JP2010059035A - 脱銅スライムからの高純度亜砒酸水溶液の製造方法 - Google Patents

脱銅スライムからの高純度亜砒酸水溶液の製造方法 Download PDF

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【課題】脱銅スライムを硫酸溶液で浸出した浸出液から、銅とアンチモンを容易に且つ低コストで分離して、高純度な亜砒酸水溶液を得る方法を提供する。
【解決手段】砒素と銅とアンチモンを含有する脱銅スライムを硫酸溶液で浸出し、砒素と銅とアンチモンを含有する浸出液と浸出残渣に分離する浸出工程と、該浸出液を60〜100℃の液温に維持しながら還元剤を添加し、砒素とアンチモンを主成分とする還元析出物を生成させる還元工程と、該還元析出物を60〜100℃に維持した温水に添加混合し、亜砒酸の水溶液とアンチモンを含有する未溶解残渣に分離する分離工程とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、砒素と銅とアンチモンとを含有する混合物、例えば銅製錬で発生した脱銅スライムから、砒素とそれ以外の不純物とを分離して高純度な亜砒酸を製造する方法に関する。
銅の製錬では、鉱山で採掘した銅品位1%程度の硫化銅などの鉱石を破砕し、選鉱して銅品位を30%程度まで濃縮した銅精鉱を原料とする。この銅精鉱を自溶炉及び転炉などを用いる製錬工程で処理して純度99%程度の粗銅を製造し、得られた粗銅をアノードに用いて電解精製することにより、カソード上に純度99.99%以上の電気銅が得られる。
上述の一連の製錬工程において、鉱石に含まれる銅以外の多くの不純物は、選鉱や製錬工程によって、脈石、スラグ、ダスト、排ガスなどとして銅と分離され除去されるが、貴金属や砒素、アンチモン、ビスマス及び鉛などの不純物は一定の割合で粗銅中に含有される。粗銅に含有された貴金属や不純物は、電解精製によって砒素のように電解液に溶出するもの、貴金属や鉛のように電解スライムとして沈殿するもの、アンチモンやビスマスのように両方に分配するものなど様々な形態で銅と分離される。
電解スライムは別の貴金属処理工程で処理されて、貴金属と不純物とが分離される。除去された不純物は製錬工程に繰り返されるか、製錬工程の系外に払い出されて製品化される。一方、電解液に溶出した不純物は、そのまま放置すると液中に蓄積し、電気銅を汚染する恐れがあるので、電解液は定期的に抜き取られて浄液工程に送られ、不純物が除去される。例えば砒素やアンチモン、ビスマスの場合、電解精製とは別の電解槽を用いて電解採取され、電解液中の銅と共析して槽底に沈殿し、脱銅スライムとして電解液から除去される。
この脱銅スライムは有毒な砒素を含むため、そのままでは製品として販売することも埋立てなどの最終処理することも出来ないので、製錬工程に繰り返されて炉に投入される場合が多い。製錬工程に繰り返された脱銅スライムに含まれている不純物は、一部がスラグやダストに分配され、一部は再び粗銅に分配される。
スラグ中に分配された不純物は、スラグから溶出し難いことが知られている。これは、不純物がスラグの主成分であるシリカやカルシウムで構成されたガラス構造の結晶格子の中に封じ込まれ、イオン化し難くなるためと考えられている。不純物を安定に封じ込んで固定したスラグは、埋立て処理するほか、セメントやアスファルトコンクリートなどに利用することができ、従来から不純物の処理方法として用いられてきた。
上述したようにスラグは砒素などの不純物を安定して固定できるが、近年のように硫化銅鉱石に含まれる不純物、特に砒素が増加傾向をたどると、それに伴って銅精鉱中の砒素濃度も上昇し、スラグ中の砒素品位も上昇傾向となる。スラグの結晶格子中に固定できる砒素の量にも限界があり、砒素を固定するためにスラグ発生量を増やすのにも限度があるので、最近では砒素の増加に対する新たな安定した固定方法が求められていた。
