JP3145832U - 複合磁性材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 実動状態(約60〜130℃以上)でのコアロスの上昇を生じないで、かつ実用強度を備えた複合磁性材料を提供する。
【解決手段】 軟磁性金属粉末を非磁性材料で結合したインダクタ用複合磁性材料であって、前記非磁性材料は、前記軟磁性金属粉末に添加混合された成形助剤と、前記軟磁性金属粉末・成形助剤成形体を熱処理した後に結合材として該軟磁性金属粉末・成形助剤成形体に含浸された含浸樹脂とを有し、前記含浸樹脂は大気圧下での熱硬化温度が180℃以上である。
【選択図】 図10

Description

本考案は、電源回路などの電子回路に適用される金属系軟磁性複合材料に巻線されたインダクタに係り、特に磁気特性に優れたコアとして用いられるダストコア材料としての複合磁性材料に関する。
近年、電気・電子機器の小型化・省電力化に伴って、インダクタなどの電子部品についても小型化・高効率化が要求されている。電気・電子回路に用いられるインダクタの多くはフェライトコアが用いられてきたが、近時、フェライトに比較して飽和磁束密度が大きく、直流重畳特性に優れている軟磁性金属粉末を圧縮成形したダストコアが用いられるようになってきている。
しかしながら、軟磁性金属粉末は良導体の金属であることから固有抵抗が低く、そのため渦電流損が大きくなってそのままでは使用することができない。その方策として、例えば非特許文献1では、絶縁性と耐電圧を上げるために軟磁性金属粉末に非磁性結合材料を添加することにより、軟磁性金属粉末の表面に絶縁層を形成する。この場合、高絶縁性・高耐電圧を得るためには非磁性結合材料の添加量を増加させる必要がある。
しかし、非磁性結合材料の添加量を増加させると、軟磁性金属粉末表面の絶縁層が厚くなってしまい、磁気損失(コアロス)などの磁気特性が低下するという問題点がある。
強磁性体の物理(下)、近角聰信著、1984年7月25日 第3版、株式会社裳華房発行、第8章、375頁
従来のダストコアは、図10に示すように軟磁性金属粉末と水ガラスやシリコーン系無機樹脂とを混合し(工程K1)、金型加圧成形し(工程K2)、熱処理する(工程K3)ことにより製造される。しかし、これらの結晶質の軟磁性金属粉末に適用してきた製造方法をアモルファス軟磁性金属粉末に適用すると、強度が劣化してしまい実用に供することができないという問題点がある。ちなみに、従来の製造方法の範囲で強度を向上させると、逆にコア損失特性は透磁率の劣化を招来し、結晶質軟磁性金属粉末を用いた場合と比べて性能が低下してしまう。その改善策として表面塗装法を用いてダストコアの表面に塗料を塗布することも考えられるが、塗装後、塗料が固化する過程で発生する塗膜の収縮に起因する歪が磁性体の性能を劣化させる。このため表面塗装法も有効な解決手段とはならない。このように従来の方法ではアモルファス粉末の基本特性を有効に生かせないという問題点がある。
本考案は上記の課題を解決するためになされたものであり、実動状態(約60〜130℃以上)でのコアロスの上昇を生じないで、かつ実用強度を備えた複合磁性材料を提供することを目的とする。
本考案者等は、軟磁性金属のアモルファス粉末を用いるダストコアの製造方法において生じる上記の問題点を解決するために、各工程におけるアモルファス粉末および結合材(バインダ)の反応挙動およびそれによりもたらされる機械強度や磁気特性の変化について鋭意検討した結果、以下に述べる知見を得た。
従来の製造方法においては、軟磁性金属のアモルファス粉末とシリコーン樹脂あるいは水ガラスなどのセラミックスを混合し、乾燥後、金型成形して製品形状の成形体を得た後に、さらにアモルファス粉末にもたらされる成形時の加工歪を除去することにより磁性体の各種特性(コアロス、機械的強度など)を発現させる。
