JP4001546B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布型の磁気記録媒体に関する。特に本発明は、薄層磁性層と非磁性層とを有する高密度記録に適した磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録媒体は、高密度化と共に記録波長が短くなる傾向にあり、厚い磁性層を有する磁気記録媒体における出力低下に起因した記録時の自己減磁損失と再生時の厚み損失とが大きな問題となっている。これまでに磁性層の薄層化が盛んに行われているが、2μm以下の磁性層を直接支持体上に形成すると、磁性層表面に非磁性支持体の影響が表れやすくなり、電磁変換特性やドロップアウトの悪化する傾向がみられていた。
【0003】
このような状況に対し、最近では更に記録密度を高めるために、トラック幅を一段と狭くした記録再生システムが開発されている。これに対応して高感度の磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)を使用した再生システムも提案され、ハードディスク等で実現されている。
【0004】
しかし、既存の磁気記録媒体は、出力は充分高いが高ノイズであるため、MRヘッドを使用する場合には、必ずしも良好なS/Nを得ることができなかった。
以下にその例を示す(下記、特許文献1〜3参照)。
【0005】
例えば、特許文献1には、非磁性支持体上に高分子樹脂と非磁性粒子を主成分とするダミー層を設け、該ダミー層の表面をカレンダ処理して平滑化した後に、前記ダミー層上に磁性層を形成することで、良好な磁性層表面特性を得て、再生出力が高く、かつ低ノイズの磁気記録媒体が得られる旨が開示されている。しかし、この方法により得られた磁気記録媒体は、磁性層の表面粗さが0.01〜0.015μmと大きい値を示していたため、高密度記録用として必要なS/Nを確保できなかった。さらに、この磁気記録媒体は、静電気が溜まりやすい構造であったため、MRヘッド記録再生時に静電破壊を受けやすいという問題があった。
【0006】
特許文献2には、非磁性支持体上に放射線硬化樹脂を設け、表面粗さ0.005μm以下に平滑化することで、ビデオ感度、C/Nが良好な磁気記録媒体が得られる旨が開示されている。しかし、この磁気記録媒体では、強磁性粉末として使用される粒子サイズが0.4μmと大きく、かつ磁性層厚も4μmと非常に厚いため、高密度記録媒体としては十分な電磁変換特性が得られないという問題がある。
【0007】
さらに、特許文献3は、支持体上に電子線硬化型樹脂を含有する非磁性層、平均長軸長が0.03〜0.08μm、飽和磁化が100〜130A・m2/kgの金属強磁性粉末を含み、かつ磁性層表面の表面粗さRaが5nm以下である磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、優れた電磁変換特性を有し、MRヘッドによる再生に適した磁気記録媒体を開示する。この磁気記録媒体は、電子線硬化樹脂を含む非磁性層を非磁性支持体上に設けることにより非磁性支持体の表面粗さを緩和できるという利点を有する。
【0008】
しかしながら、特許文献3の磁気記録媒体における非磁性層には、電子線硬化型樹脂の他に、非磁性粉末及び結合剤も含まれていたため、非磁性層用塗布液がある程度の粘性を有し、非磁性支持体上に存在する微小突起を十分マスキングできないとう問題があった。特に磁気抵抗型磁気ヘッド(以下、MRヘッドという。)を使用した場合、これら微小突起とMRヘッドが衝突して発生するサーマルアスペリティが問題となっていた。すなわち、高密度記録化に伴い、MRヘッドを磁気ヘッドとして使用する磁気記録媒体においては、従来、問題とならなかった直径が小さく、高さも低い突起の影響が顕著となっていた。このため、特許文献3の磁気記録媒体では、充分な電磁変換特性は得られないという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平3−214422号公報(請求項1、第4頁右下欄第7〜第20行目、第7頁左欄第5表)
【特許文献2】
特公平5−57647号公報(請求項1、第4頁第7欄第15行目、第8欄第7行目、第5頁第10欄第15〜20行目)
【特許文献3】
特開2001−195722号公報(請求項1、第13頁第24欄第2〜7行目)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、高密度磁気記録においても充分なS/Nを確保でき、かつMRヘッドを使用した記録再生においてもサーマルアスペリティの少ない磁気記録媒体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、塗布型の磁気記録媒体において、磁性層上の表面状態を改善すべく鋭意検討を重ねた結果、高S/Nが確保でき、しかもMRヘッド記録再生時におけるサーマルアスペリティの少ない磁気記録媒体の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の目的は、以下の磁気記録媒体により達成される。
(1)非磁性支持体上に、放射線硬化型樹脂を含む下塗層と、非磁性粉末及び結合剤を含む非磁性層と、強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、前記下塗層が、脂環式環状構造を有し、かつ1分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する前記放射線硬化型樹脂を放射線硬化して得られたものであり、前記磁性層が0.01〜0.2μmの厚みを有し、電子線マイクロアナリシスにより得られる前記強磁性粉末に起因する元素の平均強度aと、この平均強度aの標準偏差bとが0.03≦b/a≦0.4の関係を満たし、かつ前記磁性層の表面が原子間力顕微鏡(AFM)により測定される高さ10〜20nmの突起数を100μm2当たり5〜1000個有していることを特徴とする磁気記録媒体。
(2)前記脂環式環状構造がビシクロ環構造、トリシクロ環構造、スピロ環構造、及びジスピロ環構造の群から選ばれるいずれか一つである(1)に記載の磁気記録媒体。
(3)前記放射線硬化型樹脂の分子量が200〜1000である(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体。
(4)前記放射線硬化型樹脂が、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールビシクロオクタンジアクリレート及びジメチロールスピロオクタンジアクリレートの群から選ばれる少なくともいずれか一つである(1)〜(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(5)前記放射線硬化官能基が2個のアクリロイル基である(1)〜(4)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
)前記下塗層の厚みが0.3〜1.0μmである(1)〜()のいずれかに記載の磁気記録媒体。
)磁性層に磁気記録された信号をMRヘッドで再生する磁気記録再生システムで用いるための(1)〜()のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の磁気記録媒体における実施の態様について詳細に説明する。
[下塗層]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に放射線硬化型樹脂を含む下塗層を有する。
放射線硬化型樹脂は、放射線、例えば、電子線、紫外線などによるエネルギーが与えられると重合又は架橋反応により高分子化し、かつ硬化する反面、これらのエネルギーが与えられない限り重合又は架橋反応が進まないという性質を有する樹脂である。そのため、放射線硬化型樹脂を含む塗布液は、放射線を照射しない限り粘度が安定しており、高い塗膜平滑性が得られる。さらに放射線硬化型樹脂は、放射線による高いエネルギーにより瞬時に反応が進むため、高い塗膜強度も得られる。
【0014】
放射線硬化型樹脂は、一般に数mPa・s〜200mPa・sという比較的低粘度の樹脂である。したがって、放射線硬化型樹脂を含む下塗層用塗料を非磁性支持体上に塗布することにより、レベリング効果により非磁性支持体上の微小突起を遮蔽し、平滑な表面を有する非磁性支持体を得ることができる。そして、その下塗層上に非磁性層用塗料、磁性層用塗料の順に塗布することにより、優れた平滑性を有する磁性層が得られ、ひいては優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体が得られる。特に、この効果は、磁性層の厚みが2.0μm以下の比較的薄い場合に顕著であり、MRヘッドを用いた磁気記録においてノイズとなりやすい磁性層表面の微小突起を有効に低減できる。
【0015】
放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等を挙げることができる。中でもアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類が好ましい。
【0016】
本発明で用いられる放射線硬化型樹脂は、上記の放射線硬化型樹脂の構造中に脂環式環状構造を有する。このため、従来の脂肪族系の放射線硬化型樹脂と比較してガラス転移温度が高く、かつ下塗層用塗料の塗布後の工程において粘着故障が発生しないという優れた特徴を有する。すなわち、本発明で用いられる放射線硬化型樹脂は、シクロヘキサン環等の脂環式環状骨格を有するため、放射線硬化による塗膜収縮が少なく、かつ非磁性支持体と密着力の高い硬化樹脂が得られるため、優れた走行耐久性が得られる。
【0017】
上記脂環式環状構造としては、例えば、シクロ骨格、ビシクロ骨格、トリシクロ骨格、スピロ骨格、ジスピロ骨格等の環状骨格を有するものが挙げられる。中でも原子を共有する複数の環からなる骨格を有するもの、例えば、ビシクロ骨格、トリシクロ骨格、スピロ骨格、ジスピロ骨格等の骨格を有するものが好ましい。これら骨格としては、エステル類、アミド類等の放射線硬化型樹脂を形成するためのポリオール、ポリアミン等の残基となるものが挙げられる。放射線硬化型樹脂は、その残基に放射線硬化官能基を各々結合してなるものである。
【0018】
本発明で用いられる放射線硬化型樹脂は、上記脂環式環状構造に加え、1分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する。放射線硬化官能基は、例えば、メタクロイル基、アクリロイル基など挙げることができ、中でもアクリロイル基が好ましい。また、放射線官能基の数は、2個以上であれば制限はないが、3個であることが好ましく、4個であることがさらに好ましい。本発明では特に2個のアクリロイル基を有することが好ましい。
【0019】
本発明で用いられる放射線硬化型樹脂の分子量は、200〜1000であることが好ましく、200〜500であることがさらに好ましい。また、本発明で用いられる放射線硬化型樹脂の粘度は、25℃で5〜200mPa・sであることが好ましく、5〜100mPa・sであることがさらに好ましい。
【0020】
本発明で用いられる放射線硬化型樹脂の具体例としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
