JP2005014445A - ライン型インクジェットプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体の搬送性によらず、記録媒体への高画質画像形成が可能なライン型インクジェットプリンタを提供すること。
【解決手段】記録媒体Psの幅相当の長さに複数のノズルが配列され、前記ノズルから記録媒体Psの記録面へ向けてインクを吐出することにより画像を記録するラインヘッド41〜44を備えたライン型インクジェットプリンタであって、前記記録媒体Psを画像記録位置に停止させてその停止状態を保持しておく保持手段と、前記ラインヘッド41〜44をノズル配列方向に対して略直角な方向で且つ前記記録媒体Psの記録面と平行に往復移動させる移動手段5と、前記移動手段5により前記ラインヘッド41〜44を移動させながら、前記保持手段により停止した状態の記録媒体Psの記録面上へインクを吐出させることにより記録を行う制御手段とを有することを特徴とするライン型インクジェットプリンタ。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ライン型インクジェットプリンタに関し、詳しくは、ラインヘッドを用いて、記録媒体の搬送性によらず、記録媒体へ高画質画像を形成することのできるライン型インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタでは、一般的に紙等の記録媒体を間欠的又は連続的に一方向に搬送しながら記録が行われる。近年、次第に記録速度の向上が要求されるにつれ、インクを吐出するノズルを記録媒体の全幅に対応する数だけライン状に配列してなるラインヘッドを有するライン型のインクジェットプリンタが多く提案されるようになってきた。
【0003】
このようなライン型インクジェットプリンタは、図7に示すように、ラインヘッド200をプリンタに対して固定状に配設し、一方、記録媒体201を搬送ローラ対202及び203によって挟持しながら副走査方向(矢印Y方向)に搬送させ、その搬送過程で、ラインヘッド200の副走査方向に略直交する方向(矢印X方向)に沿って配列された複数のノズルからインクを吐出することにより、記録媒体201上へ二次元画像を形成するようになっている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−334047号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ラインヘッドは、記録速度が速いという利点がある反面、ラインヘッドを固定状とし、一方の記録媒体を搬送ローラにより搬送させながら記録するため、記録媒体の搬送性が画像品質に大きく影響することから、記録媒体を安定に精度良く搬送する必要がある。しかしながら、記録媒体を安定に精度良く搬送するのは容易ではない。例えば、記録媒体の搬送中に、搬送ローラと記録媒体との間に滑りが生じたり、搬送方向上流側の搬送ローラ対202と下流側の搬送ローラ対203との間の搬送速度差による記録媒体の伸びが生じたり、更には搬送ローラの偏芯による搬送速度のふらつき等が生じたりすることにより、記録画像中に筋等の不具合が発生し、記録画像が不均一になる問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、記録媒体の搬送性によらず、記録媒体への高画質画像形成が可能なライン型インクジェットプリンタを提供することを課題とする。
【0007】
本発明の他の課題は、本明細書の以下の記載により明らかとなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、記録媒体の幅相当の長さに複数のノズルが配列され、前記ノズルから記録媒体の記録面へ向けてインクを吐出することにより画像を記録するラインヘッドを備えたライン型インクジェットプリンタであって、前記記録媒体を画像記録位置に停止させてその停止状態を保持しておく保持手段と、前記ラインヘッドをノズル配列方向に対して略直角な方向で且つ前記記録媒体の記録面と平行に往復移動させる移動手段と、前記移動手段により前記ラインヘッドを移動させながら、前記保持手段により停止した状態の記録媒体の記録面上へインクを吐出させることにより記録を行う制御手段とを有することを特徴とするライン型インクジェットプリンタである。
