JP2005293787A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005293787A
JP2005293787A JP2004110899A JP2004110899A JP2005293787A JP 2005293787 A JP2005293787 A JP 2005293787A JP 2004110899 A JP2004110899 A JP 2004110899A JP 2004110899 A JP2004110899 A JP 2004110899A JP 2005293787 A JP2005293787 A JP 2005293787A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic layer
layer
recording medium
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004110899A
Other languages
English (en)
Inventor
Masatoshi Takahashi
昌敏 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2004110899A priority Critical patent/JP2005293787A/ja
Publication of JP2005293787A publication Critical patent/JP2005293787A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

【課題】 MRヘッドを組み合わせた記録再生システムにおいても電磁変換特性が良好で、特に高密度記録領域でのC/NまたはS/Nが格段に改良された磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 支持体上に、放射線硬化樹脂層を有し、その上に磁性層を有する磁気記録媒体において、該放射線硬化樹脂層の厚みが0.10〜1.0μmであり、該磁性層の厚みが0.2μm以下、該磁性層表面の原子間力顕微鏡(AFM)により測定される30nm以上の突起数が100個/900μm2以下、該磁性層の磁化反転体積が0.1×10-17〜5×10-17ml、該磁性層の抗磁力が2000エルステッド(159.2KA/m)以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、支持体の上に平滑層を設け、その上に直接、磁性層を形成する磁気記録媒体であって、ノイズの低い極めて優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体に関するものである。
磁気ディスクの分野において、Co変性酸化鉄を用いた2MBのMF−2HDフレキシブルディスクがパーソナルコンピューターに標準搭載されるようになった。しかし扱うデータ容量が急激に増加している今日において、その容量は十分とは言えなくなり、フレキシブルディスクの大容量化が望まれていた。
また磁気テープの分野においても近年、ミニコンピューター、パーソナルコンピューター、ワークステーションなどのオフィスコンピューターの普及に伴って、外部記憶媒体としてコンピューターデータを記録するための磁気テープ(いわゆるバックアップテープ)の研究が盛んに行われている。このような用途の磁気テープの実用化に際しては、とくにコンピューターの小型化、情報処理能力の増大と相まって、記録の大容量化、小型化を達成するために、記録容量の向上が強く要求される。
従来、磁気記録媒体には酸化鉄、Co変性酸化鉄、CrO2、強磁性金属粉末(MP)、六方晶系フェライト粉末を結合剤中に分散した磁性層を非磁性支持体に塗設したものが広く用いられる。この中でも強磁性金属微粉末と六方晶系フェライト微粉末は高密度記録特性に優れていることが知られている。ディスクの場合、高密度記録特性に優れる強磁性金属微粉末を用いた大容量ディスクとしては10MBのMF−2TD、21MBのMF−2SDまたは六方晶フェライトを用いた大容量ディスクとしては4MBのMF−2ED、21MBフロプティカルなどがあるが、容量、性能的に十分とは言えなかった。このような状況に対し、高密度記録特性を向上させる試みが多くなされている。例えば、LS−120やZIPなどの100M〜120M等の高容量で高密度の記録が実現され、さらに面記録密度で0.2Gbit/inch2以上もの高密度記録が要求されつつある。また、アクセス時間を短くすると言う要請からディスクの回転数もより高速になる傾向がある。
このような高密度で高回転または高転送の磁気記録媒体にあっては、安定な記録再生を維持するためには従来の媒体よりもさらに高度な走行性及び耐久性が要求される。以下、塗布型磁気記録媒体において記録密度と走行耐久性とを主に改善するために提案された先行技術について述べる。
例えば、特許文献1(特開平6−52541号公報)には、磁性層表面の研磨剤の平均突起高さを15nm以下とした磁気テープを開示し、ヘッド磨耗、ヘッド汚れを改善し、電磁変換特性と耐久性とを両立させる旨の記載がある。特許文献2(特開平6−12651号公報)は、磁性層のRaが15nm以下で、30nm以上の突起が125,000〜250,000ケ/mm2分布する磁性層であって、磁性層中の潤滑剤量を示した磁気ディスクを開示している。
特許文献3(特開平6−309650号公報)には、潤滑剤を磁性粉100質量部に対し8〜30質量部含有し、磁性層の最も高い突起から20nm低い面よりも高い突起の数が400〜2,500ケ/mm2とした磁気記録媒体、即ち、磁性層中の潤滑剤量と磁性層面の特定の高さの突起の存在密度を特定することにより、走行安定性を確保しようとする磁気記録媒体、特に磁気ディスクを開示している。
ところで、従来、電磁誘導を動作原理とする磁気ヘッド(誘導型磁気ヘッド)が用いられ普及している。だが更に高密度記録再生領域で使用するには限界が見え始めている。す
なわち、大きな再生出力を得るためには再生ヘッドのコイル巻数を多くする必要があるがインダクタンスが増加し高周波での抵抗が増加し結果として再生出力が低下する問題があった。
これに対し、近年、磁気抵抗(MR)を動作原理とする再生ヘッド(MRヘッド)が提案され、ハードディスク等で使用され始めている。また、特許文献4(特開平8−227517号公報)には磁気テープへの応用が提案されている。MRヘッドは誘導型磁気ヘッドに比較して数倍の再生出力が得られ、かつ誘導コイルを使用しないため、インビーダンスノイズ等の機器ノイズが大幅に低下し、磁気記録媒体のノイズを下げることで大きなSN比又はCN比を得ることが可能になってきた。換言すれば従来機器ノイズに隠れていた磁気記録媒体ノイズを小さくすれば良好な記録再生が行え、高密度記録特性が飛躍的に向上できることになる。
ところがMRヘッドは、微小な熱の影響を受けてノイズ(サーマルノイズ)を発生するという問題がある。特にMRヘッドは、磁性層表面にある突起に当たるとその影響で突発的に、かつ持続してノイズが増大するという問題があり、デジタル記録の場合、エラー補正が不可能なほどの問題を起こすことがある。このサーマルノイズの問題は、記録密度が0.5Gbit/inch2以上の記録信号を再生するシステムに供される磁気記録媒体において深刻となり、磁気記録媒体サイドからこの問題が解決されることが期待されていた。
上記MRヘッドにおける課題を磁気記録媒体を改良することにより解決しようとする試みもなされている。一つは磁性層の表面を制御することであり、そのための手段として支持体の表面性を制御することが行われてきている。例えば、特許文献5(特許第2938548号公報)及び特許文献6(特許第2938549号公報)には、支持体上にポリウレタン被覆層を設けたものが、特許文献7(特公平5−57647号公報)には、支持体上に放射線照射により重合する化合物からなる層を設けたものを提案している。しかし、前者の先行技術は、製造される支持体が高価であり、かつ平滑性が不十分である。更に、前者および後者の先行技術とも平滑化された支持体を一旦ロール状に巻き取り、その巻き取ったロールを別に設けられた磁性層等の機能層を設ける塗布あるいは蒸着等の工程で再び送り出すことが想定されている。しかし、平滑化された支持体はハンドリングが困難で特に巻き取る際にはしわが発生し易く、生産性、歩留まりが著しく低下するという問題があった。また、上記公報の開示されている磁性層の特性では高い記録密度に対応する特性が得られない。
もう一つは磁性層の厚み、磁気特性等を制御する方法である。例えば、特許文献8(特開平10−228622号公報)は、面記録密度が0.2〜2Gbit/inch2の信号を記録する、乾燥磁性層厚み0.05〜0.20μm、Hc1800Oe以上、支持体の中心面平均粗さ4.0nm以下の六方晶フェライトを使用した磁性層と非磁性層とを有する磁気記録媒体を開示する。この公報では、この磁気記録媒体が優れた高密度特性と耐久性を併せもつ旨が記載されている。また、特許文献9(特開平10−302243号公報)は、MRヘッドで再生する磁気記録再生システムに供される磁性層と非磁性層とを有する磁気記録媒体を開示する。そして、この公報では、この磁気記録媒体が0.5〜2Gbit/inch2の面記録密度で記録でき、かつ優れた耐久性を確保し得る旨が記載されている。
しかし、特許文献10(特開平10−228622号公報)及び特許文献11(特開平10−302243号公報)に開示される磁気記録媒体は、いずれも支持体上に直接、非磁性層を塗布しその上に磁性層を積層した重層構造を有する磁気記録媒体である。しかし同時重層塗布方式で製造した磁気記録媒体は、上下層界面に乱れが生じ、これがノイズの原因になるためMRヘッドを用いたシステムではSNの低下につながる。逐次塗布方式で
は上下層の界面の乱れは防止できるが磁性層塗料と非磁性層塗料用の二つのコーターが必要であり、設備投資額が同時重層塗布方式に比べ高くなる。また操作及び保守の面でも同時重層塗布方式に比べ困難となる。特許文献12(特開2003−263716号公報)では支持体上に直接、磁性層を塗布する方式で上記課題を改善している。しかし、高記録密度化の要請が高まる中、更なる電磁変換特性の向上が望まれている。