砒素を安定して固定する方法としては、例えば特開2008−105921号公報(特許文献1)に示すような方法がある。この方法は、砒素イオンと2価の鉄イオンを含む水溶液に酸化剤を添加して撹拌しながら鉄砒素化合物の析出反応を進行させ、液のpHが0〜1.2の範囲で析出を終了させる方法である。具体的には、脱銅スライムなど系内繰り返し物の中に金属や硫化物の形態で存在している砒素を硫酸溶液中で酸化して浸出し、得られた浸出液から亜砒酸を生成し、その亜砒酸水溶液に2価の鉄イオンを添加して酸化することによって、結晶性の良い砒素鉄化合物中を生成すると共に、その中に砒素を固定して系外に払い出すものである。
しかし、この方法を用いて砒素を固定する場合、浸出液中に目的とする砒素以外の不純物が存在すると、得られる生成物の中で鉄と砒素との化合物の結晶化が阻害され、その結果砒素の固定が不安定となって生成物からの砒素の溶出を生じることが知られている。従って、砒素と鉄とが安定して固定された結晶性の良い化合物からなる生成物を得るには、砒素以外の不純物の含有が少ない高純度な亜砒酸水溶液を用いることが必要となる。
ところで、脱銅スライムを硫酸で浸出する場合、含有されるビスマスや鉛はほとんど浸出されず、ほぼ全量が残渣へ分配されるため、浸出される砒素と分離することができる。しかし、脱銅スライムに多量に含有される銅は、硫酸によって浸出されやすい。また、アンチモンイオンは3価及び5価いずれの形態でも水に対する溶解度は本来ほとんどないが、硫酸溶液中の砒素濃度が高いとアンチモンが浸出されるという特異的な性質がある。
従って、脱銅スライムを硫酸で浸出して得られた浸出液から砒素を回収する場合には、含有される銅やアンチモンと砒素とを分離することが必要である。銅の分離には、例えば、浸出液に硫化水素を吹き込んで硫化物として沈殿させることが可能である。しかしながら、銅と同時に砒素やアンチモンも硫化物として沈殿し、相互の分離が不十分であったり、取扱いの手間やコストを要したりする可能性が大きい。
また、砒素とアンチモンとの分離に関しては、脱銅スライムを硫酸で浸出した浸出液と活性炭を接触させ、活性炭上にアンチモンイオンを吸着させて浸出液から分離する方法や、特開昭60−050192号公報(特許文献2)に記載されているように、キレート樹脂又はイオン交換樹脂を浸出液に接触させてアンチモンイオンのみを選択的に樹脂に吸着させ、浸出液から分離する方法が提案されている。
しかし、上記の活性炭やイオン交換樹脂などを用いた分離方法は、浸出液のアンチモン濃度が1g/l未満のように低濃度な場合には効果的であるが、アンチモン濃度が例えば1g/lを超えるような場合は、活性炭やイオン交換樹脂の必要量が増加して設備規模が拡大し且つコストが増加し、使用する薬剤や廃水処理量の増加に伴って手間とコストを過剰に必要とするため、非効率的な処理方法となる可能性が大きい。
特開2008−105921号公報 特開昭60−050192号公報
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、銅製錬での脱銅スライムから浸出された銅とアンチモンと砒素とを含有する硫酸酸性溶液から、銅とアンチモンを容易に且つ低コストで分離して、高純度な亜砒酸水溶液を得る方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する高純度亜砒酸水溶液の製造方法は、砒素と銅とアンチモンとを含有する混合物から、それぞれを分離して高純度の亜砒酸水溶液を得る方法であって、
(a)砒素と銅とアンチモンを含有する混合物に硫酸溶液を添加混合し、砒素と銅とアンチモンを含有する浸出液と浸出残渣とに分離し、浸出残渣を濾別して浸出液を回収する浸出工程と、
(b)該浸出液を60℃以上100℃以下の液温に維持しながら、還元剤を添加して砒素とアンチモンを主成分とする還元析出物を生成させ、還元析出物を濾別して回収する還元工程と、
(c)該還元析出物を60℃以上100℃以下に維持した温水に添加混合することにより、亜砒酸の水溶液とアンチモンを含有する未溶解残渣とに分離し、未溶解残渣を濾別して砒素とアンチモンとを分離する分離工程と、
を備えることを特徴とする。
