JP2008201431A - 発酵食品包装用包装材および包装体 - Google Patents

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一裕 黒崎
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、発酵食品を包装しても二酸化炭素によって包装材が膨らむなどの現象が起こらず、長期間に亘って外部からの酸素の侵入をきわめて低レベルに抑制するため、品質劣化が起こらない、優れた包装材および包装体を提供することにある。
【解決手段】 上記目的は、少なくとも一層の酸素吸収性樹脂組成物からなる層を有する二酸化炭素透過速度が100cc/(m・day・atm)以上であり、酸素透過速度が15cc/(m・day・atm)以下である発酵食品包装用包装材によって達成される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、発酵食品包装用包装材および包装体に関する。さらに詳しくは適切な二酸化炭素透過性を有し、酸素透過性が低い発酵食品用包装材および該包装材にて発酵食品を包装した包装体に関する。
食品包装の分野においては、二酸化炭素を発生する種々の食品を包装する用途が存在し、これらの用途については、適切に二酸化炭素を透過する包装材を用いることにより、包装材内に二酸化炭素が蓄積して例えば包装材が膨らむといった現象を防ぐ必要がある。ところが近年、包装された食品の品質を長期間保持したいなどの理由で、外部からの酸素の侵入を防止したいという要請が高くなってきている。
このような要請に対応すべく、二酸化炭素を選択的に透過する包装材が種々検討されている。例えば特許文献1には、特定の構造を有するコポリアミドを採用することにより、二酸化炭素と酸素の遮断比3:1以上の包装材が得られることが記載されている。また、特許文献2には、キトサン系組成物と、等電点が7.5以上である塩基性アミノ酸とポリアルコールとの混合物からなる組成物などを用い、COTR/OTRが10以上の包装材が得られることが記載されている。
特開平7−3012号公報 特開2003−145659号公報 特開2002―146217号公報
しかしながら、従来の選択透過性を有する包装材は、主として材料の二酸化炭素と酸素とに対する親和性の差を利用するものであり、親和性が発揮できる程度には包装材素材内部にガスを透過させる必要があった。従って、二酸化炭素を一定以上透過させようとすれば、必然的に酸素もある程度透過することは原理的に避けがたかった。
これに対し、発酵食品など比較的二酸化炭素の発生量が比較的大きく、あるいは変動し、しかも微量の酸素が微生物に影響して品質を変化させるような食品の包装材に関しては、二酸化炭素の発生量が変動しても十分に透過させ得る二酸化炭素透過性と、微量の酸素の侵入も許さない酸素の不透過性をより厳しく両立させる素材が求められていた。
さらに、食品包装材である以上、食品に対して夾雑物質が移行したり、臭気が移行したりしないことが好ましい。
従って、本発明の目的は、二酸化炭素を一定量以上透過させ、外部からの酸素の侵入を最低限に抑制し、かつ食品に臭気等の影響を与え難い包装材を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために、鋭意検討を行ない、適切なガス透過係数を有するマトリックス樹脂と、酸化されうる物質と、必要に応じ酸化促進剤とを含む樹脂組成物からなる層を有する包装材によって、高い二酸化炭素透過速度と低い酸素透過速度を両立できることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明は、二酸化炭素透過速度が100cc/(m・day・atm)以上であり、酸素透過速度が15cc/(m・day・atm)以下である発酵食品包装用包装材である。
本発明の包装材によって、発酵食品を包装しても二酸化炭素によって包装材が膨らむなどの現象が起こらず、長期間に亘って外部からの酸素の侵入をきわめて低レベルに抑制するため、品質劣化が起こらない、優れた包装材および包装体即ち包装された食品が提供される。
以下、本発明の実施態様について説明する。本発明は、二酸化炭素透過速度が100cc/(m・day・atm)以上であり、酸素透過速度が15cc/(m・day・atm)以下である発酵食品包装用包装材である。
本発明の好ましい態様においては、前記包装材は、酸化されうる物質(A)およびマトリックス樹脂(B)を含む酸素吸収性樹脂組成物(P)からなる層を有する。
本発明の好ましい態様においては、前記酸化されうる物質(A)が、実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A1)である。
本発明の好ましい態様においては、上記発酵食品がチーズである。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の包装材は、二酸化炭素透過速度が100cc/(m・day・atm)以上であり、酸素透過速度が15cc/(m・day・atm)以下である。
本発明の包装材の二酸化炭素透過係数は100cc/(m・day・atm)以上であり、150cc/(m・day・atm)以上であることが好ましく、200cc/(m・day・atm)以上であることがより好ましい。二酸化炭素透過係数が100cc/(m・day・atm)未満であると、発酵食品などから発生する二酸化炭素が包装材内部に蓄積し、膨らむなどの問題が発生しやすくなる。一方、二酸化炭素透過係数は高いことが望ましいが、一方、あまり二酸化炭素透過係数が高すぎると後述する本発明の方法によって酸素透過係数を低く押さえ込むことが困難になる傾向があるため、1000cc/(m・day・atm)以下、より好ましくは400cc/(m・day・atm)以下であることが材料設計上好ましい。
一方、発酵食品などにおいては微量の酸素でも侵入すると微生物が好ましくない繁殖を行ったりする可能性があることから、酸素透過係数は小さいことが好ましく、包装材の酸素透過係数として15cc/(m・day・atm)以下、好ましくは10cc/(m・day・atm)以下、更に好ましくは5cc/(m・day・atm)である。
以下、酸素透過係数をOTR,二酸化炭素透過係数をCOTRと略記することがある。ここでいうOTR、COTRの測定方法は以下のとおりである。
OTRの測定方法:モダンコントロール社製 MOCON OX−TRAN2/20型を用い、23℃、相対湿度0%(0%RH)条件下でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて、OTRを測定した。
COTRの測定方法:モダンコントロール社製 MOCON PERMA−TRAN C−IV型を用い、23℃、0%RH条件下でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて、COTRを測定した。
上記の酸素透過係数と二酸化炭素透過係数の比が大きいことが好ましい。COTR/OTRは10以上であることが好ましく、20以上であることがさらに好ましく、50以上であることがさらに好ましい。ここで、OTRが測定上検出限界以下である場合は、OTRがゼロとなってCOTR/OTR比を計算できないが、この場合COTR/OTRはCOTRをOTRの検出限界で除した値以上であると判定する。
上記のような適切な二酸化炭素透過係数と、低レベルの酸素透過係数は、包装材が、酸化されうる物質(A)、マトリックス樹脂(B)、および必要に応じて酸化促進剤(C)を含む酸素吸収性樹脂組成物からなる層を少なくとも一層含むことによって達成される。以下、これらの各成分について説明する。