特開平6−52541号公報 特開平6−12651号公報 特開平6−309650号公報 特開平8−227517号公報 特許第2938548号公報 特許第2938549号公報 特公平5−57647号公報 特開平10−228622号公報 特開平10−302243号公報 特開平10−228622号公報 特開平10−302243号公報 特開2003−263716号公報
本発明はMRヘッドを組み合わせた記録再生システムにおいても電磁変換特性が良好で、特に高密度記録領域でのC/NまたはS/Nが格段に改良された磁気記録媒体を目的とする。
支持体上に、放射線硬化樹脂層を有し、その上に磁性層を有する磁気記録媒体において、該放射線硬化樹脂層の厚みが0.10〜1.0μmであり、該磁性層の厚みが0.2μm以下、該磁性層表面の原子間力顕微鏡(AFM)により測定される30nm以上の突起数が100個/900μm2以下、該磁性層の磁化反転体積が0.1×10-17〜5×10-17ml、該磁性層の抗磁力が2000エルステッド(159.2KA/m)以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
上記磁気記録媒体は、磁気抵抗型磁気ヘッドによる磁気記録再生システム用に、即ち、磁性層に磁気記録された信号を磁気抵抗型磁気ヘッド(MRヘッド)で再生する磁気記録再生システムに好適に用いることができる。
MRヘッドは、誘導型磁気ヘッドに比べて数倍の再生出力が得られ、またMRヘッドは誘導コイルを用いていないため、インピーダンスノイズ等の機器ノイズを大幅に低減できる。本発明の磁気記録媒体は、このMRヘッドと組み合わせた記録再生システムで用いられるものであり、MRヘッドで再生する場合にノイズを低く抑えることができるものである。本発明の磁気記録媒体に用いられる磁気ヘッドは、MRヘッドであれば、特に限定されるものではない。例えば、AMRヘッド、GMRヘッド等が好適に用いられる。
上記特定の構成の磁気記録媒体において、特に放射線硬化樹脂層のクッション効果が効果的に働き、ヘッド当たりが良好となるものと考えられ、これにより電磁変換特性、特に高密度記録領域でのC/NまたはS/Nが、格段に改良される。
〔放射線硬化樹脂層〕
本発明の磁気記録媒体が支持体上有する放射線硬化樹脂層の厚みは0.10〜1.0μm、好ましくは0.3〜0.7μmである。このような放射線硬化樹脂層により格段に電磁変換特性が改善される。これは、放射線硬化樹脂層の存在によりMRヘッドとの当たりが向上したためと考えられる。
〔磁性層の厚み〕
本発明の磁気記録媒体における磁性層の厚みは、高容量で高密度の磁気記録媒体を得るため、減磁損失の観点から0.2μm以下であり、好ましくは0.01〜0.15μmであり、さらに好ましくは0.01〜0.10μmである。均一かつ薄層である超薄層磁性層は、微粒子状の磁性体を分散性の高い結合剤と組み合わせることにより高度の分散が得られるため、高充填化を図ることができる。使用される磁性体は、大容量FDやコンピューターテープの適性を最大限に引き出すために、高出力、高分散性、高ランダマイズ性に優れた強磁性粉末を使用している。すなわち、強磁性粉末として、好ましくは非常に微細でかつ高出力を達成できる強磁性金属粉末又は六方晶フェライト粉末を用いることで、高出力及び高耐久性を達成できる。さらに高転送レートを実現するために超薄層磁性層に適した3次元ネットワークバインダーシステムを用い、高速回転時における走行の安定性、耐久性を確保できる。
〔突起数〕
本発明の磁気記録媒体における磁性層表面は、AFMにより測定される30nm以上の高さの突起数(以下、「N30nm」とも記す)が100個/900μm2以下である。このN30nmは、AFMで測定され、N30nmは100個/900μm2 以下であるが、好ましくは50個/900μm2 以下であり、さらに好ましくは30個/900μm2 以下である。 N30nmは、少ないほど好ましく、その下限値は0である。また、同じく、磁性層表面のAFMにより測定される10nm以上の高さの突起数(以下、「N10nm」とも記す)は、好ましくは500〜10000個/900μm2 であり、さらに好ましくは1000〜5000個/900μm2 である。N30nmが100個/900μm2 以下であれば磁気記録媒体自体のノイズの増加を抑えることができ、MRヘッドで再生したときに高SN比又は高CN比を得ることができる。また、N10nmが500個/900μm2以上であれば安定した走行耐久性が得られる。
本発明における磁性層表面の突起数を調節するためには、磁性層中に含まれる粒状成分、すなわち、強磁性粉末、研磨剤、カーボンブラックなどの粒子サイズを従来のものよりさらに小さくし、その上で磁性塗料における粉体の分散度を高度に保つことが重要である。
支持体の表面形状は、光干渉式表面粗さ測定器(TOPO−3D)による中心面平均表面粗さRaとして、ハンドリングや走行耐久性等の観点から、通常8nm以下、好ましくは4nm以下であり、より好ましくは2nm以下であることが有効である。本発明の支持体の表面処理は、カレンダの圧力と温度を高くして行うことが好ましい。また、この際のカレンダ処理ロールは、金属ロール−プラスチックロールではなく、金属ロール−金属ロール構成のカレンダロールであることが好ましい。
本発明における磁性層の突起数の調整手段は、上記手段に限定されるものではなく、その他、従来公知の手段、例えば、カレンダ処理、研磨テープ、繊維等によるバーニッシュ処理、切削刃による処理等を用いることもできる。
〔磁化反転体積〕
本発明の磁気記録媒体における磁性層の磁化反転体積Vは、0.1×10-17〜5×10-17ml の範囲であるが、強磁性粉末が強磁性金属粉末である場合は、好ましくは0.1×10-17 〜4×10-17mlの範囲であり、さらに好ましくは0.5×10-17 〜3.5×10-17mlである。また、強磁性粉末が六方晶フェライト粉末である場合は、好ましくは0.1×10-17 〜3×10-17ml の範囲である。磁性層の磁化反転体積Vが0.1×10-17 ml以上であれば、ノイズを低くした状態で、安定した出力を得ることができる。一方、磁性層の磁化反転体積Vが5×10-17 ml以下であれば、ノイズを低くすることができ、MRヘッドの特徴を生かすことができる。
本発明における磁性層の磁化反転体積Vは、以下の式により求めることができる。振動試料型磁束計(VSM)を用いてHc測定部の磁場スイープ速度を5分と30分で測定し、以下の熱揺らぎによるHcと磁化反転体積Vの関係式からVを求めることができる。
Hc=(2K/Ms){1−[(kT/KV)ln(At/0.693)]1/2
K:異方性定数 Ms:飽和磁化 k:ボルツマン定数 T:絶対温度V:磁化反転体積 A:スピン歳差周波数 t:磁界反転時間磁化反転体積Vは、強磁性粉末の粒子サイズ、特にノイズに影響を与える粒子サイズと相関していると考えられる。磁化反転体積Vの制御手段としては、強磁性粉末の粒子サイズ(例えば、粒子体積)、磁気特性、磁性層での配向等を調整することが挙げられる。
強磁性粉末の粒子体積は、強磁性金属粉末の場合、好ましくは0.5×10-17ml〜3.5×10-17mlであり、さらに好ましくは0.5×10-17ml〜2.5×10-17ml の範囲である。また、六方晶フェライト粉末の場合、好ましくは0.1×10-17ml〜3.0×10-17mlであり、さらに好ましくは0.1×10-17ml〜1.5×10-17ml の範囲である。
〔抗磁力〕
本発明の磁気記録媒体における磁性層の抗磁力Hcは、159.2kA/m(2000Oe)以上である。Hcが159.2kA/m以上であれば、0.5Gbit/inch2以上の高記録密度を達成することができる。磁性層の抗磁力Hcは好ましくは159.2〜318.4kA/m(2000〜4000Oe)であり、さらに好ましくは159.2〜238.8kA/m(2000〜3000Oe)である。
マルチメデイア社会になり、画像記録へのニーズは産業界のみならず家庭でも益々強くなっている。本発明の磁気記録媒体は、単に文字、数字などのデータ以外に、画像記録用媒体としての機能/コストの要請に十分応えられる能力を持つものである。本発明の磁気記録媒体は、長期信頼性に富み、また単層磁性層構造で大容量記録を実現できるため、コストパフォーマンスに優れているものである。
次に本発明の磁気記録媒体の放射線硬化樹脂層、磁性層、支持体、層構成、製法及び物理特性についてさらに詳細に説明する。
〔1〕放射線硬化樹脂層
本発明の磁気記録媒体が有する放射線硬化樹脂層は、例えば、放射線硬化型化合物を含有する塗布液を支持体上に塗布、放射線を照射することにより形成することができる。
放射線硬化型化合物としては、例えば、放射線官能性2重結合を有する化合物であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などが挙げられる。この中でもアクリレート化合物、メタクリレート化合物が好ましい。
これらの放射線硬化型化合物の具体例としては、脂肪族ジオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたもの、例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート
、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどがあげられる。また、シクロヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジオールジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジメタクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、水素化ビスフェノールFのジアクリレート、水素化ビスフェノールFのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、など脂環族ジオールのアクリレート化合物、メタクリレート化合物。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、などポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールにアクリル酸或いは、メタクリル酸を付加したポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレートを挙げることができる。
