JP2005008867A - マスターバッチおよび酸素吸収性成形体の製造方法 - Google Patents

マスターバッチおよび酸素吸収性成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素吸収性能に優れた酸素吸収性成形体の製造に適した、成形加工性に優れたマスターバッチ、および、該マスターバッチを利用した酸素吸収性成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】金属化合物(B)、および被酸化性ポリアミド(A)と溶融混合することで反応しうる内部結合および/または反応性官能基を有し、かつ、常温大気下において金属化合物(B)により酸化が促進されない反応性熱可塑性樹脂(C)とを含有するマスターバッチ、および該マスターバッチを利用した酸素吸収性成形体。
【選択図】 無

Description

本発明は、酸素バリア性に優れた酸素吸収性成形体を製造するための、加工性に優れたマスターバッチ、および、該マスターバッチを利用した酸素吸収性成形体の製造方法に関する。
外部からの酸素の侵入を遮断し、内容物の保存性に優れる包装容器として従来使用されていた金属缶やガラス瓶は、加工性やコストの面から酸素バリア性熱可塑性樹脂を利用したプラスチック製の包装容器への代替がすすめられている。酸素バリア性熱可塑性樹脂としては、酸素や炭酸ガス等のガス状物質に対して低い透過性を有し、かつ加工が容易であり、更に透明で機械的な強度が十分であることから、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体やメタキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分とアジピン酸を主成分とするジカルボン酸成分との重縮合反応から得られるポリアミド(以下ナイロンMXD6と略する)が広く利用されている。しかしながら金属やガラスで構成された包装容器が容器外部から容器内部へのガス透過が実質的にゼロであるのに対して、酸素バリア性熱可塑性樹脂を利用して構成された包装容器の場合は容器外部から容器内部へのガス透過が無視できないレベルで生じ、かつ包装容器が保存される環境によってはガス透過量が増大する傾向があるため、従来の金属缶やガラス瓶と比較して内容物の長期保存性については課題があった。
近年、ポリブタジエンやポリイソプレン等の不飽和炭素結合を有する熱可塑性樹脂やナイロンMXD6にコバルト化合物を添加した組成物や、ポリアミドやポリエチレンテレフタレート等とポリブタジエンやポリイソプレン等の不飽和炭素結合を有する熱可塑性樹脂の混合物にコバルト化合物を添加した組成物、あるいはポリエチレンテレフタレートの分子鎖に不飽和炭素結合を導入した変性樹脂にコバルト化合物を添加した組成物が、酸素吸収機能を発現することが見出され、これを利用した包装容器が実用化されつつある。これらを利用した包装容器は外部から透過してくる酸素が酸素吸収機能を有する熱可塑性樹脂に吸収されるため、見た目上外部からの酸素透過量を大幅に減らすことができ、しかも内部に残存する酸素も酸素吸収機能を有する熱可塑性樹脂が吸収してしまうため、内容物の酸化劣化を長期間にわたって防止でき、従来以上に内容物の保存性を高めることができる。
上述のような酸素吸収機能を有する熱可塑性樹脂組成物の製造において、熱可塑性樹脂に対して遷移金属化合物を添加する方法については種々の方法が提案されている。例えば、被酸化性を有する熱可塑性樹脂であるナイロンMXD6を含む熱可塑性樹脂ペレットと遷移金属化合物を含む溶液を混合、または還流した後に溶媒を揮発させることで熱可塑性樹脂ペレットに遷移金属化合物を付着させて酸素吸収性樹脂組成物を得る方法が開示されている(特許文献1、特許文献2参照。)。しかしながら、本方法では酸素吸収性樹脂組成物を得るために溶媒を揮発させる乾燥工程が必要となり、しかもその作業には危険が伴うため、溶媒を除去するためには特別な乾燥装置が必要となる。さらにこの乾燥工程を完結するには長い時間を要するため、結果としてコストが高くなる欠点を有する。また本方法では乾燥のために遷移金属化合物が付着した熱可塑性樹脂ペレットを長時間加熱するため、乾燥中に遷移金属化合物によるナイロンMXD6の酸化反応が進行するため、ナイロンMXD6の分子量は低下し、酸素吸収性樹脂組成物の溶融粘度が低下する可能性がある。このようになると次の工程となる各種成形加工において、成形不良等の悪影響を及ぼす恐れがある。
また、別の方法として、ナイロンMXD6を含む熱可塑性樹脂ペレットと遷移金属化合物を混合後、押し出し機等を用いて溶融混練してストランドを押し出し、ペレット化して酸素吸収性樹脂組成物を得る方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、本方法ではナイロンMXD6を含む熱可塑性樹脂が溶融した状態で金属化合物と混練するため、混練中にナイロンMXD6の酸化による分子量低下が進行するために得られた酸素吸収性樹脂組成物の溶融粘度は低下する傾向にあり、さらに溶融混練条件によっては、ナイロンMXD6の分子量低下がより大きくなって酸素吸収性樹脂組成物の溶融粘度は大きく低下する傾向にある。この酸素吸収性樹脂組成物を次の工程である成形加工に供すると、溶融粘度のばらつきが原因で成形不良等の悪影響を及ぼす恐れがある。