シクロプロパンジアクリレート、シクロペンタンジアクリレート、シクロヘキサンジアクリレート、シクロブタンジアクリレート、ジメチロールシクロプロパンジアクリレート、ジメチロールシクロペンタンジアクリレート、ジメチロールシクロヘキサンジアクリレート、ジメチロールシクロブタンジアクリレート、シクロプロパンジメタクリレート、シクロペンタンジメタクリレート、シクロヘキサンジメタクリレート、シクロブタンジメタクリレート、ジメチロールシクロプロパンジメタクリレート、ジメチロールシクロペンタンジメタクリレート、ジメチロールシクロヘキサンジメタクリレート、ジメチロールシクロブタンジメタクリレート;ビシクロブタンジアクリレート、ビシクロオクタンジアクリレート、ビシクロノナンジアクリレート、ビシクロウンデカンジアクリレート、ジメチロールビシクロブタンジアクリレート、ジメチロールビシクロオクタンジアクリレート、ジメチロールビシクロノナンジアクリレート、ジメチロールビシクロウンデカンジアクリレート、ビシクロブタンジメタクリレート、ビシクロオクタンジメタクリレート、ビシクロノナンジメタクリレート、ビシクロウンデカンジメタクリレート、ジメチロールビシクロブタンジメタクリレート、ジメチロールビシクロオクタンジメタクリレート、ジメチロールビシクロノナンジメタクリレート、ジメチロールビシクロウンデカンジメタクリレート;トリシクロヘプタンジアクリレート、トリシクロデカンジアクリレート、トリシクロドデカンジアクリレート、トリシクロウンデカンジアクリレート、トリシクロテトラデカンジアクリレート、トリシクロデカントリデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロヘプタンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロドデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロウンデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロテトラデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカントリデカンジアクリレート、トリシクロヘプタンジジメタクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロドデカンジメタクリレート、トリシクロウンデカンジメタクリレート、トリシクロテトラデカンジメタクリレート、トリシクロデカントリデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロヘプタンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロドデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロウンデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロテトラデカンジメタクリレート、ジメチロールトリシクロデカントリデカンジメタクリレート、 スピロオクタンジアクリレート、スピロヘプタンジアクリレート、スピロデカンジアクリレート、シクロペンタンスピロシクロブタンジアクリレート、シクロヘキサンスピロシクロペンタンジアクリレート、スピロビシクロヘキサンジアクリレート、ジスピロヘプタデカンジアクリレート、ジメチロールスピロオクタンジアクリレート、ジメチロールスピロヘプタンジアクリレート、ジメチロールスピロデカンジアクリレート、ジメチロールシクロペンタンスピロシクロブタンジアクリレート、ジメチロールシクロヘキサンスピロシクロペンタンジアクリレート、ジメチロールスピロビシクロヘキサンジアクリレート、ジメチロールジスピロヘプタデカンジアクリレート、スピロオクタンジメタクリレート、スピロヘプタンジメタクリレート、スピロデカンジメタクリレート、シクロペンタンスピロシクロブタンジメタクリレート、シクロヘキサンスピロシクロペンタンジメタクリレート、スピロビシクロヘキサンジメタクリレート、ジスピロヘプタデカンジメタクリレート、ジメチロールスピロオクタンジメタクリレート、ジメチロールスピロヘプタンジメタクリレート、ジメチロールスピロデカンジメタクリレート、ジメチロールシクロペンタンスピロシクロブタンジメタクリレート、ジメチロールシクロヘキサンスピロシクロペンタンジメタクリレート、ジメチロールスピロビシクロヘキサンジメタクリレート、ジメチロールジスピロヘプタデカンジメタクリレート。
【0021】
中でもジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールビシクロオクタンジアクリレート、ジメチロールスピロオクタンジアクリレートが好ましく、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートが特に好ましい。
【0022】
市販されている具体的な放射線硬化型樹脂としては、例えば、日本化薬製KAYARAD R−684、共栄社化学製ライトアクリレートDCP−A、大日本インキ製LUMICURE DCA−200などが挙げられる。
【0023】
本発明の下塗層では、上記の放射線硬化型樹脂に加えて、さらに放射線硬化型化合物を併用することもできる。併用可能な放射線硬化型化合物としては、例えば、1官能のアクリレート化合物やメタクリレート化合物などが挙げられ、これらを反応性希釈剤として用いることができる。反応性希釈剤は、下塗層用塗料の物性や硬化反応を調整する機能を有する。
【0024】
併用可能な放射線硬化型化合物の好ましい構造は、本発明で用いられる放射線硬化型樹脂の構造において、1分子中に放射線硬化官能基を1個有する1官能基アクリレート化合物が挙げられる。その具体例としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートは、メタクリレート及びアクリレートを包含する意味で用いられる。
【0025】
併用可能な放射線硬化型化合物の含有量は、本発明で用いられる放射線硬化型樹脂100質量部に対して10〜100質量部、好ましくは、20〜50質量部であることが好ましい。
【0026】
本発明で用いられる放射線硬化型樹脂が含まれる下塗層用塗料は、必要に応じて溶媒に溶解して用いることができる。そのような溶媒として、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、エタノール、トルエン等を用いることが好ましい。
【0027】
上記の下塗層用塗料は、非磁性支持体上に塗布され、乾燥後に放射線が照射され硬化するが、硬化後の下塗層のガラス転移温度(Tg)は、80〜150℃であることが好ましく、さらに好ましくは100〜130℃である。Tgが80℃以上であれば、塗布工程で粘着故障を起こさず、またTgが150℃以下であれば塗膜が脆くなることはない。
【0028】
本発明における下塗層は、上記の放射線硬化型樹脂を含む下塗層用塗料を非磁性支持体上に塗布した後、放射線を照射して硬化して得られる。放射線照射により放射線硬化型樹脂の重合又は架橋反応が進み、下塗層は高い塗膜強度が得られる。
本発明において使用される放射線は、上記したように電子線や紫外線であることができる。紫外線を使用する場合には下塗層用塗料に光重合開始剤を添加することが必要となる。電子線硬化の場合、重合開始剤は不要であり、透過深さも深いので好ましい。
【0029】
電子線加速器としては、スキャニング方式、ダブルスキャニング方式あるいはカーテンビーム方式が採用できる。好ましくは、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が通常、30〜1000kV、好ましくは50〜300kVであり、吸収線量として通常、0.5〜20Mrad、好ましくは2〜10Mradである。加速電圧が30kV以上であれば、エネルギーの透過量としては充分であり、300kV以下であれば、重合に用いられるエネルギー効率が低下して不経済となることはない。
【0030】
電子線を照射する雰囲気は、窒素パージにより酸素濃度を200ppm以下にすることが好ましい。酸素濃度200ppm以下であれば、放射線硬化型樹脂の表面近傍における架橋、硬化反応が阻害されることはない。
【0031】
紫外線光源としては、水銀灯が用いられる。水銀灯は20〜240W/cmのランプを用い、速度0.3〜20m/分で使用される。基体と水銀灯との距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。
【0032】
紫外線硬化を行う場合、使用される光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤を挙げられる。詳細は、例えば「新高分子実験学第2巻 第6章 光・放射線重合」(共立出版1995発行、高分子学会編)記載されているものを使用できる。具体例としては、アセトフエノン、ベンゾフエノン、アントラキノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフエニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフエニルケトン、2−2ジエトキシアセトフエノンなどがある。
【0033】
光重合開始剤の含有量は、本発明で用いられる放射線硬化型樹脂100質量部に対し通常、0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。
【0034】
放射線硬化装置、条件などについては「UV・EB硬化技術」((株)総合技術センター発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
【0035】
[磁性層]
本発明において磁性層は、0.2μm以下の厚みを有する。磁性層の厚みは、好ましくは0.01〜0.15μmであり、さらに好ましくは0.01〜0.1μmである。磁性層の厚みを0.2μm以下とすることで、自己減磁損失が小さく出力を向上することができ、かつ良好なオーバーライト特性(以下「PW50」ともいう)が得られ、高密度記録に有利となる。また、磁性層の厚みが0.2μm以下であれば、表面電気抵抗が高くなり、MRヘッドが静電破壊されることはない。
【0036】
本発明において磁性層は、電子線マイクロアナリシスによる強磁性粉末に起因する元素の平均強度aと、この平均強度の標準偏差bとが0.03≦b/a≦0.4の関係を満足するものである。
電子線マイクロアナリシス(EPMA)は、磁性層内の各領域における強磁性粉末の充填度の分布、すなわち、強磁性粉末の充填性を強磁性粉末に起因する平均強度aと該強度の標準偏差bとを用いて評価することができる。b/a値は、充填性の不均一性の尺度であり、その値が小さいほど、強磁性粉末の凝集、非磁性層−磁性層間の界面変動や界面の流れ等による充填性の不均一性が少ないことを示す。
【0037】
本発明の磁気記録媒体では、強磁性粉末のサイズ等を制御することで、EPMAで評価したb/a値が所定の範囲になるように調整できる。そこで、先ずEPMAによる評価法を以下に説明する。
【0038】
島津社製EPMA−1600を使用し、電子ビーム加速電圧15kV、30nA、ビーム径1μmφの条件で、測定対象である磁気記録媒体の磁性層表面から100×100μmの範囲を少なくとも500×500画素で目的の元素の強度マッピングを測定する。強磁性粉末を構成する元素から固有の元素、例えば、Fe、Co、Ba等の何れかを選択する。得られた元素強度マッピングの結果において、強度を256段階に分割し、さらにZEISS製画像解析装置KS400を用いて強度分布の標準偏差b及び平均強度aを求め、b/a値を算出する。
【0039】
b/a値を制御する手段は、公知の手段から適宜選択し、必要に応じて最適化することができる。このような制御手段としては、例えば、強磁性粉末、研磨剤、カーボンブラックなどのサイズ及び形状の制御、結合剤の選定、分散剤、潤滑剤、界面活性剤等の各種添加剤等の選定、磁性塗布液の分散方法、並びに塗布方法、配向方法等の選定、カレンダ処理条件の選定等が挙げられる。中でも塗布方法による制御が好ましい。塗布方法は、逐次重層塗布を挙げることができる。
