JP2005131873A - インクジェット記録装置、および該装置の制御方法 - Google Patents

インクジェット記録装置、および該装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 インクジェットヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関して、記録ヘッドの吐出状態を良好にするための予備吐出を実行可能な予備吐受け部材が主走査範囲の片側にのみ存在する構成において、印字スループットの低下を最小限に抑えることを目的とする。
【解決手段】 本発明は、記録ヘッドが予備吐出を行わず印字可能な時間の上限として設定される予備吐出周期時間と、前回の予備吐出からの経過時間と、予備吐受け部材の位置から記録媒体上の記録領域の範囲に対する往復に必要な時間とを計時し、この計時した時間に基づき、記録ヘッドを予備吐受け部材の位置まで移動させて予備吐出を行うか否かを判定して制御することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、記録ヘッドから被記録材に対しインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録装置に係り、特に予備吐出手段の為の記録ヘッドの移動方法に関するものである。
記録装置として、インクを吐出するインクジェットヘッド(以下、記録ヘッドともいう)を用い、記録媒体にインク滴を付着させて画像を記録するインクジェット記録装置が一般に知られている。一般的なインクジェット記録装置においては、記録に用いるインクジェットヘッドには複数のインク吐出口が設けられており、このインク吐出口からインク滴が吐出されることによって画像が記録される。また、シリアルスキャン方式のインクジェット記録装置においては、インクジェットヘッドの主走査方向に対する走査と、記録媒体の副走査方向に対する搬送とを繰り返して記録を行うよう構成されており、この構成において、インクジェットヘッドに設けられる複数のインク吐出口は、記録媒体の搬送方向に沿った方向に配列されているのが一般的である。
上述の、シリアルスキャン方式のインクジェット記録装置においては、キャリッジ上に搭載したインク吐出ヘッドを記録媒体の搬送方向(副走査方向)と交差する方向に主走査スキャンし、一主走査分の記録を終了した後に所定量の紙送りを行い、その後に再び停止した記録媒体に対して次の一主走査分の画像を記録するという動作を繰り返すことにより、記録媒体全体に対する記録を行う。
インクジェット記録装置においては、印字品位を良好に維持するために、記録ヘッドから記録とは関係の無い吐出である予備吐出を行って、ノズルの状態を回復させている。この予備吐出は、ノズル内の増粘インク、気泡、混色インク、吐出口近傍のヌレインク、ゴミ等の除去を目的として行われる。予備吐出動作は、記録ヘッドを搭載したキャリッジを印字領域以外の領域の所定位置に設けられた予備吐出位置まで移動して、ノズルから記録に関与しないインク吐出を行うものである。
予備吐出を行うためには、印字領域以外の走査範囲(走査領域)内の予備吐出位置まで記録ヘッドを移動させる必要がある。この記録ヘッド移動動作は印字のための記録ヘッド移動とは別の移動であるため、予備吐出を行わないで印字のみを行う場合と比較すると、スループットが低下する。しかしながら、予備吐出を行わなければ印字品位の維持が困難であるため、所定の時間間隔毎に予備吐出を行う必要がある。したがって、予備吐出のための記録ヘッド移動をスムーズに行えるか否かがスループットに大きく影響する。
ここで、従来技術においては、上記予備吐出動作を所定時間間隔で実行する場合は、実行タイミングを計時するためのタイマーCTを設け、このタイマーCTによって予備吐出実行時点になったと判定された時点で、予備吐出動作が可能な状態かどうかを判別し、実行可能な状態であれば予備吐出動作を行うようにしている。
すなわち、従来技術の場合、印字動作実行中に予備吐出動作の実行タイミングが発生した場合、一走査分の印字動作が終了するまでは予備吐出動作を待機させ、一主走査分の印字動作が終了した後に、予備吐出動作を実行するようにしていた。
この従来技術においては、印字動作実行中に予備吐出動作の実行タイミングが発生した場合、一走査分の印字動作が終了するまでは予備吐出動作を実行することができないため、予備吐出動作のタイミングが設定時間より遅れて実行されることになり、インク吐出ヘッドの状態が悪化して印字品位が低下する可能性があった。
