JP2005016906A - 焼成炉およびこれを用いた太陽電池素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表裏両面に塗布剤が塗布された被処理体を、特性低下を招くことなく焼成することが可能な焼成炉を提供する。
【解決手段】炉体の長手方向に炉を貫通して設けられた、複数のワイヤーによって構成されるベルト上に、表裏両面に塗布剤を塗布した被処理体を乗せ、このベルトを移動させることによって前記塗布剤を前記被処理体に焼き付ける焼成炉において、前記ベルト上に支持部材を設け、この支持部材を前記被処理体の複数の下端部と点接触させ、前記被処理体と前記ベルトとの間に空間領域を形成したことを特徴とする焼成炉。
【選択図】 図1
【解決手段】炉体の長手方向に炉を貫通して設けられた、複数のワイヤーによって構成されるベルト上に、表裏両面に塗布剤を塗布した被処理体を乗せ、このベルトを移動させることによって前記塗布剤を前記被処理体に焼き付ける焼成炉において、前記ベルト上に支持部材を設け、この支持部材を前記被処理体の複数の下端部と点接触させ、前記被処理体と前記ベルトとの間に空間領域を形成したことを特徴とする焼成炉。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は焼成炉およびこれを用いた太陽電池素子の製造方法に関し、特に被処理体の表裏両面に塗布剤を塗布したあと焼き付ける焼成炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な太陽電池素子を図13に示す。例えばP型シリコン基板8の表面近傍の全面に一定の深さまでN型不純物を拡散させてN型を呈する拡散層9を設け、シリコン基板8の表面に窒化シリコン膜などから成る反射防止膜10を設け、表面に銀などから成る表面電極11を設けるとともに、裏面にアルミニウムなどから成る集電電極12と銀などから成る出力取出電極13とで構成される裏面電極12、13を設けている。またシリコン基板8の裏面には高濃度のP型拡散層であるBSF層14が形成される。
【0003】
これらの太陽電池素子の電極11、12、13を形成するには、アルミニウムなどを主成分とするペーストをシリコン基板8の裏面の一部を除いた大部分に塗布して乾燥した後、このアルミニウムなどを主成分とするペーストを塗布しなかった部分とその周縁部を覆うように銀などを主成分とするペーストを塗布して乾燥し、最後にシリコン基板8の表面に銀などを主成分とするペーストを塗布して乾燥して、同時に焼成する方法、すなわち同時焼成法が従来用いられてきた(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、これらのペーストを焼成し電極を形成するためには、両面にペーストを塗布したシリコン基板8を焼成炉の加熱部を貫通させたベルト上に、ベルトとシリコン基板8の裏面が接触するような向きで載置し、ベルトを移動させることによって、焼成炉の加熱部の中を通過させる方法が一般的である。図10に一般的な焼成炉のベルトの進行方向に直角な向きの断面を示す。図10において1はベルト、8はシリコン基板を示す。このベルト1は耐熱性や強度の観点から通常金属材料によって構成される。しかし、両面にペーストを塗布したシリコン基板8をベルト1の上に直接載置すると、焼成時の加熱により、焼結していないペーストがベルト1の金属と合金化してしまうため、シリコン基板8がベルト1に貼りついてしまい、無理に剥がそうとすればシリコン基板8を破損してしまう場合があった。また、ベルト1の寿命を縮めてしまうという問題もあった。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、シリコン基板8を中空状態で載持するための段部を設けた略凸型の突出部からなる支持部材を所定間隔毎に複数個形成したベルト1を使用するという方法がある(例えば、特許文献2参照)。図11はこのときのベルト1の進行方向に直角な向きの断面を示し、図12は図11のB部の拡大図を示す。図12において、1はベルト、7は支持部材、8はシリコン基板を示す。この方法によればシリコン基板8はベルト1の上に設けられた支持部材7の略凸型の突出部の段部で保持されるため、シリコン基板8の全面がベルト1と触れるということがなくなり、従来よりもシリコン基板8とベルト1の接触面積が小さくなるため、シリコン基板8とベルト1が貼りつくという問題を抑制することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−335267号公報
【0007】
【特許文献2】
実公平4−8092号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法によっても太陽電池素子の裏面の大部分に例えばアルミニウムなどからなる電極を形成する場合、シリコン基板8の裏面に塗布したアルミニウムペーストと支持部材7の略凸型の突出部の段部が接触するため、その部分でアルミニウムとベルト1の金属が合金化するという問題がある。この場合、シリコン基板8がベルト1に貼りついてしまい、無理に剥がそうとすればシリコン基板8を破損してしまうという問題に加え、アルミニウムペーストの金属と接触している部分の温度が高くなるため、アルミニウムとシリコン基板8の界面でも合金が形成されやすくなり、表面張力によって凝集し、アルミニウムによって構成される電極を突き抜けて表面で凝固して球状の突起を多数発生させたり、凝集した合金が界面で凝固してアルミニウムによって形成される電極に凹凸が形成されてしまうという問題が発生することがあった。そのため、次工程での製造プロセスにおいて、自動機のハンドリングミス等が生じたり、太陽電池素子の割れや、欠けが生じることがあった。
【0009】
これらの問題を回避するためには、アルミニウムによって形成される電極のパターンを変更し、ベルト1の上に設けられた支持部材7の略凸型の突出部の段部とシリコン基板8の接触部分にペーストが塗布されていないようにすればよい。
しかしこのようにすると、裏面電極の面積が減少し、太陽電池素子の特性低下を招く。
【0010】
また、焼成炉の加熱部の中を通過させる際に、ベルト1と太陽電池素子の受光面が接触するような向きで載置する方法も考えられるが、このようにするとベルト1の上に設けられた支持部材1の略凸型の突出部の段部と表面電極が接触し、表面電極が断線してしまうという問題が発生することがある。表面電極は受光面積が最大に、抵抗が最小になるように設計されているものであるから、断線が発生すれば裏面電極の面積の減少以上に太陽電池素子特性に大きな影響を与えてしまう。
【0011】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、表裏両面に塗布剤が塗布された被処理体を、特性低下を招くことなく焼成することが可能な焼成炉、およびこれを用いた太陽電池素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の焼成炉は、炉内に配したベルト上に、支持部材を配置するとともに、該支持部材に表裏両面に被焼成用部材を塗布して成る被処理体を載置させ、ベルト上の支持部材に載置されている被処理体を移動させつつ、被焼成用部材を加熱することによって被焼成用部材を前記被処理体に焼き付ける焼成炉であって、前記支持部材はベルトの長手方向にそって平行に配列した少なくとも2本のワイヤから成るとともに、各ワイヤの少なくとも一部がベルトの上面に対し傾斜する一対の傾斜部を有し、この傾斜部に上記被処理体の端部が当接することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の焼成炉は、前記支持部材は前記ベルトと同じ材質で形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の焼成炉を用いた太陽電池素子の製造方法は、請求項1または2の焼成炉を用いて、順次下記(1)ないし(3)の各工程を経ることで、半導体基板の表裏両面に、表面電極および裏面電極を有する太陽電池素子を形成することを特徴とする。
【0015】
(1)前記被処理体である半導体基板の表裏両面に前記被焼成用部材である電極材料を塗布し、乾燥させる。
【0016】
(2)前工程により得られた半導体基板を支持部材上に載置する。
【0017】
(3)前記ベルトを移動させながら被焼成用部材である電極材料を半導体基板の表裏両面に焼き付け、表面電極及び裏面電極を形成する。
【0018】