上記本発明による高純度亜砒酸水溶液の製造方法では、前記還元工程において、浸出液の酸化還元電位を標準水素電極で240mV以上560mV以下の範囲に維持することが好ましい。また、前記還元工程で用いる還元剤としては、水素ガス、亜硫酸ガス、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムの少なくとも1種が好ましい。更に、前記還元工程において、浸出液の液温は70℃以上90℃以下に維持することが望ましい。
本発明によれば、脱銅スライムのような砒素と銅とアンチモンとを含有する混合物を硫酸で浸出した浸出液から、吸着装置やイオン交換装置などの特別な装置を必要とせずに、還元析出並びに温水溶解という簡単な手段によって、銅とアンチモンを含まない高純度の亜砒酸水溶液を得ることができる。
従って、本発明によって得られた高純度亜砒酸水溶液を原料として、例えば上記特許文献1の方法を用いて、結晶性の良い鉄砒素化合物を生成し、砒素を安定して処理することができる。更に、高純度な亜砒酸や砒素メタルの製造原料としても利用することができる。
本発明による高純度な亜砒酸水溶液の製造は、砒素と銅とアンチモンを含有する混合物、例えば銅製錬の電解精製工程で産出した脱銅スライムなどを原料とする。本発明方法によれば、この混合物に含有されるアンチモンや銅などを、浸出工程、還元工程、分離工程の3つの工程を順に経て処理することにより、銅やアンチモンを砒素と分離して、高純度の亜砒酸水溶液を得ることができる。
以下、本発明による高純度な亜砒酸水溶液の製造方法を、図1を参照しながら詳細に説明する。尚、この図1の工程図では、砒素、銅、アンチモンを含有する混合物として脱銅スライムを図示してある。
最初の浸出工程(a)では、脱銅スライムに硫酸溶液を添加混合することによって砒素(As)、銅(Cu)、アンチモン(Sb)を溶液に浸出し、浸出残渣を濾別して浸出液を回収する。この浸出工程においては、従来から行なわれているように、硫酸溶液の硫酸濃度は始液で50〜100g/lとすることが好ましく、スラリー濃度は50〜150g/lの範囲が好ましい。
また、上記浸出工程(a)では、浸出の際に溶解速度を増加させるため、エアーを吹き込むことが好ましい。また、過酸化水素などの酸化剤を添加して、例えば酸化還元電位で700mV以上の酸化雰囲気として浸出することによっても、溶解速度を増加させることができる。浸出時の液温は、反応を促進するために、60℃以上100℃以下とすることが好ましい。
尚、脱銅スライムを硫酸溶液で浸出する場合、脱銅スライムに多量に含有される銅は硫酸によって浸出されやすいが、ビスマスや鉛はほとんど浸出されずにほぼ全量が残渣へ分配される。また、アンチモンイオンは、水に対する溶解度は本来ほとんどないが、硫酸溶液中の砒素濃度が高いと浸出される。アンチモンが浸出されるメカニズムは分っていないが、本発明者らによる研究の結果、アンチモンイオンが5価の砒素イオンと錯体を形成して浸出されるものと考えられることが分った。
次の還元工程(b)では、上記浸出工程(a)で回収した浸出液を60〜100℃に維持しながら、還元剤を添加して砒素イオンとアンチモンイオンとを還元し、それぞれ亜砒酸や三酸化二アンチモンとして析出させて沈殿させる。一方、銅イオンは浸出液中に留まるため、還元析出物を濾別回収することによって砒素及びアンチモンから銅を分離することができる。
この砒素とアンチモンの還元析出の原理は以下のように考えられる。即ち、本発明者らの研究により、脱銅スライムを硫酸で浸出した浸出液中では、砒素イオンは5価の形態で溶解していると考えられる。ここで、図2に示した砒素の平衡状態での溶解度から分るように、3価の砒素イオンの溶解度は5価の砒素イオンの数分の1以下しかない。このため還元剤を用いて浸出液中の5価の砒素イオンを3価に還元すると、砒素イオンの溶解度が低下して、過飽和となった砒素イオンは亜砒酸(As)の結晶として析出する。また、5価の砒素イオンが減少することで、アンチモンイオンは砒素イオンとの錯体が破壊され、溶解度の低い三酸化二アンチモン(Sb)の形態で析出する。