また、従来技術においては、記録媒体への印字動作の後に予備吐出動作を実行する場合、記録媒体への画像形成が終了した時点でインク吐出ヘッドの移動を一旦停止させ、その後に再度加減速動作を行ってインク吐出ヘッドをこの停止位置から予備吐出インク受け上まで移動するようにしているので、動作効率が悪く、印字速度の低下の一因となっていた。
上述の実情を考慮し、予備吐出動作を行う為の駆動制御法が、特許文献1(特開平10−100440号公報)、特許文献2(特開2001−205823号公報)に開示されている。
特許文献1には、記録方法及び記録ヘッドの移動方法として、予備吐出の必要性がある場合、記録媒体への記録の際に印字領域終了後にキャリッジを停止することなく予備吐出位置まで移動する構成が開示されている。
また、特許文献2は、次の予備吐出実行までの時間と、一走査分の印字動作にかかる時間を比較し、印字動作中に予備吐出実行のタイミングが発生する場合は、そのタイミングにかかる印字動作を実行する前に予備吐出動作を実行するよう制御する構成を開示している。
特開平10−100440号公報 特開2001−205823号公報
図2は、従来の記録装置の予備吐出のためのヘッド移動動作を説明する説明図である。図2に示すように、予備吐出位置Yと遠ざかる方向に1行目の印字L1を行って停止した後、逆に、予備吐出位置Yと接近する方向に2行目の印字L2を開始する。この印字L2を印字終了位置まで行い、一旦ヘッドの移動を停止する。この2行目の印字L2の最中に予備吐出が必要と判断された場合、予備吐出位置Yの方向に予備吐出のためだけの移動Y4を行う。予備吐出位置Yまで移動すると予備吐出を実行する。この図の例では、移動Y4は印字には全く関係の無いキャリッジの移動であり、予備吐出のためだけに移動Y4を行うことで僅かではあるがスループットを低下させている。
図3は印字L1の最中に予備吐出が必要と判断された場合である。印字L1を印字終了位置まで行い、予備吐出位置Yの方向に予備吐出のためだけに移動Y3を行う。この場合では移動ヘッド量が最悪の場合であり、スループットを大きく低下させることになる。
また、図4は、前述の特許文献1における予備吐出のためのキャリッジ移動動作の説明図である。前述の図2と同様の印字を行い、L2の最中に予備吐出画必要と判断した場合、印字L2を印字終了位置Eまで行い、ヘッドを停止することなくそのまま予備吐出位置Yの方向に移動Y1を行う。この図の例では、移動Y1は2行目の印字L2のためのヘッド移動の延長として連続的に行われ、印字中に予備吐出のためだけのヘッド移動を一切行うことなく、予備吐出によるスループットの低下を最小限に抑えることが可能としている。
しかし、特許文献1に開示される構成では、図4のL1の最中に予備吐出が必要と判断された場合には、L1の途中から停止位置まで、そしてL2の印字領域全体に渡り、記録ヘッドの限界を超えた状態で記録を行うことを許すことになっている。つまり、スループットの低下を抑えることには成功しているが、若干の印字品質の低下を容認していることになる。
このような特許文献1に対して、前述のように、特許文献2は、次の予備吐出実行までの時間と、一走査分の印字動作にかかる時間を比較し、印字動作中に予備吐出実行のタイミングが発生する場合は、そのタイミングにかかる印字動作を実行する前に予備吐出動作を実行するよう制御する構成を開示している。すなわち、予備吐出が必要と判断する個所は図2、4のL1やL2等の駆動前で、その印字中に記録ヘッドの限界を超えた状態になる場合には、印字終了後もキャリッジを停止することなく予備吐出位置まで駆動させる。しかし、その瞬間から、予備吐出位置にキャリッジを移動するまでの残りの印字領域の間、吐出を許すことになる。さらに、図2、4の様に予備吐出位置が片側に存在する場合で、L2の駆動前に予備吐出が必要と判断した場合の具体的な処理について述べてはいない。提案手法に従うと、L2全体を記録ヘッドの吐出限界を超えた状態で印字を行うことになると考えられる。
この特許文献2についても、スループットの低下を抑える効果を奏するが、若干の印字品質を低下を許しているのである。加えて、予備吐出位置をスキャン領域の両側に設ける形態では、記録ヘッドを予備吐出位置まで移動する為のスペースを確保する為に主走査方向について伸びることになり、記録装置本体が大型化する。また、予備吐出を可能とする為のメカ構成が増えることになり、コストの面においてもデメリットがある。
