JP5762453B2 - 六方晶フェライト磁性粒子の製造方法およびこれにより得られた六方晶フェライト磁性粒子、ならびにそれらの利用 - Google Patents
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Description
更に本発明は、上記製造方法および六方晶フェライト磁性粒子の利用にも関するものである。
上記の点に関し、特許文献3には、共沈物をアルカリ土類金属化合物で被覆した後に焼成することにより、焼結を抑制することが提案されている。しかし本発明者の検討によれば、アルカリ土類金属化合物による焼結防止効果は必ずしも十分なものではない。高密度記録化を達成するためには、より効果的に焼結を防止する手段が求められる。
例えば、水酸化鉄と炭酸バリウムを含む粒子を焼成することによりバリウムフェライト磁性粒子を得ることができる。焼成中には、Fe(OH)2が酸化されFeOが生成し、BaCO3が分解しBaOとCO2が生成し、生成されたFeOとBaOによりバリウムフェライトが合成される。ただし、六方晶フェライトの合成において、粒子が完全にガラス成分に覆われた状態では、生成したCO2は反応系内に留まってしまう。これによりBaCO3からBaOを生成する反応の進行が妨げられることが、ヘマタイトの生成が優位に進行する理由と考えられる。他の鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を焼成する場合も同様に、アルカリ土類金属塩の分解反応の進行が妨げられることが、フェライト形成が妨げられる理由と推察される。また、六方晶フェライトの合成には酸素分圧依存性があることが知られており、粒子をガラス成分で完全に覆った場合、酸素が供給されなくなり、六方晶フェライトの合成が阻害されると推察される。
以上の知見に基づき本発明者は、鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子にガラス成分を被着させたうえで焼成し、焼成後にX線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ることにより、微粒子の六方晶フェライト磁性粒子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
[1]鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を焼成しフェライト化することにより六方晶フェライト磁性粒子を得る工程を含み、
前記粒子にガラス成分を被着させた後に粒子の焼成を行うことにより、X線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ること、および、
得られた焼成物表面からガラス成分を除去すること、
を更に含む、六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[2]鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を逆ミセル法または共沈法により調製する工程を更に含む、[1]に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[3]前記ガラス成分は、ケイ素化合物の加水分解物である[1]または[2]に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[4]前記ケイ素化合物は、アルコキシシランである[3]に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[5]前記鉄塩は水酸化鉄であり、前記アルカリ土類金属塩はアルカリ土類金属の炭酸塩である[1]〜[4]のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[6]前記粒子を含む溶液に前記ガラス成分の前駆体を添加し撹拌することにより、前記前駆体の加水分解物であるガラス成分を前記粒子に被着させることを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[7]前記前駆体を、前記溶液中に存在する鉄1モルに対して0.05〜0.4モル%の範囲の量で添加する[6]に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[8]前記ガラス成分を、アルカリにより溶解除去する[1]〜[7]のいずれかに記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子。
[10]粒子サイズが10〜20nmの範囲である[9]に記載の六方晶フェライト磁性粒子。
[11][9]または[10]に記載の六方晶フェライト磁性粒子からなる磁気記録用磁性体。
[12][9]または[10]に記載の六方晶フェライト磁性粒子と有機溶媒とを含む磁性塗料。
[13]水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物を更に含む、[12]に記載の磁性塗料。
