JP2006347815A - 多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジを無機酸に溶解させ溶解液を回収する無機酸抽出工程と、溶解液から銅イオンを除去する銅イオン除去工程と、銅イオン除去液から水酸化クロム澱物を分離しクロムイオン除去液を回収するクロムイオン除去工程と、クロムイオン除去液から水酸化第二鉄澱物を分離し処理液を回収する鉄イオン除去工程と、処理液から亜鉛イオンを除去してから水酸化ニッケル澱物を回収するニッケル分別回収工程と、水酸化ニッケル澱物から硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、硫酸ニッケル溶液から晶析させた硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有する。
【選択図】 図1
Description
前記溶解液に鉄粉を加えて酸化還元電位を調整し、該溶解液中の銅イオンと鉄を置換し表面に銅が析出した銅付着鉄粉を分離して銅イオン除去液とする銅イオン除去工程と、
前記銅イオン除去液に酸化剤を加え該銅イオン除去液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する酸化処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、該3価鉄イオンを水酸化第二鉄に変える第二鉄中和処理を行ない、生成した水酸化第二鉄澱物を分離した処理液とする鉄イオン除去工程と、
前記処理液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該処理液中のニッケルイオンを水酸化ニッケルに変えるニッケル中和処理を行ない、水酸化ニッケル澱物を生成させるニッケル分別回収工程と、
回収した前記水酸化ニッケル澱物に硫酸を加えて硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、
前記硫酸ニッケル溶液に冷却晶析処理を行ない、晶析した硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有する。
ここで、銅、鉄、及びニッケルには、銅、鉄、及びニッケルの金属に加えてこれらの化合物も含まれる。
これによって、再資源化処理の各工程から系外に排出される排水量を抑制することができる。更に、アルカリ剤を希釈して加えることにより、アルカリ剤を加えたときに高pH領域が局所的に形成されるのが防止できる。
前記溶解液に還元剤を加え該溶解液中の3価鉄イオンを2価鉄イオンにする還元処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、該溶解液中のクロムイオンを水酸化クロムに変えるクロム中和処理を行ない、生成した水酸化クロム澱物を分離してクロムイオン除去液とするクロムイオン除去工程と、
前記クロムイオン除去液に酸化剤を加え該クロムイオン除去液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する酸化処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、該3価鉄イオンを水酸化第二鉄に変える第二鉄中和処理を行ない、生成した水酸化第二鉄澱物を分離した処理液とする鉄イオン除去工程と、
前記処理液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該処理液中のニッケルイオンを水酸化ニッケルに変えるニッケル中和処理を行ない、水酸化ニッケル澱物を生成させるニッケル分別回収工程と、
回収した前記水酸化ニッケル澱物に硫酸を加えて硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、
前記硫酸ニッケル溶液に冷却晶析処理を行ない、晶析した硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有する。
ここで、クロムには、クロムの金属に加えてこれらの化合物も含まれる。
前記溶解液に鉄粉を加えて酸化還元電位を調整し、該溶解液中の銅イオンと鉄を置換し表面に銅が析出した銅付着鉄粉を分離して銅イオン除去液とする銅イオン除去工程と、
前記銅イオン除去液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該銅イオン除去液中のクロムイオンを水酸化クロムに変えるクロム中和処理を行ない、生成した水酸化クロム澱物を分離してクロムイオン除去液とするクロムイオン除去工程と、
前記クロムイオン除去液に酸化剤を加え該クロムイオン除去液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する酸化処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、該3価鉄イオンを水酸化第二鉄に変える第二鉄中和処理を行ない、生成した水酸化第二鉄澱物を分離した処理液とする鉄イオン除去工程と、
前記処理液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該処理液中のニッケルイオンを水酸化ニッケルに変えるニッケル中和処理を行ない、水酸化ニッケル澱物を生成させるニッケル分別回収工程と、
回収した前記水酸化ニッケル澱物に硫酸を加えて硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、
前記硫酸ニッケル溶液に冷却晶析処理を行ない、晶析した硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有する。
これによって、再資源化処理の各工程から系外に排出される排水量を抑制することができる。更に、アルカリ剤を希釈して加えることにより、アルカリ剤を加えたときに高pH領域が局所的に形成されるのが防止できる。
硫酸根除去液中には晶析で回収できなかったニッケルイオンが含まれているので、硫酸根除去液を処理液に加えることで含有されるニッケルイオン量を大きくすることができ、ニッケル中和処理時の水酸化ニッケル澱物の生成量を大きくすることができる。
これによって、残硫酸ニッケル溶液中に残留している各金属成分の再回収を行なうことができる。
これによって、水酸化ニッケル澱物を生成させる際に、水酸化亜鉛澱物が共沈するのを防止することができる。
これによって、再資源化処理の各工程から系外に排出される排水量を抑制することができる。更に、アルカリ剤を希釈して加えることにより、アルカリ剤を加えたときに高pH領域が局所的に形成されるのが防止できる。
これによって、水酸化ニッケル澱物を生成させる際に、水酸化亜鉛澱物が共沈するのを防止することができる。
これによって、再資源化処理の各工程から系外に排出される排水量を抑制することができる。更に、アルカリ剤を希釈して加えることにより、アルカリ剤を加えたときに高pH領域が局所的に形成されるのが防止できる。
硫酸根除去液中には晶析で回収できなかった硫酸ニッケルが含まれているので、硫酸根除去液にはニッケルイオンが含まれ、この液をニッケルイオン含有液に加えることで含有されるニッケルイオン量を大きくすることができ、ニッケル中和処理時の水酸化ニッケル澱物の生成量を大きくすることができる。
