JP2014053520A - 圧粉磁性体の製造方法および熱処理装置 - Google Patents

圧粉磁性体の製造方法および熱処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】内部潤滑剤を用いて作製された圧粉磁性体を熱処理したとき、その圧粉磁性体の表面に内部潤滑剤の残滓が付着し難い圧粉磁性体の熱処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】絶縁被覆を有する軟磁性材料と内部潤滑剤の混合材料を圧縮成形して成形体を得る工程と、水平面に対し斜めになるように前記成形体を搭載台に載置して熱処理する工程とを含む圧粉磁性体の製造方法とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部潤滑剤を用いて作製された圧粉磁性体の歪取りのための圧粉磁性体の製造方法に関するものである。
鉄やその合金、フェライトなどの軟磁性材料からなる磁性体と、この磁性体に配置されるコイルとを備える磁気部品が種々の分野で利用されている。具体的には、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両に載置される車載部品、種々の電気機器の電源回路部品などに利用されるモータ、トランス、リアクトル、チョークコイルなどが挙げられる。
上記磁気部品を交流磁場で使用する場合、磁性体には、鉄損(概ね、ヒステリシス損と渦電流損との和)と呼ばれるエネルギー損失が生じる。渦電流損は作動周波数の2乗に比例するため、上記磁気部品が数kHz以上といった高周波数で使用される場合、鉄損が顕著になる。このように作動周波数が高い用途には、鉄や鉄基合金などの軟磁性金属粒子の外周に絶縁被覆を設けた被覆粒子の粉末を加圧成形した圧粉磁性体を利用する。被覆粒子の粉末を用いることで、各被覆粒子の絶縁被覆が軟磁性金属粒子同士の接触を抑制し、圧粉磁性体における渦電流損(つまり、鉄損)を効果的に低減できる。
上記被覆粒子の粉末を用いた圧粉磁性体の作製にあたっては、加圧成形により絶縁被覆が損傷しないようにする。例えば、特許文献1には、圧粉磁性体の金型内周面に潤滑剤を塗布したり、被覆粒子の粉末に潤滑剤(以下、内部潤滑剤)を混ぜ込んだりして、加圧成形により圧粉磁性体を作製することが開示されている。特に、内部潤滑剤を利用すれば、圧粉磁性体内部での被覆粒子同士の摩擦を低減でき、被覆粒子の絶縁被覆の損傷を抑制できる。その結果として、絶縁被覆の損傷に起因する圧粉磁性体の渦電流損の増加を抑制できる。
上記圧粉磁性体は、加圧成形後に、加圧成形の圧力によって圧粉磁性体を構成する軟磁性粉末に導入された歪を取るために熱処理が施される。軟磁性粉末に導入された歪が圧粉磁性体のヒステリシス損を増加させるからである。この熱処理によって、歪の除去と共に、圧粉磁性体から内部潤滑剤を除去することもできる。このような歪取りのための熱処理には、例えば、特許文献2に記載されるメッシュベルト炉などの熱処理炉を利用することができる。メッシュベルト炉は、炉本体と、その内部に圧粉磁性体を搬送するメッシュベルトと、を備える。当該メッシュベルトは、鋼帯などからなるコンベア部の表面に、格子網状のメッシュ部を形成した構成を備えている。このようなメッシュベルトの構成によって、炉本体内の雰囲気がメッシュベルト上に載置される圧粉磁性体の全周面に接触できるようになっており、それによって圧粉磁性体に均一的な熱処理が施される。
特開2004−288983号公報 特開2006−283123号公報
上記従来の圧粉磁性体の熱処理方法では、内部潤滑剤を用いて作製された圧粉磁性体を熱処理炉で熱処理した際、圧粉磁性体の表面から内部潤滑剤を除去しきることができず、内部潤滑剤の残滓が圧粉磁性体の表面に付着した状態となることがある。特に、圧粉磁性体の上面(熱処理炉において圧粉磁性体が載置される水平な搭載台に接する面の反対面)において、残滓の付着が顕著である。