本発明は、上述の課題に着目してなされたものであり、インクジェットヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関して、記録ヘッドの吐出状態を良好にするための予備吐出を実行可能な位置が主走査範囲の片側にのみ存在する場合において、上述の課題を解決して、記録ヘッドの予備吐出動作を行わず連続して吐出を行える時間間隔を超えることなく印字を行うと共に、印字スループットの低下を最小限に抑えることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、記録ヘッドが予備吐出を行わず印字可能な時間の上限として設定される予備吐出周期時間と、前回の予備吐出からの経過時間と、予備吐出のための予備吐出受け部材から記録媒体上の記録領域の幅が最大となる移動幅の往復に必要な往復移動時間とに基づき、予備吐出を行うタイミングを制御するものである。
その具体的構成は、インクを吐出するインク吐出部を有する記録ヘッドを用い、当該記録ヘッドの主走査方向に沿った往復走査中に前記記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向へ沿って往復走査するキャリッジ駆動手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体に対する記録以外に、前記インク吐出部から予備的にインクを吐出させる予備吐出を行う予備吐出手段と、前記キャリッジ駆動手段による走査範囲内の一方の端部近傍に設けられ、前記記録ヘッドの予備吐出によって吐出されたインクを受ける予備吐受け部材と、前記予備吐出の際に前記キャリッジ駆動手段により前記記録ヘッドを前記予備吐受け部材の位置へ移動させ、前記予備吐出手段により予備吐出を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記記録ヘッドが予備吐出を行わず印字可能な時間の上限として設定される予備吐出周期時間と、前回の予備吐出からの経過時間と、前記予備吐受け部材の位置から記録媒体上の記録領域の範囲が最大となる移動幅の往復に必要な往復移動時間とに基づき、前記記録ヘッドによる記録動作中に、前記予備吐出周期時間から前記往復移動時間を減算した時間間隔が前記経過時間より小さい場合に、前記予備吐出を行うよう制御することを特徴とする。
また、本発明の制御方法は、インクを吐出するインク吐出部を有する記録ヘッドを用い、当該記録ヘッドの主走査方向に沿った往復走査中に前記記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向へ沿って往復走査するキャリッジ駆動手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体に対する記録以外に、前記インク吐出部から予備的にインクを吐出させる予備吐出を行う予備吐出手段と、前記キャリッジ駆動手段による走査範囲内の一方の端部近傍に設けられ、前記記録ヘッドの予備吐出によって吐出されたインクを受ける予備吐受け部材と、を備えるインクジェット記録装置の制御方法において、前記記録ヘッドが予備吐出を行わず印字可能な時間の上限として設定される予備吐出周期時間と、前回の予備吐出からの経過時間と、前記予備吐受け部材の位置から記録媒体上の記録領域の範囲が最大となる移動幅の往復に必要な往復移動時間とを計時する工程と、前記記録ヘッドによる記録動作中に、前記予備吐出周期時間から前記往復移動時間を減算した時間間隔が前記経過時間より小さいか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により、前記予備吐出周期時間から前記往復移動時間を減算した時間間隔が前記経過時間より小さいと判定されたとき、前記キャリッジ駆動手段により前記記録ヘッドを前記予備吐受け部材の位置へ移動させ、前記予備吐出手段により予備吐出を行う予備吐出工程と、からなることを特徴とする。
本発明によれば、インクを吐出する記録ヘッドを走査して記録を行うインクジェット記録装置において、予備吐出を実行せずに走査記録を連続して行う時間間隔を設定して、記録動作中に予備吐出を実行するとともに、スループットの低下を抑えた記録動作が可能となる。
以下、図面を参照してこの発明を実施するための形態を説明する。
図5は本発明を適用可能なインクジェット記録装置を示す概略斜視図である。図5において、キャリッジ100には、インクカートリッジ101が装填されている。インクカートリッジ101は、インクタンクが内蔵されたインク吐出ヘッド(記録ヘッド、あるいは印字ヘッドとも称する)102を備えている。インク吐出ヘッド102には、複数のインク吐出口が、記録媒体である用紙104の搬送方向に沿って配列されている。図5においては装置の斜視図であるため、吐出口については図示していないが、本例においては、吐出口の配列方向と搬送方向とが平行になるよう複数の吐出口が配列されている。インクジェットヘッドにはインクを吐出するための吐出手段が設けられており、この吐出手段の駆動により、複数のインク吐出口を介してインク滴が吐出され、吐出されたインク滴が記録媒体上に付着することで画像が記録される。
