JP2010180388A - 酸素吸収性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

酸素吸収性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた酸素吸収速度を有し、酸素吸収後も遷移金属塩による熱可塑性樹脂の酸化を抑制して不快な臭気を発生しない酸素吸収性樹脂組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の酸素吸収性樹脂組成物の製造方法は、(1)実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを、予め溶融混練して樹脂組成物(M)を得る工程;および(2)該樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する工程;を包含し、Fedorsの式により算出される該熱可塑性樹脂(A)の溶解度パラメーターをSP(A)とし、そして該熱可塑性樹脂(B)の溶解度パラメーターをSP(B)とした場合、これらの溶解性パラメーターの差が、
SP(B)−SP(A)≦3.0
を満足する。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸素吸収性樹脂組成物の製造方法および該方法によって得られる酸素吸収性樹脂組成物に関する。本発明の方法によって得られる酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収後における臭気の発生を低減することができるという特徴を有する。本発明はまた、該酸素吸収性樹脂組成物を含む成形体に関する。
近年、包装容器の内容物、特に食品、飲料、医薬品、化粧品などの保存性を高めるために、酸素吸収性材料を配合したガスバリア性樹脂を含む容器、外層にガスバリア性樹脂層を設け、内層に容器内の残存酸素を吸収する酸素吸収材料層を設けた積層体でなる容器などが提案されている。
従来、一般的に用いられている酸素吸収性材料としては、例えば、鉄系化合物からなる酸素吸収材や、エチレン性不飽和炭化水素系重合体、遷移金属塩および熱可塑性樹脂からなる酸素吸収性樹脂組成物などが挙げられる。
鉄系化合物からなる酸素吸収材は、良好な酸素吸収性能を有する。しかし、水分の存在が不可欠であり、内容物の水分活性により酸素吸収性能に差が生じることがある。また、鉄系酸素吸収材を熱可塑性樹脂に練り込んで包装材料として用いた場合、金属を含むため電子レンジの使用が制限されたり、食品などの充填後、金属探知機を使用しての異物混入検査ができないという問題がある。さらに、容器の透明性が確保できず、透明性を要求される用途には、適用できないという問題もある(特許文献1参照)。
一方、エチレン性不飽和炭化水素系重合体、遷移金属塩および熱可塑性樹脂からなる酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収後の熱可塑性樹脂の酸化劣化による臭気成分の発生や、樹脂組成物の着色などの問題がある。そこで、発生した臭気成分の拡散を抑えるため、熱可塑性樹脂として、ガスバリア性に優れた熱可塑性樹脂を用いることが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、係るガスバリア性に優れた熱可塑性樹脂を用いた酸素吸収性樹脂組成物は、臭気発生の観点では改善されるが、酸素吸収能力の観点からは、容器内の残存酸素を積極的に吸収するというより、外部から容器内へ侵入してくる酸素を吸収し、内容物の劣化を防ぐという目的で使用することが主となる。すなわち、特許文献2に開示されている酸素吸収性樹脂組成物を用いると、臭気の発生が抑制され、高度の酸素遮断が可能であるが、包装材内に残存する酸素を積極的に吸収させるという観点では、酸素吸収速度が実用上十分とは言えない場合がある。
また、特許文献3には、エチレン性不飽和炭化水素系重合体および遷移金属塩を含む酸素吸収性樹脂組成物が開示されているが、臭気に関する記載はない。特に、ガスバリア性に乏しい熱可塑性樹脂に酸素吸収性能を付与した場合、得られる酸素吸収性樹脂組成物を用いた包装材における酸素吸収速度は、所望の性能を達成し得る。しかし、酸素を吸収するに伴い、遷移金属塩の作用によって、エチレン性不飽和炭化水素系重合体だけではなく熱可塑性樹脂も酸化されてしまう。この酸化により、低分子酸化物が発生し、食品などの包装内容物に移行することによって、風味を特に重視する用途などでは問題となる。
特開2008−006635号公報 特開2005−187808号公報 特開平5−115776号公報
したがって、本発明の目的は、実用上十分な酸素吸収性能を有し、かつ遷移金属塩の添加量を極微量に抑えることで、酸素吸収による不快な臭気成分の発生を低減させ、臭気の発生を抑制した酸素吸収性樹脂組成物の製造方法、該方法によって製造される酸素吸収性樹脂組成物、および該酸素吸収性樹脂組成物を含む成形体を提供することにある。
上記の目的は、(1)実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A)(以下、単に熱可塑性樹脂(A)と記載する)と遷移金属塩(C)とを、予め溶融混練して樹脂組成物(M)を得る工程;および(2)該樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する工程;を包含し、Fedorsの式により算出される該熱可塑性樹脂(A)の溶解度パラメーターをSP(A)とし、そして該熱可塑性樹脂(B)の溶解度パラメーターをSP(B)とした場合、これらの溶解性パラメーターの差が、
SP(B)−SP(A)≦3.0
を満足することを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物(P)の製造方法を提供することにより達成される。
1つの実施態様では、上記工程(1)において、上記遷移金属塩(C)は、上記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、金属換算量で0.001質量部〜0.5質量部(10ppm〜5000ppm)の範囲で含有され、前記工程(2)において、該樹脂組成物(M)は0.2〜50質量部および上記熱可塑性樹脂(B)は50〜99.8質量部の割合で溶融混練され、そして該熱可塑性樹脂(B)は、50ml・20μm/m・day・atm(20℃、65%RH)以上の酸素透過速度を有する。
1つの実施態様では、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)において、上記樹脂組成物(M)を島成分とし、そして上記熱可塑性樹脂(B)を海成分とするマトリックスを形成している。
好適な実施態様では、上記熱可塑性樹脂(A)はポリオクテニレンであり、上記遷移金属塩(C)は、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、およびコバルト塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩である。
好適な実施態様では、上記熱可塑性樹脂(B)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。
別の実施態様では、上記熱可塑性樹脂(A)は、酸化防止剤を100ppm〜5000ppmの範囲で含有し、かつ上記熱可塑性樹脂(B)に含まれる酸化防止剤の量は1000ppm以下である。