これによって、残硫酸ニッケル溶液中に残留している各金属成分の再回収を行なうことができる。
前記亜鉛含有液に鉄粉を加えて酸化還元電位を調整して該亜鉛含有液中のニッケルイオンと鉄を置換し表面にニッケルが析出したニッケル付着鉄粉を分離したニッケルイオン除去亜鉛含有液を形成するニッケルイオン分離処理と、
前記ニッケルイオン除去亜鉛含有液に酸化剤を加え該ニッケルイオン除去亜鉛含有液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化してからpHを調整して該3価鉄イオンから生成した水酸化第二鉄澱物を分離して鉄イオン除去亜鉛含有液を形成する鉄イオン分離処理と、
前記鉄イオン除去亜鉛含有液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該鉄イオン除去亜鉛含有液中の亜鉛イオンを水酸化亜鉛に変えて、水酸化亜鉛含有率の高い澱物を回収する水酸化亜鉛再回収処理とを施すことが好ましい。
前記溶解液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該溶解液中の銅イオンを水酸化銅に変える銅中和処理を行ない、生成した水酸化銅澱物を分離した銅イオン除去液とする銅イオン除去工程と、
前記銅イオン除去液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該銅イオン除去液中の亜鉛イオンを水酸化亜鉛に変える亜鉛中和処理を行ない、生成した水酸化亜鉛澱物を分離した亜鉛イオン除去液を形成する亜鉛イオン除去工程と、
前記亜鉛イオン除去液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該亜鉛イオン除去液中のニッケルイオンを水酸化ニッケルに変えるニッケル中和処理を行ない、水酸化ニッケル澱物を生成させるニッケル分別回収工程と、
回収した前記水酸化ニッケル澱物に硫酸を加えて硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、
前記硫酸ニッケル溶液に冷却晶析処理を行ない、晶析した硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有する。
第4の発明に係る多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記銅中和処理、前記亜鉛中和処理、及び前記ニッケル中和処理のいずれか1又は2以上で使用されるアルカリ剤は、前回のニッケル分別回収工程で水酸化ニッケル澱物を回収した後の残液の一部を用いて希釈され、該残液の残りの一部は前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合することができる。
これによって、再資源化処理の各工程から系外に排出される排水量を抑制することができる。更に、アルカリ剤を希釈して加えることにより、アルカリ剤を加えたときに高pH領域が局所的に形成されるのが防止できる。
前記亜鉛含有液に鉄粉を加えて酸化還元電位を調整して該亜鉛含有液中のニッケルイオンと鉄を置換し表面にニッケルが析出したニッケル付着鉄粉を分離したニッケルイオン除去亜鉛含有液を形成するニッケルイオン分離処理と、
前記ニッケルイオン除去亜鉛含有液に酸化剤を加え該ニッケルイオン除去亜鉛含有液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化してからpHを調整して該3価鉄イオンから生成した水酸化第二鉄澱物を分離して鉄イオン除去亜鉛含有液を形成する鉄イオン分離処理と、
前記鉄イオン除去亜鉛含有液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該鉄イオン除去亜鉛含有液中の亜鉛イオンを水酸化亜鉛に変えて、水酸化亜鉛含有率の高い澱物を回収する水酸化亜鉛再回収処理とを施すことが好ましい。
これによって、再資源化処理の各工程から系外に排出される排水量を抑制することができる。更に、アルカリ剤を希釈して加えることにより、アルカリ剤を加えたときに高pH領域が局所的に形成されるのが防止できる。
硫酸根除去液中には晶析で回収できなかった硫酸ニッケルが含まれているので、硫酸根除去液にはニッケルイオンが含まれ、この液を溶解液、銅イオン除去液、及び亜鉛イオン除去液のいずれか1又は2以上に混合することで含有されるニッケルイオン量を大きくすることができ、ニッケル中和処理時の水酸化ニッケル澱物の生成量を大きくすることができる。
これによって、残硫酸ニッケル溶液中に残留している各金属成分の再回収を行なうことができる。
これによって、不溶解分中に石膏を存在させることができ、不溶解分層の濾過抵抗を低下させて不溶解分層中で溶解液の移動を容易に行なわせることができる。
硫酸根の含有量を低下させることにより、使用できるアルカリ剤の範囲を拡大することができ、例えば、カルシウムを含むアルカリ剤を使用しても、水酸化物中に混入する石膏量を低減させることができる。
塩酸を使用することで、溶解液中で各金属分を塩化物の状態で存在させることができ、各金属分を水酸化物の状態で容易に回収することができる。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の工程説明図、図2は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法における硫酸根除去処理の説明図、図3は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法における銅イオン除去工程の説明図、図4は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法におけるクロムイオン除去工程の説明図、図5は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法における鉄イオン除去工程の説明図、図6は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法における亜鉛分別回収処理の説明図、図7は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法における水酸化亜鉛の精製を行なう際の説明図、図8は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法におけるニッケル分別回収工程の説明図、図9は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法における硫酸抽出工程及び硫酸ニッケル回収工程の説明図、図10は本発明の第2の実施の形態に係る多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の工程説明図、図11は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法における硫酸根除去処理の説明図、図12は本発明の第3の実施の形態に係る多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の工程説明図、図13は同多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法における銅イオン除去工程の説明図である。