インク吐出ヘッド102には、複数個のインク吐出口のそれぞれに連通してインク路が設けられ、それぞれのインク路に対応して吐出手段が設けられている。本例においては、吐出手段として、インク吐出のための熱エネルギーを発生する電気熱変換体が設けられている。この電気熱変換体は、記録データに応じて電気パルスが印加されることによって熱を発生するものであり、本例のインクジェットヘッドは、この熱エネルギーによりインクに膜沸騰を生じさせ、膜沸騰による気泡の成長に伴う圧力を利用して吐出口からインクを吐出させる。
キャリッジ100は、2本のガイド軸105,106に摺動可能に取りつけられており、これらガイド軸105,106に沿って主走査方向にスキャン移動する。キャリッジモータ107の駆動軸に接続されたモータプーリ108とアイドラプーリ109との間に無端状のキャリッジベルト110が巻き掛けられており、このキャリッジベルト110の所定部位にキャリッジ100が固定されている。したがって、キャリッジ100は、キャリッジモータ107が正逆転駆動されることによって、主走査方向に往復スキャンされる。
記録媒体としての印刷用紙104は、給紙トレイ111にセットされた後、キャリッジ100のスキャン方向と直交する副走査方向(矢印B方向)に間欠的に搬送される。用紙104は、図示しない複数対のローラユニットにより挟持され、これらローラユニットによって一定の張力が加えられている。したがって、用紙104は、インク吐出ヘッド102に対する平面性を確保した状態で搬送される。各ローラユニットに対する駆動力は、図示しない用紙搬送モータによって付与される。
このような構成によって、キャリッジ100の移動に伴なうインク吐出ヘッド102によるプリント動作と、用紙104の送り動作を交互に繰り返しながら、用紙104全体にプリントがなされる。
インク吐出ヘッド102の印字のためのスキャン領域の外側、別言すれば最大用紙幅に対応するスキャン領域の外側には、予備吐出のための予備吐出インク受け(インク受容部)10が設けられている。キャリッジ100がこのインク受け10(以下、予備吐受け部材とも称する)上の位置に移動して停止し、その位置で予め設定された所定のドット数分のインク滴を吐出させる予備吐出動作を実行する。
予備吐受け部材10の外側には、キャリッジ100が必要に応じて停止するためのホームポジションがあり、このホームポジションには、インク吐出ヘッド102の吐出口面をキャッピングするキャップ部材112、ヘッド102のフェース面をワイピングするワイピングブレード(図示せず)などを有する回復系ユニットが設けられている。前記キャップ部材112には、廃インクタンクに接続された吸引ポンプ(図示せず)が接続されており、キャップ部材112によって吐出ヘッド102の吐出口面をキャッピングした状態で吸引ポンプを駆動することにより、各吐出口からインクを吸引して吐出口内の目詰まりなどを防止するなどの回復動作を実行する。
図6はインクジェット記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。図6において、1700は記録信号を入力するインターフェース、1701はMPU、1702はMPU1701が実行する制御プログラムを格納するROM、1703は各種データ(上記記録信号やヘッドに供給される記録データ等)を保存しておくDRAMである。また、図中の1704は記録ヘッドに対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インターフェース1700、MPU1701、RAM1703間のデータ転送制御についてもこのゲートアレイ1704が行う。107は記録ヘッドを搬送するためのキャリアモータ、113は記録紙搬送のための搬送モータである。1705は記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ、1706,1707はそれぞれ搬送モータ113、キャリアモータ(キャリッジモータ)107を駆動するためのモータドライバである。
上述した図6の制御回路構成における動作を説明すると、インターフェース1700に記録信号が入るとゲートアレイ1704とMPU1701との間で記録信号がプリント用の記録データに変換される。そして、モータドライバ1706、1707が駆動されると共に、ヘッドドライバ1705に送られた記録データに従って記録ヘッド102が駆動され、記録が行われる。