さらに、本発明は、上記製造方法により製造される酸素吸収性樹脂組成物(P)および該酸素吸収性樹脂組成物(P)を含む成形体を提供する。
本発明によれば、優れた酸素吸収性能を有し、かつ酸素吸収後も遷移金属塩による熱可塑性樹脂の酸化を抑制し、不快な臭気を発生しない酸素吸収性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法によって得られる酸素吸収性樹脂組成物は、ガスバリア性に優れた熱可塑性樹脂を成分として含む従来提案されている酸素吸収性樹脂組成物とは異なり、包装材内に残存する酸素を優れた速度で吸収させることが可能である。したがって、本発明の方法によって得られる酸素吸収性樹脂組成物からなる層を少なくとも一層含む成形体は、特に酸素に敏感で風味を重視する内容物を包装する容器などとして好適に用いられる。
実施例、比較例、および参考例で得られたフィルムの経時的な酸素吸収量を示すグラフである。
以下、本発明の実施態様について説明する。
(1)酸素吸収性樹脂組成物(P)の製造方法
本発明の酸素吸収性樹脂組成物(P)の製造方法は、(1)熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを、予め溶融混練して樹脂組成物(M)を得る工程;および(2)該樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する工程;を包含し、Fedorsの式により算出される該熱可塑性樹脂(A)の溶解度パラメーターをSP(A)とし、そして該熱可塑性樹脂(B)の溶解度パラメーターをSP(B)とした場合、これらの溶解性パラメーターの差が、
SP(B)−SP(A)≦3.0
を満足する。
本発明の目的を達成するために、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)において、遷移金属塩(C)が、熱可塑性樹脂(A)中に集中的に存在させるようにすることが極めて好ましいことがわかった。そのため、本発明の製造方法では、まず、熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを予め溶融混練し、樹脂組成物(M)を得る。なお、この樹脂組成物(M)は、マスターバッチとしての利用も可能である。
次いで、得られた樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練することによって、酸素吸収性樹脂組成物が得られる。なお、樹脂組成物(M)を芯部、そして熱可塑性樹脂(B)を鞘部とする芯−鞘構造の2層ペレットとしてもよい。
溶融混練という手段は、工程の簡便さおよびコストの観点から好ましい。このとき、高い混練度を達成し得る装置を使用し、各成分を細かく均一に分散させることが、酸素吸収性能を良好にすると共に、ゲル・ブツの発生、混入などを防止できる点で好ましい。
高い混練度を達成し得る装置としては、連続式インテンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方向または異方向)、ミキシングロール、コニーダーなどの連続型混練機;高速ミキサー、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機;株式会社KCK製KCK混練押出機などの石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用した装置;一軸押出機に混練部(ダルメージなど)を設けた装置;リボンブレンダー、ブラベンダーミキサーなどの簡易型の混練機などが挙げられる。これらの中でも、連続型混練機が好ましい。市販されている連続式インテンシブミキサーとしては、Farrel社製「FCM」(商品名)、株式会社日本製鋼所製「CIM」(商品名)、株式会社神戸製鋼所製「KCM」、「LCM」、「ACM」(いずれも商品名)などが挙げられる。これらの連続式混練機の吐出口に押出機およびペレタイザーを接続し、混練、押出、およびペレット化を同時に実施する装置を採用することが好ましい。さらに、ニーディングディスクまたは混練用ロータを有する二軸混練押出機としては、例えば株式会社日本製鋼所製「TEX」(商品名)、Werner&Pfleiderer社製「ZSK」(商品名)、東芝機械株式会社製「TEM」(商品名)、池貝鉄工株式会社製「PCM」(商品名)などが挙げられる。混練機は1機のみを用いてもよく、2機以上を連結して用いてもよく、ダイを選択することで多層ペレットを得ることもできる。
混練は、通常40〜300℃の温度で行われる。なお、熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)との混練は、酸化防止のため、ホッパー口を窒素シールし、40℃〜100℃の低温で押出すことが好ましい。混練時間は、長い方がよりよく混練できるが、長すぎると、押出機内で酸化反応が起こる懸念がある。したがって、熱可塑性樹脂(A)の酸化防止および生産効率の観点から、混練時間は、通常10〜600秒であり、好ましくは15〜200秒であり、より好ましくは15〜150秒である。
本発明の製造方法のように、熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とをまず溶融混練して樹脂組成物(M)を得た後、樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練して得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)は、熱可塑性樹脂(A)、遷移金属塩(C)、および熱可塑性樹脂(B)を一括で溶融混練して得られる酸素吸収性樹脂組成物と比較して、酸素吸収性能が向上し、さらに酸素吸収後の臭気発生が抑制される。
このような性能向上が発現するメカニズムの詳細は明らかではないが、まず熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを溶融混練して樹脂組成物(M)を得た後、該樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練することで、遷移金属塩(C)が熱可塑性樹脂(A)内に集中的に存在することになり、酸素吸収性能に関与する炭素−炭素二重結合に効率的に働き、酸素吸収性能が向上するものと推定される。
また、遷移金属塩(C)が熱可塑性樹脂(A)内に集中的に存在することにより、遷移金属塩(C)による熱可塑性樹脂(B)の酸化劣化を抑制することが可能となり、酸素吸収後の臭気が抑えられると推定される。さらに、樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練するため、遷移金属塩(C)の使用量が少なくなることも、臭気低減の要因として推定される。
すなわち、熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを予め混練して樹脂組成物(M)を得た後、該樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを混練した場合、酸素吸収性樹脂組成物(P)中における遷移金属塩の絶対量が減少するにも関わらず、酸素吸収性能は向上する。さらに、酸素吸収性能が向上するにも関わらず、酸素吸収後の臭気発生は抑制される。