酸化されうる物質(A)とは、酸化促進剤の存在下あるいは非存在下に分子状酸素によって自動酸化されうる物質を指す。このような物質としては、分子内に酸化されやすい構造、例えば炭素−炭素二重結合、エーテル結合、アルデヒド、ケトンなどを有する有機化合物が挙げられる。これらの中でも炭素−炭素二重結合を有する有機化合物は、酸化されやすい点において好ましい。ここで、好ましい炭素−炭素二重結合には、共役の炭素−炭素二重結合が含まれるが、芳香環の炭素−炭素二重結合は含まない。
分子内に酸化されうる物質(A)が炭素−炭素二重結合を含む場合、酸化されうる物質(A)に含まれる炭素−炭素二重結合の量は、0.001eq/g(当量/g)以上であることが好ましく、0.005eq/g以上がより好ましく、0.01eq/g以上がさらに好ましい。炭素−炭素二重結合の含有量が0.001eq/g未満である場合、十分な酸素吸収能力が得られなくなるおそれがある。
また、酸化されうる物質(A)としては、食品に対するブリードアウトの可能性を低くする観点から、ある程度分子量の大きいものが好ましい。また、包装材を成形する見地からは、熱可塑性のものが好ましい。従って酸化されうる物質(A)としては熱可塑性樹脂が好ましく、炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂が好ましい。以下、このような酸化されうる熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(A0)と記載することがある。
上記観点から、熱可塑性樹脂(A0)の数平均分子量は、好適には1000〜500000であり、より好適には5000〜300000であり、更に好適には10000〜250000であり、特に好適には40000〜200000の範囲である。分子量が1000未満の場合または50000を超える場合には、得られる樹脂組成物の成型加工性、およびハンドリング性に劣り、あるいは成形体とした場合の強度や伸度などの機械的性質が低下するおそれがある。さらに、後述マトリックス樹脂(B)と混合して使用する際に分散性が低下し、その結果酸素掃去機能が低下するおそれがある。
さらに、酸化されうる物質(A)が酸素の侵入により酸化された際に、酸化の程度にもよるが多くの物質は低分子量の断片に分解し、不快な臭気を発生する。このような臭気の発生を抑制するためには、熱可塑性樹脂(A0)が、実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A1)であることが好ましい。ここで、熱可塑性樹脂が「実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する」とは、炭素−炭素二重結合のうち側鎖に存在するものの比率が10モル%以下であることをいう。側鎖に存在する炭素−炭素二重結合は、好ましくは7モル%以下、さらに好ましくは5%以下である。
このような熱可塑性樹脂(A1)の例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ(2−エチルブタジエン)、ポリ(2−ブチルブタジエン)などのポリジエンであって主として1,4位で重合したもの、さらに、ポリオクテニレン、ポリペンテニレン、ポリノルボルネンなどのシクロオレフィンの開環メタセシス重合体が例示できる。これらの中でも1,4−ポリブタジエン、ポリオクテニレンが好適である。
ここで、一般に炭素−炭素二重結合は主鎖に存在する場合、側鎖に存在するものほどの酸素吸収量や吸収速度が得られない場合が多い。しかしながら、主鎖に炭素−炭素二重結合を有し、隣接する炭素−炭素二重結合の間にメチレン鎖が3個以上存在するような繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂においては、炭素−炭素二重結合1個あたりの酸素吸収量が予想以上に大きく、熱可塑性樹脂(A1)としては隣接する炭素−炭素二重結合の間にメチレン鎖が3個以上存在するような繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂が好ましい。このような好適な熱可塑性樹脂として、ポリオクテニレン、ポリペンテニレンが例示でき、ポリオクテニレンが特に好適である。
酸化されうる熱可塑性樹脂(A0)は酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、例えば次の化合物が挙げられる。2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2,6−ジ−(tert−ブチル)−4−メチルフェノール(BHT)、2,2−メチレンビス−(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス−(ノニルフェニル)、チオジプロピオン酸ジラウリルなどが例示できる。
酸化されうる熱可塑性樹脂(A0)に含有される酸化防止剤の量は、樹脂組成物中の各成分の種類、含有量、樹脂組成物の使用目的、保存条件などを考慮して適宜決定される。通常、酸化防止剤の量は、熱可塑性樹脂(A0)と酸化防止剤の合計質量を基準として、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.02〜0.5質量%であることがより好ましい。酸化防止剤の量が多すぎると、熱可塑性樹脂(A0)と酸素との反応が妨げられるため、本発明の樹脂組成物の酸素掃去機能が不十分となる場合がある。一方、酸化防止剤の量が少なすぎると、熱可塑性樹脂(A0)の保存時または溶融混練時に、酸素との反応が進行し、該樹脂組成物の実使用前に酸素掃去機能が低下してしまう場合がある。
次に、マトリックス樹脂(B)について説明する。マトリックス樹脂(B)としては、ある程度の二酸化炭素を透過する必要から、ある程度ガス透過性を有するものが好ましい。一方、酸素掃去機能を長期間維持させるためには、ガス透過性はあまり大きすぎないことが好ましい。
上記の理由からマトリックス樹脂(B)の酸素透過係数は5cc・20μm/(m・day・atm)以上であることが好ましく、10cc・20μm/(m・day・atm)以上であることがより好ましく、20cc・20μm/(m・day・atm)以上であることがさらに好ましく、一方、500cc・20μm/(m・day・atm)以下であることが好ましく、200cc・20μm/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、150cc・20μm/(m・day・atm)以下であることがさらに好ましい。
ただし、マトリックス樹脂(B)の酸素透過係数が単体では5cc・20μm/(m・day・atm)未満の場合であっても、その他の熱可塑性樹脂などの希釈剤によって樹脂組成物(P)全体としてのガス透過性を上昇させれば使用可能である。一方、マトリックス樹脂(B)の酸素透過係数が500cc・20μm/(m・day・atm)を超える場合であっても、例えば樹脂組成物(P)層の外側に上記に記載した程度の酸素透過係数を有するバリア層を設けるなどの方法で外部からの酸素侵入を制御することにより、実用的な性能を付与することは可能である。