[14]結合剤を更に含む、[12]または[13]に記載の磁性塗料。
[15]磁気記録媒体の磁性層形成のために使用される、[12]〜[14]のいずれかに記載の磁性塗料。
[16][13]〜[15]のいずれかに記載の磁性塗料の製造方法であって、
[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法により六方晶フェライト磁性粒子を作製すること、
作製した六方晶フェライト磁性粒子を水洗すること、および、
前記水洗中または水洗後に、前記六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液に、水系溶液中でアニオン基となる官能基を有する化合物を添加し該化合物を前記六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させること、
を含む、前記磁性塗料の製造方法。
[17]前記化合物が被着した六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液を溶媒置換処理に付すことにより有機溶媒に溶媒置換することを更に含む、[16]に記載の磁性塗料の製造方法。
[18]非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁性層を、[15]に記載の磁性塗料を用いて形成することを含む、前記磁気記録媒体の製造方法。
[19]前記磁性塗料を、[16]または[17]に記載の製造方法により作製することを含む、[18]に記載の磁気記録媒体の製造方法。
[20]非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含む磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末は、[9]または[10]に記載の六方晶フェライト磁性粒子である磁気記録媒体。
[21][18]または[19]に記載の方法によって得られた磁気記録媒体である、[20]に記載の磁気記録媒体。
先に説明したように、上記の本発明の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法によれば、焼成時の焼結を抑制することができ、これにより微粒子状の六方晶フェライト磁性粒子を得ることが可能となる。
以下、本発明の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法について、更に詳細に説明する。
一方、逆ミセル法では、フェライトを構成するために必要な金属元素の塩を溶解した水溶液に、界面活性剤および水と混ざり合わない有機溶媒を添加しW/Oエマルジョンを形成し、これにアルカリを加えて沈殿させることにより、鉄塩とアルカリ土類金属塩との共沈物を得る。逆ミセル法では、例えば界面活性剤と水との混合比により、共沈物の粒子サイズをコントロールすることができる。
上記水溶性塩としては、硝酸塩、塩化物等を挙げることができ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、等を挙げることができる。
共沈法、逆ミセル法はいずれも六方晶フェライトの製造方法として公知であり、本発明でも公知技術により、鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子(共沈物)を得ることができる。粒子中に含まれる鉄塩およびアルカリ土類金属塩の種類は、使用した水溶性塩の種類により定まるものである。例えば硝酸鉄(III)およびアルカリ土類金属の硝酸塩を使用することにより、鉄塩として水酸化鉄を、アルカリ土類金属塩として炭酸塩を含む共沈物を得ることができる。なおアルカリ土類金属としてバリウムを使用することによりバリウムフェライトを、ストロンチウムを使用することによりストロンチウムフェライトを、カルシウムを使用することによりカルシウムフェライトを得ることができる。
後述するように本発明では粒子にガラス成分を被着させる。アルカリ土類金属はガラスに取込まれやすいため、本発明では化学両論組成以上の量、例えば化学両論組成の1倍〜5倍の量のアルカリ土類金属を加えることが好ましく、化学両論組成の1.5倍〜4倍の量のアルカリ土類金属を加えることがより好ましい。
共沈法の詳細については、例えば特開2010−1171号公報段落[0043]〜[0050]および実施例1〜5、特公平4−32005号公報第4欄37行目〜第6欄31行目および実施例、逆ミセル法については特開平3−204909号公報の2頁左下欄3行目〜3頁左下欄12行目の記載および実施例、特開2007−91517号公報段落[0011]〜[0024]、[0027]〜[0030]および実施例、の記載を参照できる。
前述のように、焼成については、共沈法および逆ミセル法に関する公知技術を適用することができる。焼成後の粒子は、X線回折による分析において、主成分として六方晶フェライトが検出されるものである。なお主成分として六方晶フェライトが検出されるとは、X線回折スペクトルにおいて最大強度を示すピークが六方晶フェライトの結晶構造由来のピークであることをいう。