遷移金属塩(C)を熱可塑性樹脂(A)内に集中的に存在させるために予め溶融混練したとしても、得られる樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)との溶融混練の際、該樹脂組成物(M)中の遷移金属塩(C)が熱可塑性樹脂(B)に移行することがある。遷移金属塩(C)の移行は、熱可塑性樹脂(A)、遷移金属塩(C)、および熱可塑性樹脂(B)の溶解度パラメーター(SP値)に由来する。
本明細書において「溶解度パラメーター」とは、Fedorsの式により算出される値のことであり、混合する2成分系物質の相容性の目安となる。一般的にSP値が近いものほど(すなわち、2成分のSP値の差が小さいほど)相容性に優れる。
したがって、熱可塑性樹脂(A)の溶解度パラメーターをSP(A)、熱可塑性樹脂(B)の溶解度パラメーターをSP(B)、遷移金属塩(C)の溶解度パラメーターをSP(C)とした場合、溶解度パラメーターの差が、
SP(A)−SP(C)≦SP(B)−SP(C)
であれば、遷移金属塩(C)は熱可塑性樹脂(A)に留まり、遷移金属塩(C)は熱可塑性樹脂(B)に移行しないことが理論的に説明できる。これをFedorsの式により算出される溶解度パラメーターで表したとき、SP(A)とSP(B)との差が、
SP(B)−SP(A)≦3.0
であると、2段階での上述のようなブレンドが効果的であることが見出された。
以下、本発明の製造方法に用いられる成分について、順次説明する。
(1−1)熱可塑性樹脂(A)
本発明の製造方法に用いられる熱可塑性樹脂(A)は、実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する。「実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する」とは、熱可塑性樹脂(A)の主鎖に存在する炭素−炭素二重結合が、分子内の全炭素−炭素二重結合の90%以上であり、側鎖に存在する炭素−炭素二重結合が、分子内の全炭素−炭素二重結合の10%以下であることをいう。側鎖に存在する炭素−炭素二重結合の割合は、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下である。
このような熱可塑性樹脂(A)は、分子内に炭素−炭素二重結合を有するため、酸素と効率よく反応することが可能であり、その結果、酸素吸収性能が得られる。
このような熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ(2−エチルブタジエン)、ポリ(2−ブチルブタジエン)などのポリジエンであって、主として1,4位で重合したもの;シクロオレフィンの開環メタセシス重合体(ポリオクテニレン、ポリペンテニレン、ポリノルボルネンなど)などが挙げられる。これらの中でも、ポリオクテニレンが好適である。
ここで、熱可塑性樹脂分子の主鎖に存在する炭素−炭素二重結合は、側鎖に存在する炭素−炭素二重結合と比較して、酸素吸収量が少なく、酸素吸収速度が遅い場合が多い。しかし、主鎖に、隣接する炭素−炭素二重結合の間にメチレン鎖が3個以上存在する繰り返し単位(すなわち、−C=C−(CHn≧3−C=C−)を有する熱可塑性樹脂は、炭素−炭素二重結合1個あたりの酸素吸収量が予想以上に多いことがわかった。したがって、本発明の製造方法では、臭気を発生しにくく、少ない添加量で優れた酸素吸収性能が得られるという観点から、熱可塑性樹脂(A)として、好ましくは、隣接する炭素−炭素二重結合の間にメチレン鎖が3個以上存在する繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂としては、ポリオクテニレン、ポリペンテニレンなどが挙げられ、ポリオクテニレンが特に好適である。
熱可塑性樹脂(A)に含まれる炭素−炭素二重結合の量は、0.001eq/g(当量/g)以上であることが好ましく、0.005eq/g以上がより好ましく、0.01eq/g以上がさらに好ましい。炭素−炭素二重結合の含有量が0.001eq/g未満の場合、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)は、十分な酸素吸収能力が得られなくなる傾向となる。
本発明の製造方法に用いられる熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、特に限定されない。しかし、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)が、より優れた酸素吸収性能および低臭気性を発揮するため、熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは1000〜500000であり、より好ましくは10000〜250000であり、さらに好ましくは40000〜200000である。熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量が、1000未満および500000を超える場合、成形加工性およびハンドリング性に劣ることがあり、さらに成形体としたときの強度、伸度などの機械的性質が低下する傾向となる。
熱可塑性樹脂(A)を製造する方法としては、熱可塑性樹脂(A)の種類によっても異なるが、例えば、ポリオクテニレンは、シクロオクテンを原料モノマーとし、触媒としてタングステン系触媒、ルテニウム系触媒などを用いて開環メタセシス重合を行う方法;あるいは、1,9−デカジエンを原料モノマーとし、同様の触媒を用いて非環状ジエンメタセシス重合を行う方法によって合成できる。触媒としては、例えば、[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムが挙げられる。重合は、無溶媒で行うことも可能であるが、必要に応じて溶媒を用いてもよい。
熱可塑性樹脂(A)が環状オレフィンの開環メタセシス重合体である場合、開環メタセシス重合の機構から、必然的にある程度のオリゴマーが混合することが避け難い。通常の使用条件では、モノマー(シクロオレフィンモノマー)が除去されていれば臭気などの問題は起きにくい。しかし、得られた成形品が高温高湿下で保管される場合、これらオリゴマーが存在すると被包装物に臭気が感じられる場合がある。一方、オリゴマー量は臭気などの観点から低いほど好ましいが、必要以上に低くしようとすると製造プロセスが煩雑になる。したがって、高温高湿下で保管を行うことを考慮すると、開環メタセシス重合体中に存在する分子量1000以下のオリゴマーは、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
開環メタセシス重合体からオリゴマーを除去する方法としては、アセトンなどの有機溶剤で洗浄除去する方法などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)は、酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、例えば、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2,6−ジ−(tert−ブチル)−4−メチルフェノール、2,2−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリルなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)が酸化防止剤を含有する場合、その量は、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)中の各成分の種類、含有量、得られる成形品の使用目的、保存条件などを考慮して適宜決定される。酸化防止剤を含有させるときの量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.5質量部(100ppm〜5000ppm)であり、より好ましくは0.02〜0.08質量部(200ppm〜800ppm)である。酸化防止剤の割合が0.5質量部(5000ppm)を超える場合、熱可塑性樹脂(A)と酸素との反応が妨げられる傾向となる。一方、酸化防止剤の含有量が0.01質量部(100ppm)未満では、熱可塑性樹脂(A)の保存時または溶融混練時に酸素との反応が進行し、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)の実際の使用前に、酸素吸収性能が低下する場合がある。