従来の結晶質粉末を用いる製造方法では、加工歪を十分除去できる高温で熱処理することにより所望の磁気特性を確保するとともにシリコーン樹脂が分解して酸化ケイ素などのセラミクス相になり、また水ガラスも結晶水の放出によりケイ酸ソーダを主体としたセラミクス相になることにより実用強度を得ることができる。
一方、アモルファス粉末を用いる製造方法では、加工歪を除去するに十分な温度を得るために熱処理温度をアモルファス相の結晶化温度より高くすると、アモルファス相が結晶化して損失特性(コアロス)が急激に劣化する。この損失特性(コアロス)の劣化を防止するために、熱処理温度をアモルファス相の結晶化温度以下に抑えると、低温熱処理によりシリコーン樹脂の分解や水ガラスの安定化が不十分になり、機械的強度が劣化する。また、アモルファス粉末は結晶質粉末よりも硬く、成形工程において粉末同士に物理的結合を生じないことも機械的強度の劣化の要因となることが分かった。
そこで、強度向上を狙って結合材(バインダ)の添加量を増加させると、磁気特性(透磁率など)の劣化を招来する。さらに、結合材(バインダ)をシリコーン樹脂あるいは水ガラスに代えて様々な有機樹脂や無機樹脂の適用を試みたが、いずれの場合も熱処理により変質して十分な機械的強度を確保するに至らなかった。
以上の工程における適用物質の反応挙動および様々な試みをすることによって以下の工程が軟磁性金属のアモルファス粉末を用いた複合磁性材料(ダストコア)の製造方法として最適であることが分かった。すなわち、アモルファス粉末と成形助剤(樹脂)との混合および乾燥造粒、金型成形、アモルファス粉末の結晶化温度より低い温度で熱処理し、熱処理で成形助剤の分解により劣化した機械的強度を補強するため樹脂含浸し、必要に応じて含浸樹脂を加熱硬化させる。
ところで、磁粉と結合材(バインダー)との混合乾燥、成形、熱処理、樹脂含浸および加熱硬化の一連の工程を経て巻線インダクタ用ダストコアを製造するにあたり、強度を向上させる目的のために、エポキシ樹脂(熱硬化温度;150℃以下)のような比較的低い温度領域で加熱硬化する樹脂を含浸させると、次のような問題を生じる。
軟磁性金属粉末として磁歪定数がλs=1〜30×106と大きいアモルファス粉を用いた場合、これと組み合わせてエポキシ樹脂(熱硬化温度;150℃以下)のような比較的低い温度領域で硬化する熱硬化性樹脂を用いると、得られたダストコアに金属導線を巻回して作製したインダクタを回路に組み込んだ後、機器動作による回路内の温度上昇から、樹脂の重合が進行して硬くなり、磁粉を拘束する歪みが大きくなることからコアロスが上昇するという問題を生じる。
上述した知見に基づいて以下に述べる本考案がなされた。
本考案に係る複合磁性材料は、軟磁性金属粉末を非磁性材料で結合したインダクタ用複合磁性材料であって、前記軟磁性金属粉末は鉄系合金の非晶質粒子からなり、かつ前記非磁性材料は、前記軟磁性金属粉末に添加混合された成形助剤と、前記軟磁性金属粉末・成形助剤成形体を熱処理した後に結合材として該軟磁性金属粉末・成形助剤成形体に含浸された含浸樹脂とを有し、前記含浸樹脂は大気圧下での熱硬化温度が180℃以上であることを特徴とする。
本考案によれば、鉄系合金の非晶質粒子からなる磁粉と結合材との混合乾燥、成形、熱処理、樹脂浸漬、加熱硬化の一連の工程にて作製したダストコアにおいて、含浸樹脂として熱硬化温度が200℃以上のシリコーンワニスを含む樹脂か、あるいは熱硬化温度が180℃以上のポリイミドワニスを含む樹脂といった熱硬化温度が高い樹脂を使用することで、ダストコアに巻線したインダクタを回路に挿入したときの実動状態でもコアロスの上昇が生じない。
本考案の複合磁性材料は、軟磁性金属粉末を非磁性材料で結合したインダクタ用複合磁性材料であって、前記非磁性材料は、前記軟磁性金属粉末に添加混合された成形助剤と、前記軟磁性金属粉末・成形助剤成形体を熱処理した後に結合材として該軟磁性金属粉末・成形助剤成形体に含浸された含浸樹脂とを有し、前記含浸樹脂は大気圧下での熱硬化温度が180℃以上であることを特徴とする。