また、本発明の焼成炉を用いた他の太陽電池素子の製造方法は、前記被処理体である半導体基板の表面に銀を主成分とする電極材料を塗布し、前記半導体基板の裏面の一部にアルミニウムを主成分とする電極材料を、他部に銀を主成分とする電極材料を塗布することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を用いて詳細に説明する。
【0020】
図4は本発明に係る焼成炉の構造を説明するための図であり、図4において1はベルト、2は上部ヒーター、3は下部ヒーター、4はカバー、5はローラー、6は被処理体を示す。被処理体6を処理する焼成炉は、断熱性や安全性、そして雰囲気を外気と遮断するために設けられたカバー4の中に、上部ヒーター2と下部ヒーター3が搭載されている。この上部ヒーター2と下部ヒーター3は遠赤外や近赤外等のヒーターで、抵抗コイルやランプなどからなる。図4では上部ヒーター2と下部ヒーター3の両方を記載したが、これに制限されるものではなく、上部ヒーター2のみや下部ヒーター3のみの構造でもよい。しかし、被処理体の両面に塗布剤が塗布されている場合、上部ヒーター2と下部ヒーター3の両方が搭載されるのが一般的である。また、図4では上部ヒーター2、下部ヒーター3ともそれぞれ3分割にして記載したが、これも制限されるものではない。
【0021】
この焼成炉の長手方向に炉を貫通してベルト1が設けられる。このベルト1は、ローラー5が回転駆動することによって循環し、これによってベルト1上に乗せた被処理体6が焼成炉内を通過する。
【0022】
ここで本発明による焼成炉においては、被処理体6の複数の下端部と点接触し、被処理体6とベルト1の間に空間領域を形成する支持部材を有する。被処理体6の複数の下端部と点接触し、被処理体6とベルト1の間に空間領域を形成する支持部材の構造としては、ベルト1の上に取り付ける円錐や角錐など錐状の突起物、傾斜角をもった壁面、傾斜角度をもって屹立させたワイヤーなどがあるが、何れの方法においても支持部材は被処理体6の下端部と角度をもって接触していることが必要である。
【0023】
このときの接触角度としては5〜20°程度が望ましい。5°以下であれば被処理体6が加熱されたときに湾曲し支持部材7と線もしくは面で接触してしまう可能性があるため好ましくない。また20°以上になると被処理体6を乗せた時のずれや、搬送中の振動により、被処理体6が水平でなくなってしまい、被処理体6にかかる熱が均一でなくなるという問題が発生する可能性があるため好ましくない。
【0024】
このようにすることにより、従来の半導体基板1を中空状態で載持するための段部を設けた略凸型の突出部を所定間隔毎に複数個形成したベルトを使用する、という方法により発生していた被処理体6の裏面に塗布した塗布剤と略凸型の突出部の段部への接触による、塗布剤とベルトの金属の合金化という問題を回避することができる。これにより被処理体6とベルト1の貼りつきの問題を未然に防ぐことができるとともにベルト1の寿命が低下することを抑制することができる。
【0025】
ここで図2は本発明に係る焼成炉の一実施例を説明するための図であり、被処理体6を乗せたベルト1を上方から見たときの図である。また図1は図2のA−A‘間の断面図、図3は図1のB部拡大図を示す。図2において6は被処理体、7は支持部材、1はベルトを示す。図1に示すように支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状は中空の略多角形をなすようにしたほうがよい。支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状を中空の略多角形をなすようにしたことで、支持部材7は被処理体6を支えるとともに、支持部材7の一辺が被処理体6の複数の下端部と点接触し、かつベルト1と被処理体6との間に一定の高さの空間領域を形成する。また、支持部材7を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。
【0026】
支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状の一例として、中空の略三角形の断面を有する場合がある。このように支持部材7を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。
【0027】
図5は本発明に係る焼成炉の他の例を説明するための図であり、図2のA−A’間の断面図である。また図6は図5のB部の拡大図である。図5に示すように支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状の他の例として、中空の略五角形の断面を有していてもよい。このように支持部材7を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。さらに五角形にすることにより、支持部材7の断面方向の幅を広げることなく、被処理体6のベルト1からの高さを設定することが可能になる。
【0028】
このとき支持部材7はワイヤーで構成されていたほうがよい。このようにすることにより、さらに有効に焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるとともに炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。また図4に示すように、ローラー5が回転駆動することによってベルト1が循環する際にも、循環の邪魔になることはない。
【0029】
また、このとき支持部材7のワイヤーがベルト1を構成するワイヤーと同じ材質で構成されていれば、異なる材質による熱膨張係数の違いで支持部材7がはずれたり、破損したりするという問題が発生することはない。
【0030】
ここで結晶系シリコン太陽電池を例にとり、その製造方法について説明する。図7は太陽電池素子の製造方法を説明するための図であり、6は太陽電池素子(被処理体)、8はシリコン基板、9は拡散層、10は反射防止膜、11は表面電極、12は集電電極、13は出力取出電極、14はBSF層を示す。例えばP型シリコン基板8(図7(a))の表面近傍全面に一定の深さまでN型不純物を拡散させてN型を呈する拡散層9(図7(b))を設け、シリコン基板8の表面に窒化シリコン膜などから成る反射防止膜10を設け(図7(c))、表面に表面電極11を設けるとともに、裏面にはアルミニウムなどから成る集電電極12と銀などから成る出力取出電極13とで構成される裏面電極を設けている。またシリコン基板8の裏面には高濃度のP型拡散層であるBSF層14が形成される(図7(d))。
【0031】
このシリコン基板8はP型、N型いずれでもよい。しかし現在はP型の多結晶シリコン基板を使用するのが一般的である。多結晶シリコンは、大量生産が可能で製造コスト面で単結晶シリコンよりもきわめて有利である。引き上げ法や鋳造法で形成されたシリコンブロックは10cm×10cmもしくは15cm×15cm程度の大きさに切断してインゴットとし、300μm程度の厚みにスライスしてシリコン基板8となる。
【0032】
インゴットをスライスする方法の代表的なものとして、一般に内周刃やマルチワイヤーソーによる加工が用いられている。このような方法は機械的にシリコンを削っていく方式のため、スライスした表面には残留応力があり、応力による欠陥が多い。多結晶シリコン太陽電池を作製する場合には特性の低下を招くこのようなダメージ層を除去する必要がある。このダメージ層の除去のためにはシリコン基板8の表面に新たなダメージを与えない方法が必要であり、一般にウェットエッチングが用いられる。最もよく用いられるのは簡単かつ安価なことから、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどである。これらアルカリ水溶液によるエッチングは多結晶シリコンのエッチングの際に面方位の選択性を持ってエッチングする。多結晶シリコンの表面のうち、もっともエッチングレートが速いのは(100)面を持った結晶粒であり、最もエッチングレートが遅いのは(111)面を持った結晶粒である。多結晶シリコン基板内の個々の結晶粒内部でもエッチングの選択性が発生し、最終的に(111)面が現れるようにエッチングが進んでいく。これを利用した凹凸の形成法として、アルカリ水溶液を用いたテクスチャ構造の形成法がある。この方法では薄いアルカリ水溶液、例えば5%水酸化ナトリウム水溶液により70℃程度でエッチングする。すると(100)面の結晶粒表面は4面に(111)面の稜を持ったピラミッド構造が無数に形成される。このため、(100)面の単結晶シリコン基板を用いた場合には基板全面にピラミッド構造が形成される。ピラミッド構造が形成されると、太陽電池として良好な低反射構造として働くため、光の吸収が増加して特性が向上する。このため、単結晶シリコン太陽電池では(100)面のシリコン基板が用いられることが多い。多結晶シリコン基板の場合は(100)面はピラミッドが形成され、他の面はピラミッドにはならないが(111)面が現れるようにエッチングが進むためにそれに合った凹凸が形成される。これらアルカリエッチングによる凹凸構造の大きさはおよそ数μmから十数μmである(図7(a))。