また、公知の二塩基酸、グリコールから得られたポリエステルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートも用いることができる。公知のポリオール、ジオールとポリイソシアネートを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレートを用いてもよい。
ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレートなども用いることができる。
3官能の化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリメタクリレートなどを用いることができる。
更に4官能以上としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレートなどの化合物を用いることができる。
本発明では、特にアクリル酸2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−[1,3]ジオキサン−5−イソメチルエステル(25℃の粘度:285mPa・s(B型粘度測定法による))を用いることで、塗布適性ベースの突起マスキング効果が顕著に表われることを確認した。この樹脂を用いることで、よりベース平滑化が可能になる。
官能基数が多過ぎるかあるいは官能基濃度が高過ぎると硬化収縮が大きく、支持体との密着力が低下し好ましくない。
分子量は2000以下の比較的低分子のものが好ましい。更に好ましくは分子量1000以下である。分子量が低い方が、粘度が低くレベリングが高いので平滑性が向上する。
最も好ましいものは分子量200〜600の2官能のアクリレート化合物、メタクリレート化合物である。
このような放射線硬化型化合物として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1’−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジアクリレートなどを挙げることができる。
これらの放射線硬化型化合物は任意の割合で混合して使用することができる。
放射線硬化型化合物の25℃における粘度は、10,000Pa・sec以下が好ましい。更に好ましくは100〜9,000Pa・sec、最も好ましくは500〜8,000Pa・secである。10,000Pa・secよりも粘度が高いと十分な平滑性が得られない場合がある。粘度はB型粘度測定法により測定することができる。
なお、放射線硬化型化合物の物性や硬化反応を調整する機能を有する反応性希釈剤を添加することができる。
反応性希釈剤としては、例えば、1官能アクリレートまたはメタクリレート化合物を挙げることができ、「低エネルギー電子線照射の応用技術(2000年 (株)シーエムシー発行)」及び「UV・EB硬化技術(1982年 (株)総合技術センター発行)」などに記載されている公知の1官能アクリレートまたはメタクリレート化合物を使用することができる。
反応性希釈剤としては脂環式炭化水素骨格を持つアクリレート化合物が好ましい。具体的な例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
反応性希釈剤の配合量は前記の2官能以上の放射線硬化型化合物に対して10質量%〜90質量%が好ましい。
下塗り液は、上記放射線硬化型化合物、必要により反応性希釈剤などを、必要により溶媒に溶解して調製することができる。下塗り液の粘度は、5〜200mPa・sが好ましい。溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、エタノール、トルエン等が好ましい。下塗り液は、支持体上に塗布、乾燥後、放射線照射され、硬化し、下塗り層(放射線硬化層)を形成する。その下塗り層の硬化後のガラス転移温度Tgは、80〜150℃が好ましく、更に好ましくは100〜130℃である。即ち、塗布工程における粘着故障を防止する点でTg80℃以上が好ましく、塗膜強度の点でTg150℃以下が好ましい。
(放射線硬化)
上記下塗り液を支持体上に塗布、乾燥して形成された塗膜に対して、放射線照射を行うことにより、放射線硬化樹脂層を形成する。
本発明において使用される放射線は、電子線や紫外線などを用いることができる。
電子線硬化の場合は重合開始剤が不要であり、透過深さも深いので好ましい。電子線加速器としてはスキャニング方式、ダブルスキャニング方式あるいはカーテンビーム方式が採用できるが、好ましいのは比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が通常、30〜1000kV、好ましくは50〜300kVであり、吸収線量として通常、5〜200kGy(0.5〜20Mrad)、好ましくは20〜100kGy(2〜10Mrad)である。加速電圧が30kV未満の場合はエネルギーの透過量が不足し、300kVを超えると重合に使われるエネルギーの効率が低下し経済的でない。電子線を照射する雰囲気は窒素パージにより酸素濃度を200ppm以下にすることが好ましい。酸素濃度が高いと表面近傍の架橋、硬化反応が阻害される。
紫外線光源としては、水銀灯が用いられる。水銀灯は一般に20〜240W/cmのランプを用い、速度0.3m/分〜20m/分で使用される。基体と水銀灯との距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。
なお、紫外線を使用する場合には下塗り液に光重合開始剤を添加することが必要となる。紫外線硬化に用いる光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤が用いられる。詳細は例えば「新高分子実験学第2巻 第6章 光・放射線重合」(共立出版1995発行、高分子学会編)記載されているものを使用できる。具体例としては、アセトフエノン、ベンゾフエノン、アントラキノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフエニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフエニルケトン、2−2ジエトキシアセトフエノン、などがある。光重合開始剤の混合比率は、放射線硬化化合物100質量部に対し通常、0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。放射線硬化装置、条件などについては「UV・EB硬化技術」((株)総合技術センタ−発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
〔2〕磁性層
磁性層は強磁性粉末及び結合剤を主体として含有する層である。
<強磁性粉末>
本発明の磁性層に使用する強磁性粉末としては、特に制限されるべきものではないが、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末、六方晶フェライト粉末が好ましい。
(強磁性金属粉末)
強磁性金属粉末としては、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末が好ましい。強磁性金属粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくとも一つを含むことがさらに好ましい。Coの含有量はFeに対して0原子%以上40原子%以下が好ましく、さらに好ましくは15原子%以上35%以下、より好ましくは20原子%以上35原子%以下である。Yの含有量は1.5原子%以上12原子%以下が好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以上9原子%以下である。Alは1.5原子%以上12原子%以下が好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以上9原子%以下である。 これらの強磁性粉末には後述する分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。
具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−124
22号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号の明細書などに記載されている。
強磁性金属粉末には少量の水酸化物又は酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末は公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFe又はFe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩又はヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末は公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施したものでも用いることができる。
強磁性金属粉末をBET法による比表面積で表せば45〜80m2/gであり、好ましくは50〜70m2/gである。40〜80m2/gの範囲であればノイズを抑え、かつ良好な表面性を得ることができる。強磁性金属粉末の結晶子サイズは、80〜180Åであり、好ましくは100〜180Å、さらに好ましくは110〜175Åである。強磁性金属粉末の長軸長は0.01〜0.15μmであり、好ましくは0.03〜0.15μmであり、さらに好ましくは0.03〜0.12μmである。強磁性金属粉末の針状比は3〜15が好ましく、さらには5〜12が好ましい。強磁性金属粉末の飽和磁化(σs)は100〜180A・m2/kg(80emu/g)であり、好ましくは110〜170A・m2/kg(110〜170emu/g)、さらに好ましくは125〜160A・m2/kg(125〜160emu/g)である。強磁性金属粉末の抗磁力Hcは、159.2kA/m(2000 Oe)以上であり、159.2〜278.6kA/m(2000〜3500 Oe)であることが好ましく、175.1〜238.8kA/m(2200〜3000 Oe)であることがさらに好ましい。