【0040】
本発明においてb/a値は、0.03≦b/a≦0.4、好ましくは0.03≦b/a≦0.3、さらに好ましくは0.03≦b/a≦0.2に制御される。b/a値が0.03≦b/a≦0.4の範囲であれば、自己減磁損失もなく、また強磁性粉末の充填性が均一となるため、S/Nを改善でき、所望のS/Nを得ることができる。
【0041】
本発明において磁性層の表面は、原子間力顕微鏡(AFM)によって測定される高さ10〜20nmの突起数を100μm2当たり5〜1000個の範囲で有する。
なお、本明細書における原子間力顕微鏡(AFM)で測定される高さとは、原子間力顕微鏡で求められる中心面(平面と磁性層表面の粗さ曲面で囲まれた体積が平面に対し上下で等しくかつ最小になる平面)を基準面とした高さをいう。
【0042】
磁性層の表面100μm2当たりの高さ10〜20nmの突起数(以下、PNとも記す)は、上記基準面以上の高さが10〜20nmである突起の10μm×10μm当たりの総数で突起密度を示す。PNは5〜100個/100μm2であることがさらに好ましい。PNが5個以上であれば、摩擦係数が増加することがないため好ましく、1000個以下であれば、出力の低下を抑えられ、かつドロップアウト(DO)個数の増加を抑えられる。
【0043】
磁性層の表面の突起数を上記5〜1000個の範囲に調整するために、本発明では層厚が0.3〜1.0μm、好ましくは0.5〜0.7μmの放射線硬化型樹脂を含む下塗層を形成し、かつ磁性層における電子線マイクロアナリシスによる強磁性粉末に起因する元素の平均強度aと、この平均強度aの標準偏差bとが0.03≦b/a≦0.4の関係を満たすようにすることが好ましい。さらに、本発明では、下塗層と磁性層との間に後述する非磁性層を形成する。
【0044】
本発明の磁気記録媒体の磁性層表面の突起数は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定する。具体的には、Digital Instrument社NanoscopeIII(原子間力顕微鏡(AFM))を用い、稜角70°の四角錐のSiN探針を使って10μm平方(100μm2)中の微小突起高さ10〜20nmまで5nm毎に突起数を測定する。
【0045】
<強磁性粉末>
本発明において磁性層に含まれる強磁性金属粉末としては、例えばα−Feを主成分とする強磁性金属粉末を挙げることができる。強磁性金属粉末には所定の原子以外にAl、Si、Ca、Mg、Ti、Cr、Cu、Y、Sn、Sb、Ba、W、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Ca、Mg、Y、Ba、La、Nd、Sm、Co、Niの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましい。Coは、Feと合金を作ると飽和磁化が増加し、かつ減磁が改良されるので特に好ましい。Coの含有量はFeに対して1〜40原子%が好ましく、さらに好ましくは15〜35原子%、より好ましくは20〜35原子%である。
【0046】
Y等の希土類元素の含有量は、1.5〜12原子%であることが好ましく、3〜10原子%であることがより好ましく、4〜9原子%であることがさらに好ましい。Alは1.5〜12原子%であることが好ましく、3〜10原子%であることがより好ましく、4〜9原子%であることがさらに好ましい。Yを含む希土類やAlは焼結防止剤として機能しており、組み合わせて使用することでより高い焼結防止効果が得られる。これらの強磁性粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。
【0047】
具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号明細書、同3031341号明細書、同3100194号明細書、同3242005号明細書、同3389014号明細書等に記載されている。
【0048】
強磁性金属粉末には少量の水酸化物又は酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。
焼結防止処理を行った含水酸化鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFe又はFe−Co粒子などを得る方法、複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末は、公知の徐酸化処理する。含水酸化鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元し、酸素含有ガスと不活性ガスの分圧、温度、時間を制御して表面に酸化皮膜を形成する方法が、減磁量が少なく好ましい。
【0049】
本発明において磁性層に含まれる強磁性金属粉末のBET法による比表面積(SBET)は、40〜80m2/gであり、好ましくは45〜70m2/gである。比表面積(SBET)が40〜80m2/gであれば、ノイズを抑えることができ、かつ平滑な表面を得ることができるため好ましい。本発明の磁性層における強磁性金属粉末の結晶子サイズは8〜18nm(80〜180Å)であり、好ましくは10〜17nm(100〜170Å)、さらに好ましくは11〜16.5nm(110〜165Å)である。強磁性金属粉末の平均長軸長は、0.02〜0.25μmであり、0.03〜0.15μmであることが好ましく、0.03〜0.12μmであることがさらに好ましい。
【0050】
強磁性金属粉末の平均針状比(長軸長/短軸長の平均)は、3〜15であることが好ましく、3〜10であることがさらに好ましい。強磁性金属粉末の飽和磁化σsは、通常、90〜170A・m2/kgであり、100〜160A・m2/kgであることが好ましく、110〜160A・m2/kgであることがさらに好ましい。強磁性金属粉末の抗磁力(Hc)は、135〜279kA/mであることが好ましく、143〜239kA/mであることがさらに好ましい。
【0051】
強磁性金属粉末の含水率は0.1〜2質量%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ましい。その範囲は6〜12であるが、好ましくは7〜11である。強磁性金属粉末のSA(ステアリン酸)吸着量(表面の塩基性点の尺度)は1〜15μmol/m2であり、2〜10μmol/m2であることが好ましく、3〜8μmol/m2であることがさらに好ましい。ステアリン酸吸着量が多い強磁性金属粉末を使用する場合には、表面に強く吸着する有機物で表面修飾して磁気記録媒体を作成することが好ましい。強磁性金属粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Sr、NH4、SO4、Cl、NO2、NO3などの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的にない方が好ましい。各イオンの総和が300ppm以下程度であれば、特性には影響しない。また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は、空孔が少ない方が好ましく、その値は20容量%以下であり、5容量%以下であることがさらに好ましい。形状については、先に示した粉体サイズ、磁気特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFD(switching field distribution)は小さい方が好ましく、強磁性金属粉末の抗磁力(Hc)分布を小さくする必要がある。テープのSFDが小さいと、磁化反転がシャープでピークシフトが小さくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。抗磁力(Hc)分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲータイトの粒度分布をよくする、単分散α−Fe23を使用する、粒子間の焼結を防止するなどの方法がある。
【0052】
<六方晶系フェライト粉末>
本発明において磁性層に含まれる六方晶系フェライトとしては、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等を挙げることができる。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、更に一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、S,Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加したものを使用することができる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
【0053】
本発明で用いる六方晶系フェライト粉末の平均板径は、記録密度によって異なるが、通常、10〜50nmであり、10〜40nmであることが好ましく、10〜35nmであることが特に好ましい。ここで板径とは、六方晶系フェライト磁性粉の六角柱底面の六角径の最大径を意味し、平均板径とはその算術平均である。特にトラック密度を上げるため、磁気抵抗ヘッドで再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は35nm以下であることが好ましいが、10〜50nmの範囲であれば、熱揺らぎの影響を受けない安定な磁化が望め、かつ、ノイズを抑えることができるため、高密度磁気記録に好適となる。板状比(板径/板厚)は1〜15であることが望ましく、1〜7であることが好ましい。板状比が1以上であれば、磁性層中の高充填性を維持しつつ、充分な配向性が得られる。また板状比が15以下であれば、粒子間のスタッキングによる影響を受け難くなり、ノイズが大きくなることもない。
【0054】
上記粒子サイズ範囲のBET法による比表面積は30〜200m2/gである。比表面積は、概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径・板厚の分布は、通常、狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定することで比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
【0055】
磁性体で測定される抗磁力(Hc)は、39.8〜398kA/m(500〜5000 Oe)程度まで作成できる。抗磁力(Hc)は高い方が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。抗磁力(Hc)は粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
飽和磁化(σs)は30〜80A・m2/kgであり、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。製法では結晶化温度又は熱処理温度時間を小さくする方法、添加する化合物を増量する、表面処理量を多くする方法等がある。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。
【0056】
表面処理材は、無機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P、等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。添加量は磁性体に対して0.1〜10%である。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。
【0057】