【0033】
シリコン基板8の表面側には、逆導電型半導体不純物を拡散した拡散層9が形成されている。この拡散層9はシリコン基板8内に半導体接合部を形成するために設けるものであり、例えばn型の不純物を拡散させる場合、POCl3を用いた気相拡散法、P2O5を用いた塗布拡散法、及びP+イオンを電界により基板に直接導入するイオン打ち込み法などによって形成される。この拡散層9は0.3〜0.5μm程度の深さに形成される(図7(b))。
【0034】
シリコン基板8の表面側には、反射防止膜10が形成されている。この反射防止膜10は、シリコン基板8の表面で光が反射するのを防止して、シリコン基板8内に光を有効に取り込むために設ける。この反射防止膜10は、シリコン基板8との屈折率差等を考慮して、屈折率が2程度の材料で構成され、厚み500〜2000Å程度の窒化シリコン膜や酸化シリコン(SiO2)膜などで構成される(図7(c))。
【0035】
図8は一般的な太陽電池素子6を受光面側から見たときの図を示す。
【0036】
シリコン基板8の受光面側には、表面電極11が形成されている。この表面電極11は主にAg紛、バインダー、フリットなどからなるAgペーストをスクリーン印刷して形成する。表面電極11は、例えば幅200μm程度に、またピッチ3mm程度に形成される多数のフィンガー電極11aと、この多数のフィンガー電極を相互に接続する2本のバスバー電極11bで構成される。
【0037】
図9は一般的な太陽電池素子6を裏面側から見たときの図を示す。裏面電極は集電電極12と出力取出電極13からなり、主に銀紛、バインダー、フリットなどからなる銀ペーストを出力取出電極13の形成予定位置にスクリーン印刷して乾燥させた後、その周囲に一部重ねて主にアルミニウム紛、バインダー、フリットなどからなるアルミニウムペーストを集電電極12の形成予定位置にスクリーン印刷する。裏面電極を形成する順番は特に問わない。つまりアルミニウムペーストを集電電極12の形成予定位置にスクリーン印刷してから、その一部と重ねて銀ペーストをスクリーン印刷してもよい。
【0038】
両面にペーストを塗布したシリコン基板8はペーストを乾燥させた後、上方から挟持して移載する方法や、ウォーキングビーム方式などの搬送方法によりベルトの上に載置される。その後焼成炉の加熱部に運ばれ800℃程度の温度に昇温することによって表面のペーストが焼き付けられる。
【0039】
裏面電極としては上述した以外に銀ペーストのみを所定パターンでスクリーン印刷し、焼き付ける方法もあるが、裏面の略全面にアルミニウムペーストからなる集電電極12を形成することによって、シリコン基板8の内部には同時にBSF層14が形成される。このBSF層14はシリコン基板8の裏面側に内部電界を形成し、シリコン基板8の裏面近くでキャリアの再結合による効率の低下を防ぐ。
【0040】
つまり、シリコン基板8の裏面近くで発生したキャリアがこの電界によって加速される結果、電力が有効に取り出されることとなり、特に長波長の光感度が増大すると共に、高温における太陽電池特性の低下を軽減できるため、裏面の略全面にアルミニウムペーストからなる集電電極12を形成する方法が一般的である。
【0041】
このとき本発明によればシリコン基板8の下端部と複数の点で点接触した支持部材7によって、炉体の長手方向に炉体を貫通して設けられた複数のワイヤーによって構成されるベルト1と、所定間隔を保ちながら移動させる。このようにすることにより、アルミニウムペーストとベルト1の金属の合金化という問題を回避することができるとともにシリコン基板8とベルト1の貼りつきの問題を未然に防ぐことができ、ベルト1の寿命が低下することを抑制することができる。また無理に剥がそうとすればシリコン基板8が破損してしまうという問題も発生することがない。さらに従来問題であったアルミニウムペーストの金属と接触している部分の温度が高くなり、アルミニウムとシリコン基板8の界面でも合金が形成されやすくなり、表面張力によって凝集し、アルミニウムによって形成される電極を突き抜けて表面で凝固して球状の突起を多数発生させたり、凝集した合金が界面で凝固してアルミニウムによって形成される電極に凹凸が形成されてしまうという問題が発生することもない。
【0042】
また支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状は中空の略多角形の断面をなし、その一例として、略三角形の断面をなし、少なくともその1辺と太陽電池素子が点接触していたほうがよい。このようにすることにより焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるため、太陽電池素子の裏面がまんべんなくガスに曝されることになる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。よって裏面電極の焼成の不均一を抑止することができる。
【0043】
また、支持部材7の断面は中空の略五角形の断面であってもよい。このようにすることによって支持部材7の断面方向の幅を広げることなく、被処理体6のベルト1からの高さを設定することが可能になる。よってベルト1にシリコン基板8を乗せる際、ウォーキングビームを使用しても、そのアームが支持部材7の間に入るためスムーズな載置が可能になる。また、シリコン基板8と上部ヒーター2、下部ヒーター3の距離を自由に設定できるため、シリコン基板8の受光面および裏面にかかる温度を調整することが可能になる。
【0044】
また、支持部材7をワイヤーで構成することにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることをさらに有効に防ぐことができるとともに炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。また図4に示すように、ローラー5が回転駆動することによってベルト1が循環する際にも、循環の邪魔になることはない。
【0045】
また、このとき支持部材7のワイヤーがベルト1を構成するワイヤーと同じ材質で構成されていれば、異なる材質による熱膨張係数の違いで支持部材7がはずれたり、破損したりするという問題が発生することはない。
【0046】
その後電極が表裏両面に焼き付けられた太陽電池素子は、ベルト1により搬送され、焼成炉から排出される。焼成炉内にはガスの吹付けなどによる冷却機能が搭載されている場合もあるが、焼成炉の大きさの制限や焼成炉に必要とされる温度の制限から高温のまま排出されることがある。このとき本発明の焼成炉ではベルト1の上から焼成後の被処理体6を非接触で回収し別のワークに移載する回収機能を有することを特徴とする。このようにすることにより高温のまま排出された太陽電池素子6が回収用のワークに触れ、破損したり、傷がついたり、また回収用のワークを溶かし太陽電池素子6が汚れたりするという問題を防ぐことができる。非接触の回収手段としてはエジェクタやベルヌーイの原理を利用した吸引懸垂装置や、下からの吹き上げ装置などを使用することができる。
【0047】
また、このとき回収機能が冷却機能を有するものであれば焼成炉から排出された太陽電池素子6は冷却され、その後別のワークに載置してもワークを溶かすといった問題を発生させることがない。冷却手段としてはAirなどのガスの吹付けなどの方法がこれにあたる。つまり回収機能がエアーなどのガスの吹付けを伴うものであれば、回収と同時に冷却が可能になりさらに生産性を向上させることができる。
【0048】