【0009】
このようなライン型インクジェットプリンタでは、記録媒体は画像記録位置に停止した状態で保持され、ラインヘッドを移動させながら記録を行うので、記録媒体の搬送性によらずに画像記録を行うことができるため、高画質の画像が記録できる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記制御手段は、前記移動手段による前記ラインヘッドの往方向と復方向において記録を行うように前記ラインヘッドからのインクの吐出を制御することを特徴とする請求項1記載のライン型インクジェットプリンタである。
【0011】
このようなライン型インクジェットプリンタでは、例えば、往方向にラインヘッドを移動させながら1つの画像を記録し、その戻りの復方向にラインヘッドを移動させながら、別の画像を記録できるので、戻りの時間のロスがなく、記録速度を向上させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記記録媒体の先端位置の外側及び後端位置の外側の双方に、ラインヘッドから予備吐出されたインクを受け入れるインク受けをそれぞれ有することを特徴とする請求項1又は2記載のライン型インクジェットプリンタである。
【0013】
このようなライン型インクジェットプリンタでは、例えば定型状の記録媒体で、往方向で1枚分の画像を記録した後、そのままインク受け位置に移動し、予備吐出をした後、記録媒体を排出し、復方向に移動しながら2枚目の画像を記録し、そのままインク受け位置に移動して予備吐出をした後、再度記録を繰り返すことができるので、画像記録に使用されないノズルがあっても、次の画像記録の前に予備吐出することにより常に目詰まりを防止できる。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記記録媒体の先端位置の外側又は後端位置の外側のいずれかに、ラインヘッドから予備吐出されたインクを受け入れるインク受けを有することを特徴とする請求項1又は2記載のライン型インクジェットプリンタである。
【0015】
このようなライン型インクジェットプリンタでは、ラインヘッドの往方向又は復方向の移動による記録の合間に、インク受けの位置で予備吐出ができるので、目詰まりを防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は本発明に係るライン型インクジェットプリンタの要部斜視図、図2はその構成ブロック図である。
【0018】
図1に示すように、ライン型インクジェットプリンタには、定型状の記録媒体としてのカット紙Psを搬送する第1の搬送手段1と、記録後のカット紙Psを搬送する第2の搬送手段2とが連続して設けられている。
【0019】
第1の搬送手段1は、駆動モータ14(図2参照)により回転駆動される駆動ローラ11と、従動ローラ12と、これら駆動ローラ11と従動ローラ12とに亘って巻回された搬送ベルト13とを有している。また、第2の搬送手段2も、駆動モータ24(図2参照)により回転駆動される駆動ローラ21と、従動ローラ22と、これら駆動ローラ21と従動ローラ22とに亘って巻回された搬送ベルト23とを有している。
【0020】
カット紙Psは、第1の搬送手段1の入口側である従動ローラ12側に積層配置されており、送り出しモータ31(図2参照)により回転駆動される送り出しローラ3によって、一枚ずつ第1の搬送手段1上に載置された状態で矢印A方向へ搬送されるようになっている。
【0021】
上記駆動モータ14、駆動モータ24及び送り出しモータ31は、制御部100によって駆動・停止が制御される。
【0022】
なお、図1においては図示省略されているが、第1の搬送手段1の所定の位置には、搬送ベルト13上のカット紙Psが所定の画像記録位置まで搬送されたことを検出するための位置検出センサ15(図2参照)が配設されており、また、第2の搬送手段2の所定の位置には、第1の搬送手段1の搬送ベルト13上において画像記録が終了したカット紙Psが、第1の搬送手段1の搬送ベルト13上から第2の搬送手段2の搬送ベルト23上まで搬送されたことを検出するための位置検出センサ25(図2参照)が配設されている。
【0023】