ここでは、MPU1701が実行する制御プログラムをROM1702に格納するものとしたが、EEPROM等の消去/書き込みが可能な記憶媒体を更に追加して、インクジェット記録装置と接続されたホストコンピュータから制御プログラムを変更できるように構成することもできる。
次に、本発明の第1の実施例として、上述した記録装置の構成における、本発明の特徴的な制御、処理を説明する。
本実施例におけるインクジェット記録装置、およびその制御方法では、記録ヘッドが予備吐出を行わず印字可能な時間の上限として設定される予備吐出周期時間と、前回の予備吐出からの経過時間と、キャリッジの往復移動にかかる時間とを計時し、この計時したそれぞれの時間に基づいて、記録ヘッドを予備吐受け部材まで移動させて予備吐出を行うか否かを判定し、その判定結果に応じて動作を制御する構成を例に挙げて説明する。なお、往復移動時間については、予備吐受け部材の位置から記録媒体上の記録領域の範囲が最大となる移動幅の往復に必要な往復移動時間として計時される。
図1は、図6のような制御回路のインクジェット記録装置(プリンタ)においてプリンタを駆動する場合の、記録動作中に予備吐出動作を行うための制御を示すフローチャート(制御フロー図)である。以下、図1のフローチャートに沿って、記録動作について詳細に説明する。
まず、インターフェース1700から記録信号が入力されることで、印刷の処理が開始される(ステップS1)。次に、ステップS2において、ページ頭(ページの最初の部分)であるか否かが判断される。ここでは、記録媒体104への印字位置が、副走査方向について最初の場合にはページ頭とみなされる。ステップS2においてページ頭であると判定された場合、そのページ頭の印字前には、一般的には記録媒体104の給紙シーケンスが行われている。この間に記録ヘッドを予備吐出位置まで移動して予備吐出を行っておくぶんには、スループットの低下を促すような時間の浪費にはつながらない。ページ頭S2の条件を満たし、記録媒体104へのスキャン領域外のうち、予備吐出位置側に近い位置にある時には、予備吐出位置10まで移動しS8、予備吐出S9を行う。予備吐出終了後、予備吐出を行った時間の計測を行い、前回予備吐出からの経過時間を更新するS10する。予備吐出終了後、印字を行う為に記録ヘッドを主走査方向に移動(キャリッジスキャン、S11)させ印字処理を行う。
予備吐出位置側から遠い位置にあるときには、印字を行う為の所定の駆動開始位置まで記録ヘッドを移動しS7、印字を行う為に記録ヘッドを主走査方向に移動(キャリッジスキャン、S11)させ印字処理を行うことになる。
S2においてページ頭でないと判定された場合には、次印字を行う為の記録ヘッド移動方向の判定を行う(ステップS4における次スキャン方向判定)。この時、非予備吐出位置方向に向かう場合というのが、図4における印字L1方向となる。S4にて非予備吐出位置方向の場合には、前回予備吐出を行った際の時間から、現在までの経過時間を検出し、予備吐出周期時間から往復時間を引いたものについて比較を行う(ステップS5)。予備吐出周期時間は、記録ヘッドが予備吐出なしで一定の画質を維持しながら連続して吐出できる時間間隔として設定される時間である。往復時間は、印字対象の記録媒体の主走査方向での幅から決定される印字最大幅、具体的には記録媒体の主走査方向での幅からインクジェット記録装置の余白最小量を差し引いたもの、についてキャリッジが通過する為に必要な印字領域所要時間に、停止状態から印字領域に到達するまでのキャリッジ加速時間と、印字領域終了地点からキャリッジが停止するまでの減速時間を加算した、キャリッジ1回分の駆動時間を、往方向と復方向の2回分として、2倍したものとなる。従って、この往復時間は印字モードにより異なるキャリッジの駆動目標速度毎に変化する値となる。
続くステップS6では、予備吐出周期時間と往復走査に必要な時間との差が、前の予備吐出からの経過時間よりも短いかを判定し、前の予備吐出からの経過時間よりも短いと判定された場合は、予備吐出位置まで移動を行って予備吐出が実行される(ステップS8、S9)を行うことになる。なお、ステップS6に示す条件を満たさない場合には、次スキャン開始位置まで移動(ステップS7)を行い、印字処理(S11)を行うことになる。S11の印字処理において、印字領域が終了した瞬間(S12)に次の印字データがあるのかどうかの判定S13が行われる。ある場合には、ページ頭判定S2に戻り、前記の判定を繰り返して印字を行うことになる。
ステップS4において、次スキャンが予備吐出位置方向であっても、ステップS5の処理のおいて2回連続であるかどうかを判定し、2回連続で予備吐出位置方向へ駆動する場合には、印字可能時間を超える可能性が考えられるので、S6に進み判定を行うようにする。
