JP2005015272A - ニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法 - Google Patents

ニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ニッケル含有廃液スラッジから100%近い高回収率でニッケルを回収することができ、しかも僅かな消費エネルギーで処理でき、埋立や水域などの環境への廃棄物排出量をゼロにすることができるニッケル塩の回収方法を提供する。
【解決手段】ニッケル含有廃液スラッジに酸を添加して固形分を溶解した後、炭酸カルシウムを添加し、該スラッジ溶解液に含有される鉄分(Fe3+、Fe2+)のうちFe2+をFe3+に酸化したうえでpH調整および濾過することにより鉄含有石膏を除去してニッケル原液とする。該ニッケル原液に水酸化カルシウムを添加してpH調整することによりニッケル含有石膏を生成し、塩素分を系外に排出する。該ニッケル含有石膏に酸を添加して水酸化ニッケルを溶解し、冷却晶析処理を施してニッケル塩結晶を晶析させて回収し、該ニッケル塩結晶の晶析後の残液を循環処理することを特徴とするニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、鋼板あるいは鋼材製品部材の表面の耐食性、耐摩耗性、電気伝導性向上、さらには、光沢意匠性向上を目的としたニッケルメッキ工程にて不可避的に発生するニッケル含有廃液スラッジからニッケル塩を回収して資源化し再生利用する方法に関する。
例えば、ニッケルメッキプロセスやニッケルを含有する素材を対象としたエッチングプロセス等、ニッケル含有廃液およびニッケル含有廃液を発生するプロセス全般に適用できるニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有価金属を含有する廃液スラッジから有価金属を回収する方法については、従来から種々の提案がなされている。
例えば、メッキ工程にて不可避的に発生するスラッジ類は、一般的には水酸化物の形態であり、廃液中の有価金属を含めメッキ廃液スラッジを資源化する従来技術として、例えば、特開2001−49362号公報や特開2002−192168号公報に開示されているように、各水酸化物の析出pH域に応じた溶液のpH調整によって有価金属を回収する方法が知られている。
しかしながら、これらの従来技術では回収されるニッケルはNi(OH)なる水酸化物であり、 これからメッキ原料である硫酸ニッケルを得るには同固形分を焙焼( Ni(OH)→NiO+HO)、 還元(NiO+C→Ni+CO)、 硫化処理 (Ni+HSO→NiSO+H) なる工程を経る必要があり、多大なエネルギーを必要とするという問題点があった。
【0003】
また、より簡便にかつ消費エネルギーミニマムで硫酸ニッケルを回収する方法として、例えば、特開2001−253719号公報に、 酸化焙焼、硫酸溶解、pH調整を行うことを特徴とする技術が提案されている。
しかしながら、この方法も多大な外部入熱を必要とするものであり、 炭酸ガス排出抑制の叫ばれる今日では、更なる消費エネルギーミニマム指向のプロセスが求められていた。
【0004】
【特許文献1】特開2001−49362号公報
【特許文献2】特開2002−192168号公報
【特許文献3】特開2001−253719号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、ニッケル含有廃液スラッジから100%近い高回収率でニッケルを回収することができ、しかも、多大な外部入熱を必要とせず僅かな消費エネルギーで処理でき、埋立や水域などの環境への廃棄物排出量をゼロにする、いわゆる、ゼロエミッションを達成することができるニッケル含有廃液スラッジからの硫酸ニッケルなどのニッケル塩の回収方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ニッケル含有廃液スラッジを酸によって溶解し、冷却晶析を行う湿式処理によって、ニッケル含有廃液スラッジから100%近い高回収率でニッケルを回収することができ、しかも、多大な外部入熱を必要とせず僅かな消費エネルギーで処理でき、埋立や水域などの環境への廃棄物排出量をゼロにする、いわゆる、ゼロエミッションを達成することができるニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法を提供するものであり、その要旨とするところは、特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
