〕
手順4で得られた沈殿物を風乾により乾燥した後、乳鉢で粉砕した。その後、アルバック理工製イメージ炉で1L/minで酸素を送りながら炉内温度を800℃として2分間、熱処理を施した。
〔手順6:ガラス成分の除去〕
手順5で得られた焼成物(熱処理粉)を3モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液中で24時間撹拌し、粒子表面のシリカの除去処理を行った。次いで、遠心分離処理し沈殿物を回収して純水で再分散し遠心分離処理をすることで洗浄を行い、その後、風乾により乾燥した。
評価方法
(1)X線回折分析
実施例、比較例について、手順6により得られた粒子の粉末X線回折分析を、PANalytical社製X’Pert PRO(線源CuKα線、電圧45kV、電流40mA)により行った。
(2)磁気特性
上記(1)において主成分としてバリウムフェライトが検出された粒子の磁気特性を、玉川製作所製超電導振動式磁力計VSM(外部磁場3T)より測定した。
(3)粒子サイズ測定
上記(1)において主成分としてバリウムフェライトが検出された粒子の粒子サイズを、透過型電子顕微鏡により前述の方法で測定した。
以上の結果を、表1に示す。
Figure 0005762453
評価結果
表1に示すように、実施例1および2では、微粒子状のバリウムフェライト磁性粒子を得ることができた。
これに対しガラス成分を被着させずに共沈物を焼成した比較例1では、焼成中に粒子が焼結し微粒子状のバリウムフェライト磁性粒子を得ることはできなかった。
また、比較例2〜4では焼成後の粒子は、主成分としてヘマタイトが検出された。これはガラス成分により共沈物が完全に被覆された状態で焼成を行ったため、バリウムフェライトの形成よりもヘマタイトの形成が優位に進行したためと考えられる。
2.磁性塗料に関する実施例・比較例
[実施例3]
(1)実施例2の手順1〜5を経て得られた焼成物(熱処理粉)1gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液25ccの中に入れ、70℃の温度で超音波をかけながら4時間超音波処理し、その後、一昼夜撹拌した。
その後、水洗および遠心分離を繰返し、上澄み液のpHが8未満になるまで洗浄を行った。
(2)洗浄後の水溶液に、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)の1%水溶液20ccを添加し超音波を照射した後、遠心分離を行い、上澄みを捨てた。
その後、メチルエチルケトン(MEK)を20cc加え超音波照射後遠心分離を行うことを2回繰返した。
(3)次いで、MEKを含んだ状態で、六方晶フェライト磁性粒子量が250mgになるよう秤量した液に、分散ビーズ(ニッカトー株式会社製YTZボールφ0.05mm)2.5g、AOT15mg、ポリウレタン樹脂35mg、MEK 397mg、シクロヘキサノン265mgを添加し、タイテック株式会社製卓上小型振とう機 Mix−EVRを用いて、水平偏芯振動にて2500r/minで21時間分散処理し、液中平均粒子径測定用の分散液を得た。
(4)上記(3)とは別に、MEKを含んだ状態で、六方晶フェライト磁性粒子量が250mgになるよう秤量した液に、カーボンブラック(粒子サイズ:20nm)2.5mg、AOT15mg、ポリウレタン樹脂35mg、MEK 397mg、シクロヘキサノン265mgを添加し、上記3.と同様の分散処理を行い、磁性シート作製用の分散液を得た。
得られた分散液を、帝人社製PENベース上に1milのドクターブレードを用いて塗布し、室温30分放置させて乾燥し塗膜を作製した。
[実施例4]
実施例3の上記(2)においてMEKを加える前に磁性粒子を一旦乾燥させた点以外は、実施例3と同様の操作を行った。
[実施例5]
(1)実施例2の手順1〜5を経て得られた焼成物(熱処理粉)1gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液25ccの中に入れ、70℃の温度で超音波をかけながら4時間超音波処理し、その後、一昼夜撹拌した。
その後、水洗および遠心分離を繰返し、上澄み液のpHが8未満になるまで洗浄を行った後、磁性粒子を乾燥させた。
(2)乾燥粉を250mgになるよう秤量し、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)の1%水溶液20ccに添加し超音波を照射した後、遠心分離を行い、上澄みを捨てた。
その後、メチルエチルケトン(MEK)を20cc加え超音波照射後遠心分離を行うことを2回繰返した。
(3)その後、実施例3と同様の操作を行い分散液を得た。
[実施例6]
実施例5の上記(2)においてAOTを使用しなかった点および分散液調製時にAOTを添加しなかった点以外は、実施例5と同様の操作を行い分散液を得た。
評価方法
(1)液中平均粒子径の測定
実施例3〜6で得られた液中平均粒子径測定用の分散液を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンを体積比でメチルエチルケトン:シクロヘキサノン=6:4の割合で含む混合溶媒で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した。
HORRIBA社製動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500を用いて測定した上記希釈液中の算術平均粒子径を、表2に示す。ここで測定される算術平均粒子径が小さいほど、磁性粒子が凝集せず分散性が良好であることを意味する。
(2)保磁力の測定
上記塗布膜の保磁力を、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価した。
(3)塗膜Raの測定
実施例3〜6で作製した塗膜の表面粗さを、以下の方法で測定した。
ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置ZYGO Newview5022により走査型白色光干渉法にて、Scan Lengthを5μmとして、上記塗膜の表面粗さを測定した。対物レンズ:20倍、中間レンズ:1.0倍、測定視野は260μm×350μmとした。測定した表面をHPF:1.65μm、LPF:50μmのフィルター処理して、中心線平均表面粗さRa値を求めた。
以上の結果を、表2に示す。
Figure 0005762453
評価結果
表2に示す結果から、前記分散剤の使用によって、磁性塗料中で六方晶フェライト磁性粒子を高度な分散状態で存在させることができること、および表面平滑性に優れる塗膜を形成可能な磁性塗料が得られること、が確認できる。こうして得られた磁性塗料を用いることで、微粒子状の六方晶フェライト磁性粒子が高度に分散された磁性層を形成することができ、これにより高密度記録に好適な磁気記録媒体を得ることが可能となる。
なお分散剤を用いた実施例3〜5の中で、実施例3が分散性に関して最も良好な結果を示した理由は、乾燥処理を経ずに溶媒置換を行ったことにあると考えられる。また、実施例4と実施例5との比較において、実施例4が分散性に関して良好な結果を示した理由は、乾燥処理の前に分散剤による処理を行ったことにあると考えらえる。
3.ε−酸化鉄粒子使用に関する参考例
[参考例1]
(1)ε−酸化鉄粒子の合成
〔手順1:ミセル溶液の作製〕
ミセル溶液Iおよびミセル溶液IIの2種類のミセル溶液を、以下の方法で作製し た。
(1)ミセル溶液Iの作製
硝酸鉄(III)9水和物8.37g、硝酸アルミニウム1.94g、臭化セチルトリメチルアンモニウム123.7gに純水207.9gを添加した後、n−オクタン439.8g、1−ブタノール101.2gを添加し撹拌し溶解した。
(2)ミセル溶液IIの作製
臭化セチルトリメチルアンモニウム123.7gに10%アンモニア水178.5g、n−オクタン439.8g、1−ブタノール101.2を添加し撹拌し溶解した。
〔手順2:前駆体粒子の析出〕
ミセル溶液Iにミセル溶液IIを撹拌しながら滴下した。滴下終了後、混合液を30分間撹拌し続けた。
〔手順3:焼結防止剤による前駆体粒子の被覆〕
手順2で得られた混合液には、前駆体粒子である水酸化鉄Fe(OH)2が析出している。当該混合液を撹拌しながら、当該混合液にテトラエトキシシラン(TEOS)を48.9g加えた。約1日そのまま、撹拌し続けた。これにより、TEOSが加水分解し、混合液中の前駆体粒子表面にシリカが被着する。
〔手順4:洗浄〕
手順3で得られた溶液を分液ロートに入れ、純水、エタノールの1:1混合液を200ml加え、静置し、赤褐色の部分とそれ以外の部分に分かれるのを待ち、赤褐色の部分以外を捨てた。この操作を3回繰返した後、遠心分離機にセットして遠心分離処理した。この処理で得られた沈殿物を回収した。回収された沈殿物をクロロホルムとエタノールの混合溶液を用いて再分散し、遠心分離を行い得られた沈殿物を回収した。
〔手順5:加熱焼成〕
手順4で得られた沈殿物を風乾により乾燥した後、乳鉢で粉砕した。その後、アルバック理工製イメージ炉で1L/minで空気を送りながら炉内温度を1000℃として2時間加熱処理を施した。これにより、焼結防止剤であるシリカが付着したε−酸化鉄粒子が得られる。
〔手順6:焼結防止剤の除去〕
手順5により得られたシリカ付着したε−酸化鉄粒子1gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液25ccの中に入れ、70℃の温度で超音波をかけながら4時間処理し、その後、一昼夜撹拌した。こうして、ε−酸化鉄粒子表面からシリカを除去した。
その後、水洗および遠心分離を繰返し、上澄み液のpHが8未満になるまで洗浄を行った。
(2)洗浄後の水溶液に、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)の1%水溶液20ccを添加し超音波を照射した後、遠心分離を行い、上澄みを捨てた。
その後、メチルエチルケトン(MEK)を20cc加え超音波照射後遠心分離を行うことを2回繰返した。
(3)次いで、MEKを含んだ状態で、六方晶フェライト磁性粒子量が250mgになるよう秤量した液に、分散ビーズ(ニッカトー株式会社製YTZボールφ0.05mm)2.5g、AOT15mg、ポリウレタン樹脂35mg、MEK 397mg、シクロヘキサノン265mgを添加し、タイテック株式会社製卓上小型振とう機 Mix−EVRを用いて、水平偏芯振動にて2500r/minで21時間分散処理し、液中平均粒子径測定用の分散液を得た。
(4)上記(3)とは別に、MEKを含んだ状態で、六方晶フェライト磁性粒子量が250mgになるよう秤量した液に、カーボンブラック(粒子サイズ:20nm)2.5mg、AOT15mg、ポリウレタン樹脂35mg、MEK 397mg、シクロヘキサノン265mgを添加し、上記3.と同様の分散処理を行い、磁性シート作製用の分散液を得た。
得られた分散液を、帝人社製PENベース上に1milのドクターブレードを用いて塗布し、室温30分放置させて乾燥し塗膜を作製した。
[参考例2]
参考例1の上記(2)においてMEKを加える前に磁性粒子を一旦乾燥させた点以外は、実施例3と同様の操作を行った。
[参考例3]
(1)参考例1の手順1〜5を経て得られた焼成物(熱処理粉)1gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液25ccの中に入れ、70℃の温度で超音波をかけながら4時間超音波処理し、その後、一昼夜撹拌した。
その後、水洗および遠心分離を繰返し、上澄み液のpHが8未満になるまで洗浄を行った後、磁性粒子を乾燥させた。