さらに、上述の方法に限らず、被酸化性を有する熱可塑性樹脂中に遷移金属化合物を溶融混合して得た酸素吸収性樹脂組成物を利用して成形品を得る方法においては、その加工時に被酸化性を有する熱可塑性樹脂の酸化劣化は必ず起こり、製品の成形加工性に悪影響を及ぼす。また被酸化性を有する熱可塑性樹脂中に遷移金属化合物を溶融混合して得た酸素吸収性樹脂組成物は酸素が存在する雰囲気下、例えば空気中に放置しておくと酸素吸収性樹脂組成物が酸素を吸収して、分子量低下し続ける性質を持つため、成形加工を行う前まで酸素吸収性樹脂組成物の保管は極力酸素に触れないようにするよう配慮する必要があった。
特表平2−500846号公報 特表平3−505888号公報 特表平11−514385号公報
本発明の目的は、上記の課題を解消し、酸素吸収性能に優れた酸素吸収性成形体の製造に適した、成形加工性に優れたマスターバッチ、および、該マスターバッチを利用した酸素吸収性成形体の製造方法を提供することである。
本発明者らは上記の課題の解決方法について鋭意検討した結果、金属化合物(B)および被酸化性ポリアミド(A)と溶融混合することで反応しうる内部結合および/または反応性官能基を有し、かつ、常温大気下において金属化合物(B)により酸化が促進されない反応性熱可塑性樹脂(C)とを含有するマスターバッチは、ナイロンMXD6等の被酸化性ポリアミド(A)と溶融混合して酸素吸収性成形体に加工するまでに長期間保存しても、金属化合物(B)による反応性熱可塑性樹脂(C)の酸化劣化がなく、その物性は長期保存しても変化しないため、酸素吸収性成形体製造時の成形加工性を安定させることができることを見出した。また、被酸化性ポリアミド(A)と反応性熱可塑性樹脂(C)は良好な親和性を有するので、被酸化性ポリアミド(A)とマスターバッチを溶融混合するだけで金属化合物(B)が被酸化性ポリアミド(A)の酸化触媒として十分機能することを見い出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成された。
すなわち、本発明は、金属化合物(B)および反応性熱可塑性樹脂(C)の少なくとも2成分からなるマスターバッチであって、
該金属化合物(B)は、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅および亜鉛からなる群より選択された一種以上の金属原子を含み、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られる被酸化性ポリアミド(A)の酸化促進剤となる金属化合物であり;
該反応性熱可塑性樹脂(C)は、被酸化性ポリアミド(A)のアミド結合および/または反応性官能基と溶融混合時に反応しうる、内部結合および/または反応性官能基を有し、かつ常温大気下において金属化合物(B)により酸化が促進されない熱可塑性樹脂であり;
マスターバッチに対する金属化合物(B)の濃度が、金属原子濃度として0.01〜5重量%であることを特徴とするマスターバッチに関する。
また、本発明は、上記のマスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)を溶融混合する工程を含む酸素吸収性成形体の製造方法に関する。
さらに、本発明は、上記のマスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)からなる樹脂組成物を成形してなる酸素吸収性成形体に関する。
本発明の方法によれば、金属化合物を含有した樹脂ペレットの保存状態によらず安定した成形加工性を有するマスターバッチを容易かつ安価に製造することができる。該マスターバッチを成形することにより、優れた酸素吸収能力を持つ成形体を得ることができる。
以下に本発明について詳しく説明する。
本発明で用いられる金属化合物(B)は、被酸化性ポリアミド(A)に酸素吸収機能を付与する触媒として働く役割を有する。金属化合物(B)は、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅および亜鉛からなる群より選択された一種以上の金属原子を含む。酸素吸収性成形体中において、これらの金属原子を含む化合物が被酸化性ポリアミド(A)の酸化反応の触媒作用が高く、好ましい。より好ましくはコバルト、ロジウム、鉄および/または銅を含む金属化合物が用いられる。
本発明で用いられる金属化合物(B)は、上述の金属を含む低価数の酸化物、無機酸塩、有機酸塩または錯塩の形で使用される。無機酸塩としては、塩化物や臭化物等のハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等が挙げられる。また、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステル等との遷移金属錯体も利用することができる。特に本発明では酸素吸収機能が良好に発現することから、上記金属原子を含むカルボン酸塩、炭酸塩、アセチルアセトネート錯体、酸化物およびハロゲン化物から選ばれる一種以上を使用することが好ましく、ネオデカン酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩およびアセチルアセトネート錯体から選ばれる一種以上を使用することがより好ましい。