マトリックス樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、およびポリビニルアルコール系樹脂などを例示することができる。これらの中でも適切なガス透過係数を有する点からポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂が好適に使用できる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレンの共重合体(エチレンまたはプロピレンと次の単量体の少なくとも1種との共重合体:1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルオクタノエート、ビニルドデカノエート、ビニルステアレート、ビニルアラキドネートなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類など)、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ブテンなどが例示できる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが例示できる。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウロラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)などの脂肪族ポリアミド単独重合体;カプロラクタム/ラウロラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン−6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンセバカミド共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)などの脂肪族ポリアミド共重合体;ポリメタキシリレンアジパミド(MX−ナイロン)、ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド共重合体(ナイロン−6T/6I)などの芳香族ポリアミドが挙げられる。これらのポリアミド樹脂(C2)は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。これらの中でも、ポリカプロアミド(ナイロン−6)およびポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)が適切なガス透過性を有する観点から好適である。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンの単独重合体のほか、酢酸ビニル、マレイン酸誘導体、高級アルキルビニルエーテルなどとの共重合体が挙げられる。
ポリアクリロニトリル系樹脂としては、アクリロニトリルの単独重合体のほか、アクリル酸エステルなどとの共重合体が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルエステルの単独重合体、またはビニルエステルと他の単量体との共重合体(特にビニルエステルとエチレンとの共重合体)を、アルカリ触媒などを用いてケン化して得られる樹脂である。ビニルエステルとしては、酢酸ビニルが代表的な化合物として挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂のビニルエステル成分のケン化度は、好適には90%
以上であり、より好適には95%以上であり、更に好適には96%以上である。ケン化度
が90モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下する。また、上記ポリビニルア
ルコール系樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)である場合、ケン化度が90モル%未満では熱安定性が不充分となり、得られる成形体にゲル・ブツが含有され易くなる。
ポリビニルアルコール系樹脂がケン化度の異なる2種類以上のポリビニルアルコール系
樹脂の混合物からなる場合には、混合質量比から算出される平均値をケン化度とする。
上記のようなポリビニルアルコール系樹脂の中でも、溶融成形が可能で、高湿度下での
ガスバリア性が良好な点から、EVOHが好適である。
EVOHのエチレン含有量は5〜80モル%であるのが好ましい。エチレン含有量が5モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も悪化することがある。EVOHのエチレン含有量は、好適には10モル%以上であり、より好適には15モル%以上、最適には20モル%以上である。一方、エチレン含有量が80モル%を超えると十分なガスバリア性が得られないことがある。エチレン含有量は、好適には70モル%以下であり、より好適には60モル%以下である。
EVOHのエチレン含有量およびケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
このEVOHは、本発明の目的が阻害されない範囲で、エチレン単位およびビニルアルコール単位以外の単量体の単位を共重合単位として少量含有することもできる。通常のEVOHは本発明の目的に対してはガスバリア性が高すぎる傾向があるため、共重合体とすることでOTRを調整することもできる。共重合できる単量体の例としては、次の化合物が挙げられる:プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類などが例示できる。
また、EVOHに柔軟性を付与するためにEVOHを変性することも好適である。この場合、本来のEVOHのガスバリア性は十分以上に高いので、柔軟性を重視して比較的高い変性度を取ることで、むしろ適切なOTRを同時に得ることも可能になる。このような変性EVOHあるいはそれを含む樹脂組成物としては、国際公開WO03/072653号公報に記載されている変性EVOHやそれを含む樹脂組成物を使用することができる。
酸素吸収性樹脂組成物(P)中の、酸化されうる物質(A)とマトリックス樹脂(B)との割合は必要とされる性能に応じて適宜決められるが、酸化されうる物質(A)が少なすぎると酸素の透過を十分に防止できない懸念があり、多すぎると、酸素吸収性樹脂組成物のガス透過性が高くなりすぎ、酸化されうる物質(A)が酸化されることに伴う物性の低下や色相の変化などを発生しやすくなる懸念がある。
このような点に鑑みると、酸素吸収性樹脂組成物(P)中の酸化されうる物質(A)とマトリックス樹脂(B)の量の比率は、酸化されうる物質(A)とマトリックス樹脂(B)との合計質量を100質量%としたとき、酸化されうる物質(A)を1〜30質量%含むことが好ましく、より好適には2〜20質量%であり、さらに好適には3〜15質量%である。
本発明の包装材で用いる酸素吸収性樹脂組成物(P)は、酸化されうる物質(A)、マトリックス樹脂(B)に加えて相容化剤(D)を含んでいてもよい。
相容化剤(D)は、樹脂組成物中(P)中の熱可塑性樹脂(A0)とマトリックス樹脂(B)と、あるいは必要に応じてその他の樹脂が含有される場合はその他の樹脂も含めて、これらの樹脂の相容性を向上させ、得られる樹脂組成物に安定したモルフォロジーを与える目的で、必要に応じて含有される。相容化剤(D)の種類は特に限定されず、使用する熱可塑性樹脂(A0)、マトリックス樹脂(B)などの組み合わせにより適宜選択される。
例えば、マトリックス樹脂(B)がポリアミド系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂のように極性の高い樹脂である場合には、相容化剤(D)としては、極性基を含有する炭化水素系重合体またはエチレン−ビニルアルコール共重合体であることが好ましい。例えば相容化剤(D)が極性基を含有する炭化水素系重合体の場合には、重合体のベースとなる炭化水素重合体部分により、該相容化剤(D)と熱可塑性樹脂(A0)との親和性が良好となる。さらに、該相容化剤(D)の極性基により、該相容化剤(D)とガスバリア性樹脂(C)との親和性が良好となる。その結果、得られる樹脂組成物に安定したモルフォロジーを形成させることができる。
