JP2006209854A - 磁気記録媒体および磁気記録再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を少なくとも設けた磁気記録媒体において、磁性層の表面うねりが3〜15%であることを特徴とする磁気記録媒体と、該磁気記録媒体およびMRヘッドを用いた磁気記録再生方法。
【選択図】 なし
Description
バックアップテープ1巻当たりの高容量化のためには、テープ全厚を薄くして1巻当たりのテープ長を長くすること、磁性層厚みを0.15μm以下と極めて薄くすることで厚み損失を小さくして記録波長を短くすることともに、トラック幅7μm以下と狭くして幅方向の記録密度を高くする必要がある。
しかしながら、磁性層厚みを0.15μm以下と薄くすると、耐久性が劣化したりするため、非磁性支持体と磁性層の間に少なくとも一層の下塗り層を設ける必要がある。また、記録波長を短くすると、磁性層と磁気ヘッドとの間とのスペーシングの影響が大きくなるので、磁性層表面に何らかの欠陥があると、スペーシング損失により、出力ピークの半値幅(PW50)が広くなったり、出力が低下したりしてエラーレートが高くなる。さらに、トラック幅を7μm以下と狭くして幅方向の記録密度を高くすると磁気記録媒体からの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに微小磁束でも高い出力が得られるMRヘッドを使用する必要がある。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1) 非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を少なくとも設けた磁気記録媒体において、下記の測定条件で測定される磁性層の表面うねりが3〜15%であることを特徴とする磁気記録媒体。
測定条件
測定機器:ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5022
測定方法:走査型白色光干渉法
Z方向のScan Length:5μm
測定時のサンプルテンション:1/2インチ当たり100g
測定視野面積:700μm×522μm(対物レンズ:20倍、イメージズーム:0.5倍)
フィルタ処理:ハイパスフィルタ(HPF)50μm、ローパスフィルタ(LPF)OFF
表面うねり(%):[{(磁性層の表面うねりの平均面から高さ方向5nmの位置で該平均面と平行にスライスした時のスライス面の面積の合計)+(磁性層の表面うねりの平均面から深さ方向5nmの位置で該平均面と平行にスライスした時のスライス面の面積の合計)}(μm2)/前記測定視野面積(μm2)]×100(%)
2)前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、非磁性無機粉末を結合剤中に分散してなる非磁性層を設けたことを特徴とする上記1)に記載の磁気記録媒体。
3)前記強磁性粉末が強磁性金属粉末であり、平均長軸長が20nm〜70nmであることを特徴とする上記1)または2)に記載の磁気記録媒体。
4)前記磁性層厚みが0.01μm以上0.15μm以下であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
5)非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を少なくとも設けた磁気記録媒体を用い、情報の記録または再生を行う磁気記録再生方法において、前記磁気記録媒体が、上記1)〜4)のいずれかに記載の磁気記録媒体であるとともに、情報の再生手段として、磁気抵抗効果型素子を使用した再生ヘッドが用いられることを特徴とする磁気記録再生方法。
6)前記情報の記録波長が0.05μm以上0.30μm以下であることを特徴とする上記5)に記載の磁気記録再生方法。
本発明は、非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を少なくとも設けた磁気記録媒体において、磁性層の表面うねりが3〜15%であることを特徴としている。
(非磁性支持体のうねりを制御する方法)
本発明における表面のうねりは非磁性支持体自身のうねりを制御することにより達成可能である。非磁性支持体の形成方法には、例えばポリマーを溶融して製膜する方法(溶融製膜)とポリマー溶液を流延して製膜する方法(溶液製膜)とがある。溶融製膜の場合、一般的に、支持体の表面性状の制御やその上に設けられる層に対する易接着処理のためにプライマ層を設けるが、このプライマ層形成後の乾燥条件をコントロールすることで、支持体の表面うねりを制御することができる。一般的に乾燥速度を速めることでうねりは大きくなる。乾燥速度はプライマ層に用いている溶媒の種類、塗布速度、乾燥温度、乾燥風量等により決定される。溶液製膜の場合、ポリマー溶液を流延した後、溶媒を除去する乾燥条件をコントロールすることで、支持体の表面うねりを制御することができる。具体的には、乾燥速度を速めることでうねりは大きくなる。乾燥速度はポリマー溶液における溶媒、製膜速度、乾燥風量、乾燥風水分量等により決定される。