【0007】
(1)ニッケル含有廃液スラッジに酸を添加して固形分を溶解し、該スラッジ溶解液に炭酸カルシウムを添加するとともに、該スラッジ溶解液に含有される鉄分(Fe3+、Fe2+)のうちFe2+をFe3+に酸化したうえでpH調整および濾過することにより鉄含有石膏を除去してニッケル原液とし、該ニッケル原液に水酸化カルシウムを添加してpH調整することにより塩素分を液側に、ニッケル分を固形分側に分配・分離してニッケル含有石膏を生成し、該ニッケル含有石膏に酸を添加して水酸化ニッケルを溶解し、ニッケル分を抽出してニッケル塩溶液とし、該ニッケル塩溶液に冷却晶析処理を施してニッケル塩結晶を晶析させて回収し、該ニッケル塩結晶の晶析後の残液を循環処理することを特徴とするニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法。
(2)前記ニッケル含有石膏に酸を添加して水酸化ニッケルを溶解し、ニッケル分を抽出する際に分離される石膏を洗浄した洗浄濾液の一部もしくは全量を、前記ニッケル原液ないしはスラッジ溶解液に添加して循環処理することを特徴とする(1)に記載のニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法。
(3)前記ニッケル塩溶液を濃縮した後に冷却晶析処理を施すことを特徴とする(1)または(2)に記載のニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1乃至図3を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態を例示するフロー図である。
本発明は、ニッケル含有廃液スラッジに酸を添加して固形分を溶解し、該スラッジ溶解液に炭酸カルシウムを添加するとともに、該スラッジ溶解液に含有される鉄分(Fe3+、Fe2+)のうちFe2+をFe3+に酸化したうえでpH調整および濾過することにより鉄含有石膏を除去してニッケル原液とし、該ニッケル原液に水酸化カルシウムを添加してpHを調整することにより塩素分を液側に、ニッケル分を固形分側に分配・分離してニッケル含有石膏を生成し、該ニッケル含有石膏に酸を添加して水酸化ニッケルを溶解し、ニッケル分を抽出してニッケル塩溶液とし、該ニッケル塩溶液に冷却晶析処理を施してニッケル塩結晶を晶析させて回収し、該ニッケル塩結晶の晶析後の残液を循環処理することを特徴とする。
【0009】
ニッケル含有廃液スラッジに酸を添加して固形分を溶解し、スラッジに不可避的に含有される多量の鉄分(Fe3+、Fe2+)を、Fe2+はFe3+に酸化したうえでpH調整及び固液分離操作により除去しているので、冷却晶析に供される溶液は鉄分を含有しないニッケル塩溶液とすることができる。このため、冷却晶析処理した際に発生するニッケル塩結晶は高純度の結晶が得られる。
これに続く工程で、鉄除去後のニッケル原液に水酸化カルシウムを添加してpHを調整することにより塩素分を液側に、ニッケル分を固形分側に分配・分離してニッケル含有石膏を生成するので、メッキ浴に配合されていた塩素分も除去している。このため、冷却晶析処理に供する溶液は不純物を含まない高純度のニッケル塩溶液となっており、晶析したニッケル塩結晶も高純度の結晶を得ることができる。また、晶析後溶液にも鉄分や塩素分はほとんど含まれないことになるので、晶析後溶液を循環処理しても鉄分や塩素分が濃縮していくことがなく、晶析後溶液を系外に排出処分せず、全量、本プロセス内で循環処理できる。従って、100%近いニッケル回収率で、高純度のニッケル塩を回収できる。