この位置検出センサ15、25の検出信号は制御部100に入力されるようになっている。そして、制御部100は、位置検出センサ15の検出信号によってカット紙Psが搬送ベルト13上の所定の画像記録位置まで搬送されてきたことを検知すると、駆動モータ14を停止させて駆動ローラ11の回転を停止させ、搬送ベルト13の駆動を停止させることで、該搬送ベルト13上に載置されたカット紙Psを該搬送ベルト13上における所定の画像記録位置に停止させ、少なくとも上記カット紙Psに対する画像記録が終了するまでの間、その停止状態を保持しておく。
【0024】
なお、搬送ベルト13上に停止して保持されたカット紙Psの表面平滑性を維持するため、図示しないが、カット紙Psを載置している搬送ベルト13を挟んでカット紙Psと反対側に、カット紙Psを平坦に支持するためのプラテンや、カット紙Psを搬送ベルト13上に吸引吸着させるための吸引手段等を設けておくことが好ましい。
【0025】
制御部100は、位置検出センサ25の検出信号によってカット紙Psが第2の搬送ベルト23上まで搬送されてきたことを検知すると、駆動モータ24を駆動させて駆動ローラ21を回転させ、搬送ベルト33を駆動させることで、該搬送ベルト33上の画像記録済みのカット紙Psを矢印C方向に向けて排紙する。
【0026】
第1の搬送手段1の搬送ベルト13上には、ラインヘッド組立体4が配設されている。ラインヘッド組立体4は、第1の搬送手段1によって搬送可能な記録媒体の最大幅に対応する長さに亘って複数のノズルが配列されたラインヘッドを有している。ここでは、Y(イエロー)用ラインヘッド41、M(マゼンタ)用ラインヘッド42、C(シアン)用ラインヘッド43、K(ブラック)用ラインヘッド44の4色のラインヘッドによってカラー画像を記録するラインヘッド組立体4を例示しているが、ラインヘッド組立体4を構成するラインヘッドの数は特に限定されず、4色以外の複数色や、例えばK用ラインヘッドの一色のみであってもよい。また、ラインヘッドのインク吐出方式としては、圧電方式、高電圧方式、気泡破裂型方式等が知られているが、本発明においては特に問わない。
【0027】
このラインヘッド組立体4は、ヘッド移動手段5によって第1の搬送手段1の搬送ベルト13上を、カット紙Psの搬送方向に沿う方向に往復移動可能に構成されている。
【0028】
このヘッド移動手段5は、ラインヘッド組立体4を第1の搬送手段1上においてカット紙Psの搬送方向に沿って移動させる際のガイドをなす第1及び第2のガイドバー51、52と、ラインヘッド組立体4を第1及び第2のガイドバー51、52に沿って移動させるための移動機構53と、この移動機構53を駆動させてラインヘッド組立体4を移動させるためのヘッド移動モータ54とを有して構成される。
【0029】
第1及び第2のガイドバー51、52は、第1の搬送手段1の搬送ベルト13の上面から所定間隔をおいてカット紙Psの搬送方向に沿って平行に並設されている。そして、ラインヘッド組立体4は、その両側部にそれぞれ設けられた穴45、46に、これら第1及び第2のガイドバー51、52が嵌挿されることにより、各ラインヘッド41〜44のノズル配列方向がカット紙Psの搬送方向(矢印A方向)と略直角な方向となると共に、各ラインヘッド41〜44のノズル面が第1の搬送手段1の搬送ベルト13上から所定間隔を置くように支持され、且つこれら第1及び第2のガイドバー51、52に沿って、移動機構53の作動によってカット紙Psの搬送方向に沿う往復移動(矢印A方向及びB方向の移動)が可能とされている。
【0030】
かかるラインヘッド組立体4を往復移動させる移動機構53は、ラインヘッド組立体4を、第1及び第2のガイドバー51、52に沿って一定速度で往復移動させることができるものであれば特に問わない。例えば、図示するように、ラインヘッド組立体4の移動方向に沿うように2つのプーリ531、532を配置し、両端をそれぞれラインヘッド組立体4に取り付けたワイヤ533を、上記各プーリ531、532に架け渡し、一方のプーリ531をヘッド移動モータ54と連結することにより構成することができる。
【0031】