磁性層の表面うねりを制御する別の手段として、磁性層と非磁性支持体との間に下塗り層を設けることが好ましく、さらに好ましくはその下塗り層が放射線により硬化可能な層である。下塗り層は、例えば、下記の結合剤および放射線硬化型化合物を含んだ下塗り層形成用塗布液を非磁性支持体上に塗布・乾燥後、放射線によって硬化することにより形成することができる。
下塗り層で用いられる結合剤としては、従来公知の有機溶剤可溶性の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が挙げられる。具体的には、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。また、下塗り層形成後に非磁性層および/または磁性層を塗布する際には非磁性層や磁性層に含まれる溶剤により下塗り層が膨潤し、あるいは溶解して表面性が低下することがあり、そのような場合には非磁性層や磁性層に含まれる溶剤には溶解せず、他の有機溶剤に溶解するものが好ましい。
結合剤のガラス転移温度については、0〜120℃であることが好ましく、10〜80℃であることがより好ましい。0℃以上であれば端面でのブロッキングを生じることもなく、また、120℃以下であれば下塗り層内の内部応力を緩和することができ、かつ密着力にも優れている。また、結合剤の分子量については、質量平均分子量1,000〜100,000の範囲内にあるものを用いることができるが、特に5,000〜50,000の範囲のものが好ましい。質量平均分子量が1,000以上であれば、端面でのブロッキング等を生じることもなく、また質量平均分子量が100,000以下であれば、有機溶剤への溶解性も良好であり、下塗り層を塗布することも充分可能である。
下塗り層形成用塗布液に含まれる「放射線硬化型化合物」とは、紫外線または電子線などの放射線を照射すると重合または架橋を開始し、高分子化して硬化する性質を有する化合物をいう。放射線硬化型化合物は、外部からエネルギー(紫外線または放射線)を与えない限り反応が進行しない。このため、放射線硬化型化合物を含む塗布液は、紫外線または放射線を照射しない限り粘度が安定しており、高い塗膜平滑性を得ることができる。また、紫外線または放射線による高いエネルギーにより瞬時に反応が進むため、放射線硬化型化合物を含む塗布液では高い塗膜強度を得ることができる。
なお、本発明で用いられる放射線には、X線、α線、β線、γ線などの各種の放射線が含まれる。
放射線硬化型化合物の粘度は、100〜40000cP(0.1〜40Pa.s)の範囲であることが好ましく、1000〜40000cP(1〜40Pa.s)の範囲であることがより好ましい。
放射線硬化型化合物の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリル酸アミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等を挙げることができる。なお、ここでいう「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称である。
下塗り層で用いられる放射線硬化型化合物は、上記結合剤と併用してもよい。
光カチオン重合開始剤の具体的な例としては、アデカウルトラセットPP−33、OPTMER SP−150、同170(旭電化工業(株)製)(ジアゾニウム塩)、OPTOMER SP−150、170(旭電化工業(株)製)(スルホニウム塩)、IRGACURE261(チバ−ガイギー(株)製)(メタロセン化合物)等の市販品を挙げることができる。
下塗り層の厚さは例えば0.3〜3.0μmの範囲であり、好ましくは0.35〜2.0μmの範囲であり、さらに好ましくは0.4〜1.5μmの範囲である。下塗り層の厚さは、構成成分等によるが、塗布層の表面性、物理強度が確保されるのであれば、高容量化には薄い程好ましい。
磁性層の表面うねりを制御する別の手段として、磁気記録媒体のカレンダー処理の条件を適宜決定する方法が挙げられる。カレンダー処理の条件とは、例えばカレンダーの圧力、カレンダー温度、カレンダーのロール種や段数等であり、これらを適宜決定し、磁性層の表面うねりを制御することができる。通常、カレンダー圧力増加で表面うねりは小さくなり、カレンダー温度増加で表面うねりは小さくなる。例えばカレンダー圧力は250〜350kg/cm(245kN/m〜315kN/m)であり、好ましくは280〜330kg/cm(274kN/m〜323kN/m)である。カレンダー温度は高すぎると表面潤滑剤が揮発しやすくなるため、60℃〜130℃、好ましくは85℃〜110℃である。また、カレンダー段数増大で表面うねりは小さくなり、ロール種については、ロール材料表面の硬さにより表面うねりに変化が現れ、樹脂ロールでは表面うねりは大きくなり、金属ロールでは表面うねりは小さくなる。ロール種は各種組み合わせも可能であり、ロール種の組み合わせや段数によっても任意の表面うねりに制御が可能である。