(1−2)遷移金属塩(C)
遷移金属塩(C)は、熱可塑性樹脂(A)の酸化反応を促進することにより、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収性能を向上させる。
遷移金属塩(C)に含まれる遷移金属としては、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルトが好ましく、マンガンおよびコバルトがより好ましく、コバルトがさらに好ましい。
遷移金属塩(C)に含まれる遷移金属の対イオンとしては、有機酸または塩化物由来のアニオンが挙げられる。有機酸としては、酢酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、カプリン酸、ナフテン酸などが挙げられる。特に好ましい塩としては、2−エチルへキサン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、およびステアリン酸コバルトが挙げられる。
本発明の製造方法において、遷移金属塩(C)は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは金属換算量で0.001質量部〜0.5質量部(10ppm〜5000ppm)の範囲で配合する。より好ましくは、遷移金属塩(C)は金属換算量で、0.01質量部〜0.1質量部(100〜1000ppm)、さらに好ましくは0.02質量部〜0.08質量部(200ppm〜800ppm)の範囲で配合する。遷移金属塩(C)の配合量が0.001質量部(10ppm)未満の場合、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収性能および酸素吸収速度が不十分なものとなる傾向になる。一方、遷移金属塩(C)の配合量が0.5質量部(5000ppm)を超える場合、溶融混練の際に、発熱を伴う分解ガスの発生、成形体のゲル・ブツの発生などが著しくなり、加工性が悪くなる傾向となる。さらに、溶融混練した樹脂組成物の熱安定性が低下する傾向になる。また、加工中の酸化により、熱可塑性樹脂(A)の本来の酸素吸収性能が失活する懸念もある。
(1−3)熱可塑性樹脂(B)
熱可塑性樹脂(B)は、マトリックス樹脂として使用するため、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収速度を高めるためには、ガスバリア性に乏しい熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
具体的には、酸素透過速度が好ましくは50ml・20μm/m・day・atm(20℃、65%RH)以上の熱可塑性樹脂が挙げられる。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン(超低密度、低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度など)、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなど)、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン(汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)など)、その他α−オレフィン系共重合体などが挙げられる。
上記の樹脂のSP値をFedorsの式により算出すると、例えば、ポリエチレン(超低密度、低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度など)では7.0〜8.8、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなど)では9.0〜9.4、ポリエチレンテレフタレートでは11.2、そしてポリスチレン(GPPS、HIPSなど)では8.5〜10.3となる。
熱可塑性樹脂(B)に酸化防止剤が含有されている場合、樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを混合して得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収性能が阻害されることがある。これは、熱可塑性樹脂(B)に含まれる酸化防止剤が、樹脂組成物(M)にも影響するからである。熱可塑性樹脂(B)に含まれる酸化防止剤の量は、少ないほど好ましいが、成形体に加工する場合、選択する熱可塑性樹脂(B)によっては、劣化、架橋、ゲル化が起こることがある。酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収性能を阻害せず、且つ加工性を考慮した場合、熱可塑性樹脂(B)に含まれる酸化防止剤の量は、1000ppm以下が好ましい。
酸素吸収性樹脂組成物(P)中の樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)との割合は、樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)との合計質量を100質量部としたとき、好ましくは樹脂組成物(M)を0.2〜50質量部の割合で含み、より好ましくは1〜30質量部であり、さらに好ましくは5〜20質量部である。樹脂組成物(M)の含有量が0.2質量部未満の場合、酸素吸収速度および酸素吸収量が十分に得られない傾向になる。一方、樹脂組成物(M)の含有量が50質量部を超える場合、酸素吸収性樹脂組成物(P)中において、樹脂組成物(M)が酸化されることに伴う物性の低下、色相の変化などが発生しやすくなる懸念がある。
(1−4)相容化剤(D)
本発明の製造方法においては、酸素吸収性樹脂組成物中の樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)との相容性を向上させ、得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)に安定したモルフォロジーを与える目的で、必要に応じて相容化剤(D)を用いてもよい。
相容化剤(D)は、使用する熱可塑性樹脂(B)の種類、熱可塑性樹脂(A)などの組み合わせにより適宜選択される。
相容化剤(D)としては、例えば相容化剤(D)が極性基を含有する炭化水素系重合体の場合には、重合体のベースとなる炭化水素重合体部分により、相容化剤(D)と熱可塑性樹脂(A)との親和性が良好となる。さらに、相容化剤(D)の極性基により、相容化剤(D)と熱可塑性樹脂(B)との親和性が良好となる場合がある。その結果、得られる樹脂組成物に安定したモルフォロジーを形成させることができる。