シリコン基板8の表面に電極が焼き付けられた太陽電池素子6は、その後銀によって形成された電極表面にはんだを被覆して完成する。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正および変更を加えることができる。例えば太陽電池素子6の電極の焼成方法については同時焼成法を例にとり説明したが、これに限定されるものではなく複数回の焼成を行う場合でも有効にその効果を発揮する。つまり裏面の電極材料を焼きつけた後に本発明に係る焼成炉を使用しても、裏面電極材料の再焼結により与えられる影響を抑止することができる。また裏面電極としてアルミニウムからなる集電電極12と銀からなる出力取出電極13で構成される太陽電池素子6を例にとり説明したが、これも制限されるものではない。裏面の略全面にアルミニウムからなる集電電極12を有する太陽電池素子6でなくても、本発明に係る方法によれば特に裏面電極のパターンの制約がなくなるとともに、ベルト1への貼りつきの問題や、太陽電池素子6の破損等の問題を解決することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る焼成炉は、炉内にベルトを配し、このベルト上に所定の間隔にて支持部材を配列し、隣接する双方の支持部材上に、表裏両面に被焼成用部材を塗布して成る被処理体を載置して、前記被焼成用部材を加熱して前記被処理体に焼き付ける焼成炉において、前記支持部材はベルトの長手方向にそって配列したワイヤから成るとともに、このワイヤの少なくとも一部をベルト面に対し傾斜させて、この傾斜部に上記支持部材の端部を当接することで、塗布剤とベルトの金属の合金化という問題を回避することができる。これにより被処理体6とベルト1の貼りつきの問題を未然に防ぐことができるとともにベルトの寿命が低下することを抑制することができる。
【0051】
このとき支持部材のベルトの進行方向と同じ方向の断面形状は中空の略多角形をなし、一例として、中空の略三角形の断面を有していたほうがよい。このように支持部材を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。
【0052】
また支持部材のベルトの進行方向と同じ方向の断面形状の他の例として、中空の略五角形の断面を有していてもよい。このように支持部材を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。さらに五角形にすることにより、支持部材の断面方向の幅を広げることなく、被処理体のベルトからの高さを設定することが可能になる。
【0053】
このとき支持部材はワイヤーで構成されていたほうがよい。このようにすることにより、さらに有効に焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるとともに炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。さらにローラー5が回転駆動することによってベルトが循環する際に、循環の邪魔になることもない。
【0054】
またこのとき支持部材のワイヤーがベルトを構成するワイヤーと同じ材質で構成されていれば、異なる材質による熱膨張係数の違いで支持部材がはずれたり、破損したりするという問題が発生することはない。
【0055】
さらに太陽電池素子を形成するために、表裏両面に銀ペーストと裏面側にアルミニウムペーストからなる電極材料を塗布したシリコン基板の下端部と複数の点で点接触した支持部材によって、炉体の長手方向に炉体を貫通して設けられた複数のワイヤーによって構成されるベルトと、所定間隔を保ちながら移動させる。
このようにすることにより、アルミニウムペーストとベルトの金属の合金化という問題を回避することができるとともにシリコン基板とベルトの貼りつきの問題を未然に防ぐことができ、ベルトの寿命が低下することを抑制することができる。また無理に剥がそうとすればシリコン基板が破損してしまうという問題も発生することがない。さらに従来問題であったアルミニウムペーストの金属と接触している部分の温度のみが高くなり、アルミニウムとシリコン基板の界面でも合金が形成されやすくなり、表面張力によって凝集し、アルミニウムによって形成される電極を突き抜けて表面で凝固して球状の突起を多数発生させたり、凝集した合金が界面で凝固してアルミニウムによって形成される電極に凹凸が形成されてしまうという問題が発生することもない。よって電極の形成と同時に形成されたBSF層を有する太陽電池素子を、高い歩留まりで形成することが可能になる。
【0056】
このとき支持部材のベルトの進行方向と同じ方向の断面形状は中空の略多角形をなし、一例として、中空の略三角形の断面を有し、少なくともその1辺と太陽電池素子が点接触していたほうがよい。このようにすることにより焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるため、太陽電池素子の裏面がまんべんなくガスに曝されることになる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。よって裏面電極の焼成の不均一を抑止することができる。この方法は特に面積の大きな太陽電池素子や、太陽電池素子の裏面に塗布する電極材料の塗布量が多い場合に特にその効果を有効に発揮する。
【0057】
また、支持部材の断面は中空の略五角形の断面であってもよい。支持部材の断面方向の幅を広げることなく、被処理体のベルトからの高さを設定することが可能になる。よってベルトにシリコン基板を載置する際、ウォーキングビームを使用しても、そのアームが支持部材の間に入るためスムーズな載置が可能になり、装置の自動化の自由度を高めると共に生産性の向上につながる。また、シリコン基板と上部ヒーター、下部ヒーターの距離を自由に設定できるため、シリコン基板の受光面および裏面にかかる温度を調整することが可能になる。この方法は反射防止膜の上から電極材料を焼き付けることによりオーミックコンタクトをとるいわゆるファイヤースルー法を行うときや、太陽電池素子の受光面側と裏面側に塗布するペーストの塗布量の差が大きいときに特に有効にその効果を発揮する。
【0058】
また、支持部材をワイヤーで構成することにより、さらに有効に焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるとともに炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。また図4に示すように、ローラーが回転駆動することによってベルトが循環する際にも、循環の邪魔になることはない。
【0059】
また、このとき支持部材7のワイヤーがベルトを構成するワイヤーと同じ材質で構成されていれば、異なる材質による熱膨張係数の違いで支持部材がはずれたり、破損したりするという問題が発生することはない。
【0060】
また、本発明による焼成炉はベルトの上から焼成後の被処理体を非接触で回収し別のワークに移載する回収機能を有することを特徴とする。このようにすることにより高温のまま排出された太陽電池素子が回収用のワークに触れ、破損したり、傷がついたり、また回収用のワークを溶かし太陽電池素子が汚れたりするという問題を防ぐことができる。これは電極に焼結温度の高いいわゆる高温ペーストを使用した太陽電池素子を形成する際に、特に有効にその効果を発揮する。
【0061】
また、このとき回収機能が冷却機能を有するものであれば焼成炉から排出された太陽電池素子は冷却され、その後別のワークに載置してもワークを溶かすといった問題を発生させることがない。また回収機能がエアーなどのガスの吹付けを伴うものであれば、回収と同時に冷却が可能になりさらに生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る焼成炉の一例を説明するための図であり、図2のA−A’間の断面図である。
【図2】本発明に係る焼成炉のベルトを上方から見たときの図である。
【図3】本発明に係る焼成炉の一例を説明するための図であり、図3のB部の拡大図である。
【図4】焼成炉の全体構造を説明するための図である。
【図5】本発明に係る焼成炉の他の例を説明するための図であり、図2のA−A’間の断面図である。
【図6】本発明に係る焼成炉の一例を説明するための図であり、図5のB部の拡大図である。
【図7】太陽電池素子の電極の製造方法を説明するための図である。
【図8】太陽電池素子の受光面側の構造を説明するための図である。
【図9】太陽電池素子の裏面側の構造を説明するための図である。
【図10】従来の焼成炉を説明するための図である。
【図11】従来の他の焼成炉を説明するための図である。
【図12】従来の他の焼成炉を説明するための図であり、図11のB部の拡大図である。
【図13】従来技術における太陽電池素子の構造を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・ベルト
2・・・上部ヒーター
3・・・下部ヒーター
4・・・カバー
5・・・ローラー
6・・・被処理体(太陽電池素子)
7・・・支持部材
8・・・シリコン基板
9・・・拡散層
10・・・反射防止膜
11・・・表面電極
12・・・集電電極
13・・・出力取出電極
14・・・BSF層
【発明の属する技術分野】