本考案では従来のダストコアに無い含浸樹脂を熱処理後に含浸させることにより、熱処理によって劣化した強度を高め、実用強度を有しながらアモルファス粉末の固有の磁気特性を発現させることができる。ちなみに従来のダストコアでは樹脂量の増加により所望強度レベルを確保することができず、それに伴う磁気特性が劣化するなどの問題を生じていたが、このような問題は本考案により解消された。
本考案において、軟磁性金属粉末は、鉄系合金の非晶質粒子からなるものである。このような非晶質粒子は、水アトマイズ法またはガスアトマイズ法を用いて得られた粒子であってもよいし、薄帯または塊状の非晶質材料を機械粉砕して得られた非晶質粒子であってもよい。水気流に溶融金属を吹き込むことにより得られる水アトマイズ粉末、またはガス気流に溶融金属を吹き込むことで得られるガスアトマイズ粉末は、球形に近い近似球形状の粒子からなる。これらの近似球形状の粒子は優れた磁気特性を有していることから、機械強度と磁気特性(損失特性など)を高次レベルでバランスをとることが可能となる。本考案では、熱処理後の成形体を樹脂含浸処理することにより、近似球形状の粒子を含み、かつ実用強度を備えた成形体を得ることを実現させた。
また、従来法では成形が困難であったアトマイズ非晶質粒子または機械粉砕非晶質粒子を用いて、磁粉・成形助剤の混合→成形→熱処理→結合材の含浸からなる一連の工程を経ることにより複合磁性材料の機械的強度と損失特性とをバランスよく両立させることができる。
本考案において、含浸樹脂は、熱硬化前において大気圧下での熱硬化温度が200℃以上前記鉄系合金の非晶質粒子の結晶化温度以下の範囲にあるシリコーンワニス(液状)からなるものである。熱硬化温度を上記のように設定したのは、200℃未満の場合は回路内の温度上昇による損失特性(コアロス)の劣化を引き起こし、また結晶化温度以上の場合はアモルファス相が結晶化してコアロスが劣化するためである。シリコーンワニスには種々の組成のものがあるが、例えばメチル基を有機置換基とする組成のワニス(メチル系シリコーンワニス)は硬化開始温度が約200℃である。また、メチルフェニル基を含む組成のワニス(メチルフェニル系シリコーンワニス)は硬化開始温度が約250℃である。また、エポキシ・アクリル・ポリエステルなどを含む組成のワニス(変性シリコーンワニス)は硬化開始温度が約200℃である。
また、本考案において、含浸樹脂は、熱硬化前において大気圧下での熱硬化温度が180℃以上前記鉄系合金の非晶質粒子の結晶化温度以下の範囲にあるポリイミドワニス(液状)からなるものである。熱硬化温度を上記のように設定したのは、180℃未満の場合は回路内の温度上昇による損失特性(コアロス)の劣化を引き起こし、また結晶化温度以上の場合はアモルファス相が結晶化してコアロスが劣化するためである。ポリイミドワニスには種々の組成のものがあるが、例えば芳香族ポリイミドを主成分とした組成のものでは硬化開始温度が約180℃であり、また、芳香族ジアミンと酸無水物が縮重合反応したポリイミド前駆体からなる組成のものでは硬化開始温度が約200℃である。
以下、添付の図面を参照して本考案を実施するための種々の形態を説明する。
(複合磁性材料の製造)
本考案方法を用いて複合磁性材料としてのダストコア成形体を製造する場合について図1と図2(a)を参照して説明する。
先ず軟磁性金属粉末11と成形助剤とを所定の配合割合で混合する(工程S1)。成形助剤は、有機樹脂12およびシリコーン樹脂(または水ガラスなどのセラミクス)13を所望の比率で予め混合したものからなる。有機樹脂12としてポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース(MC)、水溶性アクリルバインダ(AC)、パラフィン、グリセリン、ポリエチレングリコールなどを用いることができる。水ガラスの他にセラミクス13としてカオリナイト、モンモリロナイトなど含むいわゆる粘土鉱物(例えばカオリン、木節粘土、ベントナイト)およびフリットを用いることができる。