熱処理後に圧粉磁性体の表面に付着した内部潤滑剤の残滓は、圧粉磁性体の磁気特性を損なうものではないが、圧粉磁性体が工業製品である以上、圧粉磁性体の出荷前に拭き取っておく必要がある。この拭き取り作業は非常に煩雑で、圧粉磁性体の生産性を低下させる。また、拭き取り作業中に誤って圧粉磁性体の表面を傷付け、思わぬ圧粉磁性体の磁気特性の低下を招く恐れもある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、内部潤滑剤を用いて作製された圧粉磁性体を熱処理したとき、その圧粉磁性体の表面に内部潤滑剤の残滓が付着し難い圧粉磁性体の熱処理方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、絶縁被覆を有する軟磁性材料と内部潤滑剤との混合材料を圧縮成形して成形体を得る工程と、水平面に対し斜めになるように前記成形体を搭載台に載置して熱処理する工程とを含む圧粉磁性体の製造方法とした。
前記成形体は、水平面に載置した場合に前記水平面に平行となる上面を有し、水平面と前記上面の間の角度が15度以上となるように前記成形体を搭載台に載置すると好ましい。
前記搭載台が段差部を有し、前記成形体の一部を前記段差部に載置すると好ましい。
前記段差部は前記搭載台に形成した溝であり、前記溝は前記搭載台の幅方向に複数本形成されていると好ましい。
本発明は、メッシュベルトを有する熱処理炉と、前記メッシュベルト上に載置され足部と搭載部材からなる搭載台とを含み、前記搭載部材がパンチングプレートからなり、前記搭載部材に複数本の溝が形成されている熱処理装置とした。
本発明圧粉磁性体の熱処理方法によれば、内部潤滑剤を用いて作製された圧粉磁性体を熱処理した際、その圧粉磁性体の表面に内部潤滑剤の残滓が付着した状態となり難い。その結果、熱処理後の圧粉磁性体の表面から内部潤滑剤の残滓を拭き取る作業を低減でき、圧粉磁性体の生産性を向上させることができる。
実施形態1に示す圧粉磁性体の熱処理方法に利用する熱処理炉の概略斜視図である。 実施形態1に示す圧粉磁性体の熱処理方法に利用する熱処理炉の概略側面図である。 実施形態2に示す圧粉磁性体の熱処理方法に利用する熱処理炉の概略側面図である。
以下、本発明圧粉磁性体の熱処理方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
本発明圧粉磁性体の熱処理方法の説明にあたって、まず初めに熱処理を行なう圧粉磁性体の構成について説明する。その後、本発明圧粉磁性体の熱処理方法を説明する。
≪圧粉磁性体≫
圧粉磁性体は、軟磁性金属粒子の表面に絶縁被覆を施した被覆粒子の集合体である軟磁性粉末を加圧成形することで作製される。その加圧成形の際、軟磁性粉末に内部潤滑剤を混合し、被覆粒子同士が強く擦れ合うことを抑制し、各被覆粒子の絶縁被覆が損傷しないようにしている。
[軟磁性金属粒子]
軟磁性金属粒子の材質は、鉄を50質量%以上含有するものが好ましい。例えば、純鉄(Fe)、その他、Fe−Si系合金,Fe−Al系合金,Fe−N系合金,Fe−Ni系合金,Fe−C系合金,Fe−B系合金,Fe−Co系合金,Fe−P系合金,Fe−Ni−Co系合金,及びFe−Al−Si系合金から選択される1種の鉄合金が挙げられる。特に、透磁率及び磁束密度の点から、99質量%以上がFeである純鉄が好ましい。
軟磁性金属粒子は、その平均粒径dが1μm以上70μm以下であることが好ましい。平均粒径dが1μm以上であることで、流動性に優れる上に、圧粉磁性体におけるヒステリシス損の増加を抑制でき、70μm以下であることで、圧粉磁性体における渦電流損を効果的に低減できる。特に、平均粒径dが50μm以上であると、ヒステリシス損の低減効果を得易い上に、粉末を取り扱い易い。上記平均粒径dは、粒径のヒストグラム中、粒径の小さい粒子からの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径(質量)をいう。
[絶縁被覆]