六方晶フェライトの製法としては、▲1▼酸化バリウム、酸化鉄、鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得ガラス結晶化法、▲2▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後、100℃以上で液相加熱し、洗浄、乾燥及び粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、▲3▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。
【0058】
<結合剤>
本発明の磁気記録媒体の磁性層で使用できる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものである。
【0059】
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等を構成単位として含む重合体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。
【0060】
これらの例とその製造方法については、特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独又は組み合わせて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組み合わせ、又はこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。
【0061】
ポリウレタン樹脂の構造は、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。
ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、(以上につき、Mは水素原子又はアルカリ金属塩基)、−NR12、−N+123(R1、R2、R3は炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CNなどから選ばれる少なくとも1つ以上の極性基を共重合又は付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8eq/gであり、好ましくは10-2〜10-6eq/gである。
【0062】
これら極性基以外にポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のOH基を有することが好ましい。OH基は硬化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。特にOH基は分子末端にある方が硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレタンは、分子末端にOH基を3個以上有することが好ましく、4個以上有することが特に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が通常、−50〜150℃、好ましくは0〜100℃、特に好ましくは30〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は通常、0.49〜98MPa(0.05〜10kg/mm2)、降伏点は0.49〜98MPa(0.05〜10kg/mm2)であることが好ましい。このような物性を有することにより、良好な機械的特性を有する塗膜が得られる。
【0063】
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体例としては、塩化ビニル系共重合体としてユニオンカーバイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、ポリウレタン樹脂として日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バ−ノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、UR−8700、RV530、RV280、大日精化社製ポリカ−ボネートポリウレタン、ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化成社製ポリウレタン、MX5004、三洋化成社製ポリウレタン、サンプレンSP−150、旭化成社製ポリウレタン、サランF310、F210などが挙げられる。
【0064】
磁性層で用いられる結合剤は、強磁性粉末100質量部に対し、5〜50質量部の範囲、好ましくは10〜30質量部の範囲で用いることができる。塩化ビニル系樹脂を結合剤として用いる場合は、5〜30質量部、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量部、ポリイソシアネートは2〜20質量部の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみ又はポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。
【0065】
本発明の磁気記録媒体が二層以上で構成される場合、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート若しくはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の分子量、極性基量、又は先に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じ各層とで変えることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきであり、多層磁性層に関する公知技術を適用できる。例えば、各層で結合剤量を変更する場合、磁性層表面の擦傷を減らすためには、磁性層の結合剤量を増量することが有効であり、ヘッドに対するヘッドタッチを良好にするためには、非磁性層のバインダー量を多くして柔軟性を持たせることができる。
【0066】
本発明に用いられるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等が挙げられる。
【0067】
これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL等があり、これらを単独又は硬化反応性の差を利用して2つ若しくはそれ以上の組み合わせで各層とも用いることができる。
【0068】
<カーボンブラック>
本発明の磁気記録媒体の磁性層で使用されるカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、平均粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/ml、が好ましい。具体的には、WO98/35345に記載のもが挙げられる。
【0069】
カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。したがって、本発明が多層構成の場合には、各層でその種類、量、組み合わせを変え、粒子径、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。
【0070】
<研磨剤>
本発明の磁気記録媒体の磁性層では、研磨剤を用いることができる。研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独又は組み合わせで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。
【0071】
本発明における研磨剤には、主成分以外の化合物又は元素が含まれる場合もあるが、主成分が90%以上であれば効果に変わりはない。これら研磨剤の平均粒子径は、0.01〜2μmであることが好ましく、特に電磁変換特性(S/N)を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには、必要に応じて粒子径の異なる研磨剤を組み合わせ、あるいは単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。
【0072】
研磨剤のタップ密度は、0.3〜2g/ml、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gであることが好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は、針状、球状及びサイコロ状のいずれでもよいが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高くて好ましい。具体的には、WO98/35345に記載のものが挙げられ、中でもダイヤモンドを同記載のごとく用いると、走行耐久性及び電磁変換特性の改善に有効である。磁性層、非磁性層に添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
【0073】
<添加剤>
本発明の磁性層で使用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果などを有するものが使用され、組み合わせることにより総合的な性能向上が図れる。潤滑効果を示すものとしては、物質表面同士の摩擦により生じる凝着に著しい作用を示す潤滑剤が使用される。潤滑剤には2つの型のものがある。磁気記録媒体に使用される潤滑剤は、完全に流体潤滑か境界潤滑であるか判定することはできないが、一般的概念で分類すれば流体潤滑を示す高級脂肪酸エステル、流動パラフィン、シリコーン誘導体などや境界潤滑を示す長鎖脂肪酸、フッ素系界面活性剤、含フッ素系高分子などに分類される。塗布型媒体では、潤滑剤は結合剤に溶解した状態、また一部は強磁性粉末表面に吸着した状態で存在するものであり、磁性層表面に潤滑剤が移行してくるが、その移行速度は結合剤と潤滑剤との相溶性の良否によって決まる。結合剤と潤滑剤との相溶性が高いときは移行速度が小さく、相溶性の低いときには早くなる。相溶性の良否に対する一つの考え方として、両者の溶解パラメーターの比較がある。流体潤滑には非極性潤滑剤が有効であり、境界潤滑には極性潤滑剤が有効である。
【0074】
本発明において、これら特性の異なる流体潤滑を示す高級脂肪酸エステルと境界潤滑を示す長鎖脂肪酸とを組み合わせることが好ましく、少なくとも3種組み合わせることがさらに好ましい。これらに組み合わせて固体潤滑剤を使用することもできる。
固体潤滑剤としては例えば二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛などが使用される。境界潤滑を示す長鎖脂肪酸としては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、及びこれらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)が挙げられる。フッ素系界面活性剤、含フッ素系高分子としてはフッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩などが挙げられる。流体潤滑を示す高級脂肪酸エステルとしては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル又はトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステルなどが挙げられる。また流動パラフィン、そしてシリコーン誘導体としてジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などのシリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーンなどが挙げられる。