還元時の液温は60〜100℃の範囲とする。液温が60℃未満では、二酸化硫黄ガスによる還元の反応速度が極端に低下し、図2の平衡状態に到達するまでに時間がかかるため、効率が大幅に低下する。良好な反応速度を得るためには、液温を70℃以上とすることが好ましい。一方、液温が100℃を超えると、加圧容器等の高価な設備が必要となるため、コストがかさみ好ましくない。更に、図2に示したように、砒素の3価と5価での溶解度の差は30℃から80℃の範囲で大きく、還元後の亜砒酸の析出量がより多く得られると期待できる。このため、反応速度と溶解度差の観点から、70℃から80℃の間の液温で還元することが最も好ましい。
使用する還元剤としては、例えば、水素ガス、ヒドラジン、亜硫酸ガス(二酸化硫黄ガス)、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどがあるが、亜硫酸ガスを用いることが好ましい。その理由は、亜硫酸ガスは銅の製錬工程で多量に産出されるので、安価で且つ容易に利用できるうえ、還元剤として液に吹き込まれた後は硫酸となることから、処理工程に及ぼす影響が少なくて済むなどの利点があるためである。
亜硫酸ガスなどの還元剤による還元は、酸化還元電位(ORP)が標準水素電極で240〜560mVの範囲となるように維持することが望ましい。ORPが安定した後、更に1時間程度は撹拌を継続する。還元終了後、浸出液を常温まで冷却し、還元析出物を濾過して回収する。
分離工程(c)では、上記還元工程(b)で得られた還元析出物を、60〜100℃の温水中に添加して撹拌混合することにより、亜砒酸(As)と三酸化二アンチモン(Sb)を含有する還元析出物中の亜砒酸を選択的に溶解して亜砒酸水溶液を得る。その際、溶解度の低い三酸化二アンチモンは未溶解残渣中に留まるため、未溶解残渣を濾別することによって、高純度の亜砒酸水溶液を回収することができる。
還元析出物を溶解する温水の温度としては、高いほど溶解速度が早く、効率よく取り扱うことができる。しかし、100℃を超えると、加圧容器等の高価な設備が必要になる。一方、温水の温度が60℃未満では、溶解速度が遅くなり、溶解時間が長くかかるため効率的でない。従って、還元析出物を溶解する温水の温度は60〜100℃とし、好ましくは70〜90℃とする。尚、温水に対する還元析出物のスラリー濃度は、50g/lを超えると溶解に長時間を要したり、未溶解残渣が増加して取扱い難くなったりするため、50g/l以下とすることが好ましい。
上記した本発明方法により得られた高純度亜砒酸水溶液は、前述した特許文献1に示した方法に従って、鉄源を加えて酸化することにより、結晶性の鉄砒素化合物を析出させることができる。析出した結晶性の鉄砒素化合物は、新たな砒素の固定方法として利用できる。また、本発明により得られた高純度亜砒酸水溶液を原料として、亜砒酸粉末や砒素メタルを得、薬品や半導体材料として利用することができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。尚、浸出液、還元析出物、還元後液、亜砒酸水溶液の各成分の化学分析は、ICP発光分析法で行った。
[実施例1]
銅製錬の電解精製工程の操業現場で産出した脱銅スライム30gをスラリー濃度100g/lとし、硫酸濃度75g/lの硫酸溶液300mlに添加混合し、85℃に加熱しながらエアーを吹き込んで酸化することにより、下記表1に示す組成を有する浸出液300mlを得た。
Figure 2010059035
この浸出液を200ml分取し、液温度を70℃に保持しながら、液中に濃度100%の工業用亜硫酸ガス(SOガス)を吹き込み、酸化還元電位(ORP;標準水素電極)を吹き込み前の850mVから低下させて400mVを維持するように還元した。ORPが安定した後更に1時間継続してSOガスを吹き込んだ後、ガスの吹き込みを停止した。常温まで冷却して得られた還元析出物を濾過し、200mlの還元後液と7.8gの還元析出物とに分離した。