そして、各ラインヘッド41〜44は、画像メモリ101から読み出された画像データに基づいて、制御部100により駆動制御されるヘッドドライバ411、421、431、441により、同じく制御部100により駆動制御されるヘッド移動モータ54によって作動される移動機構53によって移動する過程で、各ラインヘッド41〜44のノズルからのインク吐出が制御され、搬送ベルト13上の所定の画像記録位置に停止された状態のカット紙Psの記録面上に二次画像を形成するようになっている。
【0032】
また、第1の搬送手段1の搬送ベルト13上において画像記録されるカット紙Psの搬送方向に沿う先端位置の外側、すなわち第1の搬送手段1と第2の搬送手段2との間と、第1の搬送手段1の搬送ベルト13上において画像記録されるカット紙Psの搬送方向に沿う後端位置の外側、すなわち第1の搬送手段1と送り出しローラ3との間には、それぞれラインヘッド組立体4の各ラインヘッド41〜44から予備吐出されたインクを受け入れるためのインク受け6、7が設けられており、本発明において好ましい一態様を示している。
【0033】
次に、図3〜図6を用いて、上記構成を有するライン型インクジェットプリンタの動作を説明する。
【0034】
まず最初に、ラインヘッド組立体4は、図3に示すように、第1の搬送手段1の搬送ベルト13上に静止している。
【0035】
制御部100は、画像メモリ101から記録すべき画像データを読み出すと、送り出しモータ31を制御して送り出しローラ3を回転させる。これにより、積層されたカット紙Psの一番上のカット紙Psが第1の搬送手段1の搬送ベルト13上へ送り出される。また、制御部100は駆動モータ14を制御して駆動ローラ11を回転させることにより第1の搬送手段1の搬送ベルト13を駆動させ、搬送ベルト13上のカット紙Psを該搬送ベルト13上における所定の画像記録位置まで搬送する。
【0036】
搬送ベルト13上を搬送されるカット紙Psは、位置検出センサ15(図2参照)によって所定の画像記録位置まで搬送されたことが検出される。制御部100は、位置検出センサ15からの検出信号を受け取ると、駆動モータ14を停止させてカット紙Psの搬送を停止させ、カット紙Psを画像記録位置に停止した状態とし、少なくともこのカット紙Psに対する画像記録が終了するまでの間、この停止状態を保持する。
【0037】
次いで、制御部100はヘッド移動モータ54を制御し、移動機構53によって、ラインヘッド組立体4を、副走査方向であり往方向である矢印B方向へ移動させると共に、各ヘッドドライバ411、421、431、441を制御して、その移動過程において画像データに応じた適切なタイミングでインクを吐出制御することにより、搬送ベルト13上に停止しているカット紙Psの記録面上に二次元画像を形成する。
【0038】
この二次元画像の記録は、カット紙Psが搬送ベルト13上の所定の画像記録位置に停止した状態で行われるため、カット紙Psの搬送性によらずに画像記録を行うことができる。通常、このカット紙Ps等の記録媒体の搬送は、搬送ローラや搬送ベルト等の搬送手段を介して記録媒体に対して間接的に搬送力を作用させることから、すべり等の問題が発生し易い。また、記録時に記録媒体に一定の張力を掛けるために、記録媒体の搬送は、搬送方向上流側と下流側とで記録媒体を挟むようにし、上流側に比べて下流側の搬送速度が若干速くなるように制御していることから、記録媒体の種類によっては搬送中に伸びが発生し易い。このため、記録媒体を搬送させながら画像記録を行うと、記録画像が不均一となり易いのに対し、このようにラインヘッド41〜44を有するラインヘッド組立体4を移動させる場合は、その移動力をラインヘッド組立体4に直接的に作用させることができるため、安定且つ高精度に移動させることができ、これにより高画質の画像が記録できる。
【0039】
1枚のカット紙Psの記録面全面に対する画像記録が終了した後も、制御部100はラインヘッド組立体4をそのまま矢印B方向へ移動させ続け、図4に示すようにインク受け7の位置まで移動させて停止させる。制御部100は、この位置において各ヘッドドライバ411、421、431、441を制御して、各ラインヘッド41〜44の全ノズルから所定数のインクをインク受け7に向けて連続的に吐出することにより予備吐出を行い、ノズルの目詰まりの回復及び吐出の安定化を行う。
【0040】