【0075】
その他の潤滑剤として炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、フッ素含有アルコールなどのアルコール、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレングリコール、ポリエチレンオキシドワックスなどのポリグリコール、アルキル燐酸エステル及びそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが挙げられる。
【0076】
帯電防止効果、分散効果、可塑効果などを示すものとして、フェニルホスホン酸、具体的には、日産化学(株)社の「PPA」など、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、などが使用できる。
【0077】
本発明において使用される潤滑剤は、特に脂肪酸と脂肪酸エステルであることが好ましく、具体的にはWO98/35345に記載のものが挙げられる。これらに加えて別異の潤滑剤、添加剤も組み合わせて使用することができる。
【0078】
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。
これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
本発明は、脂肪酸エステルとしてWO98/35345に記載のようにモノエステルとジエステルを組み合わせて使用することも好ましい。
【0079】
本発明の磁気記録媒体の磁性層における潤滑剤の含有量は、強磁性粉末100質量部に対し5〜30質量部であることが好ましい。
【0080】
本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、その種類、量及び相乗的効果を生み出す潤滑剤の併用比率は、目的に応じ最適に定められるべきものである。非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面への滲み出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステル類を用い表面への滲み出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させるなど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。一般には潤滑剤の総量として磁性粉末または非磁性粉末100質量部に対し、0.1〜50質量部、好ましくは2〜25質量部の範囲で選択される。
【0081】
また本発明で用いられる添加剤のすべて又はその一部は、磁性塗料及び非磁性塗料製造のどの工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。また、目的によってはカレンダした後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
【0082】
[非磁性層]
本発明の磁気記録媒体は、前記下塗層上に非磁性層を有する。以下に非磁性層について詳細に説明する。
本発明における非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、たとえば不純物として、或いは意図的に少量の磁性粉を含んでも、本発明の効果を示すものであるかぎり、本発明と実質的に同一の構成と見なすことができることは言うまでもない。
ここで、実質的に非磁性層とは、非磁性層の残留磁束密度が10T・m以下又は抗磁力(Hc)が7.96kA/m(100 Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力をもたないことを示す。また、非磁性層に磁性粉を含む場合は、非磁性層の全無機粉末の1/2未満含むことが好ましい。さらに下層として、非磁性層に代えて軟磁性粉末と結合剤を含む軟磁性層を形成してもよい。軟磁性層の厚みは非磁性層と同様である。
【0083】
本発明において非磁性層は、非磁性無機粉末と結合剤とを主体とするものが好ましい。非磁性層に用いられる非磁性無機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機質化合物から選択することができる。無機化合物としては例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独又は組み合わせで使用される。特に好ましいのは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、さらに好ましいのは二酸化チタン、α酸化鉄である。
【0084】
上記の非磁性無機粉末の平均粒子径は0.005〜2μmであることが好ましい。また、必要に応じて平均粒子径の異なる非磁性無機粉末を組み合わせることができ、さらに単独の非磁性無機粉末であっても粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性無機粉末の平均粒子径は0.01〜0.2μmである。特に、非磁性無機粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径0.08μm以下であることが好ましく、針状金属酸化物である場合には、平均長軸長が0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。
【0085】
タップ密度は、通常、0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。非磁性無機粉末の含水率は通常、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%である。非磁性無機粉末のpHは通常、2〜11であるが、pHは5.5〜10の間が特に好ましい。非磁性無機粉末の比表面積は通常、1〜100m2/gであり、5〜80m2/gであることが好ましく、10〜70m2/gであることがさらに好ましい。非磁性無機粉末の結晶子サイズは、0.004〜1μmであることが好ましく、0.04〜0.1μmであることがさらに好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は通常、5〜100ml/100gであり、10〜80ml/100gであることが好ましく、20〜60ml/100gであることがさらに好ましい。比重は、通常、1〜12であり、3〜6であることがさらに好ましい。形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれであってもよい。モース硬度は、4〜10であることが好ましい。非磁性無機粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は、1〜20μmol/m2であり、2〜15μmol/m2、であることがより好ましく、3〜8μmol/m2であることがさらに好ましい。pHは、3〜6の間にあることが好ましい。
【0086】
これらの非磁性無機粉末の表面には、表面処理によりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnO、Y23が存在することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2であるが、さらに好ましいのはAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナを存在させた後にその表層にシリカを存在させる方法、又はその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
本発明の下層に用いられる非磁性無機粉末の具体的な例及び製造法としては、WO98/35345に記載のものが例示される。
【0087】
非磁性層にはさらに目的に応じて、有機質粉末を添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
【0088】
非磁性層あるいは後述のバック層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法、含有量その他は、上記の磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤の量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
【0089】
[非磁性支持体]
本発明の磁気記録媒体に用いられる支持体は、非磁性可撓性支持体であることが好ましく、支持体の面内各方向に対し、100℃30分での熱収縮率が0.5%以下であり、80℃30分での熱収縮率が0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下であることが好ましい。さらに前記支持体の100℃30分での熱収縮率及び80℃30分での熱収縮率が前記支持体の面内各方向に対し、10%以内の差で等しいことが好ましい。支持体は非磁性であることが好ましい。
これら支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、芳香族又は脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリアラミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じて、磁性層面と支持体のベース面での表面粗さを変えることができ、例えば、特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行ってもよい。また本発明の支持体としてアルミ又はガラス基板を適用することも可能である。
【0090】
本発明の目的を達成するには、支持体としてWYKO社製HD−2000型を用いて測定した中心面平均表面粗さRaは4.0nm以下、好ましくは2.0nm以下のものを使用することが好ましい。これらの支持体は単に中心面平均表面粗さが小さいだけではなく、0.5μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーとしては一例としてはCa、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機粉末が挙げられる。支持体の最大高さRmaxは1μm以下、十点平均粗さRzは0.5μm以下、中心面山高さRpは0.5μm以下、中心面谷深さRvは0.5μm以下、中心面面積率Srは10〜90%、平均波長λaは5〜300μmが好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールできるものであり、0.01〜1μmの大きさのもの各々を0.1mm2当り0〜2000個の範囲でコントロールすることができる。
【0091】
本発明に用いられる支持体のF−5値は、49〜490MPa(5〜50kg/mm2)であることが好ましい。また、支持体の100℃30分での熱収縮率は、3%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがさらに好ましい。80℃30分での熱収縮率は、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。破断強度は、49〜980MPa(5〜100kg/mm2)であることが好ましい。また弾性率は、980〜19600MPa(100〜2000kg/mm2)であることが好ましい。温度膨張係数は10-4〜10-8/℃であり、10-5〜10-6/℃であることが好ましい。湿度膨張係数は10-4/RH%以下であり、好ましくは10-5/RH%以下である。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は、支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