本発明で使用される被酸化性ポリアミド(A)は、金属化合物(B)の存在下で酸素吸収機能を発現する性質を有するポリアミドであり、かつ本発明の酸素吸収性成形体の重要な機能であるガスバリア性を有する。具体的にはメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである。ジアミン成分としては、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上含むことがより好ましい。また、ジカルボン酸成分としては、アジピン酸を50モル%以上含むものが好ましく、70モル%以上含むことがより好ましい。ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、それから得られるポリアミド樹脂は優れたガスバリア性を発現することができる。また、ジカルボン酸成分中のアジピン酸が50モル%以上であると、ガスバリア性の低下等を避けることができる。なお、被酸化性ポリアミド(A)はメタキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、アジピン酸を主成分とするジカルボン酸成分とを重縮合させて得られたものであるが、その他の成分として、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が共重合されているものでも良く、炭素−炭素二重結合が分子中に導入されたものでも良い。また、ポリマー末端に存在するアミノ基やカルボキシル基と反応しうる化合物を添加、反応させて、ポリマー鎖にアミノ基、カルボキシル基、水酸基等の反応性を有する官能基を導入しても良い。
被酸化性ポリアミド(A)を成形加工するには適当な分子量を有することが必要であり、分子量の目安としては相対粘度を用いることができる。被酸化性ポリアミド(A)の相対粘度は、1.5〜4.2が好ましく、1.8〜4.0がより好ましく、2.0〜3.7のものが更に好ましい。被酸化性ポリアミド(A)の相対粘度が上記範囲内であれば、各種加工が行いやすい利点を有する。ここで言う相対粘度は、樹脂1gを96%硫酸100cc(1dl)に溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて測定した25℃での落下時間(t)と同様に測定した96%硫酸そのものでの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=(t)/(t0)
被酸化性ポリアミド(A)には、クレイ、マイカ、ガラス繊維、ゼオライト等の充填剤が加えられたものであってもよい。特に、層状珪酸塩を微分散させた状態で利用することで、得られた成形品は酸素吸収機能を保持したまま、強度やガスバリア性能に優れたものとすることができるため、好ましく利用される。また、本発明の効果を損なわない範囲で上記の充填剤以外に、顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤等を加えることもできるが、以上に示したものに限定されることなく、本発明で使用される被酸化性ポリアミド(A)には種々の材料を混合することができる。
本発明で用いられる反応性熱可塑性樹脂(C)は、被酸化性ポリアミド(A)と溶融混合した際に、被酸化性ポリアミド(A)のアミド結合および/または反応性官能基と反応しうる、内部結合および/または反応性官能基を有し、被酸化性ポリアミド(A)の酸化を促進する金属化合物(B)を混合しても常温、大気下において酸化が促進されないものが用いられる。反応性熱可塑性樹脂(C)が有する内部結合および/または反応性官能基としては、アミド結合、カルボキシル基、アミノ基、水酸基のうちの一種以上が好ましい。被酸化性ポリアミド(A)は、少なくともアミド結合、カルボキシル基あるいはアミノ基を有しているので、反応性熱可塑性樹脂(C)が上記内部結合もしくは反応性官能基を有していれば、被酸化性ポリアミド(A)との間でアミド交換反応や、カルボキシル基とアミノ基、或いはカルボキシル基と水酸基の縮合反応が起こり、被酸化性ポリアミド(A)と反応性熱可塑性樹脂(C)の親和性が増し、反応性熱可塑性樹脂(C)中の金属化合物(B)による被酸化性ポリアミド(A)の酸素吸収機能が良好に発現する。また、被酸化性ポリアミド(A)と反応性熱可塑性樹脂(C)の親和性が増す傾向にあると、これを利用して得られる酸素吸収性成形体は良好な透明性を保持することができるので、優れた外観を有するものとすることができる。
本発明で用いる反応性熱可塑性樹脂(C)としては、分子内にアミド結合、カルボキシル基、アミノ基、水酸基の1種以上を有するポリアミドまたはその変性品が好ましく用いられる。また反応性熱可塑性樹脂(C)は分子内にメタキシリレン基を持たないポリアミド樹脂であることが好ましい。反応性熱可塑性樹脂(C)がメタキシリレン基を分子中に有する場合、金属化合物(B)を反応性熱可塑性樹脂(C)に混合した時点で反応性熱可塑性樹脂(C)が酸化する可能性があるため好ましくない。上記の条件を満たすものであれば、本発明の反応性熱可塑性樹脂(C)として使用できるが、これらの条件を満たすもので一般的な熱可塑性樹脂としてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン666、ナイロン6I/6T等の非晶性ポリアミド等が例示でき、加工安定性や被酸化性ポリアミド(A)との反応性、ガスバリア性の低下が小さいこと等から、特にナイロン6、ナイロン6I/6Tが好ましい。
反応性熱可塑性樹脂(C)は、クレイ、マイカ、ガラス繊維、ゼオライト等の充填剤が加えられたものであってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で上記の充填剤以外に、顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤等の充填剤を加えることもできるが、以上に示したものに限定されることなく、本発明で使用される反応性熱可塑性樹脂(C)には種々の材料を混合することができる。