このように1枚のカット紙Psに対する画像記録が終了するとほぼ同時に、制御部100は駆動モータ14を制御して駆動ローラ11を回転させることにより、第1の搬送手段をA方向に移動させ、搬送ベルト13上の二次元画像が形成されたカット紙Psを第2の搬送手段2の搬送ベルト23上へ搬送する。
【0041】
カット紙Psが第1の搬送手段1から第2の搬送手段2へ搬送されたことは位置検出センサ25(図2参照)によって検出される。この検出信号によって、制御部100は駆動モータ24を制御して駆動ローラ21を回転させ、第2の搬送手段2の搬送ベルト23上のカット紙Psを矢印C方向(図1参照)へ搬送して排紙する。
【0042】
第1の搬送手段1から第2の搬送手段2へのカット紙Psの搬送完了、又は搬送ベルト13上の画像記録済みのカット紙Psの搬送開始とほぼ同時に、制御部100は再び送り出しモータ31を制御して送り出しローラ3を回転させ、上記と同様にして、積層されたカット紙Psの一番上の新たなカット紙Psを第1の搬送手段1の搬送ベルト13上の所定の画像記録位置まで搬送した後、停止させる。
【0043】
そして、制御部100は、図5に示すように、再びヘッド移動モータ54を制御し、ラインヘッド組立体4を、副走査方向であり復方向である矢印A方向へ移動させると共に、各ヘッドドライバ411、421、431、441を制御して、その移動過程において画像データに応じた適切なタイミングでインクを吐出制御することにより、搬送ベルト13上に停止している新たなカット紙Psの記録面上に二次元画像を形成する。
【0044】
この新たな1枚のカット紙Psの記録面全面に対する画像記録が終了した後も、制御部100はラインヘッド組立体4をそのまま矢印A方向へ移動させ続け、図6に示すようにインク受け6の位置まで移動させて停止させる。制御部100は、この位置において各ヘッドドライバ411、421、431、441を制御して、各ラインヘッド41〜44の全ノズルから所定数のインクをインク受け6に向けて連続的に吐出することにより予備吐出を行い、ノズルの目詰まりの回復及び吐出の安定化を行い、次の画像記録に備える。
【0045】
なお、二次元画像が形成された新たなカット紙Psは、上記のように各ラインヘッド41〜44からインク受け7に対して予備吐出が行われる前又は予備吐出が行われた後に、第2の搬送手段2の搬送ベルト23上へ搬送されて排紙される。
【0046】
以降、同様にして、これらの画像記録動作及び予備吐出動作が繰り返される。
【0047】
なお、ここではインク受け6、7の双方が設けられていることにより、ラインヘッド組立体4を往方向に移動させながらカット紙Psに対して1枚分の画像を記録し、そのままインク受け位置まで移動して予備吐出を行った後、再度復方向に移動させながら次の1枚分の画像を記録し、そのままインク受け位置まで移動して予備吐出を行うといった具合に、予備吐出を1画像記録動作毎に繰り返すことができる。従って、その1枚の画像記録中に使用されなかったノズルが存在していても、ラインヘッド組立体4を他端部まで移動させる必要なく、そのままインク受け位置まで移動させることにより、次の画像を記録する前に予備吐出して目詰まりの防止及び吐出の安定化を図ることができるため、常に安定した品質の画像記録を行うことが可能である。
【0048】
このようにインク受け6、7の双方を設けることは、安定した品質の画像記録を行う上で最も好ましい態様であるが、上記インク受け6又は7のいずれか一方のみとして、部品点数の削減化及び省スペース化を図るようにしてもよい。この場合は、ラインヘッド組立体4が往方向又は復方向のいずれかの方向に移動した際に、インク受けの位置までそのまま移動させて予備吐出を行うようにすればよく、画像記録の合間で目詰まりの防止及び吐出の安定化を図ることができる。
【0049】
また、インク受け6及び/又は7は、各ラインヘッド41〜44のノズル面を密閉するキャップ部材を兼用していてもよい。すなわち、画像記録時には上記のようにインク受けとして機能させると共に、プリンタ休止時等、長期間画像記録を行わない場合には、ラインヘッド組立体4をキャップ部材を兼用するインク受け6及び/又は7の位置まで移動させ、そのキャップ部材を兼用するインク受け6及び/又は7によって各ラインヘッド41〜44のノズル面を密閉することで、ノズル面の保護及びインクの蒸発による目詰まりの防止を図ることができる。
【0050】