上記の極性基を含有する炭化水素系重合体のベースとなる炭化水素重合体部分を形成し得る単量体としては、次の化合物が挙げられる:エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、3−メチルペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、tert−ブトキシスチレンなどのスチレン類;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどのビニルナフタレン類;インデン、アセナフチレンなどのビニレン基含有芳香族化合物;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエンなどの共役ジエン化合物など。上記炭化水素系重合体は、これらの単量体の一種を主として含有していてもよいし、二種以上を主として含有していてもよい。
上記単量体を用いて、極性基を含有する炭化水素系重合体が調製され、その際、該単量体は次のようなポリマーでなる炭化水素重合体部分を形成する:ポリエチレン(超低密度、低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステル、エチルエステルなど)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系重合体;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ジエン系ブロック共重合体(スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体など)、その水添物などのスチレン系重合体;ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系重合体;ポリ塩化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの半芳香族ポリエステル;ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステルなど。これらの中でも、スチレン−ジエン系ブロック共重合体(スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体など)、その水添物などのスチレン系重合体が好ましい。
相容化剤(D)に含有される極性基としては特に限定されないが、酸素原子を含有する官能基が好ましい。具体的には、活性水素含有極性基(−SOH、−SOH、−SOH、−CONH、−CONHR、−CONH−、−OHなど)、窒素を含有し活性水素を含有しない極性基(−NCO、−OCN、−NO、−NO、−CONR、−CONR−など)、エポキシ基、カルボニル基含有極性基(−CHO、−COOH、−COOR、−COR、>C=O、−CSOR、−CSOHなど)、リン含有極性基(−P(OR)、−PO(OR)、−PO(SR)、−PS(OR)、−PO(SR)(OR)、−PS(SR)(OR)など)、ホウ素含有極性基などが挙げられる。ここで、上記一般式中、Rはアルキル基、フェニル基またはアルコキシ基を表す。
このような極性基を有する相容化剤は、例えば、特許文献3に詳細に開示されている。開示されている相容化剤の中でも、ボロン酸エステル基を有するスチレン−水添ジエン系ブロック共重合体が好ましい。
次に、酸化促進剤(C)について説明する。酸化促進剤(C)とは、酸化されうる物質(A)と分子状酸素の反応を促進するものなら特に制限はない。このような酸化促進剤としては、ラジカル発生剤、光酸化触媒、遷移金属塩などが例示できる。これらの中でも遷移金属塩(C1)が少量で効果があることなどから好適に使用される。酸化促進剤が存在することで酸化されうる物質(A)の酸化が促進され、酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収機能が向上する。
遷移金属塩(C1)に含まれる遷移金属としては、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルトが好ましく、マンガンおよびコバルトがより好ましく、コバルトが更により好ましい。
遷移金属塩(C1)に含まれる金属の対イオンとしては、有機酸または塩化物由来のアニオンが挙げられる。有機酸としては、酢酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、樹脂酸、カプリン酸、ナフテン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい塩としては、2−エチルへキサン酸コバルト、ネオデカン酸コバルトおよびステアリン酸コバルトが挙げられる。また、金属塩は重合体性対イオンを有する、いわゆるアイオノマーであってもよい。
上記遷移金属塩(C1)は好適には、酸化されうる物質(A)およびマトリックス樹脂(B)の合計質量を基準として、金属元素換算の質量割合で1〜50000ppmの割合で含有される。さらに、該樹脂組成物が、酸化されうる物質(A)、マトリックス樹脂(C)に加えて相容化剤(D)を含有する場合には、該遷移金属塩(C1)は好適には、酸化されうる物質(A)、マトリックス樹脂(B)、および相容化剤(D)の合計量を基準として、金属元素換算で1〜50000ppmの割合で含有される。より好適には、遷移金属塩(C1)は5〜10000ppm、更に好適には10〜5000ppmの範囲で含有される。遷移金属塩(C1)の含有量が1ppmに満たない場合は、樹脂組成物(P)の酸素吸収効果が不十分となる場合がある。一方、遷移金属塩(C1)の含有量が50000ppmを超えると、樹脂組成物の熱安定性が低下し、分解ガスの発生やゲル・ブツの発生が著しくなる場合がある。
酸素吸収性樹脂組成物(P)には、本発明の作用効果が阻害されない範囲内で各種の添加剤を含有させてもよい。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤(溶融安定剤)、光開始剤、脱臭剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、乾燥剤、充填剤、顔料、染料、加工助剤、難燃剤、防曇剤、他の高分子化合物などが挙げられる。このような添加剤は、例えば、特許文献3に詳細に開示されている。
酸素吸収性樹脂組成物(P)は、上述のように、酸化されうる物質(A)、マトリックス樹脂(B)および酸化促進剤(C)を含有し、さらに必要に応じて、相容化剤(D)、その他の熱可塑性樹脂、各種添加剤などを含有する。酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収速度は、0.01cc/(g・day)以上であることが好ましく、0.05cc/(g・day)以上がより好ましい。ここで、酸素吸収速度は、樹脂組成物のフィルムを一定容量の空気中に放置した場合に、単位質量当たり単位時間にそのフィルムが吸収した酸素の体積である。この組成物は、後述のように、該組成物の各成分を混合し、所望の形状に成形することにより、本発明の包装材に加工される。