本発明では反応性熱可塑性樹脂(C)に金属化合物(B)を含有させたマスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)と溶融混合し、成形して酸素吸収性成形体を得る。本発明において重要な点は通常樹脂材料が保管されるような条件、例えば常温、大気下において金属化合物(B)による酸化を受けない性質を持つ反応性熱可塑性樹脂(C)に金属化合物(B)を含有したマスターバッチを予め製造しておき、酸素吸収性成形体を製造する際にこれと被酸化性ポリアミドを溶融混合することにある。従来から行われていた被酸化性ポリアミド(A)に金属化合物(B)を含有させた樹脂組成物を成形加工に供する方法では、樹脂組成物を製造した時点、あるいは製造後から一定時間経過後に被酸化性ポリアミド(A)の酸化反応が生起するため、被酸化性ポリアミド(A)に金属化合物(B)を含有させた樹脂組成物を成形加工に供するまでの間、これが極力酸素に触れないように保管する、またはできるだけ低温下に保存して反応速度を低下させて保管する等、様々な注意を要していたが、本発明の方法によれば上述の注意を要しなくなり、工業的な実施を行う際に様々な利点を発揮するからである。例えば被酸化性ポリアミド(A)や反応性熱可塑性樹脂(C)の成形加工性が変化することが無いので、酸素吸収性成形体を製造する際に製造条件をその都度変更する必要は無く、安定に連続生産が可能となる。もし被酸化性ポリアミド(A)に金属化合物(B)が含有されている樹脂組成物を成形加工に供すると、樹脂組成物のそれまでの保存履歴等により溶融粘度の低下などが懸念されるため、予めその挙動を調査する手間がかかったり、保存履歴の異なるロットを切り替えて使用するときは製造条件を変更しなければ安定した性状の製品を得られなかったりすることがある。
本発明のマスターバッチにおいて、金属化合物(B)の濃度は金属原子濃度として0.01〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.02〜4重量%であり、更に好ましくは0.03〜3重量%である。金属原子濃度が0.01重量%よりも低い場合、マスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)とを溶融混合して得られる成形体が十分な酸素吸収能力を発揮できない場合がある。金属原子濃度が5重量%を超える場合、金属化合物(B)と反応性熱可塑性樹脂(C)からマスターバッチを製造することが困難となる場合があったり、また均一な性状を持つものを製造できなくなることがあるため、マスターバッチを使用して得られる酸素吸収性成形体の性能がばらつく等の不都合を生じることがある。
次に本発明におけるマスターバッチおよび酸素吸収性成形体の製造方法について説明する。本発明では、まず金属化合物(B)と反応性熱可塑性樹脂(C)とをT+5℃〜T+100℃(ただし、Tは、反応性熱可塑性樹脂(C)の融点もしくは軟化点のうち最も高い温度を表す)の温度で0.5〜10分間溶融混合してマスターバッチを得る。溶融混合の方法としては、単軸、または二軸押出機による溶融混練、ニーダーを使用した溶融混練等、公知の方法を適用することができる。マスターバッチはペレットや粉体等、被酸化性ポリアミド(A)と混合しやすい形態に加工しておくことが好ましい。なお、本発明の効果を十分に得るためには、マスターバッチは被酸化性ポリアミド(A)を含まないことが好ましい。
次に、マスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)を溶融混合して酸素吸収性成形体を製造する。製造装置としては、公知の各種成形装置を使用することができる。例えば、1台以上の溶融混練装置が設けられた成形装置を用い、そのうち少なくとも1台の溶融混練装置において、マスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)を乾式混合したものを供給したり、マスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)を各々供給機を用いて定量供給した後溶融混練し、各種形状の成形体、例えばフィルム、シート、チューブ、パリソン等の包装容器の前駆体となる成形体や、ボトル、カップ等の包装容器に加工することができる。なお、フィルム、シート、チューブ、パリソン等の包装容器の前駆体は、ヒートシールや熱成形、ブロー成形によってパウチ、トレイ、カップ、ボトル等の包装容器に加工することができる。成形体はマスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)からなる層(酸素吸収性層)のみにより構成されていても良いし、酸素吸収性層の少なくとも一方の面に酸素吸収機能を持たない熱可塑性樹脂層、例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン666、ナイロン610、ナイロン6T等のナイロンMXD6以外のポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー等の各種熱可塑性樹脂からなる層およびこれらの混合物の層が積層された多層構造であっても良い。多層構造を持つ成形体においては酸素吸収性層は1層でも良いし、2層以上が積層された構造であっても良い。