【0092】
[バックコート層]
本発明の磁気記録媒体は、必要に応じて磁性層を有する面とは反対側の非磁性支持体上の面にバックコート層を設けることもできる。磁気ディスクでもバックコート層を設けることはできるが、一般に、コンピューターデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐久性を維持させるために、バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。
【0093】
バックコート層で使用するカーボンブラックは、平均粒子径の異なる二種類のものを組み合わせて使用することが好ましい。この場合、平均粒子径が10〜20nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子径が230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックを組み合わせて使用することが好ましい。一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラックは、一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。一方、平均粒子径が230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、またバックコート層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。
【0094】
本発明においてバックコート層に用いられる微粒子状カーボンブラック及び粗粒子状カーボンブラックとして、市販のものを用いる場合、具体的な商品としては、WO98/35345に記載のものを挙げることができる。
バックコート層において、平均粒子径の異なる二種類のものを使用する場合、10〜20nmの微粒子状カーボンブラックと230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、95:5〜85:15の範囲にあることがさらに好ましい。
バックコート層中のカーボンブラック(二種類のものを使用する場合には、その全量)の含有量は、結合剤100質量部に対して、通常30〜80質量部の範囲であり、好ましくは、45〜65質量部の範囲である。
【0095】
バックコート層で使用する無機粉末は、硬さの異なる二種類のものを併用することが好ましい。具体的には、モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉末とを使用することが好ましい。モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末を添加することで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもない。またこの無機粉末の平均粒子径は、30〜50nmの範囲にあることが好ましい。
モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末としては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
バックコート層内の軟質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して10〜140質量部の範囲にあることが好ましく、35〜100質量部であることがさらに好ましい。
【0096】
モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加することにより、バック層の強度が強化され、走行耐久性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対しても劣化が少なく、強いバックコート層となる。また、この無機粉末の添加により、適度の研磨力が付与され、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減する。特に軟質無機粉末と併用すると、表面の粗いガイドポールに対しての摺動特性が向上し、バックコート層の摩擦係数の安定化も図ることができる。
硬質無機粉末の平均粒子径は80〜250nmの範囲にあることが好ましく、100〜210nmの範囲にあることがさらに好ましい。
モース硬度が5〜9の硬質無機質粉末としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化クロム(Cr23)を挙げることができる。これらの粉末は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは併用してもよい。これらの内では、α−酸化鉄又はα−アルミナが好ましい。硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して通常、3〜30質量部であり、3〜20質量部であることが好ましい。
【0097】
バックコート層に前記軟質無機粉末と硬質無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉末との硬さの差が、2以上(さらに好ましくは、2.5以上、特に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質無機粉末とを選択して使用することが好ましい。
バックコート層には、前記それぞれ特定の平均粒子径を有するモース硬度の異なる二種類の無機粉末と、前記平均粒子径の異なる二種類のカーボンブラックとが含有されていることが好ましい。
【0098】
バックコート層には、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選択して使用できる。バック層において、潤滑剤は、結合剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範囲で添加される。
【0099】
[層構成]
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体が通常、2〜100μmであり、2〜80μmであることが好ましい。コンピューターテープの非磁性支持体は、3.0〜6.5μm(好ましくは、3.0〜6.0μm、さらに好ましくは、4.0〜5.5μm)の範囲の厚みのものが使用される。
【0100】
下塗層の厚みは、前述のように0.3〜1.0μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜0.7μmである。0.3μm以上であれば、磁性層において良好な平滑性を得ることができる。また、1.0μm以下であれば、塗膜が乾燥しやすく、粘着故障を起こしにくい。
【0101】
バックコート層を有する場合、バックコート層の厚みは、通常0.1〜4μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましい。
【0102】
本発明の磁気記録媒体の非磁性層及び磁性層の厚みは、用いるヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化される。本発明では磁性層の厚みを0.2μm以下とし、0.05〜0.15μmであることが好ましく、0.08〜0.12μmであることがさらに好ましい。また、非磁性層の厚みは、通常0.8〜5.0μmであり、1.0〜3.0μmであることが好ましく、1.2〜2.5μmであることがさらに好ましい。
【0103】
磁性層を2層有する磁気記録媒体の場合、非磁性層や軟磁性層は設けても設けなくともよく、例えば、支持体から遠い側の磁性層の厚みを0.01〜0.1μm、好ましくは0.01〜0.05μmとして、支持体から近い側の磁性層の厚みを0.05〜0.15μmとすることができる。なお、磁性層を単独で有する場合、上述したように磁性層の厚みを0.2μm以下とする。
【0104】
[製法]
本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程は、それぞれ2段階以上に別れていてもかまわない。本発明の磁気記録媒体に使用する磁性粉末、非磁性粉末、放射線硬化型樹脂、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などのすべての原料は、どの工程の最初又は途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
【0105】
本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合、磁性粉末又は非磁性粉末と結合剤のすべて又はその一部(但し、全結合剤の30%以上が好ましい)は、磁性粉末100質量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗料及び非磁性層用塗料を分散させるには、ガラスビーズを用いることができるが、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
【0106】
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、例えば、非磁性支持体上に下塗層を乾燥後の層厚が1μm以下となるように下塗層用塗料を塗布し、放射線硬化した後、
下塗層表面上に磁性層用塗料を磁性層の乾燥後の層厚が0.2μm以下、さらには磁性層表面上に非磁性層の乾燥後の層厚が5μm以下になるように塗布することができる。
【0107】
非磁性層用塗料と磁性層用塗料とは、逐次又は同時に重層塗布されてもよく、また、磁性層を2層有する場合には、下層磁性層用塗料と上層磁性層用塗料とは、逐次又は同時に重層塗布されてもよい。好ましくは非磁性層及び磁性層が、下塗層上に非磁性粉末及び結合剤を含む非磁性層用塗料を塗布した後に乾燥して非磁性層を形成し、次いでこの非磁性層上に強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層用塗料を塗布した後に乾燥して磁性層を形成すること、すなわち、乾燥後塗布法(wet on dry塗布法)で得ることである。
【0108】
上記磁性層用塗料又は非磁性層用塗料を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。 これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0109】
なお、本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布する場合、以下のような方式を用いることが好ましい。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状態のうちに特公平1−46186号公報や特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布する方法。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほぼ同時に塗布する方法。
【0110】
なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号公報や特開平1−236968号公報に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の粘度については、特開平3−8471号公報に開示されている数値範囲を満足する必要がある。