このようにキャップ部材を兼用する場合のインク受け6及び/又は7は、各ラインヘッド41〜44毎に対応するように分割されていてもよい。
【0051】
インクを吐出することにより画像記録が可能な記録媒体は、紙に限らず、布、ガラス、樹脂シート等多様であるが、本発明は、これらいずれの記録媒体にも適用できる。
【0052】
特に、本発明において、記録媒体が布である場合は、顕著な効果を発揮するために好ましい態様である。すなわち、記録媒体としての布は、図7に示す従来技術のように、搬送方向上流側と下流側とで一定の張力を掛けながら搬送すると、布に伸びが生じる。従来技術によると、布に伸びが生じた状態で固定状のラインヘッドによって画像記録が行われるため、画像記録後に張力が解かれた際、布が元の状態に収縮すると、画像が乱れてしまう問題がある。しかし、本発明によれば、記録媒体として布を使用した場合でも、画像記録時は画像記録位置に停止した状態が保持され、布に伸びが発生するような張力が掛けられて搬送されることがないため、画像乱れのない高画質の画像記録を行うことができる。
【0053】
また、以上の説明では定型状の記録媒体であるカット紙を用いた例を示したが、本発明は何らこれに限定されず、ロール状に巻回されて連続状に繰り出されるロール状記録媒体の場合にも同様に適用できる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、記録媒体の搬送性によらず、記録媒体への高画質画像形成が可能なライン型インクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るライン型インクジェットプリンタの要部斜視図
【図2】本発明に係るライン型インクジェットプリンタの構成ブロック図
【図3】本発明に係るライン型インクジェットプリンタの動作を説明する図
【図4】本発明に係るライン型インクジェットプリンタの動作を説明する図
【図5】本発明に係るライン型インクジェットプリンタの動作を説明する図
【図6】本発明に係るライン型インクジェットプリンタの動作を説明する図
【図7】従来のライン型インクジェットプリンタの要部斜視図
【符号の説明】
1:第1の搬送手段
11:駆動ローラ
12:従動ローラ
13:搬送ベルト
14:駆動モータ
15:位置検出センサ
2:第2の搬送手段
21:駆動ローラ
22:従動ローラ
23:搬送ベルト
24:駆動モータ
25:位置検出センサ
3:送り出しローラ
31:送り出しモータ
4:ラインヘッド組立体
41〜44:ラインヘッド
45、46:穴
411、421、431、441:ヘッドドライバ
5:ヘッド移動手段
51:第1のガイドバー
52:第2のガイドバー
53:移動機構
531、532:プーリ
533:ワイヤ
54:ヘッド移動モータ
6、7:インク受け
Ps:カット紙

Claims (4)

  1. 記録媒体の幅相当の長さに複数のノズルが配列され、前記ノズルから記録媒体の記録面へ向けてインクを吐出することにより画像を記録するラインヘッドを備えたライン型インクジェットプリンタであって、前記記録媒体を画像記録位置に停止させてその停止状態を保持しておく保持手段と、前記ラインヘッドをノズル配列方向に対して略直角な方向で且つ前記記録媒体の記録面と平行に往復移動させる移動手段と、前記移動手段により前記ラインヘッドを移動させながら、前記保持手段により停止した状態の記録媒体の記録面上へインクを吐出させることにより記録を行う制御手段とを有することを特徴とするライン型インクジェットプリンタ。
  2. 前記制御手段は、前記移動手段による前記ラインヘッドの往方向と復方向において記録を行うように前記ラインヘッドからのインクの吐出を制御することを特徴とする請求項1記載のライン型インクジェットプリンタ。
  3. 前記記録媒体の先端位置の外側及び後端位置の外側の双方に、ラインヘッドから予備吐出されたインクを受け入れるインク受けをそれぞれ有することを特徴とする請求項1又は2記載のライン型インクジェットプリンタ。
  4. 前記記録媒体の先端位置の外側又は後端位置の外側のいずれかに、ラインヘッドから予備吐出されたインクを受け入れるインク受けを有することを特徴とする請求項1又は2記載のライン型インクジェットプリンタ。
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