本発明は焼成炉およびこれを用いた太陽電池素子の製造方法に関し、特に被処理体の表裏両面に塗布剤を塗布したあと焼き付ける焼成炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な太陽電池素子を図13に示す。例えばP型シリコン基板8の表面近傍の全面に一定の深さまでN型不純物を拡散させてN型を呈する拡散層9を設け、シリコン基板8の表面に窒化シリコン膜などから成る反射防止膜10を設け、表面に銀などから成る表面電極11を設けるとともに、裏面にアルミニウムなどから成る集電電極12と銀などから成る出力取出電極13とで構成される裏面電極12、13を設けている。またシリコン基板8の裏面には高濃度のP型拡散層であるBSF層14が形成される。
【0003】
これらの太陽電池素子の電極11、12、13を形成するには、アルミニウムなどを主成分とするペーストをシリコン基板8の裏面の一部を除いた大部分に塗布して乾燥した後、このアルミニウムなどを主成分とするペーストを塗布しなかった部分とその周縁部を覆うように銀などを主成分とするペーストを塗布して乾燥し、最後にシリコン基板8の表面に銀などを主成分とするペーストを塗布して乾燥して、同時に焼成する方法、すなわち同時焼成法が従来用いられてきた(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、これらのペーストを焼成し電極を形成するためには、両面にペーストを塗布したシリコン基板8を焼成炉の加熱部を貫通させたベルト上に、ベルトとシリコン基板8の裏面が接触するような向きで載置し、ベルトを移動させることによって、焼成炉の加熱部の中を通過させる方法が一般的である。図10に一般的な焼成炉のベルトの進行方向に直角な向きの断面を示す。図10において1はベルト、8はシリコン基板を示す。このベルト1は耐熱性や強度の観点から通常金属材料によって構成される。しかし、両面にペーストを塗布したシリコン基板8をベルト1の上に直接載置すると、焼成時の加熱により、焼結していないペーストがベルト1の金属と合金化してしまうため、シリコン基板8がベルト1に貼りついてしまい、無理に剥がそうとすればシリコン基板8を破損してしまう場合があった。また、ベルト1の寿命を縮めてしまうという問題もあった。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、シリコン基板8を中空状態で載持するための段部を設けた略凸型の突出部からなる支持部材を所定間隔毎に複数個形成したベルト1を使用するという方法がある(例えば、特許文献2参照)。図11はこのときのベルト1の進行方向に直角な向きの断面を示し、図12は図11のB部の拡大図を示す。図12において、1はベルト、7は支持部材、8はシリコン基板を示す。この方法によればシリコン基板8はベルト1の上に設けられた支持部材7の略凸型の突出部の段部で保持されるため、シリコン基板8の全面がベルト1と触れるということがなくなり、従来よりもシリコン基板8とベルト1の接触面積が小さくなるため、シリコン基板8とベルト1が貼りつくという問題を抑制することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−335267号公報
【0007】
【特許文献2】
実公平4−8092号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法によっても太陽電池素子の裏面の大部分に例えばアルミニウムなどからなる電極を形成する場合、シリコン基板8の裏面に塗布したアルミニウムペーストと支持部材7の略凸型の突出部の段部が接触するため、その部分でアルミニウムとベルト1の金属が合金化するという問題がある。この場合、シリコン基板8がベルト1に貼りついてしまい、無理に剥がそうとすればシリコン基板8を破損してしまうという問題に加え、アルミニウムペーストの金属と接触している部分の温度が高くなるため、アルミニウムとシリコン基板8の界面でも合金が形成されやすくなり、表面張力によって凝集し、アルミニウムによって構成される電極を突き抜けて表面で凝固して球状の突起を多数発生させたり、凝集した合金が界面で凝固してアルミニウムによって形成される電極に凹凸が形成されてしまうという問題が発生することがあった。そのため、次工程での製造プロセスにおいて、自動機のハンドリングミス等が生じたり、太陽電池素子の割れや、欠けが生じることがあった。
【0009】
これらの問題を回避するためには、アルミニウムによって形成される電極のパターンを変更し、ベルト1の上に設けられた支持部材7の略凸型の突出部の段部とシリコン基板8の接触部分にペーストが塗布されていないようにすればよい。
しかしこのようにすると、裏面電極の面積が減少し、太陽電池素子の特性低下を招く。
【0010】
また、焼成炉の加熱部の中を通過させる際に、ベルト1と太陽電池素子の受光面が接触するような向きで載置する方法も考えられるが、このようにするとベルト1の上に設けられた支持部材1の略凸型の突出部の段部と表面電極が接触し、表面電極が断線してしまうという問題が発生することがある。表面電極は受光面積が最大に、抵抗が最小になるように設計されているものであるから、断線が発生すれば裏面電極の面積の減少以上に太陽電池素子特性に大きな影響を与えてしまう。
【0011】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、表裏両面に塗布剤が塗布された被処理体を、特性低下を招くことなく焼成することが可能な焼成炉、およびこれを用いた太陽電池素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の焼成炉は、炉内に配したベルト上に、支持部材を配置するとともに、該支持部材に表裏両面に被焼成用部材を塗布して成る被処理体を載置させ、ベルト上の支持部材に載置されている被処理体を移動させつつ、被焼成用部材を加熱することによって被焼成用部材を前記被処理体に焼き付ける焼成炉であって、前記支持部材はベルトの長手方向にそって平行に配列した少なくとも2本のワイヤから成るとともに、各ワイヤの少なくとも一部がベルトの上面に対し傾斜する一対の傾斜部を有し、この傾斜部に上記被処理体の端部が当接することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の焼成炉は、前記支持部材は前記ベルトと同じ材質で形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の焼成炉を用いた太陽電池素子の製造方法は、請求項1または2の焼成炉を用いて、順次下記(1)ないし(3)の各工程を経ることで、半導体基板の表裏両面に、表面電極および裏面電極を有する太陽電池素子を形成することを特徴とする。
【0015】
(1)前記被処理体である半導体基板の表裏両面に前記被焼成用部材である電極材料を塗布し、乾燥させる。
【0016】
(2)前工程により得られた半導体基板を支持部材上に載置する。
【0017】
(3)前記ベルトを移動させながら被焼成用部材である電極材料を半導体基板の表裏両面に焼き付け、表面電極及び裏面電極を形成する。
【0018】
また、本発明の焼成炉を用いた他の太陽電池素子の製造方法は、前記被処理体である半導体基板の表面に銀を主成分とする電極材料を塗布し、前記半導体基板の裏面の一部にアルミニウムを主成分とする電極材料を、他部に銀を主成分とする電極材料を塗布することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を用いて詳細に説明する。
【0020】
図4は本発明に係る焼成炉の構造を説明するための図であり、図4において1はベルト、2は上部ヒーター、3は下部ヒーター、4はカバー、5はローラー、6は被処理体を示す。被処理体6を処理する焼成炉は、断熱性や安全性、そして雰囲気を外気と遮断するために設けられたカバー4の中に、上部ヒーター2と下部ヒーター3が搭載されている。この上部ヒーター2と下部ヒーター3は遠赤外や近赤外等のヒーターで、抵抗コイルやランプなどからなる。図4では上部ヒーター2と下部ヒーター3の両方を記載したが、これに制限されるものではなく、上部ヒーター2のみや下部ヒーター3のみの構造でもよい。しかし、被処理体の両面に塗布剤が塗布されている場合、上部ヒーター2と下部ヒーター3の両方が搭載されるのが一般的である。また、図4では上部ヒーター2、下部ヒーター3ともそれぞれ3分割にして記載したが、これも制限されるものではない。
【0021】
この焼成炉の長手方向に炉を貫通してベルト1が設けられる。このベルト1は、ローラー5が回転駆動することによって循環し、これによってベルト1上に乗せた被処理体6が焼成炉内を通過する。
【0022】