ステップS12における印字領域終了時とは、基本的には記録ヘッドが一定速で駆動している状態である。つまり、ステップS12の判定時には記録ヘッドは停止しておらず、次スキャンの印字を行う為に、最適な停止位置まで記録ヘッドを移動させようとしている状態となる。言い換えれば、次スキャンの印字領域しだいで、目標停止位置が自在に変化し、最小限の移動距離で記録ヘッドを動かそうとするものとなる。
また、ステップS12において、印字領域が記録媒体のどの部分であるといった情報は、本実施例では、基本的に次スキャン分しか分からない。そのため、ステップS6の判定において往復時間を求める際には、記録媒体の最大幅を印字する場合を想定して求めることが必要となる。
上記の次スキャン印字の為の移動の延長上に、予備吐出が必要な時には予備吐出位置まで記録ヘッドを移動させる動作を行うことになる。そのため、基本的には、記録ヘッドが停止した後に、予備吐出のためだけに再び動くといったことがなくなることになる。この状態は図4の記録ヘッドの移動状態と合致するものとなり、L2の印字での印字領域が終了した瞬間のEにおいて、次スキャンはL1の方向での印字である時で、かつS6判定を満たす時には、L2の駆動が延長される形で、減速せずにY1の動作が連続して行われ予備吐出位置まで記録ヘッドが移動される。
図1のステップS5の条件を満たした場合で、S6での予備吐出が必要な場合には、記録ヘッドの空スキャン(印字を行わずにスキャンのみを実行する動作)が発生する場合が考えられる。さらに、図7のL5からL6の間でデータ通信の遅れから一時的に印字が止まってしまった場合には、異常処理として、予備吐出位置まで強制的に空スキャンを行うことを加える。図1の制御フローと異常処理を組み合わせることで、記録ヘッドの印字限界を守り、画質を維持するとともに、予備吐出によるスループットの低下を最小限に抑えた印字が可能となる。
図7は記録媒体が複数枚、連続して印字される時に、図1の制御フローによって記録ヘッドの駆動を決定した場合を示したものとなる。記録媒体上の斜線の部分が印字領域となる。記録ヘッドはL3から順にL8までを印字していくものとなる。まず、L3の印字前に、ページ頭で、かつ予備吐出位置側に記録ヘッドが位置することから、予備吐出位置まで移動して予備吐出を行う。この動作は、記録ヘッドの位置までL3がくるまで、記録媒体Aが給紙される間に行われるものであり、スループットへの影響はない。
L4終了時には、S6での判定が行われるが、印字可能とみなされて次スキャン印字動作(L5)が行われている。L5の印字領域終了時には次スキャンL5は記録媒体Bのページ頭であるが、非予備吐出位置側であるために予備吐出は行われない。L5の印字領域終了時において、S6判定の結果予備吐出が必要と判断され、L5の延長として予備吐出位置まで記録ヘッドが移動される。L7の印字前には予備吐出が行われ、L8を印字して予備吐出位置まで戻ってきている。
以上詳述したように、本発明によれば、記録ヘッドの予備吐出動作を行わず連続して吐出を行える時間間隔(予備吐出周期時間)を超えることなく印字を行うとともに、印字スループットの低下を最小限に抑えた印字が可能となる。
本発明のインクジェット記録装置における回復動作の制御を説明するフローチャートである。 従来の記録装置における、予備吐出動作のための記録ヘッド移動例を示す図である。 従来の記録装置において、印字中に予備吐出が必要と判断された場合の記録ヘッドの移動例を示す図である。 従来の記録装置におけるキャリッジ移動動作を説明する図である。 本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略斜視図である。 本発明を適用可能なインクジェット記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例における、記録ヘッドの走査を説明する概念図である。
符号の説明
10 予備吐出インク受け(インク受容部)
100 キャリッジ
101 インクカートリッジ
102 インク吐出ヘッド
104 記録媒体
105 ガイド軸
106 ガイド軸
107 キャリッジモータ
108 モータプーリ
109 アイドラプーリ
110 キャリッジベルト
111 給紙トレイ
1700 インタフェース
1701 MPU
1702 ROM
1703 DRAM
1704 GA
1705 ヘッドドライバ
1706 モータドライバ
1707 モータドライバ

Claims (5)