【0111】
ディスク状磁気記録媒体の場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。六方晶系フェライトは、一般的に面内及び垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用い円周配向としてもよい。
【0112】
テープ状磁気記録媒体の場合は、コバルト磁石やソレノイドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できるようにすることが好ましく、塗布速度は20〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい。また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールまたは金属ロールで処理するが、特に両面磁性層とする場合は金属ロール同志で処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。線圧力は好ましくは196kN/m(200kg/cm)以上、さらに好ましくは294kN/m(300kg/cm)以上である。
【0113】
[物理特性]
ディスク状磁気記録媒体の場合、角形比は2次元ランダムの場合、通常、0.55〜0.67であり、0.58〜0.64であることが好ましい。また、3次元ランダムの場合、角形比は0.45〜0.55であることが好ましい。垂直配向の場合、角形比は垂直方向に通常0.6以上であり、0.7以上であることが好ましい。また、反磁界補正を行った場合は、通常0.7以上であり、0.8以上であることが好ましい。2次元ランダム及び3次元ランダムとも配向度比は0.8以上であることが好ましい。2次元ランダムの場合、垂直方向の角形比、垂直方向のBr及び垂直方向のHcは面内方向の0.1〜0.5倍以内とすることが好ましい。テープ状磁気記録媒体の場合、角形比は0.7以上、好ましくは0.8以上である。
【0114】
本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は、温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲において、通常0.5以下であり、0.3以下であることが好ましい。表面固有抵抗は、磁性面104〜1012Ω/sqであることが好ましく、帯電位は−500V〜+500Vであることが好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、面内各方向で980〜19600MPa(100〜2000kg/mm2)であることが好ましく、破断強度は、98〜686MPa(10〜70kg/mm2)であることが好ましい。磁気記録媒体の弾性率は、面内各方向で980〜14700MPa(100〜1500kg/mm2)であることが好ましい。残留伸びは、0.5%以下であることが好ましく、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。
【0115】
磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は、50〜120℃であることが好ましく、非磁性層のそれは0〜100℃であることが好ましい。損失弾性率は、1×105〜8×108Paの範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向で10%以内であり、かつ、ほぼ等しいことが好ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は、100mg/m2以下であることが好ましく、10mg/m2以下であることがさらに好ましい。塗布層が有する空隙率は、非磁性層、磁性層とも30容量%以下であることが好ましく、20容量%以下であることがさらに好ましい。空隙率は、高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方がよい場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク状磁気記録媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
【0116】
本発明の磁性層における中心面平均表面粗さRa及び10点平均粗さRzは、前記のとおり、それぞれ5〜50nmである。また、磁性層の最大高さRmaxは0.5μm以下、中心面山高さRpは0.3μm以下、中心面谷深さRvは0.3μm以下、中心面面積率Srは20〜80%、平均波長λaは5〜300μmが好ましい。磁性層の表面の突起数は、前述のとおり10〜20nmの大きさのものを100μm2あたり5〜1000個の範囲であり、これによりサーマルアスペリティを小さくでき、電磁変換特性、摩擦係数を最適化することができる。これらは支持体のフィラーによる表面性のコントロールや磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダ処理のロール表面形状などで容易にコントロールすることができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。本発明の磁気記録媒体は、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができるのは容易に推定されることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし、走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りをよくするなどである。
【0117】
本発明の磁気記録媒体は、上記の下塗層を形成し、次いで、下塗層上に非磁性下層又は磁性下層を形成した後に磁性層を形成して作製される。下塗層は支持体の少なくとも一方に設けられ、両方に設けることもできる。
【0118】
マルチメデイア社会になり、画像記録へのニーズは産業界のみならず家庭でも益々強くなっており、本発明の磁気記録媒体は単に文字、数字などのデータ以外に、画像記録用媒体としての機能/コストの要請に十分応えられる能力を持つものである。
本発明の磁気記録媒体は、磁気抵抗型の再生ヘッド(MRヘッド)を用いる磁気記録再生システムに好適に用いることができる。MRヘッドの種類には特に制限はなく、GMRヘッドやTMRヘッドを用いることもできる。記録に用いるヘッドに特に制限はないが、飽和磁化量が1.2T以上であることが好ましく、2.0T以上がさらに好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、コンピューターデータ記録用として好適である。
【0119】
【実施例】
以下に、本発明の具体的実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるべきものではない。なお、以下の「部」とは別段断らない限り「質量部」のことである。
【0120】
(実施例1)
磁性層用塗料組成
<磁性塗料A>
六方晶バリウムフェライト粉末 100部
表面処理:Al23 5重量%、Si02 2重量%
抗磁力(Hc):199kA/m(2500 0e)
板径:30nm
板状比:3
飽和磁化(σs):56A・m2/kg(56emu/g)
塩化ビニル共重合体
MR110(日本ゼオン社製) 6部
ポリウレタン樹脂
UR8200(東洋紡社製) 3部
αアルミナ
HIT60(住友化学社製) 4部
ダイヤモンド(平均粒径100nm) 2部
カーボンブラック
#50(旭カーボン社製) 1部
イソセチルステアレート 5部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 120部
【0121】
<磁性塗料B>
強磁性金属微粉末 100部
組成:Fe70%、Co30%、
抗磁力Hc:183kA/m(2300 0e)
長軸長:0.045μm
結晶サイズ:11.5nm(115Å)
飽和磁化σs:110A・m2/kg(110emu/g)
焼結防止剤 Al化合物(Al/Fe原子比14%)
Y化合物(Y/Fe原子比7%)
塩化ビニル共重合体 10部
MR110(日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 4部
UR8200(東洋紡社製)
αアルミナ 4部
HIT60(住友化学社製)
ダイヤモンド(平均粒径100nm) 2部
カーボンブラック 1部
#50(旭カーボン社製)
フェニルホスホン酸 3部
n−ブチルステアレート 1部
ブトキシエチルステアレート 1部
イソセチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
オレイン酸 1部
メチルエチルケトン 140部
シクロヘキサノン 200部
【0122】
非磁性層用塗料組成
α−Fe23 ヘマタイト 100部
長軸長:0.07μm
短軸長:0.014μm
BET法による比表面積:55m2/g
pH:9
表面処理剤:Al23 8重量%
カーボンブラック(平均粒径20nm) 25部
コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製)
塩化ビニル共重合体 15部
MR104(日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 7部
UR5500(東洋紡社製)
フェニルホスホン酸 4部
イソセチルステアレート 6部
オレイン酸 1.3部
ステアリン酸 1.3部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部
【0123】
ディスク状磁気記録媒体の作製
上記磁性層用塗料Aと非磁性層用塗料の各成分をニーダで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られた磁性層用塗料Aと非磁性層用塗料の分散液にポリイソシアネートを磁性層用塗料Aに4部、非磁性層用塗料に13部ずつ加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン30部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用及び磁性層形成用の塗料をそれぞれ調製した。
【0124】
次いで、表1に示される化合物を30質量%メチルエチルケトン溶液で調製したものを乾燥後の厚みが0.5μmになるようにコイルバーを用いて厚み62μmで中心面平均表面粗さが5nmのポリエチレンテレフラレート支持体上に塗布して乾燥させた後、塗膜表面に加速電圧175kV、ビーム電流5mAで吸収線量が5Mradになるように電子線を照射し、下塗層を形成した。
次いで、下塗層上に、得られた非磁性層用塗料を乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布して乾燥し、その後、磁性層の厚みが0.1μmになるように磁性層用塗料Aの塗布を行い、乾燥後、7段のカレンダで温度90℃、線圧300kg/cmで処理を行い、3.7インチに打ち抜き、表面研磨処理を施してディスク状磁気記録媒体を得た。
【0125】
(実施例2〜4)
実施例1の磁性層の厚みを表1に示された値に変更した以外は、実施例1と同様の方法により実施例2〜4のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0126】
(実施例5、6)
実施例1の下塗層の厚みを表1に示された値に変更した以外は、実施例1と同様の方法により実施例5、6のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0127】