絶縁被覆は、例えば、Fe,Al,Ca,Mn,Zn,Mg,V,Cr,Y,Ba,Sr及び希土類元素(Yを除く)などから選択された1種以上の金属元素の酸化物、窒化物、炭化物などの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物などで構成することができる。また、絶縁被覆は、例えば、リン化合物、ケイ素化合物(シリコーン樹脂など)、ジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物から選択された1種以上の化合物で構成しても良い。その他、絶縁被覆は、金属塩化合物、例えば、リン酸金属塩化合物(代表的には、リン酸鉄やリン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムなど)、ホウ酸金属塩化合物、ケイ酸金属塩化合物、チタン酸金属塩化合物などで構成しても良い。
上記絶縁被覆の厚さは、10nm以上1μm以下とすることが好ましい。10nm以上であると、軟磁性金属粒子間の絶縁を確保でき、1μm以下であると、絶縁被覆の存在により、圧粉磁性体における軟磁性粉末の含有割合の低下を抑制できる。
[内部潤滑剤]
内部潤滑剤は、液体潤滑剤でも良いし、潤滑剤粉末からなる固体潤滑剤でも良い。特に、軟磁性粉末との混合し易さを考慮して、内部潤滑剤は、固体潤滑剤とすることが好ましい。固体潤滑剤は、軟磁性粉末に均一的に混合し易く、圧粉磁性体の成形時、被覆粒子間で十分に変形可能であり、得られた圧粉磁性体に熱処理を施した際、この加熱により除去し易いものを利用することが好ましい。例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸を固体潤滑剤として利用することができる。その他、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドを利用することもできる。
上記内部潤滑剤の好ましい混合量、即ち、被覆軟磁性粉末を100としたときに、その被覆軟磁性粉末に混合する内部潤滑剤の混合量は、0.4質量%〜0.8質量%とすることが好ましい。また、内部潤滑剤を構成する固体潤滑剤は、最大径が20μm以下の固体潤滑剤であることが好ましい。この大きさの固体潤滑剤であれば、内部潤滑剤粒子が、被覆軟磁性粒子の間に入り込み易く、被覆軟磁性粒子間の摩擦を効果的に低減して、被覆軟磁性の絶縁被覆の損傷を効果的に防止できる。
[加圧成形]
圧粉磁性体の加圧成形には、筒状のダイと、そのダイの上下の開口部に挿入される上パンチおよび下パンチとを備える公知の金型を用いると良い。このような金型を用いる場合、ダイに下パンチを挿入し、そのダイと下パンチとで囲まれるキャビティに上述した軟磁性粉末と内部潤滑剤を含む混合粉末を入れる。そして、ダイに上パンチを挿入し、上パンチと下パンチとの間で軟磁性粉末を加圧すると良い。ここで、ダイの内周面に、潤滑剤を塗布すると、圧粉磁性体の外周面における絶縁被覆の損傷を効果的に抑制することができる。
加圧成形の圧力は、390MPa以上1500MPa以下とすることが好ましい。390MPa以上とすることで、軟磁性粉末を十分に圧縮することができ、圧粉磁性体の相対密度を高められ、1500MPa以下とすることで、軟磁性粉末を構成する被覆粒子同士の接触による絶縁被覆の損傷を抑制できる。700MPa以上1300MPa以下がより好ましい圧力である。
≪圧粉磁性体の熱処理方法≫
加圧成形することで作製された圧粉磁性体の軟磁性金属粒子には、歪が導入される。この歪は、圧粉磁性体のヒステリシス損を増加させる要因となるため、圧粉磁性体を熱処理することによって除去する。この熱処理に、本発明圧粉磁性体の熱処理方法を用いる。
[熱処理炉]
本発明圧粉磁性体の熱処理方法に利用する熱処理炉の一例を図1に基づいて説明する。図1に示す熱処理炉は、炉本体2と、その炉本体2に熱処理対象の圧粉磁性体9を導入するメッシュベルト3と、を備えるメッシュベルト炉1である。