酸素吸収性成形体におけるマスターバッチの混合割合は、酸素吸収性成形体中の被酸化性ポリアミド(A)、金属化合物(B)および反応性熱可塑性樹脂(C)の総量に対して、1〜90重量%が好ましく、より好ましくは2〜85重量%、さらに好ましくは3〜80重量%である。マスターバッチの重量比が1重量%より低い場合、マスターバッチの分散むらが生じて金属化合物(B)が局所的に被酸化性ポリアミド(A)中に存在する状態になるため、成形体が十分な酸素吸収能力を発揮できなくなる場合がある。またマスターバッチの重量比が90重量%より多いと、被酸化性ポリアミドの量が少なすぎて成形体は十分な酸素吸収能力を発揮できない場合があり、かつ被酸化性ポリアミド(A)の特徴である高い酸素バリア性が損なわれることがある。
本発明において、酸素吸収性成形体製造のために被酸化性ポリアミド(A)とマスターバッチを溶融混合する際の溶融混練温度K(℃)は、好ましくはTmh+5≦K≦Tmh+60、より好ましくはTmh+10≦K≦Tmh+50、さらに好ましくはTmh+15≦K≦Tmh+40を満たすように設定する(式中、Tmhは、被酸化性ポリアミド(A)と反応性熱可塑性樹脂(C)それぞれの融点もしくは軟化点(非晶性ポリアミド等、融点が観測されない場合は軟化点)のうち最も高い温度をあらわす)。
溶融混練温度K(℃)がTmh+5よりも低い場合、被酸化性ポリアミド(A)と反応性熱可塑性樹脂(C)の間で生じる化学反応が起こりにくくなり、親和性が上がらず、金属化合物(B)による被酸化性ポリアミド(A)の酸素吸収反応速度が低下して得られる成形体の酸素吸収能力が十分でなくなる場合がある。また加工温度KがTmh+60より大きいと、被酸化性ポリアミド(A)や反応性熱可塑性樹脂(C)の熱劣化が進行してしまうため好ましくない。
本発明においては、上述の加工温度以外に溶融混練時間をできるだけ長く取ることも被酸化性ポリアミド(A)と反応性熱可塑性樹脂(C)の間で生じる化学反応を促進することにおいて有効な手段として挙げられるが、場合によっては熱劣化を伴うため、目的とする成形品の形状、構成、装置の形状、加工温度、樹脂の酸化劣化等を考慮して適宜決定することが好ましい。溶融混練時間は、通常、0.5〜15分が好ましい。
酸素吸収性成形体には、被酸化性ポリアミド(A)、金属化合物(B)、反応性熱可塑性樹脂(C)以外に他の熱可塑性樹脂や添加剤、フィラー等が含まれていても良い。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン666、ナイロン610、ナイロン6T等のナイロンMXD6以外のポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー等の各種ポリマー、顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤を加えることもできる。
特に本発明においては、酸素吸収性成形体中にリン原子を含む化合物が含まれていることが好ましい。リン化合物は、例えば被酸化性ポリアミド(A)の溶融成形時の加工安定性を高めたり、着色を防止するために添加されることがあるが、本発明では被酸化性ポリアミド(A)とマスターバッチと混合した時に、被酸化性ポリアミド(A)のアミド結合および/または反応性官能基と反応性熱可塑性樹脂(C)の内部結合および/または反応性官能基の反応を促進する役割を持つ。リン化合物は被酸化性ポリアミド(A)および/または反応性熱可塑性樹脂(C)に予め添加されていても良く、あるいは被酸化性ポリアミド(A)とマスターバッチを溶融混合する際に添加しても良い。リン化合物としては上述の機能を発現できる公知の物質を限定することなく使用できるが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むリン化合物が好適に使用され、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等のリン酸塩、次亜リン酸塩、亜リン酸塩が挙げられる。本発明においては、リン化合物としてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の次亜リン酸塩を使用したものが好ましく用いられる。酸素吸収性成形体中のリン原子濃度は、酸素吸収性成形体中の被酸化性ポリアミド(A)、金属化合物(B)および反応性熱可塑性樹脂(C)の総量に対して、1〜500ppmであることが好ましく、5〜400ppmがより好ましい。リン原子濃度が500ppmを越えても被酸化性ポリアミド(A)とマスターバッチとを混合した時に、被酸化性ポリアミド(A)の分子内におけるアミド結合および/または反応性官能基と反応性熱可塑性樹脂(C)の分子内結合および/または反応性官能基の反応を促進する効果に変化は無く、むしろ本発明の方法によって得られる酸素吸収性成形体の酸素吸収機能を遅延してしまうことがあるので好ましくない。リン原子濃度が1ppmより小さいと前記反応を促進する効果が得られない。