磁粉/成形助剤混合物を混練・造粒し、成形加工機(玉川 TTC−20)を用いて所望の形状に成形する(工程S2)。本考案では成形助剤が有機樹脂12を含んでいるので成形性が良い。特に、成形速度を従来法より速くした場合であっても成形体に割れや欠けが発生せず、成形後の形状保持性も非常に良好である。
次いで、成形体を加熱装置内に装入し、所定条件で熱処理する(工程S3)。この熱処理工程S3では加熱温度を300℃以上前記非晶質粒子の結晶化温度以下とし、加熱時間を60〜180分間とすることが好ましい。つまり、加熱温度が300℃未満になると加工歪の除去が不十分であることから望むべき磁気特性が得られず、一方、加熱温度が前記非晶質粒子の結晶化温度を超えるとアモルファス相が結晶化して損失特性(コアロス)が劣化することから、上記に示す温度範囲が望ましい。加熱時間が60分未満の短時間では加工歪除去が不十分になり、一方、加熱時間が180分を超えると生産性に問題を生じるからである。本考案では成形助剤がシリコーン樹脂または水ガラスなどのセラミクス13を含んでいるため、これらが結合してある程度の強度を有するものとなる。しかし、熱処理により図2の(a)に示すように素地13中に多数の空隙14を生じているので、この段階では成形体は十分な強度を有するものであるとは必ずしもいえない。
次いで、熱処理後の成形体を真空処理室内に装入し、結合材溶液中に浸漬し、真空処理室内を真空引きして所定の圧力以下の減圧雰囲気とし、コア成形体に結合材15を真空含浸させる(工程S4)。これにより素地13中に存在する空隙14が結合材15により充填され、その結果、成形体の強度が向上する。含浸処理後、成形体を所定の条件で加熱して結合材15を十分に硬化させる(工程S5)。このようにして成形性が良好なインダクタ用ダストコア成形体が得られる。
ここで、本考案のダストコアを製造する方法と対比される従来の製造方法について図10と図2(b)を参照して説明する。
先ず軟磁性金属粉末11とシリコーン樹脂100とを混合する(工程K1)。従来法のシリコーン樹脂は、造粒性、成形助剤としての成形性、結合材としての強度成分、絶縁性など多くの機能と役割を有するものとして位置づけられている。しかし、シリコーン樹脂は、磁粉との結着力が弱く、磁粉の流動性が悪いため、成形加工そのものが難しく、かつ成形体の形状のばらつきが大きいなど成形性に劣るものである。ちなみにこの欠点を補うために従来法ではシリコーン樹脂を磁粉に過剰に添加混合する場合が多い。
磁粉/シリコーン樹脂混合物を混練・乾燥し混合粉末を作成し、それを金型プレスなどで所望の形状に成形する(工程K2)。
次いで、成形体を所定条件で熱処理する(工程K3)。この本熱処理は、成形体の加工歪みを除去することを目的とするもので、加熱温度を300℃以上結晶化温度以下とし、加熱時間を60〜180分間とする。加熱温度が300℃より低いと加工歪の除去が不十分であることから望むべき磁気特性が得られず、一方、加熱温度が結晶化温度を超えるとアモルファス相が結晶化して損失特性(コアロス)が劣化することから、上記に示す温度範囲が望ましい。加熱時間についても同様で、短時間では加工歪除去が不十分になり、長時間過ぎると生産性に問題が生じる。この本熱処理により図2の(b)に示すように成形体の素地100中に多数の空隙101が発生し、強度が低下する。
(インダクタの作製)
次に、図3〜図6を参照して各種のインダクタ(コイル)を製造する場合について説明する。