また、本発明は、多量のエネルギーを要する培焼等の高温乾式処理を用いず、湿式処理のみでニッケル塩結晶を直接生成させているので 、エネルギー使用量も極めて少ない省エネルギープロセスを達成することができ、100%近いニッケル回収率及び外部入熱ミニマム化を狙い、多大な外部入熱を必要としないうえ、高純度の硫酸ニッケル結晶を直接的に生成できるプロセスの構築を図ることができる。
【0010】
本発明においては、100%近いニッケル回収率を多大な外部入熱を必要としないプロセスで達成するために湿式処理の冷却晶析法を採用し、かつ、メッキ工場へリサイクルし、メッキ浴に使用できるような高純度の硫酸ニッケル結晶を得るために、スラッジ中に不可避的に含有される鉄分とメッキ浴中に配合されていた塩素分を極めて簡潔かつ有効な方法で除去している点が優れている。
鉄分の除去に関して、Fe3+は、Fe(OH)沈殿を生成し、かつニッケルがNi(OH)として沈殿しないpH領域(3.5程度)にpHを調整することで、同時に生成する石膏と一緒に鉄石膏として回収、除去しているし、Fe2+はHでFe3+に酸化した後、やはり、鉄石膏として除去、回収している。また、塩素分の除去に関しては、鉄除去後の溶液を一旦、ニッケルがNi(OH)として沈殿するpH領域(7〜11程度)で中和することで、塩素分は液側、ニッケルは固形分側に分配、分離させることで塩素分を除去している。これにより、冷却晶析に供する溶液は不純物を含まない高純度のニッケル塩溶液となる。この結果、晶析させたニッケル結晶は不純物を含まない高純度の結晶として得られるし、晶析後溶液も不純物を含まないので全量循環処理でき、100%近いニッケル回収率が得られる。
【0011】
また、本実施形態では、ニッケルスラッジを代表的な酸である硫酸にて溶解し、処理を行っているが、これを、その他の酸、例えば、塩酸で溶解し、処理していくと、やはり、高純度の塩化ニッケル結晶を得ることができ、所望のニッケル塩結晶を得ることができるなど、汎用性も兼ね合わせた処理法である。
さらに、前記ニッケル含有石膏に酸を添加して水酸化ニッケルを溶解し、ニッケル分を抽出する際に分離される石膏を洗浄した洗浄濾液の一部もしくは全量を、前記ニッケル原液ないしはスラッジ溶解液に添加して循環処理することにより、洗浄液中に含まれるニッケルを回収することができる。
また、前記ニッケル含有石膏に酸を添加して水酸化ニッケルを溶解し、ニッケル分を抽出したニッケル塩溶液が希薄となる場合には、この溶液を、例えば、水中バーナ等の加熱装置を用いて濃縮した後に冷却晶析処理を施すことにより、冷却晶析が可能となる濃度まで濃縮することが好ましい。
【0012】
以下、図1に基づいて本発明のフローを詳細に説明する。
なお、本実施形態において用いる酸として、代表例として硫酸とするが塩酸を用いてもよく、この場合以下の説明における硫酸ニッケルは塩化ニッケルとする。
<ニッケルスラッジ溶解工程>
ニッケルスラッジを例えば70%程度の濃硫酸にてpH<1の条件で溶解させることで、下記反応式(A)により、スラッジ中の水酸化ニッケルを溶解させる。好ましくは、pH0.7程度の条件がよい。高液温ほど硫酸ニッケルの溶解度は大きくなり、溶解反応が進行し易くなるので、60〜100℃の液温が好ましい。同時に、スラッジ中の水酸化鉄も下記反応式(B)および(C)により溶解される(S−1)。
Ni(OH) + HSO → Ni2+ + SO 2− + 2HO ・・・(A)
2Fe(OH) + 3HSO → 2Fe3+ + 3SO 2− + 6HO・・・(B)
Fe(OH) + HSO → Fe2+ + SO 2− + 2HO ・・・(C)
<Fe3+中和除去工程>
次に、炭酸カルシウムでpHを3.5程度とすると、溶液中の第二鉄イオン(Fe3+)は、OH陰イオンとの溶解度積が極めて小さいため、下記反応式(D)により、水酸化第二鉄の沈殿となって、同時に生成する石膏と一緒に沈殿する(S−2)。
Figure 2005015272