日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いて粒子を撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして粒子写真を得る。粒子写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースしカールツァイス製画像解析ソフトKS−400で粒子のサイズを測定する。粒子が集合した粉体については、500個の粒子のサイズを測定し、それら粒子サイズの平均値を粒子サイズ(平均粒子サイズ)とする。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状比という。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)という。
形状異方性は(2)、(3)、(1)の順に大きくなる。磁化容易軸を面内に配向させる場合には形状異方性を単純に大きくできる方を選択することが、微粒子化の観点から好ましい。一方、垂直記録用に磁化容易軸を面に対し垂直に配向する場合には、塗布等の流動配向の観点を加味すべきであるため、(2)、(1)、(3)の順に好ましくなっていく。
本発明の六方晶フェライト磁性粒子は、本発明の製造方法により得られたものであるため、例えば10〜20nmの範囲の粒子サイズの微粒子であることができる。このような微粒子磁性体は、磁気記録用磁性体として好適である。本発明の六方晶フェライト磁性粒子によれば、六方晶フェライト磁性粒子を結合剤および溶媒と混合し塗布液として支持体上に塗布することにより磁性層を形成することができる。したがって、本発明の六方晶フェライト磁性粒子は、塗布型磁気記録媒体への適用に好適である。
上記磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と本発明の磁性粒子および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する重層構成の磁気記録媒体であることもでき、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有する磁気記録媒体であることもできる。本発明の六方晶フェライト磁性粒子を用いて磁気記録媒体を製造するためには、磁気記録媒体に関する公知技術を適用することができる。また、後述の本発明の磁気記録媒体の製造方法に関する記載も参照できる。
本発明の磁性塗料は、磁性粒子として前述の製造方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子を含むものである。好ましくは、水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物も含むものである。なお本発明において「水系」とは、「水を含む」との意味で用いることとする。また、以下においては上記化合物を「分散剤」ともいう。
水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物は、有機溶媒系の磁性塗料中で六方晶フェライト磁性粒子の分散剤として機能することができる。これは、水系溶液中でアニオン性基となる官能基が磁性粒子表面に吸着することで、磁性粒子同士が凝集することを防ぐことができるからである。したがって、そのような化合物が本発明の磁性塗料に含まれることにより、前述の製造方法により得られた六方晶フェライトを、有機溶媒中に高度な分散状態で存在させることが可能となる。こうして得られた磁性塗料は、磁性粒子が高度に分散していることが望まれる塗布型磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液として好適である。本発明によれば微粒子状の六方晶フェライト磁性粒子を得ることができるので、得られた微粒子状六方晶フェライト磁性粒子を磁性塗料中に高度な分散状態で存在させることによって、超高密度記録用磁気記録媒体の磁性層形成用塗布液として好適な磁性塗料を得ることができる。
前述の本発明の製造方法により六方晶フェライト磁性粒子を作製すること、
作製した六方晶フェライト磁性粒子を水洗すること、および、
前記水洗中または水洗後に、前記六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液に、前記分散剤を添加し該分散剤を前記六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させること、
を含む、本発明の六方晶フェライト磁性粒子と、前記分散剤と、有機溶媒と、を含む磁性塗料の製造方法、
にも関する。
上記磁性塗料の製造方法は、前記分散剤が被着した六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液を溶媒置換処理に付すことにより有機溶媒に溶媒置換することを更に含むことが好ましい。
スルホン酸(塩)基[−S(=O)2OM];
硫酸(塩)基[−(O)−S(=O)2OM];
スルフィン酸(塩)基[−S(=O)OM];および
亜硫酸(塩)基[−(O)−S(=O)OM]、