上記の極性基を含有する炭化水素系重合体のベースとなる炭化水素重合体部分を形成し得る単量体としては、次の化合物が挙げられる:エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、3−メチルペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレンなどのスチレン類;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどのビニルナフタレン類;インデン、アセナフチレンなどのビニレン基含有芳香族化合物;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエンなどの共役ジエン化合物など。上記炭化水素系重合体は、これらの単量体の一種を主として含有していてもよいし、二種以上を主として含有していてもよい。
上記単量体を用いて、極性基を含有する炭化水素系重合体が調製され、その際、該単量体は次のようなポリマーでなる炭化水素重合体部分を形成する:ポリエチレン(超低密度、低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度など)、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなど)、ポリスチレン(汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)など)、スチレン−ジエン系ブロック共重合体(スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体など)、その水添物などのスチレン系重合体など。これらの中でも、スチレン−ジエン系ブロック共重合体(スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体など)、その水添物などのスチレン系重合体が好ましい。
相容化剤(D)に含有される極性基としては特に限定されないが、酸素原子を含有する官能基が好ましい。具体的には、活性水素含有極性基(−SOH、−SOH、−SOH、−CONH、−CONHR、−CONH−、−OHなど)、窒素を含有し活性水素を含有しない極性基(−NCO、−OCN、−NO、−NO、−CONR、−CONR−など)、エポキシ基、カルボニル基含有極性基(−CHO、−COOH、−COOR、−COR、>C=O、−CSOR、−CSOHなど)、リン含有極性基(−P(OR)、−PO(OR)、−PO(SR)、−PS(OR)、−PO(SR)(OR)、−PS(SR)(OR)など)、ホウ素含有極性基などが挙げられる。ここで、上記一般式中、Rはアルキル基、フェニル基、またはアルコキシ基を表す。
相容化剤(D)が炭化水素系重合体である場合に、特に好ましい極性基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基などのカルボキシル基類;ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基、ボロン酸塩基などのホウ素含有極性基などが挙げられる。
(2)酸素吸収性樹脂組成物(P)
本発明の製造方法によって得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)は、主として熱可塑性樹脂(B)、および熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを混練して得られる樹脂組成物(M)からなる。酸素吸収性樹脂組成物(P)の全質量を基準として、熱可塑性樹脂(B)および樹脂組成物(M)の合計量が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。相容化剤(D)を含む場合は、酸素吸収性樹脂組成物(P)の全質量を基準として、熱可塑性樹脂(B)、樹脂組成物(M)、および相容化剤(D)の合計量が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
本発明の製造方法によって得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)は、本発明の作用効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、可塑剤、熱安定剤(溶融安定剤)、光開始剤、脱臭剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、乾燥剤、充填剤、顔料、染料、加工助剤、難燃剤、防曇剤、他の高分子化合物などが挙げられる。
本発明の製造方法によって得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)は、樹脂組成物(M)からなる粒子が、熱可塑性樹脂(B)に分散している態様(すなわち、樹脂組成物(M)を島成分、熱可塑性樹脂(B)を海成分とするマトリックス)が好ましい。このような態様の酸素吸収性樹脂組成物(P)からなる成形体は、酸素吸収性能を持続し易い。このとき、樹脂組成物(M)からなる粒子の平均粒径は、好ましくは10μm以下である。平均粒径が10μmを超えると、樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)との界面の面積が小さくなり、酸素吸収性能が低下する場合がある。樹脂組成物(M)粒子の平均粒径は、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。
本発明の製造方法によって得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)のメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下、JIS K 7210に基づく)は、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは0.5〜50g/10分、さらに好ましくは1〜30g/10分である。メルトフローレートが上記の範囲から外れる場合、酸素吸収性樹脂組成物を溶融成形する際の加工性が、悪くなる傾向がある。
本発明の製造方法で得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収性能は、熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を予め溶融混練して得られる樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)との混合割合、あるいは混練する熱可塑性樹脂(B)の種類によって異なるが、例えば、食品包装などで包装材内に残存した酸素を積極的に吸収させるという観点から、酸素吸収速度が5.0ml/g・day以上(23℃、50%RH条件下)であることが好ましい。
(3)成形体
本発明の製造方法により得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)を用いて多層構造の成形体を得る場合、層構成において、上記酸素吸収性樹脂組成物(P)からなる層以外の樹脂からなる層は、成形体内部の酸素を吸収しやすくする観点から、成形体の内層を形成する樹脂として、比較的ガス透過性が高く疎水性の樹脂が好ましく、用途によってはヒートシール可能であることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。一方、成形体の外層を形成する樹脂は、成形性および機械的物性に優れる樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