測定条件
測定機器:ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5022
測定方法:走査型白色光干渉法
Z方向のScan Length:5μm
測定時のサンプルテンション:長手方向1/2インチ当たり100g
測定視野面積:700μm×522μm(対物レンズ:20倍、イメージズーム:0.5倍)
フィルタ処理:ハイパスフィルタ(HPF)50μm、ローパスフィルタ(LPF)OFF
表面うねり(%):[{(磁性層の表面うねりの平均面から高さ方向5nmの位置で該平均面と平行にスライスした時のスライス面の面積の合計)+(磁性層の表面うねりの平均面から深さ方向5nmの位置で該平均面と平行にスライスした時のスライス面の面積の合計)}(μm2)/前記測定視野面積(μm2)]×100(%)
上記測定条件で測定される表面うねり(%)は、3〜15%、好ましくは3〜10%、さらに好ましくは3〜8%である。表面うねりが3%未満では、走行時摩擦力が上昇するという理由から、磁性層の塗膜にダメージが発生する。15%を超えると、ドロップアウト数が増加し、本発明の目的を達成することができない。
表面うねりは、当業界でよく知られており、磁性層表面が有する断面曲線における粗さ成分を除去した波長成分である。本発明者の検討によれば、磁性層表面を形成する各波長成分の中で、とくに50μm以上の波長成分が、エラーレートに影響を及ぼしていることが分かった。したがって本発明では、ハイパスフィルタ(HPF)50μmのフィルタ処理を行うことにより、磁性層表面から50μm以上の波長成分を抽出している。なお前記表面うねりの平均面とは、50μm以上の波長成分を有する表面うねりの体積が等しくなる面のことである。また、表面うねり(%)は、1サンプルあたり10箇所を測定しその平均値を用いる。
磁性層に含まれる強磁性粉末としては、強磁性金属粉末および六方晶系フェライト粉末が挙げられ、中でも強磁性金属粉末が好ましい。またその粒子サイズは、平均長軸長として好ましくは10〜70nmであり、さらに好ましくは10〜45nmである。強磁性粉末の粒子サイズを以上のようにすることにより、強磁性粉末の充填度が高まり、磁気記録媒体の高密度記録特性を高めることができる。
本発明における磁性層に用いられる強磁性金属粉末は、Feを主成分とするもの(合金も含む)であれば特に限定されないが、α−Feを主成分とする強磁性合金粉末であることが好ましい。この強磁性粉末は、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。前記α−Fe以外にAl、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの群から選ばれる少なくとも1つを含むものが好ましく、特に、Co、Al、Yが含まれるのが好ましい。さらに具体的には、CoがFeに対して10〜40原子%、Alが2〜20原子%、Yが1〜15原子%含まれるのが好ましい。
また、これらの強磁性金属粉末には分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。また、強磁性金属粉末は、少量の水、水酸化物又は酸化物を含むものであってもよい。
針状強磁性金属粉末の場合、平均長軸長は、好ましくは10〜70nmであり、さらに好ましくは10〜45nmである。針状比は2〜7が好ましく、さらに好ましくは5〜7である。強磁性金属粉末の粒子サイズを以上のようにすることにより、強磁性金属粉末の充填度が高まり、磁気記録媒体の高密度記録特性を高めることができる。
強磁性金属粉末の結晶子サイズは8〜20nmが好ましく、10〜18nmであることがより好ましく、12〜16nmであることがさらに好ましい。この結晶子サイズは、X線回折装置(理学電機製RINT2000シリーズ)を使用し、線源CuKα1、管電圧50kV、管電流300mAの条件で回折ピークの半値幅からScherrer法により求めた平均値である。
この範囲であれば良好な表面性と低いノイズの両立が可能となる。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜12が好ましく、より好ましくは7〜10である。強磁性金属粉末は必要に応じ、Al、Si、P又はこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末に対し0.1〜20%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。
磁性体自体のSFD(switching field distribution)は小さい方が好ましく、0.8以下であることが好ましい。SFDが0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高く、また磁化反転がシャープでピークシフトが小さくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hc分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲータイトの粒度分布を良くする、単分散αFe2O3を使用する、粒子間の焼結を防止するなどの方法がある。