このメッシュベルト炉1のメッシュベルト3の上に底上げされた圧粉磁性体の搭載台4を設け、搭載台4の搭載部材6の搭載面に段差部が形成された構成とする。この構成により、水平面に載置した場合に水平面に平行となる上面を有する圧粉磁性体9を搭載部材6の搭載面に形成された段差部に載置すると、圧粉磁性体9の上面を水平面に対して斜めにすることができ、染み出した内部潤滑剤を圧粉成形体9の上面に留めることなく流れ落ちさせることができる。さらに、搭載台4が底上げされているのでメッシュベルト3と搭載台4との間に所定の隙間が形成され、当該隙間に雰囲気の対流を生じさせることができる。
炉本体2は、その内部の雰囲気を所望の温度に加熱する加熱手段を備える。また、炉本体2の内部を不活性ガス雰囲気(例えば、N2ガスやArガスなど)とすることができるように、当該不活性ガスを導入するガス導入管を備える。ガス導入管から導入する不活性ガスはある程度加熱された状態であることが好ましい。加熱手段による内部雰囲気の温度調節を行ない易いからである。
炉本体2による熱処理の温度は、高いほどヒステリシス損を低減できるが、高過ぎると絶縁被覆の構成材料が熱分解されることがあるため、当該構成材料の熱分解温度未満の範囲で選択する。代表的には、熱処理の温度は400℃〜700℃、保持時間は30分以上60分以下とすることが挙げられる。絶縁被覆がリン酸鉄やリン酸亜鉛などの非晶質リン酸塩からなる場合、上記加熱温度は500℃程度までが好ましく、金属酸化物やシリコーン樹脂などの耐熱性に優れる絶縁材料からなる場合、550℃以上、更に600℃以上、特に650℃以上に加熱温度を高められる。
一方、メッシュベルト3は、炉本体2に固定された台座30上を図示しないローラで炉本体2に送り出される。従来技術では、このメッシュベルト3が、圧粉磁性体9を載置する台部となる。既に述べたように、本実施形態のメッシュベルト炉は、メッシュベルト3上に、搭載台4が備わっており、熱処理する圧粉磁性体9は、メッシュベルト3上ではなく、この搭載台4上に載置される。
搭載台4の搭載部材6は、その厚さ方向に貫通する複数の孔を備える部材であって、本実施形態ではパンチングプレートである。搭載部材6に複数の孔を形成することで、この搭載部材6上に圧粉磁性体9を載置したとき、圧粉磁性体9の載置面(搭載部材6に対向する面)に、炉本体2の雰囲気が接触し易くなる。また、圧粉磁性体9から染み出た潤滑剤が搭載部材6上に溜まらなくなる。
搭載台4の搭載部材6の材質としては、圧粉磁性体9の熱処理雰囲気によって軟化しないものを利用する。例えば、鋼やステンレスなどを搭載台4の材質として利用することができる。
搭載台4の搭載部材6の搭載面には、段差部が形成されている。段差部は、搭載部材6の搭載面に溝や凸状の突起を複数本形成する。この段差部に圧粉磁性体を傾けた状態で載置する。そのため、例えば段差部が溝の場合、圧粉磁性体の上面と水平面との角度が15°以上となるように圧粉磁性体を傾けた時に圧粉磁性体の搭載面の下端部から圧粉磁性体の重心までの高さよりも搭載部材の搭載面と段差部の下面との深さを深くする。突起の場合は、圧粉磁性体の搭載面の下端部から圧粉磁性体の重心までの高さよりも搭載部材の搭載面と突起の上面との高さを高くする。搭載部材6の材質が鋼やステンレスの場合、段差部は搭載部材を折り曲げて形成することができる。この場合、段差部が搭載部材6に一体に形成されているので、載置された圧粉磁性体9の姿勢が安定し、熱処理の途中で圧粉磁性体の姿勢が変わる恐れがない。
搭載部材6に形成される各孔の孔面積は、圧粉磁性体9の載置面面積の1/100〜1/2とすることが好ましい。各孔の孔面積を圧粉磁性体9の載置面面積の1/100以上とすることで、炉本体2内の雰囲気が圧粉磁性体9の載置面に十分に接触し、当該載置面の内部潤滑剤を効果的に除去することができる。また、当該孔面積を圧粉磁性体9の載置面面積の1/2以下とすることで、搭載台4上での圧粉磁性体9の安定性を向上させることができる。加えて、高重量物である圧粉磁性体9を載せても容易に撓まない強度を搭載台4に持たせることができる。より好ましい孔面積は、圧粉磁性体9の載置面面積の1/60〜1/4である。
上記搭載台4は、支持部材5によってメッシュベルト3(即ち、台部)から底上げされている。支持部材5の材質は、熱処理温度で軟化しない物であれば特に限定されず、搭載部材6と同一材質や、アルミナといったセラミックスなどを利用することができる。