Cr(OH)3 +3H+ +3Cl- → Cr3++3Cl- +3H2 O
Cu(OH)2 +2H+ +2Cl- → Cu2++2Cl- +2H2 O
Fe(OH)2 +2H+ +2Cl- → Fe2++2Cl- +2H2 O
Fe(OH)3 +3H+ +3Cl- → Fe3++3Cl- +3H2 O
Ni(OH)2 +2H+ +2Cl- → Ni2++2Cl- +2H2 O
Zn(OH)2 +2H+ +2Cl- → Zn2++2Cl- +2H2 O
ここで、石膏生成処理で生成させる石膏量は、ケーキの透水性を改善するのに必要な量に制限することが好ましい。これによって、石膏生成量を抑えてケーキの発生量(不溶解分と石膏の総和)を少なくして廃棄物処理の負担を軽減することができると共に、硫酸根除去処理工程で発生する石膏量を多くして、有効利用可能な石膏の増産を図ることができる。
2Fe3++Fe → 3Fe2+
Cu2++Fe → Cu↓+Fe2+ (セメンテーション処理)
Fe+2H+ +2Cl- → Fe2++2Cl- +H2 ↑
そして、所定時間経過後、銅付着鉄粉が懸濁している液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して銅付着鉄粉をケーキとして分離し、クロム、鉄、ニッケル、及び亜鉛の各イオンが含まれる銅イオン除去液を回収する(以上、銅イオン除去工程)。分離したケーキは洗浄水で洗浄し、ケーキ側に付着しているクロム、鉄、ニッケル、及び亜鉛の各イオンを洗い流すようにする。ここで、分離した銅付着鉄粉は、例えば、銅精錬原料として利用できる。
Cr3++3Cl- +3Na+ +3OH- → Cr(OH)3 ↓+3Na+ +3Cl-
そして、所定時間経過後、水酸化クロム澱物を含んだ銅イオン除去液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して水酸化クロム澱物をケーキとして分離し、鉄、ニッケル、及び亜鉛の各イオンが含まれるクロムイオン除去液を回収する(以上、クロムイオン除去工程)。ここで、分離したケーキを洗浄水を用いて洗浄し、ケーキ側に付着している鉄、ニッケル、及び亜鉛の各イオンを洗い流すようにする。これによって、鉄、ニッケル、及び亜鉛の各イオンの回収率を大きくすることができる。なお、分離した水酸化クロム澱物は、例えば、クロム精錬原料として利用できる。
2Fe2++2Cl- +H2 O2 → 2FeOCl+2Cl- +2H+
FeOCl+Cl- +H+ +2Na+ +2OH-
→ Fe(OH)3 ↓+2Na+ +2Cl-
Fe3++3Cl- +3Na+ +3OH- → Fe(OH)3 ↓+3Na+ +3Cl-
そして、所定時間経過後、水酸化第二鉄澱物を含んだ液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して水酸化第二鉄澱物をケーキとして分離し、ニッケル及び亜鉛の各イオンが含まれる処理液を回収する(以上、鉄イオン除去工程)。ここで、分離したケーキを洗浄水を用いて洗浄し、ケーキ側に付着しているニッケル及び亜鉛の各イオンを洗い流すようにする。これによって、ニッケル及び亜鉛の各イオンの回収率を大きくすることができる。なお、回収した水酸化第二鉄澱物は、例えば、塩化鉄原料として利用できる。
Zn2++2Cl- +2Na+ +2OH- → Zn(OH)2 ↓+2Na+ +2Cl-
そして、所定時間経過後、水酸化亜鉛澱物を含んだ液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して水酸化亜鉛澱物をケーキとして分離し、ニッケルイオンが含まれるニッケルイオン含有液を回収する(亜鉛分別回収処理)。ここで、分離したケーキを洗浄水を用いて洗浄し、ケーキ側に付着しているニッケルイオンを洗い流すようにする。これによって、ニッケルイオンの回収率を大きくすることができる。なお、回収した水酸化亜鉛澱物は、例えば、亜鉛原料として利用できる。
Ni(OH)2 +2H+ +2Cl- → Ni2++2Cl- +2H2 O
Zn(OH)2 +2H+ +2Cl- → Zn2++2Cl- +2H2 O
Ni2++Fe → Ni↓+Fe2+
Fe+2H+ +2Cl- → Fe2++2Cl- +H2 ↑
そして、ニッケル付着鉄粉が懸濁している液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理してニッケル付着鉄粉をケーキとして分離しニッケルイオン除去亜鉛含有液とする(ニッケルイオン分離処理)。なお、分離したニッケル鉄粉は合金原料として利用できる。
2Fe2++4Cl- +Cl2 → 2Fe3++6Cl-
そして、アルカリ剤の一例である炭酸カルシウムを加えてpHを2.5以上で5.0以下、例えば、3.5程度に調整する。これによって、ニッケルイオン除去亜鉛含有液中の3価鉄イオンと炭酸カルシウムの間で下記に示す化学反応が進行し、3価鉄イオンが水酸化第二鉄に変化する第二鉄中和が生じる。
2Fe3++6Cl- +3CaCO3 +3H2 O → 2Fe(OH)3 ↓+3Ca2++6Cl- +3CO2
更に、水酸化第二鉄澱物を含んだ液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して水酸化第二鉄澱物をケーキとして分離し、鉄イオン除去亜鉛含有液とする(鉄イオン分離処理)。これによって、ニッケル回収時に加えた鉄を除去することができる。なお、分離した水酸化第二鉄澱物に塩酸を加えて塩化第二鉄溶液を生成させると凝集剤として利用できる。
Zn2++2Cl- +2Na+ +2OH- → Zn(OH)2 ↓+2Na+ +2Cl-
そして、水酸化亜鉛を含んだ液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して水酸化亜鉛澱物をケーキとして回収し液を分離する(水酸化亜鉛再回収処理)。なお、回収した水酸化亜鉛澱物(水酸化亜鉛含有率の高い澱物)は、例えば、亜鉛原料として利用でき、分離した液は水処理設備に搬送し処理してから排水する。
Ni2++2Cl- +2Na+ +2OH- → Ni(OH)2 ↓+2Na+ +2Cl-
そして、所定時間経過後、水酸化ニッケル澱物を含んだ液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して水酸化ニッケル澱物をケーキとして回収し、残液を分離する(ニッケル分別回収工程)。ここで、回収したケーキを洗浄水を用いて洗浄し、ケーキ側に付着している残液を洗い流すようにする。これによって、ケーキに付着する残液を少なくして、水酸化ニッケル中に含まれる不純物量を低減することができる。なお、回収した水酸化ニッケル澱物の一部は、例えば、ニッケル原料としても利用できる。
Ni(OH)2 +2H+ +SO4 2- → Ni2++SO4 2- +2H2 O
このとき、水酸化ニッケル澱物に付着して持ち込まれたカルシウムイオンは、硫酸と反応して石膏を生成する。このため、硫酸ニッケル溶液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して生成した石膏をケーキとして分離し、硫酸ニッケルを含んだ1次濾液を回収する。更に、回収したケーキを洗浄水を用いて洗浄し、再度フィルタープレスを行なって、ケーキ側に付着している硫酸ニッケルを2次濾液とし、硫酸抽出工程に循環使用するか、又は1次濾液に加える。これによって、水酸化ニッケル澱物に付着して持ち込まれたカルシウムイオンを石膏として分離できる。なお、水酸化ニッケル澱物中にカルシウムイオンが実質的に残留していない場合は、この固液分離処理を省略することができる。