酸素吸収性樹脂組成物(P)において、酸化されうる物質(A)が熱可塑性樹脂(A0)である場合には、熱可塑性樹脂(A0)からなる粒子が、マトリックス樹脂(B)中に分散している態様が推奨される。このような状態の組成物でなる本発明のにおいては酸素掃去性および酸素バリア性が持続し易く、マトリックス樹脂(B)などの有する機能が付与できる点で好ましい。透明性も良好である。このとき、熱可塑性樹脂(A0)からなる粒子の平均粒径は10μm以下であることが好適である。平均粒径が10μmを超える場合には、熱可塑性樹脂(A0)とマトリックス樹脂(B)との界面の面積が小さくなり、酸素ガスバリア性および酸素掃去機能が低下する場合がある。熱可塑性樹脂(A0)粒子の平均粒径は5μm以下がより好ましく、2μm以下が更に好ましい。
上記のような態様を実現し、優れた酸素遮断性、低臭気性を発現するためには、主鎖に炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A0)の数平均分子量が1000〜500000であり、より好適には5000〜300000、更に好適には10000〜250000、特に好適には40000〜200000の範囲である。また、熱可塑性樹脂(A0)が実質的に架橋されていないことが好ましい。
また、マトリックス樹脂(B)がポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの極性の高い樹脂である場合、熱可塑性樹脂が前記親水性官能基(水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、エポキシ基、エステル基、カルボン酸無水物基、ホウ素含有極性基(例えば、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基、ボロン酸塩基)など)を有することが好ましく、特に水酸基、エポキシ基、酸無水物基を有することが好ましい。
さらに、酸素吸収性樹脂組成物(P)が相容化剤(D)を適量含有する場合には、上記効果が安定して得られやすい。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物の好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2
160g荷重下、JIS K7210に基く)は0.1〜100g/10分、より好適に
は0.5〜50g/10分、更に好適には1〜30g/10分である。本発明の樹脂組成
物のメルトフローレートが上記の範囲から外れる場合、溶融成形時の加工性が悪くなる場
合が多い。
上記各成分は混合され、本発明の包装材に加工される。酸素吸収性樹脂組成物(P)の各成分を混合する方法や順序は特に限定されない。
混合の具体的な方法としては、工程の簡便さおよびコストの観点から溶融混練法が好ましい。このとき、高い混練度を達成することのできる装置を使用し、各成分を細かく均一に分散させることが、酸素吸収性能、透明性を良好にすると共に、ゲル・ブツの発生や混入を防止できる点で好ましい。
高い混練度を達成し得る装置としては、連続式インテンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方向または異方向)、ミキシングロール、コニーダーなどの連続型混練機;高速ミキサー、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機;(株)KCK製のKCK混練押出機などの石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用した装置、一軸押出機に混練部(ダルメージ、CTMなど)を設けた装置;リボンブレンダー、ブラベンダーミキサーなどの簡易型の混練機などを挙げることができる。これらの中でも、連続型混練機が好ましい。市販されている連続式インテンシブミキサーとしては、Farrel社製FCM、(株)日本製鋼所製CIM、(株)神戸製鋼所製KCM、LCM、ACMなどが挙げられる。これらの混練機の下に一軸押出機を設置し、混練と押出ペレット化を同時に実施する装置を採用することが好ましい。また、ニーディングディスクまたは混練用ロータを有する二軸混練押出機としては、例えば(株)日本製鋼所製TEX、Werner&Pfleiderer社製ZSK、東芝機械(株)製TEM、池貝鉄工(株)製PCMなどが挙げられる。混練機は1機でもよいし、また2機以上を連結して用いることもできる。
混練温度は、通常50〜300℃の範囲である。酸化されうる物質(A)の酸化防止のためには、ホッパー口を窒素シールし、低温で押出すことが好ましい。混練時間は、長い方が良い結果を得られるが、酸化されうる物質(A)の酸化防止および生産効率の観点から、通常10〜600秒であり、好ましくは15〜200秒であり、より好ましくは15〜150秒である。
酸素吸収性樹脂組成物(P)を、成形方法を適宜採用して、フィルム、シート、容器など種々の形状に成形することによって本発明の包装材が製造される。このとき、樹脂組成物(P)を一旦ペレットとしてから成形に供してもよいし、樹脂組成物の各成分をドライブレンドして、直接成形に供してもよい。
成形方法および成形物としては、例えば、溶融押出成形によりフィルム、シート、パイプなどに、射出成形により容器形状に、また中空成形によりボトル状などの中空容器に成形することができる。中空成形としては、押出成形によりパリソンを成形し、これをブローして成形を行う押出中空成形と、射出成形によりプリフォームを成形し、これをブローして成形を行う射出中空成形を挙げることができる。これらのうち本発明の発酵食品用包装材を成形する方法としては、溶融押出成形によって多層フィルムなどの包装材を成形する方法、溶融押出成形によって成形した多層シートを熱成形して容器状の包装材にする方法が好ましく用いられる。また、用途によっては押出成形によってパリソンを形成し、これをブロー成形して比較的柔軟な多層容器状の包装材とする方法も好ましく用いられる。
本発明の包装材は、少なくとも上記酸素吸収性樹脂組成物からなる層を一層含む多層構造体で構成される。
多層構造体の層構成としては、樹脂組成物(P)以外の樹脂からなる層をx層、樹脂組成物(P)層をy層、接着性樹脂層をz層とすると、x/y、x/y/x、x/z/y、x/z/y/z/x、x/y/x/y/x、x/z/y/z/x/z/y/z/xなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。複数のx層を設ける場合は、その種類は同じであっても異なっていてもよい。また、成形時に発生するトリムなどのスクラップからなる回収樹脂を用いた層を別途設けてもよいし、回収樹脂を他の樹脂からなる層にブレンドしてもよい。多層構造体の各層の厚み構成は、特に限定されるものではないが、成形性およびコストなどの観点から、全層厚みに対するy層の厚み比は2〜20%が好適である。
上記のx層に使用される樹脂としては、加工性などの観点から熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可塑性樹脂としては、次の樹脂が挙げられるが、特にこれらに限定されない:ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンまたはプロピレン共重合体(エチレンまたはプロピレンと次の単量体の少なくとも1種との共重合体:1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルオクタノエート、ビニルドデカノエート、ビニルステアレート、ビニルアラキドネートなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類など)、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ1−ブテンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリε−カプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド;ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレートなど。かかる熱可塑性樹脂層は無延伸のものであってもよいし、一軸もしくは二軸に延伸または圧延されているものであっても構わない。