が包含される。ここでスルホン酸(塩)基とは、スルホン酸基とそのアルカリ金属塩基を包含する意味で用いることとする。硫酸(塩)基等についても同様である。また、以下に記載のホスホン酸(塩)基等についても同様である。
ホスホン酸(塩)基[−P(=O)(OM)2];
ホスフィン酸(塩)基[−P(−H)(=O)(OM)];
リン酸(塩)基[−O−P(=O)(OM)2];および
亜リン酸(塩)基[−O−P(−H)(=O)(OM)]、
が包含される。
なお本発明において、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
前述のように、分散剤の水系溶液への溶解性が高いほど、多くの分散剤を磁性粒子表面に吸着させ磁性粒子の分散性を向上することができる。この点からは、一般式(II)中のR21〜R23の中で、前記硫黄系極性基またはこれを含む基以外は、置換基を有していてもよいアルキル基またはシクロアルキル基であることが好ましく、水酸基および/もしくはアルコキシル基によって置換されたアルキル基、またはシクロアルキル基であることがより好ましい。水酸基およびアルコキシル基によって置換されたアルキル基としては、これらによって置換された分岐アルキル基がより一層好ましい。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基がより一層好ましい。
また、分散性向上の観点から、前記カルボン酸(塩)基とともに水酸基を含む化合物も、分散剤として好ましい化合物である。
前記磁性層は、本発明の六方晶フェライト磁性粒子と結合剤を含む層である。磁性層の結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落[0029]〜[0031]を参照できる。また、上記樹脂とともにポリイソシアネート系硬化剤を使用することも可能である。
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。本発明では、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を形成することができる。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2010−24113号公報段落[0036]〜[0039]を参照できる。
前記方法で調製された磁性塗料は、非磁性層上に直接、または非磁性層等の他の層を介して非磁性支持体上に塗布される。これにより、非磁性支持体上に、必要に応じて非磁性層等の他の層を介して磁性層を有する磁気記録媒体を得ることができる。
これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。また、本発明に用いることのできる非磁性支持体の表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて中心平均粗さRa3〜10nmが好ましい。
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3〜80μmである。磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01〜0.15μmであり、好ましくは0.02〜0.12μmであり、さらに好ましくは0.03〜0.10μmである。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
本発明では、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を設けることもできる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
磁性層形成のための塗布液は、本発明の六方晶フェライト磁性粒子を使用する点以外、通常の磁性層形成用塗布液の調製方法と同様の方法で作製することができる。好ましくは、先に記載した本発明の磁性塗料の製造方法により、磁性層形成のための塗布液を作製することができる。
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための塗布液を製造する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる磁性粒子、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、分散剤、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。なお、前記分散剤は、磁性層形成用塗布液調製のための工程において、有機溶媒中に六方晶フェライト磁性粒子を含む溶液に添加することも可能である。また、本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液、非磁性層塗布液またはバックコート層塗布液を分散させるには、ガラスビーズやその他のビーズを用いることができる。このような分散メディアとしては、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。磁気記録媒体の製造方法の詳細については、例えば特開2010−24113号公報段落[0051]〜[0057]を参照できる。