Ni2++SO4 2- +6H2 O → NiSO4 ・6H2 O↓
ここで、無機酸抽出工程は、第1の実施の形態に係る廃液スラッジの再資源化処理方法における塩酸抽出工程と実質的に同一の処理内容とすることができるので、詳細な説明は省略する。
Cu2++2Cl- +2Na+ +2OH- → Cu(OH)2 ↓+2Na+ +2Cl-
そして、所定時間経過後、水酸化銅澱物を含んだ液を、例えば、フィルタープレスで固液分離処理して水酸化銅澱物をケーキとして分離し、ニッケル及び亜鉛の各イオンが含まれる銅イオン除去液を回収する(以上、銅イオン除去工程)。ここで、分離したケーキを洗浄水を用いて洗浄し、ケーキ側に付着しているニッケル及び亜鉛の各イオンを洗い流すようにする。これによって、ニッケル及び亜鉛の各イオンの回収率を大きくすることができる。なお、回収した水酸化銅澱物は、例えば、銅精錬原料として利用できる。
なお、水酸化ニッケル澱物を含んだ液から水酸化ニッケル澱物をケーキとして回収して得られる残液の一部を、銅中和処理、亜鉛中和処理及びニッケル中和処理でそれぞれ使用する苛性ソーダを希釈する水の代りに使用し、残液の残りの一部は多成分含有ニッケルめっきスラッジに混合する。これによって、苛性ソーダを希釈する水の使用量を削減して処理コストを低減することができる。
(実施例1)
銅、クロム、鉄、及びニッケルを含む多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジから、銅、クロム、鉄、及びニッケルを順に分別回収した。図14に多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の工程説明図、図15〜図17に多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の詳細工程説明図を示す。
図15に示すように、多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジ(315.6g、固形分は100.0g)に水分を加えて、スラリー濃度が約10重量%程度となるようにスラリーを調製(リパルプ)した(S−1)。使用した多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの組成を表1に示す。
次いで、塩酸溶解処理が終了して得られた溶解処理物の温度が60℃となるように加熱しながら、pHが2程度になるように消石灰97.6gを添加して20分間撹拌し、溶解処理物中の硫酸根と反応させて石膏を生成させ硫酸根除去処理を行なった(S−3)。硫酸根除去処理開始時のpHは1.1、温度は65℃であり、硫酸根除去処理が完了したときのpHは1.2、温度は57℃であった。そして、溶解処理物を静置し、生成した石膏を溶解処理物中の不溶解分と共に不溶解残滓として沈降させた(S−4)。
次いで、クロム中和処理が終了後の液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化クロム澱物に洗浄水50gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収し、搾液と混合してクロムイオン除去液とする固液分離処理を行なった(S−9)。水酸化クロム澱物及びクロムイオン除去液の組成を表1及び表2にそれぞれ示す。
次いで、酸化処理が終了した液の温度を60℃となるように加熱しながら、pHが3.5程度となるように48%苛性ソーダ14.5g及びpH調整用の15%塩酸を加えて30分間撹拌し、第二鉄イオンを水酸化第二鉄に変化させる第二鉄中和処理を行なった(S−11)。なお、第二鉄中和処理開始時のpHは3.5、液の温度は63℃であり、第二鉄中和処理が終了後のpHは3.5、温度は62℃であった。
そして、第二鉄中和処理の終了後の液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化第二鉄澱物に洗浄水50gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収し搾液と混合して処理液とする固液分離を行なった(S−12)。水酸化第二鉄澱物及び処理液の組成を表1及び表2にそれぞれ示す(以上、鉄イオン除去工程)。
次いで、ニッケル中和処理が終了した液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化ニッケル澱物に洗浄水200gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収搾液と混合して残液とする固液分離処理を行なった(S−14)。水酸化ニッケル澱物及び残液の組成を表1及び表2にそれぞれ示す(以上、ニッケル分別回収工程)。
また、水酸化ニッケル澱物が硫酸と反応して硫酸ニッケルが生成する際に、水酸化ニッケル澱物と共に持ち込まれたカルシウムイオンと硫酸が反応して石膏が生成する。このため、硫酸抽出処理が終了した液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の石膏を主体とする不溶解残滓に洗浄水50gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収し搾液に混合して硫酸ニッケル溶液とする固液分離処理を行なった(S−17)。石膏を主体とする不溶解残滓及び硫酸ニッケル溶液の組成を表1及び表2にそれぞれ示す。
実施例1で使用したのと同一の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジから、銅、クロム、鉄、及びニッケルを順に分別回収した。このとき、無機酸抽出工程で、溶解処理物に消石灰を加え溶解処理物中の硫酸根と反応させて石膏を生成させる石膏生成処理と、生成した石膏を不溶解分と共に除去して溶解処理液を形成する固液分離処理と、溶解処理液に更に消石灰を加えて残留する硫酸根と反応させて石膏を生成させて除去して溶解液とする硫酸根除去処理を行なった。図18に実施例2における多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の無機酸抽出工程の説明図を示す。
図18に示すように、多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに水分を加えて、スラリー濃度が約10重量%程度となるようにスラリーを調製(リパルプ)した(T−1)。ここで、処理開始時では上水を使用するが、残液及び残硫酸ニッケル溶液が得られるようになった時点で、上水の代りに残液及び残硫酸ニッケル溶液を使用する。定常状態となった時点では、残液601.2g及び残硫酸ニッケル溶液194.2gを組み合わせて使用する。