(実施例7、8)
実施例1の非磁性層の厚みを表1に示された値に変更した以外は、実施例1と同様の方法により実施例7、8のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0128】
(実施例9、10)
実施例1の下塗層で使用した化合物を表1に記した化合物に変更した以外は、実施例1と同様の方法により実施例9、10のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0129】
(実施例11)
実施例1の磁性層用塗料Aを磁性層用塗料Bに変更した以外は、実施例1と同様の方法により実施例11のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0130】
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、下塗層を形成した後、非磁性層用塗料を下塗層上に乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布し、非磁性層用塗料が乾燥しないうちに、磁性層用塗料Aを乾燥後の厚みが0.1μmになるように同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちにランダム配向処理を行い、乾燥した後に7段のカレンダで温度90℃、線圧300kg/cmでカレンダ処理を行い、3.7インチに打ち抜き、表面研磨処理を施してディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0131】
(比較例2)
実施例1と同様の方法で、下塗層を形成した後、磁性層用塗料Aを下塗層上に厚みが0.1μmになるように塗布し、乾燥した後、7段のカレンダで温度90℃、線圧300kg/cmにて処理を行い、3.7インチに打ち抜き、表面研磨処理を施して非磁性層を有しないディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0132】
(比較例3)
実施例1の下塗層の厚みを表1に示された値に変更した以外は、実施例1と同様の方法により比較例3のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0133】
(比較例4)
実施例1の非磁性層の厚みを表1に示された値に変更した以外は、実施例1と同様の方法により比較例4のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0134】
(比較例5)
比較例1の磁性塗料Aを磁性塗料Bに変更した以外は、比較例1と同様の方法により比較例5のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0135】
(比較例6)
比較例2で使用した磁性塗料Aを磁性塗料Bに変更した以外は、比較例2と同様の方法により比較例6のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0136】
(比較例7)
実施例1の磁性層厚みを表1に示された値に変更した以外は、実施例1と同様の方法により比較例7のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0137】
(比較例8)
下塗層を塗設せずに、支持体上に得られた非磁性層用塗料を乾燥後の厚みが1.5μmになるように塗布して乾燥し、その後、磁性層の厚みが0.1μmになるように磁性層用塗料Aの塗布を行い、乾燥後、7段のカレンダで温度90℃、線圧300kg/cmで処理を行い、3.7インチに打ち抜き、表面研磨処理を施してディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0138】
(比較例9、10)
実施例1の下塗層で使用した化合物を表1に記した化合物に変更した以外は、実施例1と同様の方法により比較例9、10のディスク状磁気記録媒体を作製した。
【0139】
<磁気記録媒体の評価>
(1)b/a値の測定
島津社製EPMA−1600を使用し、電子ビーム加速電圧15kV、30nA、ビーム径1μmφの条件で、測定対象となる本発明の磁気記録媒体の磁性層表面から1OO×100μmの範囲を少なくとも500×500画素で目的の元素の強度マッピングを測定した。磁性層用塗料AではCo、磁性層用塗料BではBaを磁性層固有の元素としてそれぞれ選択した。得られた元素強度マッピングの結果において強度を256段階に分割し、ZEISS製画像解析装置KS400を用いて強度分布の標準偏差(b)及び、平均強度(a)を求め、b/a値を算出した。
【0140】
(2)微小突起数の測定
Digital Instrument社製Nanoscope III(AFM:原子間力顕微鏡)を用い、稜角70°の四角錐のSiN探針を使って10μm平方(100μm2)中の微小突起高さ20nmまでを5nmごとに突起数を測定し、高さ10〜20nmの突起数(以下、AFM突起数という)を得た。
【0141】
(3)S/Nの測定
S/Nの測定は、米GUZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90で、トラック幅5μmでギャップ長0.2μmのメタルインギャツプヘツドを用い、半径24.6mmの位置において線記録密度100KFCIの信号を書き込み、トラック幅が2.6μmのMRヘッドで再生し、その再生出力(TAA)とDCイレーズ後のノイズレベルを測定し、S/N値を求めた。
【0142】
(4)サーマルアスペリティ数の測定
サーマルアスペリティ数の測定は、米GUZIK社製のRWA1O01型ディスク評価装置及び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90で、トラック幅5μmでギヤツプ長0.2μmのメタルインギャツプヘツドを用い、半径24.6mmの位置において線記録密度100KFCIの信号を書き込み、トラック幅が2.6μmのMRヘッドで再生し、その再生出カ(TAA)の50%以上の出力変動をカウントし、サーマルアスペリティ数とした。
【0143】
【表1】
Figure 0004001546
【0144】
表1より、下塗層に所定の放射線硬化型樹脂が含まれ、かつ磁性層におけるb/a値とAFM突起数とが本発明の範囲にある磁気記録媒体では、0.05〜0.2μmの薄磁性層であってもサーマルアスペリティ数がかなり小さく(50個/トラック以下)、かつ高いS/N(30dB以上)が得られた(実施例1〜11)。また、六方晶バリウムフェライト強磁性粉末と強磁性金属粉末のいずれの場合も、サーマルアスペリティを小さくでき、かつ良好なS/Nを示した(実施例9、11)。さらに、磁性層用塗料と非磁性層用塗料の塗布方法については、wet on dry塗布法で得られた磁気記録媒体の方が、AFM突起数が少なく、サーマルアスペリティ数が少なく、かつ30dB以上の良好なS/Nが得られた(実施例1と比較例1、実施例11と比較例6)。
【0145】
一方、b/a値とAFM突起数のいずれか一方(比較例2、3及び6)、又は両方(比較例1、4及び5)が本発明の範囲にない場合には、S/Nが30dB未満であり、サーマルアスペリティ数も増加した。さらに非磁性層を有しない場合には、AFM突起数が2000個/μm2以上であった(比較例2、6)。
【0146】
また、磁性層の厚みが0.2μmよりも厚い場合(比較例7)には、b/a値は本発明の範囲内であったが、AFM突起数が本発明の範囲外となり、その結果、S/Nが30dB未満であり、かつサーマルアスペリティ数が増加した。さらに、下塗層を塗設しない場合(比較例8)や、下塗層を構成する樹脂が放射線硬化型樹脂ではない場合(比較例9及び10)には、b/a値及びAFM突起数がいずれも本発明の範囲外となり、S/Nが30dB未満であり、かつサーマルアスペリティ数が大きく増加した。
【0147】
以上のことから、本発明のように磁性層の厚みが0.2μm以下であり、放射線硬化型樹脂を放射線硬化して得られた下塗層を有し、かつb/a値が0.03〜0.4であり、かつAFM突起数が5〜1000個の範囲である磁気記録媒体は、サーマルアスペリティ数が小さく、良好な電磁変換特性(S/N)を有する磁気記録媒体であることが分かる。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気記録媒体は、脂環式環状構造を有し、かつ1分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する放射線硬化型樹脂を放射線硬化して得られ下塗層を非磁性支持体と非磁性層との間に有しており、さらに磁性層が0.2μm以下の厚みを有し、電子線マイクロアナリシスにより得られる前記強磁性粉末に起因する元素の平均強度aと、この平均強度aの標準偏差bとが0.03≦b/a≦0.4の関係を満たし、かつAFM突起数が磁性層表面100μm2当たり5〜1000個である。このため、本発明であれば、0.2μm以下の薄層磁性層を形成した場合であっても、サーマルアスペリティをかなり小さくできるため、MRヘッドで再生した場合に優れた電磁変換特性を示すため、高密度記録に適した磁気記録媒体を提供できる。

Claims (7)

  1. 非磁性支持体上に、放射線硬化型樹脂を含む下塗層と、非磁性粉末及び結合剤を含む非磁性層と、強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、
    前記下塗層が、脂環式環状構造を有し、かつ1分子中に2個以上の放射線硬化官能基を有する前記放射線硬化型樹脂を放射線硬化して得られたものであり、
    前記磁性層が、0.01〜0.2μmの厚みを有し、電子線マイクロアナリシスにより得られる前記強磁性粉末に起因する元素の平均強度aと、この平均強度aの標準偏差bとが0.03≦b/a≦0.4の関係を満たし、かつ前記磁性層の表面が原子間力顕微鏡(AFM)により測定される高さ10〜20nmの突起数を100μm2当たり5〜1000個有していることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記脂環式環状構造がビシクロ環構造、トリシクロ環構造、スピロ環構造、及びジスピロ環構造のいずれか一つである請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記放射線硬化型樹脂の分子量が200〜1000である請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記放射線硬化型樹脂が、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールビシクロオクタンジアクリレート及びジメチロールスピロオクタンジアクリレートの群から選ばれる少なくともいずれか一つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記放射線硬化官能基が2個のアクリロイル基である請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記下塗層の厚みが0.3〜1.0μmである請求項1〜のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  7. 磁性層に磁気記録された信号を磁気抵抗型磁気ヘッドで再生する磁気記録再生システムで用いるための請求項1〜のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
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