ところで、前述の水系溶液への分散剤の添加、およびその後の溶媒置換処理を含む磁性塗料の製造方法は、磁性粒子が高度に分散した有機溶媒系の磁性塗料を得るための製造方法として広く適用可能な方法である。したがって、例えば、磁性粒子としてε−酸化鉄粒子を含む磁性塗料を製造するための製造方法としても好適なものである。ε−酸化鉄粉末は、結晶構造に由来する高い結晶磁気異方性を有し熱的安定性に優れるため、微細化しても磁気記録に適した優れた磁気特性を維持することができる。そのため近年、ε−酸化鉄粉末を磁気記録用途に使用することが提案されている(例えば、特開2008−60293号公報参照)。
他方、高密度記録用磁気記録媒体に求められる特性の1つとしては、磁性層が高い表面平滑性を有することが挙げられる。このためには強磁性粉末を高度に分散させることが重要である。しかし、従来のε−酸化鉄の主な用途であった永久磁石では、ε−酸化鉄を高度に分散させることは要求されていない。したがって、ε−酸化鉄を高密度記録用磁気記録媒体に適用可能にするほど高度に分散させるための分散技術については、十分な検討がなされていなかった。
これに対し前述の水系溶液への分散剤の添加およびその後の溶媒置換処理を含む磁性塗料の製造方法によれば、ε−磁性粒子を高度に分散させることができる。
以下に、一例として、逆ミセル法によるε−酸化鉄の調製方法について説明する。
(1)ε−酸化鉄の前駆体である鉄塩粒子(以下、「前駆体粒子」ともいう。)の作製工程;
(2)好ましくはゾル−ゲル法による、焼結防止剤による前駆体粒子の被覆工程;
(3)焼結防止剤に被覆された前駆体粒子の加熱焼成工程;
(4)加熱焼成により前駆体粒子が転換することで得られたε−酸化鉄の粒子表面からの焼結防止剤の除去工程、
を含むことができる。
ε−酸化鉄粒子と、前記分散剤と、有機溶媒と、を含む磁性塗料;
ε−酸化鉄粒子を含む水系溶液に、水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物を添加し該化合物をε−酸化鉄粒子表面に被着させること、
を含み、好ましくは、
前記化合物が被着したε−酸化鉄粒子を含む水溶液を溶媒置換処理に付すことにより有機溶媒に溶媒置換すること、
を含む、前記磁性塗料の製造方法;
非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁性層を、前記したε−酸化鉄粒子含有磁性塗料を用いて形成するか、または、
前記した製造方法によりε−酸化鉄粒子含有磁性塗料を作製し、作製した磁性塗料を用いて磁性層を形成することを含む磁気記録媒体の製造方法;
およびこの製造方法により得られた磁気記録媒体;
が包含される。参考態様については、特記しない限り、本発明に関する前述の記載を適用することができる。
〔手順1:ミセル溶液の作製〕
ミセル溶液Iおよびミセル溶液IIを、以下の方法で作製した。
(1)ミセル溶液Iの作製
硝酸鉄(III)9水和物10.46g、硝酸バリウム0.846g、臭化セチルトリメチルアンモニウム123.7gに純水207.9gを添加した後、n−オクタン439.8g、1−ブタノール101.2gを添加し撹拌し溶解した。
(2)ミセル溶液IIの作製
臭化セチルトリメチルアンモニウム247.5gに10%アンモニア水178.5g、純水255.2gを添加した後、n−オクタン879.6g、1−ブタノール202.3gを添加し撹拌し溶解した。
ミセル溶液Iと混合する10分前にミセル溶液IIに炭酸ナトリウム8.2gを添加し撹拌しながら、撹拌したミセル溶液Iを滴下した。滴下終了後、混合液を30分間撹拌し続けた。
手順2で得られた混合液中には、水酸化鉄Fe(OH)2と炭酸バリウムBaCO3との共沈物が含まれている。上記ミセル溶液にはアンモニアが過剰量含まれていること、および水酸化鉄の溶解度は比較的低いことから、ミセル溶液に含まれていた鉄は、すべて共沈物に取り込まれていると考えられる。
当該混合液を撹拌しながら、テトラエトキシシラン(TEOS)を表1記載の量で加えた。約1日そのまま、撹拌し続けた。これにより、TEOSが加水分解し、混合液中の共沈物表面にシリカが被着する。
手順3で得られた溶液を分液ロートに入れ、純水、エタノールの1:1混合液を200ml加え、静置し、赤褐色の部分とそれ以外の部分に分かれるのを待ち、赤褐色の部分以外を捨てた。この操作を3回繰返した後、遠心分離機にセットして遠心分離処理した。
以上の処理で得られた沈殿物を回収した。回収された沈殿物をクロロホルムとエタノールの混合溶液を用いて再分散し、遠心分離を行い得られた沈殿物を回収した。
手順4で得られた沈殿物を風乾により乾燥した後、乳鉢で粉砕した。その後、アルバック理工製イメージ炉で1L/minで酸素を送りながら炉内温度を800℃として2分間、熱処理を施した。
手順5で得られた焼成物(熱処理粉)を3モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液中で24時間撹拌し、粒子表面のシリカの除去処理を行った。次いで、遠心分離処理し沈殿物を回収して純水で再分散し遠心分離処理をすることで洗浄を行い、その後、風乾により乾燥した。