ここで本発明による焼成炉においては、被処理体6の複数の下端部と点接触し、被処理体6とベルト1の間に空間領域を形成する支持部材を有する。被処理体6の複数の下端部と点接触し、被処理体6とベルト1の間に空間領域を形成する支持部材の構造としては、ベルト1の上に取り付ける円錐や角錐など錐状の突起物、傾斜角をもった壁面、傾斜角度をもって屹立させたワイヤーなどがあるが、何れの方法においても支持部材は被処理体6の下端部と角度をもって接触していることが必要である。
【0023】
このときの接触角度としては5〜20°程度が望ましい。5°以下であれば被処理体6が加熱されたときに湾曲し支持部材7と線もしくは面で接触してしまう可能性があるため好ましくない。また20°以上になると被処理体6を乗せた時のずれや、搬送中の振動により、被処理体6が水平でなくなってしまい、被処理体6にかかる熱が均一でなくなるという問題が発生する可能性があるため好ましくない。
【0024】
このようにすることにより、従来の半導体基板1を中空状態で載持するための段部を設けた略凸型の突出部を所定間隔毎に複数個形成したベルトを使用する、という方法により発生していた被処理体6の裏面に塗布した塗布剤と略凸型の突出部の段部への接触による、塗布剤とベルトの金属の合金化という問題を回避することができる。これにより被処理体6とベルト1の貼りつきの問題を未然に防ぐことができるとともにベルト1の寿命が低下することを抑制することができる。
【0025】
ここで図2は本発明に係る焼成炉の一実施例を説明するための図であり、被処理体6を乗せたベルト1を上方から見たときの図である。また図1は図2のA−A‘間の断面図、図3は図1のB部拡大図を示す。図2において6は被処理体、7は支持部材、1はベルトを示す。図1に示すように支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状は中空の略多角形をなすようにしたほうがよい。支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状を中空の略多角形をなすようにしたことで、支持部材7は被処理体6を支えるとともに、支持部材7の一辺が被処理体6の複数の下端部と点接触し、かつベルト1と被処理体6との間に一定の高さの空間領域を形成する。また、支持部材7を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。
【0026】
支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状の一例として、中空の略三角形の断面を有する場合がある。このように支持部材7を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。
【0027】
図5は本発明に係る焼成炉の他の例を説明するための図であり、図2のA−A’間の断面図である。また図6は図5のB部の拡大図である。図5に示すように支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状の他の例として、中空の略五角形の断面を有していてもよい。このように支持部材7を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。さらに五角形にすることにより、支持部材7の断面方向の幅を広げることなく、被処理体6のベルト1からの高さを設定することが可能になる。
【0028】
このとき支持部材7はワイヤーで構成されていたほうがよい。このようにすることにより、さらに有効に焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるとともに炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。また図4に示すように、ローラー5が回転駆動することによってベルト1が循環する際にも、循環の邪魔になることはない。
【0029】
また、このとき支持部材7のワイヤーがベルト1を構成するワイヤーと同じ材質で構成されていれば、異なる材質による熱膨張係数の違いで支持部材7がはずれたり、破損したりするという問題が発生することはない。
【0030】
ここで結晶系シリコン太陽電池を例にとり、その製造方法について説明する。図7は太陽電池素子の製造方法を説明するための図であり、6は太陽電池素子(被処理体)、8はシリコン基板、9は拡散層、10は反射防止膜、11は表面電極、12は集電電極、13は出力取出電極、14はBSF層を示す。例えばP型シリコン基板8(図7(a))の表面近傍全面に一定の深さまでN型不純物を拡散させてN型を呈する拡散層9(図7(b))を設け、シリコン基板8の表面に窒化シリコン膜などから成る反射防止膜10を設け(図7(c))、表面に表面電極11を設けるとともに、裏面にはアルミニウムなどから成る集電電極12と銀などから成る出力取出電極13とで構成される裏面電極を設けている。またシリコン基板8の裏面には高濃度のP型拡散層であるBSF層14が形成される(図7(d))。
【0031】
このシリコン基板8はP型、N型いずれでもよい。しかし現在はP型の多結晶シリコン基板を使用するのが一般的である。多結晶シリコンは、大量生産が可能で製造コスト面で単結晶シリコンよりもきわめて有利である。引き上げ法や鋳造法で形成されたシリコンブロックは10cm×10cmもしくは15cm×15cm程度の大きさに切断してインゴットとし、300μm程度の厚みにスライスしてシリコン基板8となる。
【0032】
インゴットをスライスする方法の代表的なものとして、一般に内周刃やマルチワイヤーソーによる加工が用いられている。このような方法は機械的にシリコンを削っていく方式のため、スライスした表面には残留応力があり、応力による欠陥が多い。多結晶シリコン太陽電池を作製する場合には特性の低下を招くこのようなダメージ層を除去する必要がある。このダメージ層の除去のためにはシリコン基板8の表面に新たなダメージを与えない方法が必要であり、一般にウェットエッチングが用いられる。最もよく用いられるのは簡単かつ安価なことから、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどである。これらアルカリ水溶液によるエッチングは多結晶シリコンのエッチングの際に面方位の選択性を持ってエッチングする。多結晶シリコンの表面のうち、もっともエッチングレートが速いのは(100)面を持った結晶粒であり、最もエッチングレートが遅いのは(111)面を持った結晶粒である。多結晶シリコン基板内の個々の結晶粒内部でもエッチングの選択性が発生し、最終的に(111)面が現れるようにエッチングが進んでいく。これを利用した凹凸の形成法として、アルカリ水溶液を用いたテクスチャ構造の形成法がある。この方法では薄いアルカリ水溶液、例えば5%水酸化ナトリウム水溶液により70℃程度でエッチングする。すると(100)面の結晶粒表面は4面に(111)面の稜を持ったピラミッド構造が無数に形成される。このため、(100)面の単結晶シリコン基板を用いた場合には基板全面にピラミッド構造が形成される。ピラミッド構造が形成されると、太陽電池として良好な低反射構造として働くため、光の吸収が増加して特性が向上する。このため、単結晶シリコン太陽電池では(100)面のシリコン基板が用いられることが多い。多結晶シリコン基板の場合は(100)面はピラミッドが形成され、他の面はピラミッドにはならないが(111)面が現れるようにエッチングが進むためにそれに合った凹凸が形成される。これらアルカリエッチングによる凹凸構造の大きさはおよそ数μmから十数μmである(図7(a))。
【0033】
シリコン基板8の表面側には、逆導電型半導体不純物を拡散した拡散層9が形成されている。この拡散層9はシリコン基板8内に半導体接合部を形成するために設けるものであり、例えばn型の不純物を拡散させる場合、POCl3を用いた気相拡散法、P2O5を用いた塗布拡散法、及びP+イオンを電界により基板に直接導入するイオン打ち込み法などによって形成される。この拡散層9は0.3〜0.5μm程度の深さに形成される(図7(b))。
【0034】
シリコン基板8の表面側には、反射防止膜10が形成されている。この反射防止膜10は、シリコン基板8の表面で光が反射するのを防止して、シリコン基板8内に光を有効に取り込むために設ける。この反射防止膜10は、シリコン基板8との屈折率差等を考慮して、屈折率が2程度の材料で構成され、厚み500〜2000Å程度の窒化シリコン膜や酸化シリコン(SiO2)膜などで構成される(図7(c))。
【0035】
図8は一般的な太陽電池素子6を受光面側から見たときの図を示す。