強磁性金属粉末の含水率は、0.01〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ましい。その範囲はpH4〜12であるが、好ましくはpH6〜10である。強磁性金属粉末は必要に応じ、Al、Si、P又はこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末に対し0.1〜10%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2 以下になり好ましい。強磁性金属粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的にない方が好ましいが、200ppm以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は空孔が少ないほうが好ましく、その値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。また形状については、先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFDは小さい方が好ましく、0.8以下が好ましい。強磁性金属粉末のHcの分布を小さくする必要がある。尚、SFDが0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hcの分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲータイトの粒度分布を良くする、焼結を防止するなどの方法がある。
(六方晶フェライト磁性粉末)
本発明に用いられる六方晶フェライトとしてバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等がある。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、Si、S,Sc、Ti、V,Cr、Cu,Y,Mo,Rh,Pd,Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P,Co,Mn,Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Zn、Co−Ti,Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn,Ni−Ti−Zn,Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加した物を使用することができる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
粒子サイズは、六角板径で10〜100nm、好ましくは10〜60nmであり、特に好ましくは10〜50nmである。特にMRヘッドで再生する場合、トラック密度を上げるため低ノイズにする必要があり、板径は40nm以下が好ましく、10nm以上であれば熱揺らぎによる磁化の不安定化を抑えることができる。また100nm以下であればノイズを抑えた好適な高密度磁気記録が得られるため好ましい。板状比(板径/板厚)は1〜15が望ましい。好ましくは1〜7である。板状比が小さいと磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性が得られない。15より大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが大きくなる。従って、板状比が1〜15の範囲であれば、十分な配向性が得られ、かつ、スタッキングの影響の抑えることができノイズを小さくすることができる。
また、六方晶フェライト粉末の上記粒子サイズ範囲のBET法による比表面積は、10〜100m2/gを示す。比表面積は、概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定する事で比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。たとえば酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。磁性体で測定される抗磁力Hcは通常39.8〜398kA/m(500〜5000 Oe)程度まで作成できる。抗磁力Hcは高い方が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。
六方晶フェライト磁性粉末の抗磁力Hcは、159.2〜318.4kA/m(2000〜4000Oe)程度であるが、好ましくは175.1〜278.6kA/m(2200〜3500Oe)以下である。ヘッドの飽和磁化が1.4テスラを越える場合は、175.1kA/m(2200Oe)以上にすることが好ましい。抗磁力Hcは粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σsは40〜80A・m2/kg(40〜80emu/g)である。飽和磁化σsは高い方が好ましいが、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。σs改良のためマグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合すること、含有元素の種類と添加量の選択等が知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。
六方晶フェライト粉末を分散する際に六方晶フェライト粉末の粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤としては無機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P等の酸化物又は水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。添加量は磁性体に対して0.1〜10%である。六方晶フェライト粉末のpHも分散に重要である。通常pH4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性か
らpH6〜11程度が選択される。六方晶フェライト粉末に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが、通常0.01〜2.0%が選ばれる。六方晶フェライトの製法としては、(a)酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、(b)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、(c)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。
(結合剤)
本発明の磁気記録媒体の磁性層で用いられる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1,000程度のものである。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等を構成単位として含む重合体又は共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。
これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。 以上の樹脂は単独又は組み合わせて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組み合わせ、又はこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものがあげられる。
ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2 、−O−P=O(OM)2 、(以上につきMは水素原子又はアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2 、−N+ 3(Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CNなどから選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合又は付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体的な例としては、ユニオンカーバイト社製VAGH,VYHH、VMCH,VAGF,VAGD,VROH,VYES,VYNC,VMCC,XYHL,XYSG,PKHH,PKHJ,PKHC,PKFE,日信化学工業
社製MPR−TA、MPR−TA5,MPR−TAL,MPR−TSN,MPR−TMF,MPR−TS,MPR−TM,MPR−TAO、電気化学社製1000W,DX80,DX81,DX82,DX83,100FD,日本ゼオン社製MR−104,MR−105,MR110,MR100,MR555,400X−110A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301,N2302,N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105,T−R3080,T−5201,バーノックD−400,D−210−80,クリスボン6109,7209、東洋紡社製バイロンUR8200,UR8300,UR−8700,RV530,RV280、大日精化社製ダイフェラミン4020,5020,5100,5300,9020,9022,7020,三菱化成社製MX5004,三洋化成社製サンプレンSP−150、旭化成社製サランF310,F210などがあげられる。