図3(a)(b)および図4(a)(b)に、トロイダル形状に成形・熱処理された複合磁性材料(ダストコア)成形体2に前記結合材を含浸させ、その上に巻線導体3を捲回したインダクタ1A,1Bをそれぞれ示す。図3(a)(b)に示すものは、巻線導体3の両端をリード端子3aとしてトロイダル形状の成形体2の側面方向に突出させ、プリント基板上に成形体2の側面を載置して実装するタイプの縦形コイル(インダクタ)である。図4(a)(b)に示すものは、巻線導体3の両端をリード端子3bとしてトロイダル形状の成形体2の側面方向に突出させ、プリント基板上に成形体2の底面を載置して実装するタイプの横形コイル(インダクタ)である。
上記のトロイダル形インダクタ1A,1Bは、全体に樹脂を真空含浸により被覆した後に加熱乾燥して得られた成形体2に巻線導体3を巻きつけて得られる。このようなトロイダル形インダクタ1A,1Bは、主にサイリスタ応用製品のスイッチング時に発生するノイズの抑制用やスイッチング電源のノイズ抑制用フィルタとしてのチョークコイルに用いられる。
次に、図5と図6を参照して異形インダクタ(コイル)について説明する。
先ず異形インダクタの作製方法を説明する。図5の(a)に示すコア成形体21は加圧成形法により一体成形されたものであり、断面コ字状の外周部22と円柱状の中央部23を有している。円柱状中央部23は外周部22の両側壁と離間して配置され、外周部22の側壁と円柱中央部23との間にはコイル3を収容するための所定のスペースが形成されている。このようなコア成形体21を2つ準備し、これらを互いに向き合わせ、予めコイリング加工されたコイル3のなかに1対のコア成形体21の中央部23を挿入する。コア成形体21の外周部22の端面同士および中央部23の端面同士をそれぞれ接着剤で接着して図5の(b)に示すコイルアッセンブリ6を形成する。このようなコイルアッセンブリ6において、円柱状中央部23はコイル3によりほぼ覆い隠され、かつコイル3の両端は正負両極のリード端子3cとして外周部22から外側に突出している。次いで、図6の(a)〜(c)に示すようにコイルアッセンブリ6の両側面に1対の絶縁ケース7を接着して、コイルアッセンブリ6の両側の開口を塞ぐ。これにより図示する異形インダクタ(コイル)1Cが得られる。
図7を参照して図3と図4のトロイダル形巻線インダクタに用いられるトロイダル形ダストコアの形状等について概略説明する。図7(a)に示すように、Dはトロイダル形サンプルの外径(m)、Tはトロイダル形サンプルの外径と内径の差の2分の1(T=(D−d)/2)である。また、図7(b)に示すように、Lはトロイダル形サンプルの長さ(m)である。
以下に本考案の種々の実施例および比較例を説明する。
(磁気特性の測定方法)
鉄損測定システム(Iwatsu SY-8617)を用いて、周波数100kHzおよび印加磁界100mTの条件で各サンプルのコアロスをそれぞれ測定した。
(第1の実施の形態)
(実施例1〜4、比較例1)
鉄系合金からなる非晶質磁性粉末と結合材との混合乾燥工程、成形工程、熱処理工程にて作製した成形体を結合材溶液中に浸漬し、成形体に結合材を浸漬させる。含浸処理後に成形体を所定の条件で加熱して結合材を十分に硬化させる。含浸樹脂は、比較例1としてエポキシ樹脂、実施例1としてシリコーンワニス1、実施例2としてシリコーンワニス2、実施例3として混合ワニス(シリコーンワニス1とエポキシ樹脂を1:1の混合比で混合したもの)、実施例4として芳香族ポリイミドワニスをそれぞれ用いた。なお、シリコーンワニス1,2は種類が異なるメチルフェニル系シリコーンワニスである。
このようにして得られたダストコア成形体を回路内での発熱を想定した155℃のオーブン中に96時間放置し、熱放置後のダストコア成形体に金属導線を捲回して作製した巻線インダクタのコアロスを、鉄損測定システム(岩通計測 SY-8716)を用いて周波数100kHzおよび印加磁界100mTの条件で測定し、熱放置前後でのコアロス値の差を比較した。その結果を表1に示す。