(1)X線回折分析
実施例、比較例について、手順6により得られた粒子の粉末X線回折分析を、PANalytical社製X’Pert PRO(線源CuKα線、電圧45kV、電流40mA)により行った。
(2)磁気特性
上記(1)において主成分としてバリウムフェライトが検出された粒子の磁気特性を、玉川製作所製超電導振動式磁力計VSM(外部磁場3T)より測定した。
(3)粒子サイズ測定
上記(1)において主成分としてバリウムフェライトが検出された粒子の粒子サイズを、透過型電子顕微鏡により前述の方法で測定した。
表1に示すように、実施例1および2では、微粒子状のバリウムフェライト磁性粒子を得ることができた。
これに対しガラス成分を被着させずに共沈物を焼成した比較例1では、焼成中に粒子が焼結し微粒子状のバリウムフェライト磁性粒子を得ることはできなかった。
また、比較例2〜4では焼成後の粒子は、主成分としてヘマタイトが検出された。これはガラス成分により共沈物が完全に被覆された状態で焼成を行ったため、バリウムフェライトの形成よりもヘマタイトの形成が優位に進行したためと考えられる。
(1)実施例2の手順1〜5を経て得られた焼成物(熱処理粉)1gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液25ccの中に入れ、70℃の温度で超音波をかけながら4時間超音波処理し、その後、一昼夜撹拌した。
その後、水洗および遠心分離を繰返し、上澄み液のpHが8未満になるまで洗浄を行った。
(2)洗浄後の水溶液に、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)の1%水溶液20ccを添加し超音波を照射した後、遠心分離を行い、上澄みを捨てた。
その後、メチルエチルケトン(MEK)を20cc加え超音波照射後遠心分離を行うことを2回繰返した。
(3)次いで、MEKを含んだ状態で、六方晶フェライト磁性粒子量が250mgになるよう秤量した液に、分散ビーズ(ニッカトー株式会社製YTZボールφ0.05mm)2.5g、AOT15mg、ポリウレタン樹脂35mg、MEK 397mg、シクロヘキサノン265mgを添加し、タイテック株式会社製卓上小型振とう機 Mix−EVRを用いて、水平偏芯振動にて2500r/minで21時間分散処理し、液中平均粒子径測定用の分散液を得た。
(4)上記(3)とは別に、MEKを含んだ状態で、六方晶フェライト磁性粒子量が250mgになるよう秤量した液に、カーボンブラック(粒子サイズ:20nm)2.5mg、AOT15mg、ポリウレタン樹脂35mg、MEK 397mg、シクロヘキサノン265mgを添加し、上記3.と同様の分散処理を行い、磁性シート作製用の分散液を得た。
得られた分散液を、帝人社製PENベース上に1milのドクターブレードを用いて塗布し、室温30分放置させて乾燥し塗膜を作製した。
実施例3の上記(2)においてMEKを加える前に磁性粒子を一旦乾燥させた点以外は、実施例3と同様の操作を行った。
(1)実施例2の手順1〜5を経て得られた焼成物(熱処理粉)1gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液25ccの中に入れ、70℃の温度で超音波をかけながら4時間超音波処理し、その後、一昼夜撹拌した。
その後、水洗および遠心分離を繰返し、上澄み液のpHが8未満になるまで洗浄を行った後、磁性粒子を乾燥させた。
(2)乾燥粉を250mgになるよう秤量し、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)の1%水溶液20ccに添加し超音波を照射した後、遠心分離を行い、上澄みを捨てた。
その後、メチルエチルケトン(MEK)を20cc加え超音波照射後遠心分離を行うことを2回繰返した。
(3)その後、実施例3と同様の操作を行い分散液を得た。
実施例5の上記(2)においてAOTを使用しなかった点および分散液調製時にAOTを添加しなかった点以外は、実施例5と同様の操作を行い分散液を得た。
(1)液中平均粒子径の測定
実施例3〜6で得られた液中平均粒子径測定用の分散液を、シクロヘキサノンとメチルエチルケトンを体積比でメチルエチルケトン:シクロヘキサノン=6:4の割合で含む混合溶媒で固形分濃度0.2質量%となるように希釈した。
HORRIBA社製動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500を用いて測定した上記希釈液中の算術平均粒子径を、表2に示す。ここで測定される算術平均粒子径が小さいほど、磁性粒子が凝集せず分散性が良好であることを意味する。
(2)保磁力の測定
上記塗布膜の保磁力を、玉川製作所製超電導振動式磁力計(VSM)を使用し、印加磁場3184kA/m(40kOe)の条件で評価した。
(3)塗膜Raの測定
実施例3〜6で作製した塗膜の表面粗さを、以下の方法で測定した。
ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置ZYGO Newview5022により走査型白色光干渉法にて、Scan Lengthを5μmとして、上記塗膜の表面粗さを測定した。対物レンズ:20倍、中間レンズ:1.0倍、測定視野は260μm×350μmとした。測定した表面をHPF:1.65μm、LPF:50μmのフィルター処理して、中心線平均表面粗さRa値を求めた。
表2に示す結果から、前記分散剤の使用によって、磁性塗料中で六方晶フェライト磁性粒子を高度な分散状態で存在させることができること、および表面平滑性に優れる塗膜を形成可能な磁性塗料が得られること、が確認できる。こうして得られた磁性塗料を用いることで、微粒子状の六方晶フェライト磁性粒子が高度に分散された磁性層を形成することができ、これにより高密度記録に好適な磁気記録媒体を得ることが可能となる。
なお分散剤を用いた実施例3〜5の中で、実施例3が分散性に関して最も良好な結果を示した理由は、乾燥処理を経ずに溶媒置換を行ったことにあると考えられる。また、実施例4と実施例5との比較において、実施例4が分散性に関して良好な結果を示した理由は、乾燥処理の前に分散剤による処理を行ったことにあると考えらえる。
(1)ε−酸化鉄粒子の合成
〔手順1:ミセル溶液の作製〕
ミセル溶液Iおよびミセル溶液IIの2種類のミセル溶液を、以下の方法で作製し た。
(1)ミセル溶液Iの作製
硝酸鉄(III)9水和物8.37g、硝酸アルミニウム1.94g、臭化セチルトリメチルアンモニウム123.7gに純水207.9gを添加した後、n−オクタン439.8g、1−ブタノール101.2gを添加し撹拌し溶解した。
(2)ミセル溶液IIの作製
臭化セチルトリメチルアンモニウム123.7gに10%アンモニア水178.5g、n−オクタン439.8g、1−ブタノール101.2を添加し撹拌し溶解した。
ミセル溶液Iにミセル溶液IIを撹拌しながら滴下した。滴下終了後、混合液を30分間撹拌し続けた。
手順2で得られた混合液には、前駆体粒子である水酸化鉄Fe(OH)2が析出している。当該混合液を撹拌しながら、当該混合液にテトラエトキシシラン(TEOS)を48.9g加えた。約1日そのまま、撹拌し続けた。これにより、TEOSが加水分解し、混合液中の前駆体粒子表面にシリカが被着する。
手順3で得られた溶液を分液ロートに入れ、純水、エタノールの1:1混合液を200ml加え、静置し、赤褐色の部分とそれ以外の部分に分かれるのを待ち、赤褐色の部分以外を捨てた。この操作を3回繰返した後、遠心分離機にセットして遠心分離処理した。この処理で得られた沈殿物を回収した。回収された沈殿物をクロロホルムとエタノールの混合溶液を用いて再分散し、遠心分離を行い得られた沈殿物を回収した。
手順4で得られた沈殿物を風乾により乾燥した後、乳鉢で粉砕した。その後、アルバック理工製イメージ炉で1L/minで空気を送りながら炉内温度を1000℃として2時間加熱処理を施した。これにより、焼結防止剤であるシリカが付着したε−酸化鉄粒子が得られる。
手順5により得られたシリカ付着したε−酸化鉄粒子1gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液25ccの中に入れ、70℃の温度で超音波をかけながら4時間処理し、その後、一昼夜撹拌した。こうして、ε−酸化鉄粒子表面からシリカを除去した。
その後、水洗および遠心分離を繰返し、上澄み液のpHが8未満になるまで洗浄を行った。
その後、メチルエチルケトン(MEK)を20cc加え超音波照射後遠心分離を行うことを2回繰返した。
(3)次いで、MEKを含んだ状態で、六方晶フェライト磁性粒子量が250mgになるよう秤量した液に、分散ビーズ(ニッカトー株式会社製YTZボールφ0.05mm)2.5g、AOT15mg、ポリウレタン樹脂35mg、MEK 397mg、シクロヘキサノン265mgを添加し、タイテック株式会社製卓上小型振とう機 Mix−EVRを用いて、水平偏芯振動にて2500r/minで21時間分散処理し、液中平均粒子径測定用の分散液を得た。
(4)上記(3)とは別に、MEKを含んだ状態で、六方晶フェライト磁性粒子量が250mgになるよう秤量した液に、カーボンブラック(粒子サイズ:20nm)2.5mg、AOT15mg、ポリウレタン樹脂35mg、MEK 397mg、シクロヘキサノン265mgを添加し、上記3.と同様の分散処理を行い、磁性シート作製用の分散液を得た。
得られた分散液を、帝人社製PENベース上に1milのドクターブレードを用いて塗布し、室温30分放置させて乾燥し塗膜を作製した。
参考例1の上記(2)においてMEKを加える前に磁性粒子を一旦乾燥させた点以外は、実施例3と同様の操作を行った。
(1)参考例1の手順1〜5を経て得られた焼成物(熱処理粉)1gを5Nの水酸化ナトリウム水溶液25ccの中に入れ、70℃の温度で超音波をかけながら4時間超音波処理し、その後、一昼夜撹拌した。
その後、水洗および遠心分離を繰返し、上澄み液のpHが8未満になるまで洗浄を行った後、磁性粒子を乾燥させた。
(2)乾燥粉を250mgになるよう秤量し、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)の1%水溶液20ccに添加し超音波を照射した後、遠心分離を行い、上澄みを捨てた。