本発明の磁性層に用いられる結合剤は、強磁性粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量%、ポリイソシアネートは2〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみ又はポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは30〜90℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.49〜98MPa(0.05〜10Kg/mm2)、降伏点は0.49Pa〜98MPa(0.05〜10Kg/mm2)が好ましい。
本発明の磁気記録媒体の磁性層では、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じて変えることはもちろん可能であり、むしろ最適化すべきである。例えば、磁性層表面の擦傷を減らすためには磁性層の結合剤量を増量することが有効である。本発明における磁性層に含有される結合剤樹脂(硬化剤を含む)量は、強磁性粉末100質量部に対して好ましくは5〜40質量部、さらに好ましくは10〜30質量部の範囲である。
本発明における磁性層で用いられるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL,コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR,ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102,タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL,デスモジュールIL、デスモジュールN,デスモジュールHL,等がありこれらを単独又は硬化反応性の差を利用して二つ若しくはそれ以上の組み合わせで各層とも用いることができる。
本発明における磁性層で用いられる添加剤のすべて又はその一部は、磁性層用塗料製造のどの工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時又は逐次塗布で、添加剤の一部又は全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。また、目的によってはカレンダした後、又はスリット終了後、磁性層表面に
潤滑剤を塗布することもできる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層は、上記強磁性粉末及び結合剤の他に、さらに、カーボンブラック、研磨剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤などを適宜含むことができる。
(カーボンブラック、研磨剤)
本発明における磁性層にはカーボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。本発明の磁性層で用いられるカーボンブラックは、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5〜300nm(mμ)、好ましくは10〜250nm(mμ)、さらに好ましくは20〜200nm(mμ)である。pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800,700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化成工業社製#2400B、#2300、#900、#1000#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 150,50,40,15、RAVEN−MT−P、日本EC社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは、単独又は組み合わせで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合は、強磁性粉末に対する質量の0.1〜30%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。したがって、本発明における磁性層で用いられるこれらのカーボンブラックは、種類、量、組み合わせを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ最適化すべきものである。本発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧:カーボンブラック協会編」を参考にすることができる。
本発明の磁性層で用いられる研磨剤としては、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独又は組み合わせで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物又は元素が含まれる場合もあるが、主成分が90%以上であればその効果に違いはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.0μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの範囲である。特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/ml、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は、針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT20、HIT−30、HIT−55、HIT60、HIT70、HIT80、HIT100、レイノルズ社製ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製WA10000、上村工業社製UB20、日本化学工業社製G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製TF100、TF140、イビデン社製ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製B−3などが挙げられる。磁性層に添加する研磨剤の粒径及び量はむろん最適値に設定すべきものである。研磨剤は、強磁性粉末100質量部に対して通常2〜50質量部、好ましくは5〜30質量部の範囲で添加することができる。
(添加剤)
本発明における磁性層で使用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果などをもつものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステル及びそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも分岐していてもかまわない)、及びこれらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)又は炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール、(不飽和結合を含んでも分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステル又はジ脂肪酸エステル若しくはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。
これらの具体例としては脂肪酸では、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシジエチルステアレート、2ーエチルヘキシルステアレート、2ーオクチルドデシルパルミテート、2ーヘキシルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレート、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリデシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチルグリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレイル、アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、などがあげられる。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類などのカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤なども使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書(株)発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物 等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
本発明で使用される上記潤滑剤及び界面活性剤は、個々に異なる物理的作用を有するものであり、その種類、量及び相乗的効果を生み出す潤滑剤の併用比率は目的に応じ最適に定められる。例えば、沸点、融点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を多くして潤滑効果を向上させるなどの要因を考慮して潤滑剤及び界面活性剤を適宜調整することができるが、無論ここに示した例のみに限られるものではない。一般には潤滑剤の総量として強磁性粉末の質量に対して、0.1〜50%、好ましくは2〜25%の範囲で選択される。