実施例1で使用したのと同一の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジから、銅、クロム、鉄、及びニッケルを順に分別回収した。図19に多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の工程説明図、図20〜図23に多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の詳細工程説明図を示す。
図20に示すように、前回の処理時において残硫酸ニッケル溶液に消石灰を加えて生成させた石膏20.3gを多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに加えると共に、pHが0.8になるように15%塩酸34.0gを前回の処理時に発生した残液684.5gに希釈して加え、スラリー濃度が約10重量%程度のスラリーを調製(リパルプ)した(U−1)。
次いで、銅回収の終了後の液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、鉄粉表面に銅が析出したケーキ状の銅付着鉄粉に洗浄水50gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液と混合して銅イオン除去液とする固液分離処理を行なった(U−6)。銅付着鉄粉及び銅イオン除去液の組成を表4及び表5にそれぞれ示す。
次いで、クロム中和処理が終了した後の銅イオン除去液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化クロム澱物に洗浄水50gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液に混合してクロムイオン除去液とする固液分離処理を行なった(U−8)。水酸化クロム澱物及びクロムイオン除去液の組成を表4及び表5にそれぞれ示す。
次いで、ニッケル中和処理終了後の液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化ニッケル澱物に洗浄水200gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液に混合して残液とする固液分離処理を行なった(U−13)。水酸化ニッケル澱物及び残液の組成を表4及び表5にそれぞれ示す。
次いで、硫酸抽出処理が終了したスラリーをフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の不溶解分に洗浄水50gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液と混合して硫酸ニッケル溶液とする固液分離処理を行なった(U−16)。不溶解残滓び硫酸ニッケル溶液の組成を表4及び表5にそれぞれ示す。
次いで、液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の石膏に洗浄水100gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液と混合して硫酸根除去液とする固液分離処理を行なった(U−22)。硫酸ニッケル結晶、残硫酸ニッケル溶液、石膏、及び硫酸根除去液の組成を表4及び表5にそれぞれ示す。ここで、回収した硫酸根除去液の一部は次回の処理時にニッケル分別回収工程で使用する苛性ソーダの希釈液として保存する。なお、実施例3の場合、総合ニッケル回収率は61.4%であった。
銅、亜鉛、及びニッケルを含有する多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジ(単に、めっきスラッジともいう)から、銅、亜鉛、及びニッケルを順に分別回収した。図24に多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の詳細工程説明図、図25〜図28に多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法の各操作説明を示す。
図25に示すように、めっきスラッジ(5000.0g、固形分1825.0g)を解砕し(V−1)、pHが0.5になるように15%塩酸9184.0gを加えてスラリーを調製し、スラリーの温度が40℃となるように加熱しながら60分間撹拌し固形分を溶解させて溶解処理液を得る塩酸溶解処理を行なった(V−2)。塩酸溶解処理開始時のスラリーのpHは0.5、温度は43℃であり、塩酸抽出終了時の溶解処理物のpHは0.5、温度は42℃であった。次いで、溶解処理物をフィルタープレスを用いて固液分離して搾液回収すると共に、ケーキ状の不溶解残滓に洗浄水200gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液と混合して溶解液とする固液分離処理を行なった(V−3)。不溶解残滓及び溶解液の組成を表6及び表7にそれぞれ示す。
次いで、銅中和処理の終了後の処理希釈液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化銅澱物に洗浄水200gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液に混合して銅イオン除去液とする固液分離処理を行なった(V−6)。水酸化銅澱物及び銅イオン除去液の組成を表6及び表7にそれぞれ示す。
次いで、亜鉛中和処理の終了後の液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化亜鉛澱物に洗浄水200gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液に混合して亜鉛イオン除去液とする固液分離処理を行なった。水酸化亜鉛澱物及び亜鉛イオン除去液の組成を表6及び表7にそれぞれ示す。
次いで、ニッケル中和処理が終了した液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化ニッケル澱物に洗浄水200gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を分離して搾液に混合して残液とする固液分離を行なった(V−10)。水酸化ニッケル澱物及び残液の組成を表6及び表7にそれぞれ示す。なお、回収した残液の一部は、溶解液から処理希釈液を調製する際の希釈液として、また亜鉛中和処理時に加える苛性ソーダの希釈液として保存し、残部は廃棄液として処理する。
次いで、残硫酸ニッケル溶液に水200gを加えて希釈し(V−16)、温度が60℃になるように加熱しながら30%塩化カルシウム133.6gを加えた。塩化カルシウムを加えることで、残硫酸ニッケル溶液のpHは0.3、温度は58℃になった。更に、炭酸カルシウム29.4gを加えて30分間撹拌し、残硫酸ニッケル溶液中に存在する硫酸根とカルシウムイオンを反応させて石膏を生成させる硫酸根除去処理を行なった(V−17)。炭酸カルシウム添加直後の液のpHは1.2、温度は68℃であり、30分間撹拌後のpHは1.1、温度は61℃であった。
実施例4で回収した水酸化亜鉛澱物(以下、被精製処理水酸化亜鉛澱物という)に対して水酸化亜鉛の精製を行なって、水酸化亜鉛澱物の亜鉛含有率及び総合ニッケル回収率の向上を図った。図29、図30に水酸化亜鉛の精製を行なう際の詳細説明図を示す。