還元析出物と還元後液を分析した結果を下記表2に示す。砒素とアンチモンは還元析出物に分配するが、それ以外の不純物は還元析出物にほとんど分配されていない。また、還元析出物をX線回折(XRD)を用いて化合物同定した結果、亜砒酸(As)と三酸化二アンチモン(Sb)が生成していることが確認された。
Figure 2010059035
上記表2の分析値並びに物量を加味して、SOガス還元工程におけるアンチモンの還元析出物への分配率を求めると90%となった。また、砒素の還元析出物への分配率は64%となった。
次に、上記還元工程で得られた還元析出物3gを分取し、85℃の温水200mlに添加して撹拌した。温水に対する析出物の添加割合は15g/lとなる。その後6時間かけて還元析出物を溶解した後、濾過して0.5gの未溶解残渣と200mlの濾液とを得た。濾液として得られた亜砒酸水溶液の分析結果を下記表3に示す。
Figure 2010059035
上記表1から表3までの各不純物の品位と物量を用いて、砒素とアンチモンが溶解液あるいは未溶解残渣に分配した割合を試算した。その結果、砒素は亜砒酸水溶液に84%が分配し、未溶解残渣へは16%しか分配しなかった。一方、アンチモンは亜砒酸水溶液には3%しか分配せず、未溶解残渣に97%が分配していた。
この実施例によって、脱銅スライム中の砒素とアンチモンとを確実に分離できることが確認された。尚、実操業の脱銅スライムでは、脱銅スライムにビスマスや鉛が含有されている場合がある。しかし、これらの不純物は本発明の各工程において砒素と分離され、最終的に得られる亜砒酸水溶液中にほとんど含有されることはない。
[実施例2]
上記実施例1と同じ脱銅スライムの浸出液を、亜硫酸ガスによって酸化還元電位260mV(標準水素電極)まで還元した。得られた還元析出物は上記表2の組成と同一であり、上記実施例1と同様にして高純度亜砒酸水溶液が得られることを確認することができた。
[実施例3]
上記実施例1と同じ脱銅スライムの浸出液を、亜硫酸ガスによって酸化還元電位550mV(標準水素電極)まで還元した。得られた還元析出物は上記表2の組成と同一であり、上記実施例1と同様にして高純度亜砒酸水溶液が得られることを確認することができた。
本発明による高純度亜砒酸水溶液の製造方法を示す工程図である。 3価と5価の砒素イオンの平衡状態における溶解度を表すグラフである。

Claims (4)

  1. 砒素と銅とアンチモンとを含有する混合物から、それぞれを分離して高純度の亜砒酸水溶液を得る方法であって、
    (a)砒素と銅とアンチモンを含有する混合物に硫酸溶液を添加混合し、砒素と銅とアンチモンを含有する浸出液と浸出残渣とに分離し、浸出残渣を濾別して浸出液を回収する浸出工程と、
    (b)該浸出液を60℃以上100℃以下の液温に維持しながら、還元剤を添加して砒素とアンチモンを主成分とする還元析出物を生成させ、還元析出物を濾別して回収する還元工程と、
    (c)該還元析出物を60℃以上100℃以下に維持した温水に添加混合することにより、亜砒酸の水溶液とアンチモンを含有する未溶解残渣とに分離し、未溶解残渣を濾別して砒素とアンチモンとを分離する分離工程と、
    を備えることを特徴とする高純度亜砒酸水溶液の製造方法。
  2. 前記還元工程において、浸出液の酸化還元電位を標準水素電極で240mV以上560mV以下の範囲に維持することを特徴とする、請求項1に記載の高純度亜砒酸水溶液の製造方法。
  3. 前記還元工程で用いる還元剤が、水素ガス、亜硫酸ガス、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムの少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高純度亜砒酸水溶液の製造方法。
  4. 前記還元工程において、浸出液の液温を70℃以上90℃以下に維持することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の高純度亜砒酸水溶液の製造方法。
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