磁性層用の塗料は、上記各成分に有機溶剤を加えて調整する。用いられる有機溶剤には特に制限はなく、公知のものを使用することができる。例えば、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。
これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。その添加量は変えてもかまわない。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
〔3〕支持体
本発明の磁気記録媒体に用いられる支持体は、特に制限されるべきものではないが、実質的に非磁性で可撓性のものが好ましい。
本発明で用いられる可撓性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリアラミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じ、磁性面とベース面の表面粗さを変えるため特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行ってもよい。また本発明で用いられる支持体として、アルミ又はガラス基板を適用することも可能である。
本発明の目的を達成するには、支持体としてWYKO社製TOPO−3Dのmirau法で測定した中心面平均表面粗さRaは8.0nm以下、好ましくは4.0nm以下、さらに好ましくは2.0nm以下のものが好ましい。これらの支持体は、単に中心面平均表面粗さRaが小さいだけではなく、0.5μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーの一例としては、Ca、Si、Tiな
どの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末が挙げられる。支持体の最大高さSRmaxは1μm以下、十点平均粗さSRzは0.5μm以下、中心面山高さはSRpは0.5μm以下、中心面谷深さSRvは0.5μm以下、中心面面積率SSrは10〜90%、平均波長Sλaは5〜300μmが好ましい。
所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールできるものであり、0.01〜1μmの大きさのもの各々を0.1mm2 あたり0個から2000個の範囲でコントロールすることができる。 本発明に用いられる支持体のF−5値は、好ましくは49〜490MPa(5〜50Kg/mm2 )、また、支持体の100℃30分での熱収縮率は、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は49〜980MPa(5〜100Kg/mm2 、弾性率は980〜19600MPa(100〜2000Kg/mm2)が好ましい。温度膨張係数は10-4〜10-8/℃であり、好ましくは10-5〜10-6/℃である。湿度膨張係数は10-4/RH%以下であり、好ましくは10-5/RH%以下である。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
〔4〕バックコート層
本発明の磁気記録媒体は、片面に磁性層を有するテープ状の磁気記録媒体である場合には、磁性層が設けられた非磁性支持体上の面とは反対側にバックコート層を設けることもできる。一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐久性を維持させるために、バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。
カーボンブラックは、平均粒子サイズの異なる二種類のものを組み合わせて使用することが好ましい。この場合、平均粒子サイズが10〜20nm(mμ)の微粒子状カーボンブラックと平均粒子サイズが230〜300nm(mμ)の粗粒子状カーボンブラックを組み合わせて使用することが好ましい。一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加により、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置によっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるため、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。一方、粒子サイズが230〜300nm(mμ)の粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有しており、またバックコート層の表面に微小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。しかし粗粒子状カーボンブラックは、過酷な走行系では、テープ摺動により、バックコート層からの脱落が生じ易くなり、エラー比率の増大につながる欠点を有している。
微粒子状カーボンブラックの具体的な商品としては、例えば、RAVEN2000B(18nm(mμ))、RAVEN1500B(17nm(mμ))(以上、コロンビアカーボン社製)、BP800(17nm(mμ))(キャボット社製)、PRINNTEX90(14nm(mμ))、PRINTEX95(15nm(mμ))、PRINTEX85(16nm(mμ))、PRINTEX75(17nm(mμ))(以上、デグサ社製)、#3950(16nm(mμ))(三菱化成工業(株)製)などを挙げることができる。また粗粒子カーボンブラックの具体的な商品の例としては、サーマルブラック(270mμ)(カーンカルブ社製)、RAVEN MTP(275mμ)(コロンビアカーボン社製)を挙げることができる。
バックコート層において、平均粒子サイズの異なる二種類のものを使用する場合、10
〜20nm(mμ)の微粒子状カーボンブラックと230〜300nm(mμ)の粗粒子状カーボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、95:5〜85:15の範囲である。バックコート層中のカーボンブラック(二種類のものを使用する場合には、その全量)の含有量は、結合剤100質量部に対して、通常30〜80質量部の範囲であり、好ましくは、45〜65質量部の範囲である。
無機粉末は、硬さの異なる二種類のものを併用することが好ましい。具体的には、モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉末とを使用することが好ましい。モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末を添加することで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもない。モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末としては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、特に、炭酸カルシウムが好ましい。またこの無機粉末の平均粒子サイズは、30〜50nm(mμ)の範囲にあることが好ましい。また、 バックコート層内の軟質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して10〜140質量部の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、35〜100質量部である。
モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加することにより、バックコート層の強度が強化され、走行耐久性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対しても劣化が少なく、強いバックコート層となる。またこの硬質無機粉末の添加により、適度の研磨力が付与され、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減する。特に軟質無機粉末(中でも、炭酸カルシウム)と併用すると、表面の粗いガイドポールに対しての摺動特性が向上し、バックコート層の摩擦係数の安定化も図ることができる。
モース硬度が5〜9の硬質無機質粉末としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化クロム(Cr2 3 )を挙げることができる。これらの粉末は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは併用してもよい。これらの内では、α−酸化鉄又はα−アルミナが好ましい。また、硬質無機粉末は、その平均粒子サイズが80〜250nm(mμ)、さらに好ましくは、100〜210nm(mμ)の範囲にあることが好ましい。また、硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して通常3〜30質量部であり、好ましくは3〜20質量部である。
バックコート層に前記軟質無機粉末と硬質無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉末との硬さの差が2以上(さらに好ましくは2.5以上、特に好ましくは3以上)であるように軟質無機粉末と硬質無機粉末とを選択して使用することが好ましい。
バックコート層には、前記それぞれ特定の平均粒子サイズを有するモース硬度の異なる二種類の無機粉末と、前記平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラックとが含有されていることが好ましい。特に、この組み合わせにおいて、軟質無機粉末として炭酸カルシウムが含有されていることが好ましい。
バックコート層には、潤滑剤を含有させることができる。潤滑剤は、前述した磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選択して使用できる。バックコート層において、潤滑剤は、結合剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範囲で添加される。