図29に示すように、被精製処理水酸化亜鉛澱物(527.8g、固形分99.2g)に水1000gを加えてスラリー調製(リパルプ)を行なった(W−1)。次いで、スラリーのpHが1程度になるように15%塩酸477.1gを加え温度が60℃となるように加熱しながら30分間撹拌し被精製処理水酸化亜鉛澱物を溶解させてスラリーを調製する無機酸抽出処理(塩酸溶解処理)を行なった(W−2)。無機酸抽出処理開始時のスラリーのpHは1.0、温度は61℃であった。次いで、無機酸抽出処理が終了した溶解処理物をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の不溶解分に洗浄水100gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液と混合して亜鉛含有液とする固液分離処理を行なった(W−3)。被精製処理水酸化亜鉛澱物及び亜鉛含有液の組成を表8及び表9にそれぞれ示す。
次いで、酸化処理が完了したニッケルイオン除去亜鉛含有液の温度を60℃となるように加熱しながら、pHが4.5以下となるように炭酸カルシウム29.8gを加えて15分間撹拌し、第二鉄イオンを水酸化第二鉄に変化させる第二鉄中和処理(W−7)を行なった。第二鉄中和処理が終了したときの液のpHは4.1、温度は60℃であった。そして、第二鉄中和処理が終了した液をフィルタープレスで固液分離して搾液を回収すると共に、ケーキ状の水酸化第二鉄澱物に洗浄水200gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液に混合して鉄イオン除去亜鉛含有液とする固液分離処理を行なった(W−8)。水酸化第二鉄澱物及び鉄イオン除去亜鉛含有液の組成を表8及び表9にそれぞれ示す。
次いで、亜鉛中和処理が終了した液をフィルタープレスで固液分離して搾液(塩化カルシウム溶液)を回収すると共に、ケーキ状の再回収水酸化亜鉛澱物に洗浄水200gを供給し再度フィルタープレスで圧搾して洗浄水を回収して搾液と混合して廃棄液とする固液分離処理を行なった(W−10)。再回収水酸化亜鉛澱物(水酸化亜鉛含有率の高い澱物)及び廃棄液の組成を表8及び表9にそれぞれ示す。表8に示すように、被精製処理水酸化亜鉛澱物中にはニッケルが35重量%含まれているのに対して、再回収水酸化亜鉛澱物中のニッケル含有量は0.1重量%となり、再回収水酸化亜鉛澱物中の水酸化亜鉛の含有率を向上させることができた。
例えば、第1及び第3の実施の形態で無機酸抽出工程で石膏生成処理及び固液分離処理を行なったが、これらの処理を省略してもよい。第2の実施の形態で、濾過助剤混合処理、石膏生成処理、及び固液分離処理を行なったが、濾過助剤混合処理と石膏生成処理のいずれか一方を省略することも、濾過助剤混合処理、石膏生成処理、及び固液分離処理の全てを省略することもできる。更に、第1〜第3の実施の形態で、硫酸根除去処理工程及を省略することもできる。また、無機酸抽出工程で、無機酸として塩酸を使用したが、硫酸及び硝酸のいずれかを使用することもできる。
更に、第1及び第2の実施の形態では、銅、クロム、亜鉛、鉄、及びニッケルを含む多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジについて説明したが、銅、鉄及びニッケル、又は、銅、鉄、ニッケル及び亜鉛、又は、銅、クロム、鉄及びニッケル、又は、クロム、鉄及びニッケル、又は、クロム、鉄、ニッケル及び亜鉛を含む多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに対しても適用することができる。
なお、クロム、鉄、及びニッケルを含む多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジを使用する場合のクロムイオン除去工程では、無機酸抽出工程で得た溶解液に還元剤を加え溶解液中の3価鉄イオンを2価鉄イオンにする還元処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、溶解液中のクロムイオンを水酸化クロムに変えるクロム中和処理を行ない、生成した水酸化クロム澱物を分離してクロムイオン除去液としている。
Claims (23)
- 銅、鉄、及びニッケルを含む多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに無機酸を加え溶解処理物を形成し、該溶解処理物から不溶解分を除去して溶解液を得る無機酸抽出工程と、
前記溶解液に鉄粉を加えて酸化還元電位を調整し、該溶解液中の銅イオンと鉄を置換し表面に銅が析出した銅付着鉄粉を分離して銅イオン除去液とする銅イオン除去工程と、
前記銅イオン除去液に酸化剤を加え該銅イオン除去液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する酸化処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、該3価鉄イオンを水酸化第二鉄に変える第二鉄中和処理を行ない、生成した水酸化第二鉄澱物を分離した処理液とする鉄イオン除去工程と、
前記処理液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該処理液中のニッケルイオンを水酸化ニッケルに変えるニッケル中和処理を行ない、水酸化ニッケル澱物を生成させるニッケル分別回収工程と、
回収した前記水酸化ニッケル澱物に硫酸を加えて硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、
前記硫酸ニッケル溶液に冷却晶析処理を行ない、晶析した硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。 - 請求項1記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記第二鉄中和処理及び前記ニッケル中和処理のいずれか一方又は双方で使用されるアルカリ剤は、前回のニッケル分別回収工程で水酸化ニッケル澱物を回収した後の残液の一部を用いて希釈され、該残液の残りの一部は前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合されることを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- クロム、鉄、及びニッケルを含む多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに無機酸を加え溶解処理物を形成し、該溶解処理物から不溶解分を除去して溶解液を得る無機酸抽出工程と、
前記溶解液に還元剤を加え該溶解液中の3価鉄イオンを2価鉄イオンにする還元処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、該溶解液中のクロムイオンを水酸化クロムに変えるクロム中和処理を行ない、生成した水酸化クロム澱物を分離してクロムイオン除去液とするクロムイオン除去工程と、
前記クロムイオン除去液に酸化剤を加え該クロムイオン除去液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する酸化処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、該3価鉄イオンを水酸化第二鉄に変える第二鉄中和処理を行ない、生成した水酸化第二鉄澱物を分離した処理液とする鉄イオン除去工程と、