容器外側から侵入する酸素を防止するため、酸素吸収性樹脂組成物(P)からなる層の外層側に、ポリアミド、エチレンービニルアルコール共重合体などのガスバリア性樹脂からなる層が積層されていることが好ましい。さらに、酸素吸収性樹脂組成物(P)からなる層とガスバリア性樹脂からなる層との間に、他の層が含まれていてもよい。
本発明の成形体を、レトルト用包装材あるいは容器の蓋材として用いる場合、外層には、ポリアミド、ポリエステル、またはポリプロピレンなどのポリオレフィンが用いられ、特にポリプロピレンが好ましく用いられる。内層には、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
ポリオレフィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性などの点で好ましい。ポリエステルは機械的特性、耐熱性などの点で好ましい。
多層構造の成形体を得る方法としては、例えば、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共射出成形法、共押出成形法などが挙げられるが、特に限定されない。共押出成形法としては、共押出ラミネート法、共押出シート成形法、共押出インフレーション成形法、共押出ブロー成形法などが挙げられる。
このようにして得られた多層構造のシート、フィルム、パリソンなどを、含有される樹脂の融点以下の温度で再加熱し、絞り成形などの熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸法、ブロー成形法などにより一軸または二軸延伸して、延伸された成形物を得ることもできる。
本発明の成形体が、例えば、包装材として用いられ、高湿度下に曝されることを考慮すると、酸素吸収性樹脂組成物(P)からなる層の両側に、または包装材を使用する際に高湿度となる側に、水蒸気バリア性の高い層を設けることが好ましい。このような層を設けた成形体は、酸素吸収性能の持続期間が特に延長され、そのため、極めて高度なガスバリア性がより長い時間継続される観点から好適である。一方、酸素吸収性樹脂組成物(P)を最内層に有する多層容器は、容器内の酸素吸収機能が速やかに発揮される観点から好適である。
本発明の成形体は、23℃、50%RH(相対湿度)における酸素吸収速度が5.0ml/(g・day)以上であることが好ましい。このような酸素吸収速度を有することにより、通常の室温条件下で、食品、ペットフードなどを空気下で成形体内に充填した場合、成形体内部の酸素を、内容物の酸素による劣化が起こる前に効率よく吸収することができる。なお、酸素吸収速度は、後述の実施例で説明する方法により測定される。
本発明の成形体は、優れた酸素吸収性能を有し、かつ酸化に伴う臭気物質の発生、移動などが極めて小さいため、酸素の影響で何らかの劣化が生じやすい内容物、例えば食品、医薬品などに好適に使用できる。特に風味を重視する食品、飲料、品質変化に敏感なペットフードなどの包装材として好ましく用いられる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における分析および評価は、以下のとおりに実施した。
(1)熱可塑性樹脂(A)の分子構造
熱可塑性樹脂(A)の分子構造は、重クロロホルムを溶媒としたH−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子株式会社製「JNM−GX−500型」を使用)により、得られたスペクトルから決定した。
(2)熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定を行い、ポリスチレン換算値として示した。測定の詳細な条件は、以下の通りである。
<分析条件>
装置 :Shodex製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)SYSTEM−11
カラム:KF−806L(Shodex)
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン、流速1.0ml/分
検出器:RI
濾過 :0.45μmフィルター
濃度 :0.1%
(3)臭気分析
(3−A)HS/SPME−GC/MS/Oによる臭気分析
各実施例および比較例で得られた混練後の樹脂を粉砕し、60℃で1週間加熱し酸化劣化させた。酸化劣化させた樹脂5.0gを充填した20mlのバイアル瓶のヘッドスペース(HS)に、固相マイクロ抽出(Soild Phase MicroExtraction:SPME)用ファイバー(SPELCO社製:65μmPDMS−DVB)を挿入した。次いで、このバイアル瓶を60℃のオーブンに入れ2時間加熱し、樹脂から発生した揮発成分を、SPMEファイバーで捕集した。揮発成分を捕集したファイバーを、GCの注入口の温度で熱脱着し、GCカラム先端(GERSTEL社製:CTS2)を−150℃に冷却することで揮発成分を捕集し、GCカラムに導入した。カラムで分離した臭気成分を、分配器(GERSTEK社製:CROSSPIECE GRAPHPACK3D/2)を用いて質量検出器(Mass Spectrometry:MS)および嗅覚検出(Olfactometry:O)ポートに導いて、臭気成分の分析を行った。
(3−B)ポータブルニオイモニターによる臭気分析
ポータブルニオイモニターOD−85(理研計器株式会社製)を測定装置として用い臭気を分析した。この測定装置の測定原理は熱線型半導体式であり、ポンプによる自動吸引で容器内のガスを吸引し、臭気成分の強度を数値化する。校正はエアーで行い、校正時の数値は200となる。この数値を基準として、臭いの強度を測定した。すなわち、各実施例および比較例で得られた酸素吸収性樹脂組成物を用いて製膜した単層フィルム0.2gを濾紙で挟み、規格瓶に入れ蓋をし、60℃で14日間保管した。14日後、ポータブルニオイモニターの先端を規格瓶上部にあて、容器内のガスを吸引して臭気強度を測定した。
(合成例1:ポリオクテニレン(a−1)の合成)
攪拌機および温度計を装着した3つ口フラスコ内を、乾燥した窒素で置換した後、cis−シクロオクテン110質量部およびcis−4−オクテン0.187質量部を溶解させたヘプタン624質量部を加えた。
次いで、[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム0.0424質量部を、トルエン3質量部に溶解させた触媒液を調製した。この触媒液をすばやく3つ口フラスコに加えて、55℃で開環メタセシス重合を行った。1時間後、反応液を、ガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、GC−14B;カラム:化学品検査協会製、G−100)により分析して、cis−シクロオクテンの消失を確認した。次いで、3つ口フラスコにエチルビニルエーテル1.08質量部を添加し、さらに10分間攪拌した。
得られた反応液に水200質量部を添加し、40℃で30分間攪拌した。次いで、40℃で1時間静置して分液後、水層を除去した。再度、反応液に水100質量部を添加し、45℃で30分間攪拌した。次いで、40℃で1時間静置して分液後、水層を除去した。有機層に酸化防止剤としてIrganox1076(商品名:チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)を800ppm添加して攪拌した。次いで、ヘプタンを減圧下で留去し、さらに、真空乾燥機を用いて1Pa、100℃で6時間乾燥し、重量平均分子量(Mw)が142000、分子量1000以下のオリゴマーの割合が9.2質量%の重合体102.1質量部(収率92%)を得た。この重合体(ポリオクテニレン)の、側鎖中の炭素−炭素二重結合の、全炭素−炭素二重結合に対する比率は0%であった。