これらの樹脂のうち、本発明の発酵食品用包装材に好適に用いられる樹脂は、食品などを包装して包装体とした際の外層側にはポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンが、内層側にはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好適に用いられる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性などの点で、また、ポリエステルは機械的特性、耐熱性などの点で好ましい。
一方、z層に使用される接着性樹脂としては、各層間を接着できるものであれば特に限定されず、ポリウレタン系またはポリエステル系の一液型または二液型硬化性接着剤、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂などが好適に用いられる。カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸またはその無水物(無水マレイン酸など)を共重合成分として含むオレフィン系重合体または共重合体;または不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体または共重合体にグラフトさせて得られるグラフト共重合体である。
これらの中でも、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂がより好ましい。特に、x層がポリオレフィン樹脂である場合、y層との接着性が良好となる。かかるカルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂の例としては、ポリエチレン{低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)}、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(メチルエステルまたはエチルエステル)共重合体などをカルボン酸変性したものが挙げられる。
多層構造体を得る方法としては、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共射出成形法、共押出成形法などが例示されるが、特に限定されるものではない。共押出成形法としては、共押出ラミネート法、共押出シート成形法、共押出インフレーション成形法、共押出ブロー成形法などを挙げることができる。
このようにして得られた多層構造体のシート、フィルム、パリソンなどを、含有される樹脂の融点以下の温度で再加熱し、絞り成形などの熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸法、ブロー成形法などにより一軸または二軸延伸して、延伸された成形物を得ることもできる。
上記の多層構造体を用いた成形物を本発明の発酵食品用包装材として使用する。
更に、酸素吸収性樹脂組成物(P)は適切な樹脂を選択することにより透明性が良好となる。従って、このような組成物は、内容物を視認しやすい包装容器としての用途に最適である。かかる包装容器の内でも透明性に対する要求性能が厳しく、本発明の包装材の有用性が大きい態様として、樹脂組成物(P)からなる層を含み、全層厚みが300μm以下である多層フィルムからなる容器が挙げられる。以下、この実施態様について説明する。
樹脂組成物(P)からなる層を含み、全層厚みが300μm以下である多層フィルムからなる、本発明の包装材である容器は、全体層厚みが比較的薄い多層構造体からなるフレキシブルな容器であり、通常パウチなどの形態に加工されている。この容器は酸素遮断性に優れ、二酸化炭素を適度に透過し、かつ製造が簡便であるので、発酵食品などの包装に極めて有用である。
上記全層厚みが300μm以下という薄い多層フィルムにおいては経時的に透明性が低下してもその程度は小さく、その結果、本発明の包装材である多層フィルム容器の透明性が保持される。このような多層フィルムの厚みは、透明性およびフレキシブル性を維持するという観点から、上述のように、通常300μm以下であり、より好適には250μm以下であり、更に好適には200μm以下である。一方、容器としての機械的特性を考慮すると、全層厚みは好適には10μm以上であり、より好適には20μm以上であり、更に好適には30μm以上である。
上記全層厚みが300μm以下の多層フィルムからなる容器を多層フィルムから製造する場合、該多層フィルムの製造方法に特に制限はなく、例えば、本発明の樹脂組成物層と他の熱可塑性樹脂層とをドライラミネート、共押出ラミネートなどの方法で積層することによって多層フィルムを得ることができる。
ドライラミネートする場合には、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、圧延フィルムなどが使用可能である。これらの中でも、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリε−カプロラクタムフィルムが、機械的強度の観点から好ましく、防湿性も考慮すると、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが特に好ましい。無延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムを使用する場合、積層した後に多層フィルムを再加熱し、絞り成形などの熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸法などにより一軸または二軸延伸することによって、延伸された多層フィルムを得ることもできる。
得られる多層容器を密封するために、多層フィルムの製造段階において、少なくとも一方の最外層表面にヒートシール可能な樹脂からなる層を設けることも好ましい。かかる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを挙げることができる。
こうして得られた多層フィルムは、例えば袋状に加工され、発酵食品などを充填するための本発明の包装材である包装容器とすることができる。フレキシブルで簡便であり、かつ透明性および酸素遮断性に優れ、適度に二酸化炭素を透過するので、酸素の存在により劣化しやすく二酸化炭素を発生する内容物、特に発酵食品などの包装に極めて有用である。
本発明の包装材のうち樹脂組成物(P)からなる層およびPES層をそれぞれ少なくとも1層含む多層容器は、酸素遮断性に優れ、適切な二酸化炭素透過性を有し、更に適切な樹脂を選択することにより透明性が良好となる。そのため、袋状容器、カップ状容器、中空成形容器などの種々の形態で使用される。
本発明の包装材は、二酸化炭素を発生し、一方で酸素の影響で何らかの劣化を引き起こす種々の食品等に好適に使用できる。このような食品としては、コーヒー、根菜類、菌茸類、葉茎菜、果菜類、生果類、発酵食品などが挙げられる。これらの中でも本発明の包装材は発酵食品に好適に使用できる。ここでいう発酵食品としては、微生物による発酵を伴う食品を指し、例えば、ヨーグルト、チーズ類、味噌類、漬物類、もろみなどが挙げられる。これらの中でも特にチーズ類の包装には好適である。