[熱処理手順]
図1を参照して説明したメッシュベルト炉1を用いて圧粉磁性体9を熱処理する。圧粉磁性体9の熱処理にあたっては、圧粉磁性体9は決してメッシュベルト3上に直接載置せず、搭載台4上に載置する。圧粉磁性体はその一部を搭載部材に形成された溝に載置されることにより、圧粉磁性体9の上面が水平面に対して斜めになるように載置される。そして、炉本体2内の雰囲気を加熱し、メッシュベルト3を動作させて、搭載台4に載置された状態の圧粉磁性体9を炉本体2内に搬入する。
炉本体2内に導入された圧粉磁性体9は、炉本体2内の雰囲気に加熱され、圧粉磁性体9を構成する軟磁性金属粒子の導入された歪が除去される。同時に、その加熱によって、圧粉磁性体9の内部に含まれる内部潤滑剤が溶解し、圧粉磁性体9の表面に滲み出す。ここで、圧粉磁性体9の上面に滲み出た内部潤滑剤はある程度は蒸発するが、滲み出る量が多くなると圧粉磁性体9の上面上である程度凝集して液滴となる。圧粉磁性体9の上面は水平面に対し傾斜しているため、前記液滴は前記上面をすべり、圧粉磁性体9から搭載台4へ垂れ落ちる。圧粉磁性体9の上面以外の面でも同様に滲み出た内部潤滑剤は圧粉磁性体9表面で蒸発するか、または搭載台4へ流れ落ちる。
圧粉磁性体9は成形時にダイと接するダイ面とパンチに接するパンチ面を有する。前記ダイ面は金型からの抜出時にダイと擦れるために、ダイ面上の空孔がある程度潰れ、熱処理の際に内部潤滑剤の染み出し量が少ない。一方パンチ面は、パンチ面上の空孔が潰れることがないため、熱処理の際の内部潤滑剤の染み出し量が多い。そのため、パンチ面を上面として圧粉磁性体9を搭載台4に載置する場合に、本実施形態の効果がより発揮される。
圧粉磁性体9と搭載台4との接触部には、染み出した内部潤滑剤が蒸発しにくく、内部潤滑剤が残渣として付着しやすい。そのため、圧粉磁性体9を搭載部材6に形成された溝に載置する際に、圧粉磁性体9と溝の間に所定の隙間が形成されるように、圧粉磁性体9の載置面を搭載部材6の上面と搭載部材6に形成された溝との稜線で支持し、圧粉磁性体9の搭載面の外形稜線を搭載部材6に形成された溝で支持する構成にするとなおよい。この構成とすることで、圧粉磁性体9と搭載台4の接触面積が少なくなるとともに、圧粉磁性体9の載置面に加熱雰囲気が接触し易くなる。
以上説明した本発明圧粉磁性体の熱処理方法によれば、圧粉磁性体9の表面(載置面を含む)に内部潤滑剤の残滓が付着した状態となり難い。そのため、熱処理後の圧粉磁性体9の表面を拭う作業を軽減でき、その分だけ圧粉磁性体9の生産性を向上させることができる。また、圧粉磁性体9の表面を拭う作業に伴う圧粉磁性体9の表面損傷を低減でき、圧粉磁性体9の歩留りを向上させることができる。
<変形実施形態>
実施形態1では、搭載部材6に溝を形成したが、搭載部材6に凸状の突起を形成してもよいし、別部材を搭載部材6の表面に設置しても、圧粉磁性体9を傾いた状態で搭載台4に載置することができる。
<実施形態2>
実施形態2では、搭載台4の上にさらに別の搭載台40を配置したメッシュベルト炉1’を用いた圧粉磁性体の熱処理方法を図3に基づいて説明する。
図3に示すメッシュベルト炉1’では、図1で説明した実施形態1のメッシュベルト炉1に備わる搭載台4の上に、さらに別の搭載台40を設けた。追加で設けた搭載台40の材質・形状は、下段の搭載台4と同じである。また、その上段の搭載台40を支える支持部材50の材質も、下段の搭載台4を支える支持部材5と同じである。
ここで、上段の搭載台40の搭載部材60の最下端と下段の搭載台4上に載置される圧粉磁性体9の最上端との隙間は2mm以上とする。そうすることで、上段の搭載台40の上に載置された圧粉磁性体9の載置面に、炉内雰囲気を十分に接触させることができる。
以上説明した多段に積み上げた搭載台4,40を備え、かつ各搭載台4,40の下に所定の隙間を設けたメッシュベルト炉1’を使用すれば、一度に大量の圧粉磁性体9を熱処理することができ、しかも各圧粉磁性体9の表面に内部潤滑剤の残滓が付着した状態とならないようにすることができる。