【0036】
シリコン基板8の受光面側には、表面電極11が形成されている。この表面電極11は主にAg紛、バインダー、フリットなどからなるAgペーストをスクリーン印刷して形成する。表面電極11は、例えば幅200μm程度に、またピッチ3mm程度に形成される多数のフィンガー電極11aと、この多数のフィンガー電極を相互に接続する2本のバスバー電極11bで構成される。
【0037】
図9は一般的な太陽電池素子6を裏面側から見たときの図を示す。裏面電極は集電電極12と出力取出電極13からなり、主に銀紛、バインダー、フリットなどからなる銀ペーストを出力取出電極13の形成予定位置にスクリーン印刷して乾燥させた後、その周囲に一部重ねて主にアルミニウム紛、バインダー、フリットなどからなるアルミニウムペーストを集電電極12の形成予定位置にスクリーン印刷する。裏面電極を形成する順番は特に問わない。つまりアルミニウムペーストを集電電極12の形成予定位置にスクリーン印刷してから、その一部と重ねて銀ペーストをスクリーン印刷してもよい。
【0038】
両面にペーストを塗布したシリコン基板8はペーストを乾燥させた後、上方から挟持して移載する方法や、ウォーキングビーム方式などの搬送方法によりベルトの上に載置される。その後焼成炉の加熱部に運ばれ800℃程度の温度に昇温することによって表面のペーストが焼き付けられる。
【0039】
裏面電極としては上述した以外に銀ペーストのみを所定パターンでスクリーン印刷し、焼き付ける方法もあるが、裏面の略全面にアルミニウムペーストからなる集電電極12を形成することによって、シリコン基板8の内部には同時にBSF層14が形成される。このBSF層14はシリコン基板8の裏面側に内部電界を形成し、シリコン基板8の裏面近くでキャリアの再結合による効率の低下を防ぐ。
【0040】
つまり、シリコン基板8の裏面近くで発生したキャリアがこの電界によって加速される結果、電力が有効に取り出されることとなり、特に長波長の光感度が増大すると共に、高温における太陽電池特性の低下を軽減できるため、裏面の略全面にアルミニウムペーストからなる集電電極12を形成する方法が一般的である。
【0041】
このとき本発明によればシリコン基板8の下端部と複数の点で点接触した支持部材7によって、炉体の長手方向に炉体を貫通して設けられた複数のワイヤーによって構成されるベルト1と、所定間隔を保ちながら移動させる。このようにすることにより、アルミニウムペーストとベルト1の金属の合金化という問題を回避することができるとともにシリコン基板8とベルト1の貼りつきの問題を未然に防ぐことができ、ベルト1の寿命が低下することを抑制することができる。また無理に剥がそうとすればシリコン基板8が破損してしまうという問題も発生することがない。さらに従来問題であったアルミニウムペーストの金属と接触している部分の温度が高くなり、アルミニウムとシリコン基板8の界面でも合金が形成されやすくなり、表面張力によって凝集し、アルミニウムによって形成される電極を突き抜けて表面で凝固して球状の突起を多数発生させたり、凝集した合金が界面で凝固してアルミニウムによって形成される電極に凹凸が形成されてしまうという問題が発生することもない。
【0042】
また支持部材7のベルト1の進行方向と同じ方向の断面形状は中空の略多角形の断面をなし、その一例として、略三角形の断面をなし、少なくともその1辺と太陽電池素子が点接触していたほうがよい。このようにすることにより焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるため、太陽電池素子の裏面がまんべんなくガスに曝されることになる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。よって裏面電極の焼成の不均一を抑止することができる。
【0043】
また、支持部材7の断面は中空の略五角形の断面であってもよい。このようにすることによって支持部材7の断面方向の幅を広げることなく、被処理体6のベルト1からの高さを設定することが可能になる。よってベルト1にシリコン基板8を乗せる際、ウォーキングビームを使用しても、そのアームが支持部材7の間に入るためスムーズな載置が可能になる。また、シリコン基板8と上部ヒーター2、下部ヒーター3の距離を自由に設定できるため、シリコン基板8の受光面および裏面にかかる温度を調整することが可能になる。
【0044】
また、支持部材7をワイヤーで構成することにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることをさらに有効に防ぐことができるとともに炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。また図4に示すように、ローラー5が回転駆動することによってベルト1が循環する際にも、循環の邪魔になることはない。
【0045】
また、このとき支持部材7のワイヤーがベルト1を構成するワイヤーと同じ材質で構成されていれば、異なる材質による熱膨張係数の違いで支持部材7がはずれたり、破損したりするという問題が発生することはない。
【0046】
その後電極が表裏両面に焼き付けられた太陽電池素子は、ベルト1により搬送され、焼成炉から排出される。焼成炉内にはガスの吹付けなどによる冷却機能が搭載されている場合もあるが、焼成炉の大きさの制限や焼成炉に必要とされる温度の制限から高温のまま排出されることがある。このとき本発明の焼成炉ではベルト1の上から焼成後の被処理体6を非接触で回収し別のワークに移載する回収機能を有することを特徴とする。このようにすることにより高温のまま排出された太陽電池素子6が回収用のワークに触れ、破損したり、傷がついたり、また回収用のワークを溶かし太陽電池素子6が汚れたりするという問題を防ぐことができる。非接触の回収手段としてはエジェクタやベルヌーイの原理を利用した吸引懸垂装置や、下からの吹き上げ装置などを使用することができる。
【0047】
また、このとき回収機能が冷却機能を有するものであれば焼成炉から排出された太陽電池素子6は冷却され、その後別のワークに載置してもワークを溶かすといった問題を発生させることがない。冷却手段としてはAirなどのガスの吹付けなどの方法がこれにあたる。つまり回収機能がエアーなどのガスの吹付けを伴うものであれば、回収と同時に冷却が可能になりさらに生産性を向上させることができる。
【0048】
シリコン基板8の表面に電極が焼き付けられた太陽電池素子6は、その後銀によって形成された電極表面にはんだを被覆して完成する。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正および変更を加えることができる。例えば太陽電池素子6の電極の焼成方法については同時焼成法を例にとり説明したが、これに限定されるものではなく複数回の焼成を行う場合でも有効にその効果を発揮する。つまり裏面の電極材料を焼きつけた後に本発明に係る焼成炉を使用しても、裏面電極材料の再焼結により与えられる影響を抑止することができる。また裏面電極としてアルミニウムからなる集電電極12と銀からなる出力取出電極13で構成される太陽電池素子6を例にとり説明したが、これも制限されるものではない。裏面の略全面にアルミニウムからなる集電電極12を有する太陽電池素子6でなくても、本発明に係る方法によれば特に裏面電極のパターンの制約がなくなるとともに、ベルト1への貼りつきの問題や、太陽電池素子6の破損等の問題を解決することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る焼成炉は、炉内にベルトを配し、このベルト上に所定の間隔にて支持部材を配列し、隣接する双方の支持部材上に、表裏両面に被焼成用部材を塗布して成る被処理体を載置して、前記被焼成用部材を加熱して前記被処理体に焼き付ける焼成炉において、前記支持部材はベルトの長手方向にそって配列したワイヤから成るとともに、このワイヤの少なくとも一部をベルト面に対し傾斜させて、この傾斜部に上記支持部材の端部を当接することで、塗布剤とベルトの金属の合金化という問題を回避することができる。これにより被処理体6とベルト1の貼りつきの問題を未然に防ぐことができるとともにベルトの寿命が低下することを抑制することができる。
【0051】
このとき支持部材のベルトの進行方向と同じ方向の断面形状は中空の略多角形をなし、一例として、中空の略三角形の断面を有していたほうがよい。このように支持部材を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。
【0052】