〔5〕層構成
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体が2〜100μm、好ましくは2〜80μmである。コンピューターテープの非磁性支持体は、3.0〜6.5μm、好ましくは、3.0〜6.0μm、さらに好ましくは、4.0〜5.5μmの範囲の厚さのものが使用される。
本発明は通常、非磁性支持体の両面に磁性層を有する磁気記録媒体(ディスク状磁気記録媒体)であっても、片面のみに磁性層を有する磁気記録媒体(テープ状磁気記録媒体)であってもかまわない。片面のみに磁性層を有する磁気記録媒体の場合、帯電防止やカール補正などの効果を出すために磁性層側と反対側にバックコート層を設けてもかまわない。バックコート層の厚みは0.1〜4μm、好ましくは0.3〜2.0μmである。これらのバックコート層は公知のものが使用できる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層の厚みは、用いるMRヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、前述の通り、0.2μm以下であり、好ましくは0.01〜0.15μmであり、さらに好ましくは、0.01〜0.1μmである。磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
〔6〕磁気記録媒体の製造方法
本発明の磁気記録媒体の磁性層塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に別れていてもかまわない。本発明の磁性層に用いられる強磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初又は途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力を有するものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合は強磁性粉末と結合剤のすべて又はその一部(但し、全結合剤の30%以上が好ましい)及び強磁性粉末100質量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗布液を分散させるにはガラスビーズを用いることができるが、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
磁気ディスクの場合、配向装置を用いない、無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属微粉末の場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。強磁性粉末が六方晶フェライト粉末の場合は一般的に面内及び垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用いて円周配向することができる。
磁気テープの場合、コバルト磁石やソレノイドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できるようにすることが好ましく、塗布速度は20〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい、また
磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロール又は金属ロールで処理するが、特に両面磁性層とする場合は金属ロールどうしで処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm以上、さらに好ましくは300kg/cm以上である。
(物理特性)
本発明の磁気記録媒体における磁性層の飽和磁束密度は、強磁性金属粉末を用いた場合200〜500T・m(2000〜5000G)、六方晶フェライト粉末を用いた場合は100〜300T・m(1000〜3000G)である。抗磁力の分布は狭い方が好ましく、SFD及びSFDrは0.6以下であることが好ましい。角形比については、2次元ランダムの場合は0.55〜0.67で、好ましくは0.58〜0.64である。また、3次元ランダムの場合は0.45〜0.55であることが好ましく、垂直配向の場合は垂直方向に0.6以上、好ましくは0.7以上、反磁界補正を行った場合は0.7以上、好ましくは0.8以上である。2次元ランダム及び3次元ランダムとも配向度比は、0.8以上が好ましい。2次元ランダムの場合、垂直方向の角形比、Br、Hc及びHrは面内方向の0.1〜0.5倍以内とすることが好ましい。
テープ状磁気記録媒体の場合、角型比は0.7以上、好ましくは0.8以上である。本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲において0.5以下、好ましくは0.3以下、表面固有抵抗は好ましくは磁性面104 〜1012オーム/sq、帯電位は−500V〜+500Vが好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、面内各方向で好ましくは980〜19600MPa(100〜2000Kg/mm2)、破断強度は、好ましくは98〜686MPa(10〜70Kg/mm2 、磁気記録媒体の弾性率は、面内各方向で好ましくは98〜1470kPa(100〜1500Kg/mm2 )、残留伸びは、好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下であり、最も好ましくは0.1%以下である。
磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は50〜120℃が好ましい。損失弾性率は1×107 〜8×108Pa(1×108 〜8×109 dyne/cm2)の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向で10%以内でほぼ等しいことが好ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2 以下、さらに好ましくは10mg/m2 以下である。塗布層が有する空隙率は好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
磁性層の中心面平均表面粗さRaは、光干渉式表面粗さ測定器(WYCO社製TOPO−3D)を用いて約250μm×250μmの面積での測定で4.0nm以下、好ましくは3.8nm以下、さらに好ましくは3.5nm以下である。磁性層の最大高さSRmaxは0.5μm以下、十点平均粗さSRzは0.3μm以下、中心面山高さSRpは0.3μm以下、中心面谷深さSRvは0.3μm以下、中心面面積率SSrは20〜80%、平均波長Sλaは5〜300μmが好ましい。磁性層の表面突起は、前述の通りに設定することにより電磁変換特性、摩擦係数を最適化することが好ましい。これらは支持体のフィラーによる表面性のコントロールや前述したように磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダ処理のロール面形状などで容易にコントロールすることができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。
(1)放射線硬化樹脂
日本化薬社製ジアクリレートR604(下記化合物)をMEKに溶解し、15質量%溶液を調製し塗布液とした。
Figure 2005293787
(2)記録媒体
表1に記載の強磁性粉末を用いて磁気テープを以下のように作成した。
<塗料の作成>
磁性層塗料1(六方晶系フェライト)
バリウムフェライト磁性粉末(表1に示したA〜H) 100部
塩化ビニル系共重合体
MR555(日本ゼオン社製) 6部
ポリウレタン樹脂 3部
UR8200(東洋紡社製) 3部
α−アルミナ(粒子サイズ0.3μm)
HIT55(住友化学社製) 2部
カーボンブラック(粒子サイズ0.015μm)
#55(旭カーボン社製) 5部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 125部
シクロヘキサノン 125部
磁性層塗料2(強磁性金属粉末)
強磁性金属微粉末(表1に示したI〜K) 100部
塩化ビニル系共重合体
MR110(日本ゼオン社製) 12部
ポリウレタン樹脂
UR8200(東洋紡社製) 3部
α−アルミナ
HIT55(住友化学社製) 2部
カーボンブラック
#55(旭カーボン社製) 1部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 5部
メチルエチルケトン 100部
シクロヘキサノン 20部
トルエン 60部
Figure 2005293787
製法1:コンピューターテープ(T1、T5〜T14、T18、T19)
上記の磁性層塗料1及び2の各々について、各成分をニーダで混練した後、サンドミルを用いて4時間分散させた。得られた各分散液にポリイソシアネートを3部を加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
厚さ6.0μmのPEN支持体上に、最初に電子線硬化樹脂溶液を乾燥後の厚さが0.5μmになるように塗布し5Mradの電子線を照射して硬化し電子線硬化樹脂層(EB層)を形成し、この上に、上記で調製した磁性層形成用の塗布液を、乾燥後の磁性層の厚さが0.10μmになるように塗布を行い、塗布層が湿潤状態にあるうちに600T・m(6000G)の磁力を持つコバルト磁石と600T・m(6000G)の磁力を持つソレノイドにより配向させた。
乾燥した後、金属ロールのみで構成される7段のカレンダを用いて温度85℃で分速200m/minで処理を行い、その後、厚み0.5μmのバックコート層(カーボンブラック:平均粒子サイズ17nm(mμ)100部、炭酸カルシウム:平均粒子サイズ40nm(mμ)80部、α−アルミナ:平均粒子サイズ200nm(mμ)5部をニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネートに分散)を塗布した。3.8mm幅にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取り装置を有する装置に不織布とカミソリプレートが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、テープ試料(T1、T5〜T14、T18、T19)を得た。