前記処理液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該処理液中のニッケルイオンを水酸化ニッケルに変えるニッケル中和処理を行ない、水酸化ニッケル澱物を生成させるニッケル分別回収工程と、
回収した前記水酸化ニッケル澱物に硫酸を加えて硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、
前記硫酸ニッケル溶液に冷却晶析処理を行ない、晶析した硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。 - 銅、クロム、鉄、及びニッケルを含む多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに無機酸を加え溶解処理物を形成し、該溶解処理物から不溶解分を除去して溶解液を得る無機酸抽出工程と、
前記溶解液に鉄粉を加えて酸化還元電位を調整し、該溶解液中の銅イオンと鉄を置換し表面に銅が析出した銅付着鉄粉を分離して銅イオン除去液とする銅イオン除去工程と、
前記銅イオン除去液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該銅イオン除去液中のクロムイオンを水酸化クロムに変えるクロム中和処理を行ない、生成した水酸化クロム澱物を分離してクロムイオン除去液とするクロムイオン除去工程と、
前記クロムイオン除去液に酸化剤を加え該クロムイオン除去液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化する酸化処理を行なってからアルカリ剤を加えてpHを調整し、該3価鉄イオンを水酸化第二鉄に変える第二鉄中和処理を行ない、生成した水酸化第二鉄澱物を分離した処理液とする鉄イオン除去工程と、
前記処理液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該処理液中のニッケルイオンを水酸化ニッケルに変えるニッケル中和処理を行ない、水酸化ニッケル澱物を生成させるニッケル分別回収工程と、
回収した前記水酸化ニッケル澱物に硫酸を加えて硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、
前記硫酸ニッケル溶液に冷却晶析処理を行ない、晶析した硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。 - 請求項3及び4のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記クロム中和処理、前記第二鉄中和処理、及び前記ニッケル中和処理のいずれか1又は2以上で使用されるアルカリ剤は、前回のニッケル分別回収工程で水酸化ニッケル澱物を回収した後の残液の一部を用いて希釈され、該残液の残りの一部は前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合されることを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前回の硫酸ニッケル回収工程で晶析した硫酸ニッケル結晶を回収した後の残硫酸ニッケル溶液にカルシウム源を加えて生成した石膏を分離して該残硫酸ニッケル溶液中の硫酸根を除去して硫酸根除去液を形成し、該硫酸根除去液の一部又は全部を前記処理液に混合することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項1〜5いずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前回の硫酸ニッケル回収工程で晶析した硫酸ニッケル結晶を回収した後の残硫酸ニッケル溶液を前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項1記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジが更に亜鉛を有する場合は、前記ニッケル分別回収工程で、該ニッケル分別回収工程で使用する前記処理液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該処理液中の亜鉛イオンから水酸化亜鉛澱物を生成させて分離する亜鉛分別回収処理を施してから前記ニッケル中和処理を行なうことを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項8記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記第二鉄中和処理、前記ニッケル中和処理、及び前記亜鉛分別回収処理で使用されるアルカリ剤は、前回のニッケル分別回収工程で水酸化ニッケル澱物を回収した後の残液の一部を用いて希釈され、該残液の残りの一部は前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合されることを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項3及び4のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジが更に亜鉛を有する場合は、前記ニッケル分別回収工程で、該ニッケル分別回収工程で使用する前記処理液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該処理液中の亜鉛イオンから水酸化亜鉛澱物を生成させて分離する亜鉛分別回収処理を施してから前記ニッケル中和処理を行なうことを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項10記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記クロム中和処理、前記第二鉄中和処理、前記ニッケル中和処理、及び前記亜鉛分別回収処理のいずれか1又は2以上で使用されるアルカリ剤は、前回のニッケル分別回収工程で水酸化ニッケル澱物を回収した後の残液の一部を用いて希釈され、該残液の残りの一部は前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合されることを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項8〜11のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前回の硫酸ニッケル回収工程で晶析した硫酸ニッケル結晶を回収した後の残硫酸ニッケル溶液にカルシウム源を加えて生成した石膏を分離して該残硫酸ニッケル溶液中の硫酸根を除去して硫酸根除去液を形成し、該硫酸根除去液の一部又は全部を前記処理液から亜鉛イオンを除去した後のニッケルイオン含有液に混合することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項8〜11のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前回の硫酸ニッケル回収工程で晶析した硫酸ニッケル結晶を回収した後の残硫酸ニッケル溶液を前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項8〜13のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、分離された前記水酸化亜鉛澱物に対して、該水酸化亜鉛澱物を無機酸に溶解させて亜鉛含有液を調製する無機酸抽出処理と、