なお、搭載台を3段以上重ねる場合、高さ方向に隣接する搭載台の間隔は、上述した1段目の搭載台と2段目の搭載台との間隔を決定した理屈と同じ理屈で決定すると良い。
<試験例>
図1を参照して説明した実施形態1のメッシュベルト炉1を用いて実際に圧粉磁性体9の熱処理を行なった。その際、搭載台4上に圧粉磁性体9を載置すると共に、搭載台4が設けられていないメッシュベルト3上に直接圧粉磁性体9を載置しておいた。そうすることで、搭載台4上に載置して熱処理する本発明熱処理方法で熱処理された圧粉磁性体9と、メッシュベルト3上に直置きして熱処理する従来熱処理方法で熱処理された圧粉磁性体9と、を同一の熱処理条件で熱処理できる。
≪熱処理した圧粉磁性体≫
・軟磁性粉末…平均粒径d=50μmの純鉄の表面に、化成処理により燐酸金属塩化合物からなる絶縁層(平均膜厚:20nm以下程度)を被覆した被覆粒子の集合体
・内部潤滑剤…平均粒径16μmのステアリン酸亜鉛有機複合体
・混合割合…軟磁性粉末を100としたとき、ステアリン酸亜鉛が0.6質量%となるように混合
・加圧条件…700MPa
・最終寸法…縦30mm×横30mm×厚さ20mmの直方体
≪圧粉磁性体の熱処理条件≫
・雰囲気…Nガス
・熱処理温度…400℃
・熱処理時間…30分
・搭載台4の各孔の孔面積…25mm(円形)
・搭載台4の高さ…メッシュベルト3の表面から5mm
・搭載台に形成された溝の幅…36mm
・搭載台に形成された溝の深さ…16mm
・搭載台の溝の傾斜角度…40°
・圧粉磁性体の上面と水平面との角度θ…15°、40°
≪試験結果≫
本発明熱処理方法で熱処理した圧粉磁性体は、上面および下面とも光沢があり、内部潤滑剤の残滓の付着が殆どなかった。
一方、従来熱処理方法で熱処理した圧粉磁性体は、上面に内部潤滑剤の残渣が付着するとともに、下面(載置面)にも内部潤滑剤の残滓が斑に付着していた。そのため、この圧粉磁性体は、その表面を丁寧に拭わなければ出荷可能な状態とならない。その丁寧に拭う作業は煩雑である上、圧粉磁性体の表面を傷付ける恐れがあるので注意が必要である。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。例えば、圧粉磁性体を熱処理するための熱処理炉は、バッチ炉であっても構わない。また搭載台は金網と棒材等を組み合わせたものであっても構わない。
本発明圧粉磁性体の熱処理方法は、内部潤滑で作製された圧粉磁性体の歪取りに好適に利用することができる。
1,1’ メッシュベルト炉(熱処理炉)
2 炉本体
3 メッシュベルト 30 台座
4,40 搭載台
5,50 支持部材
6,60 搭載部材
9 圧粉磁性体
θ 圧粉磁性体の上面と水平面との角度

Claims (5)

  1. 絶縁被覆を有する軟磁性材料と内部潤滑剤との混合材料を圧縮成形して成形体を得る工程と、
    水平面に対し斜めになるように前記成形体を搭載台に載置して熱処理する工程とを含む圧粉磁性体の製造方法。
  2. 前記成形体は、水平面に載置した場合に前記水平面に平行となる上面を有し、
    水平面と前記上面の間の角度が15度以上となるように前記成形体を前記搭載台に載置する請求項1に記載の圧粉磁性体の製造方法。
  3. 前記搭載台が段差部を有し、前記成形体を前記段差部に載置する請求項1又は請求項2に記載の圧粉磁性体の製造方法。
  4. 前記段差部は前記搭載台に形成した溝であり、前記溝は前記搭載台の幅方向に複数本形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧粉磁性体の製造方法。
  5. メッシュベルトを有する熱処理炉と
    前記メッシュベルト上に載置され、足部と搭載部材からなる搭載台とを含み、
    前記搭載部材がパンチングプレートからなり、前記搭載部材に複数本の溝が形成されている熱処理装置。
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