得られた重合体を1mm角程度に破砕し、攪拌機、還流管、温度計を装着したセパラブルフラスコに加えた。次いで、アセトン300質量部をセパラブルフラスコに加え、40℃で3時間攪拌した。アセトンをデカンテーションで除去した。再度、セパラブルフラスコにアセトン300質量部を加え、40℃で3時間攪拌した。アセトンをデカンテーションで除去した。残存するアセトンを減圧下で留去し、さらに、真空乾燥機を用いて1Pa、100℃で6時間乾燥し、重量平均分子量(Mw)が150000、数平均分子量が37000、分子量1000以下のオリゴマーの割合が3.1%の重合体(ポリオクテニレン(a−1))99質量部を得た。なお、ポリオクテニレンの溶解度パラメーター(SP)は8.4である。
(合成例2:ポリオクテニレン(a−2)の合成)
有機層へのIrganox1076の添加量を8000ppmにしたこと以外は、合成例1と同様の手順でポリマー(ポリオクテニレン(a−2))を得た。
(実施例1)
(酸素吸収性樹脂組成物の調製)
熱可塑性樹脂(A)として上記のポリオクテニレン(a−1)100質量部にステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(コバルト金属換算で400ppm)を添加し、25mmφ二軸押出機(株式会社東洋精機製LABO PLASTOMIL MODEL 15C300)(以下、単に二軸押出機(L)と記載する)を用い、80℃でスクリュー回転数100rpm、押出樹脂量5.1kg/時間の条件で押出してペレット化した。次いで、真空下で12時間乾燥を行い、酸素吸収性マスターバッチペレットMB−1(酸化防止剤含有量800ppm)を得た。
10質量部の得られた酸素吸収性マスターバッチペレットMB−1および90質量部の直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製:HarmolexNF325)(以下、単にLLDPEと記載する)をドライブレンドし、20mmφ一軸押出機(株式会社東洋精機製:LABO PLASTOMIL A)に投入し、160℃でコートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmのフィルム(酸素吸収性樹脂組成物)を得た(フィルム中に含まれる遷移金属量は、コバルト金属換算で40ppmであり、酸化防止剤量は80ppmである)。なお、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の溶解度パラメーター(SP)は7.0である。
(酸素吸収性能の評価)
上記で得られたフィルムを、23℃、50%RH(相対湿度)の空気が充填された規格瓶(内部容量260ml)に入れた。規格瓶中の空気は、酸素:窒素が体積比で21:79であった。規格瓶の口を、アルミニウム層を含む多層シートを用いてエポキシ樹脂で封じてから、23℃で放置した。放置から1日後、6日後、13日後、および22日後に、規格瓶内部の空気をシリンジで採取し、この空気の酸素濃度を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。サンプリング時に多層シートに生じた孔は、エポキシ樹脂を用いてサンプリング毎に封じた。測定によって得られた酸素と窒素との体積比から、酸素の減少量を計算し、23℃、50%RH雰囲気下におけるフィルムの酸素吸収量を求めた。結果を表1および図1に示す。
(臭気の評価)
得られたフィルムを規格瓶(内部容量260ml)に入れ、60℃、100%RHで14日間放置した。次いで、規格瓶内の臭気を嗅ぎ、表2に示す臭気強度に基づいて6段階の官能評価で数値化したところ、強度指数は2(認知閾値)であった。さらに、ポータブルニオイモニターで、ニオイレベルを測定した。結果を表1に示す。
(臭気成分の分析)
さらに、10質量部の酸素吸収性マスターバッチペレットMB−1と90質量部のLLDPEとをドライブレンドし、二軸押出機(L)を用いて、60℃でスクリュー回転数100rpm、押出樹脂量3kg/時間の条件で押出して、ペレットを得た。得られたペレットを粉砕し、5gをバイアル瓶に入れ60℃で1週間加熱した。このバイアル瓶からヘッドスペース(HS)の気体を捕集し、HS/SPME−GC/MS/Oによる臭気成分の分析を行なった。結果を表3に示す。
(実施例2)
10質量部の酸素吸収性マスターバッチペレットMB−1および90質量部のホモポリプロピレン(NovatecFY6C(商品名)、日本ポリプロ株式会社製;以下、PPと記載する)をドライブレンドし、20mmφ一軸押出機に投入し、160℃でコートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmのフィルム(酸素吸収性樹脂組成物)を得た(フィルム中に含まれる遷移金属量は、コバルト金属換算で40ppmであり、酸化防止剤量は80ppmである)。なお、ホモポリプロピレン(PP)の溶解度パラメーター(SP)は9.0である。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の手順で、酸素吸収性能および臭気の評価を行った。結果を表1および図1に示す。
(実施例3)
10質量部の上記の酸素吸収性マスターバッチペレットMB−1および90質量部ポリスチレン(HF−77(商品名)、PSジャパン株式会社製;以下、PSと記載する)をドライブレンドし、20mmφ一軸押出機に投入し、160℃でコートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmのフィルム(酸素吸収性樹脂組成物)を得た(フィルム中に含まれる遷移金属量は、コバルト金属換算で40ppmであり、酸化防止剤量は80ppmである)。なお、ポリスチレン(PS)の溶解度パラメーター(SP)は8.5である。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の手順で、酸素吸収性能および臭気の評価を行った。結果を表1および図1に示す。
(比較例1)
ポリオクテニレン(a−1)10質量部、LLDPE90質量部、およびステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(金属換算量で400ppm)を二軸押出機(L)に一括投入し、160℃でスクリュー回転数100rpm、押出樹脂量3.2kg/時間の条件で、押出してペレット化した。次いで、真空下で12時間乾燥を行い、ペレット(酸素吸収性樹脂組成物)を得た(ペレット中に含まれる遷移金属量は、コバルト金属換算で400ppmであり、酸化防止剤量は80ppmである)。
得られたペレットを、20mmφ一軸押出機に投入し、160℃で混練しながら、コートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の手順で、酸素吸収性能および臭気の評価を行った。結果を表1および図1に示す。
さらに、実施例1と同様の手順で、臭気成分の分析を行った。結果を表3に示す。
(比較例2)