前記亜鉛含有液に鉄粉を加えて酸化還元電位を調整して該亜鉛含有液中のニッケルイオンと鉄を置換し表面にニッケルが析出したニッケル付着鉄粉を分離したニッケルイオン除去亜鉛含有液を形成するニッケルイオン分離処理と、
前記ニッケルイオン除去亜鉛含有液に酸化剤を加え該ニッケルイオン除去亜鉛含有液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化してからpHを調整して該3価鉄イオンから生成した水酸化第二鉄澱物を分離して鉄イオン除去亜鉛含有液を形成する鉄イオン分離処理と、
前記鉄イオン除去亜鉛含有液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該鉄イオン除去亜鉛含有液中の亜鉛イオンを水酸化亜鉛に変えて、水酸化亜鉛含有率の高い澱物を回収する水酸化亜鉛再回収処理とを施すことを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。 - 銅、亜鉛、及びニッケルを含む多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに無機酸を加え溶解処理物を形成し、該溶解処理物から不溶解分を除去して溶解液を回収する無機酸抽出工程と、
前記溶解液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該溶解液中の銅イオンを水酸化銅に変える銅中和処理を行ない、生成した水酸化銅澱物を分離した銅イオン除去液とする銅イオン除去工程と、
前記銅イオン除去液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該銅イオン除去液中の亜鉛イオンを水酸化亜鉛に変える亜鉛中和処理を行ない、生成した水酸化亜鉛澱物を分離した亜鉛イオン除去液を形成する亜鉛イオン除去工程と、
前記亜鉛イオン除去液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該亜鉛イオン除去液中のニッケルイオンを水酸化ニッケルに変えるニッケル中和処理を行ない、水酸化ニッケル澱物を生成させるニッケル分別回収工程と、
回収した前記水酸化ニッケル澱物に硫酸を加えて硫酸ニッケル溶液を形成する硫酸抽出工程と、
前記硫酸ニッケル溶液に冷却晶析処理を行ない、晶析した硫酸ニッケル結晶を回収する硫酸ニッケル回収工程とを有することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。 - 請求項15記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記銅中和処理、前記亜鉛中和処理、及び前記ニッケル中和処理のいずれか1又は2以上で使用されるアルカリ剤は、前回のニッケル分別回収工程で水酸化ニッケル澱物を回収した後の残液の一部を用いて希釈され、該残液の残りの一部は前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合されることを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項15及び16のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、分離した前記水酸化亜鉛澱物に対して、該水酸化亜鉛澱物を無機酸に溶解させて亜鉛含有液を調製する無機酸抽出処理と、
前記亜鉛含有液に鉄粉を加えて酸化還元電位を調整して該亜鉛含有液中のニッケルイオンと鉄を置換し表面にニッケルが析出したニッケル付着鉄粉を分離したニッケルイオン除去亜鉛含有液を形成するニッケルイオン分離処理と、
前記ニッケルイオン除去亜鉛含有液に酸化剤を加え該ニッケルイオン除去亜鉛含有液中の2価鉄イオンを3価鉄イオンに酸化してからpHを調整して該3価鉄イオンから生成した水酸化第二鉄澱物を分離して鉄イオン除去亜鉛含有液を形成する鉄イオン分離処理と、
前記鉄イオン除去亜鉛含有液にアルカリ剤を加えてpHを調整し、該鉄イオン除去亜鉛含有液中の亜鉛イオンを水酸化亜鉛に変えて、水酸化亜鉛含有率の高い澱物を回収する水酸化亜鉛再回収処理とを施すことを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。 - 請求項17記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記水酸化亜鉛再回収処理で使用されるアルカリ剤は、前回のニッケル分別回収工程で水酸化ニッケル澱物を回収した後の残液の一部を用いて希釈されることを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項15〜18のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前回の硫酸ニッケル回収工程で晶析した硫酸ニッケル結晶を回収した後の残硫酸ニッケル溶液にカルシウム源を加えて生成した石膏を分離して該残硫酸ニッケル溶液中の硫酸根を除去して硫酸根除去液を形成し、該硫酸根除去液の一部を前記溶解液、前記銅イオン除去液、及び前記亜鉛イオン除去液のいずれか1又は2以上に混合することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項15〜18のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前回の硫酸ニッケル回収工程で晶析した硫酸ニッケル結晶を回収した後の残硫酸ニッケル溶液を前記多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジに混合することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項1〜20のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記無機酸抽出工程で、前記溶解処理物にカルシウム源を加え該溶解処理物中の硫酸根と反応させて石膏を生成させ、該石膏を前記不溶解分と共に除去することを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項1〜20のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記無機酸抽出工程で、前記溶解処理物から前記不溶解分を除去してからカルシウム源を加えて硫酸根と反応させて石膏を生成させ、該石膏を除去して前記溶解液とすることを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
- 請求項1〜22のいずれか1項に記載の多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法において、前記無機酸は塩酸であることを特徴とする多成分含有ニッケルめっき廃液スラッジの再資源化処理方法。
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