強磁性六方晶系フェライト粉末には、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、それらのCo等の置換体等がある。より具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部にスピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、S,Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には、Co−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加した物を使用できる。また原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
抗磁力(Hc)は、粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層に用いられる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂及びこれらの混合物が使用される。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものである。このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエ−テル等を構成単位として含む重合体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。
本発明における磁性層には、必要に応じて、カーボンブラックを含有させることができる。カーボンブラックは、磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って、本発明の磁気記録媒体が多層構成の場合には、磁性層を始め各層でその種類、量、組み合わせを変え、粒子径、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。
本発明において磁性層に添加できるその他の添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などを有するものを用いることができる。
例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)およびこれらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用できる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層には、前記のフェニルホスホン酸やベンジルホスホン酸などの有機リン酸化合物が分散剤として添加され得る。
一般には添加剤の総量として、磁性層の強磁性粉末に対し、0.1質量%〜50質量%、好ましくは2質量%〜25質量%の範囲で選択される。なお、本発明の磁気記録媒体の塗布層において、遊離P量を制御するのが好ましいことは、前述のとおりである。
本発明に用いられる非磁性支持体では可撓性支持体が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリオレフイン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミドなどの芳香族ポリアミドなどの公知のフィルムが使用できる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などをおこなってもよい。本発明の目的を達成するには、支持体として中心線平均表面粗さが通常、0.03μm以下、好ましくは0.02μm以下、さらに好ましくは0.01μm以下のものを使用することが好ましい。また、これらの支持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。さらに表面の粗さ形状は、必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーとしては一例としてはCa、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末が挙げられる。
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3〜8μm、より好ましくは3〜6μmである。
本発明の磁気記録媒体として好ましいのは、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性無機粉末と結合剤を含む非磁性層を有する磁気記録媒体である。