ポリオクテニレン(a−1)10質量部、LLDPE90質量部、およびステアリン酸コバルト(II)0.04242質量部(コバルト金属換算で40ppm)を二軸押出機(L)に一括投入し、160℃でスクリュー回転数100rpm、押出樹脂量3.2kg/時間の条件で、押出してペレット化した。次いで、真空下で12時間乾燥を行い、ペレット(酸素吸収性樹脂組成物)を得た(ペレット中に含まれる遷移金属量は、コバルト金属換算で40ppmであり、酸化防止剤量は80ppmである)。
得られたペレットを、20mmφ一軸押出機に投入し、160℃で混練しながら、コートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の手順で、酸素吸収性能および臭気の評価を行った。結果を表1および図1に示す。
(参考例1)
熱可塑性樹脂(A)として、実施例1で用いたポリオクテニレン(a−1)の代わりに、ポリオクテニレン(a−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、酸素吸収性マスターバッチペレットMB−2(酸化防止剤含有量8000ppm)を得た。
10質量部の酸素吸収性マスターバッチペレットMB−2および90質量部のLLDPEをドライブレンドし、20mmφ一軸押出機に投入し、160℃でコートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmのフィルム(酸素吸収性樹脂組成物)を得た(フィルム中に含まれる遷移金属量は、コバルト金属換算で40ppmであり、酸化防止剤量は800ppmである)。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の手順で、酸素吸収性能および臭気の評価を行った。結果を表1および図1に示す。
(参考例2)
ポリオクテニレン(a−1)10質量部、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL-F171(商品名)、株式会社クラレ製;以下、EVOHと記載する)90質量部、およびステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(コバルト金属換算で400ppm)を二軸押出機(L)に一括投入し、210℃でスクリュー回転数100rpm、押出樹脂量3.5kg/時間の条件で、押出してペレット化した。次いで、真空下で12時間乾燥を行い、ペレット(酸素吸収性樹脂組成物)を得た(ペレット中に含まれる遷移金属量は、コバルト金属換算で400ppmであり、酸化防止剤量は80ppmである)。なお、EVOHの溶解度パラメーター(SP)は、12.3である。
得られたペレットを、20mmφ一軸押出機に投入し、210℃で混練しながら、コートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の手順で、酸素吸収性能および臭気の評価を行った。結果を表1および図1に示す。
さらに、実施例1と同様の手順で、臭気成分の分析を行った。結果を表3に示す。
(参考例3)
10質量部の酸素吸収性マスターバッチペレットMB−1と90質量部のEVOHとをドライブレンドし、20mmφ一軸押出機に投入し、160℃でコートハンガーダイより溶融押出を行い、厚さ20μmのフィルム(酸素吸収性樹脂組成物)を得た(フィルム中に含まれる遷移金属量は、コバルト金属換算で40ppmであり、酸化防止剤量は80ppmである)。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の手順で、酸素吸収性能および臭気の評価を行った。結果を表1および図1に示す。
Figure 2010180388
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これらの結果から、熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを、予め溶融混練すること、かつFedorsの式により算出される溶解度パラメーターが特定の関係を満足することにより、得られる酸素吸収性樹脂組成物は、優れた酸素吸収性能を有し、かつ臭気をほとんど発生しないことがわかる。
本発明によれば、優れた酸素吸収速度を有し、かつ酸素吸収後も遷移金属塩による熱可塑性樹脂の酸化を抑制して不快な臭気を発生しない酸素吸収性樹脂組成物の製造方法を提供できる。したがって、本発明の方法によって得られた酸素吸収性樹脂組成物は、特に風味が重視される食物、嗜好が敏感な動物用のペットフードの包装材料などとして好適に使用される。

Claims (9)

  1. (1)実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを、予め溶融混練して樹脂組成物(M)を得る工程;および
    (2)該樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する工程;を包含し、
    Fedorsの式により算出される該熱可塑性樹脂(A)の溶解度パラメーターをSP(A)とし、そして該熱可塑性樹脂(B)の溶解度パラメーターをSP(B)とした場合、これらの溶解性パラメーターの差が、
    SP(B)−SP(A)≦3.0
    を満足することを特徴とする、酸素吸収性樹脂組成物(P)の製造方法。
  2. 前記工程(1)において、前記遷移金属塩(C)が、前記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、金属換算量で0.001質量部〜0.5質量部(10ppm〜5000ppm)の範囲で配合され、
    前記工程(2)において、該樹脂組成物(M)が0.2〜50質量部および前記熱可塑性樹脂(B)が50〜99.8質量部の割合で溶融混練され、そして
    該熱可塑性樹脂(B)が、50ml・20μm/m・day・atm(20℃、65%RH)以上の酸素透過速度を有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 得られる酸素吸収性樹脂組成物(P)において、前記樹脂組成物(M)を島成分とし、そして前記熱可塑性樹脂(B)を海成分とするマトリックスを形成していることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリオクテニレンである、請求項1から3のいずれかの項に記載の製造方法。
  5. 前記遷移金属塩(C)が、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、およびコバルト塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩である、請求項1から4のいずれかの項に記載の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項1から5のいずれかの項に記載の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂(A)が、酸化防止剤を100ppm〜5000ppmの範囲で含有し、かつ前記熱可塑性樹脂(B)に含まれる酸化防止剤の量が1000ppm以下である、請求項1から6のいずれかの項に記載の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかの項に記載の製造方法により製造される、酸素吸収性樹脂組成物(P)。
  9. 請求項8に記載の酸素吸収性樹脂組成物(P)を含む、成形体。
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