本発明の方法により得られたマスターバッチは、包装材料、包装容器などの各種形状の酸素吸収性成形体に成形される。前記包装容器には液体系食品、高水分食品、低水分食品、農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体およびペースト状の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、様々な物品を収納、保存することができる。液体系食品としては、炭酸飲料、ジュース、水、牛乳、日本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料;調味液、ソース、醤油、ドレッシング、液体だし、マヨネーズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味料;ジャム、クリーム、チョコレートペースト等のペースト状食品;液体スープ、煮物、漬物、シチュー等の液体加工食品などが挙げられ、高水分食品としては、そば、うどん、ラーメン等の生麺およびゆで麺;精米、調湿米、無洗米等の調理前または調理された炊飯米;五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類;粉末スープ、だしの素等の粉末調味料等が挙げられ、低水分食品としては、乾燥野菜、コーヒー豆、コーヒー粉、お茶、穀物を原料としたお菓子等が挙げられる。
以下に本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、本実施例および比較例で採用した評価法は以下の通りである。
(1)マスターバッチの酸素吸収能力測定
マスターバッチ20gと十分に水を含ませた脱脂綿を、アルミ箔を積層した三方シール袋に入れ、袋内の空気が600mlとなるようにしてヒートシールにより密封し、23℃の恒温室内に保管した。その後、シリンジを用いて保管容器内のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにて袋内の残存酸素濃度を測定し、酸素吸収量を算出した。
(2)フィルムの酸素吸収能力測定
10cm×10cmの正方形に裁断したフィルム1枚と十分に水を含ませた脱脂綿を、アルミ箔を積層した三方シール袋に入れ、袋内の空気が400mlとなるようにしてヒートシールにより密封し、40℃の恒温槽内に1ヶ月間保管した。その後、シリンジを用いて保管容器内のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにて袋内の残存酸素濃度を測定し、フィルム100cm当たりの酸素吸収量を算出した。
<実施例1>
ナイロン6(融点;220℃)とステアリン酸コバルトを97.9:2.1(重量%)の割合でドライブレンドした後、ストランドダイを備えたスクリュー径35mmφの同方向回転型二軸押出機に前記混合物を供給して、押出機温度240℃で溶融混練を行い、ストランドダイからストランドを押し出し、空冷した後ペレタイザーでペレット化してコバルト金属原子濃度が0.2重量%のマスターバッチ1を得た。この金マスターバッチ1について酸素吸収能力の測定を行ったところ、マスターバッチ1は酸素吸収能力を持たないことを認めた。結果を表1に示す。
<実施例2>
ナイロン6の代わりにナイロン6I/6T(融点;観測されず、ビカット軟化点;131℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコバルト金属原子濃度が0.2重量%のマスターバッチ2を得た。このマスターバッチ2について酸素吸収能力の測定を行ったところ、マスターバッチ2は酸素吸収能力を持たないことを認めた。結果を表1に示す。
<比較例1>
ナイロン6の代わりにナイロンMXD6(融点;240℃)を用い、押出機温度を260℃としたこと以外は実施例1と同様にしてコバルト金属原子濃度が0.2重量%のマスターバッチ3を得た。このマスターバッチ3について酸素吸収能力の測定を行ったところ、マスターバッチ3は酸素吸収能力を持つことを認めた。結果を表1に示す。
<比較例2>
ナイロン6の代わりにポリエチレン(融点;110℃)を用い、押出機温度を190℃としたこと以外は実施例1と同様にして、コバルト金属原子濃度が0.2重量%のマスターバッチ4を得た。このマスターバッチ4について酸素吸収能力の測定を行ったところ、マスターバッチ4は酸素吸収能力を持たないことを認めた。結果を表1に示す。
<実施例3>
ナイロン6(融点;220℃)とステアリン酸コバルトを99.5:0.5(重量%)の割合でドライブレンドしたこと以外は実施例1と同様にしてコバルト金属原子濃度が0.05重量%のマスターバッチ5を得た。このマスターバッチ5について酸素吸収能力の測定を行ったところ、マスターバッチ5は酸素吸収能力を持たないことを認めた。結果を表1に示す。
<実施例4>
ナイロン6I/6Tとステアリン酸コバルトを79:21(重量%)の割合でドライブレンドしたこと以外は実施例2と同様にして、コバルト金属原子濃度が2重量%のマスターバッチ6を得た。このマスターバッチ6について酸素吸収能力の測定を行ったところ、マスターバッチ6は酸素吸収能力を持たないことを認めた。結果を表1に示す。
Figure 2005008867
<実施例5>
ナイロンMXD6(融点;240℃、次亜リン酸ソーダ配合品、リン原子濃度;350ppm)と、製造直後のマスターバッチ1を80:20(重量%)の割合でタンブラーでドライブレンドし、これをTダイ、冷却ロール、引き取り機等が設けられたスクリュー径25mmφの単軸押出機のホッパーに投入し、押出機温度280℃で溶融混練後、フィルム化してコバルト金属原子濃度が約400ppm、厚さ50μmの単層フィルムを得た。なおこのフィルムは透明性に優れたものであった。またポリエチレン袋内で23℃の恒温室内に180日間保存したマスターバッチ1を使用して、上記と同様の方法で単層フィルムを得た。なおこのフィルムは透明性に優れたものであった。次いで上記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<実施例6>