【0013】
<Fe2+酸化及び中和除去工程>
pH3.5程度の条件では、溶液中の第一鉄イオン(Fe2+)は水酸化第一鉄としては沈殿しないため、過酸化水素(H) によって、Fe2+イオンをFe3+イオンに酸化させることで、下記反応式(E)により水酸化第二鉄の沈殿とし、石膏と一緒に沈殿させる(S−3)。
Figure 2005015272
なお、このFe3+、Fe2+除去工程で、溶液中に存在する各種燐酸塩は、水酸化第二鉄と石膏の混合物である鉄含有石膏と一緒に沈殿するため、各種燐酸塩も同時に除去することができ、各種燐酸塩除去工程としての機能も有する。
<鉄含有石膏洗浄・除去工程>
固液分離後も鉄含有石膏に付着している硫酸ニッケル溶液を水等で洗浄し、鉄含有石膏中にニッケルが随伴することを防止する(S−4)。
【0014】
<ニッケル中和工程>
水酸化カルシウムによってpHを8〜9程度にすると、溶液中のニッケルイオン(Ni2+)は、OH陰イオンとの溶解度積が極めて小さくなるため、下記反応式(F)により、水酸化ニッケルの沈殿となり、同時に生成する石膏と一緒に沈殿する(S−5)。
Ni2+ + SO 2− + Ca(OH) + 2HO → Ni(OH)↓ + CaSO・2HO↓ ・・・(F)
<ニッケル石膏洗浄・塩素除去工程>
また、溶液中に含有されている塩化ニッケルの塩素イオン(Cl)は、下記反応式(G)により塩化カルシウムとして液中に残存し、固液分離後、無害な塩化カルシウム希薄溶液として系外に排出される(S−6)。
Ni2+ + 2Cl+ Ca(OH) → Ni(OH)↓ + CaCl・・・(G)
<ニッケル抽出工程>
上記工程を経ることで、ニッケル含有石膏は不純物をほとんど含有しない高純度なものになっており、これを例えば硫酸によって、pH<1、望ましくはpH0.7程度の条件とすることで、下記反応式(H)によって、ニッケル含有石膏中の水酸化ニッケルを溶解し、ニッケル分を抽出させ、ニッケルを高純度かつ高濃度の硫酸ニッケル溶液として回収することができる(S−7)。
Ni(OH) + HSO→ Ni2+ + SO 2− + 2HO・・・(H)
(塩酸を用いる場合は、Ni(OH) + 2HCl → Ni2+ + 2Cl+ 2HO )
【0015】
<石膏洗浄・除去工程>
石膏中に硫酸ニッケル溶液が随伴するのを防止するために、水等で洗浄する。その洗浄濾液(図1における二次濾液)は比較的高濃度の硫酸ニッケル溶液となっているので、ニッケルを系外に排出せず、回収するために、スラッジ溶解工程に添加し、循環回収することができる(S−8)。
なお、洗浄濾液の一部または全量を、ニッケル中和工程のニッケル原液に添加、循環させることにより、洗浄濾液中のニッケルを回収することができる。
<硫酸ニッケル溶液濃縮工程>
石膏濾液の硫酸ニッケル濃度が希薄となる場合は、水中バーナ等の加熱装置を用いて、冷却晶析が可能となる濃度まで、溶液を濃縮することが好ましい(S−9)。
<冷却晶析工程>
硫酸ニッケル溶液は低温となるほど溶解度が減少するため、溶液を0℃程度まで冷却することで(S−10)、下記反応式(I)により、硫酸ニッケル水和物結晶が得られる(S−11)。
Ni2+ + SO 2− + 6HO → NiSO・6HO↓・・・(I)
( 塩酸を用いる場合は、Ni2+ + 2Cl + 6HO → NiCl・6HO↓)
この高純度の硫酸ニッケル結晶は、メッキ工場にリサイクルし、メッキ用に使用することができる。冷却晶析後の溶液(図1における濾液)も、常温では飽和濃度に近い硫酸ニッケル溶液なので、多量のニッケルを含有しており系外に排出することなく、回収する必要がある。
晶析後溶液を、ニッケル石膏から硫酸でニッケルを抽出するニッケル抽出工程に循環させることで、晶析後溶液中の硫酸ニッケルは硫酸ニッケル結晶として回収することができる。なお、晶析後溶液の一部または全量を、ニッケル中和工程のニッケル原液に添加、循環させてもよいし、スラッジ溶解工程に添加、循環させてもよい。