非磁性無機粉末は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物や非磁性金属から選択することができる。
非磁性層の厚みは、好ましくは0.5〜3μm、より好ましくは0.5〜2μmである。非磁性層の厚さは、磁性層よりも厚くすることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、例えば、乾燥後の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行下にある非磁性支持体の表面に各塗料を塗布することによって製造することができる。複数の磁性層形成用塗料および非磁性層形成用塗料を逐次または同時に重層塗布してもよい。
[上層磁性層形成用塗布液及び下層非磁性層形成用塗布液の調製]
<上層磁性層形成用成分>
強磁性金属粉末 組成 Fe/Co=100/30(原子比) 100部
Hc:189.600kA/m(2400 Oe)
SBET:62m2/g
平均長軸長:45nm
結晶子サイズ:11nm(110Å)
飽和磁化量σs :117A・m2/kg(117emu/g)
pH:9.3
Co/Fe:25原子%
Al/Fe:7原子%
Y/Fe:12原子%
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン(株)製MR−110) 12部
−SO3Na含有量:5×10-6eq/g)、重合度:350
エポキシ基(モノマー単位で3.5質量%)
ポリエステルポリウレタン樹脂 3部
東洋紡製UR−8200
α−アルミナ(平均粒子径:0.1μm) 5部
カーボンブラック(平均粒子径:0.08μm) 0.5部
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 90部
シクロヘキサン 30部
トルエン 60部
非磁性粉体 αFe2O3 ヘマタイト 80部
平均長軸長:0.15μm
SBET:58m2/g
平均針状比:7.5
カーボンブラック(三菱カーボン(株)製) 20部
平均一次粒子径:16nm
DBP吸油量:80ml/100g
pH:8.0
SBET:250m2/g
揮発分:1.5%
塩化ビニル系共重合体 12部
日本ゼオン製MR-110
ポリエステルポリウレタン樹脂 12部
東洋紡製UR−8200
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 150部
シクロヘキサン 50部
トルエン 50部
3官能ポリエーテルアクリレート(分子量:584、粘度980cP(0.98Pa.s))を、メチルエチルケトンに、前記アクリレートが30質量%になるように加えた。
<バック層形成用成分>
微粒子カーボンブラック 100部
平均粒子径:17nm
粗粒子カーボンブラック 10部
平均粒子径:270nm
ニトロセルロース樹脂 100部
ポリエステルポリウレタン樹脂 30部
分散剤
オレイン酸銅 10部
銅フタロシアニン 10部
硫酸バリウム(沈降性) 5部
メチルエチルケトン 500部
トルエン 500部
α−アルミナ(平均粒子径:0.13μm) 0.5部
得られた上記下塗り層形成用塗布液を、乾燥後の厚さが0.5μmになるようにコイルバーを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製非磁性支持体(厚み:6μm、磁性層が塗布される面の表面うねり20%)上の磁性層塗布面側に塗布したあと、乾燥させ、塗膜表面に加速電圧150kVの電子線を吸収線量が1Mradになるように照射し硬化させた。
次に、得られた上層磁性層形成用塗布液と下層非磁性層形成用塗布液を乾燥後の下層の厚さが1.4μmとなるように、またこの上に乾燥後の磁性層の厚みが0.15μmとなるように下塗り層上に同時重層塗布を行った。
次いで両層がまだ湿潤状態にあるうちに、3000ガウス(300mT)の磁束密度を持つコバルト磁石と1500ガウス(150mT)の磁束密度を持つソレノイドを用いて配向処理を行った。その後乾燥させることにより、非磁性層及び磁性層を形成した。
その後、該支持体の他方の側に、上記バック層形成用塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布し、乾燥してバック層を設けて、支持体の一方の面に非磁性層と磁性層とが、そして他方の面にバック層がそれぞれ設けられた磁気記録積層体ロールを得た。
得られた磁気記録積層体ロールを加熱金属ロールと熱硬化性樹脂を芯金に被覆した弾性ロールから構成される7段のカレンダー処理機(温度90度、線圧300kg/cm(294kN/m)、速度300m/分)に通してカレンダー処理を行った。次いでカレンダー処理後の磁気記録積層体ロールを0.5インチ幅にスリットした後、3000ガウス(300mT)の磁束密度を持つソレノイド中を通過させ消磁し、磁気テープを得た。