発酵食品においては、微生物が死滅していない場合、二酸化炭素をかなりの量発生する可能性があり、かつ二酸化炭素の量は必ずしも安定しない。従って、包装材は十分に二酸化炭素を透過することが望ましい。一方、発酵には微生物が存在するため、逆に酸素が侵入した場合、侵入酸素量が微量でも、好気性微生物が繁殖して食品の品質を劣化させやすく、特にチーズ類においては微量の酸素の侵入が望ましくないカビの繁殖を誘発することがある。
このような発酵食品において食品品質を良好な状態で保持するためには二酸化炭素を比較的多量に透過させる一方、完全に近い酸素遮断が必要であり、本発明の包装材はこの両方の条件を満足するため、発酵食品、特にチーズ類の包装に好適である。
また、本発明においては、これら発酵食品、特にチーズを前記包装材で包装した包装体も提供される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における分析及び評価は以下のとおり実施した。
(1)熱可塑性樹脂(A1)の分子構造
重クロロホルムを溶媒としたH−NMR(核磁気共鳴)測定によって得られたスペクトルから構造を決定した。核磁気共鳴測定には日本電子社製、JNM−GX−500型核磁気共鳴測定装置を使用した。
(2)可塑性樹脂(A)の数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定を行い、ポリスチレン換算値として表記した。測定の詳細条件は以下のとおりである。
<分析条件>
装置:Shodex製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)SYSTEM−11
カラム:Shodex製 KF−806L
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン(THF) 流速1.0mL(ミリリットル、以下同じ)/分
Run:15分
検出器:RI
濾過:0.45μmフィルター
濃度:0.1%
注入量:100μL(マイクロリットル、以下同じ)
標品:ポリスチレン
解析:Empower
[合成例1] ポリオクテニレン(a−1)の合成
攪拌機および温度計を装着した容量5L(リットル、以下同じ)のガラス製3つ口フラスコを乾燥した窒素で置換した後に、これにcis−シクロオクテン110g(1mol)およびcis−4−オクテン187mg(1.67mmol)を溶解させたヘプタン624gを仕込んだ。
次いで、[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム 42.4mg(49.9μmol)を、トルエン3.00gに溶解させた触媒液を調製し、これをすばやく上記のヘプタン溶液に加えて、55℃で開環メタセシス重合(ROMP)を行った。1時間後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC−14B;カラム:化学品検査協会製、G−100)により分析したところ、cis−シクロオクテンの消失を確認した。その後、エチルビニルエーテル1.08g(15.0mmol)を添加し、更に10分間攪拌した。
得られた反応液にメタノール600gを添加し、55℃で30分間攪拌した後、40℃で1時間静置して分液後、下層(メタノールの層)を除去した。これに、再びメタノール600gを添加し、55℃で30分間攪拌した後、40℃で1時間静置して分液後、下層(メタノールの層)を除去した。ヘプタン層(上層)からヘプタンを減圧で留去し、更に、真空乾燥機にて、1Pa、100℃にて6時間乾燥し、重量平均分子量(Mw)が168,000、数平均分子量(Mn)が37,000のポリマー93.7g(収率88%)を得た。この重合体(ポリオクテニレン(a−1))の、側鎖中の炭素−炭素二重結合の、全炭素−炭素二重結合に対する比率は0%であった。
[合成例2]スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(a−2)の合成
乾燥した窒素で浄化された攪拌式オートクレーブ中にシクロヘキサン600体積部、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.16体積部、および開始剤としてn−ブチルリチウム0.094体積部を投入した。温度を50℃に昇温し、スチレンモノマーを4.25体積部フィードし1.5時間重合させた。次に温度を30℃に下げ、イソプレンを120体積部フィードし2.5時間重合させた。更に再び温度を50℃に昇温し、スチレンモノマーを4.25体積部フィードし1.5時間重合させた。
得られた反応液に、酸化防止剤として2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)を、それぞれスチレンおよびイソプレンの合計量100質量部に対して0.15質量部ずつ加えた。反応液をメタノールに注いで生成物を沈殿させ、これを分離・乾燥して、酸化防止剤が添加されたスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(a−2)を得た。
得られたトリブロック共重合体の数平均分子量は85000、共重合体中のスチレンブロックの分子量はそれぞれ8500、スチレン含有量は14モル%、側鎖中の炭素−炭素二重結合の、全炭素−炭素二重結合に対する比率は55%であった。得られたトリブロック共重合体における炭素−炭素二重結合の含有量は0.014eq/gであり、メルトフローレートは7.7g/10分であった。当該樹脂中には、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート0.12質量%およびペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.12質量%が含まれていた。
上記のポリオクテニレン(a−1)10質量部、ポリアミド樹脂(ナイロン6)90質量部およびステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(コバルト原子として0.0400質量部)をドライブレンドし、30mmφ二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX−30SS−30CRW−2V)を用い、シリンダー内を窒素パージしながら溶融混練し、ペレット化した。このようにしてポリオクテニレン(a−1)、ポリアミド樹脂およびステアリン酸コバルトからなる酸素吸収性樹脂組成物ペレットを得た。
得られた酸素吸収性樹脂組成物ペレットおよび、ポリアミド樹脂(ナイロン6)、ポリプロピレン樹脂(PP)及び接着性樹脂を別々の押出し機で溶融混練し、共押出装置を用いて、表1に示すように4層からなる多層フィルムを製膜した。得られたフィルムのCOTR、製膜直後のOTR、COTR/OTRを表1に示す。
また、得られたフィルムからなるパウチを用いてチーズの包装テストを行った。25℃0%RHの空気中で180日間保管後のカビの発生の有無、包装材の膨張の程度、臭気の有無を評価したところ、いずれも問題がなく、包装材として優れていることが確認された。結果を表1に示す。
酸素吸収性樹脂組成物として、ポリオクテニレン(a−1)7質量部、ポリアミド樹脂(ナイロン6)93質量部およびステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(コバルト原子として0.0400質量部)からなる酸素吸収性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして多層フィルムを製膜した。得られたフィルムのCOTR、製膜直後のOTR、COTR/OTRを表1に示す。