製法2:コンピューターテープ(T2、T16)
サンドミルの分散を6時間にした以外は製法1と同様に行い、コンピューターテープを得た。
製法3:コンピューターテープ(T3、T17)
磁性層塗料1のα−アルミナ(HIT55)をHIT82(住友化学社製:粒子サイズ0.12μm)に変更した以外は製法2と同様に行い、コンピューターテープ(T3、T17)を得た。
製法4:コンピューターテープ(T4、T15)
磁性層塗料1のカーボンブラック#55を#35(旭カーボン社製:粒子サイズ78nm(mμ))に変更した以外は製法1と同様に行い、コンピューターテープ(T4、T15)を得た。
製法5:コンピューターテープ(T20)
磁性層の厚みを0.18μmに変更した以外は製法1と同様に行い、コンピューターテープ(T20)を得た。
製法6:コンピューターテープ(T21)
磁性層の厚みを0.05μmに変更した以外は製法1と同様に行い、コンピューターテープ(T22)を得た。
製法7:コンピューターテープ(T22)
磁性層の厚みを0.25μmに変更した以外は製法1と同様に行い、コンピューターテープ(T22)を得た。
製法8:コンピューターテープ(T23)
電子線硬化樹脂層を付与しなかった以外は製法1と同様にコンピューターテープ(T23)を得た。
製法9:コンピューターテープ(T24)
電子線硬化樹脂層の厚みを0.1μmにした以外は製法1と同様にコンピューターテー
プ(T24)を得た。
製法10:コンピューターテープ(T25)
電子線硬化樹脂層の厚みを1.0μmにした以外は製法1と同様にコンピューターテープ(T25)を得た。
製法11:コンピューターテープ(T26)
電子線硬化樹脂層の厚みを0.05μmにした以外は製法1と同様にコンピューターテープ(T26)を得た。
製法12:コンピューターテープ(T27)
電子線硬化樹脂層の厚みを1.2μmにした以外は製法1と同様にコンピューターテープ(T27)を得た。
上記のように作成したコンピューターテープT1〜27の各々の性能を下記の測定法により評価した。評価結果を表2に示す。
(1)磁気特性(Hc、σs)
振動試料型磁束計(東英工業社製)を用い、Hm796kA/m(10kOe)で測定した。
(2)磁化反転体積V
前記振動試料型磁束計(VSM)を用いてHc測定部の磁場スイーブ速度を5分と30分で測定し、以下の熱揺らぎによるHcと磁化反転体積の関係式から磁化反転体積を計算した。
Hc=(2K/Ms){1−[(kT/KV)ln(At/0.693)]1/2
K:異方性定数 Ms:飽和磁化 k:ボルツマン定数
T:絶対温度 V:磁化反転体積 A:スピン歳差周波数
t:磁界反転時間
(3)表面突起数
デジタルインスツルメンツ社のナノスコープ3(AFM:原子間力顕微鏡)を用いて、稜角70°の四角錐のSiNの探針を使って、30μm平行角(900μm2)の中の微小突起の数N30nmを測定した。
(4)CN比
記録ヘッド(MIG、ギャップ0.15μm、1.8T)と再生用MRヘッドをドラムテスターに取り付けて測定した。ヘッド−メディア相対速度1〜3m/sec、ノイズは変調ノイズを測定した。
(5)耐久性
DDSドライブを用い、所定の信号を記録した後、再生信号をモニターしつつ、50℃、10%RHで走行させた。初期再生出力の70%になった時点でNGとした。試料T1を100%として表示した。
Figure 2005293787
表2の結果より、本発明に従った磁気記録媒体がCN比及び耐久性において優れていることがわかる。

Claims (1)

  1. 支持体上に、放射線硬化樹脂層を有し、その上に磁性層を有する磁気記録媒体において、該放射線硬化樹脂層の厚みが0.10〜1.0μmであり、該磁性層の厚みが0.2μm以下、該磁性層表面の原子間力顕微鏡(AFM)により測定される30nm以上の突起数が100個/900μm2以下、該磁性層の磁化反転体積が0.1×10-17〜5×10-17ml、該磁性層の抗磁力が2000エルステッド(159.2KA/m)以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
JP2004110899A 2004-04-05 2004-04-05 磁気記録媒体 Pending JP2005293787A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004110899A JP2005293787A (ja) 2004-04-05 2004-04-05 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004110899A JP2005293787A (ja) 2004-04-05 2004-04-05 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005293787A true JP2005293787A (ja) 2005-10-20

Family

ID=35326535

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004110899A Pending JP2005293787A (ja) 2004-04-05 2004-04-05 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005293787A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007305197A (ja) * 2006-04-10 2007-11-22 Fujifilm Corp 磁気記録媒体
WO2016185695A1 (ja) * 2015-05-18 2016-11-24 ソニー株式会社 磁気記録媒体

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007305197A (ja) * 2006-04-10 2007-11-22 Fujifilm Corp 磁気記録媒体
WO2016185695A1 (ja) * 2015-05-18 2016-11-24 ソニー株式会社 磁気記録媒体
US10580447B2 (en) 2015-05-18 2020-03-03 Sony Corporation Magnetic recording medium with controlled surface characteristics

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4365547B2 (ja) 磁気記録再生方法
US20070020490A1 (en) Magnetic recording medium
JPH10302243A (ja) 磁気記録媒体
JP2006054018A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2004273070A (ja) 磁気記録媒体
US20050282040A1 (en) Magnetic recording medium
JP2009245565A (ja) 磁気記録媒体
JP2007026564A (ja) 磁気記録媒体
JP4521289B2 (ja) 磁気記録媒体および磁気記録再生システム
JP2002358623A (ja) 磁気記録媒体
US6703101B2 (en) Magnetic recording medium
JP2002042325A (ja) 磁気記録媒体
JP2007294074A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
US6703106B2 (en) Magnetic recording and reproducing method and magnetic recording medium for use in the method
JP4210608B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2005216349A (ja) 磁気記録媒体
US6735057B2 (en) Method of magnetic recording/reproducing
JP2005293787A (ja) 磁気記録媒体
JP4001546B2 (ja) 磁気記録媒体
JPH10312525A (ja) 磁気記録媒体
JP2005025905A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2000030242A (ja) 磁気記録媒体
JPH1125442A (ja) 磁気記録媒体
JP4149649B2 (ja) 磁気記録媒体
JP3949421B2 (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060327

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061124

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070219

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071108

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071115

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090218

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090624