(2)乾燥粉を250mgになるよう秤量し、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)の1%水溶液20ccに添加し超音波を照射した後、遠心分離を行い、上澄みを捨てた。
その後、メチルエチルケトン(MEK)を20cc加え超音波照射後遠心分離を行うことを2回繰返した。
(3)その後、参考例1と同様の操作を行い分散液を得た。
[参考例4]
参考例3の上記(2)においてAOTを使用しなかった点および分散液調製時にAOTを添加しなかった点以外は、参考例3と同様の操作を行い分散液を得た。
評価方法
参考例1〜4について、実施例3〜6と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005762453
本発明は、磁気記録媒体の製造分野において有用である。

Claims (20)

  1. 鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を逆ミセル法または共沈法により調製する工程、ならびに、
    調製した鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を焼成しフェライト化することにより六方晶フェライト磁性粒子を得る工程を含み、
    前記粒子にガラス成分を被着させた後に粒子の焼成を行うことにより、X線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ること、および、
    得られた焼成物表面からガラス成分を除去すること、
    を更に含む、六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
  2. 前記ガラス成分は、ケイ素化合物の加水分解物である請求項1に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
  3. 前記ケイ素化合物は、アルコキシシランである請求項に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
  4. 前記鉄塩は水酸化鉄であり、前記アルカリ土類金属塩はアルカリ土類金属の炭酸塩である請求項1〜のいずれか1項に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
  5. 前記粒子を含む溶液に前記ガラス成分の前駆体を添加し撹拌することにより、前記前駆体の加水分解物であるガラス成分を前記粒子に被着させることを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
  6. 前記前駆体を、前記溶液中に存在する鉄1モルに対して0.05〜0.4モル%の範囲の量で添加する請求項に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
  7. 前記ガラス成分を、アルカリにより溶解除去する請求項1〜のいずれか1項に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子。
  9. 粒子サイズが10〜20nmの範囲である請求項に記載の六方晶フェライト磁性粒子。
  10. 請求項またはに記載の六方晶フェライト磁性粒子からなる磁気記録用磁性体。
  11. 請求項またはに記載の六方晶フェライト磁性粒子と有機溶媒とを含む磁性塗料。
  12. 水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物を更に含む、請求項11に記載の磁性塗料。
  13. 結合剤を更に含む、請求項11または12に記載の磁性塗料。
  14. 磁気記録媒体の磁性層形成のために使用される、請求項1113のいずれか1項に記載の磁性塗料。
  15. 請求項1114のいずれか1項に記載の磁性塗料の製造方法であって、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法により六方晶フェライト磁性粒子を作製すること、
    作製した六方晶フェライト磁性粒子を水洗すること、および、
    前記水洗中または水洗後に、前記六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液に、水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物を添加し該化合物を前記六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させること、
    を含む、前記磁性塗料の製造方法。
  16. 前記化合物が被着した六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液を溶媒置換処理に付すことにより有機溶媒に溶媒置換することを更に含む、請求項15に記載の磁性塗料の製造方法。
  17. 非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記磁性層を、請求項14に記載の磁性塗料を用いて形成することを含む、前記磁気記録媒体の製造方法。
  18. 前記磁性塗料を、請求項15または16に記載の製造方法により作製することを含む、請求項17に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  19. 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含む磁気記録媒体であって、
    前記強磁性粉末は、請求項またはに記載の六方晶フェライト磁性粒子である磁気記録媒体。
  20. 請求項17または18に記載の方法によって得られた磁気記録媒体である、請求項19に記載の磁気記録媒体。
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