また、得られたフィルムからなるパウチを用いて実施例1と同様にチーズの包装テストを行った。結果を表1に示す。
酸素吸収性樹脂組成物として、ポリブタジエン(日本ゼオン社製ポリブタジエンゴム「Nipol BR1220」;以下、ポリブタジエン(a−3)とする)10質量部、ポリアミド樹脂(ナイロン6)90質量部およびステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(コバルト原子として0.0400質量部)からなる酸素吸収性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして多層フィルムを製膜した。得られたフィルムのCOTR、製膜直後のOTR、COTR/OTRを表1に示す。
また、得られたフィルムからなるパウチを用いて実施例1と同様にチーズの包装テストを行った。結果を表1に示す。
酸素吸収性樹脂組成物として、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(a−2)10質量部、ポリアミド樹脂(ナイロン6)90質量部およびステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(コバルト原子として0.0400質量部)からなる酸素吸収性樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして多層フィルムを製膜した。得られたフィルムのCOTR、製膜直後のOTR、COTR/OTRを表1に示す。
また、得られたフィルムからなるパウチを用いて実施例1と同様にチーズの包装テストを行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含量:32モル%)および、ポリアミド樹脂(ナイロン6)、ポリプロピレン樹脂(PP)及び接着性樹脂を別々の押出し機で溶融混練し、共押出装置を用いて、表1に示すように4層からなる多層フィルムを製膜した。得られたフィルムのCOTR、製膜直後のOTR、COTR/OTRを表1に示す。
また、得られたフィルムからなるパウチを用いて実施例1と同様にチーズの包装テストを行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン6)、ポリプロピレン樹脂(PP)および接着性樹脂を別々の押出し機で溶融混練し、共押出装置を用いて、表1に示すように5層からなる多層フィルムを製膜した。得られたフィルムのCOTR、製膜直後のOTR、COTR/OTRを表1に示す。
また、得られたフィルムからなるパウチを用いて実施例1と同様にチーズの包装テストを行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
ポリアミド樹脂(ナイロン6)、ポリプロピレン樹脂(PP)及び接着性樹脂を別々の押出し機で溶融混練し、共押出装置を用いて、表1に示すように4層からなる多層フィルムを製膜した。得られたフィルムのCOTR、製膜直後のOTR、COTR/OTRを表1に示す。
また、得られたフィルムからなるパウチを用いて実施例1と同様にチーズの包装テストを行った。結果を表1に示す。
Figure 2008201431
表中、OTR欄の「0.1>」は検出限界の0.1以下であることを、従ってCOTR/OTR欄の「>1200」は該比率が少なくとも1200を超えることを示す。また、カピの評価における○はカビが全く発生しなかったことを、△はわずかにカビが認められることを、×は全体にカビが認められることを示し、包装材の膨張における○は膨張の問題がなかったことを、×は膨張が認められたことを示し、臭気の○は、臭気の問題がなかったことを、△はわずかに食品に、食品本来の匂い以外の臭気を感じたことを示す。
表1に示されるとおり、本発明の包装材を用いた、実施例1〜4の試験においては二酸化炭素による包装材の膨張などは見られなかった。また、実施例1,2においては酸素の侵入によって引き起こされるカビの発生はまったく起こらず、実施例3,4においても短期間の保存ではカビの発生はみられなかったが、保管終了時にわずかにカビの発生が認められた程度であった。実施例4においては長期保管を実施した後にわずかに、酸素吸収によって発生したと推定される臭気が感じられた。これに対し、ガスバリア性の良好な包装材を用いた比較例1、2においてはカビの発生は認められなかったが包装材の膨張が認められ、一方包装材が膨張しない程度にガスを透過する比較例3の包装材においては逆にカビの発生が認められた。
以上のごとく本発明の包装材は通常の包装材に比し、発酵食品の保管に際し優れた特性を有している。
本発明の包装材は高い二酸化炭素透過性と酸素遮断性を有するので、発酵食品の包装に好適に使用される。本発明の包装材で発酵食品を包装すれば、二酸化炭素による膨潤などがおこらず、かつ発酵食品の品質が長期間維持できる包装済み発酵食品が提供される。

Claims (11)

  1. 二酸化炭素透過速度が100cc/(m・day・atm)以上であり、酸素透過速度が15cc/(m・day・atm)以下である発酵食品包装用包装材。
  2. 前記包装材が、酸化されうる物質(A)およびマトリックス樹脂(B)を含む酸素吸収性樹脂組成物(P)からなる層を有する請求項1に記載の発酵食品包装用包装材。
  3. 前記酸化されうる物質(A)が、実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A1)である請求項2に記載の発酵食品包装用包装材。
  4. 前記熱可塑性樹脂(A1)の炭素−炭素二重結合1モルあたりの酸素吸収量が1.6モル以上である、請求項3に記載の発酵食品包装用包装材。
  5. 前記熱可塑性樹脂(A1)が、ポリオクテニレンである請求項3または4に記載の発酵食品包装用包装材。
  6. 上記酸素吸収性樹脂組成物がさらに遷移金属塩(C1)を含有する請求項2〜5のいずれか1項に記載の発酵食品包装用包装材。
  7. 前記遷移金属(C1)が、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩およびコバルト塩からなる群から選択される少なくとも1種の金属塩である、請求項6に記載の発酵食品包装用包装材。
  8. 前記マトリックス樹脂(B)が、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、およびポリビニルアルコール系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項2〜7のいずれかの項に記載の発酵食品包装用包装材。
  9. 前記マトリックス樹脂(B)の酸素透過係数が5cc・20μm/(m・day・atm)以上、200cc・20μm/(m・day・atm)以下である請求項2〜8のいずれかの項に記載の発酵食品用包装材。
  10. 上記発酵食品がチーズである請求項1〜9のいずれかの項に記載の発酵食品包装用包装材。
  11. 請求項1〜10のいずれかの項に記載の包装材で発酵食品を包装した包装体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021175617A1 (en) * 2020-03-04 2021-09-10 Evonik Operations Gmbh Oxygen scavenging polymer particles

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