ナイロンMXD6とマスターバッチ1を90:10(重量部)の割合で混合したこと以外は実施例5と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<実施例7>
メタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸を100/95/5のモル比で重縮合して得たナイロンMXD6/MXDI(融点;232℃、次亜リン酸ソーダ配合品、リン原子濃度;100ppm)をナイロンMXD6の代わりに使用したこと以外は実施例5と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<実施例8>
マスターバッチ1の代わりにマスターバッチ2を用いたこと以外は実施例5と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<実施例9>
マスターバッチ2と混合するナイロンMXD6のリン原子濃度が150ppmであること以外は実施例8と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<実施例10>
マスターバッチ2と混合するナイロンMXD6のリン原子濃度が10ppmであること以外は実施例8と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<実施例11>
マスターバッチ2と混合するナイロンMXD6のリン原子濃度が500ppmであること以外は実施例8と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<比較例3>
マスターバッチ1の代わりにマスターバッチ3を用いたこと以外は実施例5と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<比較例4>
ナイロンMXD6とマスターバッチ1を96:4(重量%)の割合で混合したこと以外は実施例5と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<比較例5>
マスターバッチ1の代わりにマスターバッチ4を用いたこと以外は実施例5と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも白濁し透明性に劣るものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<比較例6>
ナイロンMXD6とマスターバッチ5を5:95(重量%)の割合で混合したこと以外は実施例5と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
<比較例7>
ナイロンMXD6とマスターバッチ6を99.5:0.5(重量%)の割合で混合したこと以外は実施例5と同様にして2種類の単層フィルムを得た。いずれの単層フィルムも透明性に優れたものであった。次いで前記2種類の単層フィルムについて酸素吸収能力の測定を行った。単層フィルムの詳細を表2に、酸素吸収量測定結果を表3に示す。
Figure 2005008867
Figure 2005008867
上記の実施例から本発明の方法により得られる成形物はマスターバッチの保存状態によらず優れた酸素吸収能力を発揮することができる。一方、マスターバッチ3を使用した場合、成形体の酸素吸収能力はマスターバッチの長期保存により低下した(比較例3)。また被酸化性ポリアミドと反応性を有する官能基を持たないポリエチレンを使用したマスターバッチ4を使用した成形体は、マスターバッチの保存状態によらず酸素吸収能力の低下は無かったものの、成形体の透明性が悪化してしまい、包装材料として適さないものであった(比較例5)。さらにマスターバッチの配合量が適切でない場合は、成形体の酸素吸収能力が低くなった(比較例6、7)。
<実施例12>
2台の押出機が設置された多層プリフォーム成形装置(名機製作所(株)製、射出成形機、型式:M200、4個取り)を用い、一方の押出機にPET(日本ユニペット(株)製、グレード;RT553C、inherent viscosity=0.8)を、もう一方の押出機にマスターバッチ1とナイロンMXD6(融点;240℃、次亜リン酸ソーダ配合品、リン原子濃度;150ppm)を2:8(重量%)の割合でドライブレンドしたバリア樹脂を入れ、PET側の射出シリンダー温度を285℃、バリア樹脂側の射出シリンダー温度を265℃とし、その他金型内樹脂流路温度は285℃、金型冷却水温度は10℃として2種3層の多層プリフォームを成形した。なお多層プリフォームは形状が全長95mm、外径22mmφ、肉厚4.2mmであり、プリフォーム中のバリア層樹脂の割合は5重量%であった。
次いで、ブロー成形機(クルップ コーポプラスト社(KRUPP CORPOPLAST社)製、型式:LB−01)を使用して前記プリフォームを二軸延伸ブロー成形し、多層ボトルを得た。なお多層ボトルの形状は全長223mm、外形65mmφ、内容積500mlであり、底部形状はシャンパンタイプとした。
次いで、23℃、内部の相対湿度100%、外部の相対湿度50%の雰囲気下にてASTM D3985に準じ、前記ボトルの酸素透過率を測定した。測定は、モダンコントロールズ社製、OX-TRAN 10/50Aを使用した。ボトルの酸素透過率は0.002ml/bottle・day・0.21atmであり、優れた酸素バリア性を示した。