Figure 0003145832
表1から明らかなように、比較例1のダストコアサンプルでは熱処理後のコアロスが上昇したのに対して、実施例1〜4のダストコアサンプルでは熱処理前後でのコアロスの変化はほとんど生じなかった。
(第2の実施の形態)
鉄系合金からなる非晶質磁性粉末と結合材との混合乾燥工程、成形工程、熱処理工程にて、外径21mm、内径12mm、高さ7mmの成形体を作製した。この成形体を結合材溶液中に浸漬し、成形体に結合材を含浸させた。含浸処理後に成形体を所定の条件で加熱して結合材を十分に硬化させた。含浸樹脂は、比較例1としてエポキシ樹脂、実施例1としてシリコーンワニス1、実施例2としてシリコーンワニス2、実施例3として混合ワニス(シリコーンワニス1とエポキシ樹脂を1:1の混合比で混合したもの)、実施例4として芳香族ポリイミドワニスをそれぞれ用いた。なお、シリコーンワニス1,2は種類が異なるメチルフェニル系シリコーンワニスである。
このようにして得られたダストコア成形体を、回路内での発熱を想定した155℃のオーブン中に96時間放置し、成形体強度を測定した。その結果をMN/m2として表2に示した。熱放置前の成形体強度も同様に測定し、熱放置前後での成形体強度の差を比較した。
(機械的特性の測定方法)
図8の(a)と(b)に示す引張試験機40(今田製作所 SV-55-0-50M)を用いて、比較例1〜7の引張破壊強度を測定した。引張試験では、トロイダルサンプル1A(1B)の中空部に固定アーム44と可動アーム42を差し込み、サンプルが広がる方向に引っ張り、破壊時の荷重Pを測定し(1)により破壊強度を算出した。含浸後強度は、図7に示すリング形状製品サンプル(トロイダル形サンプル)を図8に示す引張試験機40を用いてサンプルが破断するまで引っ張り、破断時の測定荷重から下式(1)により破壊強度を求めた。
K=P(D−T)/(L*T2) …(1)
ただし、Kはトロイダル形サンプルの破壊強度(MN/m2)、Pは破壊時荷重(N)である。また、図7(a)に示すように、Dはトロイダル形サンプルの外径(m)、Tはトロイダル形サンプルの外径と内径の差の2分の1(T=(D−d)/2)である。また、図7(b)に示すように、Lはトロイダル形サンプルの長さ(m)である。
引張試験機40の概要について図8を参照して説明する。引張試験機40は、固定フレーム43に取り付けられた固定アーム44と、可動フレーム41に取り付けられた可動アーム42とを備えている。固定アーム44および可動アーム42をトロイダル形サンプル2の中空部分に挿入し、可動フレーム41を図示しない駆動機構によって固定フレーム43から離れる方向に移動させると、サンプル2はアーム42,44により引き裂かれるように引張り荷重が負荷され、荷重を増加させていくとやがてサンプル2は破断する。
その評価結果を表2に示す。
Figure 0003145832
どの含浸樹脂を用いた場合でも熱放置前後での引張強度の値に変化は現れず、実用強度を備えていることが確認できた。
なお、比較例1において熱放置後の引張強度が強くなったのは、熱放置後のコアロスが悪化する原因として挙げられる、エポキシ樹脂の重合が進行したことによる。
(第3の実施の形態)
上記のように、非晶質軟磁性金属粉末を用いたダストコアの製造工程として、該軟磁性金属粉末と成形助剤の混合工程、成形工程、熱処理工程、結合材含浸工程および必要によりキュア処理が有効であることの原因を確かめるため、以下の実験を試みた。すなわち、非晶質軟磁性金属粉末を用いた複合磁性材料と純鉄を用いた複合磁性材料の組織を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてそれぞれ調べた。
図9の(a)に純鉄粉末を原料とする複合磁性材料(ダストコア)の組織のSEM写真を、図9の(b)に非晶質軟磁性金属粉末を原料とする複合磁性材料(ダストコア)の組織のSEM写真をそれぞれ示す。