  1. インクを吐出するインク吐出部を有する記録ヘッドを用い、当該記録ヘッドの主走査方向に沿った往復走査中に前記記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、
    前記記録ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向へ沿って往復走査するキャリッジ駆動手段と、
    前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って記録媒体を搬送する搬送手段と、
    記録媒体に対する記録以外に、前記インク吐出部から予備的にインクを吐出させる予備吐出を行う予備吐出手段と、
    前記キャリッジ駆動手段による走査範囲内の一方の端部近傍に設けられ、前記記録ヘッドの予備吐出によって吐出されたインクを受ける予備吐受け部材と、
    前記予備吐出の際に前記キャリッジ駆動手段により前記記録ヘッドを前記予備吐受け部材の位置へ移動させ、前記予備吐出手段により予備吐出を行う制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記記録ヘッドが予備吐出を行わず印字可能な時間の上限として設定される予備吐出周期時間と、前回の予備吐出からの経過時間と、前記予備吐受け部材の位置から記録媒体上の記録領域の範囲が最大となる移動幅の往復に必要な往復移動時間とに基づき、前記記録ヘッドによる記録動作中に、前記予備吐出周期時間から前記往復移動時間を減算した時間間隔が前記経過時間より小さい場合に、前記予備吐出を行うよう制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記制御手段は、記録媒体に対する記録において、主走査方向への走査中の記録を行う領域に対する走査の終了後から前記キャリッジが停止するまでの間に、前記予備吐出を行うために前記記録ヘッドを移動させるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記制御手段は、キャリッジの次の走査が前記予備吐受け部材の位置から離れる方向に対する走査である場合における主走査方向への走査中の記録を行う領域に対する走査の終了後と、キャリッジの次の走査の方向が前記予備吐受け部材の位置に近づく方向である状態が連続して起きた場合の記録を行う領域に対する走査の終了後に、前記予備吐出のために前記インク受け部材の位置へ前記記録ヘッドを移動させるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記往復移動時間は、キャリッジ走査速度毎に記録媒体の幅から決定される印字最大幅を通過する所要時間と、キャリッジ走査速度に到達するまでの加速時間と、キャリッジが停止するまでの減速時間を加算したものの2倍からなる時間であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  5. インクを吐出するインク吐出部を有する記録ヘッドを用い、当該記録ヘッドの主走査方向に沿った往復走査中に前記記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向へ沿って往復走査するキャリッジ駆動手段と、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体に対する記録以外に、前記インク吐出部から予備的にインクを吐出させる予備吐出を行う予備吐出手段と、前記キャリッジ駆動手段による走査範囲内の一方の端部近傍に設けられ、前記記録ヘッドの予備吐出によって吐出されたインクを受ける予備吐受け部材と、を備えるインクジェット記録装置の制御方法において、
    前記記録ヘッドが予備吐出を行わず印字可能な時間の上限として設定される予備吐出周期時間と、前回の予備吐出からの経過時間と、前記予備吐受け部材の位置から記録媒体上の記録領域の範囲が最大となる移動幅の往復に必要な往復移動時間とを計時する工程と、
    前記記録ヘッドによる記録動作中に、前記予備吐出周期時間から前記往復移動時間を減算した時間間隔が前記経過時間より小さいか否かを判定する判定工程と、
    前記判定工程により、前記予備吐出周期時間から前記往復移動時間を減算した時間間隔が前記経過時間より小さいと判定されたとき、前記キャリッジ駆動手段により前記記録ヘッドを前記予備吐受け部材の位置へ移動させ、前記予備吐出手段により予備吐出を行う予備吐出工程と、
    からなることを特徴とする制御方法。
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