以上のように、本発明は、鉄水酸化物の溶解度、塩化物の溶解度といった化学的平衡が溶液のpHで大きく変化する現象を巧みに利用することで、ニッケル含有廃液スラッジに含有される鉄分及び塩素分を除去し、冷却晶析後の溶液も全量循環処理可能としている。このため、100%近いニッケル回収率を達成すると同時に高純度の硫酸ニッケル結晶を得ることができる。また、冷却晶析法のみで直接、硫酸ニッケル結晶を生成させているので、培焼等の高温乾式処理を必要とせず、極めて省エネルギーでリサイクルできる優れたプロセスを提供することができる。
【0016】
<実施例>
図2および図3は、本発明の実施例を示す図であり、図2は前半、図3は後半のプロセスを示す。
図2において、濾液含有スラッジ量1146.97gに70%濃硫酸101.14gを加えて攪拌した後(S−1)、炭酸カルシウム72.66gと過酸化水素水2.18gを添加してFe3+中和、Fe2+酸化反応を行って鉄分を除去した後(S−2,3)、真空濾過によって鉄含有石膏を分離してニッケル原液を生成した(S−4)。
このニッケル原液に水酸化カルシウム94.37gを添加して中和させた後に(S−5)、真空濾過することによりニッケル含有石膏を分離・抽出することができた(S−6)。
図3において、ニッケル含有石膏に浄水100gと70%濃硫酸196.51gを加えて硫酸抽出を行い(S−7)、真空濾過により石膏を分離した後(S−8,8´)、加熱濃縮し(S−9)、0℃に冷却して冷凍晶析を行った後(S−10)、遠心濾過したところ、硫酸ニッケルの結晶151・67g(ニッケル総合回収率98%)を回収することができた。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、ニッケル含有廃液スラッジを硫酸によって溶解し、冷却晶析を行う湿式処理によって、ニッケル含有廃液スラッジから100%近い高回収率でニッケルを回収することができ、しかも、多大な外部入熱を必要とせず僅かな消費エネルギーで処理でき、埋立や水域などの環境への廃棄物排出量をゼロにする、いわゆる、ゼロエミッションを達成することができるニッケル含有廃液スラッジからの硫酸ニッケルの回収方法を提供することができ、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を例示するフロー図である。
【図2】本発明の実施例の前半部分を示す図である。
【図3】本発明の実施例の後半部分を示す図である。

Claims (3)

  1. ニッケル含有廃液スラッジに酸を添加して固形分を溶解し、該スラッジ溶解液に炭酸カルシウムを添加するとともに、該スラッジ溶解液に含有される鉄分(Fe3+、Fe2+)のうちFe2+をFe3+に酸化したうえでpH調整および濾過することにより鉄含有石膏を除去してニッケル原液とし、該ニッケル原液に水酸化カルシウムを添加してpH調整することにより塩素分を液側に、ニッケル分を固形分側に分配・分離してニッケル含有石膏を生成し、該ニッケル含有石膏に酸を添加して水酸化ニッケルを溶解し、ニッケル分を抽出してニッケル塩溶液とし、該ニッケル塩溶液に冷却晶析処理を施してニッケル塩結晶を晶析させて回収し、該ニッケル塩結晶の晶析後の残液を循環処理することを特徴とするニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法。
  2. 前記ニッケル含有石膏に酸を添加して水酸化ニッケルを溶解し、ニッケル分を抽出する際に分離される石膏を洗浄した洗浄濾液の一部もしくは全量を、前記ニッケル原液ないしはスラッジ溶解液に添加して循環処理することを特徴とする請求項1に記載のニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法。
  3. 前記ニッケル塩溶液を濃縮した後に冷却晶析処理を施すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のニッケル含有廃液スラッジからのニッケル塩の回収方法。
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