純鉄の場合は成形工程で粉末が変形して相互に結合しているのに対して、非晶質軟磁性金属粉末はほぼ球形で成形後粉末相互の絡み合いも見られない。また、この種の複合磁性材料に用いられる磁性材料の硬度を調べたところ、表3に示したように非晶質軟磁性材の硬度が際立って高いことが分かる。
Figure 0003145832
これらの結果より、これまで第1および第2の実施の形態で示したように従来製法を用いて非晶質軟磁性金属粉末を用いて作製した複合磁性材料が実用レベルに至らない原因は、粉末形状が球形でしかも硬く変形しにくいことが成形工程での粉末相互の結合を阻害し、ひいては製品の機械強度を劣化せしめていることであることが分かった。換言すると第1〜第2の実施の形態で述べた本考案による工法では上記の問題を解決することで実用に供する材料を製造することが可能となった。
本考案によれば、実働状態(約60〜130℃以上)でのコアロスの上昇を生じないで、かつ実用強度を備えた複合磁性材料が提供される。
本考案の実施形態に係る複合磁性材料の製造方法を示す工程図。 (a)は本発明の複合磁性材料のミクロ組織の変化を示す断面模式図、(b)は従来の複合磁性材料のミクロ組織の変化を示す断面模式図。 (a)はトロイダル形コイルの一例を示す正面図、(b)はトロイダル形コイルの一例を示す側面図。 (a)は他のタイプのトロイダル形コイルの一例を示す正面図、(b)は他のタイプのトロイダル形コイルの一例を示す側面図。 (a)は組み立て前の異形コイルの部品を示す分解側面図、(b)は組み立て後の異形コイルを示す完成側面図。 (a)は異形コイルの平面図、(b)は異形コイルの側面図、(c)は異形コイルの正面図。 (a)はコア成形体の正面図、(b)はコア成形体の側面図。 (a)は測定用サンプルを取り付けたときの引張試験機を側方から見て示す図、(b)は同引張試験機を正面から見て示す図。 (a)は純鉄粉末を原料とする複合磁性材料(ダストコア)を示す顕微鏡組織写真、(b)は非晶質軟磁性金属粉末を原料とする複合磁性材料(ダストコア)を示す顕微鏡組織写真。 従来のダストコアの製造方法を示す工程図。
符号の説明
1A,1B,1C,50…インダクタ、2,51…成形体(ダストコア)、
3,53…巻線導体(コイル)、3a,3b,3c…端子、6…コイルアッセンブリ、7…絶縁ケース、
11…軟磁性金属粉末、12…有機樹脂、13,100…素地(シリコーン樹脂)、
14,101…空隙、15…結合材、
21…コア成形体、22…外周部、23…中央部、
52…フランジ、54…溝、

Claims (4)

  1. 軟磁性金属粉末を非磁性材料で結合したインダクタ用複合磁性材料であって、
    前記非磁性材料は、前記軟磁性金属粉末に添加混合された成形助剤と、前記軟磁性金属粉末・成形助剤成形体を熱処理した後に結合材として該軟磁性金属粉末・成形助剤成形体に含浸された含浸樹脂とを有し、前記含浸樹脂は大気圧下での熱硬化温度が180℃以上であることを特徴とする複合磁性材料。
  2. 前記軟磁性金属粉末は、鉄系合金の非晶質粒子からなることを特徴とする請求項1記載の複合磁性材料。
  3. 前記含浸樹脂は、大気圧下での熱硬化温度が200℃以上前記鉄系合金の非晶質粒子の結晶化温度以下の範囲にあるシリコーンワニスを硬化前に含むことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の複合磁性材料。
  4. 前記含浸樹脂は、大気圧下での熱硬化温度が180℃以上前記鉄系合金の非晶質粒子の結晶化温度以下の範囲にあるポリイミドワニスを硬化前に含むことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の複合磁性材料。
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