その後、メチルエチルケトン(MEK)を20cc加え超音波照射後遠心分離を行うことを2回繰返した。
(3)その後、参考例1と同様の操作を行い分散液を得た。
参考例3の上記(2)においてAOTを使用しなかった点および分散液調製時にAOTを添加しなかった点以外は、参考例3と同様の操作を行い分散液を得た。
参考例1〜4について、実施例3〜6と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Claims (20)
- 鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を逆ミセル法または共沈法により調製する工程、ならびに、
調製した鉄塩およびアルカリ土類金属塩を含む粒子を焼成しフェライト化することにより六方晶フェライト磁性粒子を得る工程を含み、
前記粒子にガラス成分を被着させた後に粒子の焼成を行うことにより、X線回折による分析において主成分として六方晶フェライトが検出される焼成物を得ること、および、
得られた焼成物表面からガラス成分を除去すること、
を更に含む、六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。 - 前記ガラス成分は、ケイ素化合物の加水分解物である請求項1に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
- 前記ケイ素化合物は、アルコキシシランである請求項2に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
- 前記鉄塩は水酸化鉄であり、前記アルカリ土類金属塩はアルカリ土類金属の炭酸塩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
- 前記粒子を含む溶液に前記ガラス成分の前駆体を添加し撹拌することにより、前記前駆体の加水分解物であるガラス成分を前記粒子に被着させることを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
- 前記前駆体を、前記溶液中に存在する鉄1モルに対して0.05〜0.4モル%の範囲の量で添加する請求項5に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
- 前記ガラス成分を、アルカリにより溶解除去する請求項1〜6のいずれか1項に記載の六方晶フェライト磁性粒子の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られた六方晶フェライト磁性粒子。
- 粒子サイズが10〜20nmの範囲である請求項8に記載の六方晶フェライト磁性粒子。
- 請求項8または9に記載の六方晶フェライト磁性粒子からなる磁気記録用磁性体。
- 請求項8または9に記載の六方晶フェライト磁性粒子と有機溶媒とを含む磁性塗料。
- 水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物を更に含む、請求項11に記載の磁性塗料。
- 結合剤を更に含む、請求項11または12に記載の磁性塗料。
- 磁気記録媒体の磁性層形成のために使用される、請求項11〜13のいずれか1項に記載の磁性塗料。
- 請求項11〜14のいずれか1項に記載の磁性塗料の製造方法であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により六方晶フェライト磁性粒子を作製すること、
作製した六方晶フェライト磁性粒子を水洗すること、および、
前記水洗中または水洗後に、前記六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液に、水系溶液中でアニオン性基となる官能基を有する化合物を添加し該化合物を前記六方晶フェライト磁性粒子表面に被着させること、
を含む、前記磁性塗料の製造方法。 - 前記化合物が被着した六方晶フェライト磁性粒子を含む水系溶液を溶媒置換処理に付すことにより有機溶媒に溶媒置換することを更に含む、請求項15に記載の磁性塗料の製造方法。
- 非磁性支持体上に、強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記磁性層を、請求項14に記載の磁性塗料を用いて形成することを含む、前記磁気記録媒体の製造方法。 - 前記磁性塗料を、請求項15または16に記載の製造方法により作製することを含む、請求項17に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを含む磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末は、請求項8または9に記載の六方晶フェライト磁性粒子である磁気記録媒体。 - 請求項17または18に記載の方法によって得られた磁気記録媒体である、請求項19に記載の磁気記録媒体。
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