また支持部材のベルトの進行方向と同じ方向の断面形状の他の例として、中空の略五角形の断面を有していてもよい。このように支持部材を中空の構造にすることにより、焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。さらに五角形にすることにより、支持部材の断面方向の幅を広げることなく、被処理体のベルトからの高さを設定することが可能になる。
【0053】
このとき支持部材はワイヤーで構成されていたほうがよい。このようにすることにより、さらに有効に焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるとともに炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。さらにローラー5が回転駆動することによってベルトが循環する際に、循環の邪魔になることもない。
【0054】
またこのとき支持部材のワイヤーがベルトを構成するワイヤーと同じ材質で構成されていれば、異なる材質による熱膨張係数の違いで支持部材がはずれたり、破損したりするという問題が発生することはない。
【0055】
さらに太陽電池素子を形成するために、表裏両面に銀ペーストと裏面側にアルミニウムペーストからなる電極材料を塗布したシリコン基板の下端部と複数の点で点接触した支持部材によって、炉体の長手方向に炉体を貫通して設けられた複数のワイヤーによって構成されるベルトと、所定間隔を保ちながら移動させる。
このようにすることにより、アルミニウムペーストとベルトの金属の合金化という問題を回避することができるとともにシリコン基板とベルトの貼りつきの問題を未然に防ぐことができ、ベルトの寿命が低下することを抑制することができる。また無理に剥がそうとすればシリコン基板が破損してしまうという問題も発生することがない。さらに従来問題であったアルミニウムペーストの金属と接触している部分の温度のみが高くなり、アルミニウムとシリコン基板の界面でも合金が形成されやすくなり、表面張力によって凝集し、アルミニウムによって形成される電極を突き抜けて表面で凝固して球状の突起を多数発生させたり、凝集した合金が界面で凝固してアルミニウムによって形成される電極に凹凸が形成されてしまうという問題が発生することもない。よって電極の形成と同時に形成されたBSF層を有する太陽電池素子を、高い歩留まりで形成することが可能になる。
【0056】
このとき支持部材のベルトの進行方向と同じ方向の断面形状は中空の略多角形をなし、一例として、中空の略三角形の断面を有し、少なくともその1辺と太陽電池素子が点接触していたほうがよい。このようにすることにより焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるため、太陽電池素子の裏面がまんべんなくガスに曝されることになる。また炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。よって裏面電極の焼成の不均一を抑止することができる。この方法は特に面積の大きな太陽電池素子や、太陽電池素子の裏面に塗布する電極材料の塗布量が多い場合に特にその効果を有効に発揮する。
【0057】
また、支持部材の断面は中空の略五角形の断面であってもよい。支持部材の断面方向の幅を広げることなく、被処理体のベルトからの高さを設定することが可能になる。よってベルトにシリコン基板を載置する際、ウォーキングビームを使用しても、そのアームが支持部材の間に入るためスムーズな載置が可能になり、装置の自動化の自由度を高めると共に生産性の向上につながる。また、シリコン基板と上部ヒーター、下部ヒーターの距離を自由に設定できるため、シリコン基板の受光面および裏面にかかる温度を調整することが可能になる。この方法は反射防止膜の上から電極材料を焼き付けることによりオーミックコンタクトをとるいわゆるファイヤースルー法を行うときや、太陽電池素子の受光面側と裏面側に塗布するペーストの塗布量の差が大きいときに特に有効にその効果を発揮する。
【0058】
また、支持部材をワイヤーで構成することにより、さらに有効に焼成炉中のガスの流れが阻害されることを防ぐことができるとともに炉内の熱伝導のばらつきを抑制することもできる。また図4に示すように、ローラーが回転駆動することによってベルトが循環する際にも、循環の邪魔になることはない。
【0059】
また、このとき支持部材7のワイヤーがベルトを構成するワイヤーと同じ材質で構成されていれば、異なる材質による熱膨張係数の違いで支持部材がはずれたり、破損したりするという問題が発生することはない。
【0060】
また、本発明による焼成炉はベルトの上から焼成後の被処理体を非接触で回収し別のワークに移載する回収機能を有することを特徴とする。このようにすることにより高温のまま排出された太陽電池素子が回収用のワークに触れ、破損したり、傷がついたり、また回収用のワークを溶かし太陽電池素子が汚れたりするという問題を防ぐことができる。これは電極に焼結温度の高いいわゆる高温ペーストを使用した太陽電池素子を形成する際に、特に有効にその効果を発揮する。
【0061】
また、このとき回収機能が冷却機能を有するものであれば焼成炉から排出された太陽電池素子は冷却され、その後別のワークに載置してもワークを溶かすといった問題を発生させることがない。また回収機能がエアーなどのガスの吹付けを伴うものであれば、回収と同時に冷却が可能になりさらに生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る焼成炉の一例を説明するための図であり、図2のA−A’間の断面図である。
【図2】本発明に係る焼成炉のベルトを上方から見たときの図である。
【図3】本発明に係る焼成炉の一例を説明するための図であり、図3のB部の拡大図である。
【図4】焼成炉の全体構造を説明するための図である。
【図5】本発明に係る焼成炉の他の例を説明するための図であり、図2のA−A’間の断面図である。
【図6】本発明に係る焼成炉の一例を説明するための図であり、図5のB部の拡大図である。
【図7】太陽電池素子の電極の製造方法を説明するための図である。
【図8】太陽電池素子の受光面側の構造を説明するための図である。
【図9】太陽電池素子の裏面側の構造を説明するための図である。
【図10】従来の焼成炉を説明するための図である。
【図11】従来の他の焼成炉を説明するための図である。
【図12】従来の他の焼成炉を説明するための図であり、図11のB部の拡大図である。
【図13】従来技術における太陽電池素子の構造を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・ベルト
2・・・上部ヒーター
3・・・下部ヒーター
4・・・カバー
5・・・ローラー
6・・・被処理体(太陽電池素子)
7・・・支持部材
8・・・シリコン基板
9・・・拡散層
10・・・反射防止膜
11・・・表面電極
12・・・集電電極
13・・・出力取出電極
14・・・BSF層
Claims (4)
- 炉内に配したベルト上に、支持部材を配置するとともに、該支持部材に表裏両面に被焼成用部材を塗布して成る被処理体を載置させ、ベルト上の支持部材に載置されている被処理体を移動させつつ、被焼成用部材を加熱することによって被焼成用部材を前記被処理体に焼き付ける焼成炉であって、前記支持部材はベルトの長手方向にそって平行に配列した少なくとも2本のワイヤから成るとともに、各ワイヤの少なくとも一部がベルトの上面に対し傾斜する一対の傾斜部を有し、この傾斜部に上記被処理体の端部が当接することを特徴とする焼成炉。
- 前記支持部材は前記ベルトと同じ材質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の焼成炉。
- 請求項1または2の焼成炉を用いて、順次下記(1)ないし(3)の各工程を経ることで、半導体基板の表裏両面に、表面電極および裏面電極を有する太陽電池素子を形成することを特徴とする太陽電池素子の製造方法。
(1)前記被処理体である半導体基板の表裏両面に前記被焼成用部材である電極材料を塗布し、乾燥させる。
(2)前工程により得られた半導体基板を支持部材上に載置する。
(3)前記ベルトを移動させながら被焼成用部材である電極材料を半導体基板の表裏両面に焼き付け、表面電極及び裏面電極を形成する。 - 前記被処理体である半導体基板の表面に銀を主成分とする電極材料を塗布し、前記半導体基板の裏面の一部にアルミニウムを主成分とする電極材料を、他部に銀を主成分とする電極材料を塗布することを特徴とする請求項3に記載の太陽電池素子の製造方法。
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