<実施例13>
マスターバッチ1の代わりにマスターバッチ2を用いたこと以外は実施例12と同様にして多層ボトルを得た。
次いで、23℃、内部の相対湿度100%、外部の相対湿度50%の雰囲気下にてASTM D3985に準じ、前記ボトルの酸素透過率を測定した。測定は、モダンコントロールズ社製、OX-TRAN 10/50Aを使用した。ボトルの酸素透過率は0.002ml/bottle・day・0.21atmであり、優れた酸素バリア性を示した。
<比較例8>
バリア層樹脂にナイロンMXD6を用いたこと以外は実施例12と同様にして多層ボトルを得た。
次いで、23℃、成形体及び包装容器内部の相対湿度100%、外部の相対湿度50%の雰囲気下にてASTM D3985に準じ、前記ボトルの酸素透過率を測定した。測定は、モダンコントロールズ社製、OX-TRAN 10/50Aを使用した。ボトルの酸素透過率は0.018ml/bottle・day・0.21atmであり、実施例12や13と比較して酸素バリア性に劣るものであった。

Claims (11)

  1. 金属化合物(B)および反応性熱可塑性樹脂(C)の少なくとも2成分からなるマスターバッチであって、
    該金属化合物(B)は、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅および亜鉛からなる群より選択された一種以上の金属原子を含み、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られる被酸化性ポリアミド(A)の酸化促進剤となる金属化合物であり;
    該反応性熱可塑性樹脂(C)は、被酸化性ポリアミド(A)のアミド結合および/または反応性官能基と溶融混合時に反応しうる、内部結合および/または反応性官能基を有し、かつ常温大気下において金属化合物(B)により酸化が促進されない熱可塑性樹脂であり;
    マスターバッチに対する金属化合物(B)の濃度が、金属原子濃度として0.01〜5重量%であることを特徴とするマスターバッチ。
  2. 金属化合物(B)が、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅および亜鉛からなる群より選択された一種以上の金属原子を含むカルボン酸塩、炭酸塩、アセチルアセトン錯体、酸化物およびハロゲン化物から選ばれる一種以上である請求項1記載のマスターバッチ。
  3. 反応性熱可塑性樹脂(C)が、ポリアミドまたはその変性物であることを特徴とする請求項1または2に記載のマスターバッチ。
  4. 反応性熱可塑性樹脂(C)が、ナイロン6又はナイロン6I/6Tである請求項3記載のマスターバッチ。
  5. 金属化合物(B)と反応性熱可塑性樹脂(C)とを溶融混合してマスターバッチを得る工程、および、該マスターバッチと、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られた被酸化性ポリアミド(A)とを溶融混合して酸素吸収性成形体を製造する工程とを含み;
    該金属化合物(B)は、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅および亜鉛からなる群より選択された一種以上の金属原子を含み、かつ、該被酸化性ポリアミド(A)の酸化を促進する作用を有し、かつ、該マスターバッチ中に金属原子濃度として0.01〜5重量%含まれ;
    該反応性熱可塑性樹脂(C)は、該被酸化性ポリアミド(A)のアミド結合および/または反応性官能基と溶融混合時に反応しうる、内部結合および/または反応性官能基を有し、かつ、常温大気下において該金属化合物(B)により酸化が促進されない樹脂であり; かつ、
    該酸素吸収性成形体中のマスターバッチの含有量が、酸素吸収性成形体中の被酸化性ポリアミド(A)、金属化合物(B)および反応性熱可塑性樹脂(C)の総量に対して、1〜90重量%であることを特徴とする酸素吸収性成形体の製造方法。
  6. 被酸化性ポリアミド(A)とマスターバッチが、下記式:
    Tmh+5≦K≦Tmh+60
    (式中、Tmhは、被酸化性ポリアミド(A)と反応性熱可塑性樹脂(C)それぞれの融点もしくは軟化点のうち最も高い温度(℃)を表す)
    を満たす温度K(℃)で溶融混合されることを特徴とする請求項5記載の酸素吸収性成形体の製造方法。
  7. 酸素吸収性成形体が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むリン化合物をリン原子濃度として、酸素吸収性成形体中の被酸化性ポリアミド(A)、金属化合物(B)および反応性熱可塑性樹脂(C)の総量に対して、1〜500ppm含むことを特徴とする請求項5または6記載の酸素吸収性成形体の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の方法により得られた酸素吸収性成形体。
  9. 包装容器である請求項8記載の酸素吸収性成形体。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載のマスターバッチと被酸化性ポリアミド(A)からなる層と、該層の少なくとも一方の面に積層された、酸素吸収機能を持たない熱可塑性樹脂の層からなる酸素吸収性多層成形体。
  11. 包装容器である請求項10記載の酸素吸収性多層成形体。
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