実施例1において、下塗り層形成用塗布液のアクリレートを6官能ポリエーテルアクリレート(分子量:593、粘度6800cP(6.8Pa.s))に変更する以外は実施例1を繰り返した。
実施例1において、下塗り層形成用塗布液のアクリレートを5官能ポリエーテルアクリレート(分子量:525、粘度13600cP(13.6Pa.s))に変更する以外は実施例1を繰り返した。
実施例1において、下塗り層用塗布液のアクリレートを2官能ポリウレタンアクリレート(分子量:2300、粘度45000cP(45Pa.s))に変更する以外は実施例1を繰り返した。
〔比較例2〕
実施例1において、カレンダ処理の線圧を400kg/cm(392kN/m)に変更する以外は実施例1を繰り返した。
各例で得られた磁気テープを下記の測定条件に従って評価した。結果を表1に示す。
本実施例において、表面うねりは、下記の測定条件により測定された値であり、1サンプルにつき10箇所測定し、その平均値を用いた。
測定機器:ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5022
測定方法:走査型白色光干渉法
Z方向のScan Length:5μm
測定時のサンプルテンション:1/2インチ当たり100g
測定視野面積:700μm×522μm(対物レンズ:20倍、イメージズーム:0.5倍)
フィルタ処理:ハイパスフィルタ(HPF)50μm、ローパスフィルタ(LPF)OFF
表面うねり(%):[{(磁性層の表面うねりの平均面から高さ方向5nmの位置で該平均面と平行にスライスした時のスライス面の面積の合計)+(磁性層の表面うねりの平均面から深さ方向5nmの位置で該平均面と平行にスライスした時のスライス面の面積の合計)}(μm2)/前記測定視野面積(μm2)]×100(%)
ドロップアウト(DO)の測定はドラムテスタを用いて行った。1.5TのMIGヘッドを用いて記録波長0.3μmの信号を書き込み、MRヘッドで再生しスペクトルアナライザで得られた出力を求め、出力が50%落ちたものをドロップアウトとしてカウントし、1m当たりのDO数に換算した。5個/m以下をドロップアウト良好とした。
4mmφのSUS420Jに磁性層面を接触させるように180度の角度でテープを渡し、荷重50g、20mm/sの条件で摺動させて、500パス走行後の磁性層表面の削れを肉眼および実体顕微鏡にて観察し、その度合いを下記の通り評価した。
○:削れが観察されなかった。
×:削れあり。
Claims (6)
- 非磁性支持体上に、強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を少なくとも設けた磁気記録媒体において、下記の測定条件で測定される磁性層の表面うねりが3〜15%であることを特徴とする磁気記録媒体。
測定条件
測定機器:ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5022
測定方法:走査型白色光干渉法
Z方向のScan Length:5μm
測定時のサンプルテンション:1/2インチ当たり100g
測定視野面積:700μm×522μm(対物レンズ:20倍、イメージズーム:0.5倍)
フィルタ処理:ハイパスフィルタ(HPF)50μm、ローパスフィルタ(LPF)OFF
表面うねり(%):[{(磁性層の表面うねりの平均面から高さ方向5nmの位置で該平均面と平行にスライスした時のスライス面の面積の合計)+(磁性層の表面うねりの平均面から深さ方向5nmの位置で該平均面と平行にスライスした時のスライス面の面積の合計)}(μm2)/前記測定視野面積(μm2)]×100(%) - 前記非磁性支持体と前記磁性層との間に、非磁性無機粉末を結合剤中に分散してなる非磁性層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
- 前記強磁性粉末が強磁性金属粉末であり、平均長軸長が20nm〜70nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層厚みが0.01μm以上0.15μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
- 非磁性支持体上に強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を少なくとも設けた磁気記録媒体を用い、情報の記録または再生を行う磁気記録再生方法において、前記磁気記録媒体が、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体であるとともに、情報の再生手段として、磁気抵抗効果型素子を使用した再生ヘッドが用いられることを特徴とする磁気記録再生方法。
- 前記情報の記録波長が0.05μm以上0.